JP3343373B2 - 高分子成形体への導電性付与方法 - Google Patents

高分子成形体への導電性付与方法

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JP3343373B2 JP26552892A JP26552892A JP3343373B2 JP 3343373 B2 JP3343373 B2 JP 3343373B2 JP 26552892 A JP26552892 A JP 26552892A JP 26552892 A JP26552892 A JP 26552892A JP 3343373 B2 JP3343373 B2 JP 3343373B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子成形体への導電
性の付与方法に関する。特に本発明は、導電性が長時間
持続し、気温や湿度などの環境変化に影響されない導電
性高分子成形体を提供するものであり、特に帯電防止材
料として、電子・電気製品や建築分野などに有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器の急速な発展に伴
い、静電気に敏感な部品類が多方面で使用されるように
なり、静電気管理技術の重要性が高まってきた。そし
て、電気・電子機器本体やそれらが置かれている室内の
机や床に使用される汎用高分子やエンジニヤリングプラ
スチックスのほとんどすべては本来絶縁性の材料である
ため、これら高分子材料に生じる静電気が電子部品の正
常な動作を害するという問題がクローズアップされてい
る。特に、乾燥状態において高分子材料に生じる電位は
大きく、環境に影響されない帯電防止性(即ち導電性)
材料が望まれている。また、ブラウン管などの表示装置
には透明な帯電防止材料が必要となる。
【0003】従来、樹脂に導電性を持たせるには、カー
ボンブラックやカーボン繊維を樹脂に添加する方法(例
えば、特公平3−50792号公報)、鉄,銅,ニッケ
ル,ステンレスなどの金属粉や繊維を樹脂に添加する方
法、カチオン系,アニオン系,非イオン系の各種界面活
性剤を樹脂に練り込む方法(例えば、特開昭58−12
5741号公報、特開昭64−24845号公報、特開
平1−135857号公報)などが知られている。
【0004】しかし、カーボンや金属を樹脂に添加する
方法では、透明性樹脂を得るのが困難であり、色相も制
限される。また、樹脂の機械的物性を低下させる原因と
なる。一方、界面活性剤を用いる方法では、湿度や温度
などの外部環境によって帯電防止効果が影響を受けやす
く、その持続性も劣る。
【0005】一方、導電性有機重合体の製造方法として
は、代表的なモノマーであるピロール、アニリン、チオ
フェンなどの電解酸化重合法と化学酸化重合法が知られ
ている。電解酸化重合法は、適当な溶媒に指示電解質と
重合しようとするモノマーを溶解し、この溶液に挿入し
た電極間に定電圧を印加して陽極上に導電性有機重合体
を生成させるものである。この方法によれば、10S/
cm以上の高い導電性を得ることが可能であるが、大量
生産および大型製品の生産が難しく製造費用も高い。さ
らに、基材がすでに導電性でなければないないため、こ
の方法の利用範囲は狭い。
【0006】化学酸化法は酸化剤を使用してモノマーを
酸化し、重合する方法である。この一つの方法は、モノ
マーを適当な溶媒に溶かし、適当な酸化剤により重合す
る方法である。この方法は電解酸化重合法にくらべ、安
価に重合体が得られ大量生産性に富むが、一般に導電性
が低く、重合体が粉末で得られ、しかもその重合体は一
般に不溶不融であるため成形性に著しく劣るという欠点
を持つ。
【0007】導電性高分子のこのような欠点を改良する
ため、高分子成形体にモノマーを含浸させた後、これを
酸化剤で重合し、導電性複合成形体を作製する方法が開
示されている(特開昭62−167329号公報および
特開昭62−167330号公報)。しかしながら、透
明性が良い導電性高分子被膜を成形体の表面に形成させ
る確立された方法はない。
【0008】また、多環式芳香族アミン化合物の製造方
法としては、ナフチルアミンの電気化学的酸化重合の例
が報告されているに過ぎず(文献例:Electroc
him.Acta、32、1223(1987)、J.
Chem.Soc.Jpn.、11、2038(198
7)、J.Electroanal.Chem.、12
5、459(1981))、化学的酸化重合の報告はま
だない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、絶縁性の高
分子材料に導電性を付与する従来の方法の問題点を解決
し、高分子材料本来の透明性あるいは色彩、機械的物性
を損なうことなく、安定な導電性を付与する方法を提供
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多環式芳
香族アミン化合物(モノマー)を用い、これを溶媒に溶
解して得た溶液を基材である絶縁性の高分子成形体に接
触させることにより基材にモノマーを含浸せしめ、この
後、これを酸化剤を含有する溶液に接してモノマーを酸
化重合させることにより、基材の透明性あるいは色彩、
機械的物性を損なうことなく、安定な導電性が付与され
ることを見出し、本発明に到達した。
【0011】即ち本発明は、絶縁性の高分子成形体(基
材)に導電性を付与する方法において、絶縁性の高分子
成形体(基材)に多環式芳香族アミン化合物を付着また
は含浸させた後、酸化剤を含有する溶液に接触させて、
多環式アミン化合物を基材内部または表面上で酸化重合
させることを特徴とする高分子成形体への導電性付与方
法に関する。
【0012】本発明で用いられる多環式芳香族アミン化
合物の例としては、1−アミノナフタレンなどのアミノ
ナフタレン類、1−アミノアントラセンなどのアミノア
ントラセン類、5−アミノキノリンなどのアミノキノリ
ン類、5−アミノイソキノリンなどのアミノイソキノリ
ン類、アミノアクリジン類、アミノキナリジン類等が挙
げられる。また、芳香族環に炭素数1〜20のアルキル
基やアルコキシ基を導入したこれらの化合物も使用可能
である。これらの化合物の酸化重合により得られた重合
体は、ポリピロールやポリアニリンに比べて、可視領域
における光の吸収が少ないため透明性に優れた導電性被
膜を形成する。
【0013】本発明において、基材に多環式芳香族アミ
ン化合物を付着または含浸させた後、酸化剤を含有する
溶液に接触させる方法として、具体的に以下の方法が挙
げられる。即ち、最初に、基材である絶縁性の高分子成
形体を上記多環式芳香族アミン化合物(モノマー)を1
種以上含有する溶液に接触させ(拡散工程)、次いで、
モノマーおよび溶媒が付着または含浸した基材を不完全
に乾燥し(乾燥工程)、酸化剤を含有する溶液にその基
材を接触させモノマーを重合させる工程(酸化重合工
程)を含むものである。
【0014】本発明の拡散工程のモノマーを含有する溶
液において、使用する溶媒は、基材を構成する高分子を
溶解しない溶媒(非溶媒)、2種類以上の非溶媒の混合
物、基材を構成する高分子を溶解する溶媒(良溶媒)と
1種類以上の非溶媒の混合物のいずれかであり、これら
はいずれも揮発性である必要がある。ここで、非溶媒と
は基材を構成する高分子を溶解しないかあるいは膨潤は
させるが溶解はしない溶媒であり、良溶媒とは基材を構
成する高分子を溶解し均一な溶液を与える溶媒である。
これらの具体的な種類は高分子によって異なる(参考文
献、「ポリマーハンドブック」第三版、JOHN WI
LEY & SONS、1989年)。例えば、基材が
ポリ塩化ビニルである場合、良溶媒は、シクロヘキサノ
ン、ニトロベンゼン、酢酸ブチル、ジクロロエタン、テ
トラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエ
チルケトン、ジメチルホルムアミドなどであり、非溶媒
は、メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレ
ングリコール、n−ヘキサン、ベンゼン、アセトンなど
である。
【0015】拡散工程において使用する溶媒が、非溶媒
と良溶媒の混合物である場合は、良溶媒の含有率は5体
積%未満であることが望ましい。さらに望ましくは2体
積%未満である。ただし、ここで言う非溶媒と良溶媒
は、それぞれ単一の溶媒である必要はなく、複数の溶媒
の混合物であってもよい。溶媒の組成がこれらの条件を
満足しない場合は、最終的に得られる高分子成形体の導
電性が低くなったり、表面が不均一になったり、着色な
どにより透明性が悪くなる危険性が高い。
【0016】さらに本発明で、モノマー溶液に使用する
溶媒は、基材の高分子に対して親和性のある非溶媒を体
積比で5〜50%含有することが望ましい。ここで言う
基材の高分子に対して親和性のある非溶媒とは、溶解度
パラメータが基材高分子の溶解度パラメータの−5(M
Pa)1/2〜+5(MPa)1/2の範囲に入る非溶
媒であり、さらに望ましくは−3(MPa)1/2〜+
3(MPa)1/2の範囲に入る非溶媒である。
【0017】また、拡散工程において、モノマーを含有
する溶液のモノマーの濃度は0.5〜20重量%である
ことが望ましく、さらに望ましくは1〜10重量%であ
る。基材の高分子成形体とこのモノマー溶液を接触させ
る時間は、20秒〜30分であることが望ましく、さら
に望ましくは1分〜10分である。この接触時間が20
秒より短い場合は、基材へのモノマーの含浸が不十分と
なり、最終的に導電性の高い高分子成形体が得られず、
接触時間が30分より長い場合は、基材の変形が生じた
り、最終的に得られる高分子成形体の透明性が悪くなる
ことがあるばかりでなく、製造コストの増加を招く。
【0018】本発明においては、基材にモノマー溶液を
接触させた後は、溶媒等で洗浄することなく、そのまま
空気中などに常圧下放置し、適当な時間乾燥(即ち、自
然乾燥)させる必要がある。この際、乾燥の最初の段階
で、ガスの吹き付け、ロール、ブラシ、スエーパー等に
よりすばやく基材表面上に付着した過剰のモノマー溶液
を除去することが望ましい。
【0019】基材を乾燥させずに酸化重合を行った場合
は、最終的に導電性の高い高分子成形体を得ることが難
しく、また、乾燥時間が長すぎる場合も、最終的に導電
性の高い高分子成形体を得ることができない。乾燥は、
空気中でよいが、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、二
酸化炭素から選ばれる一種類以上のガスを主成分とする
ガス雰囲気下で行ってもよい。乾燥時間は、5秒〜5分
の間の最適時間に制御されることが望ましく、さらに望
ましくは10秒〜3分である。また、乾燥温度は、モノ
マーおよび使用する溶媒の沸点より低く、好ましくは6
0℃以下である。
【0020】本発明で使用される酸化剤としては、鉄
(III)塩、モリブデン(V)塩、ルテニウム(II
I)塩、クロム酸(IV)塩、重クロム酸(VI)塩お
よび過マンガン酸(VII)塩等の金属系酸化剤、過硫
酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素,過酸化ベン
ゾイル等の過酸化物、ペルオクソ二硫酸,ペルオクソ二
硫酸カリウム等のペルオクソ酸類、次亜塩素酸,次亜塩
素酸カリウム等の塩素酸類がある。
【0021】また、酸化反応媒体中にドーピング剤を共
存させることにより高導電性の高分子成形体を得ること
ができる。このようなドーピング剤としては、ルイス
酸、プロトン酸およびこれらの塩がある。プロトン酸に
は、塩酸,硫酸などの無機酸、メタンスルホン酸、エタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン
酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などがある。また、ル
イス酸としては、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、
三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化第二鉄、塩化第二
スズ、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化第二銅等がある。
【0022】本発明における高分子成形体は、熱硬化
性、熱可塑性のいずれでも良く、特に限定されない。熱
可塑性樹脂の例を示すと、ポリオレフィン類(ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体な
ど)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポ
リアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12な
ど)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、光学的
異方性を示すポリエステルを含むポリエステル類、ポリ
カーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエー
テルケトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポ
リエーテルサルフォンなどがある。熱硬化性樹脂の例と
しては、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、エポキ
シ樹脂などがある。
【0023】これらの高分子成形体には、安定剤,可塑
剤,難燃剤,滑剤などの添加剤、ガラス繊維,ウイスカ
ーなどの補強材、炭酸カルシウム,クレー,シリカ,マ
イカ,タルクなどの無機フィラーが添加されていてもよ
い。
【0024】本発明の酸化重合工程の酸化剤を含有する
溶液に使用する溶媒は、酸化剤が単離析出しないもので
あり、酸化剤により酸化反応を受けないものである必要
がある。このような溶媒としては、水、メタノール,エ
タノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノー
ル,ペンタノール,ヘキサノール,オクタノールなどの
脂肪族アルコール、ヘキサフルオロイソプロパノールな
どのようなハロゲン化アルコール、フェノール,クロロ
フェノール,クレゾール,フルオロフェノール等のフェ
ノール類、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が望まし
い。さらに、ベンゼン,トルエン,キシレン,ヘキサ
ン,シクロヘキサンなどの炭化水素、クロロホルムなど
のハロゲン化化合物、各種エーテルなどの非極性溶媒も
候補として挙げることができる。この場合、酸化電位は
溶媒の種類によって異なるので、高い酸化電位を与える
溶媒と低い酸化電位を与える溶媒とを適度に混合して用
いることにより高導電性重合体を得るのに適した酸化電
位に調整することが可能である。また、ここで使用する
溶媒は、基材の高分子成形体を溶解させたり、大きく膨
潤させることのないものである必要がある。
【0025】本発明者らの検討によれば、高分子成形体
表面に生成した導電性重合体の導電性は酸化重合時の酸
化電位に大きく依存する。即ち、酸化電位は大きすぎて
も小さすぎても導電性は低くなる。重合反応時における
酸化電位の制御は、溶媒の種類、酸化剤の酸化体/還元
体比、温度により可能である。酸化剤(例えば、FeC
)の還元体(FeCl)の添加量は酸化体に対し
て50モル%以下、好ましくは0.01〜20モル%で
あり、この時、生成重合体の導電率を大きくする酸化電
位が得られる。
【0026】酸化重合工程の後、高分子成形体をよく洗
浄し、残存する酸化剤およびその還元体を除去すること
が望ましい。溶媒としては、酸化重合工程で用いられる
ものと同様のものを用いることができる。さらに、洗浄
後、高分子成形体はよく乾燥し、残存する溶媒を除去す
ることが望ましい。得られる導電性高分子成形体に酸化
剤あるいはその還元体または溶媒が残存していると、こ
れを二次成形する際、熱により表面の導電性被膜が変質
する原因となったり、使用時にガスを発生させる原因と
なり不都合である。
【0027】本発明において、基材の色相や透明性を損
なうことなく導電性を付与するためには、表面に形成さ
れる導電性被膜の厚さは0.02μm〜20μmが望ま
しく、さらに望ましくは0.05μm〜5μmである。
被膜の厚さが0.02μmより薄いと十分な導電性が得
られず、20μmより厚い場合は、透明性が悪くなった
り成形時に被膜の切断や剥離が生じ、導電性が損なわれ
易くなるなどの問題が生じる。
【0028】さらに、本発明においては、上記酸化重合
により生じた導電性高分子を化学的あるいは電気化学的
に還元した後、化学酸化あるいは電解酸化により酸化す
ると共にドーピングを行うことにより帯電防止効果を一
層高めることができる。化学的還元に使用する還元剤と
しては、ヒドラジン,抱水ヒドラジン,フェニルヒドラ
ジン等のヒドラジン類、水素化リチウムアルミニウム,
水素化ホウ素ナトリウム等の水素化金属等を挙げること
ができる。化学還元剤は、通常、重合体の1窒素原子あ
たり1〜10倍モル使用されるが、必ずしもこれに限定
されるものではない。電解還元では、成形体表面を陰極
として0.01〜数十Vの印加電圧で電流を通じること
により脱ドープされる。還元後、中性導電性高分子被膜
は、再度、化学的に酸化剤で再酸化されると共にドーピ
ングがなされる。このような再酸化に用いられる酸化剤
としては、還元された中性重合体を再酸化するに十分な
酸化力を有し、且つドーパントとして有効な電子受容性
を有する化合物ならすべて用いることができる。このよ
うな酸化剤としては、ヨウ素,臭素,塩素などのハロゲ
ン、五フッ化ヒ素,五フッ化アンチモン,三フッ化ホウ
素,三塩化ホウ素,塩化第二鉄,塩化第二スズ,四塩化
チタン,塩化亜鉛,塩化第二銅等のルイス酸、塩酸,硫
酸およびその塩(例えば、硫酸水素カリウム、硫酸ナト
リウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩
素酸鉄等)、またはホウフッ化水素酸およびその塩(例
えば、フッ化ホウ素ナトリウム、フッ化ホウ素カリウ
ム、フッ化ホウ素アンモニウム、フッ化ホウ素テトラア
ルキルアンモニウム等)などを挙げることができる。
【0029】以下、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例により何等限定されるもの
ではない。
【0030】
【実施例】以下の実施例において、フィルムの表面抵抗
率は、表面抵抗測定機Loresta AP(三菱油化
製)を使用して測定した。
【0031】実施例1 ヘキサン90ml、アセトン10mlおよび1−アミノ
ナフタレン3gの混合溶液(拡散溶液)に、50mm×
50mmのサイズで厚さ0.3mmの硬質塩化ビニルフ
ィルムを室温で3分間浸漬することにより、1−アミノ
ナフタレンをフィルム中(両面)に含浸せしめた。この
フィルムを乾燥した空気中で室温下、30秒間放置した
後、1Mの塩化第二鉄および1Mのp−トルエンスルホ
ン酸を含有するアセトニトリル/メタノール(体積比で
85:15)の溶液(酸化溶液)に室温で3分間浸漬す
ることによりフィルムの表面付近に含浸した1−アミノ
ナフタレンを重合した。続いて、フィルムをメタノール
で洗浄することにより残存する塩化鉄を除去し、減圧下
で約10時間乾燥した。
【0032】ここで、ヘキサン、アセトン、メタノール
およびアセトニトリルはポリ塩化ビニルの非溶媒であ
る。使用したポリ塩化ビニルフィルムは、塩化ビニル樹
脂(重合度約800)100部、ジエチルスズマレート
3部、MBS樹脂10部、エポキシ化大豆油3部の配合
により得られたものであった。
【0033】得られたフィルムの断面を透過型電子顕微
鏡で観察したところ、表面から深さ約0.1μmの部分
に四酸化オスミウムで染色される連続相が存在している
ことが確かめられ、フィルムの表面抵抗率は約1MΩ/
□であり、静電防止材料として十分に大きな導電性を有
していた。また、光透過率は可視領域(波長500n
m)で70%程度であり、透明性は良好であった。さら
に、JIS K5400に定める碁盤目試験およびセロ
ハンテープによる剥離試験において、フィルム表面の導
電性層の剥離は全く認められなかった。
【0034】実施例2 実施例1における1−アミノナフタレンを1−アミノア
ントラセンとした他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニ
ルフィルムを処理した。
【0035】得られたフィルムの表面抵抗率は約1.5
MΩ/□であり、静電防止用としては十分であった。ま
た、フィルムの光透過率は可視領域(波長500nm)
で約75%であった。さらに、JIS K5400に定
める碁盤目試験およびセロハンテープによる剥離試験に
おいて、フィルム表面の導電性層の剥離は全く認められ
なかった。
【0036】実施例3 実施例1における1−アミノナフタレンを5−アミノイ
ソキノリンとした他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニ
ルフィルムを処理した。
【0037】得られたフィルムの表面抵抗率は約10M
Ω/□であり、フィルムの光透過率は、可視領域(波長
500nm)で約85%であった。さらに、JIS K
5400に定める碁盤目試験およびセロハンテープによ
る剥離試験において、フィルム表面の導電性層の剥離は
全く認められなかった。
【0038】比較例1 実施例1における1−アミノナフタレンをアニリンとし
た他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニルフィルムの処
理を行った。得られたフィルムの表面抵抗率は約500
KΩ/□と実施例1より良好であったが、フィルムは緑
がかった黒色を呈していて、波長500nmでの光透過
率は50%程度であった。
【0039】比較例2 実施例1における拡散溶液をアセトニトリル94ml、
ニトロベンゼン(ポリ塩化ビニルの良溶媒)6mlおよ
び1−アミノナフタレン3gを溶解してなる溶液とした
他は、実施例1と同様にポリ塩化ビニルフィルムを処理
した。得られたフィルムの表面抵抗率は約10MΩ/□
と低い値であり、表面が不均一で、フィルムの光透過率
は可視領域で約30%程度と悪かった。このフィルム処
理において、乾燥工程を行わなかった場合、フィルムの
表面抵抗率は乾燥工程を行った場合と同程度であった
が、表面はさらに不均一であり、透明性は著しく低下し
た。
【0040】
【発明の効果】発明によれば、高分子成形体へ導電性を
容易に付与することができる。このとき、基材の透明性
や色相は、大きく損なわれることはなく、得られる導電
性は長時間持続し、気温や湿度にほとんど影響されな
い。従って、本発明の方法を電子・電気関連部品、ケー
スやICトレーなどの材料あるいは建築材料分野に用い
れば、半導体の静電気による損傷や放電による爆発事故
の防止に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 正積 山口県新南陽市政所1丁目17番11−3号 (72)発明者 宮木 義行 三重県四日市市別名3丁目4−10 (56)参考文献 特開 昭62−167330(JP,A) 特開 昭61−195504(JP,A) 特開 平2−124938(JP,A) 特開 平3−126726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性の高分子成形体(基材)に多環式芳
    香族アミン化合物を付着または含浸させた後、酸化剤を
    含有する溶液に接触させて、多環式芳香族アミン化合物
    を基材内部または表面上で酸化重合させるにおいて、基
    材を多環式芳香族アミン化合物を含有する溶液に接触さ
    せる工程(拡散工程)、多環式芳香族アミン化合物およ
    び溶媒が付着または含浸した基材を60℃以下の温度で
    5秒〜5分乾燥する工程(乾燥工程)、酸化剤を含有す
    る溶液に基材を接触させ多環式芳香族アミン化合物を重
    合させる工程(酸化重合工程)を含んでなることを特徴
    とする高分子成形体への導電性付与方法。
  2. 【請求項2】多環式芳香族アミン化合物がアミノナフタ
    レン類、アミノアントラセン類、アミノキノリン類また
    はアミノイソキノリン類であることを特徴とする請求項
    1に記載の高分子成形体への導電性付与方法。
  3. 【請求項3】酸化剤を含有する溶液が、ドーピング剤と
    して、無機または有機のプロトン酸、およびこれらの塩
    のいずれかを含有することを特徴とする請求項1〜
    記載の高分子成形体への導電性付与方法。
JP26552892A 1992-09-09 1992-09-09 高分子成形体への導電性付与方法 Expired - Fee Related JP3343373B2 (ja)

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