JP3401551B2 - 微細構造の制御された繊維を用いた繊維強化複合材料 - Google Patents

微細構造の制御された繊維を用いた繊維強化複合材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細構造の制御さ
れた炭素繊維又はSiC繊維を用いた繊維強化複合材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PAN系繊維に特定の表面処理を
施したAl複合材の製造法、TiB2処理を施したAl
複合材の製造法などが提案されている。しかし、従来の
複合材料の開発では構成素材の組み合わせが研究されて
いるに過ぎずまだ強度その他の機能で満足すべきものは
得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属又は金属間化合物
を軽量で高強度、高弾性の炭素繊維、SiC繊維、アル
ミナ繊維などにより強化した繊維強化複合材料は、高比
強度、高比弾性を有し、しかもプラスチックより高い耐
熱性、耐摩耗性、熱伝導性等を有していることから、航
空機や自動車などの用途において注目されている材料で
ある。また、その高熱伝導性や、高電気伝導性を利用し
たエレクトロニクス分野での新しい用途も見出されつつ
ある。また、SiC繊維強化チタンアルミナイド系金属
間化合物は、高比強度、約1000Kまでの非常に高い
耐熱性、温度上昇につれて機械的強度が上昇するという
特性などからスペースプレーンなど宇宙・航空用の耐熱
構造材料として検討されている。これらの材料は、極限
環境下での使用を目的として、より高性能化することが
要求されている。一方で近年の地球上の資源の枯温、エ
ネルギー消費の激増に伴ない、省資源、省エネルギーの
立場で、種々の材料の開発、設計は複雑な前処理をなく
し、添加元素の数を減らす方向で行っていかなければな
らない。これは例えば、材料の組成を変えることなく、
組織や構造を制御することでその性能を向上させるなど
の技術である。このような技術は、系の単純化によって
材料のリサイクル性の向上にも寄与するものである。し
たがって、上記の繊維強化複合材料においても、その組
成でなく構造を制御して界面の相互作用を変化させ、性
能をさらに向上させることが要望されていた。よって本
発明は、その性能を、その組成を変えずに向上させた繊
維強化複合材料を提供することを目的とする。より詳し
くは本発明は、繊維と金属等マトリックスとの相互作用
(反応)や繊維の微細構造と金属等マトリックスとの析
出状態との相互関連との観点から得られた知見に基づい
てその性能を向上させた繊維強化複合材料を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題に鑑
み鋭意研究した結果、特定の微細構造を有する繊維によ
って金属を強化することにより特有の性質を有する複合
材料が得られることを見出し、この知見に基づき本発明
をなすに至った。すなわち本発明は、 (1)アルミニウム及び/又はチタンをランダム構造ピ
ッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなることを特徴
とする繊維強化複合材料、 (2)アルミニウム及び/又はチタンをラジアル構造ピ
ッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなることを特徴
とする繊維強化複合材料、 (3)アルミニウム及び/又はチタンをオニオン構造ピ
ッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなることを特徴
とする繊維強化複合材料、 (4)アルミニウム及び/又はチタンを黒鉛結晶子の結
晶サイズがLc7〜18nm、d002 が0.340
〜0.345nmである炭素繊維上に析出させて強化し
てなることを特徴とする繊維強化複合材料、 (5)アルミニウム及び/又はチタンを結晶粗大化を阻
止する第3元素を含む非晶質SiC繊維上に析出させて
強化してなることを特徴とする繊維強化複合材料を提供
するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いることのできる炭素
繊維は、その結晶構造がランダム、ラジアル又はオニオ
ンのいずれかに制御されているピッチ系炭素繊維、ある
いはその黒鉛子が特定の結晶サイズに制御されている炭
素繊維である。本発明におけるラジアル構造とは炭素繊
維の炭素六角網平面が繊維の中心軸に対して放射状にな
っている構造をいい、オニオン構造とは炭素繊維の炭素
六角網平面が繊維の中心軸に対して同心円状となってい
る構造をいう。ランダム構造は炭素繊維の炭素六角網平
面が繊維の中心軸に対して放射状の構造部も同心円状の
構造部も有していない構造をいう。この模式図を図1に
示した。図1(a)〜(c)はそれぞれ炭素繊維断面を
表わし、内部の線が炭素六角網平面の方向を表わす。基
本的に結晶構造の制御は紡糸温度とピッチ粘度の選択に
より制御でき、高温・低粘度でラジアル構造に、低温・
高粘度でオニオン構造に、両者の中間でランダム構造に
なる。これらの炭素繊維の微細構造の制御及び製造につ
いては「ニューカーボン材料」(稲垣、菱山、技報堂出
版(1994)、40)、「ハイテク炭素材料」(本
田、小林、工業調査会(1987)、40)等に記載が
あり、これらに従って製造することができる。
【0006】また、本発明において結晶子のサイズを表
わすLcとd002 は、図2に示すように繊維の微細構造
において層状をなしている1つの結晶の厚みとその中の
1層の厚みである。本発明で用いることのできる炭素繊
維はこのLcが7〜18nm、好ましくは10〜15n
mであり、d002 が0.340〜0.345nm、好ま
しくは0.342〜0.344nmのものである。黒鉛
結晶子のサイズは黒鉛化処理条件によって制御できる。
また、市販の炭素繊維より、特定の結晶構造の炭素繊維
を選択して用いることもでき、例えば石油系ラジアル構
造ピッチ系炭素繊維として、グラノックス商品名、日本
グラファイトファイバー社製)、ソーネル(商品名、A
moco(UCC)社製)などがある。
【0007】また、本発明で用いることのできる非晶質
SiC繊維は、一般には高温における結晶粗大化を阻止
できるTi、Zr等の第3元素を含むことが望ましい。
たとえば、「高分子」(42巻(1993)、590)
に記載のチラノ(商品名、宇部興産社製)などを用いる
ことができる。また、本発明においてはこの非晶質Si
C繊維の中でカーボン被覆(通常0.2〜1μm厚)を
有する非晶質SiC繊維が好ましい。本発明に用いられ
る炭素繊維の径は、好ましくは7〜50μm、より好ま
しくは10〜30μmであり、繊維長は、任意の長さで
用いられる。
【0008】本発明の複合材料に用いることのできる金
属としては、アルミニウム、チタン及びこれらの合金、
又はチタンアルミナイド、ニッケルアルミナイド、鉄ア
ルミナイドなどの金属間化合物が挙げられ、好ましくは
アルミニウム、チタン及びこれらの合金である。また、
繊維上にアルミニウムを析出させた後、さらにチタンを
析出させるなど、2種以上の金属を用いてもよい。上記
繊維と金属との複合化は、CVD法、通電加熱法、高周
波スパッタリング法などによって金属を繊維上に析出さ
せることにより行うことができる。通電加熱法では、導
電性の繊維を通電加熱するために、繊維の両端を銅電極
で固定し、繊維束に直接電流を流すことによって加熱
し、放射温度計で繊維の表面温度を検知しながら所定温
度となるように繊維への通電電流を制御しながらアルミ
ニウム析出含浸を行う方法である。通電加熱法の大きな
利点は、繊維束の外側でキャリヤーガスによる冷却効果
が期待でき、繊維束内部との間に温度勾配を生じさせる
ことができる。これによって繊維表面の析出による外部
空孔の早期閉塞を防ぐことができ、繊維束内部にまで深
くアルミニウムを含浸させることができる。本発明の繊
維強化複合材料の体積繊維含有率(V)は目的や繊維
及び金属の種類に応じて適宜選択できるが、好ましくは
20〜70%とする。
【0009】これらの金属と上記の特定の微細構造の繊
維との組み合わせで種々の特性を有する複合材料が得ら
れるが、いずれもプラスチックにはない耐熱性、熱伝導
性、電気伝導性などの性質を有し、かつ軽量であること
を要する部材として、宇宙・航空機などに用いることが
できる。具体的には例えば、炭素繊維で強化した本発明
の複合材料はタービンブレード、圧力容器、電気伝導
材、潤滑性、耐摩耗性、耐食性などを要求される機械等
の部材、種々の宇宙機器などへの利用が考えられ、ま
た、SiC繊維で強化した本発明の複合材料は、上記用
途のほかにロケットノズルや航空・原子力機器への利用
が考えられる。
【0010】本発明の繊維強化複合材料の形状は用途な
どに応じて、任意であり、特に制限はないが、通常、ロ
ッド、板、ブロック形などで得ることができる。本発明
におけるそれぞれの複合材料の特性について説明する
と、繊維としてラジアル構造ピッチ系炭素繊維を用いた
場合には、繊維の黒鉛結晶子の配向によって繊維の半径
方向の熱膨張率が大きくなるため、繊維に圧縮残留応力
が働いて、室温での引張強度の高い複合材料(b)が得
られる。アルミニウムと上記繊維との複合体では、その
室温での引張強度は析出温度の上昇とともに増加する。
これは、アルミニウムの被覆によって繊維の軸方向およ
び円周方向に、より大きな圧縮応力が働くことによる。
半径方向および円周方向の熱膨張率は、オニオン、ラン
ダム、ラジアルの順で大きくなる。したがって、ラジア
ル構造の繊維の円周方向の応力が最も大きく、亀裂の進
展が抑えられるため、アルミニウム被覆後の破断荷重が
最も増加する。また、オニオン構造ピッチ系炭素繊維を
用いた場合には、黒鉛結晶子の基底面が表面に配向する
ため金属との反応による炭化物ができにくく、高温にな
っても強度低下が起こらない複合材料(c)が得られ
る。特に高弾性の繊維を用いる場合、この効果が大き
い。オニオン構造を持つ炭素繊維とアルミニウムとの複
合体はランダム構造やラジアル構造のものと比べて高い
引張り破断荷重を示す。オニオン構造の複合体の熱処理
は、ランダム構造およびラジアル構造を持つ繊維では、
界面にコントラストの強い帯状の層(アルミニウム(オ
キシ)カーバイド)と同定)が見い出されるのに対し
て、オニオン構造を持つ繊維の複合体においては帯状の
部分はほとんど見られなかった。また、界面プロファイ
ルからは、これまでのものと比べて著しく低い酸素濃度
と、比較的急峻なアルミニウムと炭素の濃度勾配が見い
出された。このことは、オニオン構造の繊維はそれ自体
で拡散バリアー層を持っていることになり、別段のコー
ティングを必要とせず使用できる可能性を示唆してい
る。すなわち、オニオン構造を持つピッチ系炭素繊維は
金属等の強化繊維として用いると優れた特性が発揮され
る。ランダム構造ピッチ系炭素繊維を用いた場合には、
(b)と(c)の中間の特性を維持できる複合材料
(a)とすることができる。したがって、得られる複合
材料が用いられる温度や要求される靭性などに応じてラ
ジアル、オニオン、ランダムのいずれかを選択すること
が好ましいが、高温における強度と靭性においてはオニ
オン構造ピッチ系炭素繊維を用いるのが好ましく、室温
における強度においてはラジアル構造ピッチ系炭素繊維
を用いるのが好ましい。
【0011】また、本発明で規定する特定の黒鉛結晶子
サイズを有する炭素繊維を用いた場合、金属と黒鉛との
反応において酸素が拡散しにくく、酸化反応が起こりに
くいと考えられる。このため、特定の黒鉛結晶子サイズ
を有する炭素繊維を用いた本発明の複合材料は、加熱後
の繊維劣化が起こらず、高い強度、靭性を有する。さら
に、非晶質構造さらには結晶粗大化阻止元素(Ti、Z
r等)を有するSiC繊維の場合には、高温における結
晶粒の粗大化が起こりにくいことから、加熱による強度
低下の少ない複合材料(d)とすることができる。すな
わち、本発明の複合材料は、新しい概念に基づく新素材
であり、利点はFRMとして同じ系でも用途に応じて最
適なものを使い分けられることである。例えば、高温が
かかる用途、ほぼ室温だけの用途、高弾性が必要な用途
などで使い分けられる。具体的な用途を以下にあげる。 用途 複合材料 タービンブレード/Ti、Al合金、アルミナイド a,b,c,d 航空・原子力機器/Be合金 d 圧力容器/Mg合金 a,b,c,d ロケットノズル/Cr、Co、Mo合金 d 宇宙機器/Ni合金 a,b,c 潤滑耐摩耗等機械産業機器/Al、Mg、Zu、Cu合金 a,b,c 電気伝導材/Cu合金、Ag合金 a,b,c,d 耐食性/Pb合金 a,b,c,d
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。 実施例1 表1記載の炭素繊維(繊維径10μm)とアルミニウム
とを複合化し、単繊維複合体(体積繊維含有率20〜7
0%)と通電加熱ワイヤー(体積繊維含有率20〜40
%)を得た。単繊維複合体はCVD法により複合化し
た。具体的には、ホルダーにそれぞれの繊維を固定して
反応室に設置した後、ロータリーポンプで10-1Paま
で排気し、続いてArガスを導入しながらトリイソブチ
ルアルミニウム(TIBA)を導入し、所要時間1ks
で繊維上にアルミニウムを析出させた。析出条件はTd
=553K、Tv =373K、Pd =3990Pa、F
=7ml/sであり、得られた繊維強化複合材料試料は
断面が、炭素繊維の周囲にアルミニウム被膜を被覆した
構造を有し、Vf は約70%であった。また、通電加熱
ワイヤーの場合は、繊維束(1000本)の両端を銅電
極で固定し、繊維束に直接電流を流すことによって加熱
し、IR−P放射温度計(千野製作所社製)で繊維の表
面温度を検知し573〜673Kに制御しながら上記C
VD法と同様にして繊維上にアルミニウムを析出含浸さ
せた。複合体の熱処理は1気圧のAr(純度99.99
95mass%、H2 <0.5ppm、O2 <0.5p
pm、H2 O<5ppm、N2 <3ppm)中で、表1
記載の通り、773又は873Kの温度で、7.2又は
36ks間行った。
【0013】得られた複合材料試料について下記の試験
を行った。 単繊維引張り試験 TCM−50型万能引張り試験機(NMBミネベア社
製)を用い、これに100g(1ニュートン(N))の
引張りロードセルTT3−100を装着して破断荷重を
測定した。ゲージ長は0.02m、引張り速度は装置の
最小設定値である8μm/sで行った。 ワイブル解析 繊維はその中の最も弱い部分で破断が生じることから、
繊維の強さは最も弱い部分が存在する確率に支配される
ので、強さの分布は正規分布よりもワイブル(weib
ull)分布によく一致する。このことから、で求め
た強度データのワイブル解析を行い、ワイブル係数を求
めた。
【0014】比較として、金属との複合化を行わないピ
ッチ系炭素繊維、及びPAN系炭素繊維とそのアルミニ
ウムとの複合体についても上記の測定を行った。また、
複合化したアルミニウムをフッ化水素酸(試薬特級46
mass%)を水で希釈して約5mass%としたもの
に約1ks間浸漬して除去し、水洗、乾燥したものの強
度も測定した(表中に「Al(除去)」として記載)。
結果を表1及び表2に示した。表1及び2より明らかな
とおり、本発明の各複合体は、PAN系炭素繊維を用い
た複合体の比較例であるNo.14及び16に比べ、はる
かに高い強度を有する。ラジアル構造ピッチ系炭素繊維
を用いたNo.2、4、6は、加熱による強度の低下が多
少みられるが、室温では十分に高い強度を有している。
また、オニオン構造ピッチ系炭素繊維を用いたNo.8及
び10は、加熱による強度低下が非常に少ない優れた複
合材料であることがわかる。なお上記結果中Al除去後
の繊維が弱いものは反応劣化したことを意味し、Al除
去後の繊維が元の繊維の強度と等しいものは劣化してい
ないことを意味する。Al除去後の繊維の方が元の繊維
より強くなっているのはなんらかの理由で繊維の欠陥が
補強されたこと等によると考えられる。また、測定した
引張り強度とヤング率の関係についてグラフにしたとこ
ろ、図3のような結果を得た。本発明の複合材料は全般
に比較例のものより高い強度を示し、かつ、ランダム及
びラジアル構造の炭素繊維を用いた本発明の複合材料に
ついてはヤング率が高くなると破断荷重が低くなってい
る。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】実施例2 表3に示す炭素繊維に変えた以外は実施例1と全く同様
にして複合材料の試料を製造し、実施例1と同様の試験
を行い、その結果を表3に示した。ここで用いた炭素繊
維の結晶子サイズを図4に示した。
【0018】
【表3】
【0019】実施例3 非晶質SiC繊維であるチラノ(商品名、宇部興産社
製)に0.2〜1μm厚のカーボン被覆を形成し、チタ
ン及びアルミニウムと複合化して単繊維複合体を得た。
複合化は高周波スパッタリング装置を用い、スパッタ時
間30分、ガス圧0.8Pa(Ar)、高周波出力30
0W、膜組成の制御性と再現性に優れたラジアル形のチ
タンとアルミニウムを組み合わせた直径100mm、厚
さ5mmの複合ターゲット、析出温度は室温、ターゲッ
ト距離は50mmで行った。繊維へのつきまわり性を向
上させるために2方向から処理を行った。比較として、
結晶性SiC繊維であるニカロン(商品名、日本カーボ
ン社製)を用いて、同様に単繊維複合体を作製した。な
お、ニカロン繊維、チラノ繊維のいずれもSiCの非晶
質主体の繊維であり、若干のβ−SiC結晶を含む。結
晶サイズはLc(111)でニカロンが2.2nmから
5.4nm、チラノが1.0nmから1.3nmであ
る。(ニカロンの方は高温における結晶粗大化阻止元素
Ti、Zrを含んでいない。) 得られた複合体を1073K又は1173Kで2時間
(7.2ks)、Ar中で熱処理し、引張強度を調べた
ところ、図5に示すように結晶質繊維を用いたものより
もはるかに加熱による強度低下が少ないという結果を得
た。
【0020】
【発明の効果】本発明の複合材料は、特定の結晶構造を
有する繊維によって金属を強化したことにより、強度、
靭性に優れ軽量の複合材料とすることができ、その結晶
構造の選択により、さらに加熱による強度低下が少ない
などの特性を付与することができる。本発明の複合材料
は、繊維の結晶構造の選択により組成を変えずにその強
度などを向上させたものであり、リサイクル性の向上に
もつながるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いた炭素繊維のラジアル構造、オニ
オン構造、ランダム構造を模式的に示した説明図であ
る。
【図2】炭素繊維の黒鉛の基本構造(A)と微細構造モ
デル(B)の説明図である。
【図3】実施例1における各試料のヤング率と引張り強
度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2で用いた炭素繊維のヤング率とLc
(002)およびd002 との関係を示すグラフである。
【図5】実施例3で得られた非晶質SiC繊維を用いた
複合体の熱処理による引張強度の変化を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 49/00 C22C 21/00 C22C 47/16 D01F 9/145

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム及び/又はチタンをランダ
    ム構造ピッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなるこ
    とを特徴とする繊維強化複合材料。
  2. 【請求項2】 アルミニウム及び/又はチタンをラジア
    ル構造ピッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなるこ
    とを特徴とする繊維強化複合材料。
  3. 【請求項3】 アルミニウム及び/又はチタンをオニオ
    ン構造ピッチ系炭素繊維上に析出させて強化してなるこ
    とを特徴とする繊維強化複合材料。
  4. 【請求項4】 アルミニウム及び/又はチタンを黒鉛結
    晶子の結晶サイズがLc7〜18nm、d002
    0.340〜0.345nmである炭素繊維上に析出さ
    強化してなることを特徴とする繊維強化複合材料。
  5. 【請求項5】 アルミニウム及び/又はチタンを結晶粗
    大化を阻止する第3元素を含む非晶質SiC繊維上に析
    出させて強化してなることを特徴とする繊維強化複合材
    料。
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