JP3402838B2 - マイカテープ及びこれを用いた絶縁コイル - Google Patents

マイカテープ及びこれを用いた絶縁コイル

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JP3402838B2
JP3402838B2 JP08406395A JP8406395A JP3402838B2 JP 3402838 B2 JP3402838 B2 JP 3402838B2 JP 08406395 A JP08406395 A JP 08406395A JP 8406395 A JP8406395 A JP 8406395A JP 3402838 B2 JP3402838 B2 JP 3402838B2
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  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)
  • Insulating Of Coils (AREA)
  • Inorganic Insulating Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイカテ−プ及びこれ
を用いた絶縁コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の絶縁コイルは回転電機などの電
気機器に使用されている。使用される機器が高電圧回転
電機のような場合、コイル導体にマイカ絶縁を施し、無
溶剤の熱硬化性樹脂を真空加圧含浸させて加熱硬化する
絶縁コイルが一般に用いられている。
【0003】このようなマイカ絶縁に使用されるマイカ
テープとしては、単に水でマイカ細片を抄造しただけの
集成マイカもあるが、例えば特公平1-47002 に記載され
ているように、集成マイカと芳香族ポリアミドのバルブ
状粒子(以下、フィブリッドと称す。)5±3重量%と
を混合抄造したアラミッドフィブリッド集成マイカ(以
下、アラミッドマイカと称す。)が使用されていた。
【0004】すなわち、特公平1-47002 は絶縁線輪の製
作法に関するものであり、アラミッドマイカを線輪に巻
回して絶縁層を形成させ、真空中にて例えば無水物硬化
形エポキシ樹脂等の含浸処理を施すことが開示されてい
る。この製作法によれば、アラミッドマイカは、フィブ
リッドのない集成マイカテープに比べてフィブリッドが
マイカ細片相互間に配置されてマイカ細片を捕捉するこ
とから、機械強度、耐熱性および含浸性などに優れた絶
縁コイルを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、再資源化の検討が進められている。コイル導体の
再資源化プロセスにおいては、無公害化を図るのが重要
な課題となっている。しかしながら、このような絶縁コ
イルは、コイル導体のマイカ絶縁に使用されるマイカテ
−プにおけるアラミッドマイカの成分が芳香族ポリアミ
ドであることから、再資源化を図る際に無公害とするこ
とが困難であることがわかってきた。従って、コイル導
体の再資源化を無公害で行えるように検討を進める必要
がある。また、これと同時に、樹脂の含浸性を向上させ
ると共に優れた絶縁耐力を維持する必要がある。本発明
の目的は、耐環境性を向上させ、無公害で再資源化を図
と同時に、樹脂の含浸性を向上させると共に優れた絶
縁耐力を維持できるマイカテ−プ及びこれを用いた絶縁
コイルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、集成マイカと、非窒素系絶縁充填材として
3〜10重量%のガラス短繊維とを有するマイカテープ
において、前記ガラス短繊維の繊維径を10μm、長さ
を3mmとし、前記集成マイカを成すマイカ細片間に前
記ガラス短繊維を配置させ、マイカ細片間に連続した一
定の長さの隙間を形成させたことを要旨とする。また、
コイル導体に、集成マイカと非窒素系充填材として3〜
10重量%のガラス短繊維を有するマイカテープを巻回
し、無溶剤の熱硬化性樹脂を含浸させて成る絶縁コイル
において、前記マイカテープのガラス短繊維の繊維径を
10μm、長さを3mmとし、前記集成マイカを成すマ
イカ細片間に前記ガラス短繊維を配置させ、マイカ細片
間に形成させた連続した一定の長さの隙間に前記熱硬化
性樹脂を含浸させたことを要旨とする。
【0007】
【作用】このような構成において、コイル導体に巻回す
マイカテープのマイカは、集成マイカと非窒素系充填材
としてのガラス短繊維とを混合抄造したことにより、無
公害で再資源化を図ることができる。また、ガラス短繊
維として、その繊維径を10μm、長さを3mmとした
ことで水に対する分散性が良く、更に3〜10重量%と
したことで分散状態が均一で絶縁破壊電圧を高くするこ
とができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
本実施例におけるマイカテープのマイカは、集成マイカ
と、非窒素系絶縁充填材であるガラス短繊維とを混合抄
造させたものである。本発明者の研究によれば、マイカ
の成分に芳香族ポリミアド、特に窒素が含有されている
ことが再資源化の際に悪影響を及ぼすと考えられる。こ
のため、充填材として非窒素系絶縁材、例えばガラス短
繊維を使用すれば、その成分中に窒素は存在しないの
で、耐環境性を向上させることができる。
【0009】また、集成マイカにガラス短繊維を混合抄
造することにより、マイカ細片間にガラス短繊維が配置
され、このガラス短繊維によりマイカ細片間に連続した
一定長さの隙間が生じるため、樹脂がマイカ細片間に浸
透しやすくなる。
【0010】従って、優れた含浸性を維持することがで
き、含浸時間の短縮、低粘度含浸が可能となる。さら
に、マイカ細片間にガラス短繊維が配置されたことによ
り、熱劣化を受けても高耐熱性の剛直なガラス短繊維で
マイカ細片が押さえられているため、絶縁層に膨れが生
じ、絶縁耐力が低下することがない。
【0011】次に、表1、表2を参照しながら具体的に
検討する。集成マイカとして硬質焼成集成マイカを用
い、ガラス短繊維として水に対する分散性の良い繊維径
10μm、長さ3mmのチョップドストランド(例えば、富
士ファイバーグラスKK製のFFSS−030 )を選定し
た。また、集成マイカに対するガラス短繊維の混合割合
は、混合抄造後のマイカ紙の段階で最も集成マイカへの
ガラス短繊維の分散状態が均一で、且つ絶縁破壊電圧
(BDV)の高い3〜10重量%とした。そして、この混
合割合の範囲内で集成マイカとガラス短繊維を水に分散
させて混合抄造し、各マイカテープ(実施例1〜3)を
得た。なお、比較として単に水でマイカ細片を抄造した
だけの集成マイカテープ(比較例1)および集成マイカ
とフィブリッド5重量%とを混合抄造したアラミッドマ
イカテープ(比較例2)を製作した。これらのマイカテ
ープについて、引張り荷重(試験法:JIS C 2116
の13による)と絶縁耐力(試験法:JIS C 211
6−1992の13による)および含浸性(試験法:J
IS C 2116の24による)を試験した。その特性試験
結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】表1からわかるように、マイカテープへの
樹脂の含浸性は、比較例1に対し実施例1〜3は大幅に
向上した。また、引張り荷重と絶縁耐力についても、実
施例1〜3は比較例1より向上することが確認できた。
【0014】次に、マイカテープの巻回数を変化させ
て、導体上に形成されたマイカ絶縁層への樹脂の含浸性
を試験した。実施例1〜3および比較例1,2の各マイ
カテープの巻回数を変えて、10mm×50mm×800mm のアル
ミニウム角棒に1/2重ね巻で巻回して絶縁層を形成
し、その上に模擬スロットを取付けた。そして、0.6Pa
・s のエピビス系エポキシ樹脂を用い真空加圧含浸処理
後、マイカ絶縁層を切断し樹脂のマイカテープへの含浸
状態を調べたところ、マイカテープの巻回数が同じであ
れば、含浸速度は表1と同傾向の結果が得られ、比較例
1より実施例1〜3の方が短時間で含浸できることが確
認された。また、実施例1〜3はこれまで比較例1で限
界とされていたマイカテープの巻回数よりも多層に含浸
することができることを確認できた。
【0015】次に、実施例1〜3および比較例1,2の
各マイカテープを10mm×50mm×800mm のアルミニウム角
棒に1/2重ね巻きで規定回数巻き、その上に模擬スロ
ットを取付け、エピビス系エボシキ樹脂を用いて真空加
圧含浸処理後、加熱硬化して各絶縁コイルを得た。
【0016】次に、得られた各絶縁コイルの電気的絶縁
特性を評価するため、初期および200 ℃で40日間熱劣化
させたのちのBDV測定および絶縁コイルの外観を観察
した。なお、BDVは油中で1kV・secの一定昇圧
速度で測定した。その特性試験結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】表2からわかるように、実施例1〜3の方
が比較例1より初期および熱劣化後のBDVは優れてお
り、熱劣化後の絶縁コイル外観には膨れは確認されなか
った。
【0019】次に、実施例1〜3の絶縁コイルからマイ
カ絶縁層を切り出し、電気炉で300℃から800 ℃まで100
℃間隔で焼却し、焼却時に発生するガスの定量分析を
行ったが、いずれの実施例においても耐環境性上問題は
なかった。
【0020】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、非窒素系絶縁充填材として、膨潤性の合成
マイカ(例えば、コープケミカル(株)製のME−100
)やセラミック繊維を用いてもガラス短繊維と同様な
効果が得られる。
【0021】以上のように、マイカテープのマイカは、
集成マイカ箔と非窒素系絶縁充填材としてガラス短繊維
とを混合抄造したものであるので、耐環境性を向上さ
せ、無公害で再資源化を図ることができる。
【0022】また、マイカ細片間にガラス短繊維による
連続した一定長さの隙間が形成されるので樹脂の含浸性
が向上し、且つマイカ細片が高耐熱性の剛直なガラス短
繊維で押さえられるため、絶縁層に膨れが生じず絶縁耐
力の低下も防ぐことができる。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コイル導
体に巻回すマイカテープとして、集成マイカと、非窒素
系絶縁充填材として3〜10重量%のガラス短繊維とを
有し、ガラス短繊維の繊維径を10μm、長さを3mm
とし、前記集成マイカを成すマイカ細片間に前記ガラス
短繊維を配置させ、マイカ細片間に連続した一定の長さ
の隙間を形成させたので、耐環境性に優れ、無公害で再
資源化が図れ、また無溶剤の熱硬化性樹脂の含浸性を向
上させると共に優れた絶縁耐力を維持できるマイカテー
プ及びこれを用いた絶縁コイルを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−74300(JP,A) 特開 昭53−74299(JP,A) 特開 平4−344142(JP,A) 特開 平4−162312(JP,A) 特開 昭57−172607(JP,A) 特公 平1−47002(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集成マイカと、非窒素系絶縁充填材とし
    3〜10重量%のガラス短繊維とを有するマイカテー
    プにおいて、前記ガラス短繊維の繊維径を10μm、長
    さを3mmとし、前記集成マイカを成すマイカ細片間に
    前記ガラス短繊維を配置させ、マイカ細片間に連続した
    一定の長さの隙間を形成させたことを特徴とするマイカ
    テープ。
  2. 【請求項2】 コイル導体に、集成マイカと非窒素系充
    填材として3〜10重量%のガラス短繊維を有するマイ
    カテープを巻回し、無溶剤の熱硬化性樹脂を含浸させて
    成る絶縁コイルにおいて、前記マイカテープのガラス短
    繊維の繊維径を10μm、長さを3mmとし、前記集成
    マイカを成すマイカ細片間に前記ガラス短繊維を配置さ
    せ、マイカ細片間に形成させた連続した一定の長さの隙
    間に前記熱硬化性樹脂を含浸させたことを特徴とする絶
    縁コイル。
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