JP3402360B2 - 腹膜透析システム - Google Patents
腹膜透析システムInfo
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Description
に応じた至適な透析を可能とする腹膜透析システムに関
する。より詳細には、患者の腹膜機能や腹膜透析の状態
を検出し、その検出結果に基づいて至適な透析条件を決
めるように構成された腹膜透析システムに関する。
機能の評価や至適な透析条件を探るために、腹膜平衡試
験(以下、PETともいう)を行うことが一般的に行わ
れている。この試験は、尿素、クレアチニン、無機塩
類、蛋白などの溶質の血中から透析液中への移行の状態
(D/P)や、ブドウ糖の透析液中から腹膜を介した吸
収あるいは希釈の状態(D/D0)によって、各溶質の
腹膜輸送能の評価をするものである。そして、このPE
Tによって患者の腹膜状態を推定し、患者に適合した透
析処方や透析条件の選択を行う。この方法は、臨床デー
タの収集が容易であり、実際の治療状態に応じた条件で
透析が実施できるメリットがある。しかし、PETで
は、統計学的に設定された指標を用いて、患者の腹膜機
能を定性的にしか評価できない。
の方法)として、Kt/Vが良く知られている。この指
標は標準化透析量とも言われ、透析治療の間に総体液量
のうちのどのくらいの血液量の尿素を完全に除去できた
かを示す値である。ここで、Kは透析器の尿素クリアラ
ンスであり、tは透析時間、Vは尿素のスペースであ
る。CANUSA(カナダ、米国の研究会)のスタディ
によれば、このKt/V値が2.1以上であると予後が
良好であるとされ、この指標値は血液透析でも広く利用
されており、有用なものである。しかし、尿素スペース
の根拠となる体液量には仮定式による値が用いられ、一
般的には体重の60%を使用しているが、必ずしも正確
ではない、という欠点があった。
適透析の指標として、色々な指標値や評価法が使用され
てきた。例えば、TACBUN(週当たりの平均的血液尿
素窒素濃度)やPCR(蛋白異化率)等であるが、これ
らの指標値にもそれぞれ長所や短所があり、その使用は
施設によって異なっていた。このように、腹膜透析や血
液透析のいずれを実施する場合でも、透析施設において
患者が至適な条件で透析されるように、患者の透析状態
を示す簡便且つ正確な評価法や指標値が望まれていた。
コンピューターによってシミュレートできるソフトウェ
アを内蔵した装置が市販されている。この装置は(1)腹
膜透析能の計算、(2)種々の腹膜透析処方のシミュレー
ト、(3)残腎機能の計算ができる等の優れた特徴を有す
る。腹膜透過は、毛細血管内皮細胞、間質、内皮細胞等
の3つのバリアーやこれらに存在する孔(ポア)によっ
て影響され、この孔を介して拡散とコンべクションによ
り、物質交換が行われる。前記のソフトウェアは、この
腹膜透過理論を根拠として作製されたものである。
した物質移動や除水量についての化学工学的な物質収支
式がパイルとポポビッチらによって誘導された。この物
質収支式については、透析会誌31巻(3)183〜1
89頁,1998年に詳述しているので、以下にパイル
−ポポビッチのモデルを示すにとどめ、説明は省略す
る。
能[ml/min]、CBは血液中溶質濃度[mg/m
l]、CDは透析液中溶質濃度[mg/ml]、VBは体
液量[ml]、VDは透析液量(排液量)[ml]、β
はペクレ数[−]、QUは限外濾過速度(限外濾過流
量)[ml/min]、Gは溶質の生成速度[mg/m
in]、KAは腹膜の総括物質移動・膜面積係数(MT
AC)[ml/min]、σは反撥係数[−]、a1は
QUを決定する実験的定数[ml/min]、a2はQU
を決定する実験的定数[l/min]、a3はQUを決定
する実験的定数[ml/min]を表す。
液中の溶質濃度、体液量や透析液量の経時変化を示す臨
床データを代入することによって、患者固有の重要なパ
ラメータである総括物質移動・膜面積係数(以下、MT
ACともいう)、限外濾過流量、stavermanの
反撥係数、体内の溶質生成速度等が求められる。そし
て、医療従事者はこれらのパラメータによって、患者の
現在の腹膜状態や透析状態を確認(推定)でき、またそ
れに基づいて決められた透析処方や透析条件を患者に試
行した際の臨床データも予測する(シミュレートする)
ことが可能である。このように、現在の臨床データを基
に今後の透析条件や処方等の治療に役立てることができ
る。
を定量的にシミュレートするため、従来より上述のパイ
ル−ポポビッチのモデルが広く使用されてきた。このモ
デルにおいては正確な解を得るために、多点(各時間)
での臨床データを取らなくてはならず、また多くの数式
を使うため、コンピューターを使用した数値計算が必要
で、計算時間が長くなる欠点があった。
で腹膜機能をシミュレートするための臨床データとし
て、前記のPETで得られた値が利用されることが多い
が、PETで得られる値は所定の透析開始後の時刻にお
ける値であるため、不正確な解答しか得られないことが
多かった。また、PETで得られた臨床データをコンピ
ュータ処理に利用できない場合もある。このように、パ
イル−ポポビッチのモデルは現象を記述するには優れて
いるが、運用上の問題があり、臨床的な実用性は高くな
かった。
外濾過流量を一定と仮定して、計算時間が大幅に短縮で
きる近似解析解を導入した。ところが、ボネッシュによ
る近似解析解は、正確さにおいてポポビッチらのものに
劣り、ラプラス変換を用いて近似解析解を誘導している
ため、初期値問題(治療開始時の臨床データが必要)し
か取扱うことができない。その他にも、ヘンダーソンや
バブ−ギャレッドの近似解析解等が提案されたが、ヘン
ダーソンのモデルは対流(convection)を考慮しておら
ず、バブ−ギャレッドのモデルは、対流が血液と透析液
の両方向への物質移動に寄与するにも関わらず、血液側
から透析液側への一方向への対流しか考慮していない。
よって、これらのモデルは限外濾過流量の限定された臨
床データにのみ有用であり、またポポビッチのものに比
べて正確な解が得られなかった。
臨床データ採取によって、正確に患者の透析状態や腹膜
透過能を定量的にシミュレートできる解析手段を有する
腹膜透析システムを提供することである。
時点で得られた臨床データによっても、正確に患者の透
析状態や腹膜透過能を診断し、シミュレートできる解析
手段を有する腹膜透析システムを提供することである。
に本発明の腹膜透析システムは、注液による腹膜透析開
始時刻から排液による腹膜透析終了時刻までの透析時間
内の任意の時刻における臨床データを入力とし、その臨
床データを用いてパイル−ポポビッチのモデルの近似解
析解により、任意の時刻よりも透析開始時刻側の時間領
域、及び透析終了時刻側の時間領域の少なくとも一方に
おける血液中および透析液中の溶質濃度を算出する算出
手段を備え、前記算出手段による算出結果に基づき前記
透析時間全領域での腹膜透析のシミュレーションを行う
ことを特徴とする。
し、その離散時間内での透析液量、体液中溶質濃度を一
定として計算を行うように構成される。
解に入力する透析時の臨床データとして少なくとも、任
意の1種の時刻における血液中溶質濃度と、前記の血液
中溶質濃度の採取時刻を含む任意の3種の時刻における
体液中溶質濃度と、貯留時刻の異なる2種の時刻におけ
る透析液量及び透析液の注液量とを用いる。また好まし
くは、算出手段における透析時間の離散化の時間間隔を
1分とする。
析開始時刻側の時間領域での血液中および透析液中の溶
質濃度については後方解析式によって算出し、任意時刻
よりも透析終了時刻側の時間領域での血液中および透析
液中の溶質濃度については前方解析式によって算出す
る。
用いることができる。
機能[ml/min]、CBは血液中溶質濃度[mg/
ml]、CDは透析液中溶質濃度[mg/ml]、VBは
体液量[ml]、VDは透析液量(排液量)[ml]、
QUは限外濾過速度(限外濾過流量)[ml/mi
n]、Gは溶質の生成速度[mg/min]、KAは腹
膜の総括物質移動・膜面積係数(MTAC)[ml/m
in]、σは反撥係数[−]を表す。
2)を用いることができる。
機能[ml/min]、CBは血液中溶質濃度[mg/
ml]、CDは透析液中溶質濃度[mg/ml]、VBは
体液量[ml]、VDは透析液量(排液量)[ml]、
QUは限外濾過速度(限外濾過流量)[ml/mi
n]、Gは溶質の生成速度[mg/min]、KAは腹
膜の総括物質移動・膜面積係数(MTAC)[ml/m
in]、σは反撥係数[−]を表す。
を行うことにより、患者固有のパラメータを算出し、該
パラメータ或いはパラメータの組合せに基づいて、患者
に至適な透析処方や透析条件を決定するように構成する
こともできる。
の一例として、総括物質移動・膜面積係数、反撥係数、
限外濾過流量、及び体内での溶質生成速度を用いること
ができる。
の臨床データであるときに、該臨床データの経時変化を
画面上にグラフで表示する手段を備えることも好まし
い。
透析システムは、注液による透析開始時刻から排液によ
る透析終了時刻までの透析時間内の任意の時刻における
臨床データを入力とし、しかも必要な臨床データは、極
めて限られた範囲のものである。そのような構成は、臨
床データを用いた血液中および透析液中の溶質濃度の算
出を、本発明による新規な近似解析解に基づいて行うこ
とにより実現される。本発明の近似解析解に基づいた計
算により、臨床データを採取した時刻よりも透析開始時
刻側に遡った時間領域、あるいは透析終了時刻側に下っ
た時間領域、あるいは両方について、血液中および透析
液中の溶質濃度を算出する。その算出結果に基づき、透
析時間全領域での腹膜透析のシミュレーションを行うこ
とができる。
タの採取、および解析式の適用方法を示した図である。
図1の上段部に、腹膜透析における注入から排出までの
貯留時間を示した。また、中段部および下段部には、臨
床データの採取時点をC.D.で示した。図1の中段部
に示したように、通常の腹膜透析において、透析開始時
に得る臨床データ(開始時値)、及び透析終了時に得る
臨床データ(終了時値)の、いずれのデータをも利用す
ることができる。臨床データが開始時またはその近傍で
の値の場合は、透析終了時刻側への近似解析解を求める
前方解析式(数1)を適用し、終了時またはその近傍で
の値の場合は、透析開始時刻側への近似解析解を求める
後方解析式(数2)を適用する。また、図1の下段部に
示されるように、簡易PETにより、透析時間の中間で
臨床データが得られる場合は、前方解析式および後方解
析式の両方を適用することによって、より正確な解を得
ることができる。
について説明する。既述のような、パイル−ポポビッチ
のモデルの臨床的な実用性の低さを解消するために、発
明者らは、透析時間を離散化(微細に分割すること)
し、その離散時間内での透析液量、体液中溶質濃度の変
化を無視する手法を導入した。例えば、離散時間を1分
とすると、360分の治療(透析時間)は360分割で
きることになる。そして、離散時間内で値の代表値を一
点取って、当該離散時間内における一定の透析液量、体
液中溶質濃度と仮定する(これがtime-discrete-techni
queである)。修正パウエル法を利用し、これに離散時
間内における全てのパラメーター、例えば透析液量、体
液量、限外濾過量、体液中溶質濃度、透析液中溶質濃度
等が一定であると仮定して計算を行うことにより、簡便
に且つ正確な解を得ることができる。
度と透析液量または体液量の積算が存在し、これらが非
線形の要素を備えている。そこで、透析液量の変化を離
散時間内で無視し、言い換えれば限外濾過流量を離散時
間内で一定であると仮定し、半陰解法のテクニックを用
いれば、未知変数は濃度についての変数のみとなる。こ
のように、変形されたパイル−ポポビッチのモデルは非
線形から線形方程式に変わり、近似解析解を誘導するこ
とが可能となる。発明者らは、上記のアイデアに基づ
き、任意の時刻の臨床データが利用できる前方解析式
(数1)と、後方解析式(数2)を誘導した。
似解析解により、透析時間全領域での腹膜透析のシミュ
レーションを行い、それにより患者固有のパラメータを
算出することができる。また、算出した単独のパラメー
タ或いはパラメータの組合せに基き、患者対する至適な
透析処方や透析条件を決定するように構成する。
先ず図1に示した臨床データとして、任意の時刻におけ
る血液中溶質濃度と任意の3点の時刻(内、1つのデー
タは血液中溶質濃度の採取時刻と同じもの)の体液中溶
質濃度、貯留時刻の異なる2点での透析液量、及び透析
液の注液量が必要である。また患者固有のデータとし
て、身長、体重、性別、残腎クリアランスが必要であ
る。例えば、透析時の臨床データとして、貯留時刻12
0分後の血中溶質濃度、貯留時刻0、120、240分
後の透析液中溶質濃度、貯留時刻240、360分後の
排液量、開始時の透析液注液量等があれば良く、これら
はルーチンの透析処置とPETからのデータによって得
られる。また、患者固有のデータもルーチンの処置で得
ることができる。上記のデータを近似解析解に入力すれ
ば、腹膜透析のシミュレーションが可能である。
る腹膜透析システムによれば、任意の時刻の臨床データ
を利用して、患者固有のパラメータを推定することが可
能であり、その結果、患者に至適な透析処方や透析条件
を決定することが容易となる。なお、患者に対し、至適
な透析処方や透析条件を決定する際に、上記パラメータ
は単独よりも組み合せた方がより正確な解が得られる。
患者固有のパラメータとして、総括物質移動・膜面積係
数、反撥係数、限外濾過流量、体内での溶質生成速度が
挙げられる。
ションにより患者の臨床データを得て、その臨床データ
の経時変化を、ディスプレイ上にグラフで表示すること
により、より使い易い腹膜透析システムとなる。臨床デ
ータとしては、血液中や透析液中の溶質濃度、透析液量
等を対象にすることができ、これらの臨床データを画面
上のグラフで表示して可視化することにより、医療従事
者が患者の腹膜機能や腹膜透析の状態をより把握し易く
なる。
て得られた溶質濃度と、ボネッシュの近似解析解によっ
て得られた溶質濃度とを、パイル−ポポビッチのモデル
による厳密解(exact numerical method)によって得ら
れたデータと比較した。厳密解から造られた臨床デー
タ、即ち貯留時間における血液中濃度(CB)、透析液
中濃度(CD)、透析液量(VD)の変化を図2に示す。
図2の左側のグラフが、血液中および透析液中の溶質濃
度を示したものである。図2の右側のグラフが、透析液
量(貯留量)を示したものである。
質濃度CB(0):0.1244mg/ml、同じく開
始時の透析液濃度CD(0):0.0mg/ml、同じ
く開始時の体液量VB(0):39900ml、同じく
開始時の透析液量VD(0):2200ml、溶質の生
成速度G:0.68mg/ml、QUを決定する実験定
数a1:3.90ml/min、同じく実験定数a2:−
0.007min-1、同じく実験定数a3:−1.16
ml/min、腹膜の総括物質移動・膜面積係数(MT
AC)KA:16.0ml/min、反撥係数σ:0.
290を用いた。
度は、血液中からの溶質の移動によって血中の溶質濃度
に近づくことが判る。それに対して、血中の溶質濃度の
変化は少なく、このグラフにおいては貯留時間による変
化は読み取りにくい。図2の右側のグラフで、限外濾過
によって最初は透析液量が増加するが、ある時間を過ぎ
ると、逆に腹膜の再吸収によって透析液量が減少するこ
とが判る。
られた溶質濃度と、ボネッシュの解析式によって得られ
た溶質濃度を図3に示す。これは、通常のPETで得ら
れた透析開始時の臨床データを用い、前方解析式によっ
て、透析液中および血液中の溶質濃度の値をシミュレー
ションしたものである。図の左側のグラフが透析液中の
溶質濃度を示し、図の右側のグラフが血液中の溶質濃度
を示す。これらのグラフで判るように、ボネッシュの近
似解析解による値に比べ、本発明の近似解析解による値
は透析液中、血液中ともパイル−ポポビッチのモデルの
厳密解に近いことが判る。
発明による近似解析解によって得られた溶質濃度と、ボ
ネッシュの近似解析解によって得られた溶質濃度を示し
たものである。これは、簡易PETで得られた透析時間
中の臨床データ(通常は貯留時間が4時間で、データ採
取時間が2時間目)を用い、前方解析式および後方解析
式によって、透析液中および血液中の溶質濃度の値をシ
ミュレーションしたものである。これらのグラフより、
前方解析式および後方解析式によって得られた値は先の
図3における前方解析式のみで得られた値より、さらに
厳密解の値に近いことが判る。
透析状態や腹膜機能を診断し、処方を決定する上で重要
なパラメータとなるMTACや反撥係数を、本発明に従
った解析手段によって算出した。比較のために、厳密解
を求める数値解法及びボネッシュの方法による上記の値
の算出も行った。各方法は表1に示した通りであり、厳
密解に関しては、本発明の解析手段と同様、修正パウエ
ル法でMTACや反撥係数を算出した。
の下に記した各近似式によって上記値を算出した。上記
の3つの方法によって算出されたMTACおよび反撥係
数の値と、算出に要した計算時間を表2に示す。
数の値において、本発明の解析手段は、ボネッシュの解
析式よりはるかに正確であり、反撥係数値では厳密解よ
り元値(Exact)に近い。また、計算時間は、ボネッシ
ュの解析式を使用した場合に比べやや長いが、厳密解の
場合よりはるかに短い。
に測定されたデータと、本発明およびボネッシュの解析
式により算出された値との比較を行った。腎結刹した4
匹の日本白色家兎(平均約2.4kg)の体液中クレア
チニン濃度を腎不全患者の体液中濃度相当に調整し、腹
膜透析液200mlを用いて、6、4、2および8時間
貯留の連続腹膜透析を行った。各透析の排液量と排液直
後の血液中クレアチニン濃度および各透析における2時
間おきの透析液中クレアチニン濃度を測定した。これら
実験データを用いて、それぞれの家兎について総括物質
移動・膜面積係数、Stavermanの反撥係数、溶質生成速
度および限外濾過流量を決定し、連続透析における体液
中クレアチニン濃度の推移を本発明の解析式、ボネッシ
ュの解析式を用いて予測した。
された実験値と、本発明およびボネッシュの解析式によ
り算出された計算値とを図5に示す。図5から明らかな
ように、本発明に従って算出された値は、ボネッシュの
解析式により算出された値と比べて、はるかに実験値に
近く、実際の状況を正確に示していることが判る。
よって、正確に患者の透析状態や腹膜透過能を定量的に
シミュレートすることが可能となる。また、透析時間の
任意の時刻での臨床データが利用でき、しかもその任意
時刻の臨床データによって、透析時間前領域における腹
膜透析のシミュレーションが可能となる。また、本発明
の腹膜透析システムによれば、対流による効果を含むだ
けでなく、透析患者にとって重要なパラメータであるM
TAC値や反撥係数を計算できるので、患者に至適なC
APD処方を指示したり、その透析処方で簡単に腹膜透
析のシミュレートすることができ、大変有用である。
ムに用いられる解析解の適用方法を示す概念図
よって得られた臨床データである、血液中濃度
(CB)、透析液中濃度(CD)、及び透析液量(VD)
について、貯留時間に対する変化を示すグラフ
ボネッシュの解析式によって得られた臨床データについ
て、貯留時間に対する変化の比較を示すグラフ
ネッシュの解析式によって得られた臨床データについ
て、貯留時間に対する変化の比較を示すグラフ
ッシュの解析式によって得られたデータについて、家兎
を用いた実験値との比較を示すグラフ
Claims (10)
- 【請求項1】 注液による腹膜透析開始時刻から排液に
よる腹膜透析終了時刻までの透析時間内の任意の時刻に
おける臨床データを入力とし、前記臨床データを用いて
パイル−ポポビッチのモデルの近似解析解により、前記
任意の時刻よりも透析開始時刻側の時間領域、及び透析
終了時刻側の時間領域の少なくとも一方における血液中
および透析液中の溶質濃度を算出する算出手段を備え、
前記算出手段による算出結果に基づき前記透析時間全領
域での腹膜透析のシミュレーションを行うことを特徴と
する腹膜透析システム。 - 【請求項2】 前記算出手段は、透析時間を離散化し、
その離散時間内での透析液量、体液中溶質濃度を一定と
して計算を行うように構成された請求項1記載の腹膜透
析システム。 - 【請求項3】 前記近似解析解に入力する透析時の臨床
データとして少なくとも、任意の1種の時刻における血
液中溶質濃度と、前記血液中溶質濃度の採取時刻を含む
任意の3種の時刻における体液中溶質濃度と、貯留時刻
の異なる2種の時刻における透析液量及び透析液の注液
量とを用いることを特徴とする請求項2記載の腹膜透析
システム。 - 【請求項4】 前記算出手段における透析時間の離散化
の時間間隔が1分である請求項1記載の腹膜透析システ
ム。 - 【請求項5】 前記任意時刻よりも前記透析開始時刻側
の時間領域での血液中および透析液中の前記溶質濃度に
ついては後方解析式によって算出し、前記任意時刻より
も前記透析終了時刻側の時間領域での血液中および透析
液中の前記溶質濃度については前方解析式によって算出
することを特徴とする請求項1記載の腹膜透析システ
ム。 - 【請求項6】 前記前方解析式として式(数1)を用い
る請求項5記載の腹膜透析システム。 【数1】 式中、tn-1、及びtnは時刻、CLRは残腎機能[ml/
min]、CBは血液中溶質濃度[mg/ml]、CDは
透析液中溶質濃度[mg/ml]、VBは体液量[m
l]、VDは透析液量(排液量)[ml]、QUは限外濾
過速度(限外濾過流量)[ml/min]、Gは溶質の
生成速度[mg/min]、KAは腹膜の総括物質移動
・膜面積係数(MTAC)[ml/min]、σは反撥
係数[−]を表す。 - 【請求項7】 前記後方解析式として式(数2)を用い
る請求項5記載の腹膜透析システム。 【数2】 式中、tn-1、及びtnは時刻、CLRは残腎機能[ml/
min]、CBは血液中溶質濃度[mg/ml]、CDは
透析液中溶質濃度[mg/ml]、VBは体液量[m
l]、VDは透析液量(排液量)[ml]、QUは限外濾
過速度(限外濾過流量)[ml/min]、Gは溶質の
生成速度[mg/min]、KAは腹膜の総括物質移動
・膜面積係数(MTAC)[ml/min]、σは反撥
係数[−]を表す。 - 【請求項8】 前記の腹膜透析のシミュレーションを行
うことにより、患者固有のパラメータを算出し、該パラ
メータ或いはパラメータの組合せに基づいて、患者に至
適な透析処方や透析条件を決定する請求項1〜7のいず
れかに記載の腹膜透析システム。 - 【請求項9】 患者固有のパラメータが、総括物質移動
・膜面積係数、反撥係数、限外濾過流量、体内での溶質
生成速度である請求項8に記載の腹膜透析システム。 - 【請求項10】 前記の腹膜透析のシミュレーションが
患者の臨床データであり、該臨床データの経時変化を画
面上にグラフで表示する手段を備えた請求項1〜9のい
ずれかに記載の腹膜透析システム。
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