JP3363756B2 - プラスチック製ハンガー - Google Patents
プラスチック製ハンガーInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック製ハ
ンガーに関し、より詳細には、フック部の断面積が小さ
く、これによりフック部を細くすることができ、衣服な
どを掛けて複数個、並行にハンガー掛けに掛けた場合に
見栄えがよいプラスチック製ハンガーに関する。 【０００２】 【従来の技術】従来より、種々のハンガーが開発されて
おり、近年では、針金などの金属を使用せず、プラスチ
ックなどの樹脂からなるハンガー（以下、「プラスチッ
ク製ハンガー」という）が開発されている。このような
ハンガーが開発されている理由の１つに、検針器として
用いられる金属探知器の問題がある。より詳細には、現
在ではいわゆるＰＬ法対策として、Ｙシャツ、Ｔシャ
ツ、セーター、コートなどのような、ハンガーに掛けら
れ得る衣服を工場などから出荷する際には、金属探知器
を検針器として用いて、衣服内に針が残っていないかど
うかを確認する必要がある。従来の金属を有するハンガ
ーに掛けられた状態でこのような衣服を金属探知器に通
すと、針が衣服内に残っているかどうかに関わらず、ハ
ンガーの金属に反応して金属探知器が作動してしまう場
合がある。 【０００３】ところで、衣料品店などにおいては、衣服
が掛けられたハンガーを、洋服掛けなどに掛けて衣服を
陳列するが、この場合には、衣服などの見栄えの観点か
ら、ハンガーのフック部は細いことが望まれている。 【０００４】上記の金属探知器の問題を解決するため
に、金属を使用せず、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレ
ン樹脂などの汎用プラスチック樹脂からハンガーが作製
されているが、このような樹脂からハンガーのフック部
を作成すると、強度の観点からどうしてもハンガーのフ
ック部が太くなる。より詳細には、得られる成形体が柔
軟性に富むという利点を有するポリプロピレン樹脂を用
いて細いハンガーのフック部を作成した場合、腰がない
ので、長い間衣服をハンガーに掛けていると、ハンガー
が塑性変形してしまう。一方、得られる成形体が硬質で
あるという利点を有するポリスチレン樹脂などを用いて
細いハンガーのフック部を作成した場合には、このハン
ガーに長い間衣服を掛けていると、もろくておれやすい
ので、実用に耐えないという問題点がある。このため、
従来ではフック部が細い（特に、直径６mm以下、すなわ
ち断面積が２８．２６mm2以下である）汎用プラスチッ
ク樹脂からなるハンガーは、実用に耐えないと考えられ
ていた。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ポリカー
ボネート樹脂およびＡＢＳ樹脂を含有する熱可塑性ポリ
マーアロイを射出成形することにより製造されるプラス
チック製ハンガーのフック部を細くし、このようなフッ
ク部を用いてハンガーを作製し、そして長期間、比較的
重量のある衣服（コートなど）を吊した場合であって
も、ハンガーが塑性変形せず、さらに折れることがない
という知見を得、本発明を完成した。すなわち、本発明
は上記課題を解決するためになされ、その目的とすると
ころは、検針器としての金属探知器を誤動作させるおそ
れがなく、そしてフック部が細くて見栄えがよく、さら
に丈夫で可撓性のあるプラスチック製ハンガーを提供す
ることにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るプラスチック製ハンガーは、吊持部と
フック部とを備えたプラスチック製ハンガーにおいて、
該フック部に用いられるプラスチックが、ポリカーボネ
ート樹脂とＡＢＳ樹脂とを含有する熱可塑性ポリマーア
ロイからなり、前記フック部の断面積を２８．２６mm 2
以下とするとともに、当該フック部をポリカーボネート
樹脂と前記ＡＢＳ樹脂との重量比が、９５：５から７
５：２５の範囲内の熱可塑性ポリマーアロイで形成した
ことを特徴とする。 【０００７】 【発明の実施の形態】本明細書において用いられる用語
「ハンガー」とは、衣類の肩部分を掛けるか、衣類を洗
濯ばさみなどのバンドなどにより吊り下げるか、あるい
は衣類の袖を通した後、そのフック部を用いて物干し竿
などの棒、ロープなどに吊り下げることができるものを
指す。このようなハンガーとしては、例えば、ハンガ
ー、ズボンハンガーなどが挙げられる。また、吊される
ものは衣類に限られず、例えば、靴なども挙げられる。 【０００８】以下、本発明を図面と共に詳細に説明す
る。 【０００９】図１は、本発明に係るプラスチック製ハン
ガー（１）を表す斜視図であり、本実施態様において、
プラスチック製ハンガー（１）は、吊持部（２）と断面
積が２８．２６mm2以下、好ましくは２３．７５mm2以下
であるフック部（３）とを備えている。 【００１０】（フック部（３）について）フック部
（３）は、ポリカーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とを含有
するポリマーアロイからなる。ポリカーボネート樹脂と
ＡＢＳ樹脂との重量比は、ＡＢＳ樹脂がポリカーボネー
トの強度をさらに増すことが充分にできるという観点か
ら、９９：１〜７５：２５であることが好ましく、９
５：５〜８５：１５であることがより好ましい。すなわ
ち、ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネート樹脂の重量比
は、７５重量％以上９９重量％以下であり、好ましくは
８５重量％以上９５重量％以下である。 【００１１】このような重量比のポリマーアロイを用い
ることにより、プラスチック製ハンガー（１）に衣類を
掛けたり、吊り下げたりした場合でも、フック部（３）
が丈夫で可撓性があり、塑性変形したり、そしておれた
りすることがなく、フック部（３）の断面積を小さくで
きる。すなわち、このような重量比のポリマーアロイを
用いてフック部（３）の断面積を２８．２６mm2以下
（フック部が断面円形状である場合、直径６mm以下に対
応）とした場合であっても、上記のようにフック部
（３）は、丈夫で可撓性があり、塑性変形したり、そし
ておれたりすることがない。従って、このようなフック
部（３）を備えたプラスチック製ハンガー（１）に衣類
を掛け、次いで図２のようにこのような複数のプラスチ
ック製ハンガー（１）を洋服掛けなどに並行に吊り下げ
た場合であっても、フック部（３）が細いので、見栄え
を損なうことがない。なお、見栄えの観点からは上記の
通りできる限りフック部（３）は細いことが好ましく、
上記の通り、フック部（３）の断面積は２３．７５mm2
以下（フック部が断面円形状である場合、直径５．５mm
以下に対応）であることが好ましい。 【００１２】ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネート樹脂
の重量比が９９重量％を超えると、ポリカーボネート樹
脂が多すぎるため、フック部がもろくておれやすくなる
場合がある。一方、ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネー
ト樹脂の重量比が７５重量％未満であると、ＡＢＳ樹脂
が多すぎるため、フック部に腰がないので、長い間衣服
をハンガーに掛けていると、フック部が塑性変形してし
まう場合がある。すなわち、ポリカーボネート樹脂を多
くすると、フック部がもろくておれやすいという傾向が
あり、一方、ＡＢＳ樹脂を多くすると、フック部が塑性
変形してしまう場合があるので、ＡＢＳ樹脂に対するポ
リカーボネート樹脂の好ましい重量比は、上記の通り８
５重量％以上９５重量％以下である。 【００１３】フック部（３）の外形形状は、図１および
図３に示すように、疑問符（いわゆる、クエスチョンマ
ーク）字状に曲成された形状であるが、物干し竿などの
シャフト、ロープに掛けることができる形状である限
り、この形状はこのような形状に限られず、例えば、
「コ」の字状、逆「Ｕ」字状などであってもよい。本発
明に係るプラスチック製ハンガー（１）に掛けられた衣
料品が販売される衣料品店での販売、宣伝などの観点か
ら、フック部（３）の下部には、図１および図３に示す
ように、Ｓ、Ｍ、Ｌなどの衣服の大きさを示すタグを横
方向から取り付けるタグ取付部（３２）が設けられてい
ることが好ましい。 【００１４】フック部（３）の断面形状は、図１および
図３に示すように、断面円形状であるが、この形状は特
に限定されず、例えば、断面円形状、断面楕円形状、断
面角状、断面Ｈ字状、および断面逆Ｔ字状であってもよ
い。 【００１５】（吊持部（２）について）吊持部（２）
は、任意の樹脂から作成される。熱硬化性または熱可塑
性を問わないが、リサイクルの観点から、熱可塑性樹脂
から作成されることが好ましい。 【００１６】吊持部（２）は、衣類などを吊り下げて保
持することができる限り、特にその形状は限定されない
が、例えば、図１に示すように、ほぼ中央部から両側下
斜め方向になだらかに傾斜しており、この傾斜部（２
２）に背広、Ｙシャツなどの衣類を掛けることができる
ような形状が挙げられる。この傾斜部（２２）の長さを
長くして、衣類の袖を通すことができるようにしてもよ
く、あるいは図４のように、吊持部（２）を、ほぼ中央
部から両水平方向に延出された棒状に形成し、これにバ
ンド（２３）を設けて、ズボンハンガー（４）としても
よい。 【００１７】このようなプラスチック製ハンガー
（１）、ズボンハンガー（４）などのプラスチック製ハ
ンガーの作成方法は、特に限定されず、任意の方法によ
り作成される。例えば、まず、予備乾燥したポリカーボ
ネートとＡＢＳ樹脂とを溶融混合し、この溶融混合物を
射出成形してフック部（３）を作成する。フック部
（３）とは別に、吊持部（２）を射出成型などにより作
製し、フック部（３）と吊持部（２）とを連結する。 【００１８】なお、フック部（３）と吊持部（２）とを
連結する手段としては、特に限定されず、例えば、図１
のようなプラスチック製ハンガー（１）の場合には、以
下のような手段が挙げられる。まず、フック部（３）の
吊持部係合側先端を二股状とし、この二股の両先端に突
起（３１）が設けられた形状（図３を参照のこと）に射
出成形してフック部（３）を作製する。一方、ほぼ中央
部にフック部（３）の太さよりもやや細いフック部挿通
孔（２１）が穿設された形状に射出成形して吊持部
（２）を作製し、フック部（３）をその先端から吊持部
（２）のフック部挿通孔（２１）に押し込むように挿通
して嵌着させ、突起（３１）を吊持部（２）に係合させ
る手段が挙げられる。なお、手間を省くという観点か
ら、射出成形後に二股状にしたり、突起（３１）を設け
たりすることと比較して、上記のようにフック部（３）
の吊持部側先端を二股状とし、この二股の両先端に突起
（３１）が設けられた形状に射出成形してフック部
（３）を作製することが好ましく、同様に、射出成形後
にフック挿通孔（２１）を穿設することと比較して、ほ
ぼ中央部にフック部挿通孔（２１）が設けられた形状に
射出成形して吊持部（２）を作製することが好ましい。 【００１９】 【実施例】（実施例１）約１２０℃で約５時間、予備乾
燥したポリカーボネート樹脂（商品名：「ユーピロ
ン」、登録商標、三菱ガス化学株式会社製、グレード：
Ｓ−２０００）９０重量部、および上記とほぼ同様に予
備乾燥したポリカーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とのアロ
イ樹脂（商品名：「ダイアアロイ」、登録商標、三菱レ
イヨン株式会社製、グレード：ＴＣ−７Ｆ）１０重量部
を約２６０℃まで加熱して溶融した。なお、これらの樹
脂は加熱すると極めて容易に混合した。 【００２０】次に、約８５℃まで加温した金型を用いて
射出成形することによって、断面が円形（直径５．５m
m、断面積２３．７５mm2）であり、そして図３に示され
るように、外観形状がほぼクエスチョンマーク型であ
り、フック部（３）の吊持部側先端が二股状であり、そ
してこの二股の両先端に突起（３１）が設けられた形状
のハンガーのフック部（３）を作製した。 【００２１】次いで、ほぼ中央部にフック部（３）の太
さよりもやや細いフック部挿通孔（２１）が穿設され、
ほぼ中央部から両側下斜め方向になだらかに傾斜した形
状に射出成形したポリプロピレン製の吊持部（２）を準
備し、次いでフック部（３）をその二股形状の先端から
吊持部（２）のフック部挿通孔（２１）に押し込むよう
に挿通して嵌着させ、突起（３１）を吊持部（２）に係
合させることにより図１に示されるようなプラスチック
製ハンガー（１）を作製した。 【００２２】このプラスチック製ハンガー（１）にポケ
ット付きコート（重量：約１キログラム）を掛け、この
ポケットに、文房具として用いられる穴開けパンチ（全
重量：約２キログラム）を複数個、おもりとして入れ
（合計：約３キログラム）、次いでこのプラスチック製
ハンガーを洋服掛けに掛けて約３ヶ月間放置した。 【００２３】その結果、このプラスチック製ハンガー
（１）のフック部（３）は、折れたり塑性変形したりせ
ず、コートをプラスチック製ハンガー（１）から外した
後であっても、フック部（３）は可撓性を保っていた。 【００２４】（比較例１）公知のポリプロピレン樹脂を
加熱溶融し、次いで射出成形すること以外は上記と同様
にして、上記と同じ形状であるハンガーのフック部を作
製した。次いで、上記と同様に、このフック部を有する
ハンガーを作製し、ポケットにおもりが入ったコートを
掛け、約３ヶ月間放置したところ、フック部は塑性変形
していた。 【００２５】（比較例２）公知のポリスチレン樹脂を加
熱溶融し、次いで射出成形すること以外は上記と同様に
して、上記と同じ形状であるハンガーのフック部を作製
した。次いで、上記と同様に、このフック部を有するハ
ンガーを作製し、ポケットにおもりが入ったコートを掛
け、放置したところ、約１ヶ月後にフック部は折れてし
まった。 【００２６】上記の実施例および比較例から、本発明に
係るプラスチック製ハンガー（１）は、フック部（３）
の断面積が小さいながらも、フック部（３）が丈夫であ
り、塑性変形したり、そしてもろくておれたりすること
がないハンガーであることが理解される。 【００２７】 【発明の効果】本発明により、検針器としての金属探知
器を誤動作させるおそれがなく、そしてフック部が細く
て見栄えがよく、さらに丈夫で可撓性のあるプラスチッ
ク製ハンガーが提供される。
ンガーに関し、より詳細には、フック部の断面積が小さ
く、これによりフック部を細くすることができ、衣服な
どを掛けて複数個、並行にハンガー掛けに掛けた場合に
見栄えがよいプラスチック製ハンガーに関する。 【０００２】 【従来の技術】従来より、種々のハンガーが開発されて
おり、近年では、針金などの金属を使用せず、プラスチ
ックなどの樹脂からなるハンガー（以下、「プラスチッ
ク製ハンガー」という）が開発されている。このような
ハンガーが開発されている理由の１つに、検針器として
用いられる金属探知器の問題がある。より詳細には、現
在ではいわゆるＰＬ法対策として、Ｙシャツ、Ｔシャ
ツ、セーター、コートなどのような、ハンガーに掛けら
れ得る衣服を工場などから出荷する際には、金属探知器
を検針器として用いて、衣服内に針が残っていないかど
うかを確認する必要がある。従来の金属を有するハンガ
ーに掛けられた状態でこのような衣服を金属探知器に通
すと、針が衣服内に残っているかどうかに関わらず、ハ
ンガーの金属に反応して金属探知器が作動してしまう場
合がある。 【０００３】ところで、衣料品店などにおいては、衣服
が掛けられたハンガーを、洋服掛けなどに掛けて衣服を
陳列するが、この場合には、衣服などの見栄えの観点か
ら、ハンガーのフック部は細いことが望まれている。 【０００４】上記の金属探知器の問題を解決するため
に、金属を使用せず、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレ
ン樹脂などの汎用プラスチック樹脂からハンガーが作製
されているが、このような樹脂からハンガーのフック部
を作成すると、強度の観点からどうしてもハンガーのフ
ック部が太くなる。より詳細には、得られる成形体が柔
軟性に富むという利点を有するポリプロピレン樹脂を用
いて細いハンガーのフック部を作成した場合、腰がない
ので、長い間衣服をハンガーに掛けていると、ハンガー
が塑性変形してしまう。一方、得られる成形体が硬質で
あるという利点を有するポリスチレン樹脂などを用いて
細いハンガーのフック部を作成した場合には、このハン
ガーに長い間衣服を掛けていると、もろくておれやすい
ので、実用に耐えないという問題点がある。このため、
従来ではフック部が細い（特に、直径６mm以下、すなわ
ち断面積が２８．２６mm2以下である）汎用プラスチッ
ク樹脂からなるハンガーは、実用に耐えないと考えられ
ていた。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ポリカー
ボネート樹脂およびＡＢＳ樹脂を含有する熱可塑性ポリ
マーアロイを射出成形することにより製造されるプラス
チック製ハンガーのフック部を細くし、このようなフッ
ク部を用いてハンガーを作製し、そして長期間、比較的
重量のある衣服（コートなど）を吊した場合であって
も、ハンガーが塑性変形せず、さらに折れることがない
という知見を得、本発明を完成した。すなわち、本発明
は上記課題を解決するためになされ、その目的とすると
ころは、検針器としての金属探知器を誤動作させるおそ
れがなく、そしてフック部が細くて見栄えがよく、さら
に丈夫で可撓性のあるプラスチック製ハンガーを提供す
ることにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るプラスチック製ハンガーは、吊持部と
フック部とを備えたプラスチック製ハンガーにおいて、
該フック部に用いられるプラスチックが、ポリカーボネ
ート樹脂とＡＢＳ樹脂とを含有する熱可塑性ポリマーア
ロイからなり、前記フック部の断面積を２８．２６mm 2
以下とするとともに、当該フック部をポリカーボネート
樹脂と前記ＡＢＳ樹脂との重量比が、９５：５から７
５：２５の範囲内の熱可塑性ポリマーアロイで形成した
ことを特徴とする。 【０００７】 【発明の実施の形態】本明細書において用いられる用語
「ハンガー」とは、衣類の肩部分を掛けるか、衣類を洗
濯ばさみなどのバンドなどにより吊り下げるか、あるい
は衣類の袖を通した後、そのフック部を用いて物干し竿
などの棒、ロープなどに吊り下げることができるものを
指す。このようなハンガーとしては、例えば、ハンガ
ー、ズボンハンガーなどが挙げられる。また、吊される
ものは衣類に限られず、例えば、靴なども挙げられる。 【０００８】以下、本発明を図面と共に詳細に説明す
る。 【０００９】図１は、本発明に係るプラスチック製ハン
ガー（１）を表す斜視図であり、本実施態様において、
プラスチック製ハンガー（１）は、吊持部（２）と断面
積が２８．２６mm2以下、好ましくは２３．７５mm2以下
であるフック部（３）とを備えている。 【００１０】（フック部（３）について）フック部
（３）は、ポリカーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とを含有
するポリマーアロイからなる。ポリカーボネート樹脂と
ＡＢＳ樹脂との重量比は、ＡＢＳ樹脂がポリカーボネー
トの強度をさらに増すことが充分にできるという観点か
ら、９９：１〜７５：２５であることが好ましく、９
５：５〜８５：１５であることがより好ましい。すなわ
ち、ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネート樹脂の重量比
は、７５重量％以上９９重量％以下であり、好ましくは
８５重量％以上９５重量％以下である。 【００１１】このような重量比のポリマーアロイを用い
ることにより、プラスチック製ハンガー（１）に衣類を
掛けたり、吊り下げたりした場合でも、フック部（３）
が丈夫で可撓性があり、塑性変形したり、そしておれた
りすることがなく、フック部（３）の断面積を小さくで
きる。すなわち、このような重量比のポリマーアロイを
用いてフック部（３）の断面積を２８．２６mm2以下
（フック部が断面円形状である場合、直径６mm以下に対
応）とした場合であっても、上記のようにフック部
（３）は、丈夫で可撓性があり、塑性変形したり、そし
ておれたりすることがない。従って、このようなフック
部（３）を備えたプラスチック製ハンガー（１）に衣類
を掛け、次いで図２のようにこのような複数のプラスチ
ック製ハンガー（１）を洋服掛けなどに並行に吊り下げ
た場合であっても、フック部（３）が細いので、見栄え
を損なうことがない。なお、見栄えの観点からは上記の
通りできる限りフック部（３）は細いことが好ましく、
上記の通り、フック部（３）の断面積は２３．７５mm2
以下（フック部が断面円形状である場合、直径５．５mm
以下に対応）であることが好ましい。 【００１２】ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネート樹脂
の重量比が９９重量％を超えると、ポリカーボネート樹
脂が多すぎるため、フック部がもろくておれやすくなる
場合がある。一方、ＡＢＳ樹脂に対するポリカーボネー
ト樹脂の重量比が７５重量％未満であると、ＡＢＳ樹脂
が多すぎるため、フック部に腰がないので、長い間衣服
をハンガーに掛けていると、フック部が塑性変形してし
まう場合がある。すなわち、ポリカーボネート樹脂を多
くすると、フック部がもろくておれやすいという傾向が
あり、一方、ＡＢＳ樹脂を多くすると、フック部が塑性
変形してしまう場合があるので、ＡＢＳ樹脂に対するポ
リカーボネート樹脂の好ましい重量比は、上記の通り８
５重量％以上９５重量％以下である。 【００１３】フック部（３）の外形形状は、図１および
図３に示すように、疑問符（いわゆる、クエスチョンマ
ーク）字状に曲成された形状であるが、物干し竿などの
シャフト、ロープに掛けることができる形状である限
り、この形状はこのような形状に限られず、例えば、
「コ」の字状、逆「Ｕ」字状などであってもよい。本発
明に係るプラスチック製ハンガー（１）に掛けられた衣
料品が販売される衣料品店での販売、宣伝などの観点か
ら、フック部（３）の下部には、図１および図３に示す
ように、Ｓ、Ｍ、Ｌなどの衣服の大きさを示すタグを横
方向から取り付けるタグ取付部（３２）が設けられてい
ることが好ましい。 【００１４】フック部（３）の断面形状は、図１および
図３に示すように、断面円形状であるが、この形状は特
に限定されず、例えば、断面円形状、断面楕円形状、断
面角状、断面Ｈ字状、および断面逆Ｔ字状であってもよ
い。 【００１５】（吊持部（２）について）吊持部（２）
は、任意の樹脂から作成される。熱硬化性または熱可塑
性を問わないが、リサイクルの観点から、熱可塑性樹脂
から作成されることが好ましい。 【００１６】吊持部（２）は、衣類などを吊り下げて保
持することができる限り、特にその形状は限定されない
が、例えば、図１に示すように、ほぼ中央部から両側下
斜め方向になだらかに傾斜しており、この傾斜部（２
２）に背広、Ｙシャツなどの衣類を掛けることができる
ような形状が挙げられる。この傾斜部（２２）の長さを
長くして、衣類の袖を通すことができるようにしてもよ
く、あるいは図４のように、吊持部（２）を、ほぼ中央
部から両水平方向に延出された棒状に形成し、これにバ
ンド（２３）を設けて、ズボンハンガー（４）としても
よい。 【００１７】このようなプラスチック製ハンガー
（１）、ズボンハンガー（４）などのプラスチック製ハ
ンガーの作成方法は、特に限定されず、任意の方法によ
り作成される。例えば、まず、予備乾燥したポリカーボ
ネートとＡＢＳ樹脂とを溶融混合し、この溶融混合物を
射出成形してフック部（３）を作成する。フック部
（３）とは別に、吊持部（２）を射出成型などにより作
製し、フック部（３）と吊持部（２）とを連結する。 【００１８】なお、フック部（３）と吊持部（２）とを
連結する手段としては、特に限定されず、例えば、図１
のようなプラスチック製ハンガー（１）の場合には、以
下のような手段が挙げられる。まず、フック部（３）の
吊持部係合側先端を二股状とし、この二股の両先端に突
起（３１）が設けられた形状（図３を参照のこと）に射
出成形してフック部（３）を作製する。一方、ほぼ中央
部にフック部（３）の太さよりもやや細いフック部挿通
孔（２１）が穿設された形状に射出成形して吊持部
（２）を作製し、フック部（３）をその先端から吊持部
（２）のフック部挿通孔（２１）に押し込むように挿通
して嵌着させ、突起（３１）を吊持部（２）に係合させ
る手段が挙げられる。なお、手間を省くという観点か
ら、射出成形後に二股状にしたり、突起（３１）を設け
たりすることと比較して、上記のようにフック部（３）
の吊持部側先端を二股状とし、この二股の両先端に突起
（３１）が設けられた形状に射出成形してフック部
（３）を作製することが好ましく、同様に、射出成形後
にフック挿通孔（２１）を穿設することと比較して、ほ
ぼ中央部にフック部挿通孔（２１）が設けられた形状に
射出成形して吊持部（２）を作製することが好ましい。 【００１９】 【実施例】（実施例１）約１２０℃で約５時間、予備乾
燥したポリカーボネート樹脂（商品名：「ユーピロ
ン」、登録商標、三菱ガス化学株式会社製、グレード：
Ｓ−２０００）９０重量部、および上記とほぼ同様に予
備乾燥したポリカーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とのアロ
イ樹脂（商品名：「ダイアアロイ」、登録商標、三菱レ
イヨン株式会社製、グレード：ＴＣ−７Ｆ）１０重量部
を約２６０℃まで加熱して溶融した。なお、これらの樹
脂は加熱すると極めて容易に混合した。 【００２０】次に、約８５℃まで加温した金型を用いて
射出成形することによって、断面が円形（直径５．５m
m、断面積２３．７５mm2）であり、そして図３に示され
るように、外観形状がほぼクエスチョンマーク型であ
り、フック部（３）の吊持部側先端が二股状であり、そ
してこの二股の両先端に突起（３１）が設けられた形状
のハンガーのフック部（３）を作製した。 【００２１】次いで、ほぼ中央部にフック部（３）の太
さよりもやや細いフック部挿通孔（２１）が穿設され、
ほぼ中央部から両側下斜め方向になだらかに傾斜した形
状に射出成形したポリプロピレン製の吊持部（２）を準
備し、次いでフック部（３）をその二股形状の先端から
吊持部（２）のフック部挿通孔（２１）に押し込むよう
に挿通して嵌着させ、突起（３１）を吊持部（２）に係
合させることにより図１に示されるようなプラスチック
製ハンガー（１）を作製した。 【００２２】このプラスチック製ハンガー（１）にポケ
ット付きコート（重量：約１キログラム）を掛け、この
ポケットに、文房具として用いられる穴開けパンチ（全
重量：約２キログラム）を複数個、おもりとして入れ
（合計：約３キログラム）、次いでこのプラスチック製
ハンガーを洋服掛けに掛けて約３ヶ月間放置した。 【００２３】その結果、このプラスチック製ハンガー
（１）のフック部（３）は、折れたり塑性変形したりせ
ず、コートをプラスチック製ハンガー（１）から外した
後であっても、フック部（３）は可撓性を保っていた。 【００２４】（比較例１）公知のポリプロピレン樹脂を
加熱溶融し、次いで射出成形すること以外は上記と同様
にして、上記と同じ形状であるハンガーのフック部を作
製した。次いで、上記と同様に、このフック部を有する
ハンガーを作製し、ポケットにおもりが入ったコートを
掛け、約３ヶ月間放置したところ、フック部は塑性変形
していた。 【００２５】（比較例２）公知のポリスチレン樹脂を加
熱溶融し、次いで射出成形すること以外は上記と同様に
して、上記と同じ形状であるハンガーのフック部を作製
した。次いで、上記と同様に、このフック部を有するハ
ンガーを作製し、ポケットにおもりが入ったコートを掛
け、放置したところ、約１ヶ月後にフック部は折れてし
まった。 【００２６】上記の実施例および比較例から、本発明に
係るプラスチック製ハンガー（１）は、フック部（３）
の断面積が小さいながらも、フック部（３）が丈夫であ
り、塑性変形したり、そしてもろくておれたりすること
がないハンガーであることが理解される。 【００２７】 【発明の効果】本発明により、検針器としての金属探知
器を誤動作させるおそれがなく、そしてフック部が細く
て見栄えがよく、さらに丈夫で可撓性のあるプラスチッ
ク製ハンガーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本発明に係るプラスチック製ハンガ
ー（１）を表す斜視図である。 【図２】 図２は、洋服掛けに並行に吊り下げられた状
態の複数のプラスチック製ハンガー（１）を表す図であ
る。 【図３】 図３は、吊持部側先端を二股状に形成して、
その二股の両先端に突起（３１）を設けたフック部
（３）を表す図である。 【図４】 図４は、本発明に係るプラスチック製ハンガ
ー（１）の他の実施の形態を表す斜視図である。 【符号の説明】 １ プラスチック製ハンガー ２ 吊持部 ２１ フック部挿通孔 ２２ 傾斜部 ２３ バンド ３ フック部 ３１ 突起 ３２ タグ取付部 ４ ズボンハンガー
ー（１）を表す斜視図である。 【図２】 図２は、洋服掛けに並行に吊り下げられた状
態の複数のプラスチック製ハンガー（１）を表す図であ
る。 【図３】 図３は、吊持部側先端を二股状に形成して、
その二股の両先端に突起（３１）を設けたフック部
（３）を表す図である。 【図４】 図４は、本発明に係るプラスチック製ハンガ
ー（１）の他の実施の形態を表す斜視図である。 【符号の説明】 １ プラスチック製ハンガー ２ 吊持部 ２１ フック部挿通孔 ２２ 傾斜部 ２３ バンド ３ フック部 ３１ 突起 ３２ タグ取付部 ４ ズボンハンガー
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
A47G 25/14
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 吊持部とフック部とを備えたプラスチッ
ク製ハンガーにおいて、該フック部に用いられるプラス
チックが、ポリカーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とを含有
する熱可塑性ポリマーアロイからなり、前記フック部の
断面積を２８．２６mm 2 以下とするとともに、当該フッ
ク部をポリカーボネート樹脂と前記ＡＢＳ樹脂との重量
比が、９５：５から７５：２５の範囲内の熱可塑性ポリ
マーアロイで形成したことを特徴とするプラスチック製
ハンガー。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25687997A JP3363756B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | プラスチック製ハンガー |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25687997A JP3363756B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | プラスチック製ハンガー |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1189696A JPH1189696A (ja) | 1999-04-06 |
| JP3363756B2 true JP3363756B2 (ja) | 2003-01-08 |
Family
ID=17298688
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25687997A Expired - Lifetime JP3363756B2 (ja) | 1997-09-22 | 1997-09-22 | プラスチック製ハンガー |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3363756B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7139507B2 (en) | 2004-03-22 | 2006-11-21 | Fuji Xerox Co. Ltd. | Image forming apparatus and method of mounting and demounting process cartridge |
-
1997
- 1997-09-22 JP JP25687997A patent/JP3363756B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7139507B2 (en) | 2004-03-22 | 2006-11-21 | Fuji Xerox Co. Ltd. | Image forming apparatus and method of mounting and demounting process cartridge |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1189696A (ja) | 1999-04-06 |
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