JP3386278B2 - 測定方法及び装置並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents

測定方法及び装置並びに半導体装置の製造方法

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JP3386278B2
JP3386278B2 JP04695195A JP4695195A JP3386278B2 JP 3386278 B2 JP3386278 B2 JP 3386278B2 JP 04695195 A JP04695195 A JP 04695195A JP 4695195 A JP4695195 A JP 4695195A JP 3386278 B2 JP3386278 B2 JP 3386278B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被測定物にレーザ光を
照射して、被測定物の物理量を測定する測定方法及び装
置に関し、特に、レーザ光を用いて半導体基板の温度を
非接触で測定する測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体集積回路の製造工程におい
ては、その特性がかなりの程度で温度制御に依存してお
り、半導体基板に対して非接触で、しかも正確な温度測
定が要求されている。このような非接触な半導体基板の
温度測定装置として、半導体基板の光透過率が温度の上
昇と共に減少することを利用したものが知られている
(特開昭63−271127号公報、特開昭63−79
339号公報、特開平3−216526号公報等参
照)。
【0003】また、被測定基板の表面での反射光と裏面
での反射光による干渉光の強度が温度により変化するこ
とを利用した温度測定方法が、特開平3−96247号
公報に開示されている。温度が変化すると、被測定基板
の誘電率が変化すると共に、被測定基板が膨脹して厚さ
が変化するので、干渉光の強度の変化を観測することに
より、温度の変化を測定することができる。
【0004】しかしながら、特開平3−96247号公
報に開示された温度測定方法では、温度が上昇中である
か下降中であるか判定できなかった。特開平3−962
47号公報に開示された温度測定方法と同様の原理によ
る測定方法であって、温度変化の方向をも測定できる温
度測定装置が、文献(K.L.Saenger, et al., "Waveleng
th-modulated interferometric thermometry for impro
ved substrate temperature measurement", Rev. Sci.
Instrum. Vol.63, No.8, pp.3862-3868, August 1992.
)に提案されている。
【0005】この文献に記載された温度測定装置は、発
振波長が約1.5μmの半導体レーザを使用し、その半
導体レーザに注入する電流を変化させることにより波長
変調したレーザ光を被測定基板に照射する。その被測定
基板からの反射光による干渉光を受光素子により受光し
て受光信号に変換し、さらに受光信号をロックインアン
プにより波長微分する。微分した受光信号と微分してい
ない受光信号とに基づいて温度が上昇中か下降中か判断
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の温
度測定装置によれば、レーザの変調装置やロックインア
ンプ等のように多くの機器と装置が必要となり、装置の
構成が複雑となり、コスト高となるという問題があっ
た。また、1秒間に100℃以上変化するような急激な
温度変化を正確に測定するためには、更に高速な機器及
び装置が必要となり、更にコスト高となるという問題が
あった。また、従来の温度測定装置によれば、干渉光波
形の平均値を横切った時にしか温度変化の方向を測定で
きないため、詳細な温度測定が不可能であるという問題
があった。
【0007】また、上記文献に記載された温度測定装置
では、光源としてIII −V族化合物半導体からなる半導
体レーザが用いられ、その発振波長は最長でも1.6μ
m程度である。そのような比較的波長の短い光を用いた
場合、エネルギバンドギャップの比較的小さなシリコン
やGaAs等の半導体ウエーハの測定温度範囲が狭くな
る。シリコンやGaAs等の半導体のエネルギバンドギ
ャップは温度が高くなるにつれて狭くなり、この結果、
レーザ光の吸収量が大きくなるからである。例えば、シ
リコンウエーハのエネルギバンドギャップは1.12e
Vであり、測定温度が750℃に上昇すると波長が1.
6μm程度のレーザ光を吸収してしまう。
【0008】更に、干渉光が干渉波形の平均値を横切っ
た時点での波長微分された干渉光の符号を用いて温度変
化を判定したり、波長微分された干渉光が、波長微分さ
れた干渉光波形の平均値を横切った時点での干渉光の符
号を用いて温度変化を判定したりしているため、干渉光
の強度が少なくとも1周期分変化して、その極大値と極
小値が得られるまで実質的に温度測定を行うことができ
ない。したがって、干渉光強度の極大値と極小値が得ら
れるまで温度変化しなければ温度測定を行うことができ
ないという問題があった。
【0009】また、上記文献に記載された温度測定装置
では、被測定物がシリコンやGaAs等の半導体基板の
場合、温度の上昇にしたがって半導体基板によりレーザ
光が吸収されてしまい、正確な温度測定ができなくなる
という問題があった。本発明の目的は、簡単な装置構成
により実現でき、物理量の変化方向を詳細に測定するこ
とができる測定方法及び装置を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、簡単な装置構成によ
り実現でき、温度の変化方向を詳細に測定することがで
きる測定方法及び装置を提供することにある。本発明の
更に他の目的は、広い範囲にわたって温度測定すること
ができる測定方法及び装置を提供することにある。本発
明の更に他の目的は、干渉光の強度の測定開始時から直
ちに温度測定することができる測定方法及び装置を提供
することにある。
【0011】本発明の更に他の目的は、高温まで半導体
基板を温度測定することができる測定方法及び装置を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、被測定物に
レーザ光を照射して、前記被測定物の物理量を測定する
測定方法において、前記被測定物にパルス状のレーザ光
を照射し、前記パルス状のレーザ光の立ち上がり後に発
振される第1の波長を有する第1のレーザ光と、それ以
後に発振される前記第1の波長と異なる第2の波長を有
する第2のレーザ光とを用いて前記被測定物の物理量を
測定することを特徴とする測定方法により達成される。
【0013】上述した測定方法において、前記被測定物
に対する前記第1のレーザ光の反射光又は透過光による
第1の干渉光の強度の変化量、又は前記被測定物に対す
る前記第2のレーザ光の反射光又は透過光による第2の
干渉光の強度の変化量に基づいて、前記被測定物の温度
を測定することが望ましい。上述した測定方法におい
て、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度変化
の方向と、前記第1の干渉光の強度と前記第2の干渉光
の強度の差に基づいて、前記被測定物の温度が上昇中か
下降中かを判断することが望ましい。
【0014】上述した測定方法において、前記第1のレ
ーザ光の第1の波長が前記第2のレーザ光の第2の波長
より短い特性を有する半導体レーザを用い、物理量、温
度又は温度の変化方向を測定することが望ましい。上述
した測定方法において、前記第1の干渉光又は前記第2
の干渉光の強度が増加している時点において、前記第1
の干渉光の強度が前記第2の干渉光の強度よりも大きい
場合は、前記被測定物の温度が上昇中であると判断し、
前記第1の干渉光の強度が前記第2の干渉光の強度より
も小さい場合は、前記被測定物の温度が下降中であると
判断し、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度
が減少している時点において、前記第1の干渉光の強度
が前記第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被
測定物の温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉
光の強度が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合
は、前記被測定物の温度が上昇中であると判断すること
が望ましい。
【0015】上述した測定方法において、前記第1のレ
ーザ光の第1の波長が前記第2のレーザ光の第2の波長
より長い特性を有する半導体レーザを用い、物理量、温
度又は温度の変化方向を測定することが望ましい。上述
した測定方法において、前記第1の干渉光又は前記第2
の干渉光の強度が増加している時点において、前記第1
の干渉光の強度が前記第2の干渉光の強度よりも大きい
場合は、前記被測定物の温度が下降中であると判断し、
前記第1の干渉光の強度が前記第2の干渉光の強度より
も小さい場合は、前記被測定物の温度が上昇中であると
判断し、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度
が減少している時点において、前記第1の干渉光の強度
が前記第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被
測定物の温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉
光の強度が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合
は、前記被測定物の温度が下降中であると判断すること
が望ましい。
【0016】上述した測定方法において、前記第2の干
渉光の第2の波長をλ、前記被測定物の厚さをd、屈折
率をnとした場合、前記第1の干渉光の第1の波長と前
記第2の干渉光の第2の波長との差Δλは、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足することが望ましい。
【0017】上記目的は、被測定物に干渉性のある光を
照射し、前記被測定物を反射又は透過した干渉光の強度
に基づいて、前記被測定物の温度の変化量を測定する測
定方法において、温度測定前に、前記被測定物に対する
前記干渉光の強度の極大値と極小値を予測する予測過程
と、温度測定時に、測定した干渉光の強度と、予測した
前記極大値と極小値に基づいて前記被測定物の温度の変
化量を測定する測定過程とを有することを特徴とする測
定方法によって達成される。
【0018】上述した測定方法において、前記予測過程
は、前記被測定物に対する前記干渉性のある光の入射角
を変化することにより、前記干渉光の強度の極大値と極
小値を予測することが望ましい。上述した測定方法にお
いて、前記予測過程における照射角の変化角度は、前記
干渉光の強度の少なくとも極大値と極小値が1組得られ
る角度であることが望ましい。
【0019】上述した測定方法において、照射する前記
干渉性のある光の波長をλ、照射角度をθ、前記被測定
物の厚さをd、屈折率をnとした場合、前記予測過程に
おける照射角の変化角度Δθは、次式 Δθ≧ sin-1[n2 −{(n2 − sin2 θ)1/2 −λ/4
d}2 1/2 −θ を満足することが望ましい。
【0020】上述した測定方法において、前記被測定物
に照射するレーザ光の発振強度を、前記被測定物の温度
に基づいて変化することが望ましい。上述した測定方法
において、前記被測定物の温度が上昇時は、前記被測定
物に照射するレーザ光の強度を一定又は増加し、前記被
測定物の温度が下降時は、前記被測定物に照射するレー
ザ光の強度を一定又は減少することが望ましい。
【0021】上述した測定方法において、前記被測定物
に照射するレーザ光の発振強度を、前記被測定物の温度
に基づいて減光することが望ましい。上述した測定方法
において、測定光路中に1枚又は複数枚の光学窓が設け
られ、前記各光学窓内での内部反射による光の干渉、又
は前記光学窓間での反射による光の干渉が生じないよう
に、前記光学窓の面は前記照射光の光軸に対して傾いて
いることが望ましい。
【0022】上記目的は、被測定物にレーザ光を照射し
て、前記被測定物の物理量を測定する測定装置におい
て、パルス状のレーザ光を発振し、前記パルス状のレー
ザ光の立ち上がり後に発振される第1の波長を有する第
1のレーザ光と、それ以後に発振される前記第1の波長
と異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを前記被
測定物に照射する照射手段と、前記照射手段から照射さ
れる前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを用い
て前記被測定物の物理量を測定する測定手段とを備えた
ことを特徴とする測定装置によって達成される。
【0023】上述した測定装置において、前記測定手段
は、前記被測定物に対する前記第1のレーザ光の反射光
又は透過光による第1の干渉光の強度の変化量、又は前
記被測定物に対する前記第2のレーザ光の反射光又は透
過光による第2の干渉光の強度の変化量に基づいて、前
記被測定物の温度を測定することが望ましい。上述した
測定装置において、前記測定手段は、前記第1の干渉光
又は前記第2の干渉光の強度変化の方向と、前記第1の
干渉光の強度と前記第2の干渉光の強度の差に基づい
て、前記被測定物の温度が上昇中か下降中かを判断する
ことが望ましい。
【0024】上述した測定装置において、前記照射手段
は、前記第1のレーザ光の第1の波長が前記第2のレー
ザ光の第2の波長より短い特性を有する半導体レーザを
有し、物理量、温度又は温度の変化方向を測定できるこ
とが望ましい。上述した測定装置において、前記測定手
段は、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が
増加している時点において、前記第1の干渉光の強度が
前記第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測
定物の温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉光
の強度が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、
前記被測定物の温度が下降中であると判断し、前記第1
の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少している時
点において、前記第1の干渉光の強度が前記第2の干渉
光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の温度が下
降中であると判断し、前記第1の干渉光の強度が前記第
2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被測定物の
温度が上昇中であると判断することが望ましい。
【0025】上述した測定装置において、前記照射手段
は、前記第1のレーザ光の第1の波長が前記第2のレー
ザ光の第2の波長より長い特性を有する半導体レーザを
有し、物理量、温度又は温度の変化方向を測定できるこ
とが望ましい。上述した測定装置において、前記測定手
段は、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が
増加している時点において、前記第1の干渉光の強度が
前記第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測
定物の温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉光
の強度が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、
前記被測定物の温度が上昇中であると判断し、前記第1
の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少している時
点において、前記第1の干渉光の強度が前記第2の干渉
光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の温度が上
昇中であると判断し、前記第1の干渉光の強度が前記第
2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被測定物の
温度が下降中であると判断することが望ましい。
【0026】上述した測定装置において、前記照射手段
は、前記被測定物の厚さをd、屈折率をnとした場合、
前記第1の干渉光の第1の波長と前記第2の干渉光の第
2の波長の差Δλが、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足することが望ましい。
【0027】上記目的は、被測定物に干渉性のある光を
照射し、前記被測定物を反射又は透過した干渉光の強度
に基づいて、前記被測定物の温度を測定する測定装置に
おいて、前記被測定物に照射する前記干渉性のある光の
入射角を変化する角度変化手段を有し、前記被測定物に
前記干渉性のある光を照射する照射手段と、温度測定前
に、前記角度変化手段により前記被測定物に対する前記
干渉性のある光の入射角を変化して、前記干渉光の強度
の極大値と極小値を予測し、温度測定時には、測定した
干渉光の強度と、予測した前記極大値と極小値に基づい
て前記被測定物の温度を測定する測定手段とを備えたこ
とを特徴とする測定装置により達成される。
【0028】上述した測定装置において、前記角度変化
手段による照射角の変化角度は、前記干渉光の強度の少
なくとも極大値と極小値が1組得られる角度であること
が望ましい。上述した測定装置において、前記角度変化
手段による照射角の変化角度Δθは、照射する前記干渉
性のある光の波長をλ、照射角度をθ、前記被測定物の
厚さをd、屈折率をnとした場合、次式 Δθ≧ sin-1[n2 −{(n2 − sin2 θ)1/2 −λ/4
d}2 1/2 −θ を満足することが望ましい。
【0029】上述した測定装置において、前記角度変化
手段は、前記干渉性のある光を発生する光源の位置を変
化することにより、前記被測定物に対する前記干渉性の
ある光の入射角を変化することが望ましい。上述した測
定装置において、前記角度変化手段は、前記干渉性のあ
る光を発生する光源と前記被測定物との間の光路中に設
けられ、前記被測定物に対する照射光を反射するミラー
と、前記ミラーにより反射された光を屈折するレンズと
を有し、前記ミラーを回転することにより、前記被測定
物に対する前記干渉性のある光の入射角を変化すること
が望ましい。
【0030】上述した測定装置において、前記照射手段
は、前記被測定物に照射するレーザ光の強度を、前記被
測定物の温度に基づいて変化することが望ましい。上述
した測定装置において、前記照射手段は、前記被測定物
の温度が上昇時は、前記被測定物に照射するレーザ光の
強度を一定又は増加し、前記被測定物の温度が下降時
は、前記被測定物に照射するレーザ光の強度を一定又は
減少することが望ましい。
【0031】上述した測定装置において、前記照射手段
は、前記レーザ光を減光する減光手段を有し、前記被測
定物の温度に応じて前記被測定物に照射するレーザ光を
減光することが望ましい。上述した測定装置において、
前記被測定物に照射する照射光を入射し、前記被測定物
による前記照射光の反射光又は透過光を出射するための
光学窓を有し、前記被測定物が収納される収納容器を更
に備え、前記各光学窓内での内部反射による光の干渉、
又は前記光学窓間での反射による光の干渉が生じないよ
うに、前記光学窓の面は前記照射光の光軸に対して傾い
ていることが望ましい。
【0032】上記目的は、移動する被測定物上の第1の
測定点の物理量を測定する上述した第1の測定装置と、
前記被測定物が載置される載置位置に設けられ、前記被
測定物が載置されたときに前記第1の測定点が位置する
近傍の第2の測定点の物理量を測定する上述した第2の
測定装置と、前記第1の測定装置による測定結果を前記
第2の測定装置による測定結果の初期値として設定する
か、前記第1の測定装置による測定結果に基づいて前記
第2の測定結果を補正する設定補正手段とを備えたこと
を特徴とする測定装置によって達成される。
【0033】上記目的は、移動する被測定物上の第1の
測定点の物理量を測定する上述した第1の測定装置と、
前記被測定物が載置される載置位置に設けられ、前記被
測定物が載置されたときに前記第1の測定点が位置する
近傍の第2の測定点の物理量を測定する上述した第2の
測定装置と、前記第1の測定装置による測定結果を前記
第2の測定装置による測定結果の初期値として設定する
か、前記第1の測定装置による測定結果に基づいて前記
第2の測定結果を補正する設定補正手段とを備えたこと
を特徴とする測定装置によって達成される。
【0034】上述した測定装置において、前記第1の測
定装置と前記第2の測定装置に共通のレーザ光源と、前
記レーザ光源から出射されるレーザ光を分岐する分岐手
段とを備え、前記第1の測定装置は、前記分岐手段によ
り分岐された一方のレーザ光が入射するように配置さ
れ、前記第2の測定装置は、前記分岐手段により分岐さ
れた他方のレーザ光が入射するように配置されているこ
とが望ましい。
【0035】上述した測定装置において、前記被測定物
の物理量は温度であることが望ましい。上記目的は、上
述した測定装置を用いた測定方法であって、前記被測定
物が移動しているときは、前記第1の測定装置により前
記第1の測定点の温度を測定し、前記被測定物が前記載
置位置に載置されているときは、前記第2の測定装置に
より前記第2の測定点の温度を測定し、移動する前記被
測定物が前記載置位置に停止したときには、前記設定補
正手段により、前記第2の測定装置の測定結果を前記第
1の測定装置の測定結果に一致するように補正し、前記
被測定物が前記載置位置から移動を開始するときには、
前記設定補正手段により、前記第1の測定装置の測定結
果を前記第2の測定装置の測定結果に一致するように補
正することを特徴とする測定方法によって達成される。
【0036】上述した測定方法において、前記被測定物
の物理量は温度であることが望ましい。上記目的は、上
述した測定方法により、半導体基板の温度を測定しなが
ら、前記半導体基板に対して所定の処理を行うことを特
徴とする半導体装置の製造方法によって達成される。
【0037】上述した半導体装置の製造方法において、
前記所定の処理は、熱処理、イオン注入処理、エッチン
グ処理、拡散処理、前処理又は堆積処理であることが望
ましい。
【0038】
【作用】本発明によれば、被測定物にパルス状のレーザ
光を照射し、前記パルス状のレーザ光の立ち上がり後に
発振される第1の波長を有する第1のレーザ光と、それ
以後に発振される前記第1の波長と異なる第2の波長を
有する第2のレーザ光とを用いて被測定物の物理量を測
定するようにしているので、物理量及びその変化方向を
精度よく測定することができる。
【0039】また、本発明において、被測定物に対する
第1のレーザ光の反射光又は透過光による第1の干渉光
の強度の変化量、又は被測定物に対する第2のレーザ光
の反射光又は透過光による第2の干渉光の強度の変化量
に基づいて、被測定物の温度を測定するようにすれば、
被測定物の温度及びその変化方向を精度よく測定するこ
とができる。
【0040】また、本発明において、第1の干渉光又は
第2の干渉光の強度変化の方向と、第1の干渉光の強度
と第2の干渉光の強度の差に基づいて、被測定物の温度
が上昇中か下降中かを判断するようにすれば、被測定物
の温度及びその変化方向を精度よく測定することができ
る。また、本発明において、第1のレーザ光の第1の波
長が第2のレーザ光の第2の波長より短い特性を有する
半導体レーザを用い、物理量、温度又は温度の変化方向
を測定するようにすれば、精度のよい温度測定をするこ
とができる。その場合、第1の干渉光又は第2の干渉光
の強度が増加している時点において、第1の干渉光の強
度が第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、被測定物
の温度が上昇中であると判断し、第1の干渉光の強度が
第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、被測定物の温
度が下降中であると判断し、第1の干渉光又は第2の干
渉光の強度が減少している時点において、第1の干渉光
の強度が第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、被測
定物の温度が下降中であると判断し、第1の干渉光の強
度が第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、被測定物
の温度が上昇中であると判断するようにすれば、温度及
びその変化方向を確実に測定することができる。
【0041】また、本発明において、第1のレーザ光の
第1の波長が第2のレーザ光の第2の波長より長い特性
を有する半導体レーザを用い、物理量、温度又は温度の
変化方向を測定するようにすれば、精度のよい温度測定
をすることができる。その場合、第1の干渉光又は第2
の干渉光の強度が増加している時点において、第1の干
渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、
被測定物の温度が下降中であると判断し、第1の干渉光
の強度が第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、被測
定物の温度が上昇中であると判断し、第1の干渉光又は
第2の干渉光の強度が減少している時点において、第1
の干渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも大きい場合
は、被測定物の温度が上昇中であると判断し、第1の干
渉光の強度が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合
は、被測定物の温度が下降中であると判断するようにす
れば、温度及びその変化方向を確実に測定することがで
きる。
【0042】また、本発明において、第2の干渉光の第
2の波長をλ、被測定物の厚さをd、屈折率をnとした
場合、第1の波長と第2の波長の差Δλを、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足するようにすれば、温度変化の方向を判断するの
に適した干渉状態を実現できる。
【0043】また、本発明によれば、被測定物に干渉性
のある光を照射し、被測定物を反射又は透過した干渉光
の強度に基づいて、被測定物の温度を測定する測定方法
において、温度測定前に、被測定物に対する干渉性のあ
る光の入射角を変化することにより、干渉光の強度の極
大値と極小値を予測する予測過程と、温度測定時に、測
定した干渉光の強度と、予測した極大値と極小値に基づ
いて被測定物の温度を測定する測定過程とを有するよう
にしているので、干渉光の強度の測定開始時から直ちに
温度測定することができる。
【0044】また、本発明において、予測過程における
照射角の変化角度を、干渉光の強度の少なくとも極大値
と極小値が1組得られる角度にすれば、最短時間で干渉
光の強度の極大値と極小値を予測することができる。ま
た、本発明において、照射する干渉性のある光の波長を
λ、照射角度をθ、被測定物の厚さをd、屈折率をnと
した場合、予測過程における照射角の変化角度Δθを、
次式 Δθ≧ sin-1[n2 −{(n2 − sin2 θ)1/2 −λ/4
d}2 1/2 −θ を満足するようにすれば、干渉光の強度の極大値と極小
値を確実に予測することができる。
【0045】また、本発明において、被測定物に照射す
るレーザ光の発振強度を、被測定物の温度に基づいて変
化するようにすれば、高温まで被測定物の温度を測定す
ることができる。また、本発明において、被測定物の温
度が上昇時は、被測定物に照射するレーザ光の強度を一
定又は増加し、被測定物の温度が下降時は、被測定物に
照射するレーザ光の強度を一定又は減少するようにすれ
ば、高温まで被測定物の温度を測定することができる。
【0046】また、本発明において、被測定物に照射す
るレーザ光の発振強度を、被測定物の温度に基づいて減
光するようにすれば、レーザ光の発振強度を変化させる
ことなく、安定して発振状態のレーザ光を用いて正確に
温度を測定することができる。また、本発明において、
測定光路中に1枚又は複数枚の光学窓が設けられ、光学
窓の面を照射光の光軸に対して傾いているようにすれ
ば、各光学窓内での内部反射による光の干渉、又は光学
窓間での反射による光の干渉を防止することができる。
【0047】また、本発明によれば、パルス状のレーザ
光を発振し、パルス状のレーザ光の立ち上がり後に発振
される第1の波長を有する第1のレーザ光と、それ以後
に発振される第1の波長と異なる第2の波長を有する第
2のレーザ光とを被測定物に照射する照射手段と、第1
のレーザ光と第2のレーザ光とを用いて被測定物の物理
量を測定する測定手段とを設けたので、簡単な装置構成
により、物理量の変化方向を詳細に測定することができ
る測定装置を実現できる。
【0048】また、本発明において、上記測定手段を、
被測定物に対する第1のレーザ光の反射光又は透過光に
よる第1の干渉光の強度の変化量、又は被測定物に対す
る第2のレーザ光の反射光又は透過光による第2の干渉
光の強度の変化量に基づいて、被測定物の温度を測定す
るようにすれば、簡単な装置構成により、温度及びその
変化方向を精度よく測定することができる測定装置を実
現できる。
【0049】また、本発明において、第1の干渉光又は
前記第2の干渉光の強度変化の方向と、前記第1の干渉
光の強度と前記第2の干渉光の強度の差に基づいて、被
測定物の温度が上昇中か下降中かを判断するようにすれ
ば、簡単な装置構成により、温度及びその変化方向を精
度よく測定することができる測定装置を実現できる。ま
た、本発明において、照射手段に、第1のレーザ光の第
1の波長が第2のレーザ光の第2の波長より短い特性を
有する半導体レーザを設け、物理量、温度又は温度の変
化方向を測定するようにすれようにすれば、精度のよい
温度測定をすることができる。
【0050】その場合、上記測定手段を、第1の干渉光
又は第2の干渉光の強度が増加している時点において、
第1の干渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも大きい
場合は、被測定物の温度が上昇中であると判断し、第1
の干渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも小さい場合
は、被測定物の温度が下降中であると判断し、第1の干
渉光又は第2の干渉光の強度が減少している時点におい
て、第1の干渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも大
きい場合は、被測定物の温度が下降中であると判断し、
第1の干渉光の強度が第2の干渉光の強度よりも小さい
場合は、被測定物の温度が上昇中であると判断するよう
にすれば、簡単な装置構成により、温度及びその変化方
向を確実に精度よく測定することができる測定装置を実
現できる。
【0051】また、本発明において、照射手段に、第1
のレーザ光の第1の波長が第2のレーザ光の第2の波長
より長い特性を有する半導体レーザを設け、物理量、温
度又は温度の変化方向を測定するようにすれば、広範囲
にわたって温度測定をすることができる。その場合、上
記測定手段を、第1の干渉光又は第2の干渉光の強度が
増加している時点において、第1の干渉光の強度が第2
の干渉光の強度よりも大きい場合は、被測定物の温度が
下降中であると判断し、第1の干渉光の強度が第2の干
渉光の強度よりも小さい場合は、被測定物の温度が上昇
中であると判断し、第1の干渉光又は第2の干渉光の強
度が減少している時点において、第1の干渉光の強度が
第2の干渉光の強度よりも大きい場合は、被測定物の温
度が上昇中であると判断し、第1の干渉光の強度が第2
の干渉光の強度よりも小さい場合は、被測定物の温度が
下降中であると判断するようにすれば、簡単な装置構成
により、温度及びその変化方向を確実に精度よく測定す
ることができる測定装置を実現できる。
【0052】また、本発明において、上記照射手段を、
第2の干渉光の第2の波長をλ、被測定物の厚さをd、
屈折率をnとした場合、第1の波長と第2の波長の差Δ
λを、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足するようにすれば、温度変化の方向を判断するの
に適した干渉状態を実現できる測定装置を実現できる。
【0053】また、本発明によれば、被測定物に干渉性
のある光を照射し、被測定物を反射又は透過した干渉光
の強度に基づいて、被測定物の温度を測定する測定装置
において、被測定物に照射する干渉性のある光の入射角
を変化する角度変化手段を有し、被測定物に干渉性のあ
る光を照射する照射手段と、温度測定前に、角度変化手
段により被測定物に対する干渉性のある光の入射角を変
化して、干渉光の強度の極大値と極小値を予測し、温度
測定時には、測定した干渉光の強度と、予測した前記極
大値と極小値に基づいて被測定物の温度を測定する測定
手段とを備えているので、干渉光の強度の測定開始時か
ら直ちに温度測定することができる測定装置を実現でき
る。
【0054】また、本発明において、角度変化手段によ
る照射角の変化角度を、干渉光の強度の少なくとも極大
値と極小値が1組得られる角度にすれば、最短時間で干
渉光の強度の極大値と極小値を予測することができる。
また、本発明において、角度変化手段による照射角の変
化角度Δθを、照射する干渉性のある光の波長をλ、照
射角度をθ、被測定物の厚さをd、屈折率をnとした場
合、次式 Δθ≧ sin-1[n2 −{(n2 − sin2 θ)1/2 −λ/4
d}2 1/2 −θ を満足するようにすれば、干渉光の強度の極大値と極小
値を確実に予測することができる測定装置を実現でき
る。
【0055】また、本発明において、角度変化手段とし
て、干渉性のある光を発生する光源の位置を変化するこ
とにより、被測定物に対する干渉性のある光の入射角を
変化するようにすれば、干渉条件を簡単に変更して干渉
光の強度の極大値と極小値を予測することができる。ま
た、本発明において、角度変化手段として、干渉性のあ
る光を発生する光源と被測定物との間の光路中に設けら
れ、被測定物に対する照射光を反射するミラーと、ミラ
ーにより反射された光を屈折するレンズとを有し、ミラ
ーを回転することにより、被測定物に対する干渉性のあ
る光の入射角を変化するようにすれば、干渉条件を簡単
に変更して干渉光の強度の極大値と極小値を予測するこ
とができる。
【0056】また、本発明において、照射手段を、被測
定物に照射するレーザ光の強度を、被測定物の温度に基
づいて変化するようにすれば、高温まで被測定物の温度
を測定することができる。また、本発明において、照射
手段を、被測定物の温度が上昇時は、被測定物に照射す
るレーザ光の強度を一定又は増加し、被測定物の温度が
下降時は、被測定物に照射するレーザ光の強度を一定又
は減少するようにすれば、高温まで被測定物の温度を測
定することができる。
【0057】その場合、照射手段にレーザ光を減光する
減光手段を設け、被測定物の温度に応じて被測定物に照
射するレーザ光を減光するようにすれば、半導体レーザ
の発振強度を変化させることがなく、安定した発振状態
のレーザ光を用いて正確に温度を測定することができ
る。また、本発明において、被測定物が収納され、レー
ザ光を入射し、被測定物によるレーザ光の反射光又は透
過光を出射するための光学窓を有する収納容器を更に設
け、光学窓の少なくとも一面をパルス状のレーザ光の光
軸に対して傾けたので、その面におけるパルス状のレー
ザ光の反射光による光の干渉が生じることがなく、精度
よく物理量を測定することができる測定装置を実現でき
る。
【0058】また、本発明によれば、移動する被測定物
上の第1の測定点の温度を測定する上述の第1の測定装
置と、被測定物が載置される載置位置に設けられ、被測
定物が載置されたときに第1の測定点が位置する近傍の
第2の測定点の温度を測定する上述の第2の測定装置
と、第1の測定装置による測定結果を第2の測定装置に
よる測定結果の初期値として設定するか、第1の測定装
置による測定結果に基づいて第2の測定結果を補正する
設定補正手段とを設けたので、移動して処理される被測
定物の物理量の測定を連続して行うことができる。
【0059】また、本発明によれば、移動する被測定物
上の第1の測定点の温度を測定する上述の第1の測定装
置と、被測定物が載置される載置位置に設けられ、被測
定物が載置されたときに第1の測定点が位置する近傍の
第2の測定点の温度を測定する上述の第2の測定装置
と、第2の測定装置による測定結果を第1の測定装置に
よる測定結果の初期値として設定するか、第2の測定装
置による測定結果に基づいて第1の測定結果を補正する
設定補正手段とを設けたので、移動して処理される被測
定物の物理量の測定を連続して行うことができる。
【0060】また、本発明において、第1の測定装置と
第2の測定装置に共通のレーザ光源と、レーザ光源から
出射されるレーザ光を分岐する分岐手段とを設け、第1
の測定装置は、分岐手段により分岐された一方のレーザ
光が入射するように配置され、第2の測定装置は、分岐
手段により分岐された他方のレーザ光が入射するように
配置されているようにすれば、簡単な構成で移動する被
測定物の物理量の測定を連続して行うことができる。
【0061】また、本発明において、被測定物が移動し
ているときは、第1の測定装置により第1の測定点の温
度を測定し、被測定物が載置位置に載置されているとき
は、第2の測定装置により第2の測定点の温度を測定
し、移動する被測定物が載置位置に停止したときには、
設定補正手段により、第2の測定装置の測定結果を第1
の測定装置の測定結果に一致するように補正し、被測定
物が載置位置から移動を開始するときには、設定補正手
段により、第1の測定装置の測定結果を第2の測定装置
の測定結果に一致するように補正するようにすれば、移
動する被測定物の物理量の測定を連続して行うことがで
きる。
【0062】また、本発明によれば、上述した測定方法
により半導体基板の温度を測定しながら、半導体基板に
対して、熱処理、イオン注入処理、エッチング処理、拡
散処理、前処理又は堆積処理等の所定の処理を行うこと
ができ、精度よく適切な処理を行うことができる。
【0063】
【実施例】
[第1実施例]本発明の第1実施例による温度測定装置
を図1乃至図5を用いて説明する。図1に本実施例によ
る温度測定装置の構成を示す。本実施例の温度測定装置
では、半導体基板の両面研磨された部分であって、レー
ザ光に対して内部反射による光の干渉を生じる部分にレ
ーザ光を照射し、その反射光による干渉光の強度変化を
観察することにより被測定基板の温度を決定する。
【0064】被測定物である半導体基板6は、チャンバ
4内に収納され、半導体基板6を加熱するヒータ5上に
載置されている。温度測定される半導体基板6として
は、厚さ約0.5mmのシリコン基板を使用した。な
お、半導体基板6としてはシリコン基板の他に、GaA
s基板、InP基板等の他の半導体基板でもよい。半導
体レーザ1にはパルス電源11が接続されている。パル
ス電源11は例えば50Hzのパルス電流を供給し、こ
れにより、半導体レーザ1からはパルス状のレーザ光が
出射される。半導体レーザ1として、NEC製NDL5
600(1310nm光ファイバ通信用のInGaAs
P位相シフト型DFB−DC−PBHレーザダイオー
ド;出力約0.5mW)を使用した。なお、半導体レー
ザ1としては、10Hz以上のパルス発振が可能なAP
C付の半導体レーザにより構成することが望ましい。
【0065】チャンバ4にはレーザ光が透過するための
光学窓(図示せず)が設けられている。なお、チャンバ
4全体をレーザ光が透過するような透明な材質により形
成してもよい。半導体レーザ1から出射されたパルス状
のレーザ光は、光ファイバ2を介してコリメート光学部
3に導かれる。パルス状のレーザ光は、コリメート光学
部3により平行光線束とされ、チャンバ4内の半導体基
板6に照射される。
【0066】半導体基板6による反射光は、光受光器7
により受光される。光受光器7として、浜松ホトニクス
社製B4246(Ge光起電力型素子)を使用した。な
お、光受光器7としては、立ち上がり時間が50μs以
下であることが望ましい。光受光器7により受光された
受光信号は、データ信号線8を介してA/D変換ユニッ
ト9に伝送される。A/D変換ユニット9はアナログ信
号である受光信号をデジタル信号に変換し、コンピュー
タ10に出力する。
【0067】コンピュータ10は入力されたデジタル受
光信号から、反射光による干渉光の強度変化を計算し、
その計算結果に基づいて測定温度と共に温度変化方向を
決定する。本実施例は、半導体レーザ1からパルス状の
レーザ光を出射した場合、レーザ光の波長がパルスの立
上がり時には数オングストロームだけ短くなり(第1波
長p1)、その後は長くなる(第2波長p2)ことを利
用している。
【0068】このことを明らかにするために、温度上昇
中の半導体基板6にパルス状のレーザ光を照射した時に
得られた干渉光強度を示す観測波形を図2に示す。図2
は、パルス幅が5msecのパルス状のレーザ光を照射
した場合である。縦軸は電圧で1目盛当り2V、横軸は
時間で1目盛当り1msである。図2に示すように、パ
ルス状のレーザ光の立上がり直後は、干渉光強度が最も
強く、その後、徐々に減少し、約2msec以降は安定
している。この過渡的な変化は、チョッパによりレーザ
光をパルス状にしたときには見られない。図2の測定時
には半導体基板6の温度は一定である。
【0069】半導体基板6の温度が一定の場合、干渉光
の強度はレーザ光の波長に依存するから、図2のグラフ
は、パルス状のレーザ光では発振波長が過渡的に変化し
ていることを示している。本実施例では、パルス状のレ
ーザ光の立上がり直後に短い波長のレーザ光が出力され
る。本実施例では、約10msecのパルス幅のレーザ
光を用い、第1波長p1のレーザ光をパルスの立上がり
後0.12msecの時点でサンプリングし、第2波長
p2のレーザ光をパルスの立上がり後8msecの時点
でサンプリングしている。なお、第1波長p1のレーザ
光としては、立上がり後の約0.5msec以内に発振
されるレーザ光を用いることが望ましい。
【0070】また、第1波長p1のレーザ光と第2波長
p2のレーザ光とを同一のパルスから得る必要はない。
第1波長p1のレーザ光として、あるパルスの立上がり
後0.12msecの時点でサンプルしたレーザ光を用
い、第2波長p2のレーザ光として、他のパルスの立上
がり後8msecの時点でサンプルしたレーザ光を用い
てもよい。
【0071】次に、本実施例による温度測定装置の測定
原理について図3乃至図5を用いて説明する。図3は、
測定温度と干渉光強度の関係を示すグラフであり、図4
(a)乃至(c)は、パルス状のレーザ光を用いた場合
の波長変化と干渉光強度の変化を示すグラフであり、図
5(a)は第1波長p1及び第2波長p2による干渉光
強度を示すグラフであり、図5(b)は半導体基板6の
温度の時間的変化を示すグラフであり、図5(c)は干
渉光と半導体基板6の温度変化との関係を説明する図で
ある。
【0072】本実施例の温度測定装置において、ヒータ
5の上に半導体基板6として例えばシリコン基板を載置
する。半導体レーザ1から出射されたレーザ光を半導体
基板6に照射すると、図1に示すように、半導体基板6
の上面と下面からそれぞれ反射されたレーザ光が干渉
し、その干渉光が半導体基板6の反射光となる。そし
て、ヒータ5により半導体基板6を加熱しながら、半導
体レーザ1から出射されたレーザ光をコリメータ光学部
3を介して半導体基板6に照射する。半導体基板6から
の反射光を光受光器7により受光し、その干渉光の強度
をコンピュータ10により解析する。
【0073】その結果、図3に実線で示すような温度・
干渉光強度特性が得られ、半導体基板6の温度を上昇さ
せていくと干渉光の強度は正弦波に似た周期波形形状に
変化する。その原理は次のようである。半導体基板6の
誘電率(屈折率)と厚さは温度上昇につれて増加するの
で、半導体基板6内での光学的距離が変化する。これに
より、半導体基板6の下面で反射して上面から出射する
レーザ光と、半導体基板6の上面で反射するレーザ光と
は、温度変化により位相変化を生じる。
【0074】したがって、半導体基板6から反射された
干渉光の強度は温度変化によって正弦波状に変化し、1
周期の温度変化ΔT(T)[℃]は、半導体基板6の厚
さをL、屈折率をnとすると、次式で計算できる。 ΔT=λ/{2nL(α+β)} 但し、α=(1/L)×(dL/dT) β=(1/n)×(dn/dT) ここで、αとβをそれぞれ求めることは難しい。したが
って、(α+β)を実験により求めた。
【0075】すなわち、実験の初期値からの差により計
算される干渉光の強度の周波数fと、測定温度の校正曲
線とから、1周期の温度変化ΔT(T)を、次に示す5
次の近似式として算出した。 ΔT(f)=12.278+11.012×f−0.1
3222×f2+0.0018399×f3 −1.58
03×10-5×f4+5.5364×10-8×f5 したがって、半導体基板6の温度は、加熱開始時の温度
To[℃]と温度変化の周期数により決定される。
【0076】一方、半導体基板6はヒータ5により加熱
されたり冷却されたりされ、温度が上昇する場合と下降
する場合がある。したがって、半導体基板6の温度を決
定するためには温度変化方向を知る必要がある。その判
別原理を説明する。パルス電源11から50Hz程度の
パルス状の電流を半導体レーザ1に注入して、半導体レ
ーザ1から50Hzのパルス状のレーザ光を半導体基板
6に照射する。そのとき、半導体レーザ1から出射され
るパルス状のレーザ光の波長は、図4(a)に示すよう
に、立上がり時が短く、定常状態になるまでに長くなる
という性質を有している。
【0077】半導体レーザ1からのパルス状のレーザ光
の立上がり時の第1波長p1(=λ−Δλ)は、その後
の定常状態の第2波長p2(=λ)よりΔλだけ短くな
る。第1波長p1(=λ−Δλ)のレーザ光を半導体基
板6の反射光強度と温度の関係を示す温度・干渉光強度
特性は、図3に破線で示すように、第2波長p2(=
λ)の場合よりもφだけ位相が進んでいる。
【0078】なお、半導体レーザ1からのパルス状のレ
ーザ光の立ち上がり後0.5ms以内に発振されるレー
ザ光の第1波長p1(=λ−Δλ)と、それ以後に発振
されるレーザ光の第2波長p2(=λ)の最大の差Δλ
は、半導体基板6の屈折率n、半導体基板6の厚みdに
対して、|Δλ|<λ2 /(2nd+λ)の関係を満た
すようにすれば、適切な干渉が発生する。
【0079】以上のことから、半導体基板6の温度が上
昇する過程において、干渉光強度が上昇していく場合に
は、第2波長p2の干渉光強度I2 は、それより短い第
1波長p1の干渉光強度I1 よりも小さくなり、干渉光
強度が下降していく場合には、逆に第2波長p2の干渉
光強度I2 は、それより短い第1波長p1の干渉光強度
I1 よりも大きくなることがわかる。
【0080】また、これに対して、半導体基板6の温度
が下降する過程において、干渉光強度が上昇していく場
合には、第2波長p2の干渉光強度I2 は、それより短
い第1波長p1の干渉光強度I1 よりも大きくなり、干
渉光強度が下降していく場合には、逆に第2波長p2の
干渉光強度I2 は、それより短い第1波長p1の干渉光
強度I1 よりも小さくなることが分かる。
【0081】図4(a)に示すパルス状のレーザ光の半
導体基板6からの反射光に対して、図4(b)に示すよ
うにパルス状のレーザ光の立上がり時に干渉光強度が大
きくなる場合と、図4(c)に示すようにパルス状のレ
ーザ光の立上がり時に干渉光強度が小さくなる場合があ
る。図4(b)は、図3において温度T1の干渉光強度
の変化に対応し、図4(c)は、図3において温度T2
の干渉光強度の変化に対応し、図3と図4(b)及び
(c)における○印と×印は対応している。
【0082】したがって、図4(a)に示すパルス状の
レーザ光の半導体基板6からの反射光に対する干渉光強
度を立上り直後(×印)と一定時間後(○印)において
測定し、図4(b)に示すようにパルス状のレーザ光の
立上がり時の干渉光強度がそれ以降の干渉光強度より小
さいか否かという点と、図4(c)に示すように、パル
ス状のレーザ光の立上がり時の干渉光強度がそれ以降の
干渉光強度より大きいか否かという点と、第1波長p1
の干渉光の強度I1 又は第2波長p2の干渉光の強度I
2 の干渉波形がどちらに傾いているかという点とに基づ
いて、温度が上昇中であるか下降中であるか判断する。
【0083】すなわち、干渉光の強度波形の尾根近傍と
谷近傍を除外して考えると、第1波長p1の干渉光の強
度I1 又は第2波長p2の干渉光の強度I2 が増加して
いる時点において、第1波長p1の干渉光の強度I1 が
前記第2波長p2の干渉光の強度I2 よりも大きい場合
(I1 >I2 )は、半導体基板6の温度が上昇中である
と判断し、第1波長p1の干渉光の強度I1 が第2波長
p2の干渉光の強度I2 よりも小さい場合(I1 <I2
)は、半導体基板6の温度が下降中であると判断す
る。第1波長p1の干渉光I1 又は第2波長p2の干渉
光の強度I2 が減少している時点において、第1波長p
1の干渉光の強度I1 が前記第2波長p2の干渉光の強
度I2 よりも大きい場合(I1 >I2 )は、半導体基板
6の温度が下降中であると判断し、第1波長p1の干渉
光の強度I1 が第2波長p2の干渉光の強度I2 よりも
小さい場合(I1 <I2 )は、半導体基板6の温度が上
昇中であると判断する。
【0084】本実施例における判断方法について具体的
に説明する。まず、半導体レーザ1からパルス状のレー
ザ光を周波数50Hzで半導体基板6に照射する。その
反射光を光受光器7により受け、干渉光の強度をコンピ
ュータ10によりパルス毎に記録する。この場合、図4
(b)及び(c)に示すように、パルス状のレーザ光の
立上がりから0.5msec以内の一時点で発振される
第1波長p1による干渉光強度I1 と、0.5msec
後に発振される第2波長p2による干渉光強度I2 とを
抽出して、これを記憶する。
【0085】例えば、ヒータ5により、半導体基板6の
温度を時間(to〜tm)で上昇させた後に、時間(t
m〜t2)で下降させ、半導体基板6からの反射光強度
と時間との関係を測定したところ、図5(a)に示すよ
うな測定結果が得られた。図5(a)において、正弦波
に似た周期波形形状の実線は第2波長p2(=λ)の干
渉光強度を示し、正弦波に似た周期波形形状の破線は第
1波長p1(=λ−Δλ)の干渉光強度を示す。
【0086】このようにして得られた図5(a)に示す
干渉光強度から温度変化を求めると、図5(b)に示す
ようになる。なお、干渉光の強度波形の尾根近傍と谷近
傍では、上記の物理的な関係とは逆になる。その部分で
は第2波長p2と第1波長p1の干渉光の強度差が小さ
いので、第2波長p2と第1波長p1の干渉光の強度差
に所定のしきい値を設け、所定値以上の干渉光の強度差
が生じた時にのみ温度の変化方向を決定する。
【0087】例えば、第1波長p1による干渉光強度I
1 の極大値をI1max、その時の第2波長による干渉光強
度をI2 ′とした時、干渉光強度の差に対してしきい値
Ith=(I1max−I2 ′)を設け、|I1 −I2 |≦I
thの場合と|I1 −I2 |>Ithとでは異なったアルゴ
リズムを使用することにより、温度変化の方向を正しく
判断するようにしている。
【0088】また、別の方法として、干渉波形の尾根、
谷近傍にあるI1 −I2 =0の点とその尾根、谷の間は
温度変化方向を決定しないようにするか、又は、その間
は、図5(c)に示す温度変化方向の判定条件を入れ換
えることにより、温度変化の方向を正しく判断すること
ができる。次に、本実施例による温度測定装置における
アルゴリズムについて、図6のフローチャートを用いて
説明する。
【0089】本実施例では、前述したように、第2波長
p2と第1波長p1の干渉光の強度差に所定のしきい値
を設けて、このしきい値前後で異なるアルゴリズムを使
用して測定温度を決定している、先ず、パルス状のレー
ザ光の立ち上がり後0.5ms以内に発振される第1波
長p1のレーザ光による干渉光強度I1 を取り込む(ス
テップS1)。続いて、パルス状のレーザ光の立ち上が
り後0.5[ms]以降に発振される第2波長p2のレ
ーザ光による干渉光強度I2 を取り込む(ステップS
2)。
【0090】次に、第1波長p1のレーザ光による干渉
光強度I1 の極大値をI1max、その時の第2波長p2の
レーザ光による干渉光強度をI2 ′とした時、干渉光強
度の差にしきい値Ith=(I1max−I2 ′)を設定す
る。ステップS1とステップS2で取り込まれた干渉光
強度I1 と干渉光強度I2 の差の絶対値|I1 −I2 |
がしきい値Ithより大きいか否かを判断する(ステップ
S3)。
【0091】|I1 −I2 |≦Ithの場合には、干渉光
波形の尾根近傍と谷近傍であるので温度変化方向を決定
せずに終了する(ステップS4)。|I1 −I2 |>I
thの場合には、干渉光波形の尾根近傍と谷近傍以外の部
分であるので、図5(c)に示す関係に基づいて温度の
変化方向を決定する(ステップS5〜ステップS1
1)。
【0092】すなわち、I1 −I2 >0で、第2波長p
2の干渉縞波形の傾きが正である場合には「温度上昇
中」と判断し、I1 −I2 >0で、第2波長p2の干渉
縞波形の傾きが負である場合には「温度下降中」と判断
し、I1 −I2 <0で、第2波長p2の干渉縞波形の傾
きが負である場合には「温度上昇中」と判断し、I1 −
I2 <0で、第2波長p2の干渉縞波形の傾きが正であ
る場合には「温度下降中」、と判断する。
【0093】本実施例による測定結果を図7に示す。図
7下部には、第1波長p1のレーザ光による干渉光強度
I1 と第2波長p2のレーザ光による干渉光強度I2 と
を示し、図7上部には、コンピュータ10による半導体
基板6の温度の計算値と熱電対による測定温度とを示
す。また、温度の計算は、第2波長p2のレーザ光によ
る干渉光強度I2 が1/4周期分変化したときに温度変
化量ΔT(T)を計算すると共に、温度の変化方向を決
定する。温度上昇中はΔTを現在の温度に加算し、温度
下降中はΔTを現在の温度から減算する。
【0094】図7から明らかなように、第1波長p1の
レーザ光による干渉光強度I1 と第2波長p2のレーザ
光による干渉光強度I2 が、温度の上昇及び下降に応じ
て増減を繰り返し、温度の計算値と熱電対による測定温
度とがよく一致していることがわかる。このように本実
施例によれば、半導体レーザから発振されるレーザ光の
発振波長が立上がり時にシフトするという特徴を有する
半導体レーザを用いることにより、異なる波長のレーザ
光が簡単に得られた。また、測定にあたって、波長微分
を行う必要がないため、ロックインアンプも不要とな
り、簡単な構成で安価な温度測定装置を実現できる。
【0095】更に、レーザ光のパルス毎に温度変化方向
の決定が可能となり、詳細な温度変化方向の決定が可能
であり、高精度な温度測定装置を実現できる。 [第2実施例]次に、本発明の第2実施例による温度測
定装置を図8乃至図11を用いて説明する。
【0096】第1実施例では、III −V族化合物半導体
からなる半導体レーザを用いたため、高精度な温度測定
が実現できたが、前述したように、III −V族化合物半
導体の半導体レーザの発振波長は最長でも1.6μm程
度であるため、エネルギバンドギャップの比較的小さな
シリコンやGaAs等の半導体ウエーハの測定温度範囲
に上限があり、狭くなってしまう。
【0097】この問題点を解決するに、本実施例では、
波長範囲が長いIV−VI族化合物半導体からなる半導体レ
ーザを用いる。すなわち、NaCl型の結晶構造を有す
るPbSnTe、PbTeS、PbSSe、PbSnS
e等のIV−VI族化合物半導体は、0.04〜0.3eV
のエネルギバンドギャップを有している。そのような半
導体により構成された半導体レーザ1は、組成の相違に
よって4〜30μmの波長範囲の発振が可能である。そ
して、このような波長範囲のレーザ光を感度よく受光す
るために、光受光器7も上述した構造のIV−VI族化合物
半導体により形成することが望ましい。
【0098】第1実施例で用いたIII −V族化合物半導
体からなる半導体レーザは、パルス状のレーザ光を出射
した場合、レーザ光の波長がパルスの立上がり時には数
オングストロームだけ短く、その後は長くなる特性を有
していたが、本実施例で用いるIV−VI族化合物半導体か
らなる半導体レーザは、パルス状のレーザ光を出射した
場合、レーザ光の波長がパルスの立上がり時には数オン
グストローム以上長く、その後は短くなるという逆の特
性を有している。
【0099】したがって、本実施例による温度測定装置
の構成は、図1に示す構成と基本的に同じであるが、そ
の測定条件は、第1実施例の測定条件とは異なってい
る。本実施例による温度測定装置の測定条件について図
8乃至図11を用いて説明する。図8は、測定温度と干
渉光強度の関係を示すグラフであり、図9(a)乃至
(c)は、パルス状のレーザ光を用いた場合の波長変化
と干渉光強度の変化を示すグラフであり、図10(a)
は第1波長p1及び第2波長p2による干渉光強度を示
すグラフであり、図10(b)は半導体基板6の温度の
時間的変化を示すグラフであり、図10(c)は干渉光
と半導体基板6の温度変化との関係を説明する図であ
る。
【0100】本実施例の温度測定装置において、ヒータ
5の上に半導体基板6として例えばシリコン基板を載置
する。半導体レーザ1から出射されたレーザ光を半導体
基板6に照射すると、図1に示すように、半導体基板6
の上面と下面からそれぞれ反射されたレーザ光が干渉
し、その干渉光が半導体基板6の反射光となる。そし
て、ヒータ5により半導体基板6を加熱しながら、半導
体レーザ1から出射されたレーザ光をコリメータ光学部
3を介して半導体基板6に照射する。半導体基板6から
の反射光を光受光器7により受光し、その干渉光の強度
をコンピュータ10により解析する。
【0101】その結果、図8に実線で示すような温度・
干渉光強度特性が得られ、半導体基板6の温度を上昇さ
せていくと干渉光の強度は正弦波に似た周期波形形状に
変化する。その原理は次のようである。半導体基板6の
誘電率(屈折率)と厚さは温度上昇につれて増加するの
で、半導体基板6内での光学的距離が変化する。これに
より、半導体基板6の下面で反射して上面から出射する
レーザ光と、半導体基板6の上面で反射するレーザ光と
は、温度変化により位相変化を生じる。
【0102】したがって、半導体基板6から反射された
干渉光の強度は温度変化によって正弦波状に変化し、1
周期の温度変化ΔT(T)[℃]は、半導体基板6の厚
さをL、屈折率をnとすると、次式で計算できる。 ΔT=λ/{2nL(α+β)} 但し、α=(1/L)×(dL/dT) β=(1/n)×(dn/dT) ここで、αとβをそれぞれ求めることは難しい。したが
って、(α+β)を実験により求めた。
【0103】すなわち、実験の初期値からの差により計
算される干渉光の強度の周波数fと、測定温度の校正曲
線とから、1周期の温度変化ΔT(T)を、次に示す5
次の近似式として算出した。 ΔT(f)=12.278+11.012×f−0.1
3222×f2+0.0018399×f3 −1.58
03×10-5×f4+5.5364×10-8×f5 したがって、半導体基板6の温度は、加熱開始時の温度
To[℃]と温度変化の周期数により決定される。
【0104】一方、半導体基板6はヒータ5により加熱
されたり冷却されたりされ、温度が上昇する場合と下降
する場合がある。したがって、半導体基板6の温度を決
定するためには温度変化方向を知る必要がある。その判
別原理を説明する。パルス電源11から50Hz程度の
パルス状の電流を半導体レーザ1に注入して、半導体レ
ーザ1から50Hzのパルス状のレーザ光を半導体基板
6に照射する。そのとき、半導体レーザ1から出射され
るパルス状のレーザ光の波長は、図9(a)に示すよう
に、立上がり時が長く、定常状態になるまでに短くなる
という性質を有している。
【0105】これは、半導体レーザ1の化合物半導体の
エネルギバンドギャップは、発振による温度上昇によっ
て広くなるために、発振光の波長は短い方にシフトする
と考えられる。半導体レーザ1からのパルス状のレーザ
光の立上がり時の第1波長p1(=λ−Δλ)は、その
後の定常状態の第2波長p2(=λ)よりΔλだけ長く
なる。第1波長p1(=λ−Δλ)のレーザ光を半導体
基板6の反射光強度と温度の関係を示す温度・干渉光強
度特性は、図8に破線で示すように、第2波長p2(=
λ)の場合よりもθだけ位相が遅れる。
【0106】なお、半導体レーザ1からのパルス状のレ
ーザ光の立ち上がり後0.5ms以内に発振されるレー
ザ光の第1波長p1(=λ−Δλ)と、それ以後に発振
されるレーザ光の第2波長p2(=λ)の最大の差Δλ
は、半導体基板6の屈折率n、半導体基板6の厚みdに
対して、|Δλ|<λ2 /(2nd+λ)の関係を満た
すようにすれば、適切な干渉が発生する。
【0107】以上のことから、半導体基板6の温度が上
昇する過程において、干渉光強度が上昇していく場合に
は、第2波長p2の干渉光強度I2 は、それより長い第
1波長p1の干渉光強度I1 よりも大きくなり、干渉光
強度が下降していく場合には、逆に第2波長p2の干渉
光強度I2 は、それより長い第1波長p1の干渉光強度
I1 よりも小さくなることがわかる。
【0108】また、これに対して、半導体基板6の温度
が下降する過程において、干渉光強度が上昇していく場
合には、第2波長p2の干渉光強度I2 は、それより長
い第1波長p1の干渉光強度I1 よりも小さくなり、干
渉光強度が下降していく場合には、逆に第2波長p2の
干渉光強度I2 は、それより長い第1波長p1の干渉光
強度I1 よりも大きくなることが分かる。
【0109】図9(a)に示すパルス状のレーザ光の半
導体基板6からの反射光に対して、図9(b)に示すよ
うにパルス状のレーザ光の立上がり時に干渉光強度が小
さくなる場合と、図9(c)に示すようにパルス状のレ
ーザ光の立上がり時に干渉光強度が大きくなる場合があ
る。図9(b)は、図8において温度T1の干渉光強度
の変化に対応し、図9(c)は、図8において温度T2
の干渉光強度の変化に対応し、図8と図9(b)及び
(c)における○印と×印は対応している。
【0110】したがって、図9(a)に示すパルス状の
レーザ光の半導体基板6からの反射光に対する干渉光強
度を立上り直後(×印)と一定時間後(○印)において
測定し、図9(b)に示すようにパルス状のレーザ光の
立上がり時の干渉光強度がそれ以降の干渉光強度より小
さいか否かという点と、図9(c)に示すように、パル
ス状のレーザ光の立上がり時の干渉光強度がそれ以降の
干渉光強度より大きいか否かという点と、第1波長p1
の干渉光の強度I1 又は第2波長p2の干渉光の強度I
2 の干渉波形がどちらに傾いているかという点とに基づ
いて、温度が上昇中であるか下降中であるか判断する。
【0111】すなわち、干渉光の強度波形の尾根近傍と
谷近傍を除外して考えると、第1波長p1の干渉光の強
度I1 又は第2波長p2の干渉光の強度I2 が増加して
いる時点において、第1波長p1の干渉光の強度I1 が
前記第2波長p2の干渉光の強度I2 よりも大きい場合
(I1 >I2 )は、半導体基板6の温度が下降中である
と判断し、第1波長p1の干渉光の強度I1 が第2波長
p2の干渉光の強度I2 よりも小さい場合(I1 <I2
)は、半導体基板6の温度が上昇中であると判断す
る。第1波長p1の干渉光I1 又は第2波長p2の干渉
光の強度I2 が減少している時点において、第1波長p
1の干渉光の強度I1 が前記第2波長p2の干渉光の強
度I2 よりも大きい場合(I1 >I2 )は、半導体基板
6の温度が上昇中であると判断し、第1波長p1の干渉
光の強度I1 が第2波長p2の干渉光の強度I2 よりも
小さい場合(I1 <I2 )は、半導体基板6の温度が下
降中であると判断する。
【0112】本実施例における判断方法について具体的
に説明する。まず、半導体レーザ1からパルス状のレー
ザ光を周波数50Hzで半導体基板6に照射する。その
反射光を光受光器7により受け、干渉光の強度をコンピ
ュータ10によりパルス毎に記録する。この場合、図9
(b)及び(c)に示すように、パルス状のレーザ光の
立上がりから0.5msec以内の一時点で発振される
第1波長p1による干渉光強度I1 と、0.5msec
後に発振される第2波長p2による干渉光強度I2 とを
抽出して、これを記憶すると共に、それら干渉光強度I
1 、I2 の変化と時間の関係を記録する。
【0113】例えば、ヒータ5により、半導体基板6の
温度を時間(to〜tm)で上昇させた後に、時間(t
m〜t2)で下降させ、半導体基板6からの反射光強度
と時間との関係を測定したところ、図10(a)に示す
ような測定結果が得られた。図10(a)において、正
弦波に似た周期波形形状の実線は第2波長p2(λ)の
干渉光強度を示し、正弦波に似た周期波形形状の破線は
第1波長p1(λ+Δλ)の干渉光強度を示す。
【0114】このようにして得られた図10(a)に示
す干渉光強度から温度変化を求めると、図10(b)に
示すようになる。なお、干渉光の強度波形の尾根近傍と
谷近傍では、上記の物理的な関係とは逆になる。その部
分では第2波長p2と第1波長p1の干渉光の強度差が
小さいので、第2波長p2と第1波長p1の干渉光の強
度差に所定のしきい値を設け、所定値以上の干渉光の強
度差が生じた時にのみ温度の変化方向を決定する。
【0115】例えば、第1波長p1による干渉光強度I
1 の極大値をI1max、その時の第2波長による干渉光強
度をI2 ′とした時、干渉光強度の差に対してしきい値
Ith=(I1max−I2 ′)を設け、|I1 −I2 |≦I
thの場合と|I1 −I2 |>Ithとでは異なったアルゴ
リズムを使用することにより、温度変化の方向を正しく
判断するようにしている。
【0116】また、別の方法として、干渉波形の尾根、
谷近傍にあるI1 −I2 =0の点とその尾根、谷の間は
温度変化方向を決定しないようにするか、又は、その間
は、図5(c)に示す温度変化方向の判定条件を入れ換
えることにより、温度変化の方向を正しく判断すること
ができる。次に、本実施例による温度測定装置における
アルゴリズムについて、図11のフローチャートを用い
て説明する。
【0117】本実施例では、前述したように、第2波長
p2と第1波長p1の干渉光の強度差に所定のしきい値
を設けて、このしきい値前後で異なるアルゴリズムを使
用して測定温度を決定している、先ず、パルス状のレー
ザ光の立ち上がり後0.5ms以内に発振される第1波
長p1のレーザ光による干渉光強度I1 を取り込む(ス
テップS1)。続いて、パルス状のレーザ光の立ち上が
り後0.5[ms]以降に発振される第2波長p2のレ
ーザ光による干渉光強度I2 を取り込む(ステップS
2)。
【0118】次に、第1波長p1のレーザ光による干渉
光強度I1 の極大値をI1max、その時の第2波長p2の
レーザ光による干渉光強度をI2 ′とした時、干渉光強
度の差にしきい値Ith=(I1max−I2 ′)を設定す
る。ステップS1とステップS2で取り込まれた干渉光
強度I1 と干渉光強度I2 の差の絶対値|I1 −I2 |
がしきい値Ithより大きいか否かを判断する(ステップ
S3)。
【0119】|I1 −I2 |≦Ithの場合には、干渉光
波形の尾根近傍と谷近傍であるので温度変化方向を決定
せずに終了する(ステップS4)。|I1 −I2 |>I
thの場合には、干渉光波形の尾根近傍と谷近傍以外の部
分であるので、図10(c)に示す関係に基づいて温度
の変化方向を決定する(ステップS5〜ステップS1
1)。
【0120】すなわち、I1 −I2 <0で、第2波長p
2の干渉縞波形の傾きが正である場合には「温度上昇
中」と判断し、I1 −I2 <0で、第2波長p2の干渉
縞波形の傾きが負である場合には「温度下降中」と判断
し、I1 −I2 >0で、第2波長p2の干渉縞波形の傾
きが負である場合には「温度上昇中」と判断し、I1 −
I2 >0で、第2波長p2の干渉縞波形の傾きが正であ
る場合には「温度下降中」、と判断する。
【0121】このように本実施例によれば、半導体レー
ザから発振されるレーザ光の発振波長が立上がり時にシ
フトするという特徴を有する半導体レーザを用いること
により、異なる波長のレーザ光を得るようにしているた
め、半導体レーザの発振波長を変化させるための変調シ
ステムが不要である。また、測定にあたって、波長微分
を行う必要がないため、ロックインアンプも不要とな
り、簡単な構成で安価な温度測定装置を実現できる。
【0122】また、レーザ光のパルス毎に温度変化方向
の決定が可能となり、詳細な温度変化方向の決定が可能
であり、高精度な温度測定装置を実現できる。更に、本
実施例における半導体レーザによるレーザの波長は長い
ので、温度の上昇によりシリコンやGaAs等の半導体
のエネルギバンドギャップが狭くなっても、吸収量が大
きくなることはなく、十分な精度の温度測定か可能であ
る。 [第3実施例]次に、本発明の第3実施例による温度測
定装置を図12を用いて説明する。図12に本実施例に
よる温度測定装置の構成を示す。図1に示す第1実施例
の温度測定装置と同一の構成要素には同一の符号を付し
て説明を省略又は簡略にする。
【0123】第1実施例では半導体基板6の反射光を用
いて温度測定したが、本実施例の温度測定装置では、被
測定物である半導体基板6の両面研磨された部分であっ
て、レーザ光に対して内部反射による光の干渉を生じる
部分にレーザ光を照射し、その透過光による干渉光の強
度変化を観察することにより半導体基板6の温度を決定
するものである。
【0124】半導体基板6が収納されたチャンバ4に対
して、レーザ光を照射するためのパルス電源11、半導
体レーザ1、光ファイバ2、コリメート光学部3を、図
12の上方に配置し、透過光を受光して温度測定するた
めの光受光器7、データ信号線8、A/D変換ユニット
9、コンピュータ10を、図12の下方に配置してい
る。
【0125】チャンバ4にはレーザ光が透過するための
光学窓(図示せず)が設けられている。なお、チャンバ
4全体をレーザ光が透過するような透明な材質により形
成してもよい。半導体基板6が載置されたヒータ5には
光通過穴5aが形成され、半導体基板6の透過光が光受
光器7により受光するように構成されている。
【0126】半導体レーザ1から出射されたパルス状の
レーザ光は、光ファイバ2及びコリメート光学部3を介
してチャンバ4内の半導体基板6に照射され、半導体基
板6を透過した透過光は光受光器7により受光され、受
光信号はデータ信号線8を介してコンピュータ10に入
力される。本実施例の原理及び動作については第1実施
例又は第2実施例と同様であるので説明を省略する。
【0127】このように本実施例によれば、被測定基板
の透過光を用い、第1実施例と同様に簡単な構成で安価
な温度測定装置を実現できる。 [パルス状のレーザ光]ここまでの説明においては、厳
格に定義することなく「パルス状のレーザ光」なる用語
を用いてきたが、本発明において用いられるパルス状の
レーザ光の定義について図13及び図14を用いて説明
する。
【0128】一般に「パルス状のレーザ光」という場合
には、レーザ光の強度が極めて短い時間で立ち上がり、
極めて短い時間で立ち下がるレーザ光のことを言い、長
方形パルスと呼ばれている。「パルス状のレーザ光」を
厳格に考えれば、その波形を定めるパラメータとして、
(1)レーザ光のベースの強度(2)パルスの立ち上が
り時間(3)パルスの高さ(4)パルスのピークの持続
時間(5)パルスの立ち下がり時間、が考えられる。こ
れらパラメータの値に応じてパルス状のレーザ光の波形
が種々変化する。
【0129】本発明において用いることが可能な「パル
ス状のレーザ光」とは、結局のところ、半導体レーザか
ら出射したレーザ光の波長が、パルスの立ち上がり時に
は数オングストロームだけ短くなり(第1波長p1)、
その後は長くなる(第2波長p2)ようなレーザ光のこ
とである。または、半導体レーザから出射したレーザ光
の波長が、パルスの立ち上がり時には数オングストロー
ムだけ長くなり(第1波長p1)、その後は短くなる
(第2波長p2)ようなレーザ光のことである図13に
示す実験装置を用いて、本発明において用いることが可
能なパルス状のレーザ光の限界を測定した。半導体レー
ザ20にはパルス電源21が接続されている。パルス電
源21にはコンピュータ22が接続されている。コンピ
ュータ22によりパルス電源21から出力されるパルス
電流の波形が制御される。これにより、半導体レーザ2
0から所望の波形のパルス形状のレーザ光が出射され
る。半導体レーザ20として、NEC製NDL5600
(III −V族半導体レーザ)を使用した。
【0130】半導体レーザ20から出射されたパルス状
のレーザ光は光分岐カプラ23により2つのレーザ光に
分岐される。分岐されたレーザ光は、それぞれコリメー
ト光学部24、25により平行光線束とされる。光受光
器26、27は、それぞれコリメート光学部24、25
から出射されたレーザ光を受光する。光受光器26、2
7として、浜松ホトニクス社製B4246を使用した。
一方のコリメート光学部24と光受光器26の間にはシ
リコン基板28が設けられ、シリコン基板28を透過し
たレーザ光が光受光器26により受光される。シリコン
基板28は一定温度に維持される。他方のコリメート光
学部25と光受光器27の間には何も設けられず、コリ
メート光学部25から出射されたレーザ光がそのまま光
受光器27により受光される。
【0131】光受光器26、27により受光された受光
信号を、オシロスコープ29により比較して観測した。
光受光器26からの受光信号を入力端CN1に入力し、
光受光器27からの受光信号を入力端CN2に入力し
た。観測結果を図14に示す。図14(a)〜(c)の
各図において、上段に光受光器26からの受光信号(C
N1)を示し、下段に光受光器27からの受光信号(C
N2)を示す。レーザ光の波長が変化すれば、シリコン
基板28を透過した光受光器26の受光信号(CN1)
の強度は変化するが、光受光器27の受光信号(CN
2)の強度は変化しない。したがって、光受光器26、
27の受光信号(CN1、CN2)を比較することによ
り、レーザ光の波長変化が発生した否か判断することが
できる。
【0132】図14(a)は、前述した各実施例におい
て用いられたパルス状のレーザ光である。このレーザ光
の受光信号のベースの強度は0V、パルスの立ち上がり
時間は80μsec、パルスの高さは4V、パルスのピ
ークの持続時間は5msec、パルスの立ち下がり時間
は80μsecである。図14(a)から、レーザ光の
立ち上がり時に波長変化が発生していることがわかる。
【0133】図14(b)は、ベースの強度を高くした
パルス状のレーザ光である。このレーザ光の受光信号の
ベースの強度は2Vとピークの高さの半分である。図1
4(b)からわかるように、この場合にもレーザ光の立
ち上がり時に波長変化が発生している。したがって、レ
ーザ光の受光信号のベースの強度をある程度高くしても
波長変化が発生することがわかった。
【0134】図14(c)は、パルスの立ち上がり時間
及び立ち下がり時間を長くした台形状のレーザ光であ
る。このレーザ光のパルスの立ち上がり時間は2mse
c、パルスの立ち下がり時間は2msecである。図1
4(c)からわかるように、この場合にもレーザ光の立
ち上がり時に波長変化が発生している。したがって、レ
ーザ光のパルスの立ち上がり時間をある程度長くしても
波長変化が発生することがわかった。
【0135】以上の実験から明らかなように、本発明に
おいて用いることが可能な「パルス状のレーザ光」に
は、一般的に定義される「レーザ光の強度が極めて短い
時間で立ち上がり、極めて短い時間で立ち下がるレーザ
光」の他に、ベースの強度が0Vよりも高い「パルス状
のレーザ光」でもよいし、パルスの立ち上がり時間及び
立ち下がり時間を長くした「台形状のレーザ光」でもよ
い。
【0136】また、本発明において用いることが可能な
「パルス状のレーザ光」としては、その立ち上がり時の
急峻度のみが重要であって、その立ち下がりの形状は波
長変化に関係しない。したがって、レーザ光の波形とし
ては、波形が長方形の長方形パルスでもよいし、波形が
三角形の三角形パルスでもよい。更に、波形が正弦波形
状のサイン波形状でもよいし、波形が鋸形状の鋸歯状波
でもよい。 [第4実施例]次に、本発明の第4実施例による温度測
定装置を図15及び図16を用いて説明する。図15に
本実施例による温度測定装置の構成を示す。図12に示
す第3実施例の温度測定装置と同一の構成要素には同一
の符号を付して説明を省略又は簡略にする。
【0137】本発明による温度測定装置は、レーザ光を
用いて非接触で被測定基板を温度測定できるので、半導
体装置の製造工程において、温度をモニタしながら、熱
処理、イオン注入処理、エッチング処理、拡散処理又は
堆積処理等の所定の処理を行うことができるという利点
を有している。被測定基板に対して所定の処理を行うた
めには、本発明による温度測定装置とは異なる雰囲気中
に被測定基板を載置する必要がある。したがって、図1
5に示すように、半導体レーザ1から出射されたレーザ
光は光学窓11aを介して半導体基板6に照射され、半
導体基板6の透過光は光学窓11bを介して光受光器7
に入射される。
【0138】本実施例は、半導体基板6に対して光学窓
11a、11bを介してレーザ光を入射又は出射するこ
とにより発生する問題を解決するものである。本実施例
の温度測定装置は、半導体基板6にレーザ光を照射し、
その透過光による干渉光の強度が半導体基板6の温度に
より変化することを利用して温度を測定している。しか
しながら、光学窓11a、11bを介してレーザ光を入
射又は出射する場合には、半導体基板6自身の光干渉と
は別に、光学窓11a、11b内部での反射光、又は光
学窓11a、11b間を反射する光による干渉が生じる
おそれがある。
【0139】温度変化により光学窓11a、11b自身
が熱膨張したり、光学窓11a、11bを支持するチャ
ンバのような部材が熱膨張したりすることにより、光学
窓11a、11b内部での反射光、光学窓11a、11
b間の反射光による光干渉が半導体基板6自身の光干渉
に影響を及ぼし、温度測定に対するノイズとなるおそれ
がある。
【0140】そこで、本実施例による温度測定装置で
は、光学窓11a、11bの両面を、その面におけるレ
ーザ光の反射光による光の干渉が生じないように、レー
ザ光の光軸に対して傾けるようにしている。したがっ
て、光学窓11bの内側の面で反射したレーザ光は逸れ
てしまい、光学窓11a、11b間を反射しても光路h
2を通り、反射光により光干渉を生ずることはなくな
る。
【0141】なお、光学窓11a、11bを傾けても、
半導体基板6の透過光は逸れることなく光路h1を通
り、確実に光受光器7に入射される。図16(a)は、
本実施例の温度測定装置による温度を一定に上昇させた
ときの干渉光の強度と時間との関係を示すグラフであ
る。これに対し、図16(b)は、光学窓11a、11
b間の反射光による光干渉が生じるように、光学窓11
a、11bの面をレーザ光に対して垂直にした場合の、
温度を一定に上昇させたときの干渉光の強度と時間との
関係を示すグラフである。
【0142】図16(b)に示すように、光学窓11
a、11b間の反射光による光干渉が生じている場合に
は、干渉光の強度の谷と山の強さが変化しているのに対
し、図16(a)に示すように、本実施例の温度測定装
置では、干渉光の強度の谷と山の強さが変化せず、一定
値に維持していることがわかる。このように本実施例に
よれば、各光学窓内部の反射光、又は光学窓間の反射光
による光干渉が生じないので、干渉光の強度のレベルが
温度より変化することなく、厳密に温度測定することが
でき、より高精度な温度測定装置を実現できる。
【0143】なお、光学窓に反射防止膜を設けるように
すれば、上記実施例と同様に、光学窓内部の反射光、又
は光学窓間の反射光による光干渉を抑止することが可能
である。 [第5実施例]次に、本発明の第5実施例による温度測
定装置を図17を用いて説明する。図15に示す第4実
施例の温度測定装置と同一の構成要素には同一の符号を
付して説明を省略又は簡略にする。
【0144】本実施例では、半導体基板6がチャンバ4
に収納されており、チャンバ4の光学窓11a、11b
を介してレーザ光を入射又は出射している。両方の面が
平行な光学窓11a、11bをチャンバ4の開口に対し
て傾けて取り付けて、レーザ光の光軸から傾けている。
このため、光学窓11bの内側の面で反射したレーザ光
は逸れてしまい、光学窓11a、11b間を反射しても
光路h2を通り、反射光により光干渉を生ずることはな
い。
【0145】このように本実施例によれば、光学窓間の
反射光による光干渉が生じないので、干渉光の強度のレ
ベルが温度より変化することなく、厳密に温度測定する
ことができ、より高精度な温度測定装置を実現できる。 [第6実施例]次に、本発明の第6実施例による温度測
定装置を図18を用いて説明する。図17に示す第5実
施例の温度測定装置と同一の構成要素には同一の符号を
付して説明を省略又は簡略にする。
【0146】本実施例では、一方の面が傾いた形状の光
学窓11a、11bを用い、内側の面がレーザ光の光軸
に対して傾き、外側の面がチャンバ4の外周面と一致す
るようにチャンバ4の開口に対して取り付けている。こ
のため、光学窓11bの内側の面で反射したレーザ光は
逸れてしまい、光学窓11a、11b間を反射しても光
路h2を通り、反射光により光干渉を生ずることはな
い。しかも、光学窓11a、11bの外側の面はチャン
バ4の外周面と一致しているので、精度よく取り付けら
れる。
【0147】このように本実施例によれば、光学窓間の
反射光による光干渉が生じないので、干渉光の強度のレ
ベルが温度より変化することなく、厳密に温度測定する
ことができ、より高精度な温度測定装置を実現できる。 [第7実施例]次に、本発明の第7実施例による温度測
定装置を図19を用いて説明する。図17に示す第5実
施例の温度測定装置と同一の構成要素には同一の符号を
付して説明を省略又は簡略にする。
【0148】第3乃至第6実施例では半導体基板6の透
過光を用いて温度測定する温度測定装置であったが、本
実施例の温度測定装置では、半導体基板6の反射光によ
る干渉光の強度変化により温度測定している。本実施例
では、半導体基板6がチャンバ4に収納されており、チ
ャンバ4の上面の開口に取り付けられた光学窓12a、
12bを介してレーザ光を入射又は出射している。光学
窓12a、12bの各面をチャンバ4の外周面に一致す
るように取り付けることにより、光学窓12a、12b
の各面をレーザ光の光軸に対して傾くようにしている。
【0149】このため、光学窓12bの内側の面で反射
したレーザ光は逸れてしまい、光学窓12a、12b間
を半導体基板6の介して反射する反射光により光干渉を
生ずることはない。このように本実施例によれば、光学
窓間の反射光による光干渉が生じないので、干渉光の強
度のレベルが温度より変化することなく、厳密に温度測
定することができ、より高精度な温度測定装置を実現で
きる。 [第8実施例]次に、本発明の第8実施例による温度測
定装置を図20乃至図23を用いて説明する。図20に
本実施例による温度測定装置の構成を示し、図21及び
図23に本実施例による温度測定装置の動作原理を示
す。図1に示す第1実施例の温度測定装置と同一の構成
要素には同一の符号を付して説明を省略又は簡略にす
る。
【0150】前述したように、従来の温度測定装置で
は、干渉光の強度が少なくとも1周期変化して、その極
大値と極小値が得られるまで実質的に温度測定を行うこ
とができない。しかし、予め干渉光強度の極大値を極小
値とを得ておけば、速やかに温度測定を開始することが
できる。本実施例では、温度測定前に、半導体基板6に
対するレーザ光の入射角を変化することにより、干渉光
の強度が少なくとも1周期ずれるようにして、干渉光強
度の極大値と極小値を予測する。
【0151】図21において、A1、A2は光源からの
入射光で、B1、B2は半導体基板6の表面での反射光
で、C1、C2は半導体基板6の裏面での反射光であ
る。半導体基板6からの表面反射光B1、B2と裏面反
射光C1、C2とは、光路差Lに応じた干渉を起こす。
この光路差Lは、半導体基板6の厚さをd、屈折率を
n、入射角をθとすると、次式で表される。
【0152】L=2d(n2 − sin2 θ)1/2 今、入射光A1の入射角がθ′(=θ+Δθ)、入射光
A2の入射角がθであるとすると、各入射角のレーザ光
の光路差L1、L2は、 L1=2d(n2 − sin2 θ′)1/2 L2=2d(n2 − sin2 θ)1/2 となるから、2つの光路差L1、L2の差ΔLは、 ΔL=L2−L1 =2d{(n2 − sin2 θ)1/2 −(n2 − sin2 θ′)1/2 } となる。すくなくとも、この差ΔLが測定光の1/2波
長(λ/2)ずれたときに、干渉状態は1周期分ずれ
る。したがって、差ΔLが最大λ/2ずれたときに干渉
光強度の極大値と極小値を得ることができ、温度変化時
の干渉光強度の極大値と極小値を予め知ることができ
る。
【0153】上記式において、ΔLにλ/2を代入し、
θ′にθ+Δθを代入すると、次式のようになる。 λ/2≦2d{(n2 − sin2 θ)1/2 −(n2 − sin2
(θ+Δθ))1/2 } そして、この式をΔθについて解くと次式のようにな
る。 Δθ≧ sin-1[n2 −{(n2 − sin2 θ)1/2 −λ/4
d}2 1/2 −θ したがって、レーザ光の入射角θをΔθだけ変化させれ
ば、干渉光強度の極大値と極小値を予め知ることができ
る。
【0154】本実施例の温度測定装置は、上述した原理
に基づいて、レーザ光の入射角を変化することが可能な
構成となっている。図20に示すように、コリメート光
学部3を、半導体基板6のレーザ光の入射位置を中心と
して回転可能であり、半導体基板6に対するレーザ光の
入射角を変化させることができる。光受光器7も、反射
光を受光することができるように、コリメート光学部3
の回転に同期して半導体基板6のレーザ光の入射位置を
中心として回転するようにする。
【0155】本実施例の温度測定装置による温度測定方
法について説明する。まず、温度測定する前に、半導体
レーザ1から出射したレーザ光を、ヒータ5上に載置さ
れた半導体基板6に対して照射する。コリメート光学部
3を最初は実線の位置にしてレーザ光を照射し、続い
て、半導体基板6へのレーザ光の入射位置を変化しない
ようにして、コリメート光学部3を徐々に回転し、レー
ザ光の入射角θを徐々に増加させる。レーザ光の入射角
がΔθ増加するまでコリメート光学部3を回転する。こ
のとき、光受光器7を、半導体基板6からの反射光を受
光できるように、レーザ光の入射位置を中心として回転
する。
【0156】このように、コリメート光学部3をレーザ
光の入射位置を中心として回転し、レーザ光の入射角θ
を増加させると、光受光器7により受光した干渉光の強
度Iは、図22に示すように、周期的に増減する。上述
したΔθだけ入射角θを増加させると、干渉光の強度I
は少なくとも1周期は増減するので、干渉光強度の極大
値Imax と極小値Imin を知ることができる。そこで、
干渉光強度の極大値Imax と極小値Imin を記憶してお
く。ここまでの処理を実際の温度測定に先だって行って
おく。
【0157】半導体基板6の温度を測定する場合には、
所定の入射角でレーザ光を入射するようにコリメート光
学部3の位置を固定し、光受光器7も半導体基板6から
の反射光を受光できる位置に固定する。このようにコリ
メート光学部3と光受光器7の位置を固定した状態で、
干渉光の強度を測定する。このとき干渉光強度の極大値
Imax と極小値Imin は既にわかっているので、測定値
が、温度変化に伴って正弦波状に変化する干渉光強度曲
線のどこに位置するかを予測することができる。すなわ
ち、温度測定を開始すると直ちに干渉光強度曲線におけ
る現在の測定値の位相がわかる。
【0158】一方、干渉光強度曲線の1周期の変化に相
当する温度変化量ΔT(T)[℃]は予め分かっている
ので、半導体基板6の温度が変化して干渉光強度の測定
値が変化すると、干渉光強度曲線における位相変化量が
わかり、その結果、温度変化量がわかる。したがって、
半導体基板6の温度は、加熱開始時の温度と温度変化量
により、干渉光強度の測定開始時から直ちに温度測定が
可能となる。
【0159】図23に干渉光強度の変化に対する本実施
例による温度測定結果を、これまでの測定方法による温
度測定結果と比較して示す。図23中に本測定時の干渉
光強度の極大値と極小値を示す。これまでの測定方法で
は、干渉光強度の極大値及び極小値が得られた後に初め
て測定が可能となり、それは測定開始時から0.85秒
後であった。以降、その分の温度誤差を生じる。一方、
本実施例による測定方法では、予め極大値及び極小値が
測定されているため、測定開始と同時に温度変化を測定
できる。
【0160】このように本実施例によれば、干渉光強度
の極大値と極小値が得られるまで温度変化することな
く、干渉光の強度の測定開始時から直ちに温度測定する
ことができる。なお、図20に示す温度測定装置では、
コリメート光学部3の位置の変化に応じて光受光器7の
位置を変化させていたが、図24に示すように、受光範
囲が狭い光受光器7の代わりに、受光範囲が広いダイオ
ードアレイ17を用いてもよい。このようにすれば、受
光系の位置を変化しなくともよい。
【0161】次に、本実施例による温度測定装置の変形
例を図25乃至図27を用いて説明する。図25乃至図
27では、説明を簡単にするために、半導体基板6に対
する照射系と受光系のみを図示している。本実施例の温
度測定装置の第1変形例を図25(a)、(b)に示
す。本変形例では、被測定物である半導体基板6上方
に、その光軸が垂直な凸レンズ13を設けている。凸レ
ンズ13の焦点が半導体基板6の測定点に一致するよう
に配置し、照射光も反射光も凸レンズ13を介するよう
にしている。凸レンズ13上方の左側に照射系を設け、
右側に受光系を設ける。
【0162】図25(a)に示す温度測定装置では、凸
レンズ13上方の左側にコリメート光学部3を設け、右
側に光受光器7を設ける。コリメート光学部3から凸レ
ンズ13の光軸方向にレーザ光を出射すると、レーザ光
は凸レンズ13により屈折されて半導体基板6の測定点
に入射する。半導体基板6からの反射光は凸レンズ13
により光軸方向に屈折され、光受光器7により受光され
る。
【0163】コリメート光学部3を左右に平行移動する
ことにより、半導体基板6の測定点に対する入射角を変
化することができる。このとき、光受光器7もコリメー
ト光学部3の平行移動に同期して左右に平行移動する。
図25(b)に示す温度測定装置では、受光範囲が狭い
光受光器7の代わりに、受光範囲が広いダイオードアレ
イ17を用いている。このようにすれば、受光系の位置
を変化しなくともよい。
【0164】本実施例の温度測定装置の第2変形例を図
26(a)、(b)に示す。本変形例では、照明系にミ
ラー14と凸レンズ15を加え、受光系に凸レンズ16
を加えている。ミラー14は回転可能であり、その回転
軸にコリメート光学部3からのレーザ光が照射するよう
に配置されている。凸レンズ15は、ミラー14による
反射光が常に半導体基板6の測定点に入射するように、
焦点距離や設置位置が選択される。凸レンズ16は、入
射角度が変化しても、半導体基板6からの反射光が常に
光受光器7により受光できるように、焦点距離や設置位
置が選択される。
【0165】図26(a)に示す温度測定装置では、コ
リメート光学部3から出射されたレーザ光はミラー14
により反射され、凸レンズ15により屈折されて半導体
基板6の測定点に入射する。半導体基板6からの反射光
は凸レンズ16により屈折され、光受光器7により受光
される。ミラー14を回転することにより、半導体基板
6の測定点に対する入射角を変化することができる。こ
のとき、反射角も変化するが、常に光受光器7に入射す
るように凸レンズ16により屈折される。
【0166】図26(b)に示す温度測定装置では、受
光範囲が狭い光受光器7の代わりに、受光範囲が広いダ
イオードアレイ17を用いている。このようにすれば、
受光系の位置を変化しなくともよい。本実施例の温度測
定装置の第3変形例を図27(a)、(b)に示す。本
変形例では、半導体基板6の一側に照明系を設け、他側
に受光系を設けている。照明系から出射されたレーザ光
は半導体基板6に入射され、その透過光を受光系で受光
する。
【0167】図27(a)に示す温度測定装置では、半
導体基板6の上方左側に照明系のコリメート光学部3が
設けられ、半導体基板6の下方右側に受光系の光検出器
7が設けられている。コリメート光学部3は、半導体基
板6の測定点を中心として回転し、半導体基板6への入
射位置を変化することなくレーザ光の入射角を変化す
る。入射角の変化により透過光の出射角度も変化する
が、光受光器7も半導体基板6の測定点を中心として回
転するようにして、光受光器7による透過光を常に受光
するようにする。
【0168】図27(b)に示す温度測定装置では、受
光範囲が狭い光受光器7の代わりに、受光範囲が広いダ
イオードアレイ17を用いている。このようにすれば、
受光系の位置を変化しなくともよい。 [第9実施例]次に、本発明の第9実施例による温度測
定装置を図28乃至図31を用いて説明する。図28に
本実施例による温度測定装置の構成を示す。図1に示す
第1実施例の温度測定装置と同一又は類似の構成要素に
は同一の符号を付して説明を省略又は簡略にする。
【0169】被測定物がシリコンやGaAs等の半導体
基板6の場合、温度上昇に伴ない光の吸収端波長が長波
長側にシフトするという特性を有している。そのため、
半導体基板の温度が上昇して、その吸収端波長が使用し
ているレーザ光の波長に近くなると、半導体基板6によ
りレーザ光が吸収されてしまい、正確な温度測定ができ
なくなる。
【0170】本実施例では、このような問題点を解決す
るために、半導体基板6に照射するレーザ光の強度を、
半導体基板6の温度に基づいて変化するようにして、温
度が上昇して半導体基板6におけるレーザ光の吸収率が
大きくなっても正確に温度測定できるようにする。本実
施例による温度測定装置では、図28に示すように、被
測定物である半導体基板6は、石英管のチャンバ4内に
収納されている。チャンバ4の中央部には円筒形の白金
ヒータ5が設けられている。白金ヒータ5により半導体
基板6が加熱される。
【0171】温度測定される半導体基板6としては、厚
さ約0.5mmのシリコン基板を使用した。なお、半導
体基板6としてはシリコン基板の他に、GaAs基板、
InP基板等の他の半導体基板でもよい。半導体レーザ
1にはパルス電源11が接続されている。パルス電源1
1は例えば50Hzのパルス電流を供給し、これによ
り、半導体レーザ1からはパルス状のレーザ光が出射さ
れる。本実施例では、半導体レーザ1として、NEC製
NDL5600(波長:約1310nm;出力:約0.
5mW)を使用した。
【0172】パルス電源11にはコンピュータ10が接
続されている。コンピュータ10によりパルス電源11
から出力されるパルス電流の大きさが制御される。これ
により、半導体レーザ1から出射されるレーザ光の強度
が制御される。半導体レーザ1から出射されたパルス状
のレーザ光は、光ファイバ2を介してコリメート光学部
3に導かれる。パルス状のレーザ光は、コリメート光学
部3により平行光線束とされ、チャンバ4内の半導体基
板6に照射される。
【0173】半導体基板6による透過光は、光受光器7
により受光される。光受光器7により受光された受光信
号は、データ信号線8を介してA/D変換ユニット9に
伝送される。A/D変換ユニット9は受光信号をデジタ
ル信号に変換し、コンピュータ10に出力する。コンピ
ュータ10は、入力されたデジタル受光信号から、透過
光による干渉光の強度変化を計算し、その計算結果に基
づいて測定温度と共に温度変化方向を決定する。
【0174】コンピュータ10は、測定温度に基づいて
パルス電源11から出力されるパルス電流の大きさを制
御して、半導体レーザ1から出射されるレーザ光の強度
を制御する。本実施例では、基板温度として温度測定装
置による測定結果を用いる。本実施例の温度測定装置に
よる測定結果を図29に示す。半導体基板6がシリコン
基板であって、波長が1310nmのレーザ光を用いた
場合、基板温度が約500℃を越えると、シリコン基板
の吸収率が大きくなる。そこで、本実施例では、図29
に示すように、半導体レーザ1から出射されるレーザ光
の強度を変化させる。すなわち、図29に示すように、
基板温度Tが500℃以下では、レーザ光の強度Iを一
定とし、基板温度Tが500℃を越えると、レーザ光の
強度Iが次式 I=1+(T−500)×0.02 にしたがって強くなるように、パルス電源11を制御す
る。
【0175】その結果、基板温度が500℃を越えて、
シリコン基板の吸収率が大きくなっても、レーザ光の強
度を強くしたので、図29に示すように、シリコン基板
を透過する干渉光の強度は減少せず、正確な温度測定を
行うことができる。測定結果によれば、図29に示すよ
うに、約600℃程度までシリコン基板の温度を測定す
ることができた。
【0176】図30に、比較例としてレーザ光の強度を
変化させなかった場合の測定結果を示す。基板温度が5
00℃を越えると、シリコン基板の吸収率が大きくなっ
てシリコン基板を透過する干渉光の強度が減少する。そ
の結果、干渉光の最大値と最小値の差が小さくなり、約
570℃程度で温度測定が不可能となった。図28に示
す温度測定装置では、パルス電源11を制御するため基
板温度として、温度測定装置により測定された測定温度
を用いたが、他の手段による測定結果を用いてもよい
し、白金ヒータにより加熱制御する際の制御温度を用い
てもよい。
【0177】図31に、パルス電源11を制御するため
に、熱電対により測定した半導体基板6の基板温度を用
いた温度測定装置を示す。図28に示す温度測定装置と
同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略す
る。図31の温度測定装置では、半導体基板6の基板温
度を測定するために熱電対30を設けている。熱電対3
0による検出信号は熱電対測定回路31によりアナログ
の温度測定信号とされる。熱電対測定回路31からの温
度測定信号はA/D変換ユニット9によりデジタル信号
に変換され、コンピュータ10に出力される。
【0178】コンピュータ10は、熱電対30により測
定された基板温度に基づいてパルス電源11から出力さ
れるパルス電流の大きさを制御して、半導体レーザ1か
ら出射されるレーザ光の強度を制御する。このように本
実施例によれば、半導体基板に照射するレーザ光の強度
を、半導体基板の温度が高くなるにつれて強くしたの
で、半導体基板の温度が高くなっても正確な温度測定を
行うことができる。
【0179】
【追加11】 [第10実施例]次に、本発明の第10実施例による温
度測定装置を図32乃至図38を用いて説明する。図3
2に本実施例による温度測定装置の構成を示す。図12
に示す第3実施例の温度測定装置と同一又は類似の構成
要素には同一の符号を付して説明を省略又は簡略にす
る。
【0180】第9実施例では、コンピュータ10により
パルス電源11を制御して半導体レーザ1から出射され
るレーザ光の強度を変化したが、半導体レーザ1の発振
強度を電流値により安定に制御することは必ずしも容易
ではない。そこで、本実施例では、半導体レーザ1の発
振強度を常に強く一定にして、半導体基板6の基板温度
が低いときにのみ減光するようにする。
【0181】コリメート光学部3とチャンバ4との間に
減光板32を設け、コリメート光学部3により平行光線
束にされたパルス状のレーザ光を減光し、チャンバ4内
の半導体基板6に照射する。本実施例では、減光板32
として複数種類の減光度のものを用意し、コンピュータ
10の制御により自動的に交換することが可能なように
構成されている。減光板32の交換機構については図示
を省略する。半導体レーザ1から出射されたパルス状の
レーザ光は、光ファイバ2を介してコリメート光学部3
に導かれる。パルス状のレーザ光は、コリメート光学部
3により平行光線束とされ、減光板32により減光され
て、チャンバ4内の半導体基板6に照射される。
【0182】半導体基板6による透過光は、光受光器7
により受光される。光受光器7により受光された受光信
号は、データ信号線8を介してA/D変換ユニット9に
伝送される。A/D変換ユニット9は受光信号をデジタ
ル信号に変換し、コンピュータ10に出力する。コンピ
ュータ10は、入力されたデジタル受光信号から、透過
光による干渉光の強度変化を計算し、その計算結果に基
づいて測定温度と共に温度変化方向を決定する。
【0183】コンピュータ10は、測定温度に基づいて
減光板32の種類を交換する。すなわち、測定温度が低
い間は減光度の大きな減光板32を用い、測定温度が高
くなるにつて減光度の小さな減光板32に交換する。半
導体基板6がシリコン基板であって、波長が1310n
mのレーザ光を用いた場合、基板温度が高くなると、シ
リコン基板の吸収率が大きくなる。そこで、本実施例で
は、半導体レーザ1から出射されるレーザ光の強度を、
シリコン基板が600℃以上でも十分な温度測定が可能
な程度に強くし、基板温度が低い場合には減光板32に
より減光するようにする。減光板32として、基板温度
が500℃以下では減光度が80%の減光板Aを用い、
基板温度が500〜600℃の間は減光度が60%の減
光板Bを用い、基板温度が600℃以上では減光度が4
0%の減光板Cを用いる。これにより、半導体基板6の
照射されるレーザ光の強度を段階的に変化させる。
【0184】本実施例の温度測定装置による測定結果を
図33に示す。測定温度が500℃以下では、減光板A
により減光したレーザ光を半導体基板6に照射する。測
定温度が低い間は十分な強度の干渉光が得られるが、測
定温度が500℃近くになると、シリコン基板の吸収率
が大きくなってシリコン基板を透過する干渉光の強度が
減少する。その結果、図33に示すように、干渉光の最
大値と最小値の差が小さくなり温度測定が困難になって
くる。
【0185】測定温度が500℃になると、減光板32
を減光度の小さな減光板Bに交換する。それにより、シ
リコン基板に照射されるレーザ光の強度が強くなり、シ
リコン基板の吸収率が大きくなっても、十分な強度の干
渉光が得られ、温度測定を続けることができる。しかし
ながら、測定温度が600℃近くになると、シリコン基
板の吸収率が大きくなってシリコン基板を透過する干渉
光の強度が減少する。その結果、図33に示すように、
干渉光の最大値と最小値の差が小さくなり温度測定が困
難になってくる。
【0186】測定温度が600℃になると、減光板32
を減光度のより小さな減光板Cに交換する。それによ
り、シリコン基板に照射されるレーザ光の強度が強くな
り、シリコン基板の吸収率が大きくなっても、十分な強
度の干渉光が得られ、温度測定を続けることができる。
図33に示す測定結果によれば、約630℃程度までシ
リコン基板の温度を測定することができた。
【0187】図34に、比較例としてレーザ光の強度を
変化させなかった場合の測定結果を示す。基板温度が5
00℃を越えると、シリコン基板の吸収率が大きくなっ
てシリコン基板を透過する干渉光の強度が減少する。そ
の結果、干渉光の最大値と最小値の差が小さくなり、約
570℃程度で温度測定が不可能となった。図32に示
す温度測定装置では、パルス電源11を制御するため基
板温度として、温度測定装置により測定された測定温度
を用いたが、他の手段による測定結果を用いてもよい
し、ヒータ5により加熱制御する際の制御温度を用いて
もよい。
【0188】次に、本実施例による温度測定装置の変形
例を図35乃至図38を用いて説明する。本実施例の温
度測定装置の第1変形例を図35に示す。本変形例で
は、チャンバ4と光受光器7との間に減光板32を設
け、半導体基板6を透過した干渉光を減光し、光受光器
7により受光している。本変形例においても、減光板3
2として複数種類の減光度のものを用意し、コンピュー
タ10の制御により自動的に交換することが可能なよう
に構成されている。
【0189】本実施例の温度測定装置の第2変形例を図
36に示す。上記実施例は半導体基板6の透過光を用い
て温度測定する温度測定装置であったが、本変形例の温
度測定装置は、半導体基板6の反射光による干渉光の強
度変化により温度測定するものである。反射光により温
度測定する場合にも、半導体基板6の下面で反射する反
射光は、温度が高くなると半導体基板6により吸収され
てしまい、正確な温度測定ができなくなる。
【0190】本変形例では、コリメート光学部3と半導
体基板6の間に減光板32を設け、コリメート光学部3
により平行光線束にされたパルス状のレーザ光を減光
し、チャンバ4内の半導体基板6に照射する。本変形例
においても、減光板32として複数種類の減光度のもの
を用意し、コンピュータ10の制御により自動的に交換
することが可能なように構成されている。
【0191】本実施例の温度測定装置の第3変形例を図
37に示す。本変形例では、半導体基板6と光受光器7
との間に減光板32を設け、半導体基板6の反射光によ
る干渉光を減光し、光受光器7により受光している。本
変形例においても、減光板32として複数種類の減光度
のものを用意し、コンピュータ10の制御により自動的
に交換することが可能なように構成されている。
【0192】本実施例の温度測定装置の第4変形例を図
38に示す。本変形例の温度測定装置も、半導体基板6
の反射光による干渉光の強度変化により温度測定するも
のである。半導体レーザ1及びコリメート光学部3は、
半導体基板6が収納されたチャンバ4の直上に配置され
ている。コリメート光学部3により平行光線束とされた
パルス状のレーザ光は、ビームスプリッタ33を減光板
32に入射され、減光板32により減光されてチャンバ
4内の半導体基板6に照射される。
【0193】半導体基板6による反射光は、再び減光板
32により減光されてビームスプリッタ33に入射され
る。入射されたレーザ光はビームスプリッタ33により
分岐され、光受光器7により受光される。光受光器7に
より受光された受光信号は、データ信号線8、A/D変
換ユニット9を介してコンピュータ10に入力される。
【0194】コンピュータ10は、入力されたデジタル
受光信号から、反射光による干渉光の強度変化を計算
し、その計算結果に基づいて測定温度と共に温度変化方
向を決定する。コンピュータ10は、測定温度に基づい
て減光板32の種類を交換する。すなわち、測定温度が
低い間は減光度の大きな減光板32を用い、測定温度が
高くなるにつて減光度の小さな減光板32に交換する。
【0195】本変形例では、コリメート光学部3を出射
してから光受光器7に達するまでに減光板32により2
回透過されるので、減光板32の減光度を前述した実施
例の半分にする。また、減光板32は、減光度を連続的
に変化することができるものを用いてもよい。
【0196】このように本実施例によれば、半導体レー
ザの発振強度を常に強くして、半導体基板の基板温度が
低いときに減光するようにして、半導体基板による干渉
光の強度が弱くならないようにしたので、半導体基板の
温度が高くなっても正確な温度測定を行うことができ
る。
【0197】
【追加12】 [実施例11]次に、本発明の第11実施例による温度
測定装置を図39乃至図42を用いて説明する。図39
に本実施例による温度測定装置の構成を示し、図40及
び図41に本実施例の温度測定装置による温度測定方法
を示す。
【0198】本実施例による温度測定装置は、図39
(a)に示すように、2つの温度測定系A、Bにより構
成されている。一方の温度測定系Aは、搬送アーム40
により搬送される半導体基板6の温度を測定する。温度
測定系Aは、搬送アーム40の移動に追随して常に半導
体基板6の所定の測定点の温度を測定する。パルス状の
レーザ光は、コリメート光学部41により平行光線束と
され、半導体基板6に照射される。半導体基板6の反射
光は光受光器42により受光される。
【0199】他方の温度測定系Bは、チャンバ43内の
ステージ44上に載置された半導体基板6の温度を測定
する。温度測定系Bは、搬送されて載置されたときに半
導体基板6の所定の測定点が位置する測定点の温度を測
定する。パルス状のレーザ光は、コリメート光学部45
により平行光線束とされ、半導体基板6に照射される。
半導体基板6の反射光は光受光器46により受光され
る。
【0200】このように温度測定系Aでは搬送中の半導
体基板6の所定の測定点の温度を測定し、温度測定系B
では処理中の半導体基板6の同一の測定点の温度を測定
する。本実施例では、図39(b)に示すように、両方
の温度測定系Aと温度測定系Bにおいて共通のレーザ光
源を用いる。半導体レーザ48にはパルス電源47が接
続されている。パルス電源47にはコンピュータ50が
接続されている。コンピュータ50によりパルス電源4
7から出力されるパルス電流が制御される。
【0201】半導体レーザ48から出射されたパルス状
のレーザ光は光分岐カプラ49により2つのレーザ光に
分岐される。分岐されたレーザ光は、温度測定系Aと温
度測定系Bに供給される。分岐されたレーザ光はそれぞ
れ温度測定系A、Bのコリメート光学部41、45によ
り平行光線束とされる。温度測定系A、Bの光受光器4
2、46は、それぞれ半導体基板6から反射された干渉
光を受光する。
【0202】温度測定系A、Bの光受光器42、46に
より受光された受光信号は、コンピュータ50に入力さ
れる。コンピュータ10は入力された受光信号から、反
射光による干渉光の強度変化を計算し、その計算結果に
基づいて測定温度と共に温度変化方向を決定する。次
に、本実施例の温度測定装置による温度測定方法につい
て図40及び図41を用いて説明する。
【0203】最初に、半導体基板6を搬送アーム40に
よりチャンバ43内に搬入する場合の動作について説明
する。まず、搬送アーム40上に搬送すべき半導体基板
6を載置する。温度測定系Aにより半導体基板6の測定
点の温度を測定する(図40(a))。次に、搬送アー
ム40により半導体基板6をチャンバ43内に搬入す
る。温度測定系Aにより搬送中の半導体基板6の温度を
測定する(図40(b))。
【0204】次に、搬送アーム40により搬入した半導
体基板6をチャンバ43内にステージ44上に載置す
る。温度測定系Aによる半導体基板6の温度測定を続行
しながら、半導体基板6がステージ44に載置される
と、温度測定系Bにより半導体基板6の温度測定を開始
する(図40(c))。温度測定系Bによる測定温度の
初期値を温度測定系Aによる測定温度により補正した
後、半導体基板6の温度測定は温度測定系Bに引き継が
れる。
【0205】次に、搬送アーム40をチャンバ43から
退出する(図40(d))。続いて、ステージ44上に
載置された半導体基板6に対して所定の処理がなされ
る。処理中は温度測定系Bにより引き続き半導体基板6
が温度測定される。このようにして、半導体基板6を搬
送アーム40によりチャンバ43に搬入される場合に
も、半導体基板6の所定の測定点の温度を連続して測定
することができる。
【0206】次に、半導体基板6を搬送アーム40によ
りチャンバ43から搬出する場合の動作について説明す
る。まず、チャンバ43内で半導体基板6が処理されて
いる間は、温度測定系Bにより、ステージ44に載置さ
れた半導体基板6の所定の測定点の温度が測定される
(図41(a))。
【0207】次に、搬送アーム40によりステージ44
上の半導体基板6が把持される。温度測定系Bによる半
導体基板6の温度測定を続行しながら、半導体基板6が
搬送アーム40により把持されると、温度測定系Aによ
り半導体基板6の温度測定を開始する(図41
(b))。温度測定系Aによる測定温度の初期値を温度
測定系Bによる測定温度により補正した後、半導体基板
6の温度測定は温度測定系Aに引き継がれる。
【0208】次に、搬送アーム40により半導体基板6
の搬出を開始し(図41(c))、半導体基板6はチャ
ンバ43内から搬出される(図41(d))。搬送中の
半導体基板6の温度は温度測定系Aにより引き続き測定
される。このようにして、半導体基板6を搬送アーム4
0によりチャンバ43から搬出する場合にも、半導体基
板6の所定の測定点の温度を連続して測定することがで
きる。
【0209】なお、図40及び図41に示す温度測定装
置では、温度測定系Aと温度測定系Bとは互いに測定系
の光路をさえぎらないように配置している。図42に、
本実施例による温度測定装置を、複数の処理室があるク
ラスタ装置に適用した場合について説明する。このクラ
スタ装置には、3の処理室51、52、53が設けられ
ている。これら処理室51、52、53は共通の真空室
54に接している。この真空室54に接してロードロッ
ク室55が更に設けられている。真空室54内には半導
体基板6を搬送するための搬送アーム56が設けられて
いる。半導体基板6は、搬送アーム56によりロードロ
ック室55を介して外部から搬入され、処理のため各処
理室51、52、53に取入れ、取出される。
【0210】搬送アーム56には、移動する半導体基板
6の測定点の温度測定ができる温度測定系Aが設けられ
ている。この温度測定系Aは、搬送アーム56の移動に
追随して常に半導体基板6の所定の測定点の温度を測定
する。各処理室51、52、53、ロードロック室55
には、固定した測定点の温度測定ができる温度測定系B
が設けられている。これら温度測定系Bは、処理室5
1、52、53、ロードロック室55に載置された半導
体基板6の測定点の温度を測定する。
【0211】このように、搬送アーム56に温度測定系
Aを設け、処理室51、52、53、ロードロック室5
5にそれぞれ温度測定系Bを設けておけば、半導体基板
6の動きに追随して連続した温度測定が可能となる。半
導体基板6が、外部からロードロック室55に取入れら
れると、当初はロードロック室55に設けられた温度測
定系Bにより温度測定される。続いて、搬送アーム56
によりロードロック室55から取出され、処理室51、
52、53に搬入されるまでは、搬送アーム56に設け
られた温度測定系Aにより温度測定される。半導体基板
6が処理室51、52、53で処理されている間は、処
理室51、52、53に設けられた温度測定系Bにより
温度測定される。処理室51、52、53間を移動して
いる間は、搬送アーム56に設けられた温度測定系Aに
より温度測定される。処理室51、52、53における
必要な処理が終了し、ロードロック室55から取出され
るまでは、ロードロック室55に設けられた温度測定系
Bにより温度測定される。
【0212】このようにして、クラスタ装置において半
導体基板が処理されている間、基板温度を連続して測定
することができる。なお、処理室、搬送アーム、ロード
ロック室には温度測定系を複数個接地してもよい。ま
た、他の原理による物理量を測定する装置を併用しても
よい。 [変形例]本発明は上記実施例に限らず種々の変形が可
能である。
【0213】例えば、上記実施例では半導体基板の温度
を測定したが、温度により厚さや誘電率が変化するもの
であれば、他の材料の基板でもよい。また、基板形状に
限らず、他の形状の被測定物でもよい。また、上記実施
例では被測定物の温度を測定したが、パルス状のレーザ
光の立ち上がり直後に発振される第1の波長を有する第
1のレーザ光と、それ以後に発振される第2の波長を有
する第2のレーザ光とを用いて測定するものであれば、
温度以外の物理量を測定する場合でもよい。
【0214】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、被測定物
にパルス状のレーザ光を照射し、前記パルス状のレーザ
光の立ち上がり直後に発振される第1の波長を有する第
1のレーザ光と、それ以後に発振される前記第1の波長
と異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを用いて
被測定物の物理量を測定するようにしているので、物理
量及びその変化方向を精度よく測定することができる。
【0215】また、本発明において、被測定物に対する
第1のレーザ光の反射光又は透過光による第1の干渉光
の強度の変化量、又は被測定物に対する第2のレーザ光
の反射光又は透過光による第2の干渉光の強度の変化量
に基づいて、被測定物の温度を測定するようにすれば、
被測定物の温度及びその変化方向を精度よく測定するこ
とができる。
【0216】また、本発明において、第1の干渉光又は
第2の干渉光の強度変化の方向と、第1の干渉光の強度
と第2の干渉光の強度の差に基づいて、被測定物の温度
が上昇中か下降中かを判断するようにすれば、被測定物
の温度及びその変化方向を精度よく測定することができ
る。また、本発明において、被測定物に照射するレーザ
光の発振強度を、被測定物の温度に基づいて変化するよ
うにすれば、高温まで被測定物の温度を測定することが
できる。
【0217】また、本発明によれば、被測定物に干渉性
のある光を照射し、被測定物を反射又は透過した干渉光
の強度に基づいて、被測定物の温度を測定する測定方法
において、温度測定前に、被測定物に対する干渉性のあ
る光の入射角を変化することにより、干渉光の強度の極
大値と極小値を予測する予測過程と、温度測定時に、測
定した干渉光の強度と、予測した極大値と極小値に基づ
いて被測定物の温度を測定する測定過程とを有するよう
にしているので、干渉光の強度の測定開始時から直ちに
温度測定することができる。
【0218】また、本発明によれば、パルス状のレーザ
光を発振し、パルス状のレーザ光の立ち上がり直後に発
振される第1の波長を有する第1のレーザ光と、それ以
後に発振される第2の波長を有する第2のレーザ光とを
被測定物に照射する照射手段と、第1のレーザ光と第2
のレーザ光とを用いて被測定物の物理量を測定する測定
手段とを設けたので、簡単な装置構成により、物理量の
変化方向を詳細に測定することができる測定装置を実現
できる。
【0219】また、本発明において、上記測定手段を、
被測定物に対する第1のレーザ光の反射光又は透過光に
よる第1の干渉光の強度の変化量、又は被測定物に対す
る第2のレーザ光の反射光又は透過光による第2の干渉
光の強度の変化量に基づいて、被測定物の温度を測定す
るようにすれば、簡単な装置構成により、温度及びその
変化方向を精度よく測定することができる測定装置を実
現できる。
【0220】また、本発明によれば、被測定物に干渉性
のある光を照射し、被測定物を反射又は透過した干渉光
の強度に基づいて、被測定物の温度を測定する測定装置
において、被測定物に照射する干渉性のある光の入射角
を変化する角度変化手段を有し、被測定物に干渉性のあ
る光を照射する照射手段と、温度測定前に、角度変化手
段により被測定物に対する干渉性のある光の入射角を変
化して、干渉光の強度の極大値と極小値を予測し、温度
測定時には、測定した干渉光の強度と、予測した前記極
大値と極小値に基づいて被測定物の温度を測定する測定
手段とを備えているので、干渉光の強度の測定開始時か
ら直ちに温度測定することができる測定装置を実現でき
る。
【0221】また、本発明において、角度変化手段とし
て、干渉性のある光を発生する光源の位置を変化するこ
とにより、被測定物に対する干渉性のある光の入射角を
変化するようにすれば、干渉条件を簡単に変更して干渉
光の強度の極大値と極小値を予測することができる。ま
た、本発明において、角度変化手段として、干渉性のあ
る光を発生する光源と被測定物との間の光路中に設けら
れ、被測定物に対する照射光を反射するミラーと、ミラ
ーによる反射光を屈折するレンズとを設け、ミラーを回
転することにより、被測定物に対する干渉性のある光の
入射角を変化するようにすれば、干渉条件を簡単に変更
して干渉光の強度の極大値と極小値を予測することがで
きる。
【0222】また、本発明において、照射手段を、被測
定物に照射するレーザ光の強度を、被測定物の温度に基
づいて変化するようにすれば、高温まで被測定物の温度
を測定することができる。また、本発明において、被測
定物が収納され、レーザ光を入射し、被測定物によるレ
ーザ光の反射光又は透過光を出射するための光学窓を有
する収納容器を更に設け、光学窓の少なくとも一面をパ
ルス状のレーザ光の光軸に対して傾けたので、その面に
おけるパルス状のレーザ光の反射光による光の干渉が生
じることがなく、精度よく物理量を測定することができ
る。
【0223】また、本発明によれば、移動する被測定物
上の第1の測定点の温度を測定する上述の第1の測定装
置と、被測定物が載置される載置位置に設けられ、被測
定物が載置されたときに第1の測定点が位置する近傍の
第2の測定点の温度を測定する上述の第2の測定装置
と、第1の測定装置の測定結果と第2の測定装置の測定
結果とが一致するように、いずれかの測定結果を補正す
る補正手段とを設け、被測定物が移動しているときは、
第1の測定装置により第1の測定点の温度を測定し、被
測定物が載置位置に載置されているときは、第2の測定
装置により第2の測定点の温度を測定し、移動する被測
定物が載置位置に停止したときには、補正手段により、
第2の測定装置の測定結果を第1の測定装置の測定結果
に一致するように補正し、被測定物が載置位置から移動
を開始するときには、補正手段により、第1の測定装置
の測定結果を第2の測定装置の測定結果に一致するよう
に補正するようにしたので、移動して処理される被測定
物の温度測定を連続して行うことができる。
【0224】また、本発明によれば、上述した測定方法
により半導体基板の温度を測定しながら、半導体基板に
対して、熱処理、イオン注入処理、エッチング処理、拡
散処理、前処理又は堆積処理等の所定の処理を行うこと
ができ、精度よく適切な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による温度測定装置の構成
図である。
【図2】被測定基板にパルス状のレーザ光を照射したと
きの干渉光強度の時間変化を示す波形である。
【図3】本発明の第1実施例の温度測定装置における測
定温度と干渉光強度の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施例の温度測定装置におけるパ
ルス状のレーザ光を用いた場合の波長変化と干渉光強度
の変化を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施例による温度測定装置の測定
原理の説明図である。
【図6】本発明の第1実施例による温度測定装置のアル
ゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施例による温度測定装置の測定
結果を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施例の温度測定装置における測
定温度と干渉光強度の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施例の温度測定装置におけるパ
ルス状のレーザ光を用いた場合の波長変化と干渉光強度
の変化を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施例による温度測定装置の測
定原理の説明図である。
【図11】本発明の第2実施例による温度測定装置のア
ルゴリズムを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図13】本発明におけるパルス状のレーザ光の限界を
測定する実験装置の構成図である。
【図14】図13の実験装置による測定結果を示すグラ
フである。
【図15】本発明の第4実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図16】本発明の第4実施例の温度測定装置による干
渉光強度と時間との関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第5実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図18】本発明の第6実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図19】本発明の第7実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図20】本発明の第8実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図21】本発明の第8実施例による温度測定装置の測
定原理の説明図である。
【図22】本発明の第8実施例の温度測定装置による干
渉光強度と入射角度との関係を示すグラフである。
【図23】本発明の第8実施例の温度測定装置における
干渉光強度と温度測定結果の関係を示すグラフである。
【図24】本発明の第8実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図25】本発明の第8実施例による温度測定装置の第
1変形例の構成図である。
【図26】本発明の第8実施例による温度測定装置の第
2変形例の構成図である。
【図27】本発明の第8実施例による温度測定装置の第
3変形例の構成図である。
【図28】本発明の第9実施例による温度測定装置の構
成図である。
【図29】本発明の第9実施例による温度測定装置の測
定結果を示すグラフである。
【図30】従来の温度測定装置の測定結果を示すグラフ
である。
【図31】本発明の第9実施例による温度測定装置の変
形例の構成図である。
【図32】本発明の第10実施例による温度測定装置の
構成図である。
【図33】本発明の第10実施例による温度測定装置の
測定結果を示すグラフである。
【図34】従来の温度測定装置の測定結果を示すグラフ
である。
【図35】本発明の第10実施例による温度測定装置の
第1変形例の構成図である。
【図36】本発明の第10実施例による温度測定装置の
第2変形例の構成図である。
【図37】本発明の第10実施例による温度測定装置の
第3変形例の構成図である。
【図38】本発明の第10実施例による温度測定装置の
第4変形例の構成図である。
【図39】本発明の第11実施例による温度測定装置の
構成図である。
【図40】本発明の第11実施例の温度測定装置による
温度測定方法の説明図である。
【図41】本発明の第11実施例の温度測定装置による
温度測定方法の説明図である。
【図42】本発明の第11実施例による温度測定装置を
適用したクラスタ装置の構成図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ 2…光ファイバ 3…コリメート光学部 4…チャンバ 5…ヒータ 6…被測定基板 7…光受光器 8…データ信号線 9…A/D変換ユニット 10…コンピュータ 11…パルス電源 11a,11b…光学窓 12a,12b…光学窓 13…凸レンズ 14…ミラー 15、16…凸レンズ 17…ダイオードアレイ 20…半導体レーザ 21…パルス電源 22…コンピュータ 23…光分岐カプラ 24、25…コリメート光学部 26、27…光受光器 28…シリコン基板 29…オシロスコープ 30…熱電対 31…熱電対測定回路 32…減光板 33…ビームスプリッタ 40…搬送アーム 41…コリメート光学部 42…光受光器 43…チャンバ 44…ステージ 45…コリメート光学部 46…光受光器 47…パルス電源 48…半導体レーザ 49…光分岐カプラ 50…コンピュータ 51、52、53…処理室 54…真空室 55…ロードロック室 56…搬送アーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芹沢 晴彦 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−251397(JP,A) 特開 昭63−79339(JP,A) 特開 昭63−271127(JP,A) 特開 平3−96247(JP,A) 特開 平3−216526(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 11/12 H01L 21/66 G01J 5/08

Claims (38)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物にレーザ光を照射して、前記被
    測定物の温度の変化量を測定する測定方法において、 前記被測定物にパルス状のレーザ光を照射し、 前記パルス状のレーザ光の立ち上がり後に発振される第
    1の波長を有する第1のレーザ光と、それ以後に発振さ
    れる前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の
    レーザ光とを用い、 前記被測定物に対する前記第1のレーザ光の反射光又は
    透過光による第1の干渉光の強度の変化量、及び前記被
    測定物に対する前記第2のレーザ光の反射光又は透過光
    による第2の干渉光の強度の変化量に基づいて、前記被
    測定物の温度の変化量を測定することを特徴とする測定
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の測定方法において、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度変化の方
    向と、前記第1の干渉光の強度と前記第2の干渉光の強
    度の差に基づいて、前記被測定物の温度が上昇中か下降
    中かを判断することを特徴とする測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の測定方法におい
    て、 前記第1のレーザ光の第1の波長が、前記第2のレーザ
    光の第2の波長より短い特性を有する半導体レーザを用
    い、温度の変化方向を測定することを特徴とする測定方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の測定方法において、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が増加し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が下降中であると判断し、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が上昇中であると判断することを特徴とす
    る測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の測定方法におい
    て、 前記第1のレーザ光の第1の波長が、前記第2のレーザ
    光の第2の波長より長い特性を有する半導体レーザを用
    い、温度の変化方向を測定することを特徴とする測定方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の測定方法において、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が増加し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が上昇中であると判断し、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が下降中であると判断することを特徴とす
    る測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の測定
    方法において、 前記第2の干渉光の第2の波長をλ、前記被測定物の厚
    さをd、屈折率をnとした場合、前記第1の干渉光の第
    1の波長と前記第2の干渉光の第2の波長との差Δλ
    は、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足することを特徴とする測定方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の測定
    方法において、 前記第1のレーザ光は、前記パルス状のレーザ光の立上
    がり後、約0.5msec以内に発振されるレーザ光で
    あることを特徴とする測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の測定
    方法において、 温度測定前に、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光
    の強度の極大値と極小値を予測する予測過程と、 温度測定時に、測定した前記第1の干渉光又は前記第2
    の干渉光の強度と、予測した前記極大値と極小値とに基
    づいて前記被測定物の温度の変化量を測定する測定過程
    とを有することを特徴とする測定方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の測定方法において、 前記予測過程は、前記被測定物に対する前記第1の干渉
    光又は前記第2の干渉光の入射角を変化することによ
    り、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度の極
    大値と極小値を予測することを特徴とする測定方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の測定方法において、 前記予測過程における照射角の変化角度は、前記第1の
    干渉光又は前記第2の干渉光の強度の少なくとも極大値
    と極小値が1組得られる角度であることを特徴とする測
    定方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の測定方法において、 照射する前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の波長
    をλ、照射角度をθ、前記被測定物の厚さをd、屈折率
    をnとした場合、前記予測過程における照射角の変化角
    度Δθは、次式 Δθ≧ sin-1[n2 −[(n2 − sin2θ)1/2 −λ/4d}21/2 −θ を満足することを特徴とする測定方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のいずれかに記載の
    測定方法において、 前記被測定物に照射するレーザ光の発振強度を、前記被
    測定物の温度に基づいて変化することを特徴とする測定
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の測定方法において、 前記被測定物の温度が上昇時は、前記被測定物に照射す
    るレーザ光の強度を一定又は増加し、前記被測定物の温
    度が下降時は、前記被測定物に照射するレーザ光の強度
    を一定又は減少することを特徴とする測定方法。
  15. 【請求項15】 請求項13又は14記載の測定方法に
    おいて、 前記被測定物に照射するレーザ光の発振強度を、前記被
    測定物の温度に基づいて減光することを特徴とする測定
    方法。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至15のいずれかに記載の
    測定方法において、 測定光路中に1枚又は複数枚の光
    学窓が設けられ、 前記各光学窓内での内部反射による光の干渉、又は前記
    光学窓間での反射による光の干渉が生じないように、前
    記光学窓の面は前記照射光の光軸に対して傾いているこ
    とを特徴とする測定方法。
  17. 【請求項17】 被測定物にレーザ光を照射して、前記
    被測定物の温度の変化量を測定する測定装置において、 パルス状のレーザ光を発振し、前記パルス状のレーザ光
    の立ち上がり後に発振される第1の波長を有する第1の
    レーザ光と、それ以後に発振される前記第1の波長と異
    なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを前記被測定
    物に照射する照射手段と、 前記照射手段から照射される前記第1のレーザ光と前記
    第2のレーザ光とを用い、前記被測定物に対する前記第
    1のレーザ光の反射光又は透過光による第1の干渉光の
    強度の変化量、及び前記被測定物に対する前記第2のレ
    ーザ光の反射光又は透過光による第2の干渉光の強度の
    変化量に基づいて、前記被測定物の温度の変化量を測定
    する測定手段とを備えたことを特徴とする測定装置。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の測定装置において、 前記測定手段は、前記第1の干渉光又は前記第2の干渉
    光の強度変化の方向と、前記第1の干渉光の強度と前記
    第2の干渉光の強度の差に基づいて、前記被測定物の温
    度が上昇中か下降中かを判断することを特徴とする測定
    装置。
  19. 【請求項19】 請求項17又は18記載の測定装置に
    おいて、 前記照射手段は、前記第1のレーザ光の第1の波長が前
    記第2のレーザ光の第2の波長より短い特性を有する半
    導体レーザを有し、温度の変化方向を測定できることを
    特徴とする測定装置。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の測定装置において、 前記測定手段は、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が増加し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が下降中であると判断し、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が上昇中であると判断することを特徴とす
    る測定装置。
  21. 【請求項21】 請求項16乃至18のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記照射手段は、前記第1のレーザ光の第1の波長が前
    記第2のレーザ光の第2の波長より長い特性を有する半
    導体レーザを有し、温度の変化方向を測定できることを
    特徴とする測定装置。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の測定装置において、 前記測定手段は、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が増加し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が下降中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が上昇中であると判断し、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の強度が減少し
    ている時点において、前記第1の干渉光の強度が前記第
    2の干渉光の強度よりも大きい場合は、前記被測定物の
    温度が上昇中であると判断し、前記第1の干渉光の強度
    が前記第2の干渉光の強度よりも小さい場合は、前記被
    測定物の温度が下降中であると判断することを特徴とす
    る測定装置。
  23. 【請求項23】 請求項16乃至22のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記照射手段は、前記第2の干渉光の第2の波長をλ、
    前記被測定物の厚さをd、屈折率をnとした場合、前記
    第1の干渉光の第1の波長と前記第2の干渉光の第2の
    波長の差Δλが、次式 |Δλ|<λ2 /(2nd+λ) を満足することを特徴とする測定装置。
  24. 【請求項24】 請求項17乃至23のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記照射手段は、前記被測定物に照射する前記第1の干
    渉光又は前記第2の干渉光の入射角を変化する角度変化
    手段を有し、 前記測定手段は、温度測定前に、前記角度変化手段によ
    り前記被測定物に対する前記第1の干渉光又は前記第2
    の干渉光の入射角を変化して、前記第1の干渉光又は前
    記第2の干渉光の強度の極大値と極小値を予測し、温度
    測定時には、測定した前記第1の干渉光又は前記第2の
    干渉光の強度と、予測した前記極大値と極小値に基づい
    て前記被測定物の温度の変化量を測定することを特徴と
    する測定装置。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の測定装置において、 前記角度変化手段による照射角の変化角度は、前記第1
    の干渉光又は前記第2の干渉光の強度の少なくとも極大
    値と極小値が1組得られる角度であることを特徴とする
    測定装置。
  26. 【請求項26】 請求項25記載の測定装置において、 前記角度変化手段による照射角の変化角度Δθは、照射
    する前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の波長を
    λ、照射角度をθ、前記被測定物の厚さをd、屈折率を
    nとした場合、次式 Δθ≧ sin-1[n2 −[(n2 − sin2θ)1/2 −λ/4d}21/2 −θ を満足することを特徴とする測定装置。
  27. 【請求項27】 請求項24乃至26のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記角度変化手段は、前記第1の干渉光又は前記第2の
    干渉光を発生する光源の位置を変化することにより、前
    記被測定物に対する前記第1の干渉光又は前記第2の干
    渉光の入射角を変化することを特徴とする測定装置。
  28. 【請求項28】 請求項24乃至26のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記角度変化手段は、 前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光を発生する光源
    と前記被測定物との間の光路中に設けられ、前記被測定
    物に対する照射光を反射するミラーと、 前記ミラーにより反射された光を屈折するレンズとを有
    し、 前記ミラーを回転することにより、前記被測定物に対す
    る前記第1の干渉光又は前記第2の干渉光の入射角を変
    化することを特徴とする測定装置。
  29. 【請求項29】 請求項16乃至28のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記照射手段は、前記被測定物に照射するレーザ光の強
    度を、前記被測定物の温度に基づいて変化できることを
    特徴とする測定装置。
  30. 【請求項30】 請求項29記載の測定装置において、 前記照射手段は、前記被測定物の温度が上昇時は、前記
    被測定物に照射するレーザ光の強度を一定又は増加し、
    前記被測定物の温度が下降時は、前記被測定物に照射す
    るレーザ光の強度を一定又は減少することを特徴とする
    測定装置。
  31. 【請求項31】 請求項29又は30記載の測定装置に
    おいて、 前記照射手段は、前記レーザ光を減光する減光手段を有
    し、前記被測定物の温度に応じて前記被測定物に照射す
    るレーザ光を減光することを特徴とする測定装置。
  32. 【請求項32】 請求項16乃至31のいずれかに記載
    の測定装置において、 前記被測定物に照射する照射光を入射し、前記被測定物
    による前記照射光の反射光又は透過光を出射するための
    光学窓を有し、前記被測定物が収納される収納容器を更
    に備え、 前記各光学窓内での内部反射による光の干渉、又は前記
    光学窓間での反射による光の干渉が生じないように、前
    記光学窓の面は前記照射光の光軸に対して傾いているこ
    とを特徴とする測定装置
  33. 【請求項33】 移動する被測定物上の第1の測定点の
    温度を測定する請求項16乃至32のいずれかに記載の
    第1の測定装置と、 前記被測定物が載置される載置位置に設けられ、前記被
    測定物が載置されたときに前記第1の測定点が位置する
    近傍の第2の測定点の温度を測定する請求項16乃至3
    2のいずれかに記載の第2の測定装置と、 前記第1の測定装置による測定結果を前記第2の測定装
    置による測定結果の初期値として設定するか、前記第1
    の測定装置による測定結果に基づいて前記第2の測定結
    果を補正する設定補正手段とを備えたことを特徴とする
    測定装置。
  34. 【請求項34】 移動する被測定物上の第1の測定点の
    温度を測定する請求項16乃至32のいずれかに記載の
    第1の測定装置と、 前記被測定物が載置される載置位置に設けられ、前記被
    測定物が載置されたときに前記第1の測定点が位置する
    近傍の第2の測定点の温度を測定する請求項16乃至3
    2のいずれかに記載の第2の測定装置と、 前記第2の測定装置による測定結果を前記第1の測定装
    置による測定結果の初期値として設定するか、前記第2
    の測定装置による測定結果に基づいて前記第1の測定結
    果を補正する設定補正手段とを備えたことを特徴とする
    測定装置。
  35. 【請求項35】 請求項33又は34記載の測定装置に
    おいて、 前記第1の測定装置と前記第2の測定装置に共通のレー
    ザ光源と、 前記レーザ光源から出射されるレーザ光を分岐する分岐
    手段とを備え、 前記第1の測定装置は、前記分岐手段により分岐された
    一方のレーザ光が入射するように配置され、 前記第2の測定装置は、前記分岐手段により分岐された
    他方のレーザ光が入射するように配置されていることを
    特徴とする測定装置。
  36. 【請求項36】 請求項33乃至35のいずれかに記載
    の測定装置を用いた測定方法であって、 前記被測定物が移動しているときは、前記第1の測定装
    置により前記第1の測定点の温度を測定し、 前記被測定物が前記載置位置に載置されているときは、
    前記第2の測定装置により前記第2の測定点の温度を測
    定し、 移動する前記被測定物が前記載置位置に停止したときに
    は、前記設定補正手段により、前記第2の測定装置の測
    定結果を前記第1の測定装置の測定結果に一致するよう
    に補正し、 前記被測定物が前記載置位置から移動を開始するときに
    は、前記設定補正手段により、前記第1の測定装置の測
    定結果を前記第2の測定装置の測定結果に一致するよう
    に補正することを特徴とする測定方法。
  37. 【請求項37】 請求項1乃至16及び請求項36のい
    ずれかに記載の測定方法により、半導体基板の温度を測
    定しながら、前記半導体基板に対して所定の処理を行う
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項37記載の半導体装置の製造方
    法において、 前記所定の処理は、熱処理、イオン注入処理、エッチン
    グ処理、拡散処理、前処理又は堆積処理であることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
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