JP3400134B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP3400134B2
JP3400134B2 JP22492094A JP22492094A JP3400134B2 JP 3400134 B2 JP3400134 B2 JP 3400134B2 JP 22492094 A JP22492094 A JP 22492094A JP 22492094 A JP22492094 A JP 22492094A JP 3400134 B2 JP3400134 B2 JP 3400134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りラジア
ルタイヤ、なかでも、運動性能にすぐれる、いわゆる高
性能タイヤに関し、ドライ路面に対するすぐれた操縦安
定性をもたらし、一方、発生騒音を十分低く抑えてな
お、ウェット排水性能を有効に向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高性能タイヤでは、タイヤ周方向
に延びる直線上周方向溝と、タイヤの正面視でV字状に
延びるそれぞれの傾斜溝とを組合せてなる、いわゆる方
向性パターンを採用することが一般に行われており、か
かるタイヤにおける、よりすぐれたウェット排水性の確
保は、多くは、ネガティブ率を高めることによって行わ
れている。
【0003】またこの一方で、タイヤの正面視でほぼV
字状に延びるそれぞれの傾斜溝と、それらの傾斜溝と同
方向に延在するも、タイヤ周方向に対する傾斜角がとく
に小さい急傾斜溝とを組合せるとともに、トレッド側部
区域に、タイヤの側方への排水のための緩傾斜溝を設け
ることによっても排水性能を向上させ得ることが確認さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる従来
技術にあっては、いずれの溝も、横断面形状が、方形、
台形等のチャンネル形状を呈していることから、とく
に、傾向的にタイヤ幅方向に延びる溝部分においては、
タイヤの回転方向の後方側に位置する溝壁が、あたかも
水車羽根の如くに機能して多量の水を溝部分内へ掻き込
むことになり、これがため、排水効率の向上のために
は、その溝部分によってタイヤの側方へ排水される水の
量をもまた十分大ならしめることが必要になるという不
都合があった。
【0005】この発明は、従来技術のかかる問題を解決
すべくなされたものであり、傾向的にタイヤ幅方向に延
びる溝部分への水の取り込み量を十分少ならしめること
により、その溝部分によるタイヤ側方への排水水量をと
くに増加させることなしに、排水効率を有効に向上させ
て、ハイドロプレーニング現象の発生を効果的に防止す
ることができる空気入りラジアルタイヤを提供するにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の空気入りラジ
アルタイヤでは、トレッド踏面部に、タイヤの、車両へ
の装着姿勢の正面視で、トレッドセンタ上に位置する、
もしくはトレッドセンタからトレッド幅方向に幾分オフ
セットして位置するパターンセンタを境に、下方から上
方に向けて次第に拡開する方向に延びる複数本の傾斜主
溝を設け、それらの各傾斜主溝を、パターンセンタ側部
分に延在して、タイヤ周方向に対し0〜30°の範囲の
角度をなす急傾斜部分と、この急傾斜部分に直接的もし
くは間接的に連続してトレッド端側部分に延在し、タイ
ヤ周方向に対して50〜90°の範囲の角度をなす緩傾
斜部分とを具えるものとし、前記緩傾斜部分の、少なく
ともタイヤの回転方向後方側に位置する溝壁を、タイヤ
の半径外方側に向けて溝幅が次第に拡がる方向に傾斜さ
せるとともに、その溝壁のタイヤ放射面に対する傾き角
を、タイヤの回転方向前方側に位置する溝壁の同様の傾
き角より大きくする。
【0007】ここで好ましくは、緩傾斜部分の、タイヤ
の回転方向後方側に位置する溝壁とトレッド陸部とを滑
らかに連続させる。また好ましくは、緩傾斜部分の、タ
イヤの回転方向後方側に位置する溝壁の、タイヤ放射面
に対する傾き角を45°以上とし、および/またはその
緩傾斜部分の、タイヤの回転方向前方側に位置する溝壁
を、タイヤの半径方向外方側に向けて溝幅が次第に狭ま
る方向に傾斜させる。
【0008】加えてここでは、パターンセンタを含んで
延在して、周方向に連続する環状陸部を設けることが好
ましく、また、傾斜主溝に、二本以上の緩傾斜部分を設
けることが好ましい。
【0009】またここでは、傾斜主溝を、急傾斜部分お
よび緩傾斜部分と、それらの両部分に直接的に連なり、
かつ、タイヤ周方向に対する角度がそれらの両部分の中
間の値となる遷移傾斜部分とで構成することが好まし
く、この場合には、傾斜主溝から、それらの急傾斜部分
に滑らかに連なる分岐溝を分岐させることが好ましい。
そして、ここにおいてより好ましくは、分岐溝のトレッ
ド端側の端部に連続する補助緩傾斜溝を設ける。
【0010】以上に述べたところにおいてより好ましく
は、傾斜主溝の相互間、分岐溝が存在する場合には、そ
の分岐溝と傾斜主溝との間にもまた、パターンセンタ側
に先細りとなる陸部部分を画成し、各陸部部分の、先細
り部分の表面高さを、それの先端側に向けて次第に低減
させる。そしてまた好ましくは、傾斜主溝と、それの下
側に隣接する溝とで区画される陸部を、パターンセンタ
側端からトレッド端まで実質的に連続させて設ける。
【0011】
【作用】この空気入りラジアルタイヤでは、それのトレ
ッドパターンを、トレッド踏面部に、傾向的にタイヤ周
方向および幅方向のそれぞれの方向に延びるそれぞれの
溝部分を具える方向性パターンとすることにより、タイ
ヤの負荷転動に際し、周方向の溝部分をもってタイヤの
前方側へ、また、幅方向の溝部分を持ってタイヤの側方
向へ、直接的または間接的にそれぞれ円滑に排水を行う
ことができる。
【0012】この場合において、このタイヤの幅方向溝
部分の、タイヤの回転方向後方側に位置する溝壁は、タ
イヤの半径方向外方側に向けて溝幅が拡開する方向に傾
斜し、かつ、その溝壁の、タイヤ放射面に対する傾き角
が、タイヤの回転方向前方側に位置する溝壁の同様の傾
き角よりはるかに大きいことから、タイヤの負荷転動に
当り、その溝壁は、幅方向溝部分に水を掻き込むという
よりはむしろ、その幅方向溝部分からの水の円滑なる逃
げ出しを案内すべく機能することになり、この結果とし
て、幅方向溝部分に取り込まれる水の絶対量が従来技術
に比してはるかに低減されて、路面内で排水しなければ
ならない水を最小限に抑えることができる。
【0013】従って、幅方向溝部分によるタイヤ側方向
への排水水量を積極的に増加させるまでもなく、排水効
率を十分に向上させて、ハイドロプレーニング現象の発
生を効果的に防止することができる。
【0014】図1はこのことを例示する要部略線縦断面
図であり、幅方向の溝部分gの、回転方向後方側に位置
する溝壁g1は、それを上述したように構成することに
より、タイヤの転動に際して、水Wを円滑に押し退け流
動させることになるため、その溝部分内に取り込まれる
水の量は比較的少量となるも、図2に例示するような従
来の幅方向溝部分にあっては、タイヤの回転方向の後方
側に位置する溝壁の、タイヤの放射面に対する角度が極
めて小さいことから、タイヤの転動に際して、その溝壁
が、幅方向溝部分へ水を掻き込むことになり、それ故
に、その幅方向溝部分へ取り込まれる水の量は相当多く
なる。
【0015】ところで、このタイヤにおいて、タイヤの
回転方向後方側に位置する溝壁と、トレッド陸部とを、
テーパ面もしくは曲面をもって、たとえば図1に示すよ
うに滑らかに連続させた場合には、溝壁g1による水W
の押し退け流動をより円滑ならしめて、溝部分内への取
り込み水量を一層低減させることができる。
【0016】この発明の空気入りラジアルタイヤでは、
パターンセンタ側部分で、主にはタイヤ周方向に延びる
急傾斜部分を、タイヤ周方向に対して0〜30°、より
好ましくは5〜25°の範囲で、また、トレッド端側部
分で、主にはタイヤ幅方向に延びる緩傾斜部分を50〜
90°、より好ましくは60〜85°の範囲で形成する
ことにより、傾斜主溝によるすぐれたウェット排水性能
を確保することができる。
【0017】これはすなわち、タイヤの接地面内での水
の流れを観察すると、パターンセンタ域では、水は、タ
イヤ周方向に対して30°の範囲で前方側に排出され、
また、側部区域では、真横より幾分前方側へ排水される
傾向にある、という事実に基づくものである。
【0018】加えてここでは、緩傾斜部分の角度を50
〜90°とすることにより、緩傾斜部分により区画され
る陸部の横剛性を十分に高めて、すぐれた操縦性をもた
らすこともできる。
【0019】しかもこのタイヤでは、緩傾斜部分の、タ
イヤの回転方向後方側に位置する溝壁を、その後方側に
大きく傾斜させ、より好ましくは、その溝壁と、それに
て区画されるトレッド陸部とを滑らかに連続させること
により、その溝壁によって、緩傾斜部分内へ取り込まれ
る水の量を、従来技術に比して有効に低減させることが
でき、これがため、その緩傾斜部分によるタイヤ側方へ
の排水を極めて効率的に行うことができる。
【0020】そしてこのことは、タイヤの回転方向の後
方側に位置する溝壁の、タイヤ放射面に対する傾き角を
45°以上とした場合にとくに顕著である。すなわち、
それが45°未満では、タイヤの踏み込み角等との関連
において、その障壁による水の押し退けが十分円滑に行
われないおそれがある。
【0021】また、緩傾斜部分の、回転方向前方側の溝
壁を、タイヤの半径方向外方側に向けて溝幅が狭まる方
向に傾斜させて、いわゆるオーバハンク状態としたとき
には、溝表面幅を一定とした場合に、回転方向後方側の
溝壁の、タイヤ放射面に対する傾き角を一層大きくし
て、水の押し退けをより円滑ならしめることができる。
【0022】ところで、このタイヤにおいて、傾斜主溝
の急傾斜部分をパターンセンタの手前側位置にて終了さ
せることによって、パターンセンタを含んで延在して、
周方向に連続する環状陸部を設けた場合には、パタンセ
ンター部分が連続してスムースに接地することによりパ
タンノイズが低減できる。
【0023】さらに、傾斜主溝に、二本以上の緩傾斜部
分を設けた場合には、タイヤの側方への排水量を効果的
に増加させて接地面内の水を十分に排除することがで
き、ハイドロプレーニング現象の発生をより有効に防止
することができる。
【0024】またここで、傾斜主溝を、急傾斜部分およ
び緩傾斜部分と、それらの両部分に連なる中間傾斜の遷
移傾斜部分とで構成した場合には、急傾斜部分から緩傾
斜部分へ流入する水の急激な方向変換、ひいては、その
急激な方向変換に起因する流れの乱れを防止して、排水
効率を有効に高めることができる。
【0025】そしてこの場合において、傾斜主溝から、
それの急傾斜部分に滑らかに連なる分岐溝を分岐させた
ときには、その分岐溝により、タイヤの前方側への排水
量を増加させて、接地面内の水を一層有効に排除するこ
とができ、また、その分岐溝端に、前述した緩傾斜溝と
同様の構成の補助緩傾斜溝を連続させて設けたときに
は、タイヤの側方への排水量をもまた増加させることが
できる。
【0026】さらに、傾斜主溝の相互間および/また
は、傾斜主溝と分岐溝との間に、パターンセンタ側に先
細りとなる陸部部分を画成し、より好ましくは辺縁挟角
を5〜40°、なかでも10〜30°としたその陸部部
分の、先細り部分の表面高さを先端側に向けて次第に低
減させた場合には、その先細り部分の接地に際する、そ
れのクラッシング、いいかえれば、その先細り部分の溝
内への逃げ変形を十分に防止して、排水の分岐流動を円
滑ならしめるとともに、分岐抵抗を有効に低減させるこ
とができる。
【0027】ところで、先細り部分の表面高さの低減
は、この一方で、陸部部分の剛性の確保に寄与し、接地
域の面圧の確保にも寄与することから、すぐれた操縦安
定性をもたらすべくも機能することになる。
【0028】なおこのタイヤにおいて、傾斜主溝と、そ
れの下側に隣接する溝とで区画される陸部を、パターン
センタ側端からトレッド端まで実質的に連続させて設け
た場合には、スムースな接地が得られることでパターン
ノイズが低減され、またブロック剛性も高くなり操縦性
も良くなる。また、両脇の傾斜主溝も、他の溝と合流す
ることなく連続するため、流れの損失がなく排水性にも
優れる。
【0029】
【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図3は、発明タイヤのトレッドパターンを例示
する展開図である。なお、タイヤの内部補強構造は、一
般的なラジアルタイヤのそれと同様であるので、ここで
は図示を省略する。図中Cはパターンセンタを示し、こ
のパターンセンタCは、図示のようにトレッドセンタに
一致させることの方、そのトレッドセンタから、所要の
方向へ幾分オフセットさせることもできる。
【0030】この例では、トレッド踏面部1に、タイヤ
の車両への装着姿勢の正面視で、パターンセンタCを境
に、下方から上方に向けて次第に拡開する方向に延びて
トレッド端に開口する複数本の傾斜主溝2を設け、これ
らの傾斜主溝2を設け、これらの傾斜主溝2のそれぞれ
を、パターンセンタCを隔てたそれぞれの半部で、タイ
ヤ周方向に半ピッチづつオフセットさせて位置させる。
またここでは、各半部の傾斜主溝2の内端を、パターン
センタCに突き当てて終了させることにより、実質的に
周方向に連続する周方向溝3を形成する。
【0031】これに対し、各傾斜主溝2の内端部分を、
好ましくは、パターンセンタ側に向けて漸次先細りに形
成し、そして、その側縁を、パターンセンタCの手前側
に位置させることもでき、この場合には、パターンセン
タCを含んで延在して、周方向に連続する環状陸部が画
成されることになる。
【0032】そしてこの例では、各傾斜主溝2を、パタ
ーンセンタ側部分で、主にはタイヤ周方向に延在し、タ
イヤ周方向に対する角度θが0〜30°、好適には5
〜25°の範囲内の値である急傾斜部分4と、この急傾
斜部分4のトレッド端側端部および中間部のそれぞれに
連続し、トレッド端側部分で、主にはタイヤ幅方向に延
在して、タイヤ周方向に対する角度θがいずれも50
〜90°好適には60〜85°の範囲内の値である二本
の緩傾斜部分5、6とで構成する。なおここで、急傾斜
部分4の配設ピッチ、延在角度等との関連において、一
の急傾斜部分4に対して一の緩傾斜部分だけを設けるこ
とも可能である。
【0033】ところで、ここにおけるそれぞれの緩傾斜
部分5、6ではともに、図4に一方の緩傾斜部分5をも
って例示するように、タイヤの回転方向の後方側に位置
する溝壁5aを、タイヤの半径方向外方側に向けて溝幅
が次第に拡開する方向に傾斜させるとともに、その溝壁
5aの、タイヤ放射面Rに対する傾き角を50度とし、
そして、その溝壁5aを、緩傾斜部分5にて区画される
陸部に、曲面7を介して滑らかに連続させる。これに対
し、タイヤの回転方向の前方側に位置する溝壁5bは、
タイヤの半径方向外方側に向けて溝幅が次第に狭まる方
向に傾斜するオーバーハンク状態とし、その溝壁5b
の、タイヤ放射面Rに対する傾き角を10°とする。
【0034】ここで、溝壁5bの傾斜方向は、図示例だ
けに限定されるものではなく、それをタイヤ放射面上に
位置させることもでき、また、溝幅を拡開する方向に傾
斜させることもできる。
【0035】さらにここでは、パターンセンタCの各半
部で、傾斜主溝2の相互間に画成されて、パターンセン
タ側に先細りとなる陸部部分8の辺縁挟角φを5〜4
0°、より好ましくは10〜30°とするとともに、そ
の先細り陸部部分8の長さ方向の、好ましくは10〜3
0mmの範囲内、図では斜線を施して示す部分内で、そ
れの表面高さを先端側に向けて次第に低下させる。
【0036】図5はこのことを例示する、陸部部分8の
長さ方向に沿う断面図であり、ここでは、その先細り陸
部部分8の表面高さを、タイヤの半径方向外方へ凸とな
る曲面をもって低減させている。なお、陸部部分8の表
面高さの低減は、平坦面をもってしても実現することが
できる。
【0037】加えてこの例では、各傾斜主溝2と、それ
の下方側に隣接する他の傾斜主溝2とで区画されて、前
述した先細り陸部部分8に連続する陸部9を、パターン
センタ側端からトレッド端まで実質的に連続させて形成
する。図に示すところでは、それぞれの陸部9に、タイ
ヤの接地性及び、エッジ効果の向上を目的とするサイプ
10の複数本を、それぞれの緩傾斜部分5、6の最深部
の延長線上に形成しているが、これらのサイプ10は、
陸部9の連続性を妨げるものではない。
【0038】以上のように構成してなるタイヤは、パタ
ーンセンターからトレッド端まで実質上連続してなる陸
部が十分なブロック剛性を確保するため、ドライ路面に
対するすぐれた操縦安定性をもたらし、また、同様に連
続しているが故にスムーズな接地が得られインパクト成
分を抑え、パターンノイズの発生を有効に抑制すること
ができ、そしてさらには、傾斜主溝2の、主にはタイヤ
周方向に延びる急傾斜部分4および、主にはタイヤ幅方
向に延びる緩傾斜部分5、6のそれぞれの排水作用、な
かでも、緩傾斜部分5、6の、タイヤの回転方向後方側
の溝壁5a、6aの、前述したような作用によってウェ
ット排水性能を大きく向上させることにより、ハイドロ
プレーニング現象の発生を効果的に抑制することができ
る。
【0039】図6は他の実施例を示すトレッドパターン
であり、これは、一本の急傾斜部分4に連続する二本の
緩傾斜部分5、6のうち、一方の緩傾斜部分5を、その
急傾斜部分4まで連続させて設ける一方、他方の緩傾斜
部分6の延長線上で、その一の急傾斜部分4と他の急傾
斜部分4との間に延長緩傾斜部分11を設け、そして、
先細り陸部部分8に、トレッド端側からそれの中間部ま
で延びる細溝12を設けたものである。
【0040】この例によれば、傾斜主溝間に区画される
陸部9が不連続になることから、パターンノイズの若干
の増加は余儀なくされるも、緩傾斜部分5が二本の急傾
斜部分4に連続するとともに、延長緩傾斜部分11が存
在することにより、前述したところに加えて、横方向の
排水が促進されるため、ウェット排水、特にコーナリン
グ時の排水性が向上する。
【0041】図7は、また他の実施例を示すトレッドパ
ターンである。この例は、傾斜主溝2を、急傾斜部分4
と、この急傾斜部分4に滑らかに連続し、タイヤ周方向
に対する角度θが急傾斜部分4の同様の角度θより
大きく、緩傾斜部分5、6の同様の角度θより小さい
遷移傾斜部分13と、この遷移傾斜部分13のトレッド
端側部分および中間部のそれぞれに連続する緩傾斜部分
5、6とで構成し、とくには、遷移傾斜部分13の存在
下で、急傾斜を保ちつつ溝が分岐するため、流水の損失
が少なく、効率的な排水が行われる他、排水の急激な方
向変換に起因する流れの乱れを防止して、この点からも
また排水効率を高めることができる。
【0042】またここでは、傾斜主溝2から、それの急
傾斜部分4に滑らかに連なる分岐溝14をパターンセン
タ側に分岐させて設け、この分岐溝14のトレッド端側
端部に、緩傾斜部分5、6と実質的に平行に延びて、そ
れと同様の構成を有する補助緩傾斜溝15を連続させて
設け、これらのことによって、接地端への排水が速やか
に行なわれ、特にコーナリング時のウェット排水性が優
れたものになる。
【0043】さらにここでは、傾斜主溝2の遷移傾斜部
分13と分岐溝14との間に画成される先細り陸部部分
16の辺縁挟角φもまた5〜40°の範囲、好適には
10〜30°とし、この先細り陸部部分16の表面高さ
をもまた、先細り陸部部分8と同様に先端側に向けて次
第に低減させる。
【0044】ところで、この例では、傾斜主溝2と、そ
れの下側に隣接する溝とで区画されて、陸部部分8に連
続する陸部17を、パターンセンタ側端からトレッド端
まで実質的に連続させて形成する。なお、この例におい
てもまた、陸部17にサイプ18を形成しているが、前
述したように、サイプ18は、陸部の連続性の妨げとは
ならない。
【0045】かくして、このタイヤによってもまた、す
ぐれた操縦安定性をもたらすとともに、騒音の発生を有
効に抑制して、ウェット排水性能を大きく向上させるこ
とができる。
【0046】図8は、さらに他の実施例を示すトレッド
パターンであり、これはおおよそ、図7に示すタイヤか
ら緩傾斜部分5および補助緩傾斜溝15を省いたものに
相当する。なおここで、遷移傾斜部分13、分岐溝14
の各々は、所要に応じてトレッド端に完全に開口させる
こと、またはトレッド端の手前側位置で終了させること
も可能である。この例のタイヤもまた、この発明の必須
の構成要件を全て具備することから、前述したそれぞれ
の実施例と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0047】[比較例]以下に発明タイヤと従来タイヤ
との、ウェット排水性能、ドライ路面での操縦安定性お
よびパターンノイズに関する比較試験について説明す
る。
【0048】◎供試タイヤ サイズが225/50 R16で、トレッド幅が200
mmの乗用車用タイヤ。 ○発明タイヤ1 図3に示すトレッドパターンを有するタイヤであって、
表1に示す寸法諸元を有するもの。なお、緩傾斜部分
5、6のそれぞれの溝壁5a、6a、5b、6bは、図
9に示すそれぞれの角度を有するものとし、溝巾L=7
mm、溝深さH=5.5mm、溝断面積=22mm
した。
【0049】
【表1】
【0050】○発明タイヤ2 図6に示すトレッドパターンを有するタイヤであって、
表2に示す寸法諸元を有するもの。なお、緩傾斜部分
5、6および延長緩傾斜部分11のそれぞれの溝壁角度
は、発明タイヤ1と同一とした。
【0051】
【表2】
【0052】○発明タイヤ3 図7に示すトレッドパターンを有するタイヤであって、
表3に示す寸法諸元を有するもの。緩傾斜部分5、6お
よび補助緩傾斜溝15のそれぞれの溝壁角度は、回転方
向の後方側で60°、前方側で0°とした。
【0053】
【表3】
【0054】○発明タイヤ4 図8に示すトレッドパターンを有するタイヤであって、
表4に示す寸法諸元を有するもの。緩傾斜部分6のそれ
ぞれの溝壁角度は、回転方向の後方側で65°、前方側
で、オーバハンク方向に5°とした。
【0055】
【表4】
【0056】○従来タイヤ 図10に示すトレッドパターンを有するタイヤである。
このタイヤは、従来の空気入りタイヤのトレッドパター
ンの典型的な例であって、図示のように5本の周方向溝
と、多数の方向性傾斜溝が周方向に間隔をおいて配置さ
れている。タイヤ・サイズは225/50 R16で、
トレッド幅TWは約200mmであって、いずれも上記
実施例と同じである。トレッド中央に設けられた周方向
溝23は幅4mmの狭い溝であるが、その左右に溝幅1
1mmの一対の周方向溝24が設けられ、さらにトレッ
ド両端部からトレッド中央部に向かって、トレッド幅の
約1/4に相当する個所に溝幅10mmの一対の周方向
溝25が設けられ、この4本の太い周方向溝25が設け
られ、この4本の太い周方向溝と多数の方向性傾斜溝2
0、21、22が濡れたウェット路面での排水性に寄与
するものである。この方向性傾斜溝は図10(b)に示
すような断面形状を有し、溝幅L=4mm、溝深H=
6.5mmとし、溝断面積を22mmとして発明タイ
ヤ1の緩傾斜部分5、6の溝断面積に合致させている。
【0057】◎試験方法 上記各タイヤの充填内圧を2.3kg/cm2として実車に装
着し、一名乗車相当の荷重条件において、ウェット排水
性については、水深10mmのウェット路面を直進走行
時における、ハイドロプレーニング現象の発生速度を測
定して評価し、併せて、水深10mmのウェット路面を
半径80mで旋回走行時の限界横Gを計測するととも
に、ハイドロプレーニング現象の発生速度を測定して評
価し、ドライ路面での操縦安定性は、ドライ状態でのサ
ーキットコースを各種モードでスポーツ走行したときの
テストドライバーのフィーリングをもって評価し、ま
た、パターンノイズは、直線平滑路を100km/hか
ら惰性走行したときの車室内騒音を測定して評価した。
【0058】◎試験結果 上記試験の結果を表5に、従来タイヤをコントロールと
して指数100をもって示す。なお指数値は大きいほど
すぐれた結果を示すものとする。
【0059】
【表5】
【0060】
【発明の効果】前記比較例からも明らかなように、この
発明によれば、ドライ路面でのすぐれた操縦安定性を確
保し、また、パターンノイズを十分低く抑えてなお、ウ
ェット排水性能を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明タイヤの幅方向溝部分の作用を示す略線
縦断面図である。
【図2】 従来タイヤの幅方向溝部分の作用を示す略線
縦断面図である。
【図3】 発明タイヤのトレッドパターンを例示する図
である。
【図4】 緩傾斜部分の溝壁の傾き角を例示する断面図
である。
【図5】 先細り陸部分の高さの低減態様を例示する断
面図である。
【図6】 発明タイヤの他のトレッドパターンを例示す
る図である。
【図7】 発明タイヤの他のトレッドパターンを例示す
る図である。
【図8】 発明タイヤのさらに他のトレッドパターンを
例示する図である。
【図9】 緩傾斜部分の溝壁角度を示す横断面図であ
る。
【図10】 従来タイヤのトレッドパターン等を例示す
る図である。
【符号の説明】
g 幅方向の溝部分 g 溝壁 W 水 C パターンセンタ 1 トレッド踏面部 2 傾斜主溝 3 周方向溝 4 急傾斜部分 5、6 緩傾斜部分 5a、6a 回転方向後方側溝壁 5b、6b 回転方向前方側溝壁 7 曲面 8、16 先細り陸部部分 9、17 陸部 10、18 サイプ 11 延長緩傾斜部分 13 遷移緩傾斜部分 14 分岐溝 15 補助緩傾斜溝 θ、θ、θ 角度 φ、φ 辺縁挟角 R タイヤ放射面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−299908(JP,A) 特開 平2−102802(JP,A) 特開 昭63−106114(JP,A) 特開 平5−319025(JP,A) 特開 平4−218410(JP,A) 特開 平5−286312(JP,A) 特開 昭63−222905(JP,A) 特開 平6−48122(JP,A) 実開 昭62−174905(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 11/04,11/11,11/13

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッド踏面部に、タイヤの、車両への
    装着姿勢の正面視で、パターンセンタを境に、下方から
    上方に向けて次第に拡開する方向に延びる複数本の傾斜
    主溝を設け、 それらの各傾斜主溝を、パターンセンタ側部分に延在し
    て、タイヤ周方向に対し0〜30°の範囲の角度をなす
    急傾斜部分と、この急傾斜部分に連続してトレッド端側
    部分に延在し、タイヤ周方向に対して50〜90度の範
    囲の角度をなす緩傾斜部分とを含むものとし、 前記緩傾斜部分の、少なくとも、タイヤの回転方向後方
    側に位置する溝壁を、タイヤの半径外方側に向けて溝幅
    が次第に広がる方向に傾斜させるとともに、その溝壁
    の、タイヤ放射面に対する傾き角を、タイヤの回転方向
    前方側に位置する溝壁の同様の傾き角より大きくしてな
    る空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記緩傾斜部分の、タイヤの回転方向後
    方側に位置する溝壁とトレッド陸部とを滑らかに連続さ
    せてなる請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記緩傾斜部分の、タイヤ回転方向後方
    側に位置する溝壁の、タイヤ放射面に対する傾き角を4
    5°以上としてなる請求項1もしくは2に記載の空気入
    りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記緩傾斜部分の、タイヤの回転方向前
    方側に位置する溝壁を、タイヤの半径方向外方側に向け
    て溝幅が次第に狭まる方向に傾斜させてなる請求項1〜
    3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記緩傾斜部分の表面溝幅を、前記急傾
    斜部分のそれ以上としてなる請求項1〜4のいずれかに
    記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 【請求項6】 傾斜主溝の相互間に、パターンセンタ側
    に先細りとなる陸部部分を画成し、各陸部部分の、先細
    り部分の表面高さを、先端側に向けて次第に低減させて
    なる請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアル
    タイヤ。
  7. 【請求項7】 パターンセンタを含んで延在して、周方
    向に連続する環状陸部を設けてなる請求項1〜6のいず
    れかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  8. 【請求項8】 傾斜主溝に、二本以上の緩傾斜部分を設
    けてなる請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りラジ
    アルタイヤ。
  9. 【請求項9】 傾斜主溝を、急傾斜部分および緩傾斜部
    分と、それらの両部分に直接的に連なるとともに、タイ
    ヤ周方向に対する角度がそれらの両部分の中間の値とな
    る遷移傾斜部分とで構成してなる請求項1〜8のいずれ
    かに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  10. 【請求項10】 傾斜主溝から、それの急傾斜部分に滑
    らかに連なる分岐溝を分岐させてなる請求項9記載の空
    気入りラジアルタイヤ。
  11. 【請求項11】 前記分岐溝のトレッド端側の端部に連
    続する補助緩傾斜溝を設けてなる請求項10に記載の空
    気入りラジアルタイヤ。
  12. 【請求項12】 傾斜主溝の相互間および、傾斜主溝と
    分岐溝との間に、パターンセンタ側に先細りとなる陸部
    部分を画成し、各陸部部分の先細り部分の表面高さを、
    先端側に向けて次第に低減させてなる請求項10もしく
    は11に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  13. 【請求項13】 傾斜主溝と、それの下側に隣接する溝
    とで区画される陸部を、パターンセンタ側端からトレッ
    ド端まで実質的に連続させて設けてなる請求項1〜12
    のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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