JP3368744B2 - 振動型加速度センサ - Google Patents

振動型加速度センサ

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JP3368744B2 JP07193096A JP7193096A JP3368744B2 JP 3368744 B2 JP3368744 B2 JP 3368744B2 JP 07193096 A JP07193096 A JP 07193096A JP 7193096 A JP7193096 A JP 7193096A JP 3368744 B2 JP3368744 B2 JP 3368744B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のような物
体に作用する加速度を検出する加速度センサに関し、よ
り詳細には、マス部、平行ビーム振動体、マス部と平行
ビーム振動体を支持する支持基台、およびこれらを接続
する接続部からなり、加速度を共振振動する平行ビーム
振動体のビームの間隔変化(形状剛性の変化)に起因し
た振動数変化として検出する振動型加速度センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、加速度センサとしては、マス部
(質量部)とこれを支える複数のバネ要素(梁部)によ
って構成され、加速度をバネ要素の応力として検出する
ものが一般的である。
【0003】このような構成の加速度センサにおいて
は、マス部が加速度の作用によって生じる慣性力によっ
て変位する。マス部はバネ要素によって支持されている
ため、その変位によってバネ要素に生じた応力がマス部
の慣性力と釣り合うまで変位する。従って、バネ要素内
に発生する応力は加速度に比例する。そこで、予めバネ
要素内に組み込んだ応力の検出手段を用いて加速度を計
測することによって、加速度を検出している。
【0004】ここで、バネ要素内に組み込む加速度の検
出手段としては、例えば半導体歪みゲージを利用する形
式のものが主流を占めてきた。この歪みゲージ方式の加
速度センサでは、歪みゲージに弾性力が作用した時の電
気抵抗の変化を電圧出力に変換して、バネ要素内に発生
する応力、すなわち加速度を検出する。この検出方式に
関しては、応力を電圧に変換する変換効率の向上を目的
とし、バネ要素や歪みゲージ形状等に関してこれまでに
多くの改良が試みられてきた。
【0005】一方、近年では振動式と称される加速度セ
ンサが研究されるようになってきた。この振動式の加速
度センサは、バネ要素に一体として組み込まれ、静電力
等により励振されるビーム形状振動子の共振振動数の変
化量が、バネ要素を介してビーム形状の振動子に伝達さ
れる軸応力に比例することを利用したものである。従っ
て、電気的(あるいは光学的)な手段を用いて、ビーム
型振動子の振動数の変化を計測して、加速度を検出す
る。例えば、The 8th International Conferenceon Sol
id-State-Sensors and Actuators (Transdusers´795),
D.W.Burns,pp.659pp 〜pp.662,(1995) に、その構成が
開示されている。
【0006】この振動式は、振動数変化を周波数カウン
タを用いて極めて正確に測定できることに加え、加速度
に対応した振動子の振動数変化(感度)が歪みゲージ方
式と比較して大きいため、高精度に加速度を検出できる
という特徴を備えている。
【0007】図10(A)には、前記振動式の加速度セ
ンサの平面構造の概略図、図10(B)には、その検出
原理を説明する断面構造の概略図、図10(C)には、
バネ要素(梁部)の断面構造の拡大図が示されている。
【0008】図10(A)〜(C)において、マス部1
1は、複数のバネ要素12を介してマス部11を囲む外
側に配置された支持部(フレーム)13に接続されてい
る。これらは、厚さ数百μm以上あるシリコン基板を両
面からエッチング(アルカリ溶液によるくり抜き)して
製作されている。この結果、マス部11はバネ要素12
により支えられつつ、検出加速度の作用するY方向に対
して移動可能となっている。
【0009】また、マス部11、バネ要素12は、外部
環境からの保護およびY方向の過大な加速度に起因した
マス部11の変位による破壊を回避する目的で、接合部
分17を介して上下の保護キャップ15、16により覆
われている。この保護キャップ15、16は、マス部1
1やバネ要素12および支持部13を構成するシリコン
材料との熱膨脹係数の釣り合いを考慮して同じシリコン
基板を基に作製されており、接着剤を使用せずに直接的
に接合されている。
【0010】なお、シリコン基板を基にしたエッチング
あるいは接合といった製作プロセスは、一般にバルクマ
イクロマシーニングと称されており、この手法を用いて
製作されるセンサデバイスは、数mm立方を超えるサイ
ズとして構成される。
【0011】また、図10(C)に示すように、バネ要
素12には、加速度を検出する手段としての振動子14
が、多結晶薄膜を用いて真空室19内に作製されてい
る。この振動子14は、ビーム形状をしており、図示を
省略した励振機構により与えられる静電力によって共振
振動している。なお、封止部材18により真空室19が
形成されている。
【0012】ここで、Y軸に加速度が作用すると、マス
部11が変位してバネ要素12にX方向の軸応力が生
じ、バネ要素12に一体として組み込まれた振動子14
に前記軸応力が伝達される。この結果、振動子14の共
振振動数が加速度に対応して増減するので、この振動数
を検出することで加速度が計測される。なお、補助用の
バネ要素121は、マス部11の支持を補助するための
ものである。
【0013】上記文献に開示された技術では、加速度レ
ンジ20G仕様において、約10%(1G当り約0.5
%)の振動数変化が得られている。なお、バネ要素12
に振動子14を組み込む製作プロセスは、シリコン基板
表面を加工対象領域としたもので、一般にサーフェスマ
イクロマシーニングと称されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
構成の加速度センサは、本質的にバネ要素の応力を検出
対象としている。このため、以下の(1)〜(5)に記
載されるような問題があった。
【0015】(1)マス部が複数のバネ要素で拘束され
ていることから、実装過程あるいは温度の昇降過程等で
バネ要素に熱応力が発生する。上記従来の加速度センサ
は、本質的にバネ要素に発生する軸応力を検出するよう
構成されており、この結果、振動子で検出される振動数
変化に熱応力の影響が重畳され、これによって大きな誤
差影響がもたらされる。このように、従来の加速度セン
サは熱応力の影響を受け易いといった欠点があった。
【0016】(2)多結晶シリコン材料からなるビーム
形状の振動子に作用する軸応力は、加速度の作用に伴う
マス部の変位を支持するバネ要素を介して伝達される。
この結果、バネ要素から軸応力が伝達される過程におい
て、振動子との接合部分で軸応力の伝達ロスが発生し、
加速度に対応したマス部の変位に匹敵する軸応力が正確
に振動子に伝達されない欠点があった。
【0017】(3)振動子とバネ要素とは異種材料で構
成される。そこで、その接続部に伝達される大きな軸応
力によって、接合部が劣化し、自動車などの輸送手段に
おいて要求される長期的な信頼性を確保できない欠点が
あった。
【0018】(4)加速度センサの製造プロセスとし
て、バルクマイクロマシーニングとサーフェスマイクロ
マシーニングを併用している。この結果、全体の製作プ
ロセスと工程が複雑化し、製造コストが増大する。
【0019】(5)さらに、バルクマイクロマシーニン
グプロセスを利用した結果として、センサ構造は大型化
し、製造コストが増大する。
【0020】自動車や航空機等の輸送手段における加速
度センサでは、高精度であることに加えて、低コストで
あることが求められる。しかし、従来の加速度センサで
は、このような2つの要求を同時に満足することはでき
なかった。
【0021】本発明は上記問題点を解決することを課題
としてなされたものであり、製造工程を簡略化すると共
にコストを低減し、かつ温度特性ならびに信頼性に優れ
た高精度な加速度センサを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持基台と、
この支持基台に第1接続部を介し一方のビームが実質的
に点接続された一対の平行ビームと、これら平行ビーム
を両端でそれぞれ接続する端部を含む平行ビーム振動体
と、この平行ビーム振動体の他方のビームに第2接続部
を介し実質的に点接続され、所定の重量を有するマス部
と、上記平行ビーム振動体の両端部に対しこの平行ビー
ムのビーム方向と直角な方向の励振力を付与する励振手
段と、平行ビーム振動体の振動数を検出する検出手段
と、を有し、上記平行ビームのビーム方向と直角な方向
加速度を上記平行ビーム振動体における一対の平行ビ
ームの間隔変化に起因した振動数の変化に基づいて検出
することを特徴とする。
【0023】このように、本発明の振動型加速度センサ
では、加速度により生じるマス部の慣性力により平行ビ
ーム振動体のビームがたわむ。これによって、平行ビー
ム振動体の形状剛性が変化し、この結果、平行ビーム振
動体の共振振動数が変化する。この共振振動数の変化
は、バネ要素の応力を検出する図10の従来の加速度セ
ンサと同等以上である。従って、本発明の振動型加速度
センサは、加速度を高精度に検出できる。
【0024】また、本発明の振動型加速度センサは、パ
ッケージ部品との接続は支持基台にて行われる。従っ
て、平行ビーム振動体およびこれに接続されたマス部、
支持基台と点接続されているだけで、他の部分は何ら機
械的に拘束されていない。従って、支持基台とパッケー
ジ部品との熱膨脹係数の不均一により熱応力が発生して
も、これは平行ビーム振動体には伝達されない。従っ
て、平行ビームの形状変化に起因した振動数変化を検出
する本発明の振動型加速度センサは、本質的に、熱応力
影響を受けにくく、温度特性に優れている。
【0025】さらに、本発明の振動型加速度センサは、
加速度の作用に伴うマス部の変位を、直接的に平行ビー
ム振動体の形状剛性の変化、即ち、共振振動数の変化と
して検出する。したがって、バネ要素を介して伝達され
る軸応力をビームの振動数変化に変換し検出する従来の
振動型加速度センサのような伝達ロスがなく、異種材料
の接続部の劣化も発生しない。よって、本発明の振動型
加速度センサは、より高精度、かつ、信頼性が高い。
【0026】また、他の発明によれば、第1の支持基台
と、この第1支持基台に第1接続部を介し一方のビーム
実質的に点接続された一対の平行ビームと、これら平
行ビームを両端でそれぞれ接続する端部を含む第1平行
ビーム振動体と、この第1平行ビーム振動体の他方のビ
ームに第2の接続部を介し実質的に点接続され、所定の
重量を有するマス部と、このマス部に第3接続部を介し
一方のビームが実質的に点接続された一対の平行ビーム
と、これら平行ビームを両端でそれぞれ接続する端部か
らなる第2平行ビーム振動体と、この第2平行ビーム振
動体の他方のビームに第4接続部を介し実質的に点接続
される第2の支持基台と、上記第1および第2平行ビー
ム振動体の両端部に対しこれら第1および第2平行ビー
ムのビーム方向と直角な方向の励振力をそれぞれ付与す
る第1および第2励振手段と、上記第1および第2平行
ビーム振動体の振動数を検出する第1および第2検出手
段と、を有し、上記第1および第2平行ビームのビーム
方向と直角な方向の加速度を上記第1および第2平行ビ
ーム振動体のそれぞれにおける一対の平行ビームの間隔
変化に起因した振動数の変化の差に基づいて検出するこ
とを特徴とする。
【0027】この発明の振動型加速度センサは、振動体
である第1および第2平行ビーム振動体が、マス部を挟
んで一対として対向配置されており、加速度を差動検出
する。このように、一対として対向配置することで、検
出目的とする加速度軸以外の方向に対する剛性を増し、
本来の加速度検出の感度を保ちつつ、他の加速度成分に
対する誤動作影響が大幅に低減される。さらに、差動検
出により、加速度の検出軸方向の熱応力影響が相殺で
き、温度特性に優れている。
【0028】また、さらに他の発明によれば、上記マス
部、平行ビーム振動体、支持基台、および接続部が、酸
化物層上にシリコン層を有するSOI基板または基板上
に形成された多結晶シリコン層を加工して一体として形
成されていることを特徴とする。
【0029】このように、この発明では、SOI基板ま
たは多結晶シリコン層を表面からエッチング加工し、マ
ス部、平行ビーム、支持基台、およびこれらの接続部を
一体としてくり抜くこと(サーフェスマイクロマシーニ
ングのみ)で製作する。これにより、センサ構造が小型
・軽量化し、製造プロセスの簡単化が実現でき、大幅な
コスト低減が図れる。
【0030】また、さらに他の発明によれば、請求項1
又は2に記載の振動型加速度センサにおいて、振動型加
速度センサを構成するマス部、平行ビーム振動体、支持
基台及び第1及び第2接続部が、基板上に蒸着あるいは
メッキ形成された金属層を加工して一体として形成され
ていることを特徴とする。これによっても上述と同様
に、センサ構造が小型・軽量化し、製造プロセスの簡単
化が実現でき、大幅なコスト低減が図れる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明に好適な実施の形態
(以下、実施形態という)について、図面に基づいて説
明する。
【0032】<第1実施形態>本発明の振動型加速度セ
ンサ1000の第1の実施形態を以下に説明する。
【0033】図1には、第1の実施形態の振動型加速度
センサ1000の斜視図、図2には、図1の振動型加速
度センサの平面図、図3には、励振力印加手段と振幅変
化検出手段の構成が示されている。また、図4には、本
第1実施形態に係る振動型加速度センサ1000の動作
原理を説明するための平面図が示されている。
【0034】まず、平行ビーム振動体3は、厚さが1μ
m、奥行き厚みが10μm、長さ約1000μmの2枚
のビーム38と39を端部31と32で連結して構成さ
れている。そして、一対のビーム38、39間の変形の
ないときの間隔(距離)は、20μmとした。
【0035】この平行ビーム振動体3は、マス部1およ
び支持基台2との間に、接続部35および接続部36を
介して実質的に点接続されている。これら接続部35、
36は、ビーム38、39の中央部分をマス部1、支持
基台2と接続している。
【0036】マス部1は、その面積サイズが500μm
平方に形成されており、支持基台2は、800μm×3
00μmに形成されている。奥行き厚みは、両者とも、
10μmである。
【0037】また、平行ビーム振動体3の2枚の平行ビ
ーム38、39を連結する端部31、32には、図3の
拡大図に詳細に示したように、加速度の作用方向に沿っ
て櫛状の溝部69が設けられている。そして、この溝部
69に噛み合うように形成された励振力印加手段60に
より平行ビーム振動体3が励振される。すなわち、励振
力印加手段60と平行ビーム振動体3の端部31、32
の間には、交流電源61より周期的な静電力が印加され
る。このため、この周期的な静電力によって、平行ビー
ム振動体3が平行ビーム振動体3のビーム方向と直行す
る方向に励振される。
【0038】すなわち、静電力の印加により、平行ビー
ム振動体3の端部31、32は、接続部35および接続
部36を振動の節(非振動点)として加速度の作用方向
に曲げの振動モードで共振(振動数6400Hz)振動
する。従って、端部31、32が振動時の最大変位部分
となっている。共振状態での駆動は後述する振動検出手
段によって常に振幅が最大となる加振周波数を選択する
か、又は駆動と振幅の位相が90度ずれる加振周波数を
選択することによって実現される。
【0039】また、励振力印加手段60と相対する側に
は、端部31、32の振動における振幅の変化を検出す
る振幅変化検出手段65が設けられている。この振幅変
化検出手段65には定電圧源67より一定の電圧が抵抗
66を介し印加されている。よって、端部31、32が
Y方向(平行ビーム振動体3のビーム方向と直行する方
向)に振動することで溝部69の領域に発生する電荷量
(電流)が変化し、抵抗66の両端電圧が変化する。こ
のため、抵抗66の両端電圧を電圧検出器68にて検出
することで、平行ビーム振動体3の振動を抵抗66の電
圧変化として計測できる。従って、この計測結果から平
行ビーム振動体3の振動数が計測される。
【0040】なお、本実施形態では、平行ビーム振動体
3に励振力を与えるため、溝部69を設けると共に、励
振力の物理量として静電力を利用しているが、端部3
1、32の形状や励振手段は、特にこれに限定されもの
ではない。例えば、励振手段として磁力や熱エネルギー
等を利用しても何等問題はない。また、端部31、32
の振幅変化を検出する手段や電気的な回路構成について
も、特に上述の構成に限定されない。
【0041】ここで、端部31、32が曲げ振動モード
で励振される第1実施形態の振動型加速度センサ100
0における平行ビーム振動体3の共振振動数Fnは、次
の(1)式で示される。
【0042】
【数1】 Fn=K1 ・√[E・I/ A・ρ ] ・・・ (1) ここで、Fn:固有振動数、K1 :振動モードの次数等
により決まる定数、E:ヤング率、I:平行ビーム振動
体の形状剛性、A:平行ビームの断面積、ρ:密度であ
る。
【0043】この式より、共振振動数Fnは平行ビーム
振動体3の形状剛性Iの大きさによって変化することが
わかる。
【0044】本実施形態の振動型加速度センサ1000
においては、図4に示すように、加速度Gによって、マ
ス部1が支持基台2に対し変位し、平行ビーム振動体3
におけるビーム38、39間の間隔が変化する。
【0045】そして、平行ビーム振動体3の形状剛性I
は、この平行ビーム振動体3の形状変化に応じて変化
し、図5に示したように、検出対象となるY方向の加速
度Gが作用した場合、ビーム38と39の間隔Hが狭く
なることに起因して減少する。一方、図5と逆の方向の
加速度が作用した場合は、ビーム38と39の間隔Hが
広くなり、形状剛性Iは増加する。
【0046】即ち、加速度Gの作用によって平行ビーム
振動体3のビーム38と39の間隔Hが変化して、これ
によって形状剛性Iが変化し、この結果、共振振動数F
nも加速度に対応して変化する。
【0047】このように、本振動型加速度センサは、加
速度を、前記加速度の作用による平行ビーム振動体のビ
ームの間隔変化(形状剛性の変化)に起因した共振振動
数の変化として直接検出する。従って、上述した従来の
振動型加速度センサのように、バネ要素を介して伝達さ
れる軸応力を変換・検出する場合の伝達ロスが発生する
ことはない。
【0048】第1実施形態の振動型加速度センサでは、
図6に示した特性図のように、1Gの加速度印加に対し
て10%を超える大きな振動数変化ならびに良好な直線
性を有している。従って、車両等の輸送手段にて発生す
る加速度を高精度、かつ信頼性良く検出できる。
【0049】また、支持基台2は、加速度の作用にとも
なうマス部1の慣性力ならびに平行ビーム3を支持する
ため、パッケージ部品と接続されている。しかし、マス
部1と平行ビーム振動体3については、パッケージ部品
との直接的な接続部分はなく、接続部36にて支持基台
2に点接続されているだけである。
【0050】一般に、パッケージ部品は、本振動型加速
度センサを構成するシリコン材料と熱膨脹係数等の材料
物性が異なる樹脂材料あるいはセラミック材料より構成
されている。従って、支持基台2には、熱膨脹係数の不
均一に起因した熱応力が発生する。しかし、支持基台2
に発生した熱応力は、パッケージ部品との接続部分が存
在しない(支持基台2とは接続部36で点接続されてい
るだけである)ことから、平行ビーム3ならびにマス部
1には伝達されない。
【0051】従って、本振動型加速度センサは、温度の
昇降過程で発生する熱応力影響を受けにくい、温度特性
に優れた特徴も備えている。なお、パッケージ部品は、
周辺環境からセンサを保護する機能も有している。ま
た、パッケージ部品が、車両などの被測定物体に取り付
けれられる。
【0052】また、本実施形態の振動型加速度センサ1
000は、図7に示すように、厚み10μmのSOI
(Silicon on Insulator) 基板をエッチング加工して製
作する。すなわち、シリコン基板、酸化シリコン(Si
2 )接合層、厚さ10μmのシリコン層の3層構造か
らなるSOI基板をエッチング加工して、マス部1、支
持基台2、平行ビーム振動体3、接続部35、36が一
体として製作される。
【0053】これより、本振動型加速度センサ1000
は、SOI基板をもとに、面積サイズで約1mm平方と
して製作でき(厚みは10μm)、数mm立方以上とし
て製作されてきた従来の加速度センサに対して格段に小
型化されている。そして、この製作は、サーフェスマイ
クロマシーニングのみで達成できる。従って、大幅なコ
スト低減が達成される。
【0054】なお、本振動型加速度センサ1000は、
必ずしもSOI基板をエッチング加工して製作するに限
定されず、シリコンなどの基板上に形成した多結晶シリ
コン層をエッチング加工して製作する、あるいはシリコ
ン等の基板上に蒸着又はメッキ形成した金属を用いて製
作することでもよい。
【0055】<第2実施形態>本発明の振動型加速度セ
ンサの第2の実施形態を以下に説明する。
【0056】図8には、第2の実施形態の振動型加速度
センサ2000の平面図が示されている。本振動型加速
度センサでは、平行ビーム振動体(第1および第2平行
ビーム振動体)3aと3bが、マス部1を挟んだ対向位
置に一対として設けられており、これに対応して前記一
対の平行ビーム振動体3a、3bを間に挟むマス部1の
反対位置に支持基台(第1および第2支持基台)2a、
2bが設けられている。なお、平行ビーム振動体3a
は、接続部(第1および第2接続部)35a、36aに
より、支持基台2aおよびマス部1に接続されており、
平行ビーム振動体3bは、接続部(第3および第4接続
部)35b、36bでマス部1および支持基台2bに接
続されている。
【0057】そして、本振動型加速度センサ2000
は、同図におけるY方向の加速度を一対の平行ビーム振
動体3a、3bの振動数変化の差動出力として検出す
る。
【0058】なお、平行ビーム振動体3a、3b、マス
部1、支持基台2a、2bの各サイズや製作方法、平行
ビーム振動体3a、3bの励振手段、ならびに基本的な
加速度の検出原理については上述の第1実施形態と同様
であり、その説明を省略する。
【0059】本振動型加速度センサ2000において
は、平行ビーム振動体3a、3bがマス部1を挟んだ対
向位置に一対として設けられているため、加速度が作用
した時の各平行ビーム振動体3a、3bのたわみ量は、
図1の第1実施形態の振動型加速度センサ1000の約
50%として与えられる。しかし、そのたわみは、一対
の平行ビーム振動体3aと3bで極性が異なるため、ビ
ームの間隔は一方で増加し、他方で減少する。そして、
一対の平行ビーム振動体3a、3bとは、その共振振動
数が同じ量だけ増減する。
【0060】この結果、図9に示した特性図のように共
振振動数が変化する。この共振振動数の増減を差動出力
として検出することで、第1実施形態と同様に加速度を
高精度に、また信頼性良く計測できる。なお、この差動
出力は、各平行ビーム振動体3a、3bにおいて検出さ
れる振動数変化の差を演算部(図示せず)において求め
ることによって、得られる。この演算部は、アナログ信
号の演算であってもデジタル信号の演算部であってもよ
い。
【0061】また、本振動型加速度センサ2000にお
いては、支持基台2aと2bとがマス部1を挟んだ対向
位置に一対として設けられていることから、温度の昇降
にともなう振動型加速度センサ2000自体の膨脹や収
縮により、平行ビーム振動体3a、3bのビーム間隔を
同等に変化させるY方向の応力が発生する。しかし、本
振動型加速度センサ2000においては、一対の平行ビ
ーム振動体3a、3bの共振振動数の変化を差動出力と
して検出することから、前記Y方向の熱的な誤差影響を
相殺でき、高精度な加速度検出機能を維持できる。
【0062】さらに、本振動型加速度センサ2000に
おいては、平行ビーム振動体3a、3b、支持基台2
a、2bが、マス部1を挟んだ対向位置に一対として設
けられていることから、検出目的とするY方向以外の剛
性が大幅に向上し改善されている。従って、X方向やZ
方向の加速度に対しては、平行ビーム振動体3a、3b
はより変形しにくい。この結果、一般的に加速度のクロ
ストーク成分と称される前記のX方向やZ方向の加速度
に対する振動数変化の発生を防止できる。すなわち、本
振動型加速度センサ2000によれば、他の加速度に対
するクロストークに影響されず、検出目的の加速度成分
を高精度に計測できる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の振動型加
速度センサは、加速度を、平行ビーム振動体のビームの
間隔変化にもとづく共振振動数の変化として直接検出す
る。よって、伝達によるロスの発生を防止して、加速度
を高精度、かつ、信頼性よく検出できる。
【0064】さらに、加速度の検出要素である平行ビー
ム振動体と支持基台とは、実質的に点接続される。この
ため、従来の加速度センサで問題とされた熱応力の影響
を回避でき、良好な温度特性を実現できる。
【0065】また、平行ビーム振動体がマス部を挟んだ
対向位置に一対として配置され、加速度を一対の平行ビ
ーム振動体の形状変化にもとづく共振振動数の変化とし
て差動検出するよう構成することで、他の加速度成分に
対する検出誤差がなく、良好な出力特性ならびに温度特
性を実現できる。
【0066】さらに、本発明の振動型加速度は、SOI
基板または多結晶シリコン層をエッチング加工する、あ
るいは蒸着又はメッキ形成された金属層を加工すること
で簡単に製作できる。従って、製作プロセスが格段に簡
易化され、かつ、従来の加速度センサで達成されなかっ
た小型・軽量化が実現でき、大幅なコスト低減が図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の振動型加速度センサ
を示す斜視図である。
【図2】 同センサの平面図である。
【図3】 同センサ励振および振幅検出の構成を示す図
である。
【図4】 同センサにおける加速度の検出原理を示す平
面図である。
【図5】 同センサにおける加速度の検出原理を示す説
明図である。
【図6】 同センサの検出特性を示す図である。
【図7】 製作方法を説明する図である。
【図8】 第2実施形態の振動型加速度センサを示す平
面図である。
【図9】 同センサの検出特性を示す図である。
【図10】 従来の加速度センサの構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 マス部、2,2a,2b 支持基台、3,3a,3
b 平行ビーム振動体、35,36,35a,35b,
36a,36b 接続部、1000 第1実施形態の振
動型加速度センサ、2000 第2実施形態の振動型加
速度センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−315057(JP,A) 特開 昭61−178667(JP,A) 特表 平3−501527(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 15/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基台と、 この支持基台に第1接続部を介し一方のビームが実質的
    に点接続された一対の平行ビームと、これら平行ビーム
    を両端でそれぞれ接続する端部を含む平行ビーム振動体
    と、 この平行ビーム振動体の他方のビームに第2接続部を介
    し実質的に点接続され、所定の重量を有するマス部と、 上記平行ビーム振動体の両端部に対しこの平行ビームの
    ビーム方向と直角な方向の励振力を付与する励振手段
    と、 平行ビーム振動体の振動数を検出する検出手段と、 を有し、上記平行ビームのビーム方向と直角な方向の 加速度を上
    記平行ビーム振動体における一対の平行ビームの間隔変
    化に起因した振動数の変化に基づいて検出することを特
    徴とする振動型加速度センサ。
  2. 【請求項2】 第1の支持基台と、 この第1支持基台に第1接続部を介し一方のビームが
    質的に点接続された一対の平行ビームと、これら平行ビ
    ームを両端でそれぞれ接続する端部を含む第1平行ビー
    ム振動体と、 この第1平行ビーム振動体の他方のビームに第2の接続
    部を介し実質的に点接続され、所定の重量を有するマス
    部と、 このマス部に第3接続部を介し一方のビームが実質的に
    点接続された一対の平行ビームと、これら平行ビームを
    両端でそれぞれ接続する端部からなる第2平行ビーム振
    動体と、 この第2平行ビーム振動体の他方のビームに第4接続部
    を介し実質的に点接続される第2の支持基台と、 上記第1および第2平行ビーム振動体の両端部に対しこ
    れら第1および第2平行ビームのビーム方向と直角な方
    向の励振力をそれぞれ付与する第1および第2励振手段
    と、 上記第1および第2平行ビーム振動体の振動数を検出す
    る第1および第2検出手段と、 を有し、上記第1および第2平行ビームのビーム方向と直角な方
    向の 加速度を上記第1および第2平行ビーム振動体のそ
    れぞれにおける一対の平行ビームの間隔変化に起因した
    振動数の変化の差に基づいて検出することを特徴とする
    振動型加速度センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の振動型加速度セ
    ンサにおいて、 上記マス部、平行ビーム振動体、支持基台および第1お
    よび第2接続部が、酸化物層上にシリコン層を有するS
    OI基板を加工して一体として形成されていることを特
    徴とする振動型加速度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の振動型加速度セ
    ンサにおいて、 振動型加速度センサを構成するマス部、平行ビーム振動
    体、支持基台、および第1および第2接続部が、基板上
    に形成した多結晶シリコン層を加工して一体として形成
    されていることを特徴とする振動型加速度センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の振動型加速度セ
    ンサにおいて、 振動型加速度センサを構成するマス部、平行ビーム振動
    体、支持基台及び第1及び第2接続部が、基板上に蒸着
    あるいはメッキ形成された金属層を加工して一体として
    形成されていることを特徴とする振動型加速度センサ。
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