JP3382623B2 - 血管弛緩剤の組成物 - Google Patents

血管弛緩剤の組成物

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ナク ドゥー キム
ジョン イル パク
ジョン ムン キム
スー ヨン カン
ワン ユー キム
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チェイルジェダン ジュシッケサ
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は薬用人蔘の特定の有効成分を活性成分として
含有する血管弛緩剤の組成物に関するものである。より
具体的には、本発明は薬用人蔘のサポニン系成分の中の
一つであるジンセノサイドRg3及び/又はRg5を活性成分
として含有する血管弛緩剤の組成物に関するものであ
る。
背景技術 薬用人蔘は古来から最も代表的な滋養強壮剤として広
く用いられており、最近にはその成分と薬効に関する多
数の研究結果が報告されてその神秘な薬効が現代科学の
脚光を浴びている。
一般的に薬用人蔘は栽培して採取したままの水蔘、水
蔘を常温で乾燥させた白蔘、また、水蔘を98〜100℃で
加熱処理して製造される紅蔘の形態で用いられている。
この中で特に紅蔘は白蔘より薬効が遥かに優れているも
のとして知らされているが、最近に至って紅蔘の特異性
成分に関する研究が活発に進められている。これらの成
分は紅蔘を製造する過程で生成されるものであり、紅蔘
の優れた薬効について説明できる成分として評価されて
いる。
発明の開示 従って、本発明者らは、紅蔘の特異性成分を増加さ
せ、薬用人蔘の薬効を強化することのできる手段を研究
してきたところ、その結果、薬用人蔘を110〜180℃の高
温で0.5〜20時間加熱して処理すれば既存の水蔘や白蔘
又は紅蔘より薬効が遥かに増強された加工人蔘が製造さ
れることを見い出した。かかる加工人蔘に存在する種々
の成分を分離してその薬効を検証する過程で本発明者ら
は白蔘や紅蔘には全く存在しなかったり、極微量のみ存
在する成分で今までは薬効が殆ど知らされていなかった
ジンセノサイドRg3及びRg5が優れた血管弛緩効果を有す
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は活性成分としてジンセノサイド
Rg3及び/又はRg5を含有する血管弛緩剤の組成物に関す
るものである。
図面の簡単な説明 以下、本発明の特質及び目的を理解するために添付図
面を参照して詳細に説明する。
第1図は、ジンセノサイドRg3を内皮存在下で単独投
与したときの血管弛緩効果(−●−)を、内皮を除去し
て投与したとき(−○−)、内皮存在下でRg3を10-6Mの
メチレンブルー(MB)と併用投与したとき(−△−)、
及び、10-6MのL−ニトロアルギニン(L−NLA)と併用
投与したとき(−▲−)の血管弛緩効果を比較して表し
たグラフである。
第2図は、本発明の実施例7で製造した加工パナクス
サジオル系サポニン分画を内皮存在下で投与したとき
(−●−)及び内皮を除去して投与したとき(−○−)
の血管弛緩効果を比較して表したグラフである。
第3図は、HUVEC細胞に対するジンセノサイドRg3と溶
媒に用いたジメチルスルホキシド(DMSO)の細胞毒性の
実験結果を表したグラフで、細胞にDMSOを加えて培養し
たとき(−○−)及びジンセノサイドRg3をDMSOに溶解
した溶液を加えて培養したとき(−▼−)の細胞の生存
率を比較して表したグラフである。
第4図は、ジンセノサイドRg5を内皮存在下で単独投
与したときの血管弛緩効果と(−○−)、内皮除去して
投与したときの(−■−)、内皮存在下で10-6Mのメチ
レンブルー(MB)と併用投与したとき(−▼−)、及
び、10-6MのL−ニトロアルギニン(L−NLA)と併用投
与したとき(−△−)の血管弛緩効果を比較して表した
グラフである。
第5図は、HUVEC細胞に対するジンセノサイドRg5と溶
媒に用いたジメチルスルホキシド(DMSO)の細胞毒性の
実験結果を表したグラフで、細胞にDMSOを加えて培養し
たとき(−●−)及びジンセノサイドRg5をDMSOに溶解
した溶液を加えて培養したとき(−■−)の細胞の生存
率を比較して表したグラフである。
発明を実施するための最善の態様 本発明の組成物(剤組成物)で活性成分として用いら
れるジンセノサイドRg3及びRg5は、次のような構造式を
有するサポニン化合物で、本発明では純粋なジンセノサ
イドRg3及び/又はRg5を用いたり、又は、ジンセノサイ
ドRg3及び/又はRg5成分が強化された加工人蔘又はその
抽出物を用いたりすることもできる。
本発明の組成物において、ジンセノサイドRg3及び/
又はRg5を含有する加工人蔘抽出物を活性成分として用
いる場合には、抽出物の中のRg3及び/又はRg5の含量は
少なくとも10%(w/w)であるものが好ましい。これ
は、Rg3及び/又はRg5含量が10%未満の場合には目的と
する血管弛緩効果を充分に得るため、余りにも多量の人
蔘抽出物が用いなければならないからである。
本発明の組成物の成分である純粋なジンセノサイドRg
3及び/又はRg5、またはジンセノサイドRg3及び/又はR
g5が強化された人蔘抽出物は、人蔘又は人蔘葉などを高
温で加熱処理して得られた加工人蔘、又は人蔘抽出物の
酸加水分解物から収得することができる。
ジンセノサイドRg3及び/又はRg5が強化された人蔘抽
出物は、人蔘サポニンを含有するパナクス属食物、例え
ばパナクス人蔘(Panax ginseng)、パナクスノト人蔘
(Panax notoginseng)、パナクスクィンクェホリウム
(Panax quinquefolium)、パナクスヤポニクス(Pana
x Japonicus)などや、またはこれら植物の葉っぱ、こ
れら植物の組織培養物、またはこれらの水並びに低級ア
ルコールによる抽出物を、110〜180℃の温度で0.5〜20
時間加熱処理して収得された加工人蔘を水または適切な
有機溶媒、例えばメタノール、エタノールまたはこれら
の混合溶媒で抽出した後、抽出物を減圧下で濃縮させ、
水で懸濁させた後、非極性の有機溶媒、例えばヘキサ
ン、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチル
アセテートまたはこれらの混合溶媒で抽出した後、残り
の水層をブタノールのような極性有機溶媒で抽出し、こ
の抽出物をクロマトグラフィーすることによってRg3
びRg5を含有する分画を得たり、Rg3及びRg5を同時に含
有する分画を収得したりすることができる。この際、ク
ロマトグラフィーを繰り返して行えばジンセノサイドRg
3及び/又はRg5の含有量をさらに高めることができ、含
量が高まった分画を適切な溶媒系、例えば水、低級アル
コール、低級ケトン、クロロホルムまたはこれらの混合
溶媒のような溶媒系で結晶化させると純粋なジンセノサ
イドRg3又はRg5を収得することができる。この方法では
人蔘を加熱処理する過程で人蔘の中に存在するパナクサ
ジオル系サポニンであるジンセノサイドRa、Rb1、Rb2
Rc、Rdの20番炭素に結合する糖が分離されることによっ
て目的とするジンセノサイドRg3が生成され、Rg3が継続
的に脱水反応を起こして20番位置に2重結合が生成され
ることによってRg5が生成される。場合によっては上記
の過程で加熱処理する段階と有機溶媒の抽出段階を変え
て行ったり、高温で加熱処理する代わりに温和な条件下
で、例えば、30〜100℃で、好ましくは70℃で加熱しな
がら酸、例えば塩酸、硝酸、過塩素酸などのような希無
機酸、または、酢酸、酒石酸、シュウ酸などのような低
級有機酸で酸処理して行ったりする場合にも同様の結果
を得ることができる。
また、上記の過程で人蔘の代わりに公知のジンセノサ
イド化合物Ra、Rb1、Rb2、Rc、Rdなどの成分またはこれ
らの分画を直接上記したような方法で加熱したり、酸加
水分解したりしても同様の結果が得られる。
一方、Rg3及び/又はRg5を含有する人蔘抽出物を製造
する場合、人蔘を加熱する前に有機溶媒、例えばメタノ
ール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶媒、
エーテル溶媒、またはこれらの混合溶媒で抽出して望ま
しくない成分であるパナクサジオル系サポニン成分を除
去するし、パナクサジオル系サポニン成分を高濃縮で含
有する分画を得て、これを上述と同様の方法で加熱処理
することによってRg3及び/又はRg5を多量に含有して望
まないパナクサジオル系サポニン成分を含有しない加工
パナクサジオル系サポニン分画を収得して、これをR
g3、及び/又はRg5を含有する加工人蔘抽出物として用
いることもできる。
本発明に伴う活性成分としてジンセノサイドRg3及び
/又はRg5を含有する組成物は強力な血管弛緩効果を有
しており、循環器系の障害による高血圧、動脈硬化、血
液循環障害、糖尿病、性機能障害、記憶力障害などの疾
患に対する予防及び治療剤として有用に用いることがで
きる。
このような目的で臨床的に用いるとき、本発明の組成
物は薬剤学的な分野で通常の担体といっしょに配合して
薬剤学的な分野で通常の製剤、例えば錠剤、カプセル
剤、トローチ剤、液剤、懸濁液などの経口投与用の製
剤、注射用溶液若しくは懸濁液、または注射時に、注射
用蒸留水で再製造して用いることのできる用時使用形の
注射用乾燥粉末などの形態である注射用製剤、軟膏剤、
クリーム剤、液剤などの局所適用な製剤などの多様な剤
型に製剤化することができる。
本発明の組成物で用いられる担体は、薬剤学的な分野
で通常のものであり、例えば経口投与用製剤の場合には
結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、
安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などがあって、注射剤
の場合には保存剤、無痛化剤、可溶化剤、安定化剤など
があり、局所投与用製剤の場合には基剤、賦形剤、潤滑
剤、保存剤などがある。こうして製造された薬剤学的な
製剤は経口的に投与したり、非経口的に、例えば静脈
内、皮下、腹腔内投与または局所適用したりすることが
できる。また経口投与のとき、薬剤が胃酸によって分解
されることを防止するために制酸剤を併用したり、錠剤
などの経口投与用の固形製剤を腸溶性被膜でコーティン
グした製剤にして投与することもできる。
本発明に伴うジンセノサイドRg3及び/又はRg5の人体
に対する投与量は、体内での活性成分の吸収度、不活性
化率及び排泄速度、患者の年齢、性別及び状態、治療す
る疾病の重症度などによって適切に選択されるが、一般
的には成人に1日に5〜500mg、好ましくは10〜200mgの
量が投与されるようにする。従って、本発明の組成物を
単位投与形に製造するとき、各々の単位投与形は上述の
有効容量の範囲を考慮してジンセノサイドRg3及び/又
はRg5を5〜500mg、好ましくは10〜200mg含有するよう
に剤形化させることができる。こうして製剤化された単
位投与形は必要によって薬剤の投与を監視したり、観察
する専門家の判断と個人の要求によって専門化された投
薬法を用いたり、一定時間の間隔で数回、好ましくは1
〜6回分割投与することができる。
本発明に伴う組成物の活性成分であるジンセノサイド
Rg3及びRg5は後述する実験結果から立証されるような血
管内皮に対する損傷なく血管を弛緩させる作用を示すの
で、溶血や魚に対する毒(toxity against fishes)な
どの副作用がないのみならず、実験動物に対して急性毒
性を表さないので安全に用いることができる。
本発明は以下の実施例、実験例及び組成物例によって
さらに詳しく説明されるが、本発明がこれらによって何
ら制限されるものではない。
実験例1:ジンセノサイドRg3を含有する人蔘抽出物の製
造 密閉された容器に人蔘100gを入れて、130℃で2時間
加熱処理した。この加工人蔘をメタノール200mlで抽出
してメタノール抽出物を得てメタノールを蒸発させて除
去した後、残りの残渣を水100mlで懸濁させ、エーテル1
00mlずつ3回抽出した後、残りの水層を水で飽和された
ブタノールを100mlずつ3回抽出してサポニンが含有さ
れたブタノール抽出液を得た。このブタノール抽出液を
乾燥して酢酸メチル/メタノール/水(20:1:1)の混合
溶媒を溶出剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーさせて目的とするジンセノサイドRg3を60%含
有する分画1.5gを収得した。
実施例2:ジンセノサイドRg5を含有する人蔘抽出物の製
造 実施例1と同様にして、目的とするジンセノサイドRg
5を50%含有する分画1.0gを収得した。
実施例3:ジンセノサイドRg3を含有する人蔘抽出物の製
造 乾燥された尾蔘1Kgにメタノール2Lを加えて4時間還
流させて抽出し、濾過して収得した人蔘エキスを減圧下
で乾燥させた。収得したシロップ状の人蔘抽出物を加圧
減菌器に入れ、120℃で4時間加熱した。加熱処理され
た人蔘抽出物を実施例1と同様な方法でシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにかけ、目的とするジンセノサイ
ドRg3を65%含有する分画20gを分離して収得した。
実施例4:ジンセノサイドRg5を含有する人蔘抽出物の製
造 実施例3と同様にして、目的とするジンセノサイドRg
5を60%含有する分画10gを収得した。
実施例5:ジンセノサイドRg3を含有する人蔘抽出物の製
造 白蔘1Kgにメタノール2Lを加えて4時間還流抽出し、
濾過して収得した人蔘エキスを減圧下で乾燥させた。収
得したシロップ状の人蔘抽出物を公知の方法[参照:薬
学会誌第35巻5号、PP432−437、1991]によって酸処理
した。より具体的に、人蔘抽出物を水/酢酸(1:1)混
合溶媒1lに溶解させて70℃で2時間攪拌しながら、加熱
した後、溶媒を除去して得た酸処理された人蔘抽出物を
実施例1と同様な方法でシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにかけ、目的とするジンセノサイドRg3を72%含
有する分画20gを分離して収得した。
実施例6:ジンセノサイドRg5を含有する人蔘抽出物の製
造 実施例5と同様にして、目的とするジンセノサイドRg
5を60%含有する分画10gを収した。
実施例7:加工パナクスサジオル系サポニン分画の製造 人蔘IKgをメタノール200mlで抽出してメタノール抽出
物を得、メタノールを蒸発させ除去した後、残りの残渣
を水100mlで懸濁させ、エーテル100mlずつ3回抽出し
た。酢酸エチル:ブタノール=10:1混合溶媒で3回抽出
し、残りの水層を再びブタノール100mlで3回抽出して
パナクスサジオル系サポニン分画を得た。このパナクス
サジオル系サポニン分画の実施例1と同様な方法で130
℃で3時間加熱処理して加工パナクスサジオル系サポニ
ン分画およそ40gを収得した。
実施例8:ジンセノサイドRg3の製造 上記の実施例3で収得したジンセノサイドRg3含有分
画1gを、酢酸エチル/メタノール/水(20:1:1)の混合
溶媒を溶出剤として用い、実施例1と同様な方法でシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーを繰り返し行い、目的
とするジンセノサイドRg3を92%含有する分画500mgを収
得した。収得されたジンセノサイドRg3含有分画をメタ
ノールと酢酸エチルの混合溶媒から再結晶化させて、目
的とするジンセノサイドRg3およそ400mlを収得した。
収得したジンセノサイドRg3は文献[参照:日本薬学
雑誌,103(6)、PP612−622、1983、または、薬学会誌
第35巻5号、PP432−437、1991]に公知されたものと一
致する13C−NMRスペクトル及び質量スペクトルを示す。
即ち、収得したジンセノサイドRg3およそ10mgをピリジ
ン−d6(99.5%)600μlに溶解させ、炭素核磁気共鳴
スペクトルを測定すると、特徴的なRg3のピークを表
す。また、ジンセノサイドRg3の質量スペクトル(FAB
+)は、785(「M+H])や807([M+Na])の
分子イオンピークを表す。
実施例9:ジンセノサイドRg5の製造 上記の実施例4で収得したジンセノサイドRg5含有分
画1gに対して実施例8と同様にして、Rg5をおよそ90%
含有する分画200mg収得し、収得されたジンセノサイドR
g5含有分画をメタノール及び酢酸エチル混合溶媒から再
結晶化させて、目的とするジンセノサイドR86をおよそ1
59mgを収得した。
取得したジンセノサイドRg5は次のような特性を表
す。
MS(FAB+、m/z):789[M+Na])、805[M+K]
13 C−NMR(ppm、ピリジン−d5):δ13.0、16.0、16.
5、16.6、17.0、17.8、18.5、25.8、26.7、27.0、27.
4、28.1、32.3、32.6、35.3、37.0、39.2、39.7、40.
2、50.5、50.9、51.2、56.4、62.6、71.4、72.4、72.
6、77.2、77.9、78.1、78.3、83.5、88.9、105.2、106.
1、123.5、124.6、131.2、140.2 実験例1:ジンセノサイドRg3及び/又はRg5の血管弛緩作
用 血管内の内皮は血流及び血管の緊張度を調節して血小
板凝集を抑制するなど体内恒常性の維持に非常に重要な
役割を果たしている。特に、血管の内皮はEDRF(endoth
elium−derived relaxing factor内皮遊離因子)、即
ち、一酸化窒素(NO)を遊離し、一酸化窒素は血管平滑
筋に作用して可溶性グアニレートサイクラーゼを活性化
し、組織内サイクリックGMPを増加させ、血管を弛緩さ
せることで知らされている。高血圧、高コレステロール
血症などの循環器系の疾患によって内皮の機能が損傷さ
れれば一酸化窒素の遊離が減少され、正常的な血管調節
機能が損失される。ところが、殆どのサポニン成分らは
内皮細胞まで破壊しながら血管弛緩作用を表し、溶血や
魚に対する毒性などの深刻な副作用を現すので好ましく
はなかった。従って、内皮に対する損傷がなく、血管に
対する弛緩作用を表す成分が必要である。
本発明者らは、ジンセノサイドRg3及びRg5が通常のサ
ポニン成分とは異なる強力な内皮依存性血管弛緩作用を
表すことを確認し、以下ではこれを実験的に立証する。
1.実験方法: 300〜400gのスプラグードウーリ(Sprague−Dowley:S
D)ラットの胸部大動脈を迅速に摘出し、クレプスーリ
ンガー重炭酸ナトリウム溶液(対照溶液、NaCl118.3:KC
l 4.7:MgSO21.2:KH2PO41.2:CaCl22.5:NaHCO32.5:CaEDT
A O.016:ブドウ糖11.1mM)に移した。
内部の血液と血管周囲の脂肪およそ2〜3mmの長さで
大動脈をつくり、pH7.4の対照溶液で張られた25ml臓器
チャンバーへ垂直に懸垂した。一部の大動脈環は内部に
ピンセットを入れて紙タオルの上で7〜8回転がせ、内
皮細胞を除去した血管で用いた。大動脈環の下部は臓器
チャンバーに固定させて上部は鎧子を通じて等尺性張力
の記録のためにトランスデュサーカップラー(transduc
er coupler)に連結した。
臓器チャンバーにフェニルフェリン(phenylephrin
e)10-6Mを加えて安定された収縮を示す大動脈環に、ジ
ンセノサイドRg3又はRg5のジメチルスルホキサイド溶液
を単独に、またはメチレンブルー(MB)10-6MまたはL
−ニトロアルキニン(L−NLA)10-6Mといっしょに加え
て血管弛緩作用を観察した。フェニルエプリン10-6Mに
よる収縮度を100%にし、これを基準にジンセノサイドR
g3又はRg5による弛緩度を%で表した。
2、実験結果: 第1図及び4図に図示したようにジンセノサイドRg3
及びRg5は各々内皮に存在する血管を濃度依存的に弛緩
させた。ところが、内皮を除去した血管に対しては作用
を表さず、一酸化窒素合成酵素の阻害剤であるL−ニト
ロアルキニン(L−NLA)及び可溶性グアニルレートサ
イクラゼ抑制剤であるメチレンブルー(MB)によってジ
ンセノサイドRg3又はRg5の血管弛緩作用は意味深長に抑
制された。
このような結果からジンセノサイドRg3及びRg5は、内
皮細胞のある血管でのみ、弛緩作用を表すことがわか
る。従って、ジンセノサイドRg3及びRg5は内皮細胞まて
破壊する他のサポニン成分とは異なって溶血作用な魚毒
性などの副作用を表さない安全な医薬成分であることが
わかる。
実験例2:加工サポニン分画の血管弛緩作用 1.実験方法: 前述の実施例7で収得した加エパナクスサジオル系サ
ポニン分画に対して実験例1の実験方法と同様な方法で
血管弛緩作用を測定した。
2、実験結果: 第2図に図示したように加工パナクスサジオル系サポ
ニン分画は内皮が存在する血管を濃度依存的に弛緩させ
た。ところが、内皮を除去した血管に対しては作用を表
さなく、一酸化窒素合成酵素の阻害剤であるニトロ−L
−アルキニン及び可溶性グアニルレートサイクラゼ抑制
剤であるメチレンブルー(MB)によって皿管弛緩作用は
顕著に抑制された。
このような結果から実施例7で収得された加工パナク
スサジオル系サポニン分画は内皮細胞のある血管での
み、血管弛緩作用を表すことがわかる。従って、加工パ
ナクスサジオル系サポニン分画は内皮細胞まで破壊する
他のサポニン成分とは異なって溶血作用や魚毒性などの
副作用を表さない安全な医薬成分であることがわかる。
実験例3:ジンセノサイドRg3の細胞毒性実験 1.実験方法: M199培地で培養したHUVEC(ヒトの帯静脈内皮細胞)
を細胞20000個/180μlの濃度になるように生理食塩水
に懸濁させて細胞懸濁液をつくり、96−ウェルプレート
にウェル当り180μlずつ加えて溶媒であるジメチルス
ルホキサイドとジメチルスルホキサイドに溶解されたRg
3を、20μl加えた後、37℃、5%二酸化炭素の細胞培
養器で48時間培養した。続いてリン酸塩緩衝液に溶解さ
せたMTT[3−(4、5−dimethyl−thiazol−2′−y
l)−2,5−diphenyltetrazolium bromide]溶液(2mg/
ml)を、50μlずつ加えて再び4時間上記と同様な条件
下で培養した後、上澄液を除去してジメチルスルホキサ
イドを200μl加えて540nmで吸光度を測定した。吸光度
の値を細胞数に換算して溶媒であるジメチルスルホキサ
イドの場合とRg3の場合に細胞成長を50%抑制させる濃
度のIC50の値を求めて細胞毒性の指標として用いること
ができる。
2.実験結果: ジメチルスルホキサイドの場合(対照郡)は0.6%か
ら細胞毒性を表し始めて、6%では100%細胞成長を抑
制した。従って、溶媒の細胞毒性はその容量によって左
右され、IC50は18.4μg/mlである。Rg3は1〜100μg/ml
濃度範囲でジメチルスルホキサイドと同様な細胞毒性を
表した。しかし、Rg3のIC50は26.7μg/mlで、これは溶
媒の値より却ってやや高い値を表し、Rg3が溶媒よりも
更に低い細胞毒性を有する。即ち、Rg3投与群は対照群
より細胞の生存率が更に高く、却って細胞成長の促進効
果があるものと示れた(第3図)。
実験例4:ジンセノサイドRg5の細胞毒性実験 1.実験方法: M199培地で培養したHUVEC(ヒトの臍帯静脈内皮細
胞)を細胞20000個/180μlの濃度になるように生理食
塩水に懸濁させて細胞懸濁液をつくり、96−ウェルプレ
ートにウェル当り180μlずつ加えて溶媒である精製水
と精製水に溶解されたRg5を20μl加えた後、37℃、5
%二酸化炭素の細胞培養器で48時間培養した。続いて人
蔘塩緩衝液に溶解させたMTT[3−(4,5−dimethyl−th
iazol−2′−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromi
de]溶液(2mg/ml)を50μlずつ加えて、再び4時間上
記と同様な条件下で培養した後、上澄液を除去してジメ
チルスルホキサイドを200μl加えて540nmで吸光度を測
定した。
2.実験結果: 第5図に表したように、ジンセノサイドRg5投与群
は、対照群に比べて統計的な有意性はなかったが、対照
群に比して細胞成長が更に活発だった。従って、ジンセ
ノサイドRg5は細胞に対する毒性のないことがわかる。
組成物例 以下の組成物の例で、活性成分として用いられたRg3
は、他の活性成分であるRg5、Rg3及びRg5によって代替
されることができ、Rg3を含有する分画はRg5、Rg3及びR
g5を含有する分画によって代替されることができる。
組成例1 上記の処方によって各成分を均一に混合した後、打錠
機で圧縮成形して1錠500mgの錠剤を製造した。この錠
剤1錠には実施例1で収得した分画50mgが含有されてい
る。成人は1日3〜10錠を数回に分けて服用する。
組成例2 上記の処方によって結晶性セルロース、10%ヒドロキ
シプロピルセルロースエタノール溶液実施例5で収得し
た分画を均一に混合して通常の方法によって顆粒器を用
いて乾燥させて粉砕した後、カルボキシメチルセルロー
スカルシウム及びマグネシウムステアレートを混合し、
打錠機で圧縮成形して1錠500mgの錠剤を製造した。こ
の錠剤1錠には実施例5で収得した分画50mgが含有され
ている。成人は1日3〜10錠を数回に分けて服用する。
組成例3 上記の処方によって実施例8で収得したRg3をエタノ
ール及び大豆リン脂質に溶解させてここに注射用蒸留水
とグリセリンの溶液を加えて乳化させて注射剤を製造し
た。
組成例4 上記の処方によって成分〜を成分に溶解させて
液剤を製造した。この液剤100mlは実施例1で得た分画2
00mgを含有する。
組成例5 上記の処方によってすべての成分らを均一に混合して
通常の方法によって顆粒器を用いて顆粒化し、充填器に
充填してカプセル当り500mgのカプセル剤を製造した。
このカプセル剤1カプセルにはRg350mgが含有されてい
る。成人は1日3〜10錠を数回に分けて服用する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パク マン キ キョンキドソンナムシブンダング―クミ ドン66ボンジ シンウォンアパート310 ―1502 (72)発明者 キム ナク ドゥー ソウル市ドンジャッグ―シンデバンドン 565―21 シンデバン2チャアパート101 ―1101 (72)発明者 パク ジョン イル ソウル市カンナムグ―イルウォンボンド ンハンソルビラージ301―208 (72)発明者 キム ジョン ムン ソウル市ソンパグ―チャムシル2ドンジ ュゴンアパート229―313 (72)発明者 カン スー ヨン ソウル市カナッグ―シンリム2ドン120 ―2 (72)発明者 キム ワン ユー ソウル市ソンパグ―カラクドンカラクシ ヨンアパート93―306 (56)参考文献 特開 昭58−48421(JP,A) 特開 平5−9123(JP,A) Gen.Pharmacol., (1994),25(6),p.1071−7 薬学雑誌,(1993),113(6),P. 460−7 Chemical Abstract s,vol.89,abstract n o.70806 和漢医薬学雑誌,(1994),11 (4),p.273−6 Gen.Pharmacol., (1994),25(6),p.1071−7 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07J 17/00 A61K 31/58 A61K 35/78 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性成分として、純粋なジンセノサイドRg
    3及び/又はRg5、又はジンセノサイドRg3及び/又はRg5
    を10%以上含有する人蔘抽出物を含有する血管弛緩剤。
  2. 【請求項2】ジンセノサイドRg3及び/又はRg5を10%以
    上含有する人蔘抽出物が、ジンセノサイドRg3及び又はR
    g5を50%以上含有する人蔘抽出物である請求項1に記載
    の血管弛緩剤。
  3. 【請求項3】パナクス属植物を110〜180℃の温度で0.5
    〜20時間加熱処理し、収得した加工人蔘を有機溶媒で抽
    出した後、抽出物をクロマトグラフィーで処理して得ら
    れた純粋なジンセノサイドRg3及び/又はRg5、又はジン
    セノサイドRg3及び/又はRg5を10%以上含有する人蔘抽
    出物を活性成分として含有する請求項1又は2に記載の
    血管弛緩剤。
  4. 【請求項4】パナクス属植物を有機溶媒で抽出し、抽出
    物を110〜180℃で0.5〜20時間加熱処理した後、抽出物
    をクロマトグラフィーで処理して得られた純粋なジンセ
    ノサイドRg3及び/又はRg5、又はジンセノサイドRg3
    び/又はRg5を10%以上含有する人蔘抽出物を活性成分
    として含有する請求項1又は2に記載の血管弛緩剤。
  5. 【請求項5】パナクス属植物を有機溶媒で抽出し、抽出
    物を30〜100℃で酸にて処理した後、クロマトグラフィ
    ーで処理して得られた純粋なジンセノサイドRg3及び/
    又はRg5、又はジンセノサイドRg3及び/又はRg5を10%
    以上含有する人蔘抽出物を活性成分として含有する請求
    項1又は2に記載の血管弛緩剤。
  6. 【請求項6】パナクス属植物の代わりに、ジンセノサイ
    ドRa、Rb1、Rb2、Rc、Rdなどのパナクサジオール系成分
    又はこれらの分画の1以上を用いて得られた純粋なジン
    セノサイドRg3及び/又はRg5、又はジンセノサイドRg3
    及び/又はRg5を10%以上含有する人蔘抽出物を活性成
    分として含有する請求項3〜5の何れかに記載の血管弛
    緩剤。
  7. 【請求項7】パナクス属植物を有機溶媒で抽出し、パナ
    クサジオール系分画を収得してこの分画を110〜180℃で
    0.5〜20時間加熱処理することにより得られた純粋なジ
    ンセノサイドRg3及び/又はRg5、又はジンセノサイドRg
    3及び/又はRg5を10%以上含有する加工人蔘抽出物を含
    有する請求項1又は2に記載の血管弛緩剤。
  8. 【請求項8】薬剤学的に許容される担体と一緒に投与製
    剤の形に製剤化されてなる請求項1〜7の何れかに記載
    の血管弛緩剤。
  9. 【請求項9】製剤化される剤形が錠剤、硬又は軟カプセ
    ル剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射用液剤、又は注射用
    懸濁剤である請求項8に記載の血管弛緩剤。
  10. 【請求項10】ジンセノサイドRg3及び/又はRg5が10〜
    500mg含有されるように製剤化されてなる請求項9に記
    載の血管弛緩剤。
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Chemical Abstracts,vol.89,abstract no.70806
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薬学雑誌,(1993),113(6),P.460−7

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