JP3395294B2 - ウォータージェット推進器用インテーク部の圧力損失低減装置 - Google Patents

ウォータージェット推進器用インテーク部の圧力損失低減装置

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JP3395294B2
JP3395294B2 JP28209893A JP28209893A JP3395294B2 JP 3395294 B2 JP3395294 B2 JP 3395294B2 JP 28209893 A JP28209893 A JP 28209893A JP 28209893 A JP28209893 A JP 28209893A JP 3395294 B2 JP3395294 B2 JP 3395294B2
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敏雄 中西
政夫 菅谷
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石川島播磨重工業株式会社
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  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はウォータージェット推進
器のフラッシュ型インテーク(入取入口)に発生する渦
対を伴う二次流れによる圧力損失を低減してウォーター
ジェット推進艇の推進効率を向上させるようにするため
に用いるウォータージェット推進器用インテーク部の圧
力損失低減装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ウォータージェット推進器は、図12に
一例の概略を示す如く、ウォータージェット推進艇の船
尾側の船底部に開口させたインテーク2と船尾端に開口
させた吐出ノズル3とを連絡するフラッシュ型インテー
クダクト1内に、軸受4を介して船体側に回転自在に支
持させた主軸5を水平状態に延長させて、該主軸5の先
端部に、軸流ポンプを構成するように案内羽根6を固定
すると共に、羽根車7を取り付け、ウォータージェット
推進艇の航行時に主軸5を回転させて羽根車7を回転さ
せることにより、インテーク2部からインテークダクト
1内へ取り込まれた水をジェット水としてノズル3より
後方へ噴出させて推進力を得るようにしてある。
【0003】上記ウォータージェット推進艇の推進効率
は、インテーク2から取り込まれた流体がインテークダ
クト1内のポンプを経て噴出させられるときの全圧損失
係数(ζ=(Pt∞−Ptd)/ 1/2ρVs 2 )により
大きな影響が与えられるものであり、全圧損失係数を低
減することがウォータージェット推進艇の推進効率の向
上を図ることができることになる。ここで、Pt∞はイ
ンテーク2部の全圧、Ptdはインテークダクト内の全
圧、∞は一様流(船速)である。
【0004】上記インテークダクト1での全圧損失係数
は、インテーク2部の流速、すなわち、船速をVs 、イ
ンテークダクト1内の流速をVd としたときのインテー
ク吸込速度比(I.V.R.)=Vd /Vs が変ること
により、インテークダクト1内の流速分布が変化してポ
ンプ部のキャビテーション発生等に起因して異なること
が本発明者等の実験結果により判明している。
【0005】図13乃至図16は上記実験結果を示すも
ので、図13は船底形状が平底である場合の吸込速度比
(I.V.R.)により変化するインテークダクト1内
の垂直方向の流速分布を示すものであり、(イ)に示す
如きインテークダクト1において、インテーク2部の流
速Vs =35m/s のときのインテークダクト1のポンプ
入口部位置(A−B)における垂直方向の流速分布を
(ロ)に示す。
【0006】図13(ロ)において、曲線Iは、吸込速
度比(I.V.R.=Vd /Vs )が0.25のとき
で、リップ8側となる船底側では流速が大となって、ラ
ンプ9側となる上側では流速が小で、剥離して来てい
る。曲線IIは、I.V.R.=0.5のときで、リップ
8側の流速が大でランプ9側の流速が小となるような流
速分布となる。曲線III は、I.V.R.=0.75の
ときで、リップ8側とランプ9側とでの流速分布の差は
小さくなっている。曲線IVは、I.V.R.=1.0の
とき、曲線Vは、I.V.R.=1.25のときで、イ
ンテーク2部の流れが乱されてVs が小さくなって行く
に従いランプ9側の流速が大となるような流速分布とな
っている。
【0007】又、図14は船底形状が丸底の場合の吸込
速度比(I.V.R.)により流速分布が変化している
状態を示すもので、曲線I、II、III 、Vは図13
(ロ)の曲線I、II、III 、Vと同じであり、I.V.
R.=0.25、0.5、0.75、1.25の場合で
ある。
【0008】船底形状が平底である場合に、上記図13
(ロ)に示した如き流速分布を示す吸込速度比(I.
V.R.)の変化と全圧損失係数との関係は、図15に
示すとおりであり、又、船底形状が丸底である場合に、
上記図14に示した如き流速分布を示す吸込速度比
(I.V.R.)の変化と全圧損失係数との関係は、図
16に示すとおりである。
【0009】上記図15及び図16から明らかなよう
に、流速分布に差が少なくて流れが安定している吸込速
度比I.V.R.=0.9付近において全圧損失係数が
低く、インテークダクト1内流速分布の差が少ない場合
に全圧損失係数が少ないことがわかる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
にインテークダクト内流速分布の差が少ない吸込速度比
(I.V.R.)であれば、全圧損失係数を下げること
ができて、ウォータージェット推進艇の推進効率を向上
させることができるが、インテーク2の開口縁部には図
17に示す如く左右対称的に渦流10が発生するため、
この渦流が発生すると、渦流10を伴った粘性支配の強
い二次流れによる圧力損失がインテーク2部に生じ、そ
の結果、インテーク2への円滑な流入が行われなくなっ
てインテークダクト1内の流速Vd が低下し、上下方向
の流速分布の差が少ない吸込速度比に維持できなくなっ
て、全圧損失係数を低減できず、ウォータージェット推
進艇の推進効率を向上させることができない問題があ
る。
【0011】そこで、本発明は、ウォータージェット推
進艇の推進効率に影響するインテーク部の渦流を伴う二
次流れの発生を弱体化して、インテークからインテーク
ダクト内への円滑な流入を行わせるようにしようとする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、インテークの開口両側縁部近傍位置に、
該インテークの前後方向開口長さと等しいかそれより短
かい長さとした左右各1枚のサイドフェンスを、インテ
ークの開口幅寸法に対して1/5〜1/6の高さとして
前後方向に平行に設置してなる構成とする。
【0013】又、インテークの開口両側縁部近傍位置
に、該インテークの前後方向開口長さと等しいかそれよ
り短かい長さとした左右各1枚のサイドフェンスを、イ
ンテークの開口幅寸法に対して1/5〜1/6の高さと
して前後方向に船体中心線に対して所要角度傾斜させ
て、前端側よりも後端側が末広がり状となるように設置
してなる構成とすることができる。
【0014】更に、インテーク開口部の前端側の両側部
に、後方へ向けジェット噴流を生じさせる所要高さのジ
ェット噴流吹出し管を取り付け、該ジェット噴流吹出し
管より吹き出される作動水のジェット噴流がインテーク
の開口両側縁部を帯状に通過して後方へ移行するように
し、且つ上記ジェット噴流吹出し管への作動水をインテ
ークダクト内ポンプ出口部から導くようにしたものとし
てもよい。
【0015】
【作用】インテークの前後方向開口長さと等しいかそれ
より短かい長さとすると共にインテークの開口幅寸法に
対して1/5〜1/6の高さとした左右各1枚のサイド
フェンスを、インテークの開口両側縁部近傍位置に設置
すると、インテークの開口縁部に沿って発生する渦流を
伴った粘性支配の強い流れが、サイドフェンスにより弱
体化され、スムーズな流れとなってインテークへ円滑に
流入させられることになり、インテーク部の圧力損失が
低減されて、インテークダクト内の流速分布が改善さ
れ、全圧損失係数をより低減できて推進効率を向上でき
ることになる。
【0016】左右のサイドフェンスを船体中心線に対し
て所要角度傾斜させて前端側よりも後端側が末広がり状
となるように設置させると、船体が斜航するとき片方の
サイドフェンスに対する迎角が大きくなって揚力が発生
し、船尾が振られて船体の斜航が防止され、サイドフェ
ンスを傾斜させないで設置する場合に比してインテーク
部の圧力損失を低減できて、より推進効率を向上でき
る。
【0017】更に、インテーク開口部の両側部をジェッ
ト噴流が通過するようにインテーク開口部前端両サイド
に作動水をジェット噴流させる吹出し管を取り付けた場
合、ジェット噴流がサイドフェンスの機能をしてインテ
ークの開口縁部に発生する渦対を伴った粘性支配の強い
流れを弱体化でき、インテークへのスムーズな流入を行
わせることができることになる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0019】図1(イ)(ロ)(ハ)は本発明の一実施
例を示すもので、船底形状が丸底であるウォータージェ
ット推進艇の船底に細長く開口させたインテーク2の側
縁部に近接させて、所要の長さ及び幅寸法とした左右各
1枚のサイドフェンス11を、前後方向に平行に配設
し、該左右のサイドフェンス11間で水の流れを規制し
て、従来、図17の如くインテーク2部に発生していた
渦流を伴う二次流れ10を消去させて円滑な流れ12と
することができるようにする。
【0020】上記インテーク2部に前後方向に平行に取
り付けるサイドフェンス11の長さは、インテーク2の
開口長さLを430mmとしたとき、サイドフェンス11
の長さL1 は270mm〜430mmの範囲とし、且つサイ
ドフェンス11の取付け時の高さ(サイドフェンス11
の幅)Hは、インテーク2の開口幅寸法Bに対して1/
5〜1/6とすると、インテーク2部に発生する渦流を
伴う二次流れを弱体化して圧力損失を低減できる結果、
インテークダクト1内で流れが安定するところで全圧損
失係数を低減できることが本発明者等の実験により確認
された。
【0021】本発明者等の実験は、船底形状が平底の場
合と丸底の場合について、インテーク2の開口長さLを
L=430mm、インテーク2の開口幅の最大幅寸法Bを
B=125としたときに、サイドフェンス11の長さL
1 及び取付高さHを任意に変えて全圧損失係数がどのよ
うに変化するかについて行った。
【0022】その結果、図2及び図3に示す如き結果が
得られた。
【0023】図2は船底形状が平底の場合で、図中、○
印は、図15に示した従来の平底船底の場合における吸
込速度比(I.V.R.)が、0.25〜1.25まで
の範囲における全圧損失係数の変化を示すもので、これ
に対し、サイドフェンス11の長さL1 を、430mm、
270mm、230mm、180mmと変化させて、取付け高
さHは、すべて25mmとした場合の実験を行ったとこ
ろ、L1 =430mm、H=25mmのときは△印の如く、
1 =270mm、H=25mmのときは□印の如く、L1
=230mm、H=25mmのときは◇印の如く、L1 =1
80mm、H=25mmのときは●印の如き結果がそれぞれ
得られた。
【0024】又、図3は船底形状が丸底の場合で、図
中、○印は図16に示した従来の丸底船底の場合におけ
る吸込速度比が0.25〜1.25の範囲における全圧
損失係数の変化を示すもので、これに対し、サイドフェ
ンス11の長さL1 を、430mm、330mm、270m
m、230mm、180mmと変化させ、取付け高さHを、
25mm、18mmと変えた場合の実験を行ったところ、L
1 =430mm、H=25mmのときは△印の如く、L1
330mm、H=25mmのときは□印の如く、L1 =27
0mm、H=25mmのときは◇印の如く、L1 =270m
m、H=18mmのときは●印の如く、L1 =230mm、
H=25mmのときは×印の如く、又、L1 =180mm、
H=25mmのときは◆印の如き結果がそれぞれ得られ
た。
【0025】上記図2及び図3から明らかなように、高
さHを25mmとしたときにおいて、インテークダクト内
のポンプ部のキャビテーションの問題が少ない吸込速度
比(I.V.R.)が0.75〜1.0のところで全圧
損失係数を低減できるサイドフェンス11の長さは、下
限を270mm、上限を430mmとするのが有効であるこ
とがわかる。
【0026】上記長さのサイドフェンス11をインテー
ク2開口部に取り付けると、インテーク2部の流れが規
制されて円滑な流れとなる結果、インテーク2の開口縁
部に発生しようとする渦流を伴う二次流れが弱体化され
て、図1(ロ)に示す如く、インテーク2の開口縁部に
は流れ12のようになり、従来発生していたインテーク
2部での圧力損失は低減され、インテーク2への円滑な
流入が行われて、図2及び図3に示す如き全圧損失係数
の大幅な低減が図れることになる。
【0027】上記サイドフェンス11の長さL1 の下限
を270mmとするときの実験は、図4に示す如く、イン
テーク2の開口前端からサイドフェンス11の前端まで
の寸法L2 を80mmとし、このL2 =80mmを固定して
サイドフェンス11の長さL1 を変化させて、サイドフ
ェンス11の後端からインテーク2の開口後端までの寸
法L3 を変えて行った。サイドフェンス11の長さL1
の下限を270mmとするときのサイドフェンス11の位
置は、インテーク2の開口部の前方及び後方約L/5.
4の位置、すなわち、L2 及びL3 を80mmとして配置
するのが有効である。
【0028】次に、図5は本発明の他の実施例を示すも
ので、左右のサイドフェンス11を、船体中心線Sに対
して各々θ角度(1〜2度)傾斜させて左右のサイドフ
ェンス11間のなす角度θ1 を約2〜4度となるように
取り付け、ウォータージェット推進艇が斜航したときに
サイドフェンス11で揚力を生じさせて船の斜航を防ぎ
船の方向安定性を図るようにすると共に、サイドフェン
ス11でインテーク2部を流体が円滑に流れるようにし
てインテーク2部の圧力損失を低減させるようにする。
【0029】ウォータージェット推進艇は航行中に船首
の向きを斜め前方に向けた姿勢で航行する、いわゆる斜
航することがあるが、かかる斜航において、船底部の左
右のサイドフェンス11が前端側より後端側へかけて末
広がり状に傾斜していて、左右のサイドフェンス11の
なす角度θ1 を2〜4度(片側のサイドフェンス11と
船体中心線Sの角度θを1〜2度)とした構成にする
と、図6に示す如く船が斜航したときには、一方のサイ
ドフェンス11は船の進行方向とほぼ平行状態になって
斜航角α−θになるが、他方のサイドフェンス11は進
行方向に対して斜航角α+θとなり、迎角が大きくなっ
て揚力Fが発生し、船尾側が矢印aの方向へ振られて斜
航が修正され、船の方向が安定化させられる。
【0030】このように船の斜航が修正されると、左右
のサイドフェンス11によりインテーク2部の流れが規
制されてインテーク2部の流れが円滑となり、圧力損失
が低減して、全圧損失係数は低減される。上記におい
て、左右のサイドフェンス11の取付角度θを1〜2度
として左右のサイドフェンス11のなす角θ1 を2〜4
度としたのは、θ1 が2度以下では船の斜航時に迎角が
大きくならないで揚力が小さくなり、又、θ1 が4度以
上では効果に変化がなく、むしろ航行時の水の摩擦抵抗
が大きくなって全圧損失係数の増大となり不利となるか
らである。
【0031】次に、上記した船の斜航がなくなるとイン
テーク2部の圧力損失が低減されて全圧損失係数が低減
することを、船底形状を丸底としたときの斜航した場合
と斜航しない場合について実験した結果、図7に示す如
き結果が得られた。図中、○印は斜航角α=0°の場合
であり、△印は斜航角α=3°の場合であり、□印は斜
航角α=6°の場合である。同図からインテークダクト
1内の流速分布の差が比較的少なくなる吸込速度比
(I.V.R.)=0.75付近では、斜航しない方が
全圧損失係数を大幅に低減できることがわかる。斜航す
ると、インテーク2部で流れが乱されて圧力損失が大と
なることに起因する。
【0032】又、船底形状を丸底としたときのサイドフ
ェンス11がない場合と、サイドフェンス11を取り付
けたときにサイドフェンス11の迎角θ=0°とした場
合とθ=1.5°とした場合における全圧損失係数を求
めたところ、図8に示す如き結果が得られた。図中、○
印はサイドフェンスがない場合であり、△印はサイドフ
ェンス11の迎角θ=0°の場合であり、□印はサイド
フェンス11の迎角θ=1.5°の場合である。同図か
ら明らかなように、サイドフェンスのないものに比し
て、迎角θ=0°でも左右にサイドフェンス11を設け
た方が、図1に示す前記実施例の如くインテーク2部に
発生する渦対に伴う二次流れによる圧力損失を低減でき
て、吸込速度比(I.V.R.)=0.75〜1.0の
付近で全圧損失係数ζを低減でき、サイドフェンス11
の迎角θ=1.5°とすると、θ=0°の場合よりもよ
り全圧損失係数を低減できて有効であることがわかる。
【0033】更に、船底形状を丸底としたときに、船底
にサイドフェンス11を取り付けた場合におけるサイド
フェンス迎角θ=0°及びθ=1.5°と船の斜航との
関係について全圧損失係数の差を求めたところ、図9に
示す如き結果が得られた。図中、○印はサイドフェンス
迎角θ=0°で斜航しない場合であり、△印はサイドフ
ェンス迎角θ=0°で斜航角α=3°の場合であり、□
印はサイドフェンス迎角θ=0°で斜航角α=6°の場
合である。又、●印はサイドフェンス迎角θ=1.5°
で斜航しない場合であり、×印はサイドフェンス迎角θ
=1.5°で斜航角α=3°の場合であり、◆印はサイ
ドフェンス迎角θ=1.5°で斜航角α=6°の場合で
ある。同図から明らかなように、船が斜航しないで且つ
サイドフェンスに取付角度をつけたものが全圧損失係数
低減上最も有効であり、次いで、船の斜航がなくサイド
フェンス11を船体中心線と平行でも船底に取り付ける
と有効であることがわかる。
【0034】又、図10(イ)(ロ)(ハ)は本発明の
更に他の実施例を示すもので、図1に示した実施例にお
いてインテーク2の側縁部に近接させて左右各1枚のサ
イドフェンス11を前後方向に配設して、インテーク2
の開口縁部に沿い発生する渦流を伴った粘性支配の強い
二次流れを、サイドフェンス11により水の流れを規制
することから消失させて円滑な流れ12とするようにし
たものに代えて、インテーク2の開口部の前端側におけ
る左右両側部の船底に、後方へ向け帯状にジェット噴流
14を生じさせるように軸心方向にスリットを開口させ
且つ断面形状を流線形として流体抵抗を少なくなるよう
にしたジェット噴流吹出し管13を、ジェット噴流14
が所要の幅となるよう所要高さ(サイドフェンス11の
高さHに相当)に取り付け、該左右のジェット噴流吹出
し管13から吹き出される作動水のジェット噴流14が
インテーク2の開口両側縁部を帯状に通過して、該イン
テーク2の開口両側縁近傍位置にジェット噴流14によ
るフェンスを作るようにし、且つ上記ジェット噴流吹出
し管13からジェット噴流14として吹き出す作動水
を、インテークダクト1内のポンプ羽根車7出口部から
導くようにするため、該インテークダクト1内のポンプ
羽根車7出口部とジェット噴流吹出し管13とを導管1
5で連絡し、ポンプ羽根車7出口部から導管15を経て
送られる作動水をジェット噴流吹出し管13より噴出さ
せるようにしたものである。
【0035】この実施例においては、インテーク2の開
口両側縁部にジェット噴流14のカーテンをフェンス状
に形成できるので、従来インテーク2の開口縁部に沿っ
て発生している渦流10を伴う二次流れに対し、インテ
ーク2の両側部に沿って形成されるジェット噴流14の
作用により図10(ロ)に破線で示す如き反対方向の流
れ16の作用が生じ、従来発生していた渦流10を伴う
二次流れの発生を弱めて円滑な流れ12とし、インテー
ク2への円滑な流入を行わせることが可能となって、前
記実施例の場合と同様に、従来、インテーク2の開口縁
部に発生していた渦流を伴った二次流れによる圧力損失
を低減させることができ、インテークダクト1内のポン
プ部での全圧損失係数を低減させてウォータージェット
推進艇の推進効率を向上させることができる。
【0036】又、ジェット噴流吹出し管13は断面形状
が流線形としてあるので、流体抵抗を小さくすることが
できる。
【0037】本発明者等は、船底形状が丸底の場合につ
いてジェット噴流14を生じさせた場合と従来の場合に
おける吸込速度比が0.25〜1.25の範囲で実験を
行ったところ、図11に示す如き結果が得られた。図1
1から明らかな如く、○印で示す従来の丸底船底の場合
に比して、△印で示すジェット噴流14を生じさせた場
合は、吸込速度比(I.V.R.)が0.9〜1.25
付近で全圧損失係数を1/3〜1/2程度低減できるこ
とがわかる。
【0038】なお、図10の実施例において、導管15
の途中位置に補助ポンプ17を設け、導管15を経てジ
ェット噴流吹出し管13に送られる作動水を加圧するよ
うにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明のウォータージ
ェット推進器用インテーク部の圧力損失低減装置によれ
ば、平底船底、丸底船底いずれにおいてもインテークの
開口部を挟むように左右の両側縁部近傍に、該インテー
クの前後方向開口長さと等しいかそれより短かい長さと
したサイドフェンスを、インテークの開口幅寸法に対し
て1/5〜1/6の高さとして前後方向に平行に設置し
てなる構成としてあるので、インテークの開口縁部に沿
って発生する渦流に伴う二次流れによる圧力損失を、サ
イドフェンスで流れを規制してインテークへの円滑な流
入を行わせることにより低減させることができ、インテ
ークダクト内のポンプでの全圧損失係数を低減させてウ
ォータージェット推進艇の推進効率を向上させることが
できる。又、上記サイドフェンスを船体中心線に対して
所要角度傾斜させて、左右のサイドフェンスが前端側か
ら後端側へ末広がりとなるようにすることにより、船が
斜航すると一方のサイドフェンスは進行方向と平行にな
っても、他方のサイドフェンスは迎角が大きくなって揚
力が発生し斜航を減ずる方向に船尾を振るようになり、
斜航によるインテーク部の圧力損失を低減してウォータ
ージェット推進艇の推進効率をより向上させることがで
きる。
【0040】更に、インテークの開口部を挟むように左
右に所要長さのサイドフェンスを取り付ける構成に代え
て、インテークの開口部前端部の左右両側位置に、ジェ
ット噴流吹出し管を、後方へジェット噴流を帯状に生じ
させるように取り付けた構成とすることにより、インテ
ークの開口部を挟んで左右に作動水のジェット噴流を生
じさせて、該ジェット噴流によりインテーク開口縁部に
沿う渦流を伴った二次流れを弱体化して円滑な流れにす
ることができ、かかる二次流れによる圧力損失を低減し
て、前記サイドフェンスを設けた場合と同様にインテー
クダクト内のポンプでの全圧損失係数を低減してウォー
タージェット推進艇の推進効率を向上させることができ
るほかに、ジェット噴流吹出し管から吹き出されるジェ
ット噴流自体を推進力の一部として活用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、(イ)はイン
テークダクトの切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A矢
視図、(ハ)は船底部の正面図である。
【図2】船底形状が平底の場合のサイドフェンス長さが
異なるときの全圧損失係数と吸込速度比の関係を示す図
である。
【図3】船底形状が丸底の場合のサイドフェンス長さが
異なるときの全圧損失係数と吸込速度比の関係を示す図
である。
【図4】サイドフェンス長さの下限を示す底面図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例を示す概略底面図である。
【図6】船が斜航するときの状態を示す概略図である。
【図7】船底形状が丸底の場合に船が斜航するときとし
ないときの全圧損失係数と吸込速度比の関係を示す図で
ある。
【図8】船底形状が丸底の場合にサイドフェンスがない
ときと左右にサイドフェンスを平行に設けたときと角度
をつけて設けたときにおける全圧損失係数と吸込速度比
の関係を示す図である。
【図9】船底形状が丸底の場合に左右のサイドフェンス
を平行に設けたときと角度をつけて設けたとき及び船が
斜航するときとしないときにおける全圧損失係数と吸込
速度比の関係を示す図である。
【図10】本発明の更に他の実施例を示すもので、
(イ)はインテークダクト部の切断側面図、(ロ)は
(イ)のC−C矢視図、(ハ)は(イ)のD矢視図であ
る。
【図11】船底形状が丸底の場合のジェット噴流を生じ
させた場合とそうでない場合の全圧損失係数と吸込速度
比の関係を示す図である。
【図12】ウォータージェット推進艇のウォータージェ
ット推進器の一例を示す切断側面図である。
【図13】船底形状が平底の場合におけるインテークダ
クト内流速分布を示すもので、(イ)はインテークダク
トの図、(ロ)はインテークダクト内のポンプ入口位置
における垂直方向の流速分布を示す図である。
【図14】船底形状が丸底の場合におけるインテークダ
クト内のポンプ入口位置での垂直方向の流速分布を示す
図である。
【図15】船底形状が平底の場合の全圧損失係数と吸込
速度比の関係を示す図である。
【図16】船底形状が丸底の場合の全圧損失係数と吸込
速度比の関係を示す図である。
【図17】従来のインテークに発生する渦対に伴う二次
流れを示す底面図である。
【符号の説明】
1 インテークダクト 2 インテーク 3 吐出ノズル 5 主軸 7 羽根車 11 サイドフェンス 13 ジェット噴流吹出し管 14 ジェット噴流 15 導管 L インテーク開口長さ L サイドフェンス長さ B インテーク開口幅寸法 H サイドフェンス取付高さ S 船体中心線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−243687(JP,A) 特開 平4−87898(JP,A) 特開 昭48−36890(JP,A) 実開 平2−54698(JP,U) 実開 平2−64497(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63H 11/103

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インテークの開口両側縁部近傍位置に、
    該インテークの前後方向開口長さと等しいかそれより短
    かい長さとした左右各1枚のサイドフェンスを、インテ
    ークの開口幅寸法に対して1/5〜1/6の高さとして
    前後方向に平行に設置してなることを特徴とするウォー
    タージェット推進器用インテーク部の圧力損失低減装
    置。
  2. 【請求項2】 インテークの開口両側縁部近傍位置に、
    該インテークの前後方向開口長さと等しいかそれより短
    かい長さとした左右各1枚のサイドフェンスを、インテ
    ークの開口幅寸法に対して1/5〜1/6の高さとして
    前後方向に船体中心線に対して所要角度傾斜させて、前
    端側よりも後端側が末広がり状となるように設置してな
    ることを特徴とするウォータージェット推進器用インテ
    ーク部の圧力損失低減装置。
  3. 【請求項3】 インテーク開口部の前端側の両側部に、
    後方へ向けジェット噴流を生じさせる所要高さのジェッ
    ト噴流吹出し管を取り付け、該ジェット噴流吹出し管よ
    り吹き出される作動水のジェット噴流がインテークの開
    口両側縁部を帯状に通過して後方へ移行するようにし、
    且つ上記ジェット噴流吹出し管への作動水をインテーク
    ダクト内ポンプ出口部から導くようにしたことを特徴と
    するウォータージェット推進器用インテーク部の圧力損
    失低減装置。
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