JP3379809B2 - 眼科撮影装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は眼科撮影装置に係り、さ
らに詳しく述べれば被検者の左右両眼を同一のフィルム
に撮影する眼科撮影装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】被検者眼にプラチドリングを投影し、投
影されたプラチドリング像を被検眼とともにフィルムに
撮影する装置が知られている。

【０００３】その装置は被検者の左右両眼を一枚のフィ
ルムに撮影するようになっている。装置は、被検眼の一
眼を撮影光軸上に位置合わせ、フィルムの片半面に写し
込む。次に、撮影光学系を他眼に移動して位置合わせす
るとともに、フイルムバックを撮影光軸に直交する面上
にスライドさせ、フィルムの残りの片半面に他眼を写し
込む。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな撮影装置においては、フィルムバックのスライド機
構の隙間による漏光や、スライド機構部に配置される遮
光材の劣化によるゴミ等が撮影像に悪影響を与えるとい
う問題があった。

【０００５】また、フィルムバックを撮影眼の左右切替
ごとにスライドさせなければならず、その切替操作が煩
わしいという欠点や、切替操作を忘れると多重露光によ
り撮影不良となり、再度初めから撮影し直さなければな
らないというような欠点があった。

【０００６】本発明は、上記従来装置の欠点に鑑み案出
されたものであり、撮影眼の左右切替に伴う切替操作を
簡単にして、撮影者の負担を軽減した眼科撮影装置を提
供することを目的とする。

【０００７】また、第２の目的は、切替操作を改良して
漏光等の影響を避け良質な撮影像を得ることができる眼
科撮影装置を提供することにある。第３の目的は、左右
の切替忘れによる多重露光を防止することができる眼科
撮影装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の眼科撮影装置
は、上記目的を達成するために、次の構成を持つことを
特徴とする。 （１） 被検者眼の両眼を一枚のフィルムに撮影する眼
科撮影装置において、光学系の一部が互いに共用される
左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を持つとともに左
眼用撮影光路および右眼用撮影光路を選択的に使用する
ための光路選択光学素子を持つ撮影光学系と、該光路選
択光学素子を駆動する駆動手段と、を具備することを特
徴とする。

【０００９】（２） 被検者眼の両眼を一枚のフィルム
に撮影する眼科撮影装置において、光学系の一部が互い
に共用される左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を持
つとともに左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を選択
的に使用するための光路選択光学素子を持つ撮影光学系
と、該光路選択光学素子を駆動する駆動手段と、撮影す
る被検者眼の左右を判別する判別手段と、該判別手段の
判別結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段
と、を具備することを特徴とする。

【００１０】（３） （１）または（２）のいずれかの
眼科撮影装置は、被検眼に角膜形状測定用の指標を投影
する指標投影手段を具備することを特徴とする。

【００１１】（４） 被検者眼に角膜形状測定用の指標
を投影する指標投影手段と、該指標が投影された被検者
眼の両眼を一枚のフィルムに撮影する撮影光学系を具備
する眼科撮影装置において、前記撮影光学系は光路中に
配置されたミラ−を有し、該ミラ−の位置により選択的
に撮影光束を前記フィルムの左右半面の一方に導く分岐
光路を持つことを特徴とする。

【００１２】（５） 被検者眼に角膜形状測定用の指標
を投影する指標投影手段と、該指標が投影された被検者
眼の両眼を一枚のフィルムに撮影する撮影光学系を具備
する眼科撮影装置において、前記撮影光学系はミラ−の
位置により選択的に撮影光束を前記フィルムの左右半面
の一方に導く分岐光路を持ち、前記ミラ−は撮影する被
検者眼の左右を判別する判別手段の判別結果に基づいて
位置を変えることを特徴とする。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を角膜形状解析用の撮影装置に
適用した一実施例を図面に基づいて説明する。撮影系と
左右眼検出系とミラ−駆動系に分けて説明する。

【００１４】［撮影系］図１は実施例の装置の撮影系の
光学系を横から見た概略配置図である。実施例の装置の
撮影系の光学系は、照明光学系、観察光学系及び撮影光
学系から構成される。図２は図１の撮影光学系を上から
見た図である。

【００１５】（照明光学系）１はド−ム状のプラチド板
であり、中央部に開口を持っている。プラチド板１に
は、撮影光軸を中心にして多数の所定幅のリング状の透
光部が配置されている。プラチド板１の後方には、撮影
用光源であるリングストロボ２、観察用光源であるリン
グ状の蛍光灯３が配置され、これらの光源から発する照
明光は反射ドーム板４で反射され、プラチド板１をほぼ
均一に照明する。プラチド板１の透光部を透過した照明
光は被検眼角膜で反射していわゆるプラチドリングを形
成する。

【００１６】（撮影光学系）５は対物レンズである。６
はクイックリターンミラーであり、撮影のトリガ信号に
より破線で示す位置に退去する。７は像の拡大を行うフ
ィールドレンズ、８は結像レンズである。９は回転ミラ
ーであり、後述するミラ−駆動系により被検者の左右眼
に対応して回転して光路を切り替える。１０ａ，１０ｂ
はミラーであり、１１はフィルム面である。

【００１７】角膜で反射したリングストロボ２の光束
は、対物レンズ５、フィールドレンズ６、結像レンズ８
を経て回転ミラー９に向かう。被検者右眼の角膜反射像
は、回転ミラー９が図２上のＡ位置に回転してミラー１
０ａへ導かれ、フィルム面１１の左側フィールドへ結像
する。同様に被検者左眼の角膜反射像は、回転ミラー９
が図２上のＢ位置に回転してミラー１０ｂへ導かれ、フ
ィルム面１１の右側フィールドへ結像する。

【００１８】（観察光学系）観察光学系は撮影光学系と
対物レンズ５を共有する。１２、１３はリレーレンズ、
１４は光束の向きを変えるミラー、１５はリング状の開
口を有する絞りである。１６は中央に十字マークが形成
されたレチクルであり、フィルム面１１と共役な位置に
配置されている。１７は視度の調整およびレチクル１６
への投影像の拡大観察を行うための接眼レンズであり、
１８は検者眼である。

【００１９】角膜で反射した蛍光灯３の光束は、実線で
示す位置にあるクイックリターンミラー７によって上方
向に反射された後、リレーレンズ１２、１３、ミラー１
４を介して絞り１５を通過し、レチクル１６上に像を形
成する。検者は、接眼レンズ１７により像を観察して、
十字マークに対して像の位置を調整する。また、絞り１
５により分割された光束をレチクル１６上で合致させる
ことによって、ピント合わせを行う。

【００２０】［左右眼検出系］図３は、一部透視図を含
む装置の外観側面図であり、固定台２０には、被検者眼
を固定するための顎台２１が固設されている。２２は前
述の撮影系の光学系等が配置される光学系ユニットであ
り、光学系ユニット２２の検査者側には撮影フィルムを
備えるカメラユニット２３が取り付けられている。光学
系ユニット２２は摺動台２４に上下動可能に保持され、
摺動台２４はジョイスティック２５の操作により固定台
２０に対して前後左右に摺動する。

【００２１】装置は、摺動台２４の固定台２０に対する
位置を検出することにより、撮影しようとする被検者の
左右眼を判定する。左右眼検出機構の詳細は次のように
なっている。図４は図３のＣ−Ｃ断面図であり、図５は
図３のＤ−Ｄ断面図である。

【００２２】摺動台２４の下部には基部３１ａを介して
移動支基３１が固設され、移動支基３１は前後移動用軸
受３２を介して案内菅３３を回動自在に保持している。
移動支基３１は、案内菅３３および左右移動用軸受３４
を介して、水平シャフト３５の軸方向に摺動可能に保持
されている。水平シャフト３５の両端には車輪３６が固
定されており、この車輪３６は固定台２０の底面に設け
られた案内板３７に沿って前後方向に回転する。

【００２３】移動支基３１には取付板３８にて光センサ
３９が取り付けられており、光センサ３９は固定台２０
の底面に向けて検出光を出射するとともに、その反射光
を受けて電位を変化させる。光センサ３９に対向する固
定台２０には、検出光に対する反射率の高いエリア４０
ａと反射率の低いエリア４０ｂを持つ底板４０が設けら
れている。エリア４０ａは、装置の光学系の光軸を固定
台２０の中央に位置させた時の光センサ３９の位置を基
準に、光センサ３９が右側に移動する範囲をカバーして
おり、エリア４０ｂは左側の範囲をカバーしている。顎
台２１に固定される被検者の左右中心は固定台２０の左
右中心にほぼ相応しており、光学系ユニット２２が左右
方向に移動すると、光学系ユニット２２に連動して光セ
ンサ３９が左右に移動するので、光センサ３９の検出信
号により、光学系ユニット２２が被検者眼の左右いずれ
の側にあるのか検出される。撮影眼の左右判定は、所定
時間継続していずれの側にあるのか否かによって判定す
るが、他の方法によってもよい。

【００２４】［ミラ−駆動系］図６は光学系ユニット２
２の回転ミラー９の駆動を説明するための概略斜視図で
ある。４１は光学系の回転ミラー９を保持するミラーサ
ポータであり、その上端及び下端には同軸の上方軸４
２、下方軸４３が固定されている。上方軸４２、下方軸
４３はそれぞれ不図示のベアリングを介して光学系ユニ
ット２２内で回転可能に保持される。下方軸４３の下端
は作動レバー４４が固着され、作動レバー４４の他端に
は作動ピン４５が植設されている。作動ピン４５は駆動
レバー４６に設けられた溝部４６ａに係合し、駆動レバ
ー４６はソレノイド４７の回転軸４８に固着されてい
る。ソレノイド４７は印加電圧の極性を変えることによ
り、その回転軸４８の回転方向を変える。また４９、５
０は作動レバー４４の回転を所定の角度に制限するスト
ッパーピンであり、光学系ユニット２０に固定されてい
る。

【００２５】ソレノイド４７の回転軸４８の回転方向の
正・逆により、駆動レバー４６が回転すると、回転ミラ
ー９も作動ピン４５を介してストッパーピン４９、５０
に当接するまで回転し、回転ミラー９は図２のＡ位置ま
たはＢ位置に位置する。

【００２６】以上のような構成を持つ実施例の装置にお
いて、以下その動作を図７の電気系の要部ブロック図に
基づいて説明する。

【００２７】検者は被検者眼を顎台２１に固定し、観察
用照明光源である蛍光灯３を点灯して被検者眼を照明す
る。被検者の右眼を撮影する場合、検者はジョイスティ
ック２５を操作して、光学系ユニット２２を右眼側に移
動する。光センサ３９は、光学系ユニット２２が固定台
２０の中央に対し左側（反射エリア４０ａ上）に位置す
ることを検出する。

【００２８】この光センサ３９からの電位信号は、信号
検出・処理回路６０により検出・処理され、撮影眼の左
右が判定される。左右判定結果に基づいてソレノイド駆
動回路６１を制御してソレノイド４７を駆動し、回転軸
４８を時計回りの方向（図６上）に回転する。これによ
りミラーサポータ４１が反時計周りに回転して、回転ミ
ラー９が図２上のＡ位置になり、フィルム面１１の左側
に撮影光路が切り替わる。

【００２９】検査者は接眼レンズ１７を覗きながらアラ
イメント及びピント合せを行い、ジョイスティック２５
の頂部に配置されている撮影ボタンを押すと、リターン
ミラー７が破線の位置に退去するとともに、リングスト
ロボ２が発光し、撮影が行われる。

【００３０】続いて、同様にして被検者の左眼を撮影す
る。このとき摺動台２４は固定台２０の中央に対し右側
に位置するため、光センサ３９はエリア４０ｂ上にあ
り、ソレノイド４７に付加する電圧の極性は逆転され、
回転軸４８は逆回転する。これにより回転ミラー９が図
２上のＢ位置となり、フィルム面１１の右側に撮影光路
が切り替わる。撮影ボタンを押すと、リターンミラー７
が破線の位置に退去するとともに、リングストロボ２が
連動発光し、撮影が行われる。

【００３１】以上の実施例では、回転ミラーの駆動源と
してはソレノイドを使用したが、これに限らずモータ等
によるもので構成しても良く、また、撮影光路の切り替
えはミラー等の脱着等の方法でもよい。被検者の左右眼
の検出機構においても位置検出として光センサを使用し
たが、マイクロスイッチ等の検知手段でも良い。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、撮影光路の切り替えだ
けで一枚のフィルムに左右眼の撮影ができるので、漏光
等により撮影像が悪化することが避けられる。

【００３３】また、撮影光路の切り替えが光学系ユニッ
ト位置の検出結果に基づいて自動的に行われるので、操
作性が極めて向上するとともに、左右の切換え忘れによ
る多重露光等の撮影不良をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の装置の撮影系の光学系を横から見た概
略配置図である。

【図２】図１の撮影光学系を上から見た図である。

【図３】実施例の装置の一部透視図を含む外観側面図で
ある。

【図４】図３のＣ−Ｃ断面図である。

【図５】図３のＤ−Ｄ断面図である。

【図６】光学系ユニット２２の回転ミラー９の駆動を説
明するための概略斜視図である。

【図７】実施例の装置の電気系の要部ブロック図であ
る。

【符号の説明】

１ プラチド板 ９ 回転ミラー １０ａ，１０ｂ ミラー １１ フィルム面 ３９ 光センサ ４７ ソレノイド

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被検者眼の両眼を一枚のフィルムに撮影
   する眼科撮影装置において、光学系の一部が互いに共用
   される左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を持つとと
   もに左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を選択的に使
   用するための光路選択光学素子を持つ撮影光学系と、該
   光路選択光学素子を駆動する駆動手段と、を具備するこ
   とを特徴とする眼科撮影装置。
2. 【請求項２】 被検者眼の両眼を一枚のフィルムに撮影
   する眼科撮影装置において、光学系の一部が互いに共用
   される左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を持つとと
   もに左眼用撮影光路および右眼用撮影光路を選択的に使
   用するための光路選択光学素子を持つ撮影光学系と、該
   光路選択光学素子を駆動する駆動手段と、撮影する被検
   者眼の左右を判別する判別手段と、該判別手段の判別結
   果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、を具
   備することを特徴とする眼科撮影装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２のいずれかの眼科撮影
   装置は、被検眼に角膜形状測定用の指標を投影する指標
   投影手段を具備することを特徴とする眼科撮影装置。
4. 【請求項４】 被検者眼に角膜形状測定用の指標を投影
   する指標投影手段と、該指標が投影された被検者眼の両
   眼を一枚のフィルムに撮影する撮影光学系を具備する眼
   科撮影装置において、前記撮影光学系は光路中に配置さ
   れたミラ−を有し、該ミラ−の位置により選択的に撮影
   光束を前記フィルムの左右半面の一方に導く分岐光路を
   持つことを特徴とする眼科撮影装置。
5. 【請求項５】 被検者眼に角膜形状測定用の指標を投影
   する指標投影手段と、該指標が投影された被検者眼の両
   眼を一枚のフィルムに撮影する撮影光学系を具備する眼
   科撮影装置において、前記撮影光学系はミラ−の位置に
   より選択的に撮影光束を前記フィルムの左右半面の一方
   に導く分岐光路を持ち、前記ミラ−は撮影する被検者眼
   の左右を判別する判別手段の判別結果に基づいて位置を
   変えることを特徴とする眼科撮影装置。