JP3368151B2 - シート給送装置及び記録装置 - Google Patents

シート給送装置及び記録装置

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JP3368151B2
JP3368151B2 JP19446196A JP19446196A JP3368151B2 JP 3368151 B2 JP3368151 B2 JP 3368151B2 JP 19446196 A JP19446196 A JP 19446196A JP 19446196 A JP19446196 A JP 19446196A JP 3368151 B2 JP3368151 B2 JP 3368151B2
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sheet feeding
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roller
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ,複写
機,ファクシミリ等の記録装置においてシートを一枚ず
つ分離,給送するシート給送装置及びこれを備えた記録
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プリンタ,複写機,ファクシミリ
等の記録装置においては、シートとして、普通紙の他に
葉書や封筒等の厚紙や、プラスチック薄板等の特殊シー
ト等が使用され、シートの供給は、一枚ずつ手差しで挿
入するか、或いはシート給送装置によって自動的かつ連
続的に送り込むことが行われている。
【0003】従来の記録装置の一例として、シート給送
装置と一体型の記録装置の従来例を図を用いて以下に説
明する。図18、図19は第1の従来例を示す。同図におい
て、この記録装置は、シートPを分離して一枚ずつ給送
するシート給送装置101と、給送されたシートPに画像
を記録する記録部等を装備している。
【0004】シート給送装置101 は、ベース102 に対し
てシート載置手段となる圧板103 が回動可能に設けられ
ており、該圧板103 上に傾斜して載置されたシートPが
図示しない加圧ばねにより給送ローラ105 と、該給送ロ
ーラ105 と同軸上のコロ106に圧接されるようになって
いる。また、載置されたシートPの基準側の先端角部に
対応する位置には分離爪107 が設けられている。
【0005】前記分離爪107 は、図19に示すように、回
動軸107cを中心に回動可能に設けられており、分離爪ば
ね108 により圧板103 または該圧板103 上に載置された
シートPに対して20gf〜100gfで付勢されてい
る。
【0006】分離爪107 は普通紙等の比較的剛性が低い
シートPの分離を行うものであり、シートPのシート先
端角部上面を覆う三角形状のシート規制部107a及びシー
ト先端角部端辺を突き当てて規制するシート規制部107b
を有して構成されている。
【0007】シートPは、該シートPの先端角部が、分
離爪107 のシート規制部107a,107bに係止されて規制さ
れると共に、給送ローラ105 による給送力を受けてシー
ト先端角部が撓み、該シート先端角部が分離爪107 のシ
ート規制部107aを乗り越えて進行することにより、最上
位のシートPから順次一枚ずつ分離,給送することが出
来るようになっている。
【0008】また、シートPの先端は、図18に示すベー
ス102 のベース下面102aに設けたシート先端突き当て部
102bに突き当てられるようになっており、該シート先端
突き当て部102bのシート突き当て面は、圧板103上に載
置されたシートPのシート面に対して所定角度で形成さ
れている。
【0009】シートPを圧板103 上にセットする際に
は、該圧板103 は図19に示すリリースカム104 により押
し下げられて圧板103 が給送ローラ105 から離間してお
り、普通紙等の比較的剛性の低いシートPを使用する場
合には、シートPの基準側の先端角部が分離爪107によ
り係止されて規制され、分離爪107 により規制されない
他の先端部分をシート先端突き当て部102bに突き当てる
ことにより、シートPは傾斜した状態で支持される。
【0010】シートPがセットされた状態で、回転駆動
力を給送ローラ105 及びリリースカム104 に伝達すると
該リリースカム104 が圧板103 から離れて圧板103 が給
送ローラ105 側に上昇し、給送ローラ105 がシートPに
接触回転してシートPが繰り出され、分離爪107 により
一枚ずつ分離,給送される。
【0011】給送ローラ105 とリリースカム104 とは、
シートPを給送すると一回転し、リリースカム104 が再
び圧板103 を給送ローラ105 に対してリリース(離間)
した状態で給送ローラ105 及びリリースカム104 への回
転駆動力が遮断され、このイニシャル状態を保持する。
【0012】また、封筒,葉書等の比較的剛性の高いシ
ートPを使用する場合には、分離爪107 に係止されたシ
ート先端角部に十分な撓みが形成し難いため、ユーザが
予め分離爪リリースレバー109 を操作することにより分
離爪107 を解除してシートPの先端をシート先端突き当
て部102bに突き当てることで、該シート先端突き当て部
102bとシートPの先端との摩擦抵抗を利用して一枚ずつ
分離,給送するようになっている。
【0013】分離爪107 を解除する分離爪リリースレバ
ー109 は、図示しない回動軸を中心にして回動可能に支
持されており、薄手シートセットポジションと厚手シー
トセットポジションとの二つのポジションに切り換え可
能になっている。
【0014】即ち、分離爪リリースレバー109 を装置後
方側(図19の矢印aと反対方向)に傾けると、薄手シー
トセットポジションに設定される。この時、分離爪リリ
ースレバー109に一体的に設けられたカム部材109aによ
り分離爪107 の押し下げ部107dがリリースカム104 側に
押される。リリースカム104 が圧板103 の押し下げ部10
3aを押し下げた状態において、分離爪107の押し下げ部1
07dは、前記カム部材109aの作用によりリリースカム104
に押し下げられた状態にセットされる。
【0015】同時に、分離爪107 は、回動軸107cを中心
に回動し、分離爪107 のシート規制部107a,107bが圧板
103 から離間した状態になる。この状態でシートPを圧
板103 上にセットすると、シートPは分離爪107 と圧板
103 との間に確実にセットすることが出来る。
【0016】また、シートPの給送動作を開始し、リリ
ースカム104 が回転して圧板103 の押し下げ状態を解除
すると、分離爪107 の押し下げ部107dも同時に解除さ
れ、分離爪107 が分離爪ばね108 の引っ張り力により付
勢されて圧板103 上に載置されたシートPの先端角部に
シート規制部107a,107bが係合して該シートPの先端角
部が係止されて規制される。
【0017】一方、分離爪リリースレバー109 を装置前
方側(図19の矢印a方向)に傾けると、厚手シートセッ
トポジションに設定される。この時、分離爪リリースレ
バー109に一体的に設けられたカム部材109aが分離爪107
の押し下げ部107dをリリースカム104 側に押す位置か
ら外れることで図示しない分離爪スライドばねの作用を
受け、分離爪107の押し下げ部107dとリリースカム104
との連動が解除される。
【0018】そして、分離爪107 は分離爪ばね108 の作
用により、分離爪107 のシート規制部107a,107bは圧板
103 に付勢され、この状態においてシートPをセットす
ると、シートPは分離爪107 のシート規制部107a,107b
の規制を受けない状態でセットされ、リリースカム104
が回転しても圧板103 だけがリリースカム104 の作用を
受け、分離爪107 のシート規制部107a,107bは圧板103
に付勢されたまま圧板103 と一体的に動作するように構
成されている。
【0019】また、第2の従来例として、分離爪をシー
トPの剛性に応じてシート搬送方向と直交する方向(以
下、「シート幅方向」という)に退避可能にして前記第
1の従来例の分離爪リリースレバー109を不要とした場
合の構成について図20〜図24を用いて説明する。尚、前
記第1の従来例と同じ構成は同一の符号を付して説明を
省略する。
【0020】このシート給送装置111 は図23、図24に示
すように、分離爪112 は回動の中心となるベース102 に
設けられた回動軸113 に対応する軸穴112cに圧板103側
に向けてテーパ面112dが形成されており、回動軸113 と
テーパ面112dとの係合作用により分離爪112 は回動軸11
3 を中心にして図24の矢印b方向に回動してシートPの
進路から退避出来るように構成されている。
【0021】また、図21に示す待機状態では、分離爪11
2 は分離爪押圧ばね114 により分離爪112 の引っ掛け部
112eの位置にて、図24の矢印bと反対方向に押圧される
と共に、図24の矢印b方向の力が加わっても図21、図22
に示す分離爪規制部115(退避規制手段)によって、そ
れ以上、図24の矢印b方向に移動しないように設けられ
ている。
【0022】これによって分離爪112 は、ユーザがシー
トPを圧板103 上にセットする際に図24の矢印b方向に
回動してしまうことはなく、シートPをシート規制部11
2a,112bにて確実に規制することが出来る。
【0023】上記構成により、普通紙等の比較的剛性の
低いシートPを給送する場合には、分離爪112 は図23の
状態にあり、シートPのシート先端角部が分離爪112 に
係止され、且つ給送ローラ105により給送力を受けるこ
とでシートPの先端角部に撓みが形成され、分離爪112
のシート規制部112aを乗り越えて最上位のシートPから
順次一枚ずつ分離,給送される。
【0024】尚、分離爪押圧ばね114 の弾性力は、比較
的剛性の低いシートPを給送する際に分離爪112 がその
シートPに押されて図24の矢印b方向に回動しないよう
に、即ち、分離爪112は図23に示す姿勢状態のまま退避
しないように設定されている。
【0025】一方、封筒,葉書等の比較的剛性の高いシ
ートPを給送する場合には、該シートPの先端角部に撓
みが形成され難く、分離爪112 のシート規制部112aを乗
り越えて進行することが非常に困難なため、最上位のシ
ートPが分離爪112 のシート規制部112a,112bを強く押
圧する。
【0026】これによって、分離爪112 は、図24に示す
ように、分離爪押圧ばね114 の弾性力に抗して図24の矢
印b方向に回動し、シートPの進路から退避する。こう
してシートPは分離爪112を通過し、ベース102 のシー
ト先端突き当て部102bとシートPの先端との摩擦力によ
り一枚ずつ分離,給送される。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
第1の従来例では、シートPの剛性に応じてユーザが選
択的に分離爪リリースレバー109 を操作してシートPの
先端角部への分離爪107の規制を設定/解除するので、
シートPの剛性の判断及び操作が複雑となり、誤操作を
誘発して給送不良等が発生する虞がある。また、分離爪
リリースレバー109 を取り付けるためのスペースが必要
となり、装置が大型化すると共に、装置の構成が複雑化
して部品点数及び組み立て工数が増大し、コストアップ
になるという問題がある。
【0028】また、前述の第2の従来例では、分離爪11
2 がシートPの幅方向外側に退避した時、圧板103 上に
載置したシートPを規制する手段が皆無となり、シート
Pが自重によりシート給送方向下流側(以下、単に「下
流側」という)へ進行してしまうことによりシートPの
重送が発生する虞がある。
【0029】また、退避状態の分離爪112 が規制姿勢状
態に復帰する際に、後続するシートPが下流側に進行し
ている状態が発生し易いので、復帰する分離爪112 のシ
ート規制部112a,112bが後続するシートPの側端部に突
き当たり該シートPを傷つけたり、該シート規制部112
a,112bが後続するシートP束の間に入り込んで最上位
のシートPが規制されず、重送が発生する虞がある。
【0030】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、シートの剛性の高低に対応し
て分離爪がシートの先端角部を規制する規制姿勢状態
と、規制を解除する退避姿勢状態とに選択的に変化する
ように構成したことで、簡単な構成で、且つ簡単な操作
で、各種シートの分離,給送を良好に行うことが出来る
シート給送装置及びこれを備えた記録装置を提供せんと
するものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る代表的な構成は、シートを載置するシー
ト載置手段と、前記シート載置手段に載置されたシート
を給送するシート給送手段と、前記シート載置手段に載
置されたシートの先端角部を規制しシートを分離する分
離爪と、を有し、前記分離爪は、前記シート給送手段の
給送動作に連動してシートの先端角部を規制する規制姿
勢状態と、シート給送方向に傾倒し規制を解除する退避
姿勢状態と、に選択的に変化するように構成したことを
特徴とする。
【0032】上記構成によれば、シート載置手段に載置
されたシートをシート給送手段が給送することで、シー
トの先端角部が分離爪に押し当てられ、シートが普通紙
等の比較的剛性の低いシートである場合には、シートの
先端角部が分離爪に係止されて該シートの分離爪近傍に
撓みが形成され、該シートの先端角部が分離爪を乗り越
えて進行することで分離爪により一枚ずつ分離,給送さ
れる。
【0033】一方、シートが封筒,葉書等の比較的剛性
の高いシートである場合には、シートの先端角部が分離
爪に係止されても該シートの分離爪近傍に撓みが形成さ
れ難く、該シートの先端角部が分離爪を乗り越えて進行
することが困難となり、従って、シートが分離爪を強く
押圧する。これにより分離爪が規制を解除する退避姿勢
状態となってシートが分離爪を通過し、分離面とシート
先端との摩擦により一枚ずつ分離,給送される。
【0034】また、前記分離爪を、前記シート給送手段
の給送動作に連動して、シートの先端角部を規制する規
制姿勢状態と、規制を解除する退避姿勢状態とに選択的
に変化させることにより、例えば、シートの給送動作の
終了時に前記分離爪を規制姿勢状態に復帰させ、更に前
回のシート給送動作の終了時から次回のシート給送動作
の開始時までの間、前記分離爪を規制姿勢状態に保持す
る。
【0035】これにより、先行するシートの分離,給送
動作が終了した後のシート載置手段に載置された後続す
るシートの給送方向下流側への進行を抑制すると共に、
シート載置手段に長期間載置した場合のシートの規制を
安定化させることが出来る。
【0036】また、シートの給送動作の開始後に分離爪
の規制姿勢保持状態を解除することにより、封筒,葉書
等の比較的剛性の高いシートがシート給送手段により給
送作用を受けると、該シートが分離爪をシート給送方向
下流側に強く押し倒して退避させ、シートが分離爪を通
過して進行することを可能にする。
【0037】
【0038】
【0039】また、前記分離爪を、シート給送方向と直
交する方向に配置された支軸を中心に回動させる構成と
することにより、分離爪の規制姿勢と退避姿勢との変化
動作がスムーズに行える。
【0040】
【0041】また、前記シート給送手段により給送され
るシートが前記分離爪により撓む量を抑える撓み抑制手
段により、シートの撓み量を前記シート給送手段と前記
分離爪の力の作用点を結ぶ面に対して3mm以下に抑え
るように構成した場合には、封筒,葉書等の比較的剛性
の高いシートがシート給送手段により給送作用を受け、
シートが分離爪をシート給送方向下流側に強く押し倒し
て分離爪を退避させる時、シートのシート先端角部が分
離爪から受ける反力によりシート給送手段と分離爪との
間でシートに座屈が発生することを防止する。
【0042】そして、シート給送手段の給送力をシート
先端角部による分離爪の押し倒し力として伝達する際
に、シートが座屈することにより分離爪の押し倒し力が
失われることを防止し、比較的剛性の高いシートが分離
爪を押し倒せずに給送不良が発生することを防止する。
【0043】また、前記分離爪は、シートの先端角部を
少なくとも異なる2方向から規制することで、比較的剛
性の高いシートが分離爪を押圧する時、シートの押圧力
をシート給送方向下流側に確実に集中させることが出
来、比較的剛性の高いシートが分離爪を押し倒せずに給
送不良が発生することを防止する。また、比較的剛性の
低いシートに対してもシート先端角部が分離爪に掛かる
掛り量を一定にする作用を発揮し、シートの分離爪から
の外れ具合を安定化させて確実な分離,給送を可能にす
る。
【0044】また、前記分離爪のシート上面を規制する
面と、前記シート載置手段に載置されたシート上面との
距離を、シート給送方向下流側のシート端に沿った方向
で変化させることにより、比較的剛性の低いシートの重
送防止対策として、分離爪のシート先端角部における規
制範囲を大きくしてシート規制効果を高めた状態におい
ても、シート給送手段により給送力が作用され、シート
先端角部が前記分離爪に押し当てられると、比較的剛性
の低いシートでは、シート先端角部に対して爪分離に有
利な撓みが容易に形成され、比較的剛性の高いシートで
は、分離爪の規制から容易に解除される。従って、一つ
の構成により、剛性の低いシートと剛性の高いシートの
分離給送の安定性が両立できる。
【0045】従って、封筒、葉書等のようなポリエステ
ルフィルムよりも更に剛性の高いシートに対して、シー
トが分離爪に作用する押圧力により、分離爪がシート給
送方向に回動退避する方式において、ポリエステルフィ
ルムのような中途半端な剛性のシートが爪分離の際に分
離爪に大きな作用力を及ぼし、分離爪を回動退避させて
しまうことにより発生する後続のシートの大量重送が防
止できる。
【0046】また、分離爪にシートの先端角部が係止さ
れた状態で長時間放置された場合に、シートの自重の作
用でシート先端角部が経時変化により撓みぐせが出来て
も、この撓みぐせを爪分離に有利な方向に生じさせるこ
とで、シートの分離給送を安定化させることが出来る。
【0047】
【0048】
【発明の実施の形態】図により本発明に係るシート給送
装置及びこれを備えた記録装置の一例としてインクジェ
ット記録装置に適用した場合の一実施形態を具体的に説
明する。図1は本発明に係るシート給送装置を備えたイ
ンクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図、図2は
本発明に係るシート給送装置を備えたインクジェット記
録装置の要部断面説明図、図3は本発明に係るシート給
送装置のシート給送部を示す正面図、図4はシートの先
端を突き当てる突き当て部の構成を説明する要部拡大
図、図5はシートの先端を突き当てる突き当て部及び分
離爪の配置位置の構成を説明する要部拡大図、図6はシ
ート給送ローラの両側に配置したリブの構成を説明する
要部斜視図、図7(a),(b)はシート給送ローラの
両側に配置したリブの構成を説明する要部断面図、図8
はシート給送部の駆動伝達系を示す側面説明図、図9は
分離爪の起立姿勢状態を示す側断面説明図、図10(a)
は第1実施形態の分離爪の構成を示す断面説明図、図10
(b)は図10(a)中のD方向から見た図、図10(c)
は図10(a)中のE方向から見た図、図11(a)〜
(d)は分離爪の姿勢状態を変化させた状態を示す側面
説明図、図12(a)〜(d)は分離爪によるシートの分
離,給送動作の様子を示す側断面説明図、図13はシート
給送装置の制御動作を示すフローチャート、図14はシー
ト給送装置によるシートの給送動作を説明する図であ
る。尚、以下の各実施形態で示す各部材の材質や構成寸
法等は、一具体例を示したものであり、当然これ等の記
述に制限されるものではなく、目的に応じて適宜変更し
得るものである。
【0049】(第1実施形態)図を用いて本発明に係る
シート給送装置を備えたインクジェット記録装置の第1
実施形態について説明する。本実施形態は、シート給送
装置1と一体型の記録装置であり、シート給送装置1
は、図3に示すように、ベース5に各部品が取り付けら
れて一体のユニットを形成している。
【0050】シート給送装置1には、ベース5に設けら
れたシート載置手段となる圧板6上に載置されたシート
Pを給送するシート給送部、記録手段であるインクジェ
ット記録ヘッド24をシート給送方向と直交する方向に操
作するキャリッジ部、インクジェット記録ヘッド24をク
リーニングするクリーニング部、画像が記録されたシー
トPを機外へ排出するシート排出部等を有して構成され
る。
【0051】シート給送装置1の圧板6上に載置された
紙や合成樹脂等で構成されるシートPはシート給送手段
となるシート給送回転体としての給送ローラ2により給
送された後、シート搬送ローラ14により記録手段となる
インクジェット記録ヘッド24が対向する記録位置に搬送
され、該記録ヘッド24により画像情報に応じた画像が記
録された後は、排出ローラ34,拍車36に挟持されて略水
平状態で機外へ排出される。
【0052】シート給送装置1は、詳しくは後述する給
送ローラ2,分離爪3,可動サイドガイド4,ベース
5,圧板6,圧板ばね7,リリースカムギヤ9,分離爪
ばね10,欠歯ギヤ11,リリースカム12等が設けられてお
り、更には図8に示す入力ギヤ8a,アイドラギヤ8
b,8c,8e,8f及び給送ローラギヤ8d等の駆動
ギヤ等を装備している。
【0053】図1、図2に示すように、シート給送装置
1は、装置本体に対して、30°〜60°の角度を有し
て傾斜させたベース5が設けられている。前記ベース5
には、シート載置手段となる圧板6の両側面上部に形成
された圧板軸6aにより圧板6の上端部が軸支されてお
り、圧板6はベース5に対して回動可能に設けられてい
る。
【0054】本実施形態のシート給送装置1は、シート
Pのシート給送方向の片側側端を基準としたものであ
り、図3に示すベース5の右側板5bがシートPの基準
となっている。ベース5は圧板6が図9に示すように退
避出来、且つ、給送ローラ2のローラ部2bに略対向す
る位置で圧板6の裏面には、圧板ばね7を設けるための
凹部が形成されている。そして圧板6の裏側に設けられ
た圧板ばね7の付勢力により、圧板6を給送ローラ2方
向に付勢している。
【0055】図3に示すように、圧板6の給送ローラ2
に対向する位置には、人工皮等の摩擦係数の比較的大き
い材質からなる分離パッド45が設けられており、シート
Pの載置枚数が少なくなった時の重送等を防止してい
る。
【0056】また、圧板6上にはシート幅方向にスライ
ドできるサイド規制部材としての可動サイドガイド4が
取り付けられており、シートPを圧板6上に載置した
後、シート基準面としての右側板5bにシートPの一側
端を当接させると共に、シートPの他側端に可動サイド
ガイド4を当接させてシートPの姿勢を規制してセット
出来るようになっている。
【0057】また、ベース5の内部に設けられたスライ
ドガイド部には、圧板6上に載置されたシートPの背面
を支持するシート背面支持部材としてのシートサポータ
ー50がシート給送方向にスライド可能に設けられてお
り、シートサポーター50の使用時には、該シートサポー
ター50を図3の上方へ引き出した状態にし、使用しない
時には、ベース5と圧板6との間のスペースに収納可能
になっている。
【0058】また、図3に示すように、ベース5のベー
ス下面5aには分離面となる所定の摩擦係数を有するシ
ート先端突き当て部5cがシート給送方向に平行に配置
した複数のリブ(高さ約4.5mm)を並行させて立設
している。本実施形態では、ベース下面5a全体に亘っ
て前記リブを配置して構成している。
【0059】前記リブで構成されたシート先端突き当て
部5cのシート突き当て面は、普通紙等の比較的剛性の
低いシートPに対しては、詳しくは後述する分離爪3に
よるシート規制の補助的な支持機能として働き、封筒,
葉書,厚紙等の比較的剛性の高いシートPに対しては、
シート支持機能と、シートPの先端を規制して一枚ずつ
分離する機能とを兼ねている。
【0060】また、シート先端突き当て部5cをシート
Pの先端が接触する部位の全域に亘って複数のリブで構
成したことにより、インクの発色性を高め、にじみを抑
える等の記録画像の高精細化に効果を発揮する特殊なコ
ート剤で表面コートした特殊シートPを使用した場合で
も特殊シートP表面から飛散するコート剤の微細粒子が
シート先端突き当て部5cのシート突き当て面に堆積し
難く、前記微細粒子はリブ間に落ちる。
【0061】これにより、シート先端突き当て部5cの
シート突き当て面とシートP先端との間の摩擦抵抗の増
加を防止して、該摩擦抵抗を略一定に維持することで、
安定した分離,給送動作が出来るようになっている。
【0062】更に、図5に示すように、第2のシート先
端突き当て部材49が、給送ローラ2の軸方向においてロ
ーラ部2bと略同位置で、且つ、リブ状に構成されたシ
ート先端突き当て部5cのリブ間から突き出すように設
けられている。
【0063】これにより、普通紙等の比較的剛性の低い
シートPを圧板6上に載置した時、シート先端突き当て
部5c上で分離爪3に規制されないシート先端部分が分
離爪3で規制されたシート先端角部に比べ、シート給送
方向下流側(以下、単に「下流側」という)に進行した
状態が発生することを防止し、シートPのシート給送装
置1による分離,給送を安定させる。
【0064】この第2のシート先端突き当て部材49は、
図5に示すように、弾性部材であるPETシート製で幅
5mm,厚さ0.25mm,撓み部長さ6mmで構成さ
れ、ベース5に対して片持ち梁状に支持されている。ま
た、第2のシート先端突き当て部材49は、圧板6上に載
置されたシートPの上面に対して約90°の角度をなす
ように配置されている。
【0065】また、シート先端突き当て部材49は、分離
爪3のシートPの先端端辺を規制するシート規制部3b
よりもシート給送方向上流側(以下、単に「上流側」と
いう)の約1.2mmの位置に配置されている。
【0066】上記のように構成することにより、特に普
通紙等の比較的剛性の低いシートP束を圧板6上に載置
する時に、シートPの先端角部が分離爪3による規制を
外れた位置で、シート先端突き当て部5cに、シートP
束の先端を突き当ててセットし、シートPのシート給送
方向に平行な辺(以下「側端」という)をガイド位置決
めする右側板5bに突き当たるまでシート先端突き当て
部5cに沿って幅方向にスライドさせた時、第2のシー
ト先端突き当て部材49がシートPの先端を支持すること
により、シートP先端がシート先端突き当て部5cから
シート給送方向下流側に滑り落ちることを防止し、シー
トPの一側端が右側板5bに突き当たった時、シートP
束のシート先端角部を確実に分離爪3により規制させる
ことが出来る。
【0067】第2のシート先端突き当て部材49をそれ自
体弾性部材で構成することにより、該第2のシート先端
突き当て部材49全体がシート給送方向において下流側ほ
どシートP先端に対して突き当て角度が緩くなるため、
第2のシート先端突き当て部材49の上流側に載置された
シートPほど規制が強くなり、重送の発生防止に大きな
効果を発揮している。
【0068】また、第2のシート先端突き当て部材49を
シート先端突き当て部5cの上流側起点からシート先端
突き当て部5cに沿う約5.3mm下流側に位置させる
ことで、まず、シート先端突き当て部5cによりシート
P先端の規制を緩めた後で、第2のシート先端突き当て
部材49にシートP先端を突き当てるようになっている。
【0069】これにより、シートPの先端がシート先端
突き当て部5cと第2のシート先端突き当て部材49との
両方から過大な静摩擦抵抗を受けることを防止して、比
較的剛性の高いシートPが給送された場合に過大な抵抗
が発生することを防止している。
【0070】また、第2のシート先端突き当て部材49自
体に過大な力が作用すると、該シート先端突き当て部材
49は、シート先端突き当て部5cのリブ間に完全に入り
込んだ状態まで撓むようになっており、これによりシー
トPの安定した給送を可能にしている。
【0071】上記の構成により、第2のシート先端突き
当て部材49は、比較的剛性の低いシートPと比較的剛性
の高いシートPとの分離,給送安定性を両立させてい
る。また、第2のシート先端突き当て部材49の先端は、
図5に示すように、シート搬送路に対して2mmの距離
が設けてあり、シート送り部13によるシート搬送中の搬
送抵抗を与えないようになっている。
【0072】図3に示すように、給送ローラ2はベース
5に両端を保持され、回転可能に取り付けられた軸2c
に固着されている。給送ローラ2はローラ部2bと軸2
cからなるプラスチック等の一体成型品であり、ローラ
部2bの周りにシートPの給送を行うための給送ローラ
ゴム2aが設けられている。
【0073】前記ローラ部2bは、その外周面がD型断
面形状(半月形状)で形成されており、図4、図5に示
すように、ローラ部2bに隣設してローラ部2bの各外
側に給送ローラ2に取り付けられた給送ローラゴム2a
の外周半径よりも3mm小さい半径を有するローラコロ
46が設けられている。
【0074】ローラコロ46は、シートPの給送時以外に
シートPが給送ローラ2のローラコロ46に接触すること
により発生する画像の汚れ、給送ローラ2の位置ずれ、
シート搬送抵抗により発生する搬送精度の低下を防止す
る。
【0075】前記ローラ部2bは、図3に示すように、
軸2cに二個取り付けられており、右側板5bのシート
基準位置から約40mmと170mmの位置に夫々固定
されている。従って、A4サイズ等のシートPは二個の
ローラ部2bにより搬送し、葉書等のシートPは右側板
5bに近い側の一個のローラ部2bにより搬送するよう
になっている。
【0076】また、各ローラ部2bの両側面には、図
6、図7に示すように、給送ローラゴム2aの外周半径
よりも大きな半径(半径0.3mm大)で、且つ、所定
距離に設定されたリブ2dが突設されている。
【0077】リブ2dは、図7に示すように、右側板5
bに近い側のローラ部2bで、円周方向において距離1
mm、右側板5bから遠い側のローラ部2bで、円周方
向において距離3mmの領域(以下「離間領域」とい
う)が形成されており、各離間領域は、給送ローラ2の
回転軸中心から平面部へ鉛直に引いた線から各離間領域
の中心位置までの角度α°が一致するように構成されて
いる。即ち、各離間領域はシートPに対して略同じタイ
ミングで接触するようになっている。
【0078】また、給送ローラ2には、図2、図3に示
すように、該給送ローラ2の周囲に取り付けられた給送
ローラゴム2aの外周径よりも小さい半径を有するセン
サ板42が設けられている。このセンサ板42は、給送ロー
ラ2及びリリースカムギヤ9が図9に示すように、圧板
6を解除するイニシャル位置にある場合のみ、図2に示
す電気基板43上に直接設けられたフォトインタラプタ等
からなるローラセンサ44を透光せずに遮光状態となるよ
うに構成されている。
【0079】前記センサ板42の状態を検出することで、
給送ローラ2の角度位置及び給送ローラ2に位相を合わ
せ、連動されるリリースカムギヤ9の角度位置を検出す
ることが出来、シートPの給送シーケンスにおける制御
のタイミングを計ることが出来る。
【0080】次に、本発明の特徴となる第1実施形態の
分離爪3の構成について、図3、図5及び図8〜図12を
用いて詳細に説明する。シート分離手段を構成し、シー
トPの先端角部に当接して該シートPを規制するシート
規制部材となる分離爪3は、図10に示すように、シート
Pの先端角部の上面を規制する平面状で形成されたシー
ト規制部3aとシートPの先端角部の端辺を規制するシ
ート規制部3b及び欠歯ギヤ11に係合し得るギヤ部3d
及びカム部3e等を有しており、図8に示すように、ベ
ース5に対して支点3cを中心に回動可能に構成されて
いる。
【0081】分離爪3は、普通紙等の比較的剛性の低い
シートPのシート先端角部を係止して規制し、給送の際
の分離を行うものであり、本実施形態では、図3に示す
ように、シート基準側となる右側板5b側のみに設けら
れている。分離爪3のシート規制部3a,3bは、シー
トPの先端角部を異なる2方向から規制するように構成
されており、シートPの先端角部の上面及び先端角部の
端辺を三角形状で覆うようになっている(図10(b)参
照)。
【0082】また、分離爪3は給送ローラ2とリリース
カムギヤ9と一回転毎の位相が合うように構成された欠
歯ギヤ11によりその回動動作が制御されるようになって
いる。欠歯ギヤ11はギヤ列から駆動され、給送動作開始
と同時に回転を開始する。また、カム部11aとに連続し
た1.5歯のギヤ部11bにより、分離爪3のギヤ部3d
と噛み合う構成になっていて、給送動作待機状態におい
て、分離爪3のギヤ部3dは、欠歯ギヤ11のカム部11a
により、シートPの重量により傾倒しないように押さえ
られている。
【0083】給送動作開始後、欠歯ギヤ11が回転し、分
離爪3のギア部3dが欠歯ギヤ11のカム部11aから解除
されると、分離爪3は爪ばね10を除いて回転動作を抑制
する手段を失い、回転可能になる。しかし、欠歯ギヤ11
が一回転すると、分離爪3が如何なる傾倒状態に有ろう
とも、欠歯ギヤ11のギア部11bと分離爪3のギア部3d
が噛み合って、前記待機状態の分離爪3が欠歯ギヤ11に
傾倒を押さえられた状態に戻るように構成されている。
【0084】次に、図11(a)〜(d)及び図12(a)
〜(d)を用いて、分離爪3の作用(及びシート先端突
き当て部5dの作用)によりシートPが分離される過程
を説明する。圧板6がリリースされ、給送ローラ2の切
欠部(半月部)が圧板6に対向している時、分離爪3は
欠歯ギヤ11により支持され、シートPの重量に抗して回
転しないように保持されている(図11(a)、図12
(a)参照)。
【0085】給送ローラ2の回転に伴い欠歯ギヤ11も回
転し、欠歯ギヤ11のカム部11aにより分離爪3はシート
給送方向上流側(シートP側:図12(b)の矢印C方
向)に傾倒される。この時、シートPの先端角部に撓み
が発生する(図11(b)、図12(b)参照)。
【0086】この後、分離爪3は欠歯ギヤ11のカム部11
aから開放され、分離爪ばね10に支持されるだけとなる
が、この状態でシートPが給送方向に回転駆動される給
送ローラ2から給送力を受けると、該シートPの先端角
部が分離爪3のシート規制部3a,3bにより係止され
て規制されることで、比較的剛性の低いシートPの場合
は、シート規制部3a,3bにより係止されたシート先
端角部において撓みが成長し(図11(c)、図12(c)
参照)、シートPの先端角部が分離爪3のシート規制部
3aを乗り越えて一枚ずつ分離,給送することが出来
る。
【0087】また、封筒,葉書等の比較的剛性の高いシ
ートPの場合は、前述のような撓みは成長せず、シート
Pが分離爪ばね10により支持されるだけとなった分離爪
3を該分離爪ばね10の引っ張り力に抗して押し倒して退
避させ、分離爪3を通過する(図11(d)、図12(d)
参照)。
【0088】この時、シートPが分離爪ばね10による反
力と、給送ローラ2による給送力とによって座屈してし
まうと、分離爪3を押し倒す力が失われ、給送不良を発
生する虞がある。
【0089】これを解決するために、圧板6の分離爪3
に対向する近傍に図9、図12に示す撓み抑制手段として
のシート支持部6dをリブ状に設け、給送ローラ2と分
離爪3との間でのシートPの撓み量を、給送ローラ2と
分離爪3の力の作用点を結ぶ面に対して3mm以下にな
るように抑えることでシートPの座屈を防止している。
【0090】このようにして、分離爪3を分離爪ばね10
の引っ張り力に抗して押し倒して退避させ、分離爪3を
通過したシートPは、ベース5のシート先端突き当て部
5c及び第2のシート先端突き当て部材49に突き当たる
ことで、該シート先端突き当て部5c,第2のシート先
端突き当て部材49とシートPの先端との間に作用する接
触摩擦抵抗により一枚ずつ分離,給送される。
【0091】続いて、給送ローラ2及び欠歯ギヤ11の回
転に伴い、分離爪3のギヤ部3dと欠歯ギヤ11のギヤ部
11bが噛合することにより、分離爪3は図11(a)、図
12(a)に示す初期の設定角度に戻される。
【0092】尚、前述したギヤ群(給送ローラ2の軸2
cを除く)及び分離爪3、欠歯ギヤ11、リリースカム12
等は、図3、図8に示すように、ベース5の右側板5b
上に配置した各軸に夫々設けられており、該軸中心に回
転可能に取り付けられている。
【0093】図8に示すリリースカムギヤ9が圧板6に
当接して、該圧板6を図9に示す位置まで押し下げた
時、シートPは給送ローラ2から離れるようになってい
る。この状態でシートPが圧板6上にセットされる。搬
送ローラ14の回転駆動力は駆動ギヤ8a〜8eにより給
送ローラ2及びリリースカムギヤ9に伝達される。
【0094】リリースカムギヤ9が圧板6から離れる
と、圧板6が図4に示す位置まで上昇し、給送ローラ2
と最上位のシートPの上面とが接触し、給送ローラ2の
回転駆動に伴い、シートPがピックアップされ、分離爪
3により最上位の一枚が分離される。
【0095】分離されたシートPは、図2に示すシート
送り部13へ送られる。給送ローラ2とリリースカムギヤ
9は、シートPをシート送り部13へ送り込むまで回転
し、再び圧板6を給送ローラ2に対してリリースした状
態で給送ローラ2からの回転駆動力が遮断され、このイ
ニシャル状態を保持する。
【0096】図2に示すシート送り部13は、搬送ローラ
14,ピンチローラ15,ピンチローラガイド16,ピンチロ
ーラばね17,エッジ(PE) センサレバー18,エッジ(P
E) センサ19,エッジ(PE) センサばね20,上ガイド2
1,プラテン22等を装備している。
【0097】前記シート送り部13に送られたシートP
は、プラテン22と上ガイド21,ピンチローラガイド16に
ガイドされて、搬送ローラ14とピンチローラ15とのニッ
プ部に送られる。このローラ対14,15のシート給送方向
上流側には、PEセンサレバー18が上ガイド21に回転可能
に設けられており、シートPがシート搬送路上に存在し
ない時は、回転中心に対し、PEセンサレバー18下流側先
端は、シート搬送路を遮る位置に置かれ、上流側遮光部
18aがフォトインタラプタ方式のPEセンサ19を遮光状態
にしている。
【0098】シートP先端がPEセンサレバー18先端に到
達すると、PEセンサレバー18先端がシートPに押し上げ
られて回転し、遮光部18aが移動し、PEセンサ19が透光
状態になることで、シートP先端が検出される。これが
シートPの記録開始位置を定める基準となる。
【0099】前記ピンチローラ15は、ピンチローラガイ
ド16をピンチローラばね17により付勢することで搬送ロ
ーラ14に押圧されており、該搬送ローラ14の回転に従動
回転してシートPの搬送力が生じるようになっている。
搬送ローラ14とピンチローラ15とのニップ部に送られた
シートPは、図1に示すLFモータ23を駆動することによ
り、搬送ローラ14及びピンチローラ15を回転させてプラ
テン22上を記録開始位置まで所定量搬送される。
【0100】また、図2に示すように、シートPをシー
ト給送装置1によりシート送り部13に給送する方法とは
別に、前記シート給送装置1の下部と、前記プラテン22
との間に手差し給送路37を設け、厚みの大きいシートP
や比較的剛性の高いシートPを直接搬送ローラ14とピン
チローラ15とのニップ部に送り込むことを可能にしてい
る。
【0101】このようにして、記録開始位置まで送り込
んだシートPに、インクジェット記録ヘッド24により所
定の画像情報に基づいた記録を行うように構成されてい
る。
【0102】前記記録ヘッド24は、搬送ローラ14及びピ
ンチローラ15により搬送されたシートPにインクによる
画像を記録するものである。この装置における記録手段
としては、記録ヘッド24からインクを吐出して記録する
インクジェット記録方式を用いている。
【0103】即ち、この記録ヘッド24は、微細な液体吐
出口(オリフィス)、液路及びこの液路の一部に設けら
れるエネルギー作用部と、該作用部にある液体に作用さ
せる液滴形成エネルギーを発生するエネルギー発生手段
を備えている。
【0104】このようなエネルギーを発生するエネルギ
ー発生手段としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を
用いた記録方法、レーザ等の電磁波を照射して発熱さ
せ、該発熱による作用で液滴を吐出させるエネルギー発
生手段を用いた記録方法、あるいは発熱抵抗体を有する
発熱素子等の電気熱変換体によって液体を加熱して液体
を吐出させるエネルギー発生手段を用いた記録方法等が
ある。
【0105】その中でも熱エネルギーによって液体を吐
出するインクジェット記録方法に用いられる記録ヘッド
は、記録用の液滴を吐出して吐出溶液滴を形成するため
の液体吐出口(オリフィス)を高密度に配列することが
出来るために、高解像度の記録をすることが可能であ
る。
【0106】更にその中でも電気熱変換体をエネルギー
発生手段として用いた記録ヘッドは、コンパクト化も容
易であり、且つ、最近の半導体分野における技術の進歩
と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術の
長所を十二分に活用出来、高密度実装化が容易で、製造
コストも安価なことから有利である。
【0107】図1に示すように、記録部25は、記録ヘッ
ド24を取り付けるキャリッジ26と、該キャリッジ26をシ
ート給送方向と直交する方向に往復走査させるためのガ
イド軸27と、キャリッジ26の後端を保持し、記録ヘッド
24とシートPとの間の距離を略一定に維持するガイド28
とを有しており、更には、キャリッジモータ29の駆動を
キャリッジ26に伝達するタイミングベルト30、該タイミ
ングベルト30を張設するアイドルプーリ31、記録ヘッド
24へ電気基板からのヘッド駆動信号を伝達するためのフ
レキシブル基板32等を装備している。
【0108】記録ヘッド24は、インクタンクと一体に構
成され、交換可能な記録ヘッドであり、キャリッジ26と
一体となって走査されることにより、プラテン22上を搬
送されるシートPにインクによる画像を記録する。
【0109】クリーニング部38は、図1に示すように、
記録ヘッド24のクリーニングを行うポンプ39と、記録ヘ
ッド24の乾燥を抑えるためのキャップ40及び搬送ローラ
14からの駆動をシート給送装置1及びポンプ39に切り換
える駆動切り換えアーム41等を装備している。
【0110】前記駆動切り換えアーム41は、シートPの
給送時及びクリーニング時以外は図1に示す位置にあ
り、搬送ローラ14の軸芯を中心に回転する図示しない遊
星ギヤを所定位置で固定しているので、搬送ローラ14の
駆動はポンプ39及びシート給送装置1へは伝達されな
い。
【0111】また、キャリッジ26を移動させることで、
駆動切り換えアーム41を図1の矢印A方向に移動させる
と、搬送ローラ14の正転/逆転に応じて前記遊星ギヤが
移動し、搬送ローラ14の正転時にシート給送装置1に駆
動が伝達され、逆転時にポンプ39に駆動が伝達されるよ
うに構成されている。
【0112】また、搬送ローラ14等を駆動するLFモータ
23及びキャリッジ26を駆動するキャリッジモータ29は、
図示しないドライバにより送られる信号に応じて、所定
の角度だけ回転するステッピングモータを用いている。
【0113】前記クリーニング部38の駆動切り換えアー
ム41を図1の矢印A方向にキャリッジ26により移動さ
せ、搬送ローラ14を正転させると、図示しない遊星ギヤ
が移動して図8に示す入力ギヤ8aと噛み合うことでシ
ート給送装置1に駆動が伝達される。
【0114】前記入力ギヤ8aは、アイドラギヤ8b,
8cを介して給送ローラ2に結合している給送ローラギ
ヤ8dに駆動を伝達し、給送ローラ2を回転させること
でシートPを搬送することが出来る。
【0115】更に、給送ローラギヤ8dは、クラッチギ
ヤ8e,アイドラギヤ8fを介してリリースカムギヤ9
に駆動が伝達される。この時、給送ローラ2とリリース
カムギヤ9及び欠歯ギヤ11は、一回転毎の位相が合うよ
うに構成されており、図9に示す圧板6をリリースした
状態においては、給送ローラ2は図9に示すように切欠
部(半月部)が圧板6に対向するように構成されてい
る。
【0116】リリースカムギヤ9は、給送ローラ2の半
月部の中心角度120°の間のみ圧板6を解除するよう
な形状になっており、給送ローラ2の半月部位外が圧板
6と対向する時は、必ずシートPまたは圧板6と200
gf〜500gfの圧力で接するように構成されてい
る。
【0117】更に、リリースカムギヤ9は、図8に示す
ように、ベース5の右側板5bに開いた穴より突出した
圧板6の押し下げ部6bを押し下げることで圧板6の圧
接を解除している。この時、図9に示す給送ローラ2の
突出部2eが圧板6の左押し下げ部6cを押し下げるこ
とで、圧板6はベース5に対して傾かず、略平行に押圧
が解除される。
【0118】図8に示すように、クラッチギヤ8eの内
部にはクラッチばね48が設けられており、クラッチギヤ
8eが図8の矢印B方向に回転しようとすると、クラッ
チばね48が締まる方向に嵌め込まれており、これによっ
て逆転を防止するようになっている。
【0119】排出部33は、図1に示すように、排出ロー
ラ34と該排出ローラ34に搬送ローラ14の駆動を伝達する
伝達ローラ35、シートPの排出を補助する拍車36等を装
備している。排出ローラ34と拍車36により、記録後のシ
ートPを記録面を汚すことなく排出する。
【0120】次に、上述したシート給送装置1の給送ロ
ーラ2に設けられた離間領域の効果により給送開始後の
シートPの姿勢を安定させる過程について説明する。先
ず、本実施形態のシート給送装置1は、シートPの先端
を規制する分離爪3が片側にしか存在しないので、シー
ト先端突き当て部5c及び第2のシート先端突き当て部
材49によるシートP先端規制効果はあるが、シートPの
載置状態は分離爪3を支点に分離爪3の無い側が少し先
行した状態でセットされる。この状態から給送ローラ2
を回転させて圧板6に支持されたシートPが給送ローラ
2に圧接して給送が開始される。
【0121】次に、給送ローラ2の回転が進むと、シー
トPが分離爪3から外れ、分離爪3による分離が終了す
る。この時点では、例えば、シートPの最初の載置状態
が斜行していた場合、同様に斜行したままである。
【0122】分離爪3による分離終了後から前述した各
給送ローラ2のリブ2dがシートPに接触し始め、給送
ローラゴム2aとシートPとが離間した状態となる。リ
ブ2dは、給送ローラ2と一体でプラスチックの低摩擦
部材で構成されているため、給送中のシートPと圧板6
上に載置された後続するシートPとの間に発生する摩擦
力が、給送中のシートPと給送ローラ2との間に発生す
る摩擦力より大きくなり、給送中のシートPは停止状態
になる。
【0123】本実施形態においては、リブ2dが離間手
段とシートPの動きを規制する規制手段とを兼ねてい
る。シート基準側となる右側板5b側の給送ローラ2に
対し、他方の給送ローラ2の方が給送ローラゴム2aと
シートPとの離間領域を長く設定してあるため、給送中
のシートPは、シート基準から遠い側のローラ部2bを
中心に回転し、シートPのシート基準側の側端がガイド
手段であるベース5の右側板5bに突き当てられた状態
になる。
【0124】このように、給送ローラゴム2aがシート
Pと離間状態になるまでに、シートPが図3の反時計回
り方向に斜行した場合は、両ローラ部2bの離間領域幅
の差により図3の時計回り方向に回転させられ、シート
Pのシート基準側の側端がベース5の右側板5bに突き
当てられた時点で、図3の反時計回り方向に回転する力
が発生し、その力が、載置状態にあるシートPと給送中
のシートPとの摩擦力に打ち勝ち、両ローラ部2bがス
リップ状態の時に、シートPは給送方向に平行に姿勢を
矯正される。
【0125】給送ローラゴム2aがシートPと離間状態
になるまでに、シートPが図3の時計回り方向に斜行し
た場合には、両ローラ部2bの離間領域幅の差により、
更に図3の時計回り方向に回転させられるが、ローラ部
2bが双方の離間領域に到達し、シートPはスリップ状
態になった時に、シートPのシート基準側の側端がベー
ス5の右側板5bから図3の反時計回り方向に回転させ
る力が発生し、その力が、載置状態にあるシートPと給
送中のシートPの摩擦力に打ち勝ち、シートPはシート
給送方向に平行に姿勢を矯正される。
【0126】また、両ローラ部2bの離間領域がシート
Pから外れるタイミングをシート基準側で多少早めるこ
とで、シートPのシート基準側の側端がベース5の右側
板5bに突き当てられた時に受ける図3の反時計回り方
向の回転力により、右側板5bから離れてしまうことを
防止している。
【0127】前記ローラ部2bのスリップ量の差は、分
離爪3にシートPの片側のみ支持されることにより生じ
るシートPの傾きにより生じる隙間t(約1mm)と、
二個のローラ部2bの距離から「t」を「0」にするた
めに要するシートPの回転量を算出し、それに基づき上
述のような設定を行っている。
【0128】次に、シート給送装置1の制御動作につい
て、図14(a)〜(e)に示す動作状態を参照しながら
図13に示すフローチャートに沿って説明する。シート給
送装置1の制御動作は、給送ローラ2が所定のイニシャ
ル位置にある場合と、トラブルが発生したイニシャル位
置にない場合とに大別できる。先ず、給送ローラ2が所
定のイニシャル位置にある場合の制御について説明す
る。
【0129】図13において、給送スタートの信号が送信
されると、ステップS1においてキャリッジ26を移動さ
せると共に、駆動切り換えアーム41を移動させて搬送ロ
ーラ14の駆動がシート給送装置1に伝達できるようにす
る(ASFポジション)。
【0130】次に、ステップS2に進行してローラセン
サ44の状態を判断し、イニシャル位置に給送ローラ2が
ある場合には、ステップS3に進行し、そうでない場合
には、ステップS26に進む。
【0131】給送ローラ2がイニシャル位置にある場合
は、ステップS3において給送ローラ2を回転させ、ス
テップS4に進行してセンサ板42のエッジを検知し、ス
テップS5で検知してからのLFモータ23の駆動パルス数
(N1)をカウントして、給送ローラ2の角度位置を正
確に管理することで、精度の良い制御を行うことが出来
る。
【0132】給送ローラ2が約60°回転し、給送ロー
ラゴム2aの円形部がシートPに対向する位置に来る
と、給送ローラ2に連動して回転しているリリースカム
12が圧板6を解除することで、給送ローラゴム2aとシ
ートPは圧板ばね7の付勢力により圧接されるので、シ
ートPの搬送力が生じる(図14(a)参照)。
【0133】次に、ステップS6に進行して搬送される
シートPの先端の検知をPEセンサ19で行い、ステップS
7に進行してシート先端を検知した時のLFモータ23のパ
ルスカウント数「N1」を「N2」として保存する。
【0134】次に、ステップS8及びステップS9に進
行して、{(所定パルス数X)<N2<(所定パルス数
Y)}の時は、正常状態と判断し、ステップS10に進行
して、給送ローラ2を切欠部(半月部)がシートPに対
向する位置であるイニシャル位置まで回転する。
【0135】この動作の中で、リリースカム12が圧板6
の押し下げ部6bを再び押し下げることで、再び圧板6
を解除した状態にすることが出来る(図14(b)参
照)。給送ローラ2の回転終了時、シートP先端は、搬
送ローラ14及びピンチローラ15間を通過している。この
時、給送ローラ2がイニシャル位置まで回転した状態で
のシートPの先端位置を駆動パルスカウント数N2から
算出する。
【0136】次に、ステップS11において、N2が所定
パルス数Zよりも多いと、シートPの先端位置が記録ヘ
ッド24のノズルの先端よりも下流側にあると判断し、ス
テップS12に進行して、キャリッジ26を移動させ、更に
ステップS13に進行してLFモータ23を逆転し、シートP
先端位置を搬送ローラ14から11.5mm離れた位置ま
で戻す。
【0137】前記LFモータ23の逆転量は、N2から算出
する。この時、ステップS12において、キャリッジ26を
移動させることで、駆動切り換えアーム41が移動し、搬
送ローラ14の駆動がシート給送装置1に伝達できないよ
うになっている。
【0138】次に、ステップS14に進行して、ギヤのバ
ックラッシュを取るために搬送ローラ14を正転し、シー
トPを0.7mm搬送する。これにより、記録ヘッド24
のノズル先端から余白1.5mmの位置設定が実現でき
(図14(e)参照)、給送を終了する。
【0139】前記ステップS11において、N2が所定パ
ルス数Zよりも少ないと、シートPの先端位置が記録ヘ
ッド24のノズル先端より上流側にあると判断し(図14
(d)参照)、ステップS15に進行してキャリッジ26を
移動させ、この状態で搬送ローラ14を逆転させること
で、駆動切り換えアーム41が移動し、搬送ローラ14の駆
動をシート給送装置1に伝達できないようにする。
【0140】次に、ステップS16に進行して搬送ローラ
14を正転させ、記録ヘッド24のノズル先端よりも余白
1.5mmの位置設定が実現でき(図14(e)参照)、
給送を終了する。
【0141】次に、前記ステップS9において、シート
Pの先端を検知した時のLFモータ23のパルスカウント数
N2が所定パルス数Yよりも多いと、給送ローラ2の一
回転で、シートPの先端を搬送ローラ14及びピンチロー
ラ15間に到達不可能な量の滑りが、シートPと給送ロー
ラ2との間に生じたトラブル状態にあると判断し、ステ
ップS17に進行する。
【0142】ステップS17において、給送ローラ2をイ
ニシャル位置まで回転し、ステップS18において、更に
一回転させる。次に、ステップS19に進行してキャリッ
ジ26を移動させる。次に、ステップS20に進行してシー
トP先端を搬送ローラ14まで戻すため、搬送ローラ14を
逆転させる(図14(c)参照)。これに伴い、駆動切り
換えアーム41が移動し、搬送ローラ14の駆動がシート給
送装置1に伝達できないようにする。
【0143】次に、ステップS21に進行して、搬送ロー
ラ14を一定パルス数分正転させ、記録ヘッド24のノズル
先端より余白1.5mmの位置設定が実現でき(図14
(e)参照)、給送を終了する。
【0144】前記ステップS8で、シートPの先端を検
知した時のLFモータ23のパルスカウント数N2が所定の
パルス数Xより少ないと、シートPが給送開始以前か
ら、下流側へ落ち込んでおり、シートP先端位置検知後
に給送ローラ2のリブ2dがシートPに接触し、給送ロ
ーラゴム2aとシートPとが離間状態に入り、シートP
の先端位置を正確に認識出来ないトラブル状態にあると
判断し、ステップS22に進む。
【0145】ステップS22において、給送ローラ2をイ
ニシャル位置まで回転し、ステップS23に進行してキャ
リッジ26を移動させる。次に、ステップS24に進行して
シートP先端を搬送ローラ14まで戻すため、搬送ローラ
14を逆転させる(図14(c)参照)。これに伴い、駆動
切り換えアーム41が移動し、搬送ローラ14の駆動がシー
ト給送装置1に伝達できないようにする。
【0146】次に、ステップS25において、搬送ローラ
14を一定パルス数分正転し、記録ヘッド24のノズル先端
より余白1.5mmの位置設定が実現でき(図14(e)
参照)、給送を終了する。
【0147】次に、前記ステップS6において、PEセン
サ19がON状態にならない場合には、ステップS26に進
行して、給送ローラ2をイニシャル位置まで回転させ、
次いでステップS27に進行してローラセンサ44がONし
たことを確認すると、ステップS28に進行して給送ロー
ラ2を再度回転させる。
【0148】次に、ステップS29において、センサ板42
のエッジを検知すると(この時、ローラセンサ44はOF
F)、ステップS30に進行してエッジを検知してからの
LFモータ23の駆動パルス数(N1)をカウントすること
で、給送ローラ2の角度位置を正確に管理する。
【0149】次に、ステップS31に進行してシートPの
先端位置を検知した場合(この時、PEセンサ19はON)
には、ステップS7に進行し、検知されない場合には、
ステップS32に進行して給送ローラ2をイニシャル位置
まで回転させて停止し、ステップS33に進行してエラー
表示を行い、給送を終了する。
【0150】(第2実施形態)次に、本発明に係るシー
ト給送装置の第2実施形態について図15を用いて説明す
る。図15(a)は第2実施形態の分離爪の構成を示す説
明図、図15(b)は図15(a)中のD方向から見た図、
図15(c)は図15(a)中のE方向から見た図である。
尚、前記第1実施形態と同じ部材で構成したものは同一
の符号を付して説明を省略する。
【0151】前記第1実施形態の分離爪3は、シートP
の先端角部の上面を規制するシート規制部3aが平面状
に形成された場合について説明したが、本実施形態で
は、図15に示すように、シート規制部3aが、圧板6上
に載置されたシートPに対してシートPの外側ほど該シ
ートPとの距離が近くなるようにシートPの上面に対し
て約20°の角度をなした形状に構成されている。
【0152】上記構成により、給送ローラ2により給送
力を作用された最上位のシートPの先端角部が分離爪3
に押し当てられると、シートPの先端角部が分離爪3か
ら解除され易い状態に確実に撓み(図15のシートPを参
照)、安定した分離給送が達成される。
【0153】また、前述したように、シート給送装置1
が30°〜60°の角度を持って装置本体に取り付けら
れた場合、圧板6上に載置されたシートPの自重が分離
爪3及びシート先端突き当て部5cにかかる状態にな
る。従って、シートPが長時間圧板6上に載置状態で放
置された場合、分離爪3に係止されるシートPの先端角
部に撓みぐせが形成されることがある。
【0154】この時生じる撓みぐせを分離爪3からのシ
ートP解除に有利な状態に撓ませることになり(図15の
シートPを参照)、圧板6上にシートPを長時間放置し
た場合でも、確実に分離給送が出来るようになってい
る。
【0155】また、葉書、封筒等の比較的剛性の高いシ
ートPに対しては、前記シート規制部3aによりシート
Pの先端角部に撓みを生じることはなく、シート規制部
3aはシートPの外側ほど該シートPに対して緩い角度
(角度差β°=約10°)で接触するように構成されて
いる。
【0156】従って、葉書、封筒等の比較的剛性の高い
シートPは、給送ローラ2により給送力が作用すると、
シート規制部3aの接触角度の緩い部分を押すことにな
り、分離爪3を傾倒退避し易くなるように構成してい
る。
【0157】(第3実施形態)次に、本発明に係るシー
ト給送装置の第3実施形態について図16を用いて説明す
る。図16(a)は第3実施形態の分離爪の構成を示す説
明図、図16(b)は図16(a)中のD方向から見た図、
図16(c)は図16(a)中のE方向から見た図である。
尚、前記第1、第2実施形態と同じ部材で構成したもの
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0158】本実施形態では、前記第2実施形態の分離
爪3のシート規制部3aを曲面で構成したものである。
シート規制部3aを曲面で構成することにより(図16
(c)参照)、シート規制部3aにより規制されるシー
トPの先端角部の撓み形状を、前記第2実施形態の分離
爪3よりも滑らかに形成することが出来るのでより好ま
しい。他の構成は、前記第1、第2実施形態と同様に構
成し、同様の効果を得ることが出来る。
【0159】(第4実施形態)次に、本発明に係るシー
ト給送装置の第4実施形態について図17を用いて説明す
る。図17(a)は第4実施形態の分離爪の構成を示す説
明図、図17(b)は図17(a)中のD方向から見た図、
図17(c)は図17(a)中のE方向から見た図である。
尚、前記第1実施形態と同じ部材で構成したものは同一
の符号を付して説明を省略する。
【0160】本実施形態では、前記第1実施形態の分離
爪3のシート規制部3aを、シート端面近傍に他面より
一段高いリブ部3fを設けたものである(図17(c)参
照)。このリブ部3fを設けたことにより、分離爪3の
形状を複雑に形成することなく、前記第2実施形態と略
同様の効果を得ることが出来るものである。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】尚、前記各実施形態では、分離爪3をシー
トPの片側先端角部に対応させて配置したが、他の構成
として、分離爪3をシートPの両側先端角部に対応させ
て2個配置して構成すれば、更に分離,給送性能を向上
させることが出来る。
【0166】また、前記各実施形態では、インクジェッ
ト記録装置に適用した場合について説明したが、電子写
真画方式の記録装置やサーマルヘッドを装備した記録装
置等にも広く適用可能であり、シートPを一枚ずつ分
離,給送する必要のある種々の装置に適用させることが
出来る。
【0167】
【発明の効果】本発明に係るシート給送装置は、上述の
如き構成と作用とを有するので、シート載置手段に載置
されたシートがシート給送手段により給送され、シート
の先端角部が分離爪に押し当てられると、普通紙等の比
較的剛性の低いシートでは、シートの先端角部に撓みが
形成されて分離爪を乗り越えてシートが一枚ずつ分離,
給送される。
【0168】また、封筒,葉書等の比較的剛性の高いシ
ートでは、シートの先端角部に撓みが形成され難く、分
離爪を乗り越えて通過することが困難となり、シートが
分離爪をシート給送方向下流側に押し倒して退避させて
進行し、分離面とシートの先端との摩擦力によりシート
が一枚ずつ分離,給送される。
【0169】また、前記分離爪を、前記シート給送手段
の給送動作に連動して、シートの先端角部を規制する規
制姿勢状態と、規制を解除する退避姿勢状態とに選択的
に変化させることにより、例えば、シートの給送動作の
終了時に前記分離爪を規制姿勢状態に復帰させ、更に前
回のシート給送動作の終了時から次回のシート給送動作
の開始時までの間、前記分離爪を規制姿勢状態に保持す
る。
【0170】これにより、先行するシートの分離,給送
動作後、シート載置手段に載置された後続するシートの
給送方向下流側への進行を抑制すると共に、シート載置
手段に長期間載置されるシートの規制状態を安定させる
ことが出来、シートの重送の発生を防止することが出来
る。
【0171】また、給送動作の開始後に分離爪を規制姿
勢保持状態から解除することにより、封筒,葉書等の比
較的剛性の高いシートがシート給送手段により給送力を
受けると、シートが分離爪をシート給送方向下流側に強
く押し倒し、分離爪を退避させ、シートが分離爪を通過
することを可能にする。
【0172】
【0173】
【0174】また、前記分離爪を、シート給送方向と直
交する方向に配置された支軸を中心に回動させるように
構成した場合には、分離爪の規制姿勢と退避姿勢との間
の移動動作がスムーズに出来る。
【0175】また、撓み制御手段により抑制されるシー
トの撓み量を、シート載置手段に載置したシートのシー
ト面に対して鉛直方向に3mm以下になるように構成し
た場合には、封筒,葉書等の比較的剛性の高いシートが
シート給送手段により給送作用を受け、最上位のシート
が分離爪をシート給送方向に強く押し倒し、分離爪を退
避させる時、最上位のシートが先端角部に対して分離爪
から受ける反力により、シート給送手段と分離爪間で座
屈が発生することを防止し、シート給送手段の給送力を
シート先端角部の分離爪押し倒し力として伝達する際に
座屈が原因で発生する押し倒し力の損失が増大すること
を防止して比較的剛性の高いシートが分離爪を押し倒せ
ずに給送不良を発生することを防止する。
【0176】また、分離爪がシート先端角部を少なくと
も異なる2方向から規制するように構成した場合には、
比較的剛性の高いシートが分離爪を押圧する時、シート
の押圧力をシート給送方向下流側に確実に集中させるこ
とが出来、分離爪を押し倒せずに給送不良を発生するこ
とを防止する。また、比較的剛性の低いシートに対して
もシート先端角部が分離爪に掛かる量を一定にする効果
を有するので、シートの分離爪からの外れ具合を安定化
させ、確実な分離,給送動作を実現する。
【0177】また、前記分離爪のシート上面を規制する
面と、前記シート載置手段に載置されたシート上面との
距離を、シート給送方向下流側のシート端に沿った方向
で変化させることにより、同一の構成で剛性の低いシー
トと剛性の高いシートの分離給送の安定性が両立でき
る。
【0178】また、シートの自重が分離爪にかかる構成
のシート給送装置において、シートの長期載置状態から
の分離給送を安定させることが出来る。
【0179】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート給送装置を備えたインクジ
ェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るシート給送装置を備えたインクジ
ェット記録装置の要部断面説明図である。
【図3】本発明に係るシート給送装置のシート給送部を
示す正面図である。
【図4】シートの先端を突き当てる突き当て部の構成を
説明する要部拡大図である。
【図5】シートの先端を突き当てる突き当て部及び分離
爪の配置位置の構成を説明する要部拡大図である。
【図6】シート給送ローラの両側に配置したリブの構成
を説明する要部斜視図である。
【図7】(a),(b)はシート給送ローラの両側に配
置したリブの構成を説明する要部断面図である。
【図8】シート給送部の駆動伝達系を示す側面説明図で
ある。
【図9】分離爪の起立姿勢状態を示す側断面説明図であ
る。
【図10】(a)は第1実施形態の分離爪の構成を示す
断面説明図、(b)は(a)中のD方向から見た図、
(c)は(a)中のE方向から見た図である。
【図11】(a)〜(d)は分離爪の姿勢状態を変化さ
せた状態を示す側面説明図である。
【図12】(a)〜(d)は分離爪によるシートの分
離,給送動作の様子を示す側断面説明図である。
【図13】シート給送装置の制御動作を示すフローチャ
ートである。
【図14】シート給送装置によるシートの給送動作を説
明する図である。
【図15】(a)は第2実施形態の分離爪の構成を示す
説明図、(b)は(a)中のD方向から見た図、(c)
は(a)中のE方向から見た図である。
【図16】(a)は第3実施形態の分離爪の構成を示す
説明図、(b)は(a)中のD方向から見た図、(c)
は(a)中のE方向から見た図である。
【図17】(a)は第4実施形態の分離爪の構成を示す
説明図、(b)は(a)中のD方向から見た図、(c)
は(a)中のE方向から見た図である。
【図18】第1の従来例を説明する図である。
【図19】第1の従来例を説明する図である。
【図20】第2の従来例を説明する図である。
【図21】第2の従来例を説明する図である。
【図22】第2の従来例を説明する図である。
【図23】第2の従来例を説明する図である。
【図24】第2の従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1…シート給送装置、2…給送ローラ、2a…給送ロー
ラゴム、2b…ローラ部、2c…軸、2d…リブ、2e
…突出部、3…分離爪、3a,3b…シート規制部、3
c…支点、3d…ギヤ部、3e…カム部、3f…リブ
部、4…可動サイドガイド、5…ベース、5a…ベース
下面、5b…右側板、5c…シート先端突き当て部、6
…圧板、6a…圧板軸、6b…押し下げ部、6c…左押
し下げ部、6d…シート支持部、7…圧板ばね、8a…
入力ギヤ、8b,8c…アイドラギヤ、8d…給送ロー
ラギヤ、8e…クラッチギヤ、8f…アイドラギヤ、9
…リリースカムギヤ、10…爪ばね、11…欠歯ギヤ、11a
…カム部、11b…ギヤ部、12…リリースカム、13…シー
ト送り部、14…搬送ローラ、15…ピンチローラ、16…ピ
ンチローラガイド、17…ピンチローラばね、18…エッジ
(PE)センサレバー、18a…遮光部、19…エッジ(PE)
センサ、20…エッジ(PE) センサばね、21…上ガイド、
22…プラテン、23…LFモータ、24…インクジェット記録
ヘッド、25…記録部、26…キャリッジ、27…ガイド軸、
28…ガイド、29…キャリッジモータ、30…タイミングベ
ルト、31…アイドルプーリ、32…フレキシブル基板、33
…排出部、34…排出ローラ、35…伝達ローラ、36…拍
車、37…手差し給送路、38…クリーニング部、39…ポン
プ、40…キャップ、41…駆動切り換えアーム、42…セン
サ板、43…電気基板、44…ローラセンサ、45…分離パッ
ド、46…ローラコロ、47…弾性体分離爪、48…クラッチ
ばね、49…シート先端突き当て部材、50…シートサポー
ター、P…シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−75332(JP,A) 特開 平2−70629(JP,A) 特開 平5−43075(JP,A) 特開 平5−124740(JP,A) 特開 平2−276737(JP,A) 特開 平9−240867(JP,A) 特開 平8−333031(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 3/56 310 B41J 13/00 G03G 15/00 516 H04N 1/00 108

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートを載置するシート載置手段と、 前記シート載置手段に載置されたシートを給送するシー
    ト給送手段と、 前記シート載置手段に載置されたシートの先端角部を規
    制しシートを分離する分離爪と、 を有し、 前記分離爪は、前記シート給送手段の給送動作に連動し
    てシートの先端角部を規制する規制姿勢状態と、シート
    給送方向に傾倒し規制を解除する退避姿勢状態と、に選
    択的に変化するように構成したことを特徴とするシート
    給送装置。
  2. 【請求項2】 シートの給送動作を終了したとき、前記
    分離爪を前記規制姿勢状態に復帰させることを特徴とす
    る請求項1に記載のシート給送装置。
  3. 【請求項3】 前回のシート給送動作の終了時から次回
    のシート給送動作の開始時までの間、前記分離爪を前記
    規制姿勢状態に保持することを特徴とする請求項2に記
    載のシート給送装置。
  4. 【請求項4】 シートの給送動作を開始してから、前記
    分離爪を前記規制姿勢状態に保持した状態を解除するこ
    とを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
  5. 【請求項5】 前記分離爪は、シート給送方向と直交す
    る方向に配置された支軸を中心に回動することを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送
    装置。
  6. 【請求項6】 前記シート給送手段により給送されるシ
    ートが前記分離爪により撓む量を抑える撓み抑制手段を
    有することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装
    置。
  7. 【請求項7】 前記撓み抑制手段は、シートの撓み量を
    前記シート給送手段と前記分離爪の力の作用点を結ぶ面
    に対して3mm以下に抑えることを特徴とする請求項6
    に記載のシート給送装置。
  8. 【請求項8】 前記分離爪は、シートの先端角部を少な
    くとも異なる2方向から規制することを特徴とする請求
    項1に記載のシート給送装置。
  9. 【請求項9】 前記分離爪のシート上面を規制する面
    と、前記シート載置手段に載置されたシート上面との距
    離を、シート給送方向下流側のシート端に沿った方向で
    変化させることを特徴とする請求項1に記載のシート給
    送装置。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか1項に記載
    のシート給送装置を備え、該シート給送装置により給送
    されたシートに記録手段により記録を行うことを特徴と
    する記録装置。
  11. 【請求項11】 前記記録手段は、インクジェット記録
    ヘッドを有することを特徴とする請求項10に記載の記
    録装置。
  12. 【請求項12】 前記インクジェット記録ヘッドは、熱
    エネルギーによって形成されるインク液滴により記録を
    行うことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
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