JP3378046B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JP3378046B2 JP10079993A JP10079993A JP3378046B2 JP 3378046 B2 JP3378046 B2 JP 3378046B2 JP 10079993 A JP10079993 A JP 10079993A JP 10079993 A JP10079993 A JP 10079993A JP 3378046 B2 JP3378046 B2 JP 3378046B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液適合性、特に抗血
栓性を有する熱可塑性重合体組成物およびそれを用いた
医療用具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療用具に血液適合性、特に抗血
栓性を付与する研究や開発が盛んになっている。血液適
合性の付与、具体的には、抗血栓性の付与に際しては、
抗血栓性物質が比較的耐熱性が低いことを考慮して、抗
血栓性物質を医療用具の表面に塗布、あるいは結合させ
ることにより行われている。具体的には、血栓溶解性物
質(ウロキナーゼやストレプトキナーゼ等)、血栓形成
抑制物質(多糖類やプロスタグランジン等)、新生内膜
形成促進物質等の抗血栓性物質を、合成樹脂により形成
された医療用具の表面(特に、血液接触面)に塗布した
り、イオン結合や共有結合によって結合させる方法が採
用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
抗血栓性物質の医療用具の表面への塗布、結合のいずれ
の場合も、医療用具を製造し、その後に上記したような
抗血栓性物質の塗布あるいは結合といった処理を医療用
具の表面に施す必要がある。そのため医療用具の製造工
程が多くなり複雑なものとなる。また、場合によっては
高度の技術を必要とする。
【0004】その上、塗布による方法は、塗膜の早期剥
離、塗膜形成による医療用具の厚肉化や内外寸法の変動
等の問題がある。更に、抗血栓性物質を医療用具表面に
固着する方法では、結合剤を必要とすることが多く、ま
た、抗血栓性物質や結合剤を溶解または分散させるため
に溶媒も必要となる。このため抗血栓性物質または結合
剤の塗布後、残留する溶媒、結合剤の除去等の必要があ
った。さらに、イオン結合や共有結合により抗血栓性物
質を結合させる方法では、医療用具の表面および抗血栓
性物質の両方に、イオン性の基または共有結合可能な官
能基を導入しておく必要もある。そのための処理作業が
極めて複雑であり、場合によっては医療用具の形成材料
や抗血栓性物質の種類が限られ、しかもイオン結合や共
有結合によって抗血栓性物質が変性を受けて、抗血栓性
の低下、あるいは消失する危険性もあり、また、医療用
具自体の物性低下の問題もある。
【0005】さらに、医療用具は、使用目的に応じた種
々の形状をしている。このため、医療用具の血液接触面
も複雑な形状となっいてる場合もある。このため、医療
用具のすべての血液接触面に抗血栓性物質を塗布あるい
は結合させることが、困難な場合もある。このため、医
療用具の血液接触面に、抗血栓性材料が塗布あるいは結
合されていない部分、あるいは、きわめて少量の抗血栓
性物質しか塗布あるいは結合されていない部分が形成さ
れることもある。
【0006】本発明の目的は、抗血栓性物質の塗布、結
合といった処理を行うことなく、よって、抗血栓性物質
の塗布、結合による問題点を解消し、成形物の全体に、
血液適合性、特に、抗血栓性を付与することができる新
規な熱可塑性重合体組成物およびそれを用いた医療用具
を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、プロテアーゼ
阻害剤を含有する熱可塑性重合体組成物である。そし
て、前記プロテアーゼ阻害剤が、合成プロテアーゼ阻害
剤であることが好ましい。また、前記プロテアーゼ阻害
剤は、分解点が使用される熱可塑性樹脂の溶融温度より
高いものであることが好ましい。さらに、前記プロテア
ーゼ阻害剤は、アミジノ基、アミジノ基が陽イオン化し
た基、グアニジノ基、またはグアニジノ基が陽イオン化
した基を有するプロテアーゼ阻害剤であることが好まし
い。特に、前記プロテアーゼ阻害剤は、メシル酸ガベキ
サート,メシル酸ナファモスタット,ベンツアミジン塩
酸塩,ジピリダモール,トラピジルよりなる群より選ば
れた少なくとも一種のものであることが好ましい。さら
に、前記熱可塑性重合体は、ミクロ相分離構造またはミ
クロドメイン構造を有する熱可塑性重合体であることが
好ましい。さらに、前記熱可塑性重合体は、ポリエーテ
ル鎖を分子中に有する熱可塑性重合体であることが好ま
しい。さらに、前記熱可塑性重合体組成物は、ポリエー
テル系ポリウレタンブロック共重合体、ポリエーテルポ
リアミドブロック共重合体、ポリエーテルポリエステル
ブロック共重合体のいずれかであることが好ましい。
【0008】また、上記目的を達成するものは、プロテ
アーゼ阻害剤を含有する熱可塑性重合体組成物により、
少なくとも血液と接触する部分が形成された医療用具で
ある。そして、前記医療用具は、カテーテルまたは人工
血管であることが好ましい。
【0009】本発明の熱可塑性樹脂組成物について、具
体的に説明する。本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱
可塑性重合体を主材料とし、これにプロテアーゼ阻害剤
が添加されている。本発明の熱可塑性重合体組成物で使
用されるプロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼからなる
13種類の血液凝固因子前駆体(例えばフィブリノーゲ
ン、プロトロンビン、組織トロンボプラスチン、血漿ト
ロンボプラスチン、プレカリクレイン等)、およびそれ
ら前駆体から生成された活性型凝固因子(トロンビン、
プラスミン、カリクレイン等)のうちの少なくとも1種
に作用してその活性を阻害し、血液の凝固を防止または
抑制する。つまり、プロテアーゼ阻害剤は、いわゆる血
液中の血液凝固系の液性因子の作用を阻害する。
【0010】プロテアーゼ阻害剤としては、合成阻害剤
が好ましい。また、分子量としては、約200〜約30
00のものが好ましい。融点は80〜300℃が好まし
く溶融時も安定なものが好ましい。分解点は融点以上で
あることが好ましい。また、プロテアゼー阻害剤の分解
点(耐熱温度)は、90℃以上であることが好ましい。
そして、プロテアゼー阻害剤の分解点(耐熱温度)は、
使用される熱可塑性樹脂の溶融温度より高いことが好ま
しい。プロテアーゼ阻害剤としては、具体的には、メシ
ル酸ガベキサート[メシル酸は、メタンスルホン酸の慣
用名)[エチル−4−(6−グアニジノヘキサノイロキ
シ)ベンゾエートメタンスルホネート]、メシル酸ナフ
ァモスタット(6−アミジノ−2−ナフチルp−グアニ
ジノベンゾエートジメタンスルホネート)、ベンツアミ
ジン塩酸塩、ジピリダモール(2,6−ビス(ジエタノ
ールアミノ)−4,8−ジピペリジノピリミド(5,4
−d)ピリミジン]、トラピジル(7−ジエチルアミノ
−5−メチル−s−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジ
ン)等の合成阻害剤が好適である。
【0011】上記のプロテアーゼ阻害剤は、従来のヘパ
リン等のムコ多糖類と異なり、その高いプロテアーゼ阻
害活性と併せて熱安定性を有している。特に、下記式
[1]に示すアミジノ基(amidino group)またはその
陽イオン化したもの(式[2])、さらに式[3]に示
すグアニジノ基(guanidino group)またはその陽イオン
化したもの(式[4])で示す官能基を有する合成阻害
剤であることが好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】そして、メシル酸ガベキサートは、式5に
示す構造を有しており、1つのグアニジノ基を有してい
る。メシル酸ナファモスタットは、式6に示す構造を有
しており、1つのアミジノ基と1つのグアニジノ基を有
している。ベンツアミジン塩酸塩は、式7に示す構造を
有しており、1つのアミジノ基を有している。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】上記したプロテアーゼ阻害剤のうちでも、
耐熱温度がメシル酸ナファモスタットが約260℃と高
く、種々の熱可塑性重合体に配合することができ、しか
もプロテアーゼ阻害活性が高く好ましい。そして、プロ
テアーゼ阻害剤は、使用される熱可塑性重合体の溶融成
形温度より高い耐熱温度(分解温度)をもち、熱可塑性
重合体への溶解性が良好なものが選択される。さらに、
熱可塑性重合体中に添加されたプロテアーゼ阻害剤が、
医療用具の表面、特に、血液接触面から血液の凝固を防
止または抑制し得る有効量で外部に徐々に溶出し得るも
のが望ましい。しかしながら、本発明で使用するプロテ
アーゼ阻害剤は上記のものに限定されない。
【0021】そして、本発明の血液適合性の物品の製造
に際しては、種々のプロテアーゼ阻害剤のうちから、物
品製造時に使用される各熱可塑性重合体の溶融成形温度
でそのプロテアーゼ阻害作用を失わないものが選択され
る。プロテアーゼ阻害剤は、1種類のみを使用しても、
または互いに悪影響を及ぼさない場合は2種類以上を併
用してもよい。
【0022】本発明の熱可塑性重合体組成物の主材料と
なる熱可塑性重合体としては、溶融成形が可能な重合体
であればいずれも使用できる。具体的には、ポリエステ
ル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、オレフィンの
単独重合体または共重合体(ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレ
ン−塩化ビニル共重合体等)、メタアクリル酸エステル
の単独重合体または共重合体、塩化ビニルの単独重合体
または共重合体、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、
天然ゴム、合成ゴム(イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等)、シリコーンゴ
ム等を挙げることができる。熱可塑性重合体は1種類の
みを使用しても、または2種以上をブレンドして使用し
てもよい。上記した熱可塑性重合体のうちから、医療用
具の用途、形状に適した重合体が選択される。
【0023】熱可塑性重合体としては、その溶融成形温
度が、使用されるプロテアーゼ阻害剤の耐熱温度(分解
温度)よりも低く、プロテアーゼ阻害剤の重合体中への
溶解性(プロテアーゼ阻害剤と重合体の親和性)が良好
なものが好ましい。
【0024】さらに、熱可塑性重合体としては、ミクロ
相分離構造、ミクロドメイン構造といわれるような構造
を有するものが好適である。ミクロドメイン構造として
は、ラメラ状、海島状、シリンダー状のいずれのもので
もよい。また、ミクロドメイン構造としては、それぞれ
の相が、結晶相と非結晶相とからなるもの、親水性相と
疎水性相とからなるものなどがある。特に、ミクロドメ
イン構造としては、結晶相と非結晶相とからなるミクロ
ドメイン構造を有する熱可塑性重合体が好ましい。
【0025】ミクロドメイン構造を有する熱可塑性重合
体は、抗血小板性に優れ、ある程度の抗血栓性を有す
る。しかし、血液中の血液凝固系の液性因子に対する阻
害作用は、低いと言われている。本発明の熱可塑性重合
体組成物では、プロテアーゼ阻害剤を含有するため、血
液中の血液凝固系の液性因子に対する阻害作用を有し、
かつ熱可塑性重合体として、上述のミクロドメイン構造
を有するものを用いれば、抗血小板性を有するものとな
り、高い抗血栓性を有するものとなる。
【0026】ミクロドメイン構造を有する熱可塑性重合
体としては、種々のものがあるが、特に、ポリプロピレ
ンオキシド鎖、ポリエチレンオキシド鎖、ポリテトラメ
チレンオキシド鎖等のポリエーテル鎖を分子中に有する
熱可塑性重合体が好ましい。具体的には、ポリエーテル
系ポリウレタン(セグメント化ポリウレタン)、ポリエ
ーテルポリアミド、ポリエーテルポリエステルが好適で
ある。それら重合体としては、グラフト共重合体、ブロ
ック共重合体のいずれでもよいが、このましくは、ブロ
ック共重合体である。ブロック共重合体としては、An
−Bnタイプ、An−Bn−Anタイプ、(A−B)n
タイプなどがあり、好ましくは、(A−B)nのマルチ
ブロックタイプの共重合体である。そして、ポリエーテ
ル鎖を分子中に有するこれらの熱可塑性重合体を用いる
ことにより、熱可塑性重合体組成物は、プロテアーゼ阻
害剤の徐放性を有するものとなる。このため、より高い
抗血栓性を有する。ポリエーテル鎖を分子中に有する重
合体に添加されたプロテアーゼ阻害剤は、そのポリエー
テル鎖部分に溶解・捕捉される一方、ポリエーテル鎖部
分を経路として外部に放出されるものと考えられる。
【0027】熱可塑性重合体中へのプロテアーゼ阻害剤
の添加量は、各々のプロテアーゼ阻害剤のプロテアーゼ
阻害活性、プロテアーゼ阻害剤の熱可塑性重合体からの
溶出速度、医療用具を形成する熱可塑性重合体の種類、
医療用具の形状や用途、医療用具における血液接触面の
大きさ等の種々の要件によって異なり得る。一般的に
は、熱可塑性重合体に対して約100ppm〜25重量
%程度とするのがよい。好ましくは、500ppm〜2
0重量%である。本発明のプロテアーゼ阻害剤含有熱可
塑性重合体組成物は、プロテアーゼ阻害剤と熱可塑性重
合体の単なる混合物のままであっても、または混合物を
溶融混練および押出などの方法により、ペレット、シー
ト、棒状など形状にしたものであってもよい。また、本
発明の熱可塑性重合体組成物は、形成された医療用具の
血液適合性を損なわない限りは、熱可塑性重合体に対し
て使用される種々の添加剤を必要に応じて含有すること
ができる。
【0028】そして、本発明の血液適合性を有する医療
用具は、上述のプロテアーゼ阻害剤を含有した熱可塑性
重合体組成物を用いて、少なくとも血液接触面、言い換
えれば、血液と接触する部分が形成されている。そし
て、医療用具全体を、本発明の熱可塑性重合体組成物で
形成してもよい。また、血液接触面となる部分のみ、本
発明のプロテアーゼ阻害剤を含有する熱可塑性重合体組
成物で形成し、その他の部分は、プロテアーゼ阻害剤を
含有しない熱可塑性重合体で形成し、両者を組合わせて
医療用具を製造してもよい。本発明の医療用具は、従来
の熱可塑性重合体成形法により製造される。成形方法
は、目的とする医療用具の種類等に応じて、例えば押出
成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブ
ロー成形、圧縮成形、粉末成形、注型等の任意の成形法
が採用される。
【0029】本発明の熱可塑性重合体組成物は、管状、
フイルム状、シート状、板状、繊維状、糸状、織布状、
不織布状、棒状、容器状、シリンジ状、袋状、箱状、ト
レー状、およびその他の任意の形状に加工され、そのま
ま医療用具として、あるいは医療用具の構成部品として
使用される。また、本発明の血液適合性を有する医療用
具としては、血液適合性、特に抗血栓性が必要とされる
全ての医療用具において使用することができる。医療用
具の具体例としては、人工腎臓、人工心臓、人工肺等の
人工臓器とその回路チューブ、人工血管、血液バッグ、
カテーテル、注射筒、点滴セット、血液フィルターなど
血液接触面を有するものが考えられる。また、製造され
た医療用具の表面にプロテアーゼ阻害剤が過剰に付着し
ている場合は、医療用具を実際に使用する前に洗浄して
除去しておくのが望ましく、その場合の洗浄は水、アル
コール等によって行うことができる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)メシル酸ナファモスタット(商品名フサ
ン,鳥居薬品株式会社製,分解温度260℃)をポリプ
ロピレンオキシド鎖を有するポリエーテルナイロン61
0(テルモ株式会社製、結晶相と非結晶相とのミクロ相
分離構造を有する)に、10wt%添加して2軸混練機
(東洋精機社製,商品名ラボプラストミル)により24
0℃で溶融混練して、本発明の熱可塑性重合体組成物
(実施例1)を作成した。そして、この実施例1の熱可
塑性重合体組成物を用いて、押出成形機により外径1.
10mm、内径0.78mmのチューブを成形した後、
先端を加工して本発明の医療用具の一種であるカテーテ
ル(実施例7)を作成した。また、比較のために、同サ
イズのエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E
TFE)製カテーテル(比較例1)を用意した。
【0031】(実施例2)メシル酸ナファモスタット
(商品名フサン,鳥居薬品株式会社製)をポリエーテル
ポリエステル(商品名ハイトレル 4057,東レ・デュ
ポン社製、ラメラ状のミクロドメイン構造を有する)
に、12.5wt%添加して2軸混練機(東洋精機社
製、商品名ラボプラストミル)より185℃で溶融混練
して、本発明の熱可塑性重合体組成物(実施例2)を作
成した。そして、この実施例2の熱可塑性重合体組成物
を用いて、押し出し成形機により、実施例1と同様に本
発明のカテーテル(実施例8)を作成した。
【0032】(実施例3)メシル酸ナファモスタット
(商品名フサン,鳥居薬品株式会社製)をポリプロピレ
ンオキシド鎖を有するポリエーテルポリアミド(商品名
PAE1200,宇部興産社製、結晶相と非結晶相と
のミクロ相分離構造を有する)に、20wt%添加して
2軸混練機(東洋精機社製、商品名ラボプラストミル)
より175℃で溶融混練して、本発明の熱可塑性重合体
組成物(実施例3)を作成した。そして、実施例3の熱
可塑性重合体組成物を用いて、押し出し成形機により、
この実施例1と同様に本発明のカテーテル(実施例9)
を作成した。
【0033】(実施例4)メシル酸ガベキサート(商品
名エフオーワイ,小野薬品株式会社製)をエチレン・ア
クリル酸エステル・無水マレイン酸三元共重合体(商品
名ボンダイン,住友化学工業株式会社製,ミクロドメイ
ン構造をもたない)に、15wt%添加して2軸混練機
(東洋精機社製、商品名ラボプラストミル)より90℃
で溶融混練して、本発明の熱可塑性重合体組成物(実施
例4)を作成した。そして、この実施例4の熱可塑性重
合体組成物を用いて、押し出し成形機により、実施例1
と同様に本発明のカテーテル(実施例10)を作成し
た。
【0034】(実施例5)メシル酸ガベキサート(商品
名エフオーワイ,小野薬品株式会社製)をポリエーテル
ポリアミド(商品名 ペバックス5562,アトケム社
製,ラメラ状のミクロドメイン構造を有する)に、10
wt%添加して2軸混練機(東洋精機社製、商品名ラボ
プラストミル)より130℃で溶融混練して、本発明の
熱可塑性重合体組成物(実施例5)を作成した。そし
て、実施例5の熱可塑性重合体組成物を用いて、押し出
し成形機により、この実施例1と同様に本発明のカテー
テル(実施例11)を作成した。
【0035】(実施例6)ベンツアミジン塩酸塩(アル
ドリッチ株式会社製)をポリエーテルポリアミド(商品
名 ペバックス5562,アトケム社製、結晶相と非結
晶相とのミクロ相分離構造を有する)に、15wt%添
加して2軸混練機(東洋精機社製、商品名ラボプラスト
ミル)より130℃で溶融混練して、本発明の熱可塑性
重合体組成物(実施例6)を作成した。そして、実施例
6の熱可塑性重合体組成物を用いて、押し出し成形機に
より、この実施例1と同様に本発明のカテーテル(実施
例12)を作成した。
【0036】(実験1)実施例1,2,3,4,5,6
の熱可塑性重合体組成物を用いて形成したカテーテル
(実施例7〜12)および比較例1のカテーテルを用い
て以下の実験を行った。日本白色家兎の左右の総頸静脈
を切り開き、その各々に、実施例7のカテーテルと比較
例1のETFE製カテーテルを各1本ずつを挿入して静
脈を閉じた。24時間後、ヘパリンを兎に1000un
its/kg体重の割合で投与した後、生理食塩水を投
与しながら脱血した。カテーテルの留置後、24時間経
過後に、留置部位の血管を切り開き、カテーテル挿入部
位付近を観察した。そして、その観察し結果より、実施
例7のカテーテルの外面および内面には、何ら血栓が形
成されていなかった。しかし、比較例1のカテーテルで
は、カテーテルの静脈の上流側の部分に血栓が形成され
ていた。
【0037】そして、実施例8〜12のカテーテルを用
いて、上記と同様の実験を行ったところ、ほぼ実施例7
と同様の結果を得られた。よって、実施例7〜12のカ
テーテルが抗血栓性を有すること、言い換えれば、実施
例1〜6の熱可塑性重合体組成物が抗血栓性を有するこ
とがわかった。
【0038】(実験2)実施例1〜4の熱可塑性重合体
組成物およびポリプロピレン(比較例2)を用いて、そ
れぞれシートを作成し、シートを(0.8×0.8cm)
に切断して、実験用試料1〜4を作成した。そして、こ
の実験用試料1〜5の上に、血小板数が105個/μlに
調整された希釈ヒト多血小板血漿を、200μl滴下し
室温にて30分間放置した。その後、リン酸緩衝液で洗
浄し、グルタルアルデヒドで固定し凍結乾燥した。その
ように処理した実験用試料1〜5の表面を操作型電子顕
微鏡を用いて、1000倍の倍率で5点、写真撮影し、
得られた写真より、実験用試料の表面に粘着した血小板
の形態分類を行うとともに、粘着数を計数した。その結
果は、表1に示す通りであった。
【0039】
【表1】
【0040】[血小板形態分類] I型:非活性的粘着 Ia型:正常状態である円盤状。 Ib型:球状化しているが偽足を出すところまでは変形
していないもの。 II型:活性的粘着,偽足を伸ばして粘着しているもの。
【0041】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、プロ
テアーゼ阻害剤を含有しているので、熱可塑性重合体組
成物そのものが抗血栓性を有する。このため、本発明の
熱可塑性重合体組成物を用いて、医療用具を溶融成形す
ることにより、血液適合性に優れた医療用具を極めて容
易に製造することができる。また、本発明の熱可塑性重
合体組成物を用いた医療用具では、従来の抗血栓性物質
の医療用具の血液接触面への塗布や結合といった作業お
よびその問題点がなく、医療用具の全体にほぼ均一な抗
血栓性を付与することができる。また、塗布および固着
により、医療用具に抗血栓性を付与するものでないの
で、抗血栓性物質であるプロテアーゼ阻害剤の医療用具
からの早期離脱がなく、長期的な抗血栓性を有する。さ
らに、抗血栓性物質の医療用具への塗布や結合における
ような成形後の医療用具の厚肉化や寸法変動がなく、設
定寸法どおりの血液適合性を有する医療用具を製造する
ことができる。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
では、抗血栓性物質を物品表面に固着させるための結合
剤の使用、抗血栓性物質や結合剤を溶解または分散させ
るための溶媒の使用の必要もなく、安全である。また、
抗血栓性物質の塗布または結合後の、結合剤および溶媒
の除去等の作業の必要もない。また、イオン結合や共有
結合により抗血栓性物質を結合させる場合に必要となる
医療用具表面および抗血栓性物質の両方へのイオン性の
基または共有結合可能な基の導入といった、作業の必要
もなく、それに伴う医療用具の物性の低下といった問題
もない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 29/00 C08K 5/00 C08L 101/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファ
    モスタット、ベンツアミジン塩酸塩からなる群より選ば
    れた少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤と、結晶相と
    非結晶相とからなるミクロドメイン構造を有する熱可塑
    性重合体とからなることを特徴とする抗血栓性熱可塑性
    重合体組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性重合体は、その溶融温度が
    使用される前記プロテアーゼ阻害剤の分解温度よりも低
    いものである請求項1に記載の抗血栓性熱可塑性重合体
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の抗血栓性熱可
    塑性重合体組成物により少なくとも血液と接触する部分
    が形成されたことを特徴とする医療用具。
  4. 【請求項4】 メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファ
    モスタット、ベンツアミジン塩酸塩からなる群より選ば
    れた少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤と、ポリエー
    テル鎖を分子中に有する熱可塑性重合体であるポリエー
    テルポリアミドもしくはポリエーテルポリエステルとか
    らなることを特徴とする抗血栓性熱可塑性重合体組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性重合体は、その溶融温度が
    使用される前記プロテアーゼ阻害剤の分解温度よりも低
    いものである請求項4に記載の抗血栓性熱可塑性重合体
    組成物。
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