JP3403568B2 - リチウムニッケル複合酸化物とその製造法及びその用途 - Google Patents

リチウムニッケル複合酸化物とその製造法及びその用途

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JP3403568B2 JP04732996A JP4732996A JP3403568B2 JP 3403568 B2 JP3403568 B2 JP 3403568B2 JP 04732996 A JP04732996 A JP 04732996A JP 4732996 A JP4732996 A JP 4732996A JP 3403568 B2 JP3403568 B2 JP 3403568B2
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lithium
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なリチウムニッ
ケル複合酸化物とその製造法に関し、特に本発明のリチ
ウムニッケル複合酸化物は、大容量の充放電が可能でサ
イクル特性に優れた正極活物質および非水系二次電池に
有用に使用できる。また、本発明の新規なリチウムニッ
ケル酸化物は電池材料の他に触媒、吸着剤、誘電体、磁
性材料としての用途も期待される。
【0002】
【従来の技術】ポータブル機器用の電源として経済性等
の点から二次電池が多く使われる。二次電池には様々な
種類があり、現在最も一般的なのがニッケル−カドミウ
ム電池で、最近になってニッケル水素電池も普及しつつ
ある。しかしリチウムを用いたリチウム二次電池はこれ
らの二次電池よりも出力電圧が高く高エネルギー密度で
あるために、一部実用化され、更に高性能化するために
近年盛んに研究が行われている。このリチウム二次電池
の正極材料としては現在市販されているものはLiCo
2である。しかしLiCoO2の原料であるコバルトが
高価であるために、同じ結晶構造をとり、電気化学的な
挙動もほとんど同じでかつ、より安価な原料であるニッ
ケルを用いたLiNiO2が次世代のリチウム二次電池
用の正極材料であると考えられている。
【0003】リチウムニッケル複合酸化物としてはLi
NiO2が最も安定に存在し比較的簡単に合成できるこ
とが知られている。LiNiO2は結晶中にてNi3+
状態で存在しているために、LiNiO2を正極として
使用した場合、充電を行うことによってリチウムを構造
中から電気化学的に引き抜くことになるが、この時にニ
ッケルは3+から4+に酸化されることになる。ニッケ
ルは最高酸化数は4+でありこれ以上の酸化を行うこと
は出来ないので、かりにすべてのリチウムを充電を行う
ことによって電気化学的に引き抜くことが出来たとして
も、その電気容量は1電子当量以上には成り得ない、す
なわちその理論容量である274.6mAh/g以上に
はなり得ない。
【0004】LiNiO2をリチウム二次電池の正極活
物質として用い、実際の電池として作動させた場合、正
極としての容量はこれらの理論容量の半分近くしかない
と言うのが現状である。電気化学的にはそれらの理論容
量の70から80%程度の容量を出すことは可能である
がその場合サイクル性が非常に悪くなり、実用的な二次
電池を構成することが出来なくなる。これはLiNiO
2はいわゆる層状構造でLi層とNiO層から成ってお
りリチウム層からリチウムを抜きすぎるとNiO層間の
反発が大きくなり構造が維持できなくなり結晶構造その
ものが崩壊してしまうためである。またリチウムを抜い
た場合にNiO層中のニッケルがリチウムのサイトに落
ち込みこれがリチウムの拡散を妨げ結果として容量の低
下につながる場合もある。
【0005】これらの点を改良するにあたり種々の方法
が採られているが、上記の性質はLiNiO2の基本構
造からくるものであり、根本的な改良はなされていない
のが現状である。このように、公知のリチウムニッケル
複合酸化物には根本的な問題点があり、優れた特性、特
に大容量のリチウム二次電池を提供するには、新規な正
極活物質を用いることが望まれている。
【0006】一方負極としては、金属リチウム、リチウ
ムアルミニウム等のリチウム合金や、炭素材料、あるい
はリチウムイオンを挿入・脱離できる物質、例えばポリ
アセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン等の
導電性高分子、または遷移金属酸化物、遷移金属硫化
物、遷移金属窒化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウ
ム遷移金属硫化物、リチウム遷移金属窒化物などを単独
又は複合体として用いることが出来る。これらの中でも
金属リチウムあるいはリチウムアルミニウム合金が単位
重量あたりの容量が大きいために、高エネルギー密度の
二次電池を構成しうる。しかし、これらのリチウムある
いはリチウムアルミニウムは、充放電を繰り返すことに
よってリチウム金属表面上に樹枝状結晶、いわゆるデン
ドライトが生成する。成長したデンドライトはやがて正
極と接触して電池内部にて短絡を引き起こし、最悪の場
合発火する危険性を伴う。このため、二次電池用の負極
としては、リチウムイオンの内部への挿入−脱離反応を
利用する、これらの金属リチウムあるいはリチウムアル
ミニウム合金以外の材料を用いることが好ましいが、エ
ネルギー密度とその価格から考えると中でも炭素材料が
最も有望であると考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を鑑みてなされたものであり、従来にはない構造を持
つリチウムニッケル複合酸化物を用いて、従来よりも大
きな容量を持つ新規な正極活物質を提供し、更にこの新
規な正極活物質と炭素材料等とを組み合わせて大容量の
二次電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の問題
点を克服するために、これまでのLiNiO2に代わる
新たな材料を探索した。電気化学的にリチウムあるいは
他のアルカリ金属を脱離させて、そこから化学的なエネ
ルギーを取りだそうとしたときに、より大きなエネルギ
ー密度を得るためには、より多くのリチウムあるいはア
ルカリ金属を脱離させる必要がある。しかし元々の結晶
を構成してる元素を脱離させすぎると、結晶そのものの
構造が維持できなくなり崩壊してしまい、かえって容量
の低下を招く。これを防ぐためにはあらかじめ結晶中に
多くのリチウムあるいはアルカリ金属を含むものを合成
し、そこからこれらの元素を脱離させてやれば結晶の崩
壊が起こらず、かつエネルギー密度の大きな電極材料が
得られるはずであり、かかる上記の課題を克服しうるの
ではないかと考えた。
【0009】発明者らは、この点に着目して種々の化合
物について検討を行ったところ、LiNiO2とは全く
異なる構造を持つLi2+xNi1-x2(0.0<x≦1
/7)で表される新規のリチウムニッケル複合酸化物を
固相反応にて合成が可能で、これが非常に有望な電極材
料であることを見いだした。
【0010】本発明のLi2+xNi1-x2(0.0<x
≦1/7)はあらかじめ構造中にニッケルに対して二倍
以上のリチウムが存在している。またニッケルは平均価
数で2+から4+の間にあり、ニッケル自身は2+〜4
+の価数を取りうるので、Li2+xNi1-x2(0.0
<x≦1/7)から電気化学的に1〜2個のリチウムを
脱離させうる可能性がある。仮に組成式をLi2.14Ni
0.862(x=1/7)とした場合、ここからリチウム
が1個脱離したとすると約275mAh/g、2個脱離
すると約550mAh/gと非常に大きな容量を持つこ
とがわかる。LiNiO2の場合リチウムが完全に脱離
したとすると約275mAh/gであるが、実用的に使
えるのはそのほぼ半分である。本発明のLi2+xNi1-x
2(0.0<x≦1/7)では、全体のリチウムの半
分を使用したとしても約275mAh/gと非常に大き
な容量を得ることができる。
【0011】リチウムニッケル複合酸化物としてLiN
iO2の他にLi2NiO2も存在することが知られてい
る。しかしLi2NiO2は従来固相法での合成の報告は
なく、LiNiO2への電気化学的なリチウムの挿入に
よって得られると報告されている(H.Rieck et.al.,Z.
Anorg. Allg. Chem., 392(1972)193, J.R.Dahn et.al.,
Solid State Ionic 44(1990)87, I.Davidson et.al.,
Solid State Ionics 46(1991), I.J.Davidson et.al.,
Solid State Chem, 105(1993)410)。本発明におけるL
2+xNi1-x2(0.0<x≦1/7)はLi2NiO
2とよく似た構造を持つが、リチウムとニッケルの比が
異なり別の構造を持った新規の化合物である。
【0012】図1に本発明と同じ方法で合成したLi2
NiO2と本発明のLi2+xNi1-x2(0.0<x≦1
/7)のCuをターゲットとした封入X線管球からのC
uKα線を用いた粉末X線回折パターンを示す。該物質
のX線回折パターンは2θ=19.6±0.5、25.
6±0.5、44.3±0.5、45.3±0.5、4
8.5±0.5、58.0±0.5の範囲にそれぞれピ
ークを有しており、そのピーク強度比は2θ=25.6
±0.5゜に存在するピークを最強強度としこれを10
0と規格化した場合に、それぞれ20〜35、100、
28〜35、18〜22、10〜14、17〜20であ
る。この回折パターンに指数付けを行ったところ、本発
明のLi2+xNi1-x2(0.0<x≦1/7)は、空
間群Immmに属することが確認された。さらにこの空
間群を元にRietveld法を用いた粉末X線構造解
析を行った結果、4jサイトにリチウム、2bサイトに
ニッケルおよびリチウム、4iサイトに酸素が位置して
いると考えた場合の結果が最も実測パターンとよい一致
を示した。
【0013】図2に本発明のLi2+xNi1-x2(0.
0<x≦1/7)の基本的な構造を示す。公知のLi2
NiO2は4jサイトにリチウム、2bサイトにはニッ
ケルのみ、4Iサイトに酸素原子を持っており、2bサ
イトにもLiを持つ本発明のLi2+xNi1-x2(0.
0<x≦1/7)とは全く異なるものといえる。
【0014】本発明のLi2+xNi1-x2(0.0<x
≦1/7)は基本構造は、平面四配位NiO4あるいは
平面四配位LiO4(以下では平面四配位(Ni−L
i)O4とする)が向かい合う辺を共有して一次元直鎖
状につながり、またそれぞれの直鎖がそれぞれの面を向
かい合わせるように平行に位置し、これが一種の層(以
下では(Ni−Li)O4層とする)を形成しており、
更にこの(Ni−Li)O4層と(Ni−Li)O4層の
間にリチウムが存在するという構造をとる。
【0015】さらに、リチウムは(Ni−Li)O4
間に位置するが、その酸素との位置関係は4つの酸素を
頂点とした四面体サイトの中心に相当し、LiO4四面
体層と言い換えることもできる。LiNiO2の場合、
リチウムはNiO6層間に位置し酸素との位置関係から
するとLiO6八面体といえる。スピネル構造中の四面
体サイトと八面体サイトの例をみても明らかなように、
リチウムの拡散に対しては四面体サイトの方が有利であ
り、この事からLiNiO2よりも本発明のLi2+xNi
1-x2(0.0<x≦1/7)の方がLiの拡散が速く
大電流での充放電特性が期待できる。
【0016】図3にLi2.05Ni0.952とLi2.14
0.862のCuをターゲットとした封入X線管球を線
源とした粉末X線回折パターンを示す。両者を比較する
と大きな差はないが2θ=19.6±0.5、133.
8±0.5付近のピーク強度がわずかながら異なり、ニ
ッケルの一部がリチウムで置換されていることを示して
いる。
【0017】本発明のLi2+xNi1-x2(0.0<x
≦1/7)を合成するに当たり、酢酸ニッケル、アミド
硫酸ニッケル、硫酸ニッケル(II)二アンモニウム
(6水和物)、安息香酸ニッケル、臭化ニッケル、塩基
性炭酸ニッケル、ニッケルカルボニル、塩化ニッケル、
クエン酸ニッケル、シアン化ニッケル、二リン酸ニッケ
ル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、フッ化ニッケル蟻
酸ニッケル、水酸化ニッケル次亜リン酸ニッケル、沃化
ニッケル、乳酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、硝酸ニ
ッケル、オレイン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、一酸
化ニッケル、三酸化二ニッケル、過塩素酸ニッケル、リ
ン酸ニッケル、ホスフィン酸ニッケル、ピロリン酸ニッ
ケル、ステアリン酸ニッケル、硫酸ニッケル、硫化ニッ
ケル、酒石酸ニッケル、金属ニッケルから成る群より選
択される1種または2種類以上のニッケル原料と、金属
リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、硫化リチウ
ム、窒化リチウム、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭
化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウム、硝酸リ
チウム、炭酸リチウム、蟻酸リチウム、酢酸リチウム、
安息香酸リチウム、クエン酸リチウム、乳酸リチウム、
しゅう酸リチウム、ピルビン酸リチウム、ステアリン酸
リチウム、および酒石酸リチウムから成る群より選択さ
れる1種または2種類以上のリチウム原料を用いた。
【0018】Li2+xNi1-x2(0.0<x≦1/
7)中ではニッケルはほとんどNi2+の状態で存在する
ので原料の段階でNi2+であるものを用いることが好ま
しく、より好ましくはNiOである。
【0019】これらの原料をリチウムとニッケルの比が
2.01:0.99〜2.14:0.86になるように
混合して焼成を行い、Li2+xNi1-x2(0.0<x
≦1/7)を得ることが出来た。焼成温度は、あまり温
度が低いと反応性が悪いために単一相を得るために長時
間の焼成が必要となり、また逆に温度が高すぎるとリチ
ウムの昇華−飛散が激しいうえに、製造コストが高くな
ってしまう。また750℃以上の温度ではNiOが安定
化してしまいきわめて反応性が悪くなり、Li2+xNi
1-x2(0.0<x≦1/7)が合成できず原料のLi
2OとNiOの混合体しか得られない。よって好ましい
焼成温度は400℃〜750℃である。
【0020】焼成時の雰囲気は99.9%以上の不活性
ガスを用いた。不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、ネ
オン、アルゴン、クリプトンからなる群より選択される
1種または2種類以上のガスを使用することができる。
またこの不活性ガスには0.1%程度ならば、H2O、
2、CO2等が不純物として含まれていても影響はな
い。前述のようにニッケルを2+の状態にて合成したい
ため、Li2+xNi1-x2(0.0<x≦1/7)の合
成に当たっては大気雰囲気よりも酸素分圧が低い方が好
ましく、より好ましくは酸素の体積分率にして0.1%
以下である。
【0021】ニッケルの一部をリチウムで置換すると、
取り出せうるリチウムの量は大きくなり、また原子量の
大きなニッケルを原子量の小さなリチウムで置換するこ
とになるので、単位体積あたりの質量が小さくなり結果
として単位重量あたりの容量は増加するが、反面、電荷
を補償するべきニッケルの量が減るため、かえって容量
の低下につながる。またニッケルをリチウムで置換する
と電子伝導パスである平面四配位(Ni−Li)O4
次元鎖が途中で分断されることとなり、電子伝導性も悪
くなり結果としてリチウム二次電池用正極としての全体
としての性能が低下する。更にx>1/7以上の領域に
なると原料であるLiが残存し、実質上の置換限界はx
≦1/7である。またX<0の範囲では必ずニッケル原
料が何らかの形で残存していた。X<0及びx>1/7
の範囲でもLi2+xNi1-x2が合成可能であるが前述
のように何らかの形で原料が残存するため、電極材料と
して用いるためには好ましくない。
【0022】本発明のLi2.14Ni0.862を用いてリ
チウム二次電池の電極を構成するためには、正極活物質
としてLi2.14Ni0.862粉末と、これに導電剤、結
着剤及び場合によっては、固体電解質を混合して形成さ
れる。導電剤にはアセチレンブラック、グラファイト粉
末等の炭素材料や、金属粉末、導電性セラミックスを用
いることが出来るが、これに限定されない。結着剤には
ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等
のフッ素系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン系ポリマー等を用いることが出来る
が、これに限定されない。これらの混合比はリチウムニ
ッケル酸化物100重量部に対して、導電剤を1〜50
重量部、結着剤を1〜50重量部とすることができる。
導電剤が1重量部より少ないと電極の抵抗あるいは分極
が大きくなり、電極としての容量が小さくなるために実
用的なリチウム二次電池が構成できない。また導電剤が
50重量部より大きいと電極内のリチウムニッケル酸化
物の量が減少するために容量が小さくなり好ましくな
い。結着剤が1重量部より少ないと、結着能力がなくな
ってしまい、電極が構成できなくなる。また結着剤が3
0重量部より大きいと、電極の抵抗あるいは分極が大き
くなり、かつ電極内のリチウムニッケル酸化物の量が減
少するために容量が小さくなり実用的ではない。これら
の混合物を集電体に圧着又は、N−メチル−2−ピロリ
ドン等の溶剤に溶かしスラリー状にし、これを集電体に
塗布し乾燥する等の方法で正極を構成できる。集電体に
は金属箔、金属メッシュ、金属不繊布等の導電性体が使
用できる。なお、集電体の材質および形状はこれらに限
定されない。
【0023】また、本発明の非水系二次電池における負
極は、金属リチウム、リチウムアルミニウム等のリチウ
ム合金や、リチウムイオンを挿入・脱離できる物質、例
えばポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニ
レン等の導電性高分子、熱分解炭素、触媒の存在下で気
相分解された熱分解炭素、ピッチ、コークス、タール等
から焼成された炭素、セルロース、フェノール樹脂等の
高分子を焼成して得られる炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、
膨張黒鉛等の黒鉛材料、リチウムイオンを挿入・脱離反
応しうるWO2、MoO2等の物質単独又はこれらの複合
体を用いることが出来るが、中でも分解炭素、触媒の存
在下で気相分解された熱分解炭素、ピッチ、コークス、
タール等から焼成された炭素、セルロース、フェノール
樹脂等の高分子を焼成して得られる炭素、天然黒鉛、人
造黒鉛、膨張黒鉛等の炭素材料が好ましい。これらの混
合物を集電体に圧着又は、N−メチル−2−ピロリドン
等の溶剤に溶かしスラリー状にし、これを集電体に塗布
し乾燥する等の方法で負極を構成できる。
【0024】集電体には金属箔、金属メッシュ、金属不
繊布等の導電性体が使用できる。なお、集電体の材質お
よび形状はこれらに限定されない。
【0025】さらに、本発明の非水二次電池におけるイ
オン伝導体には、例えば有機電解液、高分子固体電解
質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることが出来る
が、中でも有機電解液が好ましい。有機電解質は、有機
溶媒と電解質から構成される。
【0026】有機電解液には、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジ
エチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエ
チルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類
やテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン
等の置換ヒドロフラン、ジオキソラン、ジエチルエーテ
ル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエ
トキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、
スルホオラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、蟻
酸メチル、酢酸メチル等があげられる。これら有機溶媒
は1種または2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。
【0027】電解質としては、過塩素酸リチウム、ホウ
フッ化リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、6フ
ッ化砒素リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチ
ウム、ハロゲン化リチウム、塩化アルミン酸リチウム等
のリチウム塩があげられ、これらのうち少なくとも1種
類以上のものを用いることが出来る。
【0028】なお、溶媒、電解液は上記のものに限定さ
れない。電解液は、活性アルミニウム、金属リチウム等
により脱水して用いることが好ましく、その含有する水
分としては、1000ppm以下が好ましく、より好ま
しくは100ppmである。また、脱水行程の代わりに
脱水した電解質又は溶媒を使用してもよく、脱水された
溶質と電解質を用いても良い。
【0029】本発明における非水系二次電池は、上記正
極と集電体、及び負極と集電体をそれぞれ外部電極に接
合し、さらにこれらの間に上記のイオン伝導体を介在さ
せて構成される。なおイオン導電体と同時に必要に応じ
て多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンなどのセ
パレーターを介在させても良い。なお、セパレーターの
材質および形状はこれらに限定されない。さらに正極と
負極が接合された外部電極がお互いに接触しないよう
に、ポリプロピレンやポリエチレンなどのパッキングま
たはハーメチックシールなどを行うことが好ましい。こ
れらの、電池の製造工程は、水分の浸入を防止するため
に、アルゴン等の不活性雰囲気中か又は極度に乾燥した
空気中で行うことが好ましい。
【0030】本発明の非水二次電池の形状は、特に限定
されず、円筒型、ボタン型、角形、シート状等があげら
れる。
【0031】以下に、本願の作用を記載する。
【0032】本発明によれば、組成式がLi2+xNi1-x
2(0.0<x≦1/7)からなる事を特徴とする新
規なリチウムニッケル複合酸化物が提供される。
【0033】本発明の製造法によれば、酢酸ニッケル、
アミド硫酸ニッケル、硫酸ニッケル(II)二アンモニ
ウム(6水和物)、安息香酸ニッケル、臭化ニッケル、
塩基性炭酸ニッケル、ニッケルカルボニル、塩化ニッケ
ル、クエン酸ニッケル、シアン化ニッケル、二リン酸ニ
ッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、フッ化ニッケ
ル蟻酸ニッケル、水酸化ニッケル次亜リン酸ニッケル、
沃化ニッケル、乳酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、硝
酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、
一酸化ニッケル、三酸化二ニッケル、過塩素酸ニッケ
ル、リン酸ニッケル、ホスフィン酸ニッケル、ピロリン
酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、硫酸ニッケル、硫
化ニッケル、酒石酸ニッケル、金属ニッケルから成る群
より選択される1種または2種類以上のニッケル原料
と、金属リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、硫
化リチウム、窒化リチウム、フッ化リチウム、塩化リチ
ウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウ
ム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、蟻酸リチウム、酢酸
リチウム、安息香酸リチウム、クエン酸リチウム、乳酸
リチウム、しゅう酸リチウム、ピルビン酸リチウム、ス
テアリン酸リチウム、および酒石酸リチウムから成る群
より選択される1種または2種類以上のニッケル原料と
を、リチウムとニッケルのモル比が2.0:1.0〜
2.5:1.0になるように混合し不活性ガスあるいは
酸素−不活性ガス混合気流中下で焼成することにより、
Li2+xNi1-x2(0.0<x≦1/7)で表される
リチウムニッケル複合酸化物を形成することを特徴とす
るリチウムニッケル複合酸化物が簡単に製造される。
【0034】本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、
1個のNiに対して2個のLiを持っているために、か
りに1個以上のLiが脱離したとしても、まだ1個のL
iが残っており、十分に結晶構造を維持することが出
来、この時の状態(Li2.14Ni0.862→Li1.14
0.862)においても存在するLiの50%が抜けた
に過ぎずその格子体積そのものの変化はLiCoO2
に比較して極めて小さく、サイクル特性に優れた正極活
物質が提供できる。
【0035】また本発明のリチウムニッケル複合酸化物
はリチウムが1個抜けたとすると約275mAh/g、
さらに2個抜けたとすると約550mAh/gと非常に
大きな容量の正極活物質を提供することができる。
【0036】さらに発明のリチウムニッケル複合酸化物
は、比較的安価なNiを原料に用いているために、Co
に比べて原料価格がきわめて安価であり、産業上の価値
も高い正極活物質及び非水二次電池が得られる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に具体的な実施例を示すが、
本発明はこれによりなんら制限されることはない。
【0038】(実施例1)正極活物質は以下の方法によ
って合成した。
【0039】まずNiOとLi2OをLiとNiの原子
比が2.05:0.95(x=1/20)、2.14:
0.86(x=1/7)になるように秤量して乳鉢にて
混合を行った。これを油圧プレスにて150k/cm2
の圧力で直径8mm厚さ3mmの円盤状に加圧形成し
た。ここまでの秤量−混合−加圧形成の作業は湿度1%
以下の乾燥空気中にて行われた。このようにして得られ
たペレットを磁製のボート上に置き、電気炉内に窒素ガ
スを導入した。電気炉内の雰囲気が窒素ガスに十分置き
換わった後、電気炉の温度を室温から750℃まで昇温
させて、750℃で12時間保持した。昇温時及び保持
時間の間も窒素ガスを2l/minの流量で流した。所
定の保持時間経過した後に電気炉の温度を下げ、電気炉
内の温度が室温付近の温度になってから試料を取り出し
た。このようにして得られた粉末はいずれも濃緑色を呈
していた。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で
2.05:0.95(x=1/20)、2.14:0.
86(x=1/7)のものをそれぞれA1a、A1bと
する。A1aの粉末のX線回折パターンを図4に示す。
X線源としてはターゲットCuの封入管からのCuKα
線を使用し出力2kWにて測定を行った。A1a、A1
bそれぞれのX線回折パターンはいずれも2θ=19.
6±0.5、25.6±0.5、44.3±0.5、4
5.3±0.5、48.5±0.5、58.0±0.5
の範囲にそれぞれピークを有しており、そのピーク強度
比は2θ=25.6±0.5゜に存在するピークを最強
強度としこれを100と規格化した場合に、それぞれ2
0〜35、100、28〜35、18〜22、10〜1
4、17〜20であった。この回折パターンに指数付け
を行ったところ、A1a、A1bは、空間群Immmに
属することが確認された。またヨードメトリー法による
ニッケルの価数分析及びICPによる元素分析の結果か
ら、A1a、A1bはそれぞれ、Li2.05Ni
0.952、Li2.14Ni0.862であることが確認され
た。
【0040】(実施例2)実施例1と焼成温度を400
℃にした以外は全く同じ手順を用いて、試料の調製を行
った。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で2.0
5:0.95(x=1/20)、2.14:0.86
(x=1/7)のものをそれぞれA2a、A2bとす
る。このようにして得られた粉末はいずれも濃緑色を呈
していた。A2bの粉末のX線回折パターンを図5に示
す。X線回折測定は実施例1と同様の条件で行った。こ
の回折パターンに指数付けを行ったところ、A2a、A
2bは、空間群Immmに属することが確認された。ま
たヨードメトリー法によるニッケルの価数分析及びIC
Pによる元素分析の結果から、A2a、A2bはそれぞ
れLi2.05Ni0.952、Li2.14Ni0.862であるこ
とが確認された。
【0041】(実施例3)実施例1と焼成雰囲気をアル
ゴンガスにした以外は全く同じ手順を用いて、試料の調
製を行った。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で
2.05:0.95(x=1/20)、2.14:0.
86(x=1/7)のものをそれぞれA3a、A3bと
する。このようにして得られた粉末はいずれも濃緑色を
呈していた。X線回折測定は実施例1と同様の条件で行
った。この回折パターンに指数付けを行ったところ、A
3a、A3bは、空間群Immmに属することが確認さ
れた。またヨードメトリー法によるニッケルの価数分析
及びICPによる元素分析の結果から、A3a、A3b
はそれぞれLi2.05Ni0.952、Li2.14Ni0.862
であることが確認された。
【0042】(実施例4)Ni(OH)2とLi2Oを原
料に用いた以外は実施例1と全く同じ手順を用いて、試
料の調製を行った。出発組成がリチウムとニッケルの原
子比で2.05:0.95(x=1/20)、2.1
4:0.86(x=1/7)のものをそれぞれA4a、
A4bとする。このようにして得られた粉末はいずれも
濃緑色を呈していた。この回折パターンに指数付けを行
ったところ、A4a、A4bは、空間群Immmに属す
ることが確認された。またヨードメトリー法によるニッ
ケルの価数分析及びICPによる元素分析の結果から、
A4a、A4bはそれぞれLi2.05Ni0.952、Li
2.14Ni0.862であることが確認された。
【0043】(比較例1)実施例1と焼成温度を350
℃にした以外は全く同じ手順を用いて、試料の調製を行
った。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で2.0
5:0.95(x=1/20)、2.14:0.86
(x=1/7)のものをそれぞれB1a、B1bとす
る。B1aのX線回折パターンを図6に示す。X線回折
測定は実施例1と同様の条件で行った。この回折パター
ンから、B1aとB1bはいずれも原料であるLi2
とNiOの混合体であることが確認された。
【0044】(比較例2)実施例1と焼成温度を800
℃にした以外は全く同じ手順を用いて、試料の調製を行
った。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で2.0
5:0.95(x=1/20)、2.14:0.86
(x=1/7)のものをそれぞれB2a、B2bとす
る。X線回折測定は実施例1と同様の条件で行った。こ
の回折パターンから、B2aとB2bはいずれもNiO
とLi2Oの混合体であることが確認された。
【0045】(比較例3)実施例1と焼成雰囲気を酸素
ガスにした以外は全く同じ手順を用いて、試料の調製を
行った。出発組成がリチウムとニッケルの原子比で2.
05:0.95(x=1/20)、2.14:0.86
(x=1/7)のものをそれぞれB3a、B3bとす
る。B3aのX線回折パターンを図7に示す。X線回折
測定は実施例1と同様の条件で行った。この回折パター
ンから、B3aとB3bはいずれも岩塩型のLiNiO
2であることが確認された。
【0046】(比較例4)実施例1と出発組成がリチウ
ムとニッケルの原子比で1.95:1.05(x=−1
/20)、2.2:0.8(x=1/5)にした以外は
全く同じ手順を用いて、試料の調製を行った。リチウム
とニッケルの原子比で1.95:1.05(x=−1/
20)、2.2:0.8(x=1/5)のものをそれぞ
れB4a、B4bとする。B4a、B4bのX線回折パ
ターンを図8と図9に示す。X線回折測定は実施例1と
同様の条件で行った。この回折パターンに指数付けを行
ったところ、A4a、A4bは、空間群Immmに属す
る物質と、それ以外の不純物からなることが確認され
た。この回折パターンから、B4aはLi2NiO2とN
iO、B4bはLi2NiO2とLi2Oの混合体である
ことが確認された。
【0047】(実施例5)図10は本発明の実施例であ
る3極式電池の概略図である。図10中、1はガラス製
セル、2は蓋、3a、3b、3cはいずれもリード、4
は対極を示している。A1aを乳鉢にて粉砕した粉末に
約10wt%のアセチレンブラックを導電剤として混合
し、次に約10wt%のテフロン樹脂粉末を結着剤とし
て混合して、これを錠剤成型器にてペレット状に成型し
たものを金属メッシュに圧着し正極とした。負極及び対
極にはには金属リチウムシートをNiメッシュに圧着し
たものを用いた。電解質としては50体積%エチレンカ
ーボネート−50体積%ジエチルカーボネートに1mo
l/lのLiClO4を溶解させたものを用いた。これ
らの正極、負極、電解質をガラス製セルの中に組み込
み、充放電試験を行った。なお、以上の作業はArドラ
イボックス内にて行った。
【0048】このようにして組み立てた電池を定電流に
て1.5Vから4.2Vの範囲で充放電を行った場合の
電位の変化を図11に充放電サイクルに伴う容量の変化
を図12と表1に示す。初回の充電では約450mAh
/gの充電が行われ、また放電では約390mAh/g
というきわめて大きな容量が得られた。初回充電の容量
は、Li2NiO2から約1.8個のリチウムが抜け、放
電においては約1.6個のリチウムが戻ったことをに相
当する。また、充放電効率も非常に高いことがわかる。
【0049】
【表1】
【0050】また充放電の電位範囲を2.5Vから4.
2Vにした場合の、電位の変化を図13に、充放電サイ
クルに伴う容量の変化を図14と表2に示す。一回目の
充電時には約320mAh/gと非常に大きな容量が得
られ、またその電位も非常に平坦である。この容量はL
2.14Ni0.862からリチウムが約1.4個のリチウ
ムが抜けたことを示している。放電は電位が緩やかに下
降し約140mAh/gの放電容量が得られた。その後
充電及び放電を繰り返しても容量に大きな変化は見られ
なかった。
【0051】
【表2】
【0052】(実施例6)A1aを乳鉢にて粉砕した粉
末に約1wt%のアセチレンブラックを導電剤として混
合し、次に約50wt%のテフロン樹脂粉末を結着剤と
して混合して、これを錠剤成型器にてペレット状に成型
したものを金属メッシュに圧着し正極とした。負極及び
対極にはには金属リチウムシートNiメッシュに圧着し
たものを用いた。電解質としては50体積%プロピレン
カーボネート−50体積%テトラヒドロフランに1mo
l/lのLiPF6を溶解させたものを用いた。これら
の正極、負極、電解質を実施例5と同様のガラス製セル
の中に組み込み、充放電試験を行った。充放電の電位範
囲は2.5Vから4.2Vとした。
【0053】定電流で充放電を行った場合の充放電時の
容量の変化を表3に示す。実施例6の電池も実施例5の
電池とほぼ同様な傾向を示し、大きな容量を有すると共
に、充放電効率も高いことが判った。
【0054】
【表3】
【0055】(実施例7)図15は本発明の実施例であ
るコイン型電池の概略図である。図15中、8は正極
缶、9は正極集電体、10は負極缶、11は負極集電
体、12はパッキン、13はセパレーターを示してい
る。A2aを乳鉢にて粉砕した粉末に約50wt%のア
セチレンブラックを導電剤として混合し、次に約1wt
%のテフロン樹脂粉末を結着剤として混合して、これを
錠剤成型器にてペレット状に成型したものを金属メッシ
ュに圧着し正極とし、負極には次に約1wt%のテフロ
ン樹脂粉末を結着剤として黒鉛粉末と混合して、錠剤成
型器にてペレット状に成形したものを金属メッシュに圧
着したものを用いた。電解質としては10体積%プロピ
レンカーボネート−90体積%テトラヒドロフランに
0.5mol/lのLiPF6を溶解させたものを用い
た。これらの正極、負極、電解質をコイン型セルの中に
組み込み、充放電試験を行った。充放電の電位範囲は
2.5Vから4.2Vとした。なお、以上の作業はAr
ドライボックス内にて行った。充放電時の容量の変化を
表4に示す。実施例7の電池も実施例5の電池とほぼ同
様な傾向を示し、大きな容量を有すると共に、充放電効
率も高いことが判った。
【0056】
【表4】
【0057】(比較例5)正極にLiNiO2を用いた
以外は実施例5と全く同じ手順を用いて、セルを構成し
定電流にて充放電を行った。LiNiO2はLiOHと
NiOをよく混合して、酸素気流中下750℃で12時
間焼成する事により得た。このセルの充放電の電位範囲
を2.5Vから4.2Vとした場合の充電容量、放電容
量及び充放電効率の変化を表5に示す。表2と表5を比
較してわかるように本発明におけるLi2.14Ni0.86
2を用いたセルの方が従来のLiNiO2を用いたセルよ
りも大きな容量を持ち、またサイクル特性もよいことが
わかる。
【0058】
【表5】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば安価な材料であるニッケ
ルを使用したLi2+xNi1-x2(0<x≦1/7)を
正極に用いることにより、従来のLiNiO2と比較し
てより大容量の電池を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるLi2.14Ni0.862とLi2
iO2のX線回折パターンを示す図である。
【図2】本発明におけるLi2.14Ni0.862の基本構
造を示す図である。
【図3】本発明におけるLi2.05Ni0.952とLi
2.14Ni0.862のX線回折パターンを示す図である。
【図4】本発明における実施例1のLi2.05Ni0.95
2(A1a)のX線回折パターンを示す図である。
【図5】本発明における実施例2のLi2.14Ni0.86
2(A2b)のX線回折パターンを示す図である。
【図6】本発明における比較例1のB1aのX線回折パ
ターンを示す図である。
【図7】本発明における比較例3のB3aのX線回折パ
ターンを示す図である。
【図8】本発明における比較例4のB4aのX線回折パ
ターンを示す図である。
【図9】本発明における比較例4のB4bのX線回折パ
ターンを示す図である。
【図10】本発明における実施例5の3極式電池の概略
図である。
【図11】本発明における実施例5のA1aの充放電時
の電位の変化を示す図である。
【図12】本発明における実施例5のA1aの充放電サ
イクルに伴う容量の変化を示す図である。
【図13】本発明における実施例5のA1aの充放電時
の電位の変化を示す図である。
【図14】本発明における実施例5のA1aの充放電サ
イクルに伴う容量の変化を示す図である。
【図15】本発明における実施例7のコイン型電池の概
略図である。
【符号の説明】
1 ガラス製セル 2 蓋 3a リード 3b リード 3c リード 4 対極 5 正極 6 負極 7 電解質 8 正極缶 9 正極集電体 10 負極缶 11 負極集電体 12 パッキン 13 セパレーター 14 正極 15 負極 16 電解質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 10/40 C04B 35/00 J

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式Li2+xNi1-x2(0.0<x
    ≦1/7)で表されることを特徴とするリチウムニッケ
    ル複合酸化物。
  2. 【請求項2】 Li2+xNi1-x2(0.0<x≦1/
    7)が、向かい合う辺を共有した平面四配位NiO4
    一次元鎖状につながり、その平面四配位NiO4一次元
    鎖が平面四配位NiO4の平面を向かい合わせるように
    平行に位置している請求項1記載のリチウムニッケル複
    合酸化物。
  3. 【請求項3】 空間群Immmに属する構造を有する請
    求項1、又は2のいずれかに記載のリチウムニッケル複
    合酸化物。
  4. 【請求項4】 CuKα線を用いたX線回折パターンに
    おいて、少なくとも2θ=19.6±0.5、25.6
    ±0.5、44.3±0.5、45.3±0.5、4
    8.5±0.5、58.0±0.5の範囲にそれぞれピ
    ークを有している請求項1、2、又は3のいずれかに記
    載のリチウムニッケル複合酸化物。
  5. 【請求項5】 CuKα線を用いたX線回折パターンに
    おいて、少なくとも2θ=19.6±0.5、25.6
    ±0.5、44.3±0.5、45.3±0.5、4
    8.5±0.5、58.0±0.5の範囲にそれぞれピ
    ークを有し、そのピーク強度比が2θ=25.6±0.
    5゜に存在するピークを最強強度としこれを100と規
    格化した場合に、それぞれ15〜20、100、27〜
    32、17〜20、10〜13、17〜20で定義され
    る請求項1、2、3、又は4のいずれかに記載のリチウ
    ムニッケル複合酸化物。
  6. 【請求項6】 金属Li、酸化リチウム、過酸化リチウ
    ム、硫化リチウム、窒化リチウム、フッ化リチウム、塩
    化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リ
    チウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、蟻酸リチウム、
    酢酸リチウム、安息香酸リチウム、クエン酸リチウム、
    乳酸リチウム、しゅう酸リチウム、ピルビン酸リチウ
    ム、ステアリン酸リチウム、および酒石酸リチウムから
    成る群より選択される1種または2種類以上のリチウム
    原料と、酢酸ニッケル、アミド硫酸ニッケル、硫酸ニッ
    ケル(II)二アンモニウム(6水和物)、安息香酸ニ
    ッケル、臭化ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、ニッケル
    カルボニル、塩化ニッケル、クエン酸ニッケル、シアン
    化ニッケル、二リン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸
    ニッケル、フッ化ニッケル蟻酸ニッケル、水酸化ニッケ
    ル次亜リン酸ニッケル、沃化ニッケル、乳酸ニッケル、
    ナフテン酸ニッケル、硝酸ニッケル、オレイン酸ニッケ
    ル、シュウ酸ニッケル、一酸化ニッケル、三酸化二ニッ
    ケル、過塩素酸ニッケル、リン酸ニッケル、ホスフィン
    酸ニッケル、ピロリン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケ
    ル、硫酸ニッケル、硫化ニッケル、酒石酸ニッケル、金
    属ニッケルから成る群より選択される1種または2種類
    以上のニッケル原料をリチウムとニッケルのモル比が
    2.0:1.0〜2.5:1.0になるように混合し不
    活性ガス気流中下で焼成することにより、Li2+xNi
    1-x2(0.0<x≦1/7)で表されるリチウムニッ
    ケル複合酸化物を形成することを特徴とするリチウムニ
    ッケル複合酸化物の製造法。
  7. 【請求項7】 原料が酸化リチウム(Li2O)と酸化
    ニッケル(NiO)である請求項6に記載のリチウムニ
    ッケル複合酸化物の製造法。
  8. 【請求項8】 不活性ガスが窒素、ヘリウム、ネオン、
    アルゴン、クリプトンからなる群より選択される1種ま
    たは2種類以上のガスである請求項6、又は7のいずれ
    かに記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造法。
  9. 【請求項9】 焼成温度が400〜750℃である請求
    項6、7、又は8のいずれかに記載のリチウムニッケル
    複合酸化物の製造法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、又は5のいず
    れかに記載のリチウムニッケル複合酸化物を使用するこ
    とを特徴とする正極活物質。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、又は5のいず
    れかに記載のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質
    として含む正極と、リチウム金属またはリチウムを吸蔵
    放出可能な物質からなる負極と、イオン伝導体からなる
    ことを特徴とする非水系二次電池。
  12. 【請求項12】 負極が、黒鉛材料である請求項11に
    記載の非水系二次電池。
  13. 【請求項13】 負極が、炭素材料である請求項11に
    記載の非水系二次電池。
  14. 【請求項14】 イオン伝導体が、非水電解質である請
    求項11に記載の非水系二次電池。
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