JP3388180B2 - 目標追尾装置および目標追尾方法 - Google Patents

目標追尾装置および目標追尾方法

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JP3388180B2
JP3388180B2 JP11401898A JP11401898A JP3388180B2 JP 3388180 B2 JP3388180 B2 JP 3388180B2 JP 11401898 A JP11401898 A JP 11401898A JP 11401898 A JP11401898 A JP 11401898A JP 3388180 B2 JP3388180 B2 JP 3388180B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目標追尾装置およ
び目標追尾方法に係り、特に、レーダセンサを用いて追
尾目標を追尾する目標追尾装置および目標追尾方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、“Multiple Target
Tracking with Radar Application”(S.S.Blackmann,A
rtech House,Dedham,1986)に開示される如く、レーダ
センサを用いた目標追尾装置が知られている。従来のレ
ーダセンサは、レーダセンサによる走査毎に得られるビ
デオ信号に基づいて、追尾目標の形状を検出し、更にそ
の形状に基づいて追尾目標の重心を検出する。そして、
検出された重心位置に基づいて、追尾目標の運動状態、
すなわち、追尾目標の位置や速度等を検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】目標追尾装置は、追尾
目標の旋回状態を正確に検出し得ることが望ましい。し
かし、追尾目標の運動が直進運動から旋回運動に変化し
ても、追尾目標の重心にはその変化が反映され難い。こ
のため、上記従来の目標追尾装置においては、追尾目標
が旋回運動を開始した後に、その旋回運動の開始を速や
かに検出することが困難であった。
【0004】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、追尾目標の旋回状態を速やかに、
かつ、正確に検出し得る目標追尾装置を提供することを
第1の目的とする。
【0005】また、本発明は、追尾目標の旋回状態を速
やかに、かつ、正確に検出し得る目標追尾方法を提供す
ることを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
目標追尾装置は、追尾目標の機影から追尾目標の重心を
検出する機能を有する目標追尾装置であって、前記重心
と異なる前記追尾目標上の点の動きに基づいて、前記追
尾目標の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を備える
ものである。
【0007】本発明の請求項2に係る目標追尾装置は、
前記追尾目標の機影から前記追尾目標の長軸方向を検出
し、前記追尾目標の前記長軸方向の端部を前記所定点と
する所定点設定手段を備えるものである。
【0008】本発明の請求項3に係る目標追尾装置は、
前記所定点を前記追尾目標のヒット出力の任意の点に設
定する第2の所定点設定手段を備えるものである。
【0009】本発明の請求項4に係る目標追尾装置は、
前記重心から所定長離れた前記追尾目標上の点を前記所
定点とする第3の所定点設定手段を備えるものである。
【0010】本発明の請求項5に係る目標追尾装置は、
観測により、所定時刻における前記重心の状態を表す観
測値を得る観測値取得手段と、所定時刻前の前記追尾目
標の動きに基づいて、前記所定時刻における前記重心の
状態を表す予測値を予測する予測値取得手段と、前記観
測値と前記予測値とを所定ゲインで平滑することにより
平滑値を得る平滑値取得手段と、前記追尾目標の旋回状
態に応じて前記所定ゲインを変更するゲイン変更手段
と、を備えるものである。
【0011】本発明の請求項6に係る目標追尾装置は、
前記ゲイン変更手段が、駆動雑音を含むパラメータに基
づいて、前記駆動雑音が大きいほど前記平滑値に前記観
測値が大きく反映されるように前記所定ゲインを演算す
るゲイン演算手段と、前記追尾目標が旋回運動中である
場合に、前記追尾目標が非旋回運動中である場合に比し
て前記駆動雑音を大きな値とする駆動雑音制御手段と、
を備えるものである。
【0012】本発明の請求項7に係る目標追尾装置は、
所定時刻前の前記追尾目標の状態に基づいて、所定時刻
における前記追尾目標の存在領域を予測し、その予測領
域を前記所定時刻における追尾ゲートとして設定する追
尾ゲート設定手段と、前記追尾目標の旋回状態に基づい
て前記追尾ゲートの大きさを変更するゲート制御手段
と、を備えるものである。
【0013】本発明の請求項8に係る目標追尾装置は、
前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記追尾目標を監
視するサンプリング間隔を制御するサンプリング間隔制
御手段を備えるものである。
【0014】本発明の請求項9に係る目標追尾装置は、
前記追尾目標の運動状態を表す所定次数の状態変数を含
む状態変数ベクトルを求める状態変数ベクトル演算手段
と、前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記所定次数
を変更する変数次数変更手段と、を備えるものである。
【0015】本発明の請求項10に係る目標追尾装置
は、前記状態変数ベクトル演算手段が、前記追尾目標の
位置、速度および加速度で構成される第1の状態変数ベ
クトルを求める第1追尾フィルタ手段と、前記追尾目標
の位置および速度で構成される第2の状態変数ベクトル
を求める第2追尾フィルタ手段と、を備え、前記変数次
数変更手段は、前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前
記第1追尾フィルタ手段および前記第2追尾フィルタ手
段の何れか一方を選択的に作動させるものである。
【0016】本発明の請求項11に係る目標追尾装置
は、複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定手段と、前記
複数の運動モデル間の推移確率を求める推移確率演算手
段と、前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記
追尾目標の運動諸元を、前記推移確率を基礎として統合
する運動諸元統合手段と、前記追尾目標の旋回状態に基
づいて前記推移確率を変更する推移確率制御手段と、を
備えるものである。
【0017】本発明の請求項12に係る目標追尾装置
は、前記複数の運動モデルが、前記追尾目標の位置、速
度および加速度で構成される状態変数ベクトルを推定す
る第1運動モデルと、前記追尾目標の位置および速度で
構成される状態変数ベクトルを推定する第2運動モデル
と、を含むものである。
【0018】本発明の請求項13に係る目標追尾装置
は、複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定手段と、前記
複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目標の
運動諸元を、前記複数の運動モデルの成立確率を基礎と
して統合する第2運動諸元統合手段と、前記追尾目標の
旋回状態に基づいて、前記追尾目標の状態を把握するう
えで適切な運動モデルの成立確率が相対的に高まるよう
に前記複数の運動モデルに対する成立確率を設定する信
頼度制御手段と、を備えるものである。
【0019】本発明の請求項14に係る目標追尾装置
は、前記複数の運動モデルが、前記追尾目標の位置、速
度および加速度で構成される状態変数ベクトルを推定す
る第1運動モデルと、前記追尾目標の位置および速度で
構成される状態変数ベクトルを推定する第2運動モデル
とを含み、前記信頼度制御手段が、追尾目標の旋回運動
中に前記第1運動モデルの成立確率を1とし、かつ、前
記第2運動モデルの成立確率を0とし、また、追尾目標
の非旋回運動中に前記第1運動モデルの成立確率を0と
し、かつ、前記第2運動モデルの成立確率を0とするも
のである。
【0020】本発明の請求項15に係る目標追尾方法
は、追尾目標の機影から追尾目標の重心を検出するステ
ップを有する目標追尾方法であって、前記重心と異なる
前記追尾目標上の所定点の動きに基づいて、前記追尾目
標の旋回状態を検出する旋回状態検出ステップを備える
ものである。
【0021】本発明の請求項16に係る目標追尾方法
は、所定時刻前の前記追尾目標の状態に基づいて、所定
時刻における前記追尾目標の存在領域を予測し、その予
測領域を前記所定時刻における追尾ゲートとして設定す
る追尾ゲート設定ステップと、前記追尾目標の旋回状態
に基づいて前記追尾ゲートの大きさを変更するゲート制
御ステップと、を備えるものである。
【0022】本発明の請求項17に係る目標追尾方法
は、前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記追尾目標
を監視するサンプリング間隔を制御するサンプリング間
隔制御ステップを備えるものである。
【0023】本発明の請求項18に係る目標追尾方法
は、前記追尾目標の運動状態を表す所定次数の状態変数
を含む状態変数ベクトルを求める状態変数ベクトル演算
ステップと、前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記
所定次数を変更する変数次数変更ステップと、を備える
ものである。
【0024】本発明の請求項19に係る目標追尾方法
は、複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定ステップと、
前記複数の運動モデル間の推移確率を求める推移確率演
算ステップと、前記複数の運動モデルのそれぞれに対応
する前記追尾目標の運動諸元を、前記推移確率を基礎と
して統合する運動諸元統合ステップと、前記追尾目標の
旋回状態に基づいて前記推移確率を変更する推移確率制
御ステップと、を備えるものである。
【0025】本発明の請求項20に係る目標追尾方法
は、複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定ステップと、
前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
標の運動諸元を、前記複数の運動モデルの成立確率を基
礎として統合する第2運動諸元統合ステップと、前記追
尾目標の旋回状態に基づいて、前記追尾目標の状態を把
握するうえで適切な運動モデルの成立確率が相対的に高
まるように前記複数の運動モデルに対する成立確率を設
定する信頼度制御ステップと、を備えるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0027】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形
態1の目標追尾装置のブロック構成図を示す。図1に示
す如く、本実施形態の目標追尾装置は、量子化部10を
備えている。量子化部10には、レーダセンサ(図示せ
ず)により、走査毎に検出されるビデオ信号が入力され
る。量子化部10は、後述する追尾ゲート内のビデオ信
号を2値化してターゲットテーブルを作成する。
【0028】図2は、量子化部10により作成されるタ
ーゲットテーブルの一例を示す。本実施形態において、
レーダセンサには、航空機の形状を検出できる程度の高
い分解能が与えられている。図2に示すターゲットテー
ブルは、レーダセンサが航空機の機影を捕らえた場合に
得られるテーブルの一例である。
【0029】量子化部10に供給されるビデオ信号は、
方位軸とレンジ軸とで定められた2次元座標上に配置さ
れる複数の画素信号で構成されている。量子化部10
は、ビデオ信号を構成する個々の画素信号を所定のしき
い値と比較することにより2値化処理を行う。上記のし
きい値は、画素信号に対応する領域に何らかの追尾目標
が存在するか否かを判別するための値に設定されてい
る。
【0030】従って、上記の2値化処理によれば、ター
ゲットテーブル上の領域は、追尾目標が存在すると推定
される領域と、追尾目標が存在しないと推定される領域
とに区分される。図2に示すターゲットテーブルは、白
抜きの部分が追尾目標が存在しないと推定される領域で
あり、他の部分が追尾目標が存在すると推定される領域
である。以下、ターゲットテーブル中で白抜き部分に含
まれる各画素信号を非検出ヒット出力と、また、非白抜
き部分に含まれる各画素信号を検出ヒット出力と称す。
【0031】量子化部10で作成されたターゲットテー
ブルは、スイープ間相関部12に供給される。スイープ
間相関部は、ターゲットテーブル中の検出ヒット出力の
方位軸方向の連続性に基づいて、検出ヒット出力のエッ
ジ検出を行う。図2中に示す黒三角印は、スイープ間相
関部12によって検出されたエッジを示す。
【0032】本実施形態の目標追尾装置は、位置算出部
14を備えている。位置算出部14は、ターゲットテー
ブル中の検出ヒット出力のうち、互いに接するもの同士
を、同一の追尾目標に起因するものとして統合する。図
2中にハッチングを付して表す領域は、上記の処理によ
り統合された領域を示す。以下、この領域を統合領域
と、また、他の領域を非統合領域と称す。位置算出部1
4は、また、統合領域の重心を検出し、その重心を追尾
目標の重心情報Ckとして出力する。
【0033】位置算出部14によって検出される追尾目
標の重心情報Ckは、スイープ相関部12により検出さ
れるエッジ情報と共に旋回判定部16に供給される。旋
回判定部16は、上記の情報に基づいて追尾目標の旋回
軸を仮定し、更に、追尾目標にその旋回軸回りの回転が
生じているかを判断する。本実施形態の目標追尾装置
は、上述した旋回判定部16を備えている点に特徴を有
している。
【0034】旋回判定部16は、機首抽出部18を備え
ている。機首抽出部18は、図2のように統合された統
合領域から追尾目標の機首部分に相当する画素を抽出す
ると共に、その画素に基づいて、サンプリング時刻tkに
おける機首部分の座標Akを検出する。機首抽出部18
は、統合領域の輪郭を追尾目標の機影として認識し、そ
の機影から追尾目標の長軸方向を推定し、更に、その長
軸方向の先端部を追尾目標の機首として検出する。機首
の座標Akは、レーダセンサからの距離rkと、レーダセ
ンサに対する角度bykとで構成される。
【0035】座標Akは旋回判定用追尾フィルタ部20
に入力される。旋回判定用追尾フィルタ部20では、距
離rk、角度bykおよびそれらの変化率drk/dt、dbyk/dtか
らなる状態変数Dk(+)と、それらの誤差共分散行列Gk
(+)とが推定される。旋回判定用追尾フィルタ部20で
は、更に、次回のサンプリング時に実現されると推定さ
れる状態変数Dk+1(-)および誤差共分散行列Gk+1(-)が
推定される。次サンプリング時の推定値Dk+1(-)、Gk+
1(-)は、遅延要素22により、サンプリング間隔に相当
する単位時間遅延された後、旋回判定実行部24に供給
される。
【0036】サンプリング時刻tkにおいて、旋回判定実
行部24には、機首抽出部18より座標Akが供給され
ると共に、遅延要素22を介して、前回のサンプリング
時に旋回判定用追尾フィルタ部20で演算されたDk
(-)、Gk(-)が供給される。旋回判定実行部24は、上
記の如く供給されるDk(-)、Gk(-)から推定される機
首部分の予測領域を演算する。
【0037】予測領域は、追尾目標が直線運動中である
場合を想定して求められる。従って、追尾目標が旋回中
であると、座標Akが予測領域から外れることがある。
旋回判定実行部24は、上記の観点より、機首座標Ak
が予測領域から外れている場合は、追尾目標が旋回運動
中であると判断し、そうでない場合、或いは、追尾目標
が検出できない場合や機首部分が不明な場合には、追尾
目標がこれまでの運動を維持していると判断する。
【0038】上述の如く、旋回判定実行部24における
判定処理は、最新のサンプリングにより得られた機首座
標Akと、その前のサンプリングにより得られたDk
(-)、Gk(-)とに基づいて行われる。従って、上記の判
定処理を行うためには、少なくとも2回のサンプリング
が実行されていることが必要である。このため、本実施
形態において、旋回判定実行部24の判定処理は、機首
部分の座標が少なくとも2回サンプリングされた後に実
行される。
【0039】旋回判定実行部24により実行された判定
処理の結果は、駆動雑音制御部26に供給される。駆動
雑音制御部26は、旋回判定実行部24により追尾目標
が旋回運動を行なっていると判定された場合に駆動雑音
Qkを旋回用の値Q1に設定し、一方、追尾目標が旋回
運動していないと判定された場合は、駆動雑音Qkを、
Q1に比して小さな直進運動用の値Q2に設定する。
【0040】駆動雑音制御部26により設定された駆動
雑音Qkは、位置算出部14により検出された追尾目標
の重心情報Ckと共に追尾フィルタ部28に供給され
る。追尾フィルタ部28は、追尾目標の重心情報Ckや
駆動雑音Qkに基づいて、1サンプル先の追尾目標の予
測値ベクトルBk+1(-)と予測誤差共分散行列Pk+1(-)等
を求める。
【0041】追尾フィルタ部28において演算された運
動状態量に関する情報Bk+1(-)や、誤差共分散に関する
情報Pk+1(-)は、遅延要素30により、サンプリング間
隔に相当する単位時間遅延された後、追尾ゲート算出部
32に供給される。
【0042】サンプリング時刻tkにおいて、追尾ゲート
算出部32には、前回のサンプリング時に追尾フィルタ
部28で演算されたBk(-)およびPk(-)が供給され
る。追尾ゲート算出部32は、これらBk(-)およびP
k(-)に基づいて、時刻tkにおいて追尾目標のビデオ信
号が得られると予測される領域を演算する。
【0043】次に、本実施形態の目標追尾装置において
実行される演算処理の内容を数式を用いて詳細に説明す
る。目標追尾装置では、追尾目標の位置および速度等を
推定する処理と、追尾目標が旋回運動中であるか否かを
判定する処理とが実行される。これらの処理のうち、先
ず、追尾目標の位置および速度等を検出する処理につい
て説明する。
【0044】サンプリング時刻tkにおける追尾目標の運
動状態、すなわち、その時刻tkにおける追尾目標の重心
位置や速度は、時刻tkにレーダセンサによって検出され
る重心の位置に基づいて推定することができる。以下、
上記の処理の実行部を観測部と称す。また、時刻tkの直
前のサンプリング時刻tk-1での追尾目標の運動状態が既
知であれば、その時刻tkにおける追尾目標の運動状態
は、直前時刻tk-1における運動状態から推定することが
できる。以下、上記の処理の実行部を予測部と称す。
【0045】観測部の実行結果には、レーダ波の伝搬に
要する時間や観測精度等に起因する誤差が伴う。一方、
予測部の実行結果には、現実の運動とモデルとの不一致
等に起因する誤差が伴う。このため、本実施形態の目標
追尾装置は、観測手法および運動モデル手法の双方を用
いて追尾目標の運動状態を推定する。
【0046】本実施形態の目標追尾装置は、追尾目標の
運動状態を表すパラメータとして、予測部により演算さ
れる状態変数ベクトルと、観測部により検出される観測
値ベクトルとを用いる。以下、サンプリング時刻tkの時
点での状態変数ベクトルおよび観測値ベクトルを、それ
ぞれBkおよびCkと記す。
【0047】状態変数ベクトルBkは、北基準直交座
標、すなわち、東方向をx軸正方向とし、北方向をy軸
正方向とし、鉛直方向をz軸正方向とする3次元座標上
で表現されるベクトルである。状態変数ベクトルBk
は、追尾目標の重心の位置および速度を表す6次元ベク
トルであり、以下に示す(1)式の如く表される。
【0048】一方、観測値ベクトルCkは、北方向を方
位角の基準方向とする極座標で得られたベクトルを、北
基準直行座標系で表したベクトルである。観測値ベクト
ルCkは、追尾目標の重心の位置を表す3次元ベクトル
であり、以下に示す(2)式および(3)式の如く表さ
れる。尚、以下に示す数式において、ベクトルを表す式
に付加される添字Tは、そのベクトルが縦ベクトルであ
ることを表す記号である。
【0049】
【数1】
【0050】時刻tkにおける状態変数ベクトルBkと、
時刻tk-1における状態変数ベクトルBk-1との間には、
次式(4)に示す運動モデルが設定できる。
【0051】
【数2】
【0052】尚、上記(4)式に示すΦkおよびωkは、
それぞれ、状態推移行列および駆動雑音ベクトルであ
る。状態推移行列は、運動モデルの設定に際して予め仮
定される行列である。駆動雑音ベクトルωkは、次式
(5)に示す如く、平均“0”分散“Qk”の正規分布
に属している。本実施形態において、分散Qkは、後述
の如く、追尾目標が旋回している場合とそうでない場合
とで異なる値に設定される。
【0053】
【数3】
【0054】時刻tkにおける状態変数ベクトルBkと観
測値ベクトルCkとの間には、次式(6)に示す関係を
設定することができる。以下、この関係を観測モデルと
称す。
【0055】
【数4】
【0056】尚、上記(6)式に示すHkおよびvkは、
それぞれ、観測行列および観測雑音ベクトルである。本
実施形態において、観測行列は予め仮定される行列であ
る。観測雑音ベクトルは、次式(7)に示す如く、平均
“0”分散“Rk”の正規分布に属している。分散Rk
は、観測状態に応じて適宜適当な状態に設定される。
【0057】
【数5】
【0058】本実施形態の目標追尾装置は、サンプリン
グ時刻毎に、観測部により得られた観測値ベクトルと、
予測部により得られた予測値ベクトルとを入力情報とし
て後述する平滑値ベクトルを演算する。以下、上記の手
法で時刻tkに得られたベクトルを平滑値ベクトルBk(+)
と称す。平滑値ベクトルBk(+)は、真の状態変数ベクト
ルBkと高い整合性を有すると認識できるベクトルであ
る。
【0059】上記(4)式の関係によれば、時刻tk-1に
おける状態変数ベクトルBk-1に基づいて時刻tkにおけ
る状態変数ベクトルBkを予測することができる。上記
の関係式より、時刻tkにおける状態変数ベクトルBkの
予測値(以下、予測値ベクトルBk(-)と称す)は、平滑
値ベクトルBk-1(+)を用いて次式(8)の如く算出する
ことができる。
【0060】
【数6】
【0061】同様に、本実施形態の目標追尾装置は、後
述の如く、サンプリング時刻毎に、観測手法により得ら
れた結果と、運動モデル手法により得られた結果とを平
滑することにより誤差共分散行列を演算する。以下、上
記の手法で時刻tkに得られた誤差共分散行列を平滑誤差
共分散行列Pk(+)と称す。
【0062】時刻tk-1に平滑誤差共分散行列Pk-1(+)が
得られると、その行列値を次式(9)に代入することに
より、時刻tkにおける誤差共分散行列Pkを予測するこ
とができる。以下、上記の手法で予測される誤差共分散
行列ベクトルを予測誤差共分散行列Pk(-)と称す。尚、
次式(9)に示すQk-1は、時刻tk-1における駆動雑音
ベクトルωk-1の分散である(上記(5)式参照)。
【0063】
【数7】
【0064】上述の如く、本実施形態の目標追尾装置
は、観測手法により得られた結果と、運動モデル手法に
より得られた結果とを平滑することにより平滑値ベクト
ルBk(+)および平滑誤差共分散行列Pk(+)を演算する。
次式(10)は、上記の平滑処理に用いられるゲイン行
列Kkを示す。平滑値ベクトルBk(+)および平滑誤差共
分散行列Pk(+)は、ゲイン行列Kkを用いて、次式(1
1)および(12)により演算することができる。
【0065】
【数8】
【0066】上記(11)式に示す如く、平滑値ベクト
ルBk(+)は、ゲイン行列Kkに応じて観測値ベクトルC
kに偏ったベクトル、または、予測値ベクトルBk(-)に
偏ったベクトルとなる。ゲイン行列Kkは、予測誤差共
分散行列Pk(-)に応じて、すなわち、駆動雑音ベクトル
ωk-1の分散Qk-1に応じて変化する(上記(9)式およ
び(10)式参照)。
【0067】より具体的には、ゲイン行列Kkは、分散
Qk-1が大きな値であるほど、観測値ベクトルCkに偏
った平滑値ベクトルBk(+)が得られるように変化する。
このため、本実施形態の目標追尾装置によれば、駆動雑
音ベクトルωk-1の分散Qk-1を大きな値に設定すること
により、観測値ベクトルを重視した平滑値ベクトルBk
(+)を得ることができ、一方、上記の分散Qk-1を小さな
値に設定することにより、予測値ベクトルを重視した平
滑値ベクトルBk(+)を得ることができる。
【0068】上述の如く、状態変数ベクトルBkと観測
値ベクトルCkとの間には上記(6)式の関係が成立す
る。また、本実施形態の目標追尾装置は、時刻tk-1にお
ける追尾目標の運動状態に基づいて予測値ベクトルBk
(-)を求めることができる。従って、予測値ベクトルBk
(-)を上記(6)式に代入することによれば、次式(1
3)に示す如く、時刻tk-1の時点における追尾目標の運
動状態に基づいて、時刻tkにおける観測値ベクトルCk
の予測値Ck(-)を得ることができる。
【0069】
【数9】
【0070】また、次式(14)によれば、予測誤差共
分散行列Pk(-)に基づいて、予測観測値ベクトルCk(-)
に対する共分散行列Sk(-)を求めることができる。すな
わち、次式(14)によれば、時刻tk-1の時点における
追尾目標の状態に基づいて、時刻tkにおける予測観測ベ
クトルCk(-)に対する共分散行列Sk(-)を予測すること
ができる。
【0071】
【数10】
【0072】上記(13)式に示す予測観測値ベクトル
Ck(-)、および、上記(14)式に示す共分散行列Sk
(-)を次式(15)に代入すると、時刻tk-1の時点にお
ける追尾目標の状態から、時刻tkの時点において観測値
ベクトルCkが存在すると予測される領域を適当に定め
ることができる。本実施形態の目標追尾装置は、各サン
プリング時に、上記の手法で設定される領域を追尾ゲー
トとし、その追尾ゲート内のビデオ信号について、上述
したターゲットテーブルの作成を行う。
【0073】
【数11】
【0074】次に、目標追尾装置において、追尾目標が
旋回しているか否かを判定するために実行される処理の
内容について説明する。
【0075】本実施形態の目標追尾装置は、ターゲット
テーブル上で認識された機首部分の運動状態に基づいて
追尾目標が旋回運動中であるか否かを判定する。目標追
尾装置は、機首部分の運動状態を表すパラメータとし
て、運動モデル手法により演算される機首状態変数ベク
トルと、観測手法により検出される機首観測値ベクトル
とを用いる。以下、サンプリング時刻tkの時点での機首
状態変数ベクトルおよび機首観測値ベクトルを、それぞ
れDkおよびAkと記す。
【0076】機首状態変数ベクトルDkおよび機首観測
値ベクトルAkは、それぞれ、以下に示す(16)式およ
び(17)式の如く表すことができる。これらに表される
ように、機首観測値ベクトルAkは、機首の位置を表す
2つの因子(rk0,byk0)で構成される2次元ベクトルで
ある。一方、機首状態変数ベクトルDkは、機首の位置
および速度を表す4つの因子(rk,byk,drk/dt,dbyk/
dt)で構成される4次元ベクトルである。
【0077】
【数12】
【0078】時刻tkにおける機首状態変数ベクトルDk
と、時刻tk-1における機首状態変数ベクトルDk-1との
間には、次式(18)に示す関係が設定できる。以下、
この関係を機首に関する運動モデルと称す。
【0079】
【数13】
【0080】尚、上記(18)式に示すΨkおよびak
は、それぞれ、機首に関する状態推移行列、および、機
首に関する駆動雑音ベクトルである。状態推移行列Ψk
および駆動雑音モデルakは、運動モデルの設定に際し
て予め仮定されている。駆動雑音ベクトルakは、次式
(19)に示す如く、平均“0”分散“Lk”の正規分
布に属している。
【0081】
【数14】
【0082】時刻tkにおける機首状態変数ベクトルDk
と機首観測値ベクトルAkとの間には、次式(20)に
示す関係を設定することができる。以下、この関係を機
首に関する観測モデルと称す。
【0083】
【数15】
【0084】尚、上記(20)式に示すNkおよびbk
は、それぞれ、機首に関する観測行列および観測雑音ベ
クトルである。本実施形態において、観測行列は予め仮
定される行列である。観測雑音ベクトルは、次式(2
1)に示す如く、平均“0”分散“Mk”の正規分布に
属している。分散Mkは、観測状態に応じて適宜適当な
値に設定される。
【0085】
【数16】
【0086】本実施形態の目標追尾装置は、後述の如
く、サンプリング時刻毎に、観測手法により得られた結
果と、運動モデル手法により得られた結果とを平滑して
機首平滑値ベクトルDk(+)、および、機首平滑誤差共分
散行列Gk(+)を演算する。時刻tk-1における機首平滑値
ベクトルDk-1(+)および機首平滑誤差共分散行列Gk-1
(+)によれば、次式(22)および(23)に示す如
く、時刻tk-1の時点で、時刻tkで生ずると予測される機
首予測値ベクトルDk(-)、および、機首平滑誤差共分散
行列Gk(-)を求めることができる。
【0087】
【数17】
【0088】本実施形態の目標追尾装置は、観測手法に
より得られた結果と、運動モデル手法により得られた結
果とを所定のゲインで内分することにより機首平滑値ベ
クトルDk(+)および平滑誤差共分散行列Pk(+)を演算す
る。次式(24)〜(26)は、上記の平滑処理に用い
られる機首ゲイン行列Vk、および、機首ゲイン行列V
kを用いて演算される機首平滑値ベクトルDk(+)および
機首平滑誤差共分散行列Gk(+)を示す。
【0089】
【数18】
【0090】上述の如く、機首状態変数ベクトルDkと
機首観測値ベクトルAkとの間には上記(20)式の関
係が成立する。また、本実施形態の目標追尾装置は、時
刻tk-1における機首の運動状態に基づいて機首予測値ベ
クトルDk(-)を求めることができる。従って、機首予測
値ベクトルDk(-)を上記(20)式に代入すれば、次式
(27)に示す如く、時刻tk-1の時点における機首の運
動状態に基づいて、時刻tkにおける機首観測値ベクトル
Akの予測値Ak(-)を得ることができる。
【0091】
【数19】
【0092】また、次式(28)によれば、機首予測誤
差共分散行列Gk(-)に基づいて、機首予測観測値ベクト
ルAk(-)に対する共分散行列Jk(-)を求めることができ
る。すなわち、次式(28)によれば、時刻tk-1の時点
における機首の状態に基づいて、時刻tkにおける機首予
測観測ベクトルAk(-)に対する共分散行列Jk(-)を予測
することができる。
【0093】
【数20】
【0094】上記(27)式に示す機首予測観測値ベク
トルAk(-)、および、上記(28)式に示す共分散行列
Jk(-)によれば、時刻tk-1の時点における機首の状態か
ら、時刻tkの時点において機首観測値ベクトルAkが存
在すると予測される領域を適当に定めることができる。
次式(29)は、追尾目標が旋回運転中である場合に機
首観測値ベクトルAkが存在すると予測される領域を定
めている。従って、本実施形態においては、時刻tkにお
ける機首観測値ベクトルAkが次式(29)の条件を満
たす場合は追尾目標が旋回中であると判断でき、一方、
上記の条件が成立しない場合は、追尾目標が旋回中でな
いと判断できる。
【0095】
【数21】
【0096】次に、図3を参照して本実施形態の目標追
尾装置の動作について説明する。図3は、目標追尾装置
に対して目標追尾処理の実行が要求される毎に起動され
るルーチンである。図3に示す一連の処理においては、
先ずステップ40の処理が実行される。
【0097】ステップ40では、レーダセンサから供給
されるビデオ信号に2値化処理を施すことによりターゲ
ットテーブルを作成する処理が実行される。本ステップ
40の処理は、誤警報確率を一定値として、すなわち、
ビデオ信号を構成する各画素信号を2値化する際に用い
られるしきい値を一定に維持したまま実行される。本ス
テップ40の処理により上記図1に示す量子化部10が
実現される。
【0098】ステップ42では、上記ステップ40の処
理により作成されたターゲットテーブル中で追尾目標の
機影に対応するエッジを検出する処理が実行される。本
ステップ42の処理により上記図1に示すスイープ間相
関部12が実現される。
【0099】ステップ44では、ターゲットテーブル中
で、レンジ軸方向または方位軸方向の連続する検出ヒッ
ト出力が同一の追尾目標に起因するものとして統合され
ると共に、統合領域の重心位置を表す観測値ベクトルC
kが、上記(2)式および(3)式に示す如く算出され
る。本ステップ44の処理により、上記図1に示す位置
算出部14が実現される。
【0100】ステップ46では、検出ヒット出力の統合
領域から、追尾目標の機首部分の画素の座標、すなわ
ち、機首観測値ベクトルAkを抽出する。本ステップ4
6の処理により、上記図1に示す機首抽出部18が実現
される。
【0101】ステップ48では、次のサンプリング時に
実現されると予想される機首座標の予測が行われる。具
体的には、 上記ステップ46で検出された機首観測値ベクトルA
k、および、前回のサンプリング時の機首状態に基づい
て予測された機首予測値ベクトルDk(-)とに基づいて、
上記(24)〜(26)式により機首平滑値ベクトルD
k(+)および機首平滑誤差共分散行列Gk(+)を演
算する処理、 それらの演算結果を上記(22)式および(23)式
に代入して、次のサンプリング時に生ずると予想される
機首予測値ベクトルDk+1(-)、および、機首予測誤差共
分散行列Gk+1(-)を演算する処理が実行される。
【0102】本ステップ48で演算された機首予測値ベ
クトルDk+1(-)、および、機首予測誤差共分散行列Gk+
1(-)は、サンプリング間隔に相当する単位時間の遅延の
後に、旋回判定の基礎とされる。本ステップ48の処理
により、上記図1に示す旋回判定用追尾フィルタ部20
および遅延要素22が実現される。
【0103】ステップ50では、上記ステップ48で前
回のサンプリング時に演算された機首予測値ベクトルD
k(-)、および、機首予測誤差共分散行列Gk(-)を上記
(27)式および(28)式に代入することにより、今
回のサンプリング時刻tkにおける機首予測値ベクトルA
k(-)および誤差共分散行列Jk(-)が演算される。更に、
本ステップ50では、上記の如く演算されたAk(-)およ
びJk(-)と、今回のサンプリングにより観測された機首
観測値ベクトルAkとの間に上記(29)式の関係が成
立するか否かが判別される。
【0104】その結果、上記の関係が成立すると判別さ
れる場合は、追尾目標が旋回運動中であると判断され
る。一方、上記の関係が成立しないと判別される場合、
または、追尾目標が検出できない、若しくは、機首部分
が不明な場合は、追尾目標がこれまでの運動を維持して
いると判別される。本ステップ50の処理により、上記
図1に示す旋回判定部24が実現される。
【0105】本実施形態の目標追尾装置において、追尾
目標が旋回中であるか否かは、追尾目標である航空機の
機首の動きに基づいて判定される。すなわち、本実施形
態の目標追尾装置は、追尾目標の重心から十分に離れた
点、すなわち、追尾目標の旋回中心軸から十分に離れた
点の動きに基づいて追尾目標の旋回判定を実行する。追
尾目標が旋回運動中である場合、追尾目標には、重心付
近に比して重心から離れた点に大きな動きが生じ易い。
このため、本実施形態の目標追尾装置によれば、追尾目
標が旋回運動を開始した後、その旋回運動を速やかに、
かつ、正確に検出することができる。
【0106】ステップ52では、駆動雑音を制御する処
理が実行される。本ステップ52では具体的には、追尾
目標が旋回運動中であると判別される場合に、上記
(5)式に示す駆動雑音ωkの分散Qkを旋回運動に対
応する値Q1に、また、追尾目標が旋回運動中でないと
判別される場合に、その分散Qkを非旋回運動に対応す
る値Q2(Q1に比して小さな値)に設定する処理が実
行される。本ステップ52の処理により上記図1に示す
駆動雑音制御部26が実現される。
【0107】ステップ54では、追尾目標の運動諸元の
推定が行われる。本ステップ54では、具体的には、 前回のサンプリング時の状態に基づいて予測値ベクト
ルBk(-)および予測誤差共分散行列Pk(-)を演算する処
理(上記(8)式および(9)式)、および、 今回のサンプリングにより得られた観測値ベクトルC
kと、上記の如く演算された予測値ベクトルBk(-)およ
び予測誤差共分散行列Pk(-)とに基づいて、平滑値ベク
トルBk(+)および平滑誤差共分散行列Pk(+)を演算する
処理(上記(10)式〜(12)式)が実行される。
【0108】上述の如く、本実施形態の目標追尾装置に
よれば、追尾目標が旋回中である場合に、追尾目標が旋
回中でない場合に比して駆動雑音ωkの分散Qkが大き
な値に設定される。また、上述の如く、本実施形態の目
標追尾装置によれば、分散Qkが大きな値となるほど、
平滑値ベクトルBk(+)に、観測手法による結果が反映さ
れ易くなる。従って、本実施形態の目標追尾装置によれ
ば、追尾目標が旋回運動中である場合は、追尾目標が非
旋回運動中である場合に比して観測結果が重視される状
態を形成することができる。
【0109】上記(4)式に示す運動モデルは、追尾目
標が非旋回中である場合に追尾目標の現実の動きと精度
良く整合するモデルである。このため、追尾目標が旋回
運動中である場合は、上記(4)式に示す運動モデル
と、追尾目標の現実の動きとの間に不一致が生じ易くな
る。上述の如く、本実施形態の目標追尾装置は、このよ
うな状況下で観測結果重視の状態を形成する。従って、
本実施形態の目標追尾装置によれば、追尾目標が非旋回
中である場合と同様に、追尾目標が旋回運動中である場
合にも優れた検出精度で追尾目標の運動状態を検出する
ことができる。
【0110】ステップ56では、上記ステップ54で演
算された予測値ベクトルBk(-)、および、予測誤差共分
散行列Pk(-)に基づいて追尾ゲートの予測領域を演算す
る処理、すなわち、サンプリング時刻tk-1における追尾
目標の運動状態に基づいて、サンプリング時刻tkでの追
尾目標の存在領域を予測する処理が実行される(上記
(13)式〜(15)式)。次回の処理サイクル時にお
いて、上記ステップ40の処理は、本ステップ54の処
理により予測された追尾ゲートを対象として実行され
る。本ステップ56の処理により、上記図1に示す追尾
ゲート算出部32が算出される。
【0111】ステップ58では、目標追尾処理を終了す
るか否かが判別される。その結果、目標追尾処理を続行
すべきと判別された場合は次にステップ60の処理が実
行される。一方、目標追尾処理を終了すべきと判別され
た場合は、図3に示すルーチンが終了される。
【0112】ステップ60では、サンプリング間隔に相
当する単位時間の経過を待つ遅延処理が実行される。上
記の遅延処理が終了すると、再び上記ステップ40の処
理が実行される。以後、目標追尾処理の終了が判別され
るまで、サンプリング時刻毎に上記ステップ40〜60
の処理が繰り返し実行される。
【0113】ところで、上記の実施形態においては、追
尾目標を航空機に限定しているが、本発明は、これに限
定されるものではなく、追尾目標は艦船や自動車などの
他の移動体であっても良い。また、上記の実施形態にお
いては、追尾目標の旋回判定を、機首の動きに基づいて
行うこととしているが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、旋回判定は、追尾目標のヒット出力において
重心から離れた任意の点(例えば、追尾目標の機影の周
縁付近の点等や、重心から所定長離間した追尾目標上の
点等)の動きに基づいて実行することができる。
【0114】尚、上記の実施形態においては、旋回判定
部16により前記請求項1記載の「旋回状態検出手段」
が、前記機首抽出部18により前記請求項2記載の「所
定点設定手段」、前記請求項3記載の「第2の所定点設
定手段」および前記請求項4記載の「第3の所定点設定
手段」が、それぞれ実現されている。
【0115】また、上記の実施形態においては、位置算
出部14により前記請求項5記載の「観測値取得手段」
が、前記追尾フィルタ部28により前記請求項5記載の
「予測値取得手段」、「平滑値取得手段」、および、
「ゲイン変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0116】更に、上記の実施形態においては、追尾フ
ィルタ部28が、上記(13)式に従ってゲイン行列K
kを演算することにより前記請求項6記載の「ゲイン演
算手段」が実現されていると共に、駆動雑音制御部26
により前記請求項6記載の「駆動雑音制御手段」が実現
されている。
【0117】実施の形態2.次に、図4および図5を参
照して、本発明の実施の形態2について説明する。図4
は、本発明の実施の形態2の目標追尾装置のブロック構
成図を示す。尚、図4において、図1に示す構成部分と
同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略また
は簡略する。
【0118】本実施形態の目標追尾装置は、上記図1に
示す駆動雑音制御部26に代えて、ゲート制御部62を
備えている点に特徴を有している。ゲート制御部62
は、旋回判定部16による旋回判定の結果を受けて、追
尾ゲート算出部32に対して追尾ゲートの大きさを判断
するしきい値dkを出力する部位である。
【0119】図5は、本実施形態の目標追尾装置におい
て実行される一連の処理のフローチャートを示す。図5
に示す一連の処理は、上記図3に示す一連の処理と同様
に、目標追尾処理の開始が要求された後、その終了が要
求されるまで繰り返し実行される。尚、図5において、
上記図3に示すステップと同一の処理を実行するステッ
プについては、同一の符号を付してその説明を省略また
は簡略する。
【0120】図5に示すルーチンにおいては、ステップ
50の処理により追尾目標の旋回判定が実行された後、
ステップ64の処理が実行される。ステップ64では、
上記の旋回判定により追尾目標が旋回運動中であると判
定された場合に、追尾ゲートの大きさを決めるしきい値
dkとして所定値d1が出力される。一方、本ステップ64
では、旋回判定により追尾目標が非旋回運動中であると
判別された場合に、上記のしきい値dkとして、d1に比し
て小さな所定値d2が出力される。本ステップ64の処理
により上記図4に示すゲート制御部62が実現されてい
る。
【0121】本実施形態の目標追尾装置は、次式(3
0)の関係を満たす観測値ベクトルCkの範囲を追尾ゲ
ートとして算出する。尚、次式(30)中、Ck(-)およ
びSk(-)は、観測ベクトルCkの予測値、および、その
予測値Ck(-)に対する誤差共分散行列である。これら
は、それぞれ、実施の形態1の場合と同様に上記(1
3)式および(14)式により算出される。
【0122】
【数22】
【0123】上記(30)式によれば、しきい値dkが大
きな値であるほど大きな追尾ゲートが算出される。従っ
て、本実施形態の目標追尾装置によれば、追尾目標が旋
回運動中である場合に、追尾目標が非旋回運動中である
場合に比して大きな追尾ゲートを得ることができる。追
尾ゲートの大きさが上記の如く変化すると、追尾目標の
非旋回運動中に不必要に大きな追尾ゲートを設定するこ
となく、旋回中の追尾目標を適性に追尾ゲート内に収め
ることが可能となる。このため、本実施形態の目標追尾
装置によれば、不必要に多量の処理を行うことなく、優
れた追尾能力を実現することができる。
【0124】尚、上記の実施形態においては、追尾ゲー
ト算出部32によって前記請求項7記載の「追尾ゲート
設定手段」が、また、ゲート制御部62により前記請求
項7記載の「ゲート制御手段」が、それぞれ実現されて
いる。
【0125】実施の形態3.次に、図6および図7を参
照して、本発明の実施の形態3について説明する。図6
は、本発明の実施の形態3の目標追尾装置のブロック構
成図を示す。尚、図6において、図1に示す構成部分と
同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略また
は簡略する。
【0126】本実施形態の目標追尾装置は、上記図1に
示す駆動雑音制御部26に代えて、サンプリング間隔制
御部66を備えている点に特徴を有している。サンプリ
ング間隔制御部66は、旋回判定部16による旋回判定
の結果を受けて、量子化部10に対してサンプリング間
隔Δtkの設定値を出力する部位である。
【0127】図7は、本実施形態の目標追尾装置におい
て実行される一連の処理のフローチャートを示す。図7
に示す一連の処理は、上記図3に示す一連の処理と同様
に、目標追尾処理の開始が要求された後、その終了が要
求されるまで繰り返し実行される。尚、図7において、
上記図3に示すステップと同一の処理を実行するステッ
プについては、同一の符号を付してその説明を省略また
は簡略する。
【0128】図7に示すルーチンにおいては、ステップ
50の処理により追尾目標の旋回判定が実行された後、
ステップ68の処理が実行される。ステップ68では、
上記の旋回判定により追尾目標が旋回運動中であると判
定された場合に、サンプリング間隔Δtkを所定値Δt1に
設定し、一方、旋回判定により追尾目標が非旋回運動中
であると判別された場合に、サンプリング間隔ΔtkをΔ
t1に比して大きな所定値Δt2に設定する。本ステップ6
8の処理により上記図7に示すサンプリング間隔制御部
66が実現される。
【0129】上記の設定によれば、追尾目標が旋回運動
中である場合に、サンプリング間隔Δtkを狭めることに
より集中的な観測を実現し、また、追尾目標が非旋回中
である場合に不必要に頻繁に観測が実行されるのを防止
することができる。このため、本実施形態の目標追尾装
置によれば、優れた目標追尾能力を効率的に確保するこ
とができる。
【0130】尚、上記の実施形態においては、サンプリ
ング間隔制御部66により前記請求項8記載の「サンプ
リング間隔制御手段」が実現されている。
【0131】実施の形態4.次に、図8および図9を参
照して、本発明の実施の形態4について説明する。図8
は、本発明の実施の形態4の目標追尾装置のブロック構
成図を示す。尚、図8において、図1に示す構成部分と
同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略また
は簡略する。
【0132】本実施形態の目標追尾装置は、上記図1に
示す駆動雑音制御部26および追尾フィルタ部28に代
えて、追尾フィルタ制御部70および第2追尾フィルタ
部72を備えている点に特徴を有している。第2追尾フ
ィルタ部72は、追尾目標の位置項(xk,yk,zk)、速
度項(dxk/dt,dyk/dt,dzk/dt )、および、加速度項
(d2xk/dt2,d2yk/dt2,d2zk/dt2)を推定する9
次元モデルを用いる追尾フィルタ1と、位置項および速
度項のみを推定する6次元モデルを用いる追尾フィルタ
2とを備えている。
【0133】追尾フィルタ制御部70は、旋回判定部1
6の判定結果に基づいて、追尾目標の検出処理に用いる
べき追尾フィルタを、上記の追尾フィルタ1および追尾
フィルタ2の一方に決定する。第2追尾フィルタ部72
は、選択された追尾フィルタを用いて、実施の形態1と
近似する処理を実行することにより、以下に示す如く追
尾目標の運動状態を検出する。
【0134】図9は、本実施形態の目標追尾装置におい
て実行される一連の処理のフローチャートを示 す。図
9に示す一連の処理は、上記図3に示す一連の処理と同
様に、目標追尾処理の開始が要求された後、その終了が
要求されるまで繰り返し実行される。尚、図9におい
て、上記図3に示すステップと同一の処理を実行するス
テップについては、同一の符号を付してその説明を省略
または簡略する。
【0135】図9に示すルーチンにおいては、ステップ
50の処理により追尾目標の旋回判定が実行された後、
ステップ74の処理が実行される。ステップ74では、
追尾フィルタの次数制御が実行される。本ステップ74
では、具体的には、追尾目標が旋回運動中であると判定
された場合に、9次元モデルを対象とする追尾フィルタ
1が、また、追尾目標が非旋回運動中であると判別され
た場合に6次元モデルを対象とする追尾フィルタ2が、
それぞれ追尾目標の検出処理に用いられる追尾フィルタ
として選択される。本ステップ74の処理により上記図
8に示すステップ70の処理が実行される。
【0136】本実施形態において、追尾フィルタ1が対
象とする9次元モデルで用いられる状態変数ベクトルB
k,1、および、追尾フィルタ2が対象とする6次元モデ
ルの状態変数ベクトルBk,2は、それぞれ次式(3
1)、(32)の如く表すことができる。
【0137】
【数23】
【0138】また、追尾フィルタ1に対応するベクトル
を添字i=1で、一方、追尾フィルタ2に対応するベクト
ルを添字i=2でそれぞれ表すと、それぞれの追尾フィル
タに対応する運動モデルおよび観測モデルを、次式(3
3)、(34)、および、次式(35)、(36)で表
すことができる。
【0139】
【数24】
【0140】尚、上記(33)式に示すΦk,iおよびω
k,iは、それぞれ、追尾フィルタi(i=1,2)に対応する状
態推移行列および駆動雑音ベクトルである。また、上記
(35)式に示すHk,iおよびvkは、それぞれ、追尾フ
ィルタi(i=1,2)に対応する観測行列、および、観測雑
音ベクトルである。
【0141】上記の如く追尾フィルタ1および2の別を
添字iで表すことによれば、9次元モデルおよび6次元
モデルのそれぞれに対応して、予測値ベクトルBk,i
(-)、予測誤差共分散行列Pk,i(-)、ゲイン行列Kk,i、
平滑値ベクトルBk,i(+)、および、予測誤差共分散行列
Pk,i(+)を次式(37)〜(41)の如く表すことがで
きる。
【0142】
【数25】
【0143】また、追尾フィルタi(i=1,2)のそれぞれ
に対応する予測値ベクトルBk,i(-)、予測誤差共分散行
列Pk,i(-)および観測行列Hk,i、および、観測雑音ベ
クトルVkの分散Rkを用いると、観測値ベクトルCkの
予測値Ck(-)、その予測値Ck(-)に対する誤差共分散
行列Sk(-)、および、追尾ゲートを定める条件式を、次
式(42)〜(44)の如く表すことができる。
【0144】
【数26】
【0145】ステップ76では、上記(37)〜(4
1)式に従って、上記ステップ74で選択された追尾フ
ィルタに対応する予測値ベクトルBk,i(-)、予測誤差共
分散行列Pk,i(-) 、ゲイン行列Kk,i、平滑値ベクトル
Bk,i(+)、および、予測誤差共分散行列Pk,i(+)が演算
される。本ステップ76の処理により上記図8に示す第
2追尾フィルタ部72が実現される。
【0146】追尾目標が非旋回運動中である場合は、そ
の追尾目標に、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の何
れにも加速度は生じない。従って、その追尾目標の運動
状態は、位置および速度のみで正確に把握することがで
きる。一方、追尾目標が旋回運動中である場合は、追尾
目標に対して旋回中心に向かう加速度が生ずる。従っ
て、その追尾目標の運動状態を正確に把握するために
は、追尾目標の加速度を検出することが必要である。
【0147】上記ステップ76の処理によれば、追尾目
標が非旋回運動中である場合は、追尾目標の運動状態と
して、位置項(x,y,z)および速度項(dxk/dt,dy
k/dt,dzk/dt)のみを含む平滑値ベクトルBk,2(+)を求
めることができる。一方、追尾目標が旋回運動中である
場合は、追尾目標の運動状態として、位置項および速度
項に加えて加速度項(d2xk/dt2,d2yk/dt2,d2zk/
dt2)を含む平滑値ベクトルBk,1(+)を求めることがで
きる。
【0148】このため、上記の処理によれば、追尾目標
が非旋回運動中である場合に不必要に演算負荷を高める
ことなく、追尾目標が旋回運動中である場合に、その追
尾目標の運動状態を正確に検出することができる。上記
ステップ76の処理が終了すると、以後、上記(42)
〜(44)式に従って追尾ゲートが演算された後(ステ
ップ56)、ステップ58の処理が実行される。
【0149】上述の如く、本実施形態の目標追尾装置に
よれば、追尾目標の旋回状態を正確に検出すると共に、
追尾目標の旋回状態に応じて適切に9次元モデルと6次
元モデルとを切り換えることにより、追尾目標の運動状
態に関する優れた検出能力を効率良く実現することがで
きる。
【0150】尚、上記の実施形態においては、第2追尾
フィルタ72により前記請求項9記載の「状態変数ベク
トル演算手段」が、追尾フィルタ制御部70により前記
請求項9記載の「変数次数変更手段」が、それぞれ実現
されている。
【0151】また、上記の実施形態においては、第2追
尾フィルタ部72を構成する追尾フィルタ1および追尾
フィルタ2により前記請求項10記載の「第1追尾フィ
ルタ手段」および「第2追尾フィルタ手段」が、追尾フ
ィルタ制御部70により前記請求項10記載の「変数次
数変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0152】実施の形態5.次に、図10および図11
を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図10は、本発明の実施の形態5の目標追尾装置のブロ
ック構成図を示す。尚、図10において、図1に示す構
成部分と同一の部分には同一の符号を付してその説明を
省略または簡略する。
【0153】本実施形態の目標追尾装置は、上記図1に
示す駆動雑音制御部26および追尾フィルタ部28に代
えて、推移確率制御部78および第3追尾フィルタ部8
0を備えている。本実施形態において、第3追尾フィル
タ部80は、複数の運動モデルで構成される多重運動モ
デルに基づいて追尾目標の運動諸元を推定する。以下、
第3追尾フィルタ部80が追尾目標の運動諸元を推定す
る手法について説明する。
【0154】本実施形態においては、多重運動モデルを
構成する運動モデルとして、追尾目標の位置、速度およ
び加速度を推定する9次元モデル(以下、運動モデル1と
称す)と、位置項および速度項のみを推定する6次元モ
デル(以下、運動モデル2と称す)とが設定されている。
運動モデル1は、旋回運動中の追尾目標の状態を正確に
把握するのに好適なモデルである。一方、運動モデル2
は、非旋回運動中の追尾目標の状態を正確に把握するの
み好適なモデルである。
【0155】第3追尾フィルタ部80は、後述の如く、
運動モデル1および2の双方についてサンプリング時刻
tkにおける状態変数ベクトルBkの予測値等を演算す
る。以下、運動モデル1に対応する演算値と、運動モデ
ル2に対応する演算値との別を添字iまたはjを用いて
表す。
【0156】運動モデル1に対応する状態変数ベクトル
Bk,1、および、運動モデル2に対応する状態変数ベク
トルBk,2は、それぞれ次式(45)、(46)の如く
表すことができる。本実施形態の目標追尾装置は、これ
ら2つの状態変数ベクトルを統合することにより、次式
(47)に示す9次元の統合状態変数ベクトルBk、お
よび、Bk,iを演算する。
【0157】
【数27】
【0158】尚、上記(47)式中で用いられる次数整
合行列Fiは、運動モデル1に対応するベクトル(9
次)の次数、および、運動モデル2に対応するベクトル
(6次)の次数を、共に統合状態変数ベクトルの次数と
同じ9次に整合させるための行列である。
【0159】状態変数ベクトルBk,iに対する運動モデ
ルは、次式(48)、(49)により表すことができ
る。一方、状態変数ベクトルBk,iに対する観測モデル
は、次式(50)、(51)で表すことができる。
【0160】
【数28】
【0161】尚、上記(48)式に示すΦk,iおよびω
k,iは、それぞれ、運動モデルi(i=1,2)に対応する状態
推移行列および駆動雑音ベクトルである。また、上記
(50)式に示すHk,iおよびvkは、それぞれ、運動モ
デルi(i=1,2)に対応する観測行列、および、観測雑音
ベクトルである。
【0162】本実施形態において、運動モデル毎の予測
値ベクトルBk,i(-)は、運動モデル毎に設定される状態
推移行列Φk,iと、後述する統合平滑値ベクトルBk(+)
とを用いて次式(52)の如く演算される。また、運動
モデル毎の予測誤差共分散行列Pk,i(-)は、運動モデル
毎に設定される状態推移行列Φk,iおよび分散Qk,iと、
後述する統合平滑誤差共分散行列Pk(+)とを用いて次式
(53)の如く演算される。
【0163】
【数29】
【0164】上記(52)式に示す統合平滑値ベクトル
Bk(+)、および、上記(53)式に示す統合平滑誤差共
分散行列Pk(+) は、運動モデル毎に演算される平滑値
ベクトルBk,i(+)や平滑誤差共分散行列Pk,i(+)、およ
び、次数整合行列Fi等を用いて、次式(54)または
(55)の如く演算される。
【0165】
【数30】
【0166】本実施形態において、運動モデル毎の平滑
値ベクトルBk,i(+)および平滑誤差共分散行列Pk,i(+)
は、次式(56)に示すゲイン行列Kk,iを用いて、次
式(57)および(58)の如く演算される。
【0167】
【数31】
【0168】更に、上記(54)式および(55)式中
で用いられるβk,iは、時刻tkにおいて運動モデルiが
成立する確率である。確率βk,iは、次式(59)、
(60)により演算される。
【0169】
【数32】
【0170】尚、上記(59)式で用いられる関数g(a;
b;c)は、平均b、共分散行列cの3変量正規分布のaに
おける確率密度関数である。
【0171】上記(60)式の演算には、推移確率Pij
が用いられている。推移確率Pijは、追尾目標の運動状
態が、運動モデルj(j=1または2)に適合する運動状態
から、運動モデルi(i=1または2)に適合する運動状態
に推移する確率である。推移確率Pijは、追尾目標の運
動状態を正確に検出するうえで重要な値である。
【0172】本実施形態において、推移確率Pijは、
i=jの場合、すなわち、連続する2回のサンプリング
の間に、追尾目標に適合する運動モデルが変化しない場
合、および、i≠jの場合、すなわち、連続する2回
のサンプリングの間に、追尾目標に適合する運動モデル
が変化する場合のそれぞれについて、次式(61)の如
く定義されている。
【0173】
【数33】
【0174】上記(61)式において、Δtkはサンプリ
ング間隔である。また、λkは追尾目標の状態に応じて
設定される目標用パラメータである。上記(61)式に
よれば、目標パラメータλkが大きいほど、または、サ
ンプリング間隔Δtkが長期間であるほど、Pij(i=
j)が小さな値となり、かつ、Pij(i≠j)が大きな
値となる。
【0175】目標パラメータλkには、次式(62)に
示す如く、追尾目標が旋回運動中であると判定される場
合に旋回目標用パラメータλ1が代入されると共に、追
尾目標が非旋回運動中であると判別される場合に直進目
標用パラメータλ2が代入される。旋回目標用パラメー
タλ1は、直進目標用パラメータλ2に比して大きな値で
ある。
【0176】
【数34】
【0177】従って、追尾目標が旋回運動中である場合
は、推移確率Pij(i=j)が小さな値となり、推移確
率Pij(i≠j)が大きな値となる。一方、追尾目標が
非旋回運動中である場合は、推移確率Pij(i=j)が
大きな値となり、推移確率Pij(i≠j)が小さな値と
なる。
【0178】追尾目標の旋回運動中は、追尾目標に適合
する運動モデルが、運動モデル1と運動モデル2との間
で推移する確率が高いと考えられる。従って、この場合
は、推移確率Pij(i=j)が小さな値であり、かつ、
推移確率Pij(i≠j)が大きな値であることが適切で
ある。一方、追尾目標の非旋回運動中は、追尾目標に適
合する運動モデルが運動モデル1と運動モデル2との間
で推移する確率が低いと考えられる。従って、この場合
は、推移確率Pij(i=j)が大きな小さな値であり、
かつ、推移確率Pij(i≠j)が小さな値であることが
適切である。
【0179】上記(62)式の設定によれば、追尾目標
の旋回運動中、および、非旋回運動中に、共に上述した
適切な状態を形成することができる。このため、本実施
形態の目標追尾装置によれば、追尾目標の旋回状態に関
わらず、推移確率Pijを常に適切な値に設定することが
できる。
【0180】上記(52)式および(53)式により、
運動モデル毎に演算される予測値ベクトルBk,i(-)は、
それぞれ、次式(63)および(64)により、統合予
測値ベクトルBk(-)、および、統合予測誤差共分散行列
Pk(-)に統合することができる。
【0181】
【数35】
【0182】上記(63)式中、“Pij・βk-1,j”
は、時刻tk-1の時点で追尾目標に適合する運動モデルが
運動モデルjであり、かつ、時刻tkの時点で追尾目標に
適合する運動モデルが運動モデルiである確率を表して
いる。運動モデルiに対する予測値ベクトルBk,i(-)の
値は、その値“Pij・βk-1,j”が大きいほど統合予測
値ベクトルBk(-)に大きく反映される。
【0183】“βk-1,j”は、時刻tk-1の時点で追尾目
標に適合する運動モデルの番号とjとが一致する場合に
大きな値となる。従って、“Pij・βk-1,j”は、jが
上記の条件を満たす場合に大きな値となる。jが上記の
条件を満たしている場合、“Pij・βk-1,j”は、Pij
が大きいほど大きな値となる。
【0184】上述の如く、Pijは、追尾目標が旋回運動
中である場合は、Pij(i=j)が小さく、かつ、Pij
(i≠j)が大きくなるように設定されている。従っ
て、この場合、“Pij・βk-1,j”は、i≠jの成立す
るiについて大きな値となる。このため、追尾目標が旋
回運動中である場合、統合予測値ベクトルBk,i(-)に
は、時刻tk-1の時点で追尾目標に適合していた運動モデ
ル(例えば運動モデル1)と異なる運動モデル(例えば
運動モデル2)に対応する予測値ベクトルBk,i(-)が大
きく反映される。
【0185】一方、本実施形態において、Pijは、追尾
目標が非旋回運動中である場合は、Pij(i=j)が大
きく、かつ、Pij(i≠j)が小さくなるように設定さ
れている。従って、この場合、“Pij・βk-1,j”は、
i=jの成立するiについて大きな値となる。このた
め、追尾目標が非旋回運動中である場合、統合予測値ベ
クトルBk(-)には、時刻tk-1の時点で追尾目標に適合し
ていた運動モデル(例えば運動モデル1)と同じ運動モ
デル(例えば運動モデル1)に対応する予測値ベクトル
Bk(-)が大きく反映される。
【0186】このように、本実施形態の目標追尾装置に
よれば、追尾目標の旋回運動中には、統合予測値ベクト
ルBk(-)の演算において主導的に用いられる運動モデル
が変化し易い状態を形成することができ、また、追尾目
標の非旋回運動中には、統合予測値ベクトルBk(-)の演
算において主導的に用いられる運動モデルが変化し難い
状態を形成することができる。
【0187】本実施形態において、観測値ベクトルCk
の予測値Ck(-)、その予測値Ck(-)に対する誤差共分
散行列Sk(-)、および、追尾ゲートを定める条件式は、
上記(63)式により演算される統合予測値ベクトルB
k(-)、上記(64)式により演算される統合予測滑誤差
共分散行列Pk(-)、観測行列Hk、および、観測雑音ベ
クトルVkの分散Rkを用いて次式(65)〜(67)の
如く表すことができる。
【0188】
【数36】
【0189】図11は、本実施形態の目標追尾装置にお
いて実行される一連の処理のフローチャートを示す。図
11に示す一連の処理は、上記図3に示す一連の処理と
同様に、目標追尾処理の開始が要求された後、その終了
が要求されるまで繰り返し実行される。尚、図11にお
いて、上記図3に示すステップと同一の処理を実行する
ステップについては、同一の符号を付してその説明を省
略または簡略する。
【0190】図11に示すルーチンにおいては、ステッ
プ50の処理により追尾目標の旋回判定が実行された
後、ステップ82の処理が実行される。ステップ82で
は、推移確率Pijの設定値を制御する処理が実行され
る。本ステップ82では、具体的には、上記(62)式
に示す如く、追尾目標が旋回運動中であると判定されて
いる場合に目標パラメータλkにλ1を設定し、また、
追尾目標が非旋回運動中であると判定されている場合に
目標パラメータλkにλ2を設定すると共に、上記(6
1)式に従って推移確率Pijを演算する処理が実行され
る。本ステップ82の処理により、上記図10に示す推
移確率制御部78が実現されている。
【0191】上記の設定によれば、追尾目標が旋回運動
中である場合に、主導的に用いられる運動モデルが推移
し易い状態を形成して、旋回目標に対する目標追尾装置
の追従性を高めることができる。また、上記の設定によ
れば、追尾目標が非旋回運動中である場合に、主導的に
用いられる運動モデルが推移し難い状態を形成して、観
測精度の安定化を図ることができる。
【0192】ステップ84では、上記ステップ82の処
理により演算された推移確率Pijを用いて、上述した多
重運動モデルに基づく手法で追尾目標の運動諸元を推定
する処理が実行される(上式(52)〜(60)、(6
3)、(64))。
【0193】上記ステップ84の処理が終了すると、以
後、上記(65)式〜(67)式により追尾ゲートが演
算された後(ステップ56)、ステップ58の処理が実行
される。
【0194】ところで、上記の実施形態においては、多
重運動モデルを構成する運動モデルの数を2つに設定し
ているが、本発明は、これに限定されるものではなく、
より多くの運動モデルにより多重運動モデルを構成する
こととしてもよい。
【0195】尚、上記の実施形態においては、第3追尾
フィルタ部80が、運動モデル毎に予測値ベクトルBk,
i(-)を演算することにより前記請求項11記載の「多重
運動諸元推定手段」が、推移確率Pijを演算することに
より前記請求項11記載の「推移確率演算手段」が、予
測値ベクトルBk,i(-)を統合して統合予測値ベクトルB
k(-)を演算することにより前記請求項11記載の「運動
諸元統合手段」が、それぞれ実現されていると共に、推
移確率制御部78により前記請求項11記載の「推移確
率制御手段」が実現されている。
【0196】実施の形態6.次に、図12および図13
を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
図12は、本発明の実施の形態6の目標追尾装置のブロ
ック構成図を示す。尚、図12において、図1に示す構
成部分と同一の部分には同一の符号を付してその説明を
省略または簡略する。
【0197】本実施形態の目標追尾装置は、上記図1に
示す駆動雑音制御部26および追尾フィルタ部28に代
えて、信頼度制御部86および第4追尾フィルタ部88
を備えている。本実施形態において、第4追尾フィルタ
部88は、上記(52)〜(58)式、(63)式、お
よび、(64)式を用いて、実施の形態5の場合と近似
する手法で追尾目標の運動諸元、すなわち、統合状態変
数ベクトルBkを演算する。
【0198】上述した実施の形態5において、運動モデ
ルiが成立する確率βk,iは、上記(59)式および(6
0)式に基づいて演算される。本実施形態の目標追尾装
置は、信頼度制御部24が、旋回判定部16の旋回判定
結果に基づいて、確率βk,iを強制的に修正する点に特
徴を有している。
【0199】図13は、本実施形態の目標追尾装置にお
いて実行される一連の処理のフローチャートを示す。図
13に示す一連の処理は、上記図3に示す一連の処理と
同様に、目標追尾処理の開始が要求された後、その終了
が要求されるまで繰り返し実行される。尚、図13にお
いて、上記図3に示すステップと同一の処理を実行する
ステップについては、同一の符号を付してその説明を省
略または簡略する。
【0200】図13に示すルーチンにおいては、ステッ
プ50の処理により追尾目標の旋回判定が実行された
後、ステップ90の処理が実行される。ステップ90で
は、運動モデルの信頼度制御が実行される。本ステップ
90では、具体的には、追尾目標が旋回運動中であると
判定されている場合に運動モデル1の成立確率βk,1を
“1”とし、かつ、運動モデル2の成立確率βk,2を
“0”とする処理、および、追尾目標が非旋回判定中で
あると判別される場合に運動モデル1の成立確率βk,1
を“0”とし、かつ、運動モデル2の成立確率βk,2を
“1”とする処理が実行される。
【0201】ステップ92では、上記ステップ90の処
理により設定された確率βk,iを用いて、上述した多重
運動モデルに基づく手法で追尾目標の運動諸元が推定さ
れる。上記ステップ92の処理が終了すると、以後、ス
テップ56以降の処理が実行される。
【0202】上記の処理によれば、追尾目標の運動状態
に応じて強制的に確率βk,iの値を“1”または“0”
とすることにより、追尾目標の旋回運動中には、旋回運
動の把握に適した運動モデル1の成立確率を高め、か
つ、追尾目標の非旋回運動中には直進運動の把握に適し
た運動モデル2の成立確率を高めることができる。この
ため、本実施形態の目標追尾装置によれば、追尾目標の
追尾に関して優れた追従性を実現することができる。
【0203】尚、上記の実施形態においては、第4追尾
フィルタ部88が、運動モデル毎に予測値ベクトルBk,
i(-)を演算することにより前記請求項13記載の「多重
運動諸元推定手段」が、予測値ベクトルBk,i(-)を統合
して統合予測値ベクトルBk(-)を演算することにより前
記請求項13記載の「第2運動諸元統合手段」が、それ
ぞれ実現されていると共に、信頼度制御部86により前
記請求項13記載の「信頼度制御手段」が実現されてい
る。
【0204】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
または請求項15記載の発明によれば、追尾目標の旋回
状態が重心と異なる点の動きに基づいて検出される。追
尾目標の旋回中は、重心と異なる点に大きな動きが生じ
易い。このため、本発明によれば、追尾目標の旋回状態
を速やかに、かつ、正確に検出することができる。
【0205】請求項2記載の発明によれば、追尾目標の
長軸方向の端部の動きに基づいて追尾目標の旋回判定が
実行される。このため、本発明によれば、正確な旋回判
定を行うことができる。
【0206】請求項3記載の発明によれば、追尾目標の
ヒット出力の任意の点の動きに基づいて追尾目標の旋回
判定が実行される。このため、本発明によれば、正確な
旋回判定を容易に行うことができる。
【0207】請求項4記載の発明によれば、重心から所
定長離れた点の動きに基づいて追尾目標の旋回判定が実
行される。重心から所定長離れた点は、追尾目標の旋回
速度に応じた変化を示す。このため、本発明によれば、
追尾目標の旋回状態を正確に検出することができる。
【0208】請求項5記載の発明によれば、観測値と予
測値とを平滑することにより、重心の動きを精度良く表
す平滑値が演算される。平滑値の演算に用いられるゲイ
ンは、追尾目標の旋回状態に応じて変更される。このた
め、平滑値は、追尾目標が旋回運動中である場合も、追
尾目標が非旋回運動中である場合も、常に精度良く現実
の重心の状態に一致する。
【0209】請求項6記載の発明によれば、追尾目標が
旋回運動中である場合は、追尾目標が非旋回運動中であ
る場合に比して駆動雑音が大きな値に設定される。その
結果、所定ゲインが観測値重視の値になり、平滑値に観
測値が反映され易い状態が形成される。このため、この
ため、本発明によれば、追尾目標の旋回状態に関わら
ず、現実の重心の状態を精度良く表す平滑値を得ること
ができる。
【0210】請求項7または請求項16記載の発明によ
れば、追尾目標の旋回状態に応じて追尾ゲートが設定さ
れるため、不必要な処理を実行することなく、優れた追
尾能力を実現することができる。
【0211】請求項8または請求項17記載の発明によ
れば、追尾目標の旋回状態に応じてサンプリング間隔が
変更されるため、追尾目標の旋回運動中に集中的に観測
を行ない、追尾目標の非旋回運動中に、演算負荷の軽減
を図ることができる。
【0212】請求項9または請求項18記載の発明によ
れば、追尾目標の運動状態を表す状態変数ベクトルの次
数が、追尾目標の旋回状態に応じて変更されるため、追
尾目標の運動諸元の推定を、運動状態に応じた適切な状
態変数に基づいて行なうことができる。
【0213】請求項10記載の発明によれば、追尾目標
が旋回運動中である場合に追尾目標の位置および速度に
加えて加速度を含む状態変数ベクトルを検出することが
できると共に、追尾目標が非旋回運動中である場合に、
追尾目標の加速度を含まない状態変数ベクトルを検出す
ることができる。従って、本発明によれば、追尾目標の
非旋回運動中における演算負荷の抑制しつつ、追尾目標
の旋回運動中に優れた検出能力を確保することができ
る。
【0214】請求項11または請求項19記載の発明に
よれば、多重運動モデルに基づいて推定される運動諸元
を統合する際に用いられる推移確率が、追尾目標の旋回
状態に応じて変更されるため、旋回目標に対する追従性
を良くすることができる。
【0215】請求項12記載の発明によれば、多重モデ
ルに、旋回状態の追尾目標の運動状態を正確に把握する
のに好適な第1運動モデルと、非旋回状態の追尾目標の
運動状態を正確に把握するのに好適な第2運動モデルと
が含まれているため、追尾目標の旋回運動中および非旋
回運動中の双方において、追尾目標の運動状態を正確に
把握することができる。
【0216】請求項13または請求項20記載の発明に
よれば、追尾目標の旋回状態に応じて、追尾目標の状態
を把握するうえで適切な運動モデルの成立確率が高めら
れるため、追尾目標の追尾に関する追従性を良好にする
ことができる。
【0217】請求項14記載の発明によれば、追尾目標
の旋回運動中に、旋回運動中の追尾目標の把握に適した
運動モデルの成立確率を1とし、一方、追尾目標の非旋
回運動中に非旋回運動中の追尾目標の把握に適した運動
モデルの成立確率を1とすることができるため、追尾目
標の追尾に関する追従性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図2】 図1に示すスイープ間相関部で作成されるタ
ーゲットテーブルの一例である。
【図3】 図1に示す目標追尾装置において実行される
一連の処理のフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図5】 図4に示す目標追尾装置において実行される
一連の処理のフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態3の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図7】 図6に示す目標追尾装置において実行される
一連の処理のフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態4の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図9】 図8に示す目標追尾装置において実行される
一連の処理のフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態5の目標追尾装置のブ
ロック構成図である。
【図11】 図10に示す目標追尾装置において実行さ
れる一連の処理のフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態6の目標追尾装置のブ
ロック構成図である。
【図13】 図12に示す目標追尾装置において実行さ
れる一連の処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 量子化部、 12 スイープ間相関部、 14 位置
算出部、 16 旋回判定部、 18 機首抽出部、 20
旋回判定用追尾フィルタ部、 24 旋回判定実行部、
26 駆動雑音制御部、 28 追尾フィルタ部、 32
追尾ゲート算出部、 62 ゲート制御部、 66 サンプ
リング間隔制御部、 68 追尾フィルタ制御部、 70
第2追尾フィルタ部、 78 推移確率制御部、 80 第
3追尾フィルタ部、 86 信頼度制御部、 88 第4追
尾フィルタ部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−288846(JP,A) 特開 平7−113865(JP,A) 特開 平9−90027(JP,A) 特開 平6−347542(JP,A) 特開 平2−107986(JP,A) 特開 平6−130145(JP,A) 特開 昭60−164275(JP,A) 特開 平7−325147(JP,A) 特開 平10−73656(JP,A) 特開 平2−186288(JP,A) 特開 平2−116778(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 追尾目標の機影から追尾目標の重心を検
    出する機能を有する目標追尾装置であって、 前記重心と異なる前記追尾目標上の所定点の動きに基づ
    いて、前記追尾目標の旋回状態を検出する旋回状態検出
    手段を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  2. 【請求項2】 前記追尾目標の機影から前記追尾目標の
    長軸方向を検出し、前記追尾目標の前記長軸方向の端部
    を前記所定点とする所定点設定手段を備えることを特徴
    とする請求項1記載の目標追尾装置。
  3. 【請求項3】 前記所定点を前記追尾目標のヒット出力
    の任意の点に設定する第2の所定点設定手段を備えるこ
    とを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
  4. 【請求項4】 前記重心から所定長離れた前記追尾目標
    上の点を前記所定点とする第3の所定点設定手段を備え
    ることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
  5. 【請求項5】 観測により、所定時刻における前記重心
    の状態を表す観測値を得る観測値取得手段と、 所定時刻前の前記追尾目標の動きに基づいて、前記所定
    時刻における前記重心の状態を表す予測値を予測する予
    測値取得手段と、 前記観測値と前記予測値とを所定ゲインで平滑すること
    により平滑値を得る平滑値取得手段と、 前記追尾目標の旋回状態に応じて前記所定ゲインを変更
    するゲイン変更手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  6. 【請求項6】 前記ゲイン変更手段は、駆動雑音を含む
    パラメータに基づいて、前記駆動雑音が大きいほど前記
    平滑値に前記観測値が大きく反映されるように前記所定
    ゲインを演算するゲイン演算手段と、 前記追尾目標が旋回運動中である場合に、前記追尾目標
    が非旋回運動中である場合に比して前記駆動雑音を大き
    な値とする駆動雑音制御手段と、 を備えることを特徴とする請求項記載の目標追尾装
    置。
  7. 【請求項7】 所定時刻前の前記追尾目標の状態に基づ
    いて、所定時刻における前記追尾目標の存在領域を予測
    し、その予測領域を前記所定時刻における追尾ゲートと
    して設定する追尾ゲート設定手段と、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて前記追尾ゲートの大
    きさを変更するゲート制御手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  8. 【請求項8】 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前
    記追尾目標を監視するサンプリング間隔を制御するサン
    プリング間隔制御手段を備えることを特徴とする請求項
    1記載の目標追尾装置。
  9. 【請求項9】 前記追尾目標の運動状態を表す所定次数
    の状態変数を含む状態変数ベクトルを求める状態変数ベ
    クトル演算手段と、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記所定次数を変
    更する変数次数変更手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  10. 【請求項10】 前記状態変数ベクトル演算手段は、前
    記追尾目標の位置、速度および加速度で構成される第1
    の状態変数ベクトルを求める第1追尾フィルタ手段と、 前記追尾目標の位置および速度で構成される第2の状態
    変数ベクトルを求める第2追尾フィルタ手段と、を備
    え、 前記変数次数変更手段は、前記追尾目標の旋回状態に基
    づいて、前記第1追尾フィルタ手段および前記第2追尾
    フィルタ手段の何れか一方を選択的に作動させることを
    特徴とする請求項9記載の目標追尾装置。
  11. 【請求項11】 複数の運動モデルのそれぞれに対応す
    る前記追尾目標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定
    手段と、 前記複数の運動モデル間の推移確率を求める推移確率演
    算手段と、 前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
    標の運動諸元を、前記推移確率を基礎として統合する運
    動諸元統合手段と、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて前記推移確率を変更
    する推移確率制御手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  12. 【請求項12】 前記複数の運動モデルは、前記追尾目
    標の位置、速度および加速度で構成される状態変数ベク
    トルを推定する第1運動モデルと、前記追尾目標の位置
    および速度で構成される状態変数ベクトルを推定する第
    2運動モデルと、を含むことを特徴とする請求項11記
    載の目標追尾装置。
  13. 【請求項13】 複数の運動モデルのそれぞれに対応す
    る前記追尾目標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定
    手段と、 前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
    標の運動諸元を、前記複数の運動モデルの成立確率を基
    礎として統合する第2運動諸元統合手段と、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記追尾目標の状
    態を把握するうえで適切な運動モデルの成立確率が相対
    的に高まるように前記複数の運動モデルに対する成立確
    率を設定する信頼度制御手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  14. 【請求項14】 前記複数の運動モデルは、前記追尾目
    標の位置、速度および加速度で構成される状態変数ベク
    トルを推定する第1運動モデルと、前記追尾目標の位置
    および速度で構成される状態変数ベクトルを推定する第
    2運動モデルとを含み、 前記信頼度制御手段は、追尾目標の旋回運動中に前記第
    1運動モデルの成立確率を1とし、かつ、前記第2運動
    モデルの成立確率を0とし、また、追尾目標の非旋回運
    動中に前記第1運動モデルの成立確率を0とし、かつ、
    前記第2運動モデルの成立確率を0とすることを特徴と
    する請求項13記載の目標追尾装置。
  15. 【請求項15】 追尾目標の機影から追尾目標の重心を
    検出するステップを有する目標追尾方法であって、 前記重心と異なる前記追尾目標上の所定点の動きに基づ
    いて、前記追尾目標の旋回状態を検出する旋回状態検出
    ステップを備えることを特徴とする目標追尾方法。
  16. 【請求項16】 所定時刻前の前記追尾目標の状態に基
    づいて、所定時刻における前記追尾目標の存在領域を予
    測し、その予測領域を前記所定時刻における追尾ゲート
    として設定する追尾ゲート設定ステップと、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて前記追尾ゲートの大
    きさを変更するゲート制御ステップと、 を備えることを特徴とする請求項15記載の目標追尾方
    法。
  17. 【請求項17】 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、
    前記追尾目標を監視するサンプリング間隔を制御するサ
    ンプリング間隔制御ステップを備えることを特徴とする
    請求項15記載の目標追尾方法。
  18. 【請求項18】 前記追尾目標の運動状態を表す所定次
    数の状態変数を含む状態変数ベクトルを求める状態変数
    ベクトル演算ステップと、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記所定次数を変
    更する変数次数変更ステップと、 を備えることを特徴とする請求項15記載の目標追尾方
    法。
  19. 【請求項19】 複数の運動モデルのそれぞれに対応す
    る前記追尾目標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定
    ステップと、 前記複数の運動モデル間の推移確率を求める推移確率演
    算ステップと、 前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
    標の運動諸元を、前記推移確率を基礎として統合する運
    動諸元統合ステップと、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて前記推移確率を変更
    する推移確率制御ステップと、 を備えることを特徴とする請求項15記載の目標追尾方
    法。
  20. 【請求項20】 複数の運動モデルのそれぞれに対応す
    る前記追尾目標の運動諸元を推定する多重運動諸元推定
    ステップと、 前記複数の運動モデルのそれぞれに対応する前記追尾目
    標の運動諸元を、前記複数の運動モデルの成立確率を基
    礎として統合する第2運動諸元統合ステップと、 前記追尾目標の旋回状態に基づいて、前記追尾目標の状
    態を把握するうえで適切な運動モデルの成立確率が相対
    的に高まるように前記複数の運動モデルに対する成立確
    率を設定する信頼度制御ステップと、 を備えることを特徴とする請求項15記載の目標追尾方
    法。
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