JP3388804B2 - 低騒音型パンタグラフ - Google Patents

低騒音型パンタグラフ

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JP3388804B2 JP11992993A JP11992993A JP3388804B2 JP 3388804 B2 JP3388804 B2 JP 3388804B2 JP 11992993 A JP11992993 A JP 11992993A JP 11992993 A JP11992993 A JP 11992993A JP 3388804 B2 JP3388804 B2 JP 3388804B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低空力音パンタグラフ
に係り、特に高速車両に好適な低空力音パンタグラフに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両屋根上には、地上の架線設備より車
両に給電するために、図6に示すような鉄道車両用パン
タグラフが取付けられている(特開昭59−16930
2号公報等参照)。即ち、ホーン6や台枠7を除き、均
一断面の各種柱状部材により、集電舟1及び集電舟1の
下部に取付けられた枠組管が構成されている。集電舟1
は各々一対のすり板8及び舟形9からなり、また枠組管
は天井管2、上枠管3、斜め管4及び下枠管5からな
る。また、天井管2、斜め管4は横方向の剛性を強化
し、パンタグラフの横方向への変位を防止している。
【0003】ところで、現在、列車の高速化が盛んに行
われつつある。そして、高速化に伴って列車周りから生
じる空力音が急激に大きくなり、周辺環境へ与える影響
が深刻になりつつある。ここで、列車が高速で走行する
場合、パンタグラフが風を切り、空力音を発生する。特
に車両屋根面より離れている集電舟1、天井管2、上枠
管3、斜め管4では風速が高く、発生騒音も大きい。ま
た、これら部材は均一断面の長尺の棒であるので、高速
走行時に各部材後流にその断面形状、大きさ及び速度に
よって決まる周波数でカルマン渦が生じる。その結果、
前記周波数の空力的発生音が大きく、列車が通過する際
の騒音レベルが高くなる惧れがあった。
【0004】また高速で走行することによりパンタグラ
フに非定常な揚力が作用し、すり板8とトロリ線との接
触状態が不安定となり、給電がうまくできなくなる惧れ
もある。一方、トロリ線20は図7に示すように架設され
ている。即ち、略50m間隔で軌道に固定された柱21に吊
架線22が架設され、当該吊架線22に所定の間隔で吊られ
た第1ハンガ23により補助吊架線24が架設され、当該補
助吊架線24に略5m間隔で吊られた第2ハンガ25により
トロリ線20が架設されている。
【0005】このために、パンタグラフには2種類の特
定周波数に対して応答特性を有することが必要となって
いる。即ち、列車速度vと前記柱21間距離L1 とにより
決定される固有振動数f1 (=v/L1 )に対する応答
特性と、列車速度vと第2ハンガ25間隔L2 とにより決
定される固有振動数f2 (=v/L2 )に対する応答特
性である。
【0006】従って、上枠管3及び下枠管5は両者で上
下方向に伸縮するリンクを構成すると共に、上枠管3と
下枠管5との間にはコイルバネ9、さらに舟形9と上枠
管3との間にバネを介装することにより、車両屋根面〜
トロリ線間の距離の変動に追従する構成としている。こ
こで、固有振動数f1 に対応するようにコイルバネ9の
バネ定数等を決定し、また固有振動数f2 に対応するよ
うに舟形9と上枠管3との間に介装されるバネのバネ定
数等を決定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近車両の
高速に伴い、車両の高さを抑えることも行われるように
なってきたが、トロリ線からの集電を行うためには、パ
ンタグラフが車両天井からますます突出する構成とな
る。現在ではパンタグラフから発生する空力音を抑える
ために、パンタグラフカバーを設け、風を偏流させるこ
とによりパンタグラフに直接当たる空気を弱め、騒音を
低減させたり、非定常な揚力の発生を防止し給電不良を
回避するという対策を採っている。しかしながら、この
ような対策は、列車の空力抵抗を大幅に増大させ、かつ
低周波の騒音を新たに発生させることになる。また、外
観上も大きなパンタグラフカバーは美観の向上を図れ
ず、根本的な対策が望まれている。
【0008】また、パンタグラフを構成する舟形、また
枠組管等の構成部材の形状を、流体中において最も抵抗
力が小さく、また渦をつくり難い形状とするために、翼
形形状とし、低空力音化を図る技術が本出願人より報告
されている(鉄道総研報告1990年11月,VOL 4,No.11
)。しかしながら、パンタグラフを翼形形状として、
騒音を低減させるものにあっても、高速走行において車
両の周囲に形成される乱流境界層内に当該翼形形状の物
体が置かれることにより発生する乱流騒音は大きく、パ
ンタグラフを翼形形状として空力音を低減する効果が充
分に図れていない。
【0009】また、舟形を翼形形状として該舟形から発
生する騒音を低減させる構成としても、すり板にあって
はトロリ線と接触させて集電を行うために、該すり板を
舟形から突出させる構成とする必要がある。ここで、高
速走行においては、当該すり板の突出部が騒音源となっ
ている。さらに、前述の如く、固有振動数f2 に対応す
るようにバネ等を設けることが必要なため、舟形の厚み
を薄くできない。もって、現在の翼形は厚みが厚いた
め、抵抗が大きくまた後流の発生に伴う変動も大きくな
ってしまう。
【0010】従って、本発明では、車両に較べて相対的
に高い位置に露出しているために、他の部分に較べて格
段に大きな騒音源となっており、もって該パンタグラフ
を構成する部材の形状を翼形として空力音低減を図った
パンタグラフにおいて、パンタグラフカバー等が不要
で、当該パンタグラフから発生する空力音をさらに抑え
ることができるパンタグラフを提供することを目的とし
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、第
1の技術的手段として、トロリ線に押圧力を与えながら
接触するすり板と、該すり板を保持する集電舟と、前記
集電舟を車両天井に支持する支持部材と、を含んで構成
されるパンタグラフにおいて、前記集電舟及び支持部材
を流線形とすると共に、前記集電舟に前記すり板を前記
トロリ線への押圧方向に弾性付与する弾性機構を介して
保持する凹部を設け、さらに、前記弾性機構を、一端が
集電舟に固定され、他端が当該すり板に固定されるトー
ションアームを含んで構成した
【0012】第の技術的手段として、前記すり板の車
両前後方向の断面形状を、トロリ線に接触する辺から他
の辺になだらかに連続する断面形状とした。第の技術
的手段として、前記低騒音型パンタグラフの少なくとも
集電舟が、車両が走行することにより車両の周囲に発生
する乱流境界層の中の低周波変動領域の外側に位置する
ように、パンタグラフの車両取付位置を設定した。
【0013】第の技術的手段として、前記弾性機構
を、車両の周囲に発生する乱流に係る変動に基づいてア
クティブ制御される油圧によって弾性物性を可変に制御
する油圧制御回路を含んで構成した。第5の技術的手段
として、トロリ線に押圧力を与えながら接触するすり板
と、該すり板を保持する集電舟と、前記集電舟を車両天
井に支持する支持部材と、を含んで構成されるパンタグ
ラフにおいて、前記集電舟及び支持部材を流線形とする
と共に、前記集電舟に前記すり板を前記トロリ線への押
圧方向に弾性付与する弾性機構を介して保持する凹部を
設け、さらに、少なくとも前記集電舟が車両の走行によ
り車両の周囲に発生する乱流境界層の中の低周波変動領
域の外側に位置するように、パンタグラフの車両取付位
置を設定した。 第6の技術的手段として、トロリ線に押
圧力を与えながら接触するすり板と、該すり板を保持す
る集電舟と、前記集電舟を車両天井に支持する支持部材
と、を含んで構成されるパンタグラフにおいて、前記集
電舟及び支持部材を流線形とすると共に、前記集電舟に
前記すり板を前記トロリ線への押圧方向に弾性付与する
弾性機構を介して保持する凹部を設け、さらに、前記弾
性機構を、車両の周囲に発生する乱流に係る変動に基づ
いてアクティブ制御される油圧によって弾性物性を可変
に制御する油圧制御回路を含んで構成した。
【0014】
【作用】上記第1の技術的手段によれば、集電舟及び支
持部材を流線形としたので、高速で車両が走行して、当
該集電舟及び支持部材が高速で空気中を移動する際に
も、該集電舟及び支持部材の周囲には、空力音源である
渦を発生させないため、当該は集電舟及び支持部材から
の空力音が低減する。
【0015】また、車両が前進すると集電舟及び支持部
材に対して相対的に発生した空気流は、集電舟及び支持
部材の前面部の外表面から後端部の外表面へと流れる。
ここで、集電舟及び支持部材の後面部の外表面上に沿う
空気の境界層は剥離し易い。そして、集電舟及び支持部
材の後面部の外表面上の空気の境界層が剥離すると、無
数のカルマン渦が発生する。その結果、集電舟及び支持
部材の後方に生じた圧力の低い薄い空気が集電舟及び支
持部材を後方に引き寄せる圧力抵抗となる。ところが、
集電舟及び支持部材を例えば翼形等の流線形としたので
前記圧力抵抗を大幅に低減することが可能となり、もっ
て流体抵抗を低減することが可能となる。
【0016】一方、集電舟に前記すり板を前記トロリ線
への押圧方向に弾性付与する弾性機構を介して保持する
凹部を設けたので、すり板と集電舟とは該凹部において
不連続が存在することとなり、該不連続部より空力音が
発生することとなる。しかしながら、上記第1の技術的
手段によれば、該凹部はトロリ線への押圧方向に開口し
ているので、該不連続部より発生した空力音の集電舟よ
り下方への伝播は該集電舟により遮断されることとな
り、地上等の下方への騒音の伝播を防止することが可能
となる。
【0017】そして、前記すり板を前記トロリ線への押
圧方向に弾性付与する弾性機構を、一端が集電舟に固定
され他端が当該すり板に固定されるトーションアーム
を含んで構成したので、どのような変化に対しても前記
すり板はトーションアームによるリニアな弾性力を受け
ることとなり、もって該すり板は僅かな動きに対しても
リニアに変動することとなり、トロリ線が細かいピッチ
で振動することに対する応答特性を常に設計値通りに確
保することが可能となる。
【0018】さらに、コイルばね等に較べてその設置容
積を格段に小さくすることが可能となり、もって集電舟
に設けた前記凹部を小さくすることが可能となるので、
集電舟の厚みを薄くすることが可能となり、集電舟の空
力抵抗が小さくなると共に、流線形端部からの剥離渦の
発生が、さらに抑えられる。第の技術的手段として、
前記すり板の車両前後方向の断面形状を、トロリ線に接
触する辺から他の辺になだらかに連続する断面形状とす
ることにより、該不連続部における圧力変動が低減さ
れ、もって前記不連続部より発生する空力音が低減する
ことが確かめられた。
【0019】また、集電舟及び支持部材を例えば翼形等
の流線形として流体抵抗を低減するようにしても、集電
舟及び支持部材に対して相対的に発生した乱流境界層中
に該集電舟及び支持部材が埋没した状態では変動が大き
く、空力音の低減が十分ではないことが考えられる。従
って、第3及び第5の技術的手段として、パンタグラフ
少なくとも集電舟が、車両が走行することにより車両
の周囲に発生する乱流境界層の中の低周波変動領域の外
側に位置するように、例えば、前記乱流境界層の速度間
欠領域以外の領域に配設するように、パンタグラフの車
両取付位置を設定した。これにより、境界層の間欠領域
(周期的に変動する境界層の外縁)の周期的な流速変動
による集電性能への影響をさけることが可能となり、も
って車体表面の境界層の影響を低減することが可能とな
る。
【0020】第4及び第6の技術的手段によれば、前記
弾性機構を、車両の周囲に発生する乱流に係る変動に基
づいてアクティブ制御される油圧によって弾性物性を可
変に制御する油圧制御回路を含んで構成したので、トン
ネル突入時等の予知可能な外乱が作用する際には、前記
油圧を制御することにより高精度な制御を効率的に行う
ことができ、外乱に対する空力音の発生を抑制すること
が可能となる。
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。尚、トロリ線20の架設に関しては、図7を参照す
る。図1〜図4は本発明に係る低騒音型パンタグラフ30
を示す図であり、低騒音型パンタグラフ30は、トロリ線
20に押圧力を与えながら接触するすり板40と、該すり板
40を保持する集電舟50と、前記集電舟50を車両天井37に
保持する支持部材60とを含んで構成される。さらに、図
1に示すように、該集電舟50及び支持部材60の断面は車
両前後方向に対して線対称となる楕円状の翼形となって
いる。
【0022】本実施例においては、すり板40は3本で構
成されており、中心に位置するすり板は長さが長く、両
脇に位置するすり板は長さが短くなっている。さらに、
各々のすり板40は図4に示すように、車両前後方向の断
面形状が、トロリ線20に接触する上辺43から後述する凹
部51に嵌入している側辺44になだらかに連続するR部45
を有する断面形状である。
【0023】前記集電舟50には、図4に示すように、前
記すり板40を遊嵌自由に保持する凹部51が設けられてお
り、かつ該凹部51の開口面積は集電舟50の上面全体の面
積に較べて十分に小さくしてある。さらに、集電舟50に
はトーションアーム55の一端56が把持され、前記すり板
40がブラケット47により前記トーションアーム55に固定
され、実質的に前記すり板40がトーションアーム55によ
り弾性保持される構成となっている。尚、トーションア
ーム55の他端部57には、油圧制御ユニット58が設けられ
ており、該トーションアーム55の他端部57における捻じ
れ剛性を可変とすることにより、弾性物性としての該ト
ーションアーム55の捻じれ係数を可変としている。
【0024】また支持部材60は車両天井37に固定される
架台部61と、前記集電舟50に固定される稼働部65とより
なっている。そして、架台部61と稼働部65との間には、
スプリング、油圧ダンパ等により構成される弾性係数変
更ユニット63が内蔵されており、油圧ダンパ等のダンピ
ングファクタを変更することにより弾性物性としての弾
性係数を可変としている。
【0025】即ち、油圧制御ユニット58及び弾性係数変
更ユニット63は弾性機構を構成するものである。また、
以上説明した低騒音型パンタグラフ30は、図5に示すよ
うに、1号車の車両天井37aと16号車の車両天井37bに
設置され、車両10が図5において左方に向かって進行す
る場合には、先頭車両の車両天井37aと後尾車両の車両
天井37bに設置されることとなる。
【0026】次に本実施例に係る作用を説明する。本実
施例においては、集電舟50及び支持部材60を翼形とした
ので、高速で車両10が走行して、当該集電舟50及び支持
部材60が高速で空気中を移動する際にも、該集電舟50及
び支持部材60の周囲には、空力音源である渦を発生させ
ないため、当該は集電舟50及び支持部材60からの空力音
が低減する。さらに、本実施例では、集電舟50及び支持
部材60は車両10の前後方向に対して線対称な翼形となっ
ているので、車両10の進行方向が変わった場合にも、集
電舟50及び支持部材60からの空力音が増えることは無
い。
【0027】また、車両10が前進すると集電舟50及び支
持部材60に対して相対的に発生した空気流は、集電舟50
及び支持部材60の前面部の外表面から後端部の外表面へ
と流れる。ここで、集電舟50及び支持部材60の後面部の
外表面上に沿う空気の境界層は剥離し易い。そして、集
電舟50及び支持部材60の後面部の外表面上の空気の境界
層が剥離すると、無数のカルマン渦が発生する。その結
果、集電舟50及び支持部材60の後方に生じた圧力の低い
薄い空気が集電舟50及び支持部材60を後方に引き寄せる
圧力抵抗となる。ところが、本実施例においては、集電
舟50及び支持部材60を翼形としたので前記圧力抵抗を大
幅に低減することが可能となり、もって流体抵抗を低減
することが可能となる。
【0028】一方、集電舟50に前記すり板40を前記トロ
リ線20への押圧方向に弾性付与するトーションアーム55
を介して保持する凹部51を設け、該凹部51からすり板40
が突出する構成となっているので、すり板40と集電舟50
とは該凹部51において不連続部としての隙間52が存在す
ることとなり、該隙間52を高速な空気が通過することに
より空力音が発生することとなる。しかしながら、該凹
部51の開口面積が集電舟50に較べて十分に小さいので、
該隙間52より発生した空力音は、集電舟50より下方へ伝
播しようとしても該集電舟50により遮断されることとな
り、車両の走行騒音としての地上等の下方への騒音の伝
播を防止することが可能となる。
【0029】さらに、本実施例では、前記すり板40の車
両前後方向の断面形状を、トロリ線20に接触する上辺43
と側辺44とをR部45を介してなだらかに連続させる構成
としたので、前記隙間52における圧力変動が低減され、
もって前記隙間52より発生する空力音をますます低減す
ることができる。また、前記すり板40を、一端56が集電
舟50に固定されると共に、ブラケット47により当該すり
板40に固定されるトーションアーム55により弾性支持す
る構成としたので、どのような変化に対しても前記すり
板40はトーションアーム55によるリニアな弾性力を受け
ることとなり、もって該すり板40は僅かな動きに対して
もリニアに変動することとなる。従って、トロリ線20が
例えば固有振動数f2 等の細かいピッチで振動すること
に対する応答特性を常に設計値通りに確保することが可
能となり、低騒音型パンタグラフ30が離線して集電作用
を阻害することを防止できる。
【0030】さらに、トーションアーム55が捻じられる
ことによる弾性力を用いて前記すり板40を弾性支持する
構成としたので、該トーションアーム55が弾性変形する
際にも、該トーションアーム55の占める容積が変化する
ことは殆ど無く、もって該トーションアーム55を設置す
る空間を大きく採る必要が無い。即ち、コイルばね等に
較べてその設置空間を格段に小さくすることが可能とな
り、もって集電舟50に設けた前記凹部51を小さくするこ
とが可能となるので、集電舟50の厚みを薄くすることが
可能となる。ここで、集電舟50の厚みが薄くなると、該
集電舟50の空力抵抗が小さくなると共に、翼形端部から
の剥離渦の発生が、さらに抑えられ、空力音低減に寄与
することとなる。
【0031】次に、車両10の周囲に形成される乱流境界
層70について考察すると、該乱流境界層70は、その走行
方向に従って先頭車両から形成され後部にいくにつれて
厚みδが厚くなる。例えば東海道新幹線を例に採ると、
乱流境界層70の境界層厚さδ(m)は次式のように与え
られることが実験的に判明した。 δ=0.021854X(4/5) 但し、Xは車両先頭部からの距離(m) 従って、車両10においては、後尾車両においては(X=
380を代入して、)略3mの厚みとなる。
【0032】ここで、図5に示すように、前記乱流境界
層70中には間欠領域75(周期的に変動する渦Γを有する
領域)と層流底層77とが存在し、該間欠領域75において
は、渦Γの周期的な流速変動による物体への変動影響が
特に大きい。即ち、乱流境界層70の中においては粘性抵
抗が大きく、もって、集電舟50及び支持部材60を翼形と
して流体抵抗を低減するようにしても、集電舟50及び支
持部材60が乱流境界層70中にあると、干渉を起こして流
体力が大きくなり圧力変動も増大するので、空力音の低
減が十分ではないことが考えられる。
【0033】従って、本実施例においては、前記低騒音
型パンタグラフ30を先頭車両である1号車と最後尾車両
である16号車に設置した。以上の構成によれば、1号車
の車両天井37aに設置された低騒音型パンタグラフ30a
にあっては、集電舟50が前記間欠領域75より突出した位
置となり、乱流境界層70の間欠領域75(周期的に変動す
る境界層の外縁)の周期的な流速変動による集電舟50へ
の影響をさけることが可能となり、もって集電性能への
影響をさけることが可能となる。また16号車の車両天井
37bに設置された低騒音型パンタグラフ30bにあって
は、集電舟50及び支持部材60が前記間欠領域75と車両天
井37bとの間に存在することとなり、乱流境界層70の間
欠領域75の流速変動は集電舟50及び支持部材60には与え
られることがなく、もって集電性能への影響を回避でき
ると共に、騒音の発生も防止できる。
【0034】さらに、弾性機構としての油圧制御ユニッ
ト58及び弾性係数変更ユニット63が設けられており、車
両10のトンネル突入時や駅通過時等において、該車両10
の周囲に発生する乱流境界層の変動に基づいて、該ユニ
ットをアクティブ制御することにより、トンネル突入時
等の予知可能な外乱が作用する際には、油圧ダンパ等の
ダンピングファクタを変更して弾性物性を可変として、
高精度な制御を効率的に行うことが可能となっており、
空力音の発生を抑制することがさらに効率的に可能とな
る。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
翼形等の流線形とした集電舟に設けた凹部に所定の形状
のすり板をトーションアームを介して保持し、当該パン
タグラフを乱流境界層の速度間欠領域以外の領域に配設
することにより、当該パンタグラフから発生する空力音
をさらに抑えることが可能となり、車両の高速走行にお
ける騒音問題を解決することが可能となるという効果が
ある。また、弾性機構として油圧制御ユニット及び弾性
係数変更ユニットを設け、これらをアクティブ制御する
こととしたので、トンネル突入時等の外乱に対応した高
精度な制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る低騒音型パンタグラフの
平面図
【図2】同上実施例に係る低騒音型パンタグラフの正面
【図3】同上実施例に係る低騒音型パンタグラフの側面
【図4】同上実施例に係る低騒音型パンタグラフの部分
断面図
【図5】同上実施例に係る低騒音型パンタグラフの車両
取付け状態を示す側面図
【図6】従来例を示すパンタグラフの正面図
【図7】トロリ線の架設状態をを示す正面図
【符号の説明】
10 車両 20 トロリ線 30 低騒音型パンタグラフ 40 すり板 43 上辺 45 R部 50 集電舟 51 凹部 52 隙間 55 トーションアーム 58 油圧制御ユニット 60 支持部材 63 弾性係数変更ユニット 70 乱流境界層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−205503(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 5/18 - 5/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トロリ線に押圧力を与えながら接触するす
    り板と、該すり板を保持する集電舟と、前記集電舟を車
    両天井に支持する支持部材と、を含んで構成される低騒
    音型パンタグラフであって、 前記集電舟及び支持部材を流線形と、 前記集電舟に前記すり板を前記トロリ線への押圧方向に
    弾性付与する弾性機構を介して保持する凹部を設け 前記弾性機構を、一端が前記集電舟に固定され、他端が
    当該すり板に固定されるトーションアームを含んで構成
    した ことを特徴とする低騒音型パンタグラフ。
  2. 【請求項2】 前記すり板の車両前後方向の断面形状
    トロリ線に接触する辺から他の辺になだらかに連続する
    断面形状としたことを特徴とする請求項1記載の低騒
    音型パンタグラフ。
  3. 【請求項3】 求項1又は2に記載の低騒音型パンタグ
    ラフの少なくとも前記集電舟が、車両が走行することに
    より車両の周囲に発生する乱流境界層の中の低周波変動
    領域の外側に位置するように、パンタグラフの車両取付
    位置を設定したことを特徴とする低騒音型パンタグラ
    フ。
  4. 【請求項4】 前記弾性機構、車両の周囲に発生する乱
    流に係る変動に基づいてアクティブ制御される油圧によ
    って弾性物性を可変に制御する油圧制御回路を含んで構
    したことを特徴とする請求項1〜の何れか1つに記
    載の低騒音型パンタグラフ。
  5. 【請求項5】トロリ線に押圧力を与えながら接触するす
    り板と、該すり板を保持する集電舟と、前記集電舟を車
    両天井に支持する支持部材と、を含んで構成される低騒
    音型パンタグラフであって、 前記集電舟及び支持部材を流線形とし、 前記集電舟に前記すり板を前記トロリ線への押圧方向に
    弾性付与する弾性機構 を介して保持する凹部を設け、 少なくとも前記集電舟が車両の走行により車両の周囲に
    発生する乱流境界層の中の低周波変動領域の外側に位置
    するように、パンタグラフの車両取付位置を設定したこ
    とを特徴とする低騒音型パンタグラフ。
  6. 【請求項6】トロリ線に押圧力を与えながら接触するす
    り板と、該すり板を保持する集電舟と、前記集電舟を車
    両天井に支持する支持部材と、を含んで構成される低騒
    音型パンタグラフであって、 前記集電舟及び支持部材を流線形とし、 前記集電舟に前記すり板を前記トロリ線への押圧方向に
    弾性付与する弾性機構を介して保持する凹部を設け、 前記弾性機構を、車両の周囲に発生する乱流に係る変動
    に基づいてアクティブ制御される油圧によって弾性物性
    を可変に制御する油圧制御回路を含んで構成したことを
    特徴とする低騒音型パンタグラフ。
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