JP3382462B2 - 洗浄液及び濯ぎ水の再生方法 - Google Patents

洗浄液及び濯ぎ水の再生方法

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JP3382462B2
JP3382462B2 JP18404996A JP18404996A JP3382462B2 JP 3382462 B2 JP3382462 B2 JP 3382462B2 JP 18404996 A JP18404996 A JP 18404996A JP 18404996 A JP18404996 A JP 18404996A JP 3382462 B2 JP3382462 B2 JP 3382462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄液及び濯ぎ水
の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、部品又は治工具類の個体表面に存
在する油性汚れ、即ち油脂、機械油、切削油、グリー
ス、液晶、フラックス等の有機物を主体とする汚れの除
去には、ケロシン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系
溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の
塩素系溶剤、トリクロロトリフルオロエタン等のフロン
系溶剤、界面活性剤やビルダーを配合した水系の洗浄剤
組成物が使用されている。特に電子、電気、機械等の部
品には、高洗浄性、難燃性という特性を生かしてフロン
系溶剤又は塩素系溶剤が使用されてきた。
【0003】しかしながら、上記フロン系溶剤及び塩素
系溶剤の洗浄剤組成物は、安全性、毒性、環境汚染性等
の問題を有していることが明らかにされ、国際レベルで
の廃止が進められている。このような背景からフロン系
溶剤や塩素系溶剤に替わる洗浄剤組成物として、界面活
性剤等を含有する水系の洗浄剤組成物、テルペン系溶
剤、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤等の溶剤系代替
洗浄剤組成物が開発されてきた。この中で、水系の洗浄
剤組成物は引火性がなく、安全性が高いことから広く利
用されているが、洗浄剤組成物中に含有される水、又は
濯ぎに使用する水により、被洗浄物の金属部材が錆(酸
化)易い傾向があり、防錆処理を施す必要があった。防
錆処理法として、錆を抑制するための防錆剤を洗浄剤組
成物又は濯ぎ水中に溶解させる手法が一般的であるが、
回分的な洗浄又は濯ぎ操作では、洗浄の繰り返しに伴
い、洗浄では被洗浄物に付着して持ち込まれる汚れによ
り槽中の汚れ濃度が、濯ぎでは被洗浄物に付着して持ち
込まれる洗浄剤組成物により槽中の洗浄液濃度が逐次高
くなり、清浄性を損じた時点で、槽内を清浄な液で全量
又は適量交換する必要が生じる。この交換に際し、洗浄
剤組成物又は濯ぎ水に溶解している防錆剤も同時に交換
されることとなり、廃棄分の防錆剤の補給の面で経済的
課題があった。
【0004】そこで、洗浄又は濯ぎ中には防錆剤を使用
せず、最終工程で被洗浄物を防錆剤水溶液に浸漬するこ
とで防錆処理を施し、乾燥工程に送る手法が採られてき
たが、さび易い洗浄物においては、前述の処理では満足
する効果が得られない場合が多々あり、防錆剤の使用量
が最小限に抑えられ、かつ全ての洗浄工程で防錆処理が
行える方法が以前より求められてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような用途に対
し、機械部品の洗浄方法として、特開平6−14603
5号公報において、界面活性剤を含まないNASクラス
8級以上の温水を洗浄剤組成物、水溶性の切削剤を汚れ
の洗浄対象として、遠心分離を用い洗浄剤組成物の再生
を行う方法が開示されている。しかし温水における洗浄
では油性汚れの洗浄を効率的に行うことは難しく、物理
的及び化学的な洗浄力が大きく求められるフロン系溶剤
や塩素系溶剤に替わる油性汚れ洗浄における洗浄剤組成
物又は濯ぎ水の再生方法としては洗浄性において課題が
あった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、界面活性剤を含有する
洗浄剤組成物を洗浄液として電子部品や機械部品等を洗
浄する場合において、洗浄液に不溶な油性汚れを除去す
るために遠心分離機を使用し、洗浄液の再生処理を行う
ことにより、洗浄槽での被洗浄物に付着した油性汚れを
効率よく除去でき、更には洗浄液の再生処理を行うこと
により、洗浄槽の油性汚れの蓄積を抑制し、洗浄液の定
期的な交換を不要とすることから、交換に伴う防錆剤の
経済的損失が少なく、被洗浄物の洗浄を行うことができ
ることを見出した。
【0007】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、洗浄液による一回以上の洗浄工程及び濯ぎ水によ
る一回以上の濯ぎ工程を有する電子部品又は機械部品の
洗浄工程において、洗浄槽における洗浄液を連続又は間
欠的に遠心分離による分層処理を施すことにより、洗浄
液に不溶な油性汚れを分離除去し、洗浄液の再生を図る
と共に、該洗浄液に防錆剤を適宜溶解させておくことに
より錆易い被洗浄物の錆発生を抑制する。以上の再生処
理の効果として、洗浄液の汚れ蓄積による交換を不要と
し、かつ洗浄液の交換の際に廃棄されていた防錆剤の費
用低減を図ることができることを特徴とする、電子部品
又は機械部品の洗浄液の再生方法を提供することにあ
る。
【0008】また本発明は、洗浄液による一回以上の洗
浄工程及び濯ぎ水による一回以上の濯ぎ工程を有する電
子部品又は機械部品の洗浄方法において、洗浄槽中の洗
浄液により被洗浄物を洗浄した後、次いで濯ぎ槽にて被
洗浄物の水濯ぎを行う際に、濯ぎ水を連続又は間欠的に
遠心分離による分層処理を施すことにより、濯ぎ水に不
溶な成分を分離除去し、濯ぎ水の再生を図ると共に、濯
ぎ水中に防錆剤を適宜溶解させておくことにより錆易い
被洗浄物の錆発生を抑制することを特徴とする電子部品
又は機械部品の濯ぎ水の再生方法を提供することにあ
る。
【0009】さらに本発明は、洗浄液による一回以上の
洗浄工程及び濯ぎ水による一回以上の濯ぎ工程を有する
電子部品又は機械部品の洗浄方法において、洗浄槽にお
ける洗浄液を連続又は間欠的に遠心分離による分層処理
を施すことにより、洗浄液に不溶な油性汚れを分離除去
し、かつ濯ぎ槽における濯ぎ水を連続又は間欠的に遠心
分離による分層処理を施すことにより、濯ぎ水に不溶な
成分を分離除去すると共に、洗浄液及び/又は濯ぎ水に
防錆剤を適宜溶解しておくことにより錆易い被洗浄物の
錆発生を抑制することを特徴とする電子部品又は機械部
品の洗浄液及び濯ぎ水の再生方法を提供することにあ
る。
【0010】即ち、本発明の要旨は、 〔1〕 界面活性剤を含有する洗浄液を用いて被洗浄物
に付着した油性汚れを洗浄し、次いで濯ぎ工程におい
て、水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤/10
0g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100g水の
防錆剤水溶液のpHが3〜13である防錆剤を含有する
濯ぎ水で濯ぎを行い、これにより発生する不溶成分を含
有する濯ぎ水の再生に際して、該濯ぎ水に遠心分離処理
を施すことにより濯ぎ水から不溶成分を分別除去するこ
とを特徴とする濯ぎ水の再生方法、 〔〕 (I):(a)水への溶解度が0℃において
0.1g防錆剤/100g水以上であり、かつ0.1g
防錆剤/100g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13で
ある防錆剤、及び(b)界面活性剤を含有する洗浄液を
用いて被洗浄物に付着した油性汚れを洗浄する工程、並
びに、 (II):水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤
/100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100
g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13である防錆剤を含
有する濯ぎ水で濯ぎを行う工程を含む洗浄方法において
発生する、工程(I)における不溶な油性汚れを含有す
る洗浄液及び工程(II)における不溶成分を含有する
濯ぎ水の再生方法であって、該洗浄液に遠心分離処理を
施すことにより、洗浄液から油性汚れを分別除去し、該
濯ぎ水を前記〔〕記載の方法により再生することを特
徴とする、洗浄液及び濯ぎ水の再生方法、
【0011】〔〕 界面活性剤が少なくとも非イオン
界面活性剤を含有し、該非イオン界面活性剤の5重量%
水溶液の曇点が5〜100℃である前記〔1〕記載の再
生方法、並びに〕 界面活性剤が少なくとも非イオン界面活性剤を
含有し、該非イオン界面活性剤の5重量%水溶液の曇点
が5〜100℃である前記〔2〕記載の再生方法に関す
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、洗浄液や濯ぎ水に遠心
分離処理を施すことによってそれらに不溶な成分を分別
除去することを特徴とする。したがって使用場面に応じ
て種々の態様が考えられ、1)洗浄工程において遠心分
離処理を施すことによる洗浄液を再生する態様、2)濯
ぎ工程において遠心分離処理を施すことによる濯ぎ水を
再生する態様、さらには3)洗浄工程及び濯ぎ工程の両
工程において遠心分離処理を施すことによる洗浄液及び
濯ぎ水を再生する態様が例示される。以下、各態様につ
いて詳述する。
【0013】1.洗浄液の再生方法について 本発明の洗浄液の再生方法は、(a)水への溶解度が0
℃において0.1g防錆剤/100g水以上であり、か
つ0.1g防錆剤/100g水の防錆剤水溶液のpHが
3〜13の範囲である防錆剤、及び(b)界面活性剤を
含有する洗浄液を用いて被洗浄物に付着した油性汚れの
洗浄を行い、これにより発生する不溶な油性汚れを含有
する洗浄液の再生に際して、該洗浄液に遠心分離処理を
施すことにより、洗浄液から油性汚れを分別除去するこ
とを特徴とする。
【0014】上記洗浄方法としては特に限定はなく、シ
ャワーノズルを用いて洗浄液を被洗浄物に噴射する方法
等のシャワー法、被洗浄物を洗浄槽に浸漬する方法等の
浸漬法、被洗浄物を洗浄槽に浸漬した状態で行う超音波
洗浄法、揺動法及び液中シャワー法等の公知の方法が挙
げられる。本発明の洗浄液の再生方法は、これらの洗浄
方法のうちのいずれか一つの方法、又は適宜組み合わせ
た方法のいずれにも適用することができる。
【0015】被洗浄物の洗浄が行われることにより油性
汚れは被洗浄物から離れ、洗浄液は防錆剤、界面活性
剤、及び油性汚れを含有するものとなる。かかる洗浄液
を遠心分離処理に付すことにより、油性汚れを分別除去
する。一般的に油性汚れは洗浄液よりも比重が小さいた
め、遠心分離処理により軽液として得られる。また、界
面活性剤及び防錆剤を含有する洗浄液は重液として得ら
れる。かかる重液が洗浄液として再利用される。油性汚
れの比重が洗浄液よりも高い場合にも、同様に軽液、重
液として分離することができる。
【0016】洗浄液の再生に使用する遠心分離機として
は、特に限定されるものではなく、例えば月島ハードデ
カンタ遠心分離機(月島機械(株)製)、シャープレス
スーパーデカンタ(巴工業(株)製)、横型連続遠心分
離機((株)田辺鉄工所製)、スクリューデカンタ型連
続遠心分離機(石川島播磨重工業(株)製)、スクリュ
ーデカンタ型連続遠心分離機((株)関西遠心分離機製
作所製)、ケムコフンボルトデカンタ(コトブキ技研工
業(株)製)、超遠心分離機(ハイテン(株)製)、ノ
ズルセパレーター((株)アサヒ製作所製)、ディスク
型遠心分離機(アルファラバル(株)製)、ディスクセ
パレーター(三菱化工機(株)製)、シャープレススー
パーセントリフュージ(巴工業(株)製)、KS型超高
速遠心分離機((株)関西遠心分離機製作所製)、ソリ
ッドボウルセパレーター(斉藤遠心機工業(株)製)、
サイトウオートマチックディスラッシャー(斉藤遠心機
工業(株)製)等が挙げられる。
【0017】また例示した遠心分離機のうち、液/液/
固の三相分離型機種を使用すれば、不溶化した有機析出
物、スラッジ、金属粉等の除去を同時に行うことができ
るためより好ましい。また遠心分離による処理は、回分
式、連続式、間欠式等、いずれでもよく、またこれらを
組み合わせて使用してもよい。
【0018】洗浄液の遠心分離処理の条件としては、油
性汚れと防錆剤・界面活性剤を含有する洗浄液とが分別
できる程度であれば特に限定されないが、負荷重力と遠
心分離機内の液滞留時間の積で1000〜100000
000G・sの範囲が好ましく、更には10000〜1
0000000G・sが良い。1000G・s未満では
遠心分離の油水分離効果が十分発揮されない傾向があ
り、100000000G・sを越えると過剰の操作時
間による時間及び運転費の浪費、又は高遠心力による機
械強度上あるいは保守上の問題が生じる傾向がある。ま
た、遠心分離処理の際の洗浄液の温度は特に限定される
ものではない。例えば、洗浄液が少なくとも非イオン界
面活性剤を含有し、該洗浄液の5重量%水溶液の曇点が
5〜100℃の範囲にある洗浄液を用いる場合、遠心分
離処理の際の温度はその曇点未満であることが好まし
い。さらには前記温度はその曇点より10℃以上低い温
度がより好ましい。
【0019】上記の方法により、油性汚れを含有する洗
浄液より油性汚れを分別除去することができる。遠心分
離処理により得られる重液には界面活性剤及び防錆剤が
高効率で回収されているため、かかる重液を洗浄液とし
て再生することができる。したがって本発明の洗浄液の
再生方法により、界面活性剤及び防錆剤の補給量を抑制
することができ、これら成分の使用量の低減を図ること
ができる。
【0020】つぎに、本発明の洗浄液の処理フローの一
例を示す図1を用いてより詳細に説明する。洗浄工程に
おいては、洗浄液は、被洗浄物に付着していた油性汚
れ、界面活性剤等の洗浄剤成分、防錆剤を含有するもの
となる。かかる洗浄液は遠心分離機に導入され、油性汚
れが除かれる。遠心分離処理により得られる重液は油性
汚れの濃度が下げられ、しかも界面活性剤や防錆剤を高
い回収率で含有するものであるため、かかる重液を洗浄
液として好適に利用することができる。このようにし
て、不溶な油性汚れを含有する洗浄液は洗浄液として再
生される。
【0021】被洗浄物としては特に限定されないが、油
性汚れの付着した電子部品及び機械部品等が挙げられ
る。油性汚れとしては、難水溶性であり、洗浄液で洗浄
した際に乳化分散又は分層分離するものであれば限定さ
れるものではないが、例えば、切削油、圧延油、グリー
ス、液晶、フラックス、ワックス等を挙げることができ
る。水溶性と称するものでも、水に溶解せず、乳化分散
するものであればこの範疇に含まれる。
【0022】洗浄液は防錆剤及び界面活性剤を含有する
組成物である。使用される界面活性剤については特に限
定されるものでなく、非イオン界面活性剤、陰イオン界
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいず
れも用いることができる。これらの界面活性剤は単独で
用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。ま
た、洗浄液を構成するその他の洗浄剤成分としてビルダ
ー、キレート剤、消泡剤、アルカリ物質、有機溶剤を適
宜配合してもよい。また、本発明の洗浄液の再生方法に
より再生された洗浄液も用いることができる。
【0023】非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性
剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤としては、産
業図書株式会社出版の「界面活性剤便覧」第7〜45頁
に記載分類されているもの等が用いられ、これらの中で
も、イオンを持たない分子構造を持ち、金属腐食を起こ
しにくい性状である非イオン界面活性剤が好ましい。
【0024】洗浄液中の界面活性剤の濃度は特に限定さ
れるものではないが、0.1〜99.99重量%の範囲
が好ましく、1〜50重量%の範囲がより好ましく、1
〜30重量%が特に好ましい。洗浄性を発揮させる観点
から0.1重量%以上が好ましく、防錆剤を0.01重
量%含有させる観点から99.99重量%以下が好まし
い。
【0025】洗浄液を構成する成分である防錆剤は、洗
浄液又は濯ぎ水への溶解性を有するものであって、かつ
被洗浄物の金属部材や洗浄槽への腐食を起こし難いもの
が好ましい。溶解性の具体的な指標としては、水への溶
解度が0℃において0.1g防錆剤/100g水以上で
あり、0.5〜300g防錆剤/100g水がより好ま
しく、1.0〜300g防錆剤/100g水が特に好ま
しい。溶解度が0.1g防錆剤/100g水未満では、
遠心分離にて洗浄液から分離した油性汚れに防錆剤が溶
解しやすいため、油性汚れの廃棄に伴い、洗浄液中の防
錆剤の濃度が減少する傾向がある。
【0026】また、被洗浄物及び洗浄槽に対する腐食性
の具体的な指標としては、0.1g防錆剤/100g水
の防錆剤水溶液のpHが3〜13の範囲であり、pH4
〜10の範囲がより好ましく、pH6〜8の範囲が特に
好ましい。
【0027】防錆剤として使用する物質としては、被洗
浄物の防錆を施す金属材料の対象により多種多様であ
り、特に限定されるものではない。また、有機化合物、
無機化合物のいずれも用いることができる。以下に具体
例を示す。
【0028】電気化学的に錆面の局部アノードを不動態
化するタイプの具体例としては、オルトリン酸、リン酸
一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カ
リウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一アンモニウ
ム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム
等のオルトリン酸塩、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウ
ム等のケイ酸塩、及びホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ
酸カリウム、メタホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリエチル
等のホウ酸塩、及び亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウ
ム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸
塩、及びクロム酸、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリ
ウム、クロム酸アンモニウム等のクロム酸塩、及び安息
香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸カル
シウム等の安息香酸塩等が挙げられる。
【0029】錆面の局部カソードを絶縁するタイプの具
体例としては、石灰、及びポリリン酸、ポリリン酸ナト
リウム等のポリリン酸塩類を挙げることができる。また
金属表面全面に吸着し、アノード、カソード両反応を同
時に抑制するタイプの具体例としては、亜硝酸イソプロ
ピルアミン、亜硝酸シクロヘキシルアミン、亜硝酸トリ
エタノールアミン、亜硝酸ジイソプロピルアミン、亜硝
酸ジシクロヘキシルアミン等の有機亜硝酸塩、及びエチ
ルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、キノリン、シクロヘキシルアミン、
モルホリン、N−メチルモルホリン、ベンゾトリアゾー
ル等のアミンのような窒素を含む化合物、HS- 又はS
2-或いは環状に硫黄を含む化合物、硫黄、窒素の両者を
含む化合物、特に置換されたチオカルバミド類が挙げる
ことができる。防錆剤は、上記物質を単独又は混合して
用いてもよく、また防錆に影響のないレベルで非防錆剤
物質の混合を行ってもよい。
【0030】洗浄液中の防錆剤の濃度については、溶液
状態の使用であれば特に限定されるものではないが、1
00〜50000ppmが好ましく、500〜1000
0ppmがさらに好ましい。被洗浄物の防錆効果を充分
に発揮させる観点から100ppm以上が好ましく、洗
浄終了後乾燥した際に被洗浄物表面への防錆剤の析出を
防ぐ観点から50000ppm以下が好ましい。
【0031】2.濯ぎ水の再生方法について 本発明の濯ぎ水の再生方法は、界面活性剤を含有する洗
浄液を用いて被洗浄物に付着した油性汚れを洗浄し、次
いで濯ぎ工程において、水への溶解度が0℃において
0.1g防錆剤/100g水以上であり、かつ0.1g
防錆剤/100g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13の
範囲である防錆剤を含有する濯ぎ水で濯ぎを行い、これ
により発生する不溶成分を含有する濯ぎ水の再生に際し
て、該濯ぎ水に遠心分離処理を施すことにより濯ぎ水か
ら不溶成分を分別除去することを特徴とする。以下、洗
浄工程、濯ぎ工程に分けて説明する。
【0032】2−1.洗浄工程について 本態様における洗浄工程は、界面活性剤を含有する洗浄
液により被洗浄物の洗浄を行う工程である。上記洗浄方
法としては特に限定はなく、シャワー法、浸漬法、超音
波洗浄法、揺動法及び液中シャワー法等の公知の方法が
挙げられる。洗浄工程においては、これらの洗浄方法の
うちのいずれか一つの方法、又はこれらを適宜組み合わ
せた方法のいずれにも適用することができる。かかる洗
浄方法等により被洗浄物の洗浄を行うことにより、油性
汚れは被洗浄物から離される。
【0033】被洗浄物、油性汚れとしては特に限定され
るものではなく、洗浄液の再生方法の説明において挙げ
たものと同様のものが例示される。また、洗浄液は界面
活性剤を含有する組成物である。使用される界面活性剤
については特に限定されるものでなく、非イオン界面活
性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性
界面活性剤のいずれも用いることができる。これらの界
面活性剤は単独で用いても良く、2種以上を混合して用
いても良い。本工程で用いられる界面活性剤は、洗浄液
の再生方法において用いられるものと同様のものであ
り、産業図書株式会社出版の「界面活性剤便覧」第7〜
45頁に記載分類されているもの等が挙げられる。ま
た、洗浄液を構成するその他の洗浄剤成分として防錆
剤、ビルダー、キレート剤、消泡剤、アルカリ物質、有
機溶剤を適宜配合してもよい。
【0034】本態様においては、曇点を有する非イオン
界面活性剤を洗浄液に含有することが好ましい。かかる
洗浄液を用いることにより、濯ぎ水の再生の際に、操作
温度を利用して再生処理効率の向上を図ることができ
る。洗浄液が非イオン界面活性剤を含有している場合、
非イオン界面活性剤の5重量%水溶液の曇点が5〜10
0℃のものが好ましく、10〜60℃のものがより好ま
しく、20〜40℃のものが特に好ましい。なお、本明
細書における非イオン界面活性剤の5重量%水溶液の曇
点とは、該水溶液を加熱した場合、その水溶液が濁り出
す温度をいう。
【0035】5重量%水溶液の曇点が5〜100℃であ
る非イオン界面活性剤としては、例えばアルキルエーテ
ル型、アルキルアリルエーテル型及びアルキルチオエー
テル型等のエーテル型界面活性剤、アルキルエステル型
及びソルビタンアルキルエステル型等のエステル型界面
活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等のアミ
ンとの縮合型の界面活性剤、ポリオキシエチレンとポリ
オキシプロピレンとをランダムあるいはブロック縮合さ
せたプルロニック型あるいはテトロニック型界面活性
剤、ポリエチレンイミン系界面活性剤などが挙げられ
る。これらの中でも特に、炭素数4〜22の炭化水素基
を有する非イオン界面活性剤が好ましい。
【0036】洗浄液中の界面活性剤の濃度は特に限定さ
れるものではないが、0.1〜99.99重量%の範囲
が好ましく、1〜50重量%の範囲がより好ましく、1
〜30重量%が特に好ましい。洗浄性を発揮させる観点
から0.1重量%以上が好ましく、防錆剤を0.01重
量%含有させる観点から99.99重量%以下が好まし
い。
【0037】2−2.濯ぎ工程について 本態様における濯ぎ工程は、洗浄工程で洗浄された被洗
浄物を、水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤/
100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100g
水の防錆剤水溶液のpHが3〜13の範囲である防錆剤
を含有する濯ぎ水で濯ぎを行う工程である。そしてこの
濯ぎ工程において発生する、不溶成分を含有する濯ぎ水
に遠心分離処理を施すことにより、該濯ぎ水から不溶成
分を分別除去し、得られる、防錆剤を含有する重液を濯
ぎ水として用いる。
【0038】濯ぎ工程における具体的な濯ぎ方法として
は特に限定されるものではなく、洗浄工程と同様に、シ
ャワー法、浸漬法、揺動法、液中シャワー法等の公知の
方法が挙げられる。濯ぎ工程は、かかる濯ぎ方法のうち
いずれか一つを用いたものであっても、これらを組み合
わせたものであっても良い。
【0039】被洗浄物の濯ぎが行われることにより洗浄
剤成分は被洗浄物から離れ、濯ぎ水には洗浄剤成分が含
有される。この濯ぎ水には洗浄工程から被洗浄物に付着
して同伴される油性汚れと共に洗浄剤成分も同伴され
る。よって、濯ぎ水には不溶成分として、油性汚れ、有
機溶媒、界面活性剤などが存在する。かかる濯ぎ水を遠
心分離処理に付すことにより、不溶成分を分別除去す
る。一般的に上記不溶成分は濯ぎ水よりも比重が小さい
ため、遠心分離処理により軽液として得られる。また、
防錆剤を含有する濯ぎ水は重液として得られる。かかる
重液が濯ぎ水として再利用される。油性汚れの比重が洗
浄液よりも高い場合にも、同様に軽液、重液として分離
することができる。
【0040】濯ぎ水の再生に使用する遠心分離機として
は特に限定されるものではなく、洗浄液の再生に使用す
る遠心分離機と同様のものが挙げられる。
【0041】濯ぎ水の遠心分離処理の条件としては、防
錆剤と不溶成分とが分別できる程度であれば特に限定さ
れないが、負荷重力と遠心分離機内の液滞留時間の積で
1000〜100000000G・sの範囲が好まし
く、更には10000〜10000000G・sが良
い。1000G・s未満では遠心分離の油水分離効果が
十分発揮されない傾向があり、100000000G・
sを越えると過剰の操作時間による時間及び運転費の浪
費、又は高遠心力による機械強度上あるいは保守上の問
題が生じる傾向がある。また、遠心分離処理の際の濯ぎ
水の温度は特に限定されるものではない。例えば、洗浄
工程で用いた洗浄液が少なくとも非イオン界面活性剤を
含有し、該非イオン界面活性剤の5重量%水溶液の曇点
が5〜100℃の範囲のものである場合、遠心分離処理
の際の濯ぎ水の温度はその曇点以上であることが好まし
い。さらには前記温度はその曇点より10℃以上高い温
度がより好ましい。
【0042】上記の方法により、不溶成分を含有する濯
ぎ水より不溶成分を分別除去することができる。遠心分
離処理により得られる重液には防錆剤が高い回収率で含
有されているため、かかる重液を濯ぎ水として再生する
ことができる。したがって本発明の濯ぎ水の再生方法に
より、防錆剤の補給量を抑制することができ、使用量の
低減を図ることができる。
【0043】また、本発明に使用される濯ぎ水としては
特に限定されないが、水道水、イオン交換水、純水や、
濯ぎ水を遠心分離処理して得た水が用途目的に応じて用
いられる。濯ぎ水を遠心分離処理に付して用いる場合、
さらに凝集沈澱処理、活性汚泥処理、活性炭、イオン交
換、膜処理法等の一般的な排水処理方法を組み合わせ
て、さらに高度な再生を施すこともできる。さらには、
本発明の濯ぎ水の再生方法によって再生された濯ぎ水は
高い回収率をもって防錆剤を含むものであるので、かか
る濯ぎ水を濯ぎに用いる場合、濯ぎ工程において被洗浄
物等に錆が発生することを防ぐことができる。
【0044】防錆処理に用いられる濯ぎ水の防錆剤の濃
度については、溶液状態の使用であれば特に限定される
ものではないが、100〜50000ppmが好まし
く、500〜10000ppmがさらに好ましい。被洗
浄物の防錆効果を充分に発揮させる観点から100pp
m以上が好ましく、洗浄終了後乾燥した際に被洗浄物表
面への防錆剤の析出を防ぐ観点から50000ppm以
下が好ましい。
【0045】濯ぎ水に含有させる防錆剤としては、濯ぎ
水への溶解性を有するものであって、かつ被洗浄物の金
属部材や洗浄槽への腐食を起こし難いものが好ましい。
【0046】溶解性の具体的な指標としては、水への溶
解度が0℃において0.1g防錆剤/100g水以上で
あり、0.5〜300g防錆剤/100g水がより好ま
しく、1.0〜300g防錆剤/100g水が特に好ま
しい。溶解度が0.1g防錆剤/100g水未満では、
遠心分離にて分離した不溶成分に防錆剤が溶解しやすい
ため、不溶成分の廃棄に伴い、洗浄液中の防錆剤の濃度
が減少する傾向がある。また、被洗浄物及び濯ぎ槽に対
する腐食性の具体的な指標としては、0.1g防錆剤/
100g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13の範囲であ
り、pH4〜10の範囲がより好ましく、pH6〜8の
範囲が特に好ましい。
【0047】上記目的に適合した防錆剤としては、被洗
浄物における金属材料の種類により様々であり、有機化
合物、無機化合物のいずれも用いることができ、化学構
造は特に限定されるものではない。具体的には、洗浄液
の再生方法の箇所で記載した防錆剤と同様のものが挙げ
られる。
【0048】次に、本発明の濯ぎ水の処理フローの一例
を示す図2を用いてより詳細に説明する。洗浄工程にお
いて洗浄された被洗浄物は、付着する界面活性剤や油性
汚れを除去すべく濯ぎ工程にて濯がれる。濯ぎ工程にお
いて、濯ぎ水は、被洗浄物に付着していた界面活性剤等
の不溶成分、防錆剤を含有するものとなる。かかる濯ぎ
水は遠心分離機に導入され、不溶成分が除かれる。遠心
分離処理により得られる重液は不溶成分の濃度が下げら
れ、しかも防錆剤を高率で含有するものであるため、か
かる重液を濯ぎ水として好適に利用することができる。
このようにして、本発明の方法により、不溶成分含有濯
ぎ水を濯ぎ水として再生することができる。
【0049】3.洗浄液及び濯ぎ水の再生方法について 上記の洗浄液の再生方法、濯ぎ水の再生方法を組み合わ
せることにより、洗浄液及び濯ぎ水を再生することがで
きる。
【0050】即ち、本態様は、 (I):(a)水への溶解度が0℃において0.1g防
錆剤/100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/1
00g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13の範囲である
防錆剤、及び(b)界面活性剤を含有する洗浄液を用い
て被洗浄物に付着した油性汚れを洗浄する工程、並び
に、 (II):水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤
/100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100
g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13の範囲である防錆
剤を含有する濯ぎ水で濯ぎを行う工程、を含む洗浄方法
において発生する、工程(I)における不溶な油性汚れ
を含有する洗浄液及び工程(II)における不溶成分を
含有する濯ぎ水の再生方法であって、該洗浄液を上記洗
浄液の再生方法により、該濯ぎ水を上記濯ぎ水の再生方
法により再生することを特徴とするものである。具体的
には、洗浄工程及び濯ぎ工程の両工程において上述のよ
うな遠心分離処理を施すことにより、洗浄液及び濯ぎ水
を再生することができる。
【0051】また、濯ぎ水を遠心分離処理に付して用い
る場合、さらに凝集沈澱処理、活性汚泥処理、活性炭、
イオン交換、膜処理法等の一般的な排水処理方法を組み
合わせて、さらに高度な再生を施すこともできる。
【0052】つぎに、本態様の処理フローの一例を示す
図3を用いて説明する。洗浄工程において、洗浄液は、
被洗浄物に付着していた油性汚れ、界面活性剤等の洗浄
剤成分、防錆剤を含有するものとなる。かかる洗浄液は
遠心分離機に導入され、油性汚れが除かれる。遠心分離
処理により得られる重液は油性汚れの濃度が下げられ、
しかも界面活性剤や防錆剤を高率で含有するものである
ため、かかる重液を洗浄液として好適に利用することが
できる。このように洗浄された被洗浄物は、付着する界
面活性剤や油性汚れを除去すべく濯ぎ工程にて濯がれ
る。濯ぎ工程において、濯ぎ水は、被洗浄物に付着して
いた界面活性剤等の不溶成分、防錆剤を含有するものと
なる。かかる濯ぎ水は遠心分離機に導入され、不溶成分
が除かれる。遠心分離処理により得られる重液は不溶成
分の濃度が下げられ、しかも防錆剤を高率で含有するも
のであるため、かかる重液を濯ぎ水として好適に利用す
ることができる。このようにして、本態様の方法によ
り、不溶な油性汚れを含有する洗浄液を洗浄液として、
また不溶成分を含有する濯ぎ水を濯ぎ水として再生する
ことができる。
【0053】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。洗浄液の遠心分離により得られる重
液中の油性汚れの残存率は、次式により算出される。 油性汚れ残存率(%)=〔遠心分離処理後の重液中の油
性汚れの濃度/遠心分離処理前の洗浄液中の油性汚れの
濃度〕×100
【0054】洗浄液や濯ぎ水の遠心分離により得られる
重液中の界面活性剤の残存率は、次式により算出され
る。 界面活性剤残存率(%)=〔遠心分離処理後の重液中の
界面活性剤濃度/遠心分離処理前の洗浄液(又は濯ぎ
水)中の界面活性剤濃度〕×100 再生された洗浄液及び再生された濯ぎ水中の防錆剤の残
存率は、次式により算出される。 防錆剤残存率(%)=〔遠心分離処理後の重液中の防錆
剤濃度/遠心分離処理前の洗浄液(又は濯ぎ水)中の防
錆剤濃度〕×100
【0055】油性汚れ残存率の算出に用いられる油性汚
れ濃度は、油性汚れのみでの沃素価、又は鹸化価の値を
指標とし、洗浄液及び重液中における沃素価、酸化価の
増加量から、油性汚れの絶対量に換算し直して求めた。
界面活性剤の残存率の算出に用いられる界面活性剤の濃
度は、界面活性剤便覧(産業図書株式会社、初版)の8
11〜841ページに記載されるEpton法、フェリ
シアンカリ法、沃素・澱粉法を用いて測定した。防錆剤
濃度は無機物についてはケイ素、リン、ホウ素の濃度を
誘導結合高周波プラズマ(ICP)発光分光分析、窒素
濃度をJIS−K0102工場排水試験法における45
−2の紫外線吸光光度法により濃度測定し、各無機化合
物分子量に換算し直して求めた。有機物についてはガス
クロマト分析により、低分子量の化合物については、ポ
リエチレングリコール系のガラスキャピラリーカラムを
用いて、エチレンオキサイド重合物、芳香族化合物につ
いては、メチルフェニルシリコン系で修飾されたガラス
キャピラリーカラムを用いて測定を行った。
【0056】実施例1 油性汚れ(商品名:ユニカットテラミ、日本石油(株)
製切削油、ヨウ素価7.3g−I2 /100g)が付着
した六角ナットを、表1に示す界面活性剤及び2000
ppmの濃度で防錆剤が溶解した洗浄液で、洗浄液中の
油性汚れの含有率が5重量%となるまで洗浄を行った。
次に、油性汚れが分散した洗浄液を60℃にて、300
000G・sの条件で回分式の遠心分離を行い、重液を
得た。重液中の油性汚れ残存率、防錆剤残存率及び界面
活性剤残存率を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】油性汚れが分散した、上記の陽イオン界面
活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤を含
有する洗浄液を遠心分離処理することにより、油性汚れ
のみを選択的に分別除去することができた。
【0059】実施例2 油性汚れ(商品名:ユニカットテラミ、日本石油(株)
製切削油、ヨウ素価7.3g−I2 /100g)が付着
した130mm×40mm×1mm厚のアルミ板の10
0枚ブロック束の被洗浄物を、ポリオキシエチレン(9
モル)オレイルエーテル(50重量%)、水(50重量
%)からなる洗浄液にて洗浄した。なお、この非イオン
界面活性剤の5重量%水溶液の曇点は55℃であった。
次いで、500ppmの安息香酸ナトリウム水溶液を濯
ぎ水として該被洗浄物の濯ぎを行った。次いで濯ぎ水
を、70℃にて、1000000G・sの条件で回分式
の遠心分離を行い、得られた重液中の界面活性剤残存率
及び防錆剤残存率の測定を行った(実施例2−1)。
【0060】また、洗浄液をポリオキシエチレン(4モ
ル)ラウリルエーテル(23重量%)、ソルビタンモノ
オレート(47重量%)、ヘキサン(30重量%)の混
合液とし、濯ぎ水を500ppmのベンゾトリアゾール
水溶液とした条件について同様の検討を行った(実施例
2−2)。また、洗浄液をポリオキシエチレン(2モ
ル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2重量%)、ポ
リオキシエチレン(9モル)オレイルエーテル(40重
量%、5重量%水溶液での曇点は55℃)、ヘキサン
(52重量%)、水(6重量%)の混合液とし、濯ぎ水
を500ppmのリン酸ナトリウム水溶液とした条件に
ついて同様の検討を行った(実施例2−3)。また、濯
ぎ水により濯がれた被洗浄物は、120℃、2時間、熱
風乾燥機にて乾燥を行い、被洗浄物表面のシミ、錆の観
察を行った(表2)。
【0061】
【表2】
【0062】上記のように、界面活性剤の混入した濯ぎ
水に遠心分離処理を施すことにより、濯ぎ水から界面活
性剤を分離除去することができ、かつ遠心分離処理によ
る防錆剤濃度の変化はほとんど見られなかった。また、
乾燥後の被洗浄物表面は、シミ、錆のない良好なもので
あった。
【0063】実施例3 実施例1にて洗浄した被洗浄物を、防錆剤が1000p
pmで溶解した濯ぎ水で濯いだ。次いで、該濯ぎ水を遠
心分離機により、60℃、1000000G・sの条件
において、界面活性剤の除去を行い、重液の界面活性剤
残存率及び防錆剤残存率を求めた。濯ぎ水により濯がれ
た被洗浄物は、120℃、2時間、熱風乾燥機にて乾燥
を行い、被洗浄物表面のシミ、錆の観察を行った(表
3)。
【0064】
【表3】
【0065】実施例1において洗浄された被洗浄物を防
錆剤を含有する濯ぎ水で濯いで、得られた濯ぎ水を遠心
分離処理することにより、濯ぎ水中から不溶成分の分離
を行うことができた。また遠心分離処理に伴う濯ぎ水中
の防錆剤濃度の変化はほとんど認められなかった。ま
た、乾燥後の被洗浄物表面は、シミ、錆のない良好なも
のであった。
【0066】実施例4 実施例2−3で得られた防錆剤が500ppmである濯
ぎ水を、20℃又は70℃恒温、60000G・sの条
件にて遠心分離処理を行い、得られた重液中の界面活性
剤残存率、及び防錆剤残存率の測定を行った(表4)。
【0067】
【表4】
【0068】非イオン界面活性剤を含有する、5重量%
水溶液の曇点が5〜100℃である洗浄液を用いて洗浄
を行った場合、濯ぎ水を曇点以上の温度において遠心分
離処理を行うことにより、界面活性剤を効率よく除去す
ることができる。
【0069】実施例5 切削油の付着した六角ナット(19mm対角長さ、ネジ
穴径9mm、厚さ7.2mm)をポリオキシエチレン
(8モル)ラウリルエーテル(40重量%)、水(60
重量%)からなる洗浄液で洗浄し、次いで亜硝酸ナトリ
ウム、リン酸ナトリウム、又はキノリンが1000pp
mの濃度で溶解した濯ぎ水により、濯ぎを行った。次い
で、濯ぎ水を60℃、1000000G・sの条件にて
遠心分離処理を施し、軽液として界面活性剤を除去し、
濯ぎ水の再生を行った。再生された濯ぎ水中の界面活性
剤残存率、及び防錆剤残存率の結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】0℃の水への溶解度を基準とした防錆剤の
溶解性について、0.1重量%未満の溶解性を持つ防錆
剤を使用した場合、遠心分離処理の際に、軽液として排
出除去される界面活性剤に防錆剤が溶解して同時除去さ
れる。即ち、かかる程度の溶解性を有する防錆剤は、遠
心処理により損失が認められる。
【0072】なお、上記の実施例で用いた防錆剤の、
0.1g防錆剤/100g水のpHは次の通りである。 亜硝酸ナトリウム:6.4 ジエタノールアミン:10.4 N−メチルモルホリン:9.6 ケイ酸ナトリウム:11.8 安息香酸ナトリウム:6.11 ベンゾトリアゾール:5.24 リン酸ナトリウム:11.6
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、電子部品及び/又は機
械部品の洗浄において洗浄液および防錆剤の使用量の低
減を図ることができ、また濯ぎにおいては排水の発生量
を削減することにより排水コストの低減、環境保全、さ
らに従来必要であった排水処理設備に対し、装置設置ス
ペースの低減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に用いられる処理フローの図で
ある。
【図2】図2は、本発明に用いられる処理フローの図で
ある。
【図3】図3は、本発明に用いられる処理フローの図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−146035(JP,A) 特開 平7−3290(JP,A) 特開 平7−155716(JP,A) 特開 平7−11467(JP,A) 特開 平6−10174(JP,A) 特開 平7−48593(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 17/00 - 17/12 C02F 1/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤を含有する洗浄液を用いて被
    洗浄物に付着した油性汚れを洗浄し、次いで濯ぎ工程に
    おいて、水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤/
    100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100g
    水の防錆剤水溶液のpHが3〜13である防錆剤を含有
    する濯ぎ水で濯ぎを行い、これにより発生する不溶成分
    を含有する濯ぎ水の再生に際して、該濯ぎ水に遠心分離
    処理を施すことにより濯ぎ水から不溶成分を分別除去す
    ることを特徴とする濯ぎ水の再生方法。
  2. 【請求項2】 (I):(a)水への溶解度が0℃にお
    いて0.1g防錆剤/100g水以上であり、かつ0.
    1g防錆剤/100g水の防錆剤水溶液のpHが3〜1
    3である防錆剤、及び(b)界面活性剤を含有する洗浄
    液を用いて被洗浄物に付着した油性汚れを洗浄する工
    程、並びに、 (II):水への溶解度が0℃において0.1g防錆剤
    /100g水以上であり、かつ0.1g防錆剤/100
    g水の防錆剤水溶液のpHが3〜13である防錆剤を含
    有する濯ぎ水で濯ぎを行う工程を含む洗浄方法において
    発生する、工程(I)における不溶な油性汚れを含有す
    る洗浄液及び工程(II)における不溶成分を含有する
    濯ぎ水の再生方法であって、該洗浄液に遠心分離処理を
    施すことにより、洗浄液から油性汚れを分別除去し、該
    濯ぎ水を請求項記載の方法により再生することを特徴
    とする、洗浄液及び濯ぎ水の再生方法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤が少なくとも非イオン界面活
    性剤を含有し、該非イオン界面活性剤の5重量%水溶液
    の曇点が5〜100℃である請求項1記載の再生方法。
  4. 【請求項4】 界面活性剤が少なくとも非イオン界面活
    性剤を含有し、該非イオン界面活性剤の5重量%水溶液
    の曇点が5〜100℃である請求項2記載の再生方法。
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