JP3403430B2 - 高導電性高分子成形体の製造方法 - Google Patents

高導電性高分子成形体の製造方法

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JP3403430B2
JP3403430B2 JP25189292A JP25189292A JP3403430B2 JP 3403430 B2 JP3403430 B2 JP 3403430B2 JP 25189292 A JP25189292 A JP 25189292A JP 25189292 A JP25189292 A JP 25189292A JP 3403430 B2 JP3403430 B2 JP 3403430B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高導電性高分子成形体
の製造方法に関する。特に本発明は、導電性が長時間持
続し、気温や湿度などの環境変化に影響されない透明あ
るいは非黒色の導電性高分子成形体を提供するものであ
り、帯電防止材料や電磁波遮蔽材料として、電子・電気
製品や建築分野などに有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器の急速な発展に伴
い、静電気に敏感な部品類が多方面で使用されるように
なり、静電気管理技術の重要性が高まってきた。そし
て、電気・電子機器本体やそれらが置かれている室内の
机や床に使用される汎用高分子やエンジニヤリングプラ
スチックスのほとんどすべては本来絶縁性の材料である
ため、これら高分子材料に生じる静電気が電子部品の正
常な動作を害するという問題がクローズアップされてい
る。特に、乾燥状態において高分子材料に生じる電位は
大きく、環境に影響されない帯電防止性(即ち導電性)
材料が望まれている。また、ブラウン管などの表示装置
には透明な帯電防止材料が必要となる。
【0003】従来、樹脂に導電性を持たせるには、カー
ボンブラックやカーボン繊維を樹脂に添加する方法(例
えば、特公平3−50792号公報)、鉄,銅,ニッケ
ル,ステンレスなどの金属粉や繊維を樹脂に添加する方
法、カチオン系,アニオン系,非イオン系の各種界面活
性剤を樹脂に練り込む方法(例えば、特開昭58−12
5741号公報、特開昭64−24845号公報、特開
平1−135857号公報)などが知られている。
【0004】しかし、カーボンや金属を樹脂に添加する
方法では、透明性樹脂を得るのが困難であり、色相も制
限される。また、樹脂の機械的物性を低下させる原因と
なる。一方、界面活性剤を用いる方法では、湿度や温度
などの外部環境によって帯電防止効果が影響を受けやす
く、その持続性も劣る。
【0005】一方、導電性有機重合体の製造方法として
は、電解酸化重合法と化学酸化重合法が知られている。
電解酸化重合法は、適当な溶媒に指示電解質と重合しよ
うとするモノマーを溶解し、この溶液に挿入した電極間
に定電圧を印加して陽極上に導電性有機重合体を生成さ
せるものである。この方法によれば、10S/cm以上
の高い導電性を得ることが可能であるが、大量生産およ
び大型製品の生産が難しく製造費用も高い。さらに、基
材がすでに導電性でなければならないため、この方法の
利用範囲は狭い。
【0006】化学酸化法は、酸化剤を使用してモノマー
を酸化し、重合する方法である。この一つの方法は、モ
ノマーを適当な溶媒に溶かし、適当な酸化剤により重合
する方法である。この方法は電解酸化重合法にくらべ、
安価に重合体が得られ大量生産性に富むが、一般に導電
性が低く、重合体が粉末で得られ、しかもその重合体
は、一般に不溶不融であるため成形性に著しく劣るとい
う欠点を持つ。
【0007】導電性高分子のこのような欠点を改良する
ため、高分子成形体にモノマーを含浸させた後、これを
酸化剤で重合し、導電性複合成形体を作製する方法が開
示されている(特開昭62−167329号公報および
特開昭62−167330号公報)。しかしながら、透
明性が良く(または、黒色でなく)、且つ導電性が高い
高分子成形体を得る方法は知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、絶縁性の高
分子材料に導電性を付与する従来の方法の問題点を解決
し、高分子材料本来の透明性あるいは色彩、および機械
的物性を損なうことなく、安定な導電性を付与すること
による導電性高分子成形体の製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族化
合物、特に窒素、酸素、硫黄等の異種原子を含有した複
素環化合物(モノマー)を用い、これを絶縁性の高分子
成形体(基材)に含浸せしめ、この後、酸化剤を含有す
る溶液に接して基材表面を導電性とするプロセスを詳細
に検討した結果、酸化溶液に混合溶媒を用いて酸化電位
を制御することにより、基材の透明性あるいは色彩、機
械的物性を損なうことなく、基材に高い導電性が付与さ
れることを見出し、本発明に到達した。
【0010】即ち本発明は、複素環化合物から選ばれる
1種以上の化合物(モノマー)を絶縁性の高分子成形体
(基材)の基材表面および基材表面付近の内部に含浸せ
しめ、これを酸化剤を含有する溶液(酸化溶液)に浸漬
し、モノマーを基材表面および表面付近の内部で重合さ
せることを特徴とする導電性高分子成形体の製造方法に
おいて、酸化溶液に用いる溶媒としてアセトニトリルと
脂肪族アルコール若しくは水との混合物を用いることに
より酸化溶液の酸化電位を制御してモノマーの重合を行
うことを特徴とする高導電性高分子成形体の製造方法に
関する。
【0011】モノマーを基材表面および基材表面付近の
内部へ含浸せしめることは、基材をモノマーを溶解させ
た溶液に接触させることによって可能である。この際、
透明性が良好で均一な高導電性成形体を得るには、使用
する溶媒は、基材を構成する高分子を溶解しない溶媒
(非溶媒)、2種類以上の非溶媒の混合物、基材を構成
する高分子を溶解する溶媒(良溶媒)を5体積%以上含
まない混合溶媒のいずれかであることが望ましい。ま
た、モノマー濃度は0.5〜20重量%であることが望
ましく、さらに望ましくは1〜10重量%である。基材
の高分子成形体とこのモノマー溶液を接触させる時間
は、20秒〜30分であることが望ましく、さらに望ま
しくは1分〜10分である。この接触時間が20秒より
短い場合は、基材へのモノマーの含浸が不十分となり、
最終的に導電性の高い高分子成形体が得られず、接触時
間が30分より長い場合は、基材の変形が生じたり、最
終的に得られる高分子成形体の透明性が悪くなることが
あるばかりでなく、製造コストの増加を招く。
【0012】モノマーを基材表面および基材表面付近の
内部へ含浸せしめる他の方法として、基材をモノマーの
ガスあるいは液状のモノマーに所定の時間接触させる方
法もある。これらの方法でも、一般に、最終的に高い導
電性を得ることは可能であるが、透明性の悪い成形体と
なるおそれがある。
【0013】本発明の酸化溶液に使用する溶媒は、酸化
剤が単離析出しないものであり、酸化剤により酸化反応
を受けないものである必要がある。このような溶媒とし
ては、水、メタノール,エタノール,プロパノール,イ
ソプロパノール,ブタノール,ペンタノール,ヘキサノ
ール,オクタノールなどの脂肪族アルコール、アセトニ
トリルが望ましい。この場合、酸化電位は溶媒の種類に
よって異なるので、高い酸化電位を与える溶媒と低い酸
化電位を与える溶媒とを適度に混合して用いることによ
り、高導電性重合体を得るのに適した酸化電位に調整さ
れる。
【0014】さらに、酸化溶液に使用する溶媒は、基材
の高分子成形体を溶解したり大きく膨潤させることのな
いものであることが好ましい。このような溶媒として
は、基材を構成する高分子の非溶媒であることが望まし
く、複数の非溶媒の混合物であっても、また基材を構成
する高分子の良溶媒を10体積%未満含有する混合溶媒
であっても使用可能である。
【0015】本発明において言う非溶媒とは、基材を構
成する高分子を溶解しないかあるいは膨潤はさせるが溶
解しない溶媒であり、良溶媒とは、基材を構成する高分
子を溶解し均一な溶液を与える溶媒である。これらの具
体的な種類は高分子によって異なる(参考文献、「ポリ
マーハンドブック」第三版、JOHN WILEY&
SONS、1989年)。例えば、基材がポリ塩化ビニ
ルである場合、良溶媒は、シクロヘキサノン、ニトロベ
ンゼン、酢酸ブチル、ジクロロエタン、テトラヒドロフ
ラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、
ジメチルホルムアミドなどであり、非溶媒は、メタノー
ル、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコー
ル、n−ヘキサン、ベンゼン、アセトンなどである。
【0016】モノマー溶液に使用する溶媒が、非溶媒と
良溶媒の混合物である場合は、良溶媒の含有率は5体積
%未満であることが望ましい。さらに望ましくは2体積
%未満である。ただし、ここで言う非溶媒と良溶媒は、
それぞれ単一の溶媒である必要はなく、複数の溶媒の混
合物であってもよい。溶媒の組成がこれらの条件を満足
しない場合は、最終的に得られる高分子成形体の導電性
が低くなったり、表面が不均一になったり、着色などに
より透明性が悪くなるおそれがある。
【0017】さらに本発明で、モノマー溶液に使用する
溶媒は、基材の高分子に対して親和性のある非溶媒を体
積比で5〜50%含有することが望ましい。ここで言う
基材の高分子に対して親和性のある非溶媒とは、溶解度
パラメータが基材高分子の溶解度パラメータの−5(M
Pa)1/2〜+5(MPa)1/2の範囲に入る非溶
媒であり、さらに望ましくは−3(MPa)1/2〜+
3(MPa)1/2の範囲に入る非溶媒である。
【0018】本発明者らの検討によれば、高分子成形体
表面に生成した導電性重合体の導電性は酸化重合時の酸
化電位に大きく依存する。即ち、酸化電位は大きすぎて
も小さすぎても導電性は低くなる。重合反応時における
酸化電位の制御は、溶媒の種類、酸化剤の酸化体/還元
体比、温度により可能である。例えば、ピロールを重合
するのに酸化剤として1Mの塩化第二鉄溶液を用いた場
合、溶媒にアセトニトリルを用いると酸化電位は136
0mVとなり、メタノールを用いると酸化電位は560
mVとなる。いずれの場合も、高い導電性は得られな
い。しかし、アセトニトリルとメタノールの混合溶媒系
でメタノールの濃度を15体積%付近(酸化電位は95
0mV程度)とすることで、最大の導電性(100S/
cm以上)が得られる。この時、基材がポリ塩化ビニル
であれば、これら両方の溶媒共にポリ塩化ビニルをほと
んど膨潤させないので、これらの混合溶媒は酸化重合工
程の溶媒として適当である。このように、混合溶媒を用
いることにより、基材を膨潤させない溶媒系で適切な酸
化電位に調整することが可能となるため、酸化重合工程
には混合溶媒を用いることが有利である。一方、酸化剤
(例えば、FeCl)の還元体(FeCl)の添加
量は酸化体に対して50モル%以下、好ましくは0.0
1〜20モル%であり、この時、生成重合体の導電率を
大きくする酸化電位が得られる。
【0019】本発明において使用される複素環化合物お
よびアニリン系化合物から選ばれるモノマーとは、酸化
重合したとき共役鎖で構成される高分子となるモノマー
である。このようなモノマーとして、5員複素環化合物
では、ピロール誘導体、フラン誘導体およびチオフェン
誘導体が挙げられ、6員複素環化合物では、アニリン、
ベンジジン等が挙げられる。
【0020】ピロール誘導体としては、非置換ピロー
ル、N−アルキルピロールの如きN−置換ピロール、3
位あるいは3位と4位にC〜Cのアルキル基、アル
コキシ基またはハロゲン原子を有する3−アルキルピロ
ール、3,4−ジアルキルピロール、3−アルコキシピ
ロール、3,4−ジアルコキシピロール、3−クロロピ
ロールおよび3,4−ジクロロピロール等がある。
【0021】フラン誘導体としては、非置換フランおよ
び3位あるいは3位と4位にC〜Cのアルキル基、
アルコキシ基またはハロゲン原子を有する3−アルキル
フラン、3,4−ジアルキルフラン、3−アルコキシフ
ラン、3,4−ジアルコキシフラン、3−クロロフラン
および3,4−ジクロロフラン等がある。
【0022】チオフェン誘導体としては、非置換チオフ
ェンおよび3位あるいは3位と4位にC〜Cのアル
キル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を有する3−
アルキルチオフェン、3,4−ジアルキルチオフェン、
3−アルコキシチオフェン、3,4−ジアルコキシチオ
フェン、3−クロロチオフェンおよび3,4−ジクロロ
チオフェン等がある。
【0023】本発明で使用される酸化剤としては、金属
系と非金属系とがあるが、反応媒体中で高導電性重合体
を生成する電解酸化重合法と同程度の酸化電位を有する
酸化剤が好適である。ピロール類、フラン類、チオフェ
ン類の金属系酸化剤としては、鉄(III)塩、モリブ
デン(V)塩、ルテニウム(III)塩などがある。一
方、非金属系酸化剤としては、過硫酸アンモニウム等の
過硫酸塩、過酸化水素,過酸化ベンゾイル等の過酸化
物、ペルオクソ二硫酸,ペルオクソ二硫酸カリウム等の
ペルオクソ酸類、次亜塩素酸,次亜塩素酸カリウム等の
塩素酸類がある。
【0024】本発明における高分子成形体としては、熱
硬化性、熱可塑性のいずれでも良く、特に限定されな
い。熱可塑性樹脂の例を示すと、ポリオレフィン類(ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS
樹脂、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン12など)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、光学的異方性を示すポリエステルを含むポリエス
テル類、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニ
レンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサル
フォン、ポリエーテルサルフォンなどがある。熱硬化性
樹脂の例としては、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ
ル、エポキシ樹脂などがある。
【0025】これらの高分子には、安定剤,可塑剤,難
燃剤,滑剤などの添加剤、ガラス繊維,ウイスカーなど
の補強材、炭酸カルシウム,クレー,シリカ,マイカ,
タルクなどの無機フィラーが添加されていてもよい。
【0026】モノマーを酸化重合せしめた後、高分子成
形体をよく洗浄し、残存する酸化剤およびその還元体を
除去することが望ましい。この際、溶媒としては、酸化
重合工程で用いられるものと同様のものを用いることが
できる。さらに、洗浄後、高分子成形体はよく乾燥し、
残存する溶媒を除去することが望ましい。得られる導電
性高分子成形体に酸化剤あるいはその還元体または溶媒
が残存していると、これを二次成形する際、熱により表
面の導電性被膜が変質する原因となったり、使用時にガ
スを発生させる原因となることがある。
【0027】本発明において、基材の色相や透明性を損
なうことなく導電性を付与するためには、表面に形成さ
れる導電性被膜の厚さは0.02μm〜20μmが望ま
しく、さらに望ましくは0.05μm〜5μmである。
被膜の厚さが0.02μmより薄いと十分な導電性が得
られず、20μmより厚い場合は、透明性が悪くなった
り成形時に被膜の切断や剥離が生じ、導電性が損なわれ
易くなるなどの問題が生じる。
【0028】さらに、本発明においては、上記酸化重合
により生じた導電性高分子を化学的あるいは電気化学的
に還元した後、化学酸化あるいは電解酸化により酸化す
ると共にドーピングを行うことにより帯電防止効果を一
層高めることができる。化学的還元に使用する還元剤と
しては、ヒドラジン,抱水ヒドラジン,フェニルヒドラ
ジン等のヒドラジン類、水素化リチウムアルミニウム,
水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属等を挙げること
ができる。化学還元剤は、通常、重合体の1窒素原子あ
たり1〜10倍モル使用されるが、必ずしもこれに限定
されるものではない。電解還元では、成形体表面を陰極
として0.01〜数十Vの印加電圧で電流を通じること
により脱ドープされる。還元後、中性導電性高分子被膜
は、再度、化学的に酸化剤で再酸化されると共にドーピ
ングがなされる。このような再ドーピングに用いられる
ドーパントとしては、還元された中性重合体を再酸化す
るに十分な酸化力を有し、且つドーパントとして有効な
電子受容性を有する化合物ならすべて用いることができ
る。このような酸化剤としては、ヨウ素,臭素,塩素な
どのハロゲン、五フッ化ヒ素,五フッ化アンチモン,三
フッ化ホウ素,三塩化ホウ素,塩化第二鉄,塩化第二ス
ズ,四塩化チタン,塩化亜鉛,塩化第二銅等のルイス
酸、塩酸,硫酸およびその塩(例えば、硫酸水素カリウ
ム、硫酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カ
リウム、過塩素酸鉄等)、またはホウフッ化水素酸およ
びその塩(例えば、フッ化ホウ素ナトリウム、フッ化ホ
ウ素カリウム、フッ化ホウ素アンモニウム、フッ化ホウ
素テトラアルキルアンモニウム等)などを挙げることが
できる。
【0029】また、電気化学的に再度、酸化およびドー
ピングを行うことも可能である。この場合、指示電解質
として上記酸化剤を使用し、導電性高分子被膜を陽極と
して電流を通じればよい。
【0030】以下、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例により何等限定されるもの
ではない。
【0031】
【実施例】以下の実施例において、フィルムの表面抵抗
率は、表面抵抗測定機Loresta AP(三菱油化
製)を使用して測定した。
【0032】実施例1 360mlのn−ヘキサン、40mlのアセトン、10
mlのピロールを混合して得た溶液(拡散溶液)に、1
30mm×170mmのサイズで厚さ0.3mmの硬質
塩化ビニルフィルムを室温で3分間浸漬することによ
り、ピロールをフィルム中に含浸せしめた。このフィル
ムを1Mの塩化第二鉄を含有するアセトニトリル/メタ
ノール(体積比で80:20)の溶液(酸化溶液)に室
温で4分間浸漬することによりフィルムの表面付近に含
浸したピロールを重合した。続いて、フィルムをメタノ
ールに10分間浸漬することにより残存する塩化鉄を除
去し、減圧下で約10時間乾燥した。
【0033】ここで、n−ヘキサン、メタノール、アセ
トニトリル、アセトンはポリ塩化ビニルの非溶媒であ
り、これらのうち、アセトンはポリ塩化ビニルを溶解し
ないが膨潤する溶媒である。ポリ塩化ビニルフィルム
は、塩化ビニル樹脂(重合度約800)100部、ジエ
チルスズマレート3部、MBS樹脂10部、エポキシ化
大豆油3部の配合により得られたものであった。
【0034】得られたフィルムの断面を透過型電子顕微
鏡で観察したところ、表面から深さ約0.1μmの部分
にポリピロールの連続相が分布していることが確かめら
れ、フィルムの表面抵抗率は3〜10KΩ/□であり、
静電防止材料として十分に大きな導電性を有していた。
また、フィルムはやや褐色を呈していたが、光透過率は
可視領域で30%前後であり、透明性は良好であった。
さらに、JIS K5400に定める碁盤目試験および
セロハンテープによる剥離試験において、フィルム表面
の導電性層の剥離は全く認められなかった。
【0035】実施例2,3 実施例1において、1Mの塩化第二鉄を含有する酸化溶
液に用いる溶媒の成分であるアセトニトリルとメタノー
ルの体積比を85:15および70:30とした他は、
実施例1と同様にポリ塩化ビニルフィルムを処理した。
【0036】得られたフィルムの表面抵抗率は、アセト
ニトリルとメタノールの体積比が85:15および7
0:30それぞれおいて、7〜12KΩ/□および10
〜20KΩ/□の範囲であった。この断面を透過型電子
顕微鏡で観察したところ、いずれのフィルムにおいて
も、実施例1と同様に表面から深さ約0.1μmの部分
にポリピロールの連続相が分布していることが確かめら
れ、フィルムの光透過率は可視領域で30%前後と、透
明性は良好であった。また、JIS K5400に定め
る碁盤目試験およびセロハンテープによる剥離試験にお
いて、フィルム表面の導電性層の剥離は全く認められな
かった。
【0037】実施例4 実施例1において、酸化溶液として1Mの塩化第二鉄を
含有するアセトニトリル/水(体積比で85:15)溶
液を用いた他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニルフィ
ルムを処理した。
【0038】得られたフィルムの断面を透過型電子顕微
鏡で観察したところ、実施例1と同様に表面から深さ約
0.1μmの部分にポリピロールの連続相が分布してい
ることが確かめられ、フィルムの表面抵抗率は5〜10
KΩ/□であった。また、フィルムの光透過率は可視領
域で30%前後と、透明性は良好で、フィルム表面の導
電性層の基材への接着性も良好であった。
【0039】比較例1 実施例1において、酸化溶液として2Mの塩化第二鉄を
含有するメタノール溶液を用いた他は、実施例1と同様
にポリ塩化ビニルフィルムを処理した。得られたフィル
ムの表面抵抗率は20〜30KΩと高い値であった。
【0040】比較例2 実施例1において、酸化溶液として塩化第二鉄のアセト
ニトリル溶液を用いた他は、実施例1と同様にポリ塩化
ビニルフィルムを処理した。得られたフィルムの表面抵
抗率は約300〜1MΩと高い値であり、黒ずんで透明
性が悪かった。
【0041】比較例3 実施例1において、拡散溶液をポリ塩化ビニルの良溶媒
であるメチルエチルケトン200mlとピロール7ml
の混合溶液とした他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニ
ルフィルムを処理した。得られたフィルムの表面抵抗率
は約300KΩ〜1MΩ/□と高い値であり、処理によ
ってフィルムは大きく変形し、透明性は実施例1に比べ
て著しく悪かった。
【0042】比較例4 実施例1において、拡散溶液をアセトニトリル188m
l、ニトロベンゼン(ポリ塩化ビニルの良溶媒)12m
l、ピロール5mlの混合溶液とした他は、実施例1と
同様にポリ塩化ビニルフィルムを処理した。得られたフ
ィルムの表面抵抗率は約10〜30KΩ/□と低い値で
あったが、表面が不均一であり、フィルムの透明性は可
視領域で約5〜10%程度と悪かった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、表面が導電性である高
分子成形体を容易に製造することができる。このとき、
基材の透明性や色相は、大きく損なわれることはなく、
得られる導電性は長時間持続し、気温や湿度にほとんど
影響されない。従って、本発明を電子・電気関連部品、
ケースやICトレーなどの材料あるいは建築材料分野に
用いれば、静電気による半導体の損傷や放電による爆発
事故の防止に極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 5/24 C09D 5/24 (56)参考文献 特開 平3−8872(JP,A) 特開 平1−229032(JP,A) 特開 平1−170615(JP,A) 特開 昭62−167330(JP,A) 特開 昭60−148012(JP,A) 特開 平1−313811(JP,A) 特開 平2−25572(JP,A) 特公 平3−63971(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 13/00 H01B 1/00 - 1/24 H01B 5/00 - 5/16 C08J 7/00 - 7/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複素環化合物から選ばれる1種以上の化合
    物(モノマー)を絶縁性の高分子成形体(基材)の基材
    表面および基材表面付近の内部に含浸せしめ、これを酸
    化剤を含有する溶液(酸化溶液)に浸漬し、モノマーを
    基材表面および表面付近の内部で重合させることを特徴
    とする導電性高分子成形体の製造方法において、酸化溶
    液に用いる溶媒としてアセトニトリルと脂肪族アルコー
    ル若しくは水との混合物を用いることにより酸化溶液の
    酸化電位を制御してモノマーの重合を行うことを特徴と
    する高導電性高分子成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】基材をモノマーを含有する溶液に接触させ
    ることによりモノマーを基材表面および基材表面付近の
    内部に含浸せしめ、この際、使用する溶媒が揮発性であ
    り、且つ、基材を構成する高分子を溶解しない溶媒(非
    溶媒)、2種類以上の非溶媒の混合物、基材を構成する
    高分子を溶解する溶媒を5体積%以上含まない混合溶媒
    のいずれかであり、モノマー濃度が0.5〜20重量%
    である請求項1に記載の高導電性高分子成形体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】モノマーがピロール系、フラン系、チオフ
    ェン系より選ばれることを特徴とする請求項1〜に記
    載の高導電性高分子成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】酸化剤が鉄(III)塩、モリブデン
    (V)塩、ルテニウム(III)塩または過硫酸塩であ
    ることを特徴とする請求項1〜に記載の高導電性高分
    子成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】酸化剤を含有する溶液が、ドーピング剤と
    して、無機のプロトン酸、有機のプロトン酸またはこれ
    らの塩のいずれかを含有することを特徴とする請求項1
    に記載の高導電性高分子成形体の製造方法。
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