JP3365575B2 - セラミックスと金属の接合体 - Google Patents

セラミックスと金属の接合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックスと金属の
接合体に関し、さらに詳しくは自動車部品、産業用機械
部品等の、特に高温での機械的強度を要求される部品に
好適な接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは、その高温強度、耐摩耗
性、電気絶縁性等の優れた特性を活かし、自動車用部品
をはじめ様々な産業分野に適用される。しかし、材料の
脆さに起因する信頼性の問題や、難加工材であるため加
工コストが高くつくなどの点から、従来よりセラミック
スは、金属材料と組み合わせて用いられることが多い。
【0003】この際重要となるのが、セラミックスと金
属の接合技術である。これには従来より多くの手法が提
案されており、一例を挙げれば焼きばめ、圧入、ロー付
け、固相拡散接合などであるが、接合部の機械加工等前
処理の簡便さからロー付けによる接合が行われることが
多い。特に、Ti、Zr、Hfなどの活性金属を含むロ
ー材を用いる活性金属法は、セラミックスにメタライズ
処理を施すことなく1回の加熱操作で接合でき、接合強
度も高いため工業的にメリットが大きい。
【0004】このようなロー材としては、銀ローをベー
スにしたAg−Cu−Ti系、Ag−Cu−Ni−Ti
系、Ag−Cu−In−Ti系などのロー材が、比較的
高い接合強度を有し、強度のばらつきも小さく、信頼性
に優れているため、広く用いられている。
【0005】しかし、このようなAg系のロー材は、基
本となるAg−Cu二成分系の共晶点が780℃と低
く、また高温耐力も小さいため、その適用可能温度は3
00℃程度が限界であり、それよりも高温の用途には適
当でない。
【0006】そこで、高温用のロー材として、Agを含
まないロー材が種々開発されている。このようなロー材
としては、Tiと共晶を形成する組み合わせ、例えばN
i−Ti系、Cu−Ti系、Ni−Cu−Ti系などを
ベースにしたものが知られている。これらのロー材はA
g系のロー材と比べて融点が高く、高温耐力を低下させ
るAgを含有しないため、耐熱性の向上が期待できる。
特に、Ti含有量を必要最小限に抑さえたロー材(特開
平2−124779号公報)は、600℃程度の高温に
おいても十分実用に供し得る強度が得られている。とこ
ろがこれらのロー材を用いた場合、接合体の室温での強
度がAg系のロー材を用いた場合よりもやや低くなるほ
か、接合体の強度のばらつきがあり、製造工程での歩留
まりの低下や最終製品の信頼性の低下などの問題があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、室温
及び高温のいずれにおいても強度が優れ、かつ安定した
信頼性を有するセラミックスと金属の接合体を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Ni(ニ
ッケル)及びCu(銅)をベース金属とし、活性金属と
してTi(チタン)を含むロー材に所定量のPd(パラ
ジウム)を添加した場合に、これを用いて接合したセラ
ミックスと金属の接合体が、室温と高温のいずれにおい
ても優れた強度を有することを見いだしたものである。
図1に模式的に示すように、セラミックス体(1)と金
属体(2)の接合の際、両者間においてセラミックス体
側に接合反応層(3)が、金属体側にフィラー層(4)
が形成されるが、そのフィラー層は次のような組成を有
する。Ti:15重量%以下、Pd:5〜25重量%、
不可避的に混入する不純物、残部:Ni及びCu。
【0009】また、Ti:12重量%以下、Pd:10
〜20重量%、更にはTi:8重量%以下、Pd:12
〜17重量%とすることができる。また、被接合体とし
ての金属体は、Ni又はNiを主成分とする合金とする
ことができる。さらに、金属体にさらに第二の金属体を
接合した接合体とすることもできる。
【0010】上記接合反応層及びフィラー層は、セラミ
ックス体と金属体とをロー付けすることにより形成され
るものである。接合反応層は主に、Tiとセラミックス
体の成分とが反応して生ずる各種Ti化合物からなる。
そして、フィラー層は前記組成範囲のTi、Pd、不可
避不純物及び残部のNi及びCuによって構成される一
種の合金層である。フィラー層における各々の組成範囲
の臨界的意義については、接合手法及び接合部の挙動の
説明と併せて後に詳述する。Cu及びPdの濃度は、接
合反応層に面する側で高く、接合反応層との境界から離
れるに従って低くなり、被接合金属体との境界部におい
て実質的にゼロに近い所定の値になる。フィラー層中の
Ti及びPdの含有量は、層内全体にわたるこれら成分
の平均濃度をいう。フィラー層の厚みは、接合に使用す
るロー材の厚みに依存して変化する。
【0011】なお、上記Ti、Pd等を含むフィラー層
の組成は、公知の方法で特定可能であり、例えば電子プ
ローブ・マイクロ・アナライザ(EPMA)、X線マイ
クロ・アナライザ(XMA)、エネルギー分散型X線分
析(EDX)、波長分散分光法(WDS)、オージェ電
子分光法(AES)などが用いられる。
【0012】本発明の接合体の作製に用いられるロー材
は、NiとCuをベースとし、これにPdと、セラミッ
クス体の成分と反応活性を有する金属、すなわち活性金
属としてのTiとを含有するものである。ロー材は、全
体を均一な組成を有する合金板としてもよいが、例えば
図2に示すように、Tiなど、特定の金属成分の一部又
は全体を単体金属もしくはその成分を主体とする合金箔
5として、ロー材本体6から分離することもできる。分
離形成された単体金属箔又は合金箔は、接合処理時にロ
ー材本体と互いに溶融しあって液相を発生する。分離形
成された単体金属箔又は合金箔とロー材本体の積層順序
は特に限定されない。
【0013】このようなロー材が適用可能なセラミック
ス体は種々に及び、公知のTi−Ni−Cu系ロー材が
適用できるセラミックス体とほぼ同じ種類のものであっ
て、例えばSi34、SiC、B4C、TiC、Ta
C、AlN、BN、Al23、MgO、BeO、ZrO
2、ThO2、TiO2、又はそれらの一種又はそれ以上
のセラミックス成分を含む複合セラミックス体などがあ
る。また、金属体も同様にNi、Fe、Cr、Nb、T
i、Zr、Mo、W、Pt、Pd、及びそれらを主成分
とする合金を用いることができる。
【0014】そして、セラミックス体と金属体の間に上
述のロー材をはさんで互いに接触させ、所定の雰囲気の
もとで加熱する等の接合処理を施すことにより、セラミ
ックス体と金属体が接合される。用いられる雰囲気とし
ては、真空雰囲気のほか、Arなどの不活性ガス雰囲気
を用いることも可能である。また処理温度は、用いるセ
ラミックス体、金属体及びロー材の組成によって適宜選
定されるが、概ね1000〜1300℃の範囲内であっ
て、公知のTi−Ni−Cu系ロー材を用いて接合体を
作製する場合とほぼ同じ条件を用いることができる。
【0015】上記接合処理により、ロー材中のTi成分
はセラミックス体とロー材の接触界面を通じて化学反応
し、セラミックス体のその接触界面近傍が変質して、T
i化合物を主体とする前述の接合反応層を形成する。T
i化合物の種類は、セラミックス体の成分によって異な
り、例えば、セラミックス体が酸素を含むときは酸化チ
タン、窒素を含むときは窒化チタン、ケイ素を含むとき
はケイ化チタン、炭素を含むときは炭化チタン等により
構成される。その厚さは、処理温度や圧力等により変動
するが、通常数μm程度である。
【0016】ロー材中のTi、Ni及びCuは共晶を形
成するため、接合処理時に液相を生ずる。この液相はT
i成分を多く溶かし込んでロー材とセラミックス体の接
触界面の隅々にまで行き渡るので、セラミックス体なら
びに金属体とロー材の反応効率が高められる。なお、T
i以外のロー材成分も若干セラミックス体中に拡散し、
接合反応層中に含まれる場合がある。セラミックス体の
前記接触界面から隔たった部分は、Ti成分との反応の
影響が小さく、ほぼもとのセラミックス体の組成を保持
する。
【0017】このようにして形成された接合反応層は、
おもにセラミックス体成分とTiの化学反応に伴う物質
移動により、図1に概念を示すように、その両端部でセ
ラミックス体ならびにフィラー層と強固に密着し、セラ
ミックス体と金属体との接合強度を実質的に支配するも
のである。また、フィラー層は、その一方の端部は上記
接合反応層と密着する一方、接合工程における金属体と
ロー材との間の金属間反応もしくは相互拡散により金属
体と密着し、金属体を接合反応層に接合する。
【0018】ロー材中の各成分は、接合処理により、金
属体にも拡散等によって流出する。そして、これを補う
形で両側に隣接するセラミックス体ならびに金属体から
の成分がロー材部に流入し、ロー材自身の残留成分と共
にフィラー層を形成する。ロー材が前記共晶を形成して
液相を生ずることは、ロー材成分を金属体内に拡散させ
るうえでも有効に働く。接合処理後の金属体もセラミッ
クス体と同様、フィラー層との接触界面から隔たった部
分は、ロー材成分の拡散の影響が小さく、ほぼもとの金
属体の組成を保持する。
【0019】また、フィラー層はNiやCuの含有量が
高いため、比較的耐力が小さく延性に富むものとなる。
その結果、接合体に熱衝撃等の急激な温度変化が加わっ
た場合に、フィラー層自身が塑性変形を起こすことによ
り、金属体とセラミックス体の線膨張係数の差に起因し
て接合体内に生ずる熱応力を緩和し、接合体が破壊する
のを防止する役割も果たす。なお、このような塑性変形
による応力緩和機能は当然のことながら、フィラー層に
接合されている金属体も有しており、特に金属体とセラ
ミックス体の線膨張係数の差が大きい場合は、フィラー
層のみでは上述の熱応力を緩和し切れず、むしろ金属体
の塑性変形が応力緩和において主体的となる。
【0020】フィラー層中のTi成分は、ロー材中のT
i成分のうち、接合反応層形成に消費されなかった部分
が取り込まれたものである。ここで、フィラー層中のT
i含有量は15重量%以下とされる。Ti−Cu−Ni
三元系において、TiのCu−Ni固溶体に対する最大
固溶量は約15重量%であり、Ti含有量がこれより大
きくなるとNi3TiさらにはNiTiなどの脆弱な金
属間化合物が内部に生成したり、セラミックス層との反
応が過度に進行したりして、接合強度の低下につなが
る。従って、フィラー層中のTi含有量は15重量%以
下とする必要があり、望ましくは12重量%以下、さら
に望ましくは8重量%以下とするのがよい。
【0021】フィラー層中にはさらに、ロー材中のPd
の大部分が取り込まれる。フィラー層中のPdは、接合
部の耐酸化性を高めると共に、セラミックスとの反応性
を促進するものであるが、5重量%未満ではその作用が
不充分で、接合体の強度を向上させる効果が薄い。また
Pd含有量が25重量%を超えると、接合処理時に生ず
る液相の粘性が上昇し、ロー材の液相の流動性が低下す
る結果、接合反応層の形成及びロー材の液相と金属体間
の相互拡散が進行しにくくなり、かえって接合強度の低
下を招く。従って、Pdの含有量は5〜25重量%とす
ることが必要で、望ましくは10〜20重量%、更に望
ましくは12〜17重量%とするのがよい。
【0022】また、フィラー層中の不可避不純物は、ロ
ー材もしくは接合前の金属体中に含まれる不可避不純物
がフィラー層中に混入したもの、セラミックス体からの
拡散成分等がある。前者はその総量が通常3重量%以下
であり、後者は通常15重量%程度以下である。通常の
範囲内であればフィラー層にこのような不可避不純物が
存在していても差しつかえない。ロー材もしくは金属体
中に含まれる不可避不純物は、C、P、Mn、Fe等で
ある。
【0023】他方、セラミックス体からの拡散成分は、
接合処理中に接合反応層を介してフィラー層中に拡散す
るセラミックス体の構成成分であって、使用するセラミ
ックス体の種類により異なる。例えばセラミックス体が
窒化硅素の場合はSiとN、炭化硅素の場合はSiと
C、アルミナの場合はAlとO、ジルコニアの場合はZ
rとO等が拡散して、不純物となる。
【0024】また、本発明のセラミックスと金属の接合
体は、その被接合金属体がNi又はNiを主成分とする
合金で構成された態様を含む。ここで、NiはNiの単
体金属を意味するが、Si、C、P、Mn、Fe等の不
可避不純物を含んでいてもよい。その総量は通常3重量
%以下である。一方、Niを主成分とする合金の場合
は、通常はNiを少なくとも75重量%以上含む合金と
することができる。この場合、Ni以外の合金成分は、
例えばCr、Co、Al、Moなどであり、それらの2
種以上を併用することもできる。また、この場合も同様
に、不可避不純物を含んでいてもよい。
【0025】この場合、ロー材はNiの含有量の大きい
ものを用いてもよいが、接合処理中に金属体から相当量
のNi成分がフィラー層中に拡散するため、Niの含有
量の少ないロー材、さらにはNiを全く含まないロー材
の使用も可能となる。前述の積層板状のロー材を用いる
場合はNi板の厚みを小さくしたり、省略したりでき
る。また、Niを主体に構成される金属体は耐力が比較
的低く、非常に延性に富んだものとなるため、セラミッ
クス体と金属体の線膨張係数の差に基づく熱応力を緩和
する機能に優れている。さらに、合金成分としてCr、
Co、Al及びMoが含まれる場合は、金属体の硬度が
適度に上昇し、延性と強度のバランスがとれたものとな
る。その結果、金属体は良好な応力緩和機能を損なうこ
となく、その強度も上昇し、接合体は優れた熱応力緩和
機能と高い構造的強度を兼ね備えたものとなる。
【0026】本発明はさらに、被接合体である金属体を
介して、さらに第二の金属体が接合されている態様も含
む。ここで第二の金属体は、接合体の使用用途に応じて
適宜選択されるものであり、例えば炭素鋼、合金鋼、ス
テンレス鋼、さらにはコバール、インバー、エリンバ
ー、Fe−42%Ni合金(42合金)などの鉄基低膨
張係数合金、インコロイ、ディスカロイなどの鉄基耐熱
合金、インコネルなどのNi基耐熱合金、タングステ
ン、モリブデン、及びそれらの合金、超硬合金、サーメ
ットなど各種材料で構成することが可能である。
【0027】例えば、ロー材と接触する部分のみを第一
の金属体として延性に富んだ金属で作製し、これに第二
の金属体として線膨張係数の小さい金属又は合金を接合
すれば、全体として接合体に生ずる熱歪量を低減でき
る。なお、この第二の金属体にさらに第三、第四の金属
体を接合することも可能である。これら複数の金属体を
接合することにより、個々の金属体の特質が相乗的に作
用して、より強度の優れた接合体を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)Si34焼結体(直径10 mm、長さ20 m
m)、これと同じ直径のTi箔、Cu箔、Pd箔及びN
i板を、図3に示すような位置関係に積層し、図示しな
い治具を用いてこれらを固定した。なお、Cu箔は厚さ
0.02 mm、Ni板は厚さ0.5 mmであるが、Ti箔及びP
d箔は、接合処理後のフィラー層のTi及びPd含有量
が各種値となるように、種々の厚みのものを用いてい
る。そして、上述の治具に固定された積層試料を真空加
熱炉中に入れ、1.0×10-5 torrまで真空排気を行った
後、1200℃に加熱してロー付けを行い、接合体を得た。
【0029】得られた接合体から幅4 mm、厚さ3 mmの角
柱状の抗折試験片を切り出し、JISR1601(セラミックス
の曲げ強度試験方法)に記載された方法に基づいて、試
験片の4点曲げ強度を測定した。なお、試験は大気中で
室温と700 ℃の2条件行い、試験条件は下部スパンが30
mm、上部スパンが10 mm、クロスヘッド速度が0.5 mm/
分であった。なお、各試料とも試験片の個数はn=3で
行った。また、曲げ試験終了後に、試験片を接合面に対
して垂直に切断し、X線マイクロアナライザ(XMA)
を用い、フィラー層の組成を分析した。
【0030】図4〜9には、上記のようにして得られた
接合体をその軸に平行な面で切断し、その接合部付近に
対してXMAによる面分析を行った例を示す。図4は反
射電子線像、図5はSi特性X線像、図6はPd特性X
線像、図7はTi特性X線像、図8はCu特性X線像、
図9はNi特性X線像である。図6及び図8の特性X線
像から、セラミックス体との接合界面から金属体側にか
けて、約50 μm程度の、PdとCuの濃化した層が存
在し、セラミックス層から離れるに従ってそれらの濃度
が漸減しており、本発明でいうフィラー層が形成されて
いることがわかる。また、図7によれば、接合界面から
セラミックス側にかけて(図の左端部)、Tiの濃化し
た線状の層が認められる。これはTiNを主成分とする
接合反応層(3)に対応するものである。
【0031】フィラー層の範囲は、接合反応層との境界
からPdとCuの濃度が実質的にゼロとなるまでの範囲
とし、フィラー層中のPdならびにTi含有量の上記X
MAによる分析は、電子線ビームが上記範囲の厚さ方向
に過不足なくかかるように、そのビーム径を調節して行
った。測定は、一つの試料に対し5ケ所測定を行い、そ
の平均値を採用した。この結果を示す表1から明らかな
ように、本発明による接合体は室温と高温のいずれにお
いても優れた曲げ強度を有しており、そのばらつきも小
さかった。
【0032】(実施例2)図10に示すような順番で、
Si34焼結体(直径10 mm、長さ20 mm)と、これと同
寸法のSUS403(ステンレス金属体)との間に、こ
れらと同じ直径のTi箔、Cu箔(厚さ0.02 mm)、
Pd箔、Ni板(厚さ0.5 mm)、W(タングステン)
板(厚さ1.5 mm)、Ni板(厚さ0.5 mm)、Ti箔
〜(厚さ各5μm)を積層し、図示しない治具を用い
てこれらを固定した。また、接合処理後のフィラー層の
Ti及びPd含有量が各種値となるように、適宜Ti箔
及びPd箔の厚みを調節した。そして、上述の治具に
固定された試料を真空加熱炉中に入れ、1.0×10-5 torr
まで真空排気を行った後、1200℃に加熱してロー付けを
行い、接合体を得た。
【0033】得られた接合体から幅4 mm、厚さ3 mmの角
柱状の抗折試験片を切り出し、実施例1と同様に試験片
の室温における4点曲げ強度を測定するとともに、フィ
ラー層の組成をX線マイクロアナライザを用いて分析し
た。また、各試料とも試験片の個数はn=3で行った。
結果を表2に示す。本実施例から明らかなように、Si
34焼結体(セラミックス体)に接合されたNi板を介
して、線膨張係数の小さいW板を接合することにより、
強度に優れたセラミックス体とステンレス鋼の接合体を
得ることができた。
【0034】
【発明の作用及び効果】本発明のセラミックスと金属の
接合体は、そのフィラー層を15重量%以下のTiと、
5〜25重量%のPdと、残部のNi及びCuとにより
構成することによって、室温と高温のいずれにおいても
高い接合強度を有し、そのばらつきも小さい。Tiの含
有量を12重量%以下、更には8重量%以下とすること
により、また、Pdの含有量を10〜20重量%、更に
は12〜17重量%とすることにより、接合体の強度を
更に高め、ばらつきを小さくすることができる。
【0035】また、本発明の接合体のフィラー層は、N
iとCuを多く含むため塑性変形を起こしやすく、接合
されるセラミックス体と金属体の線膨張係数の差に基づ
く熱応力を緩和するので、接合体の強度ならびに熱応力
緩和機能が向上する。
【0036】また、被接合金属体をNi又はNiを主成
分とする合金で構成した接合体はその被接合金属体が延
性に富み、塑性変形を起こしやすいので、接合されるセ
ラミックス体と金属体の線膨張係数の差に基づく熱応力
を緩和する機能に優れている。
【0037】また、被接合金属体を介して、さらに第二
の金属体が接合された発明では、金属体とそれに接合さ
れる第二の金属体との両方の性質を接合体に付与させる
ことができ、あるいはそれらの相乗作用により、より強
度の優れた接合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックスと金属の接合体の模式
図。
【図2】積層板状の単体金属によりロー材を構成する例
を示す説明図。
【図3】実施例1の接合体を作製するための、セラミッ
クス体、ロー材及び金属体等の配置を示す図。
【図4】実施例1の接合体の、セラミックス体、その接
合部付近におけるX線マイクロアナライザ(XMA)に
よる反射電子線像の写真。
【図5】同じくSiの特性X線像写真。
【図6】同じくPdの特性X線像写真。
【図7】同じくTiの特性X線像写真。
【図8】同じくCuの特性X線像写真。
【図9】同じくNiの特性X線像写真。
【図10】実施例2の接合体を作製するための、セラミ
ックス体、ロー材及び金属体等のの配置を示す図。
【符号の説明】
1 セラミックス体 2 金属体 3 接合反応層 4 フィラー層 5 Ti箔
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成田 敏夫 北海道札幌市北区新琴似1条9丁目7番 8号 (56)参考文献 特開 昭61−283491(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスと金属の接合の際に、被接
    合体であるセラミックス体と金属体との間のセラミック
    ス体側に接合反応層が、金属体側にフィラー層が形成さ
    れた接合体において、そのフィラー層が15重量%以
    下のTiと、5〜25重量%のPdとを含有し、不可
    純物としてのC、P、Mn及びFeの総量が3重量%
    以下であり、Ti、Pd及び前記不可避不純物以外の
    Ni及びCuとによって構成されることを特徴とす
    るセラミックスと金属の接合体。
  2. 【請求項2】 前記フィラー層が、12重量%以下のT
    iと、10〜20重量%のPdと、不可避的に混入する
    不純物と、残部のNi及びCuとによって構成される請
    求項1記載の接合体。
  3. 【請求項3】 前記フィラー層が、8重量%以下のTi
    と、12〜17重量%のPdと、不可避的に混入する不
    純物と、残部のNi及びCuと、によって構成される請
    求項1記載の接合体。
  4. 【請求項4】 前記被接合体である金属体が、Ni又は
    Niを主成分とする合金である請求項1ないし3のいず
    れか1項に記載の接合体。
  5. 【請求項5】 前記被接合体である金属体を介して、さ
    らに第二の金属体が接合されている請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載の接合体。
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JP4939871B2 (ja) * 2006-08-24 2012-05-30 株式会社サムソン 燃焼装置

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