JP3371490B2 - 冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法 - Google Patents
冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法Info
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造が可能で、しかも優れた変形能と高い焼入性を有する
冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法に関す
る。
等によって所定の形状に加工された後に、焼入・焼戻し
処理や高周波焼入等の表面硬化処理を施す場合が多い
が、冷間鍛造は製品の寸法精度がよく、また切削加工に
比べ生産性が高いことから、機械部品の製造に広く用い
られている。
鋼は、高い焼入性が要求されることから、JISに規定
されたSCM440等を素材として、軟化焼きなまし処
理により冷間鍛造性を改善したものが使用されている。
しかし、軟化焼きなまし処理には、高温でしかも長時間
の加熱が必要であることから、製造コストの増大と生産
性の低下をまねいており、熱間圧延ままで使用可能な冷
間鍛造用鋼への要求が高まっている。
機械部品を製造する場合は、数回に分けて冷間鍛造を行
う必要があり、製造工程の省略のために、より変形能の
高い冷間鍛造用鋼が望まれている。
として、特開平4−228519号公報に記載されたよ
うに、圧延後直ちに鋼材表面を冷却する中間冷却を有
し、その後700〜800℃で圧延を行い、0.05〜
0.7℃/秒で徐冷する方法等が提案されている。
を高めることを目的として、特開平5−59486号公
報や特開昭59−13048号公報に記載されているよ
うに、フェライト強化元素であるSi、Mn、Crを低
減することで変形抵抗を低下させ、焼入性の低下をT
i,Bの添加により補った冷間鍛造用鋼が提案されてい
る。
28519号公報に記載された方法は、製造工程が複雑
になるだけでなく、熱間圧延後の徐冷において、保温カ
バー等の設備が必要となることから、素材コストの上昇
をまねき、またこの方法で得られる冷間鍛造用鋼は、低
温圧延によるフェライト分率の増大により変形抵抗は低
下するが、変形能(割れが発生するまでの限界の圧縮率
で示される)は十分とはいえなかった。
昭59−13048号公報に記載された方法では、得ら
れる冷間鍛造用鋼は、フェライト強化元素であるSi、
Mn、の低減により変形抵抗が低下し、冷間鍛造性に優
れているが、軟化焼きなまし処理を前提としたものであ
るため熱間圧延のままでは冷間鍛造性が劣り、また軟化
焼きなまし処理を施しても変形能は十分ではなかった。
本発明の目的は、熱間圧延ままで冷間鍛造が可能で、し
かも優れた変形能と高い焼入性を有する冷間鍛造用強靭
鋼の製造方法を提供するものである。
後の金属組織と冷間鍛造性の関係を詳細に研究した結
果、冷間鍛造性、特に変形能を高めるにはフェライト−
パ−ライト鋼においてはフェライト分率の低減が効果が
大きいとの知見を得るに至った。
ェライト分率の増加が有効であるが、軟質なフェライト
相は微少クラックの伝播経路となり、割れが発生する限
界の圧縮率、すなわち変形能を低下させる原因となる。
よって、微少クラックの伝播を防ぐためにはCrを多量
添加してフェライト分率を低下すればよく、フェライト
分率の低下によって変形能が著しく向上する。また、C
rの多量添加によって冷間鍛造後の焼入・焼戻し処理や
高周波焼入等の表面効果処理における焼入性の向上も同
時に可能となるものである。
ままの組織でベーナイトが生成し、冷間鍛造性が低下す
ることになる。そこで、低温圧延による結晶微細化によ
り・フェライト・パーライト変態を促進させることでベ
ーナイトの生成を抑制し、熱間圧延後の組織が微細なパ
ーライトを主体としたフェライト・パーライト組織とす
ることが可能となる。
で、第一発明は、重量%で、C:0.30〜0.60
%、Si:0.15%以下、Mn:0.20〜0.50
%、S:0.01%以下、Cr:2.0〜3.0%を含
有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を、仕上
げ圧延全体を1000℃以下でおこない、仕上げ温度も
1000℃以下で仕上げ熱間圧延を行うことを特徴とす
るフェライト面積分率が10%以下のフェライト ・ パー
ライト組織を有する冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭
鋼の製造方法であり、第二発明は、重量%で、C:0.
30〜0.60%、Si:0.15%以下、Mn:0.
20〜0.50%、S:0.01%以下、Cr:2.0
〜3.0%、Ti:0.01〜0.03%、B:0.0
005〜0.0030%を含有し、残部がFe及び不可
避不純物からなる鋼を、仕上げ圧延全体を1000℃以
下でおこない、仕上げ温度も1000℃以下で仕上げ熱
間圧延を行うことを特徴とするフェライト面積分率が1
0%以下のフェライト ・ パーライト組織を有する冷間鍛
造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法である。
限定理由は以下の通りである。 (1) C:0.30〜0.60重量%(以下%は重量%を
示す) Cは冷間鍛造後の焼入・焼戻し処理又は各種表面硬化熱
処理による表面硬さを確保するために必要な元素であ
る。0.3%未満では必要な硬さが得られず、0.60
%を超えると冷間鍛造後の熱処理で焼割れの原因になる
ため、0.30〜0.60%の含有とする。
とフェライトに固溶し変形抵抗を高め冷間鍛造性を劣化
させるため、上限を0.15%とする。
な元素である。しかし0.20%未満ではその効果が不
十分で、0.50%を超えるとSiと同様に変形抵抗を
高め冷間鍛造性を劣化させるため、0.20〜0.50
%の含有とする。
いほどよいが、0.01%以下であれば実用上問題は生
じないので0.01%以下とする。
態温度を上昇させることでフェライト分率を低下させ、
且つパーライトラメラ間隔を狭める元素である。しか
し、2.0%未満の含有ではこれらの効果が不十分で十
分な焼入性が得られず、3.0%を超えて含有すると低
温圧延によってもベイナイトを生成し冷間鍛造性を低下
させるので、2.0〜3.0%の含有とする。
戻し処理において焼入性を高めるために上記成分にさら
にTi:0.01〜0.03%、B:0.0005〜
0.0030%を含有することができる。
効果を確保するために添加する。Nを固定するためには
0.01%以上の含有が必要であるが、0.03%を超
えて含有させてもその効果は飽和するため、0.01〜
0.03%の含有とする。
著しく向上させる元素であるが、効果を発揮するには
0.0005%以上の含有が必要である。しかし0.0
030%を超えるとその効果は飽和するため、0.00
05〜0.0030%の含有とする。
Al、不可避的に存在するPなどを含有してもよく、こ
れらの含有により本発明の目的とする性能が損なわれる
ものではない。
て説明する。 (7) 仕上げ圧延温度:1000℃以下 本発明に係る鋼は、Crを多量に含有する鋼であり、1
000℃を越える温度で仕上げ圧延を行なうと、熱間圧
延後の組織がベーナイトとなり、冷間鍛造性が低下す
る。このため仕上げ圧延温度の上限を1000℃とし
た。
分範囲に溶製した鋼を熱間圧延により棒鋼に製造する。
熱間圧延においては特開昭62−196327号公報、
特開平4−228519号公報のような低温圧延や圧延
時に中断冷却を行うことは必要とせず、ごく一般的な熱
間圧延でかまわない。
は、フェライトの面積分率が小さく、通常10%以下で
ある。このことにより、冷間鍛造時の割れの発生を阻止
して、変形能を向上することができる。
試鋼は表1に示す成分組成の鋼を溶製し、熱間圧延によ
り直径55mmの丸棒を製造した。熱間圧延での仕上げ
温度は950℃(本発明方法)と1050℃(比較方
法)で行なった(表2参照)。
切り出した試験片を用いて冷間鍛造性を評価した。試験
片形状は図1に示すように直径14mm、高さ21mm
の円筒型で、上下面に拘束溝及び側面にV溝を有する切
欠き付円筒試験片である。図1において(a)は上面
図、(b)は側面図で1はV字状の溝、2は被圧縮面、
(c)はV字状の溝の詳細寸法を示す。
拘束した状態で被圧縮面に圧縮荷重を加えて圧縮試験を
行い、変形能と変形抵抗を測定した。変形能は、V溝1
の溝底から割れが発生するまでの最大圧縮率(限界圧縮
率と呼ぶ)で評価し、変形抵抗は圧縮率30%のときの
変形荷重(30%変形抵抗と呼ぶ)で評価した。焼入性
試験は直径30mmの試験片に高周波焼入・焼戻しを実
施して表面硬度(表層より2mmの位置)を測定した。
No.10(従来鋼)については、1050℃で熱間圧
延をし、760℃で6時間保持後炉冷の軟化焼きなまし
処理をおこない、上記と同様の試験をおこなった。これ
らの試験結果を表2にまとめて示す。
発明方法)はすべてフェライト面積分率が10%以下の
フェライト・パーライト組織となっており、No.9及
びNo.10(JIS規格SCr440及びSCM44
0相当の従来鋼)の圧延材に比べ変形抵抗は同程度であ
るが、限界圧縮率が著しく高くなっており、高周波焼入
・焼戻し後の表面硬さも高くなっている。またNo.1
0の軟化焼きなまし処理材と比べても限界圧縮性が著し
く高い。このことから本発明による鋼は熱間圧延のまま
で冷間鍛造性に優れており、且つ高い焼入性があること
が分かる。
材は、Cr含有量が本発明範囲を越えているために圧延
後の組織がベーナイトとなり、限界圧縮率が低く、変形
抵抗が大きくなっている。No.6(比較鋼)の950
℃圧延材は冷間鍛造性はよいが、Cr含有量が本発明範
囲より低いため、高周波焼入・焼戻し後の硬さが低く、
焼入性が不足している。No7(比較鋼)の950℃圧
延材はS含有量が多いため、MnSの量も多くなり、限
界圧縮率が低下している。No.8(比較鋼)の950
℃圧延材はSi含有量が多いため、変形抵抗が高くなっ
ている。また、No.1及びNo.2(本発明鋼)を1
050℃(本発明を越える仕上げ圧延温度)で仕上げ圧
延を行なったものは、圧延後の組織がベーナイトとな
り、限界圧縮率が低く、変形抵抗は大きくなっている。
No.5(比較鋼)の1050℃圧延材は、Cr含有量
が本発明範囲を越えているために950℃圧延材と同様
に圧延後の組織がベーナイトとなり、限界圧縮率が低
く、変形抵抗が大きくなっている。No.6(比較鋼)
の1050℃圧延材は、950℃圧延材と同様に冷間鍛
造性はよいが、Cr含有量が本発明範囲より低いため、
高周波焼入・焼戻し後の硬さが低くなっている。
間圧延ままで従来鋼に比べ著しく冷間鍛造性が優れ且つ
高い焼入性を有する鋼を提供でき、工業上非常に有用な
発明である。
筒試験片形状を示す図で、(a)は上面図、(b)は側
面図、(c)はV字状の溝の詳細寸法を示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.30〜0.60%、S
i:0.15%以下、Mn:0.20〜0.50%、
S:0.01%以下、Cr:2.0〜3.0%を含有
し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を、仕上げ
圧延全体を1000℃以下でおこない、仕上げ温度も1
000℃以下で仕上げ熱間圧延を行うことを特徴とする
フェライト面積分率が10%以下のフェライト ・ パーラ
イト組織を有する冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼
の製造方法。 - 【請求項2】重量%で、C:0.30〜0.60%、S
i:0.15%以下、Mn:0.20〜0.50%、
S:0.01%以下、Cr:2.0〜3.0%、Ti:
0.01〜0.03%、B:0.0005〜0.003
0%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼
を、仕上げ圧延全体を1000℃以下でおこない、仕上
げ温度も1000℃以下で仕上げ熱間圧延を行うことを
特徴とするフェライト面積分率が10%以下のフェライ
ト ・ パーライト組織を有する冷間鍛造性に優れた機械構
造用強靭鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26355593A JP3371490B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法 |
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---|---|---|---|
JP26355593A JP3371490B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 冷間鍛造性に優れた機械構造用強靭鋼の製造方法 |
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JPH07118732A JPH07118732A (ja) | 1995-05-09 |
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FI971257A (fi) * | 1997-03-26 | 1998-09-27 | Imatra Steel Oy Ab | Kylmämuovausmenetelmä |
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- 1993-10-21 JP JP26355593A patent/JP3371490B2/ja not_active Expired - Fee Related
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