JP3360498B2 - インライン型電子銃 - Google Patents

インライン型電子銃

Info

Publication number
JP3360498B2
JP3360498B2 JP21738195A JP21738195A JP3360498B2 JP 3360498 B2 JP3360498 B2 JP 3360498B2 JP 21738195 A JP21738195 A JP 21738195A JP 21738195 A JP21738195 A JP 21738195A JP 3360498 B2 JP3360498 B2 JP 3360498B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
astigmatism
electrodes
main lens
electron gun
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21738195A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0963501A (ja
Inventor
靖 久岡
昭治 幾和
久和 山根
哲生 船倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP21738195A priority Critical patent/JP3360498B2/ja
Publication of JPH0963501A publication Critical patent/JPH0963501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3360498B2 publication Critical patent/JP3360498B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管に用
いられるインライン型電子銃、特に電子ビーム通過孔部
の個別の電子レンズと筒状電極の相対向する開口部の単
一の大口径電子レンズとが複合的に形成される主レンズ
を備えたインライン型電子銃に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、特開昭63−86224号公報
などに開示されている、従来の一般的なカラー受像管に
用いられるインライン型電子銃の概略構成を示す横断面
図である。図8において、1は水平面上に一列に配置さ
れた三個の陰極、2a、2b、2cは各々の陰極1から
発生された電子ビーム、31は陰極1の近傍に配置され
たプリフォーカスレンズ、41は断面が略長円形状をし
た二個の筒状電極51a51bの開口面を相対向させ、
間隙を有して配置し、その筒状電極51a、51bの内
部に固定され、円弧および楕円弧などを代表的形状とし
た電子ビーム通過孔61a、61bが配列された板状電
極71a、71bから構成される主レンズである。主レ
ンズ41内の8a、8bは筒状電極51a、51b及び
板状電極71a、71bに電圧を印加することにより電
子ビーム通過孔61a、61b部に形成される個別の電
子レンズ、また9は二個の筒状電極51a、51bの相
対向する開口部に形成される単一の大口径電子レンズで
あり、主レンズ41は、個別の電子レンズ8a、8bと
単一の大口径電子レンズ9が複合的に形成されることを
特徴とするものである。陰極1とプリフォーカスレンズ
31及び主レンズ41は図示していないがガラスなどの
絶縁体で所定の位置に保持され一体となっている。そし
て、水平面上一列に配列された三個の陰極1より発せら
れた三本の電子ビーム2a、2b、2cは、単段もしく
は多段のプリフォーカスレンズ31にて弱い集束作用を
受けた後、主レンズ41に入射される。
【0003】上記のような構成の主レンズ41におい
て、スクリーン面10側の筒状電極51bおよび板状電
極71bに最終加速電圧を印加し、陰極1側の筒状電極
51aおよび板状電極71aには上記最終加速電圧より
も低電圧である集束電圧を印加することにより、それぞ
れの電子ビーム通過孔部61a、61bに個別の電子レ
ンズ8a、8bが形成されるとともに、筒状電極51
a、51bの相対向する開口部には単一の大口径電子レ
ンズ9が形成される。主レンズ41は三本の電子ビーム
2a、2b、2cをそれぞれ集束せしめるとともに、三
本の電子ビーム2a、2b、2cのうち外側の電子ビー
ム2a、2cの軌道を内向きに曲げるコンバーゼンス作
用により、三本の電子ビーム2a、2b、2cをスクリ
ーン面10にて互いに重なり合うように集中せしめる。
【0004】さて、カラー受像管用電子銃に求められる
要件のひとつとして、主レンズ41で発生する球面収差
の低減が挙げられる。この要件は、スクリーン面10に
形成される電子ビームスポットの微細化、すなわち画像
の鮮鋭度の向上には必須の要件となっている。
【0005】一般に電子レンズの球面収差を低減するに
は、電子レンズを形成する電極の開口径を広げることが
最も効果的であることが知られている。ところがカラー
受像管においては、偏向ヨークの偏向感度との兼ね合い
から電子銃を収納するガラス管の径には一定の上限が課
されるので、電極開口を無制限に広げることはできな
い。そこで図8のように構成される主レンズ41では、
筒状電極51a、51bの開口径を寸法制約の許す範囲
で可及的に広げ、さらに筒状電極51a、51bの内部
に設けられた三個の電子ビーム通過孔61a、61bの
孔径を広げることが行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように主レンズ41で発生する球面収差を低減すべく構
成されたインライン型電子銃では、電極開口径を可及的
に広げたことにより開口形状の設計自由度が強く制限さ
れる。その結果、三本の電子ビーム2a、2b、2cを
スクリーン面10にて互いに重なり合うように集中せし
める静コンバーゼンス条件と電子銃全段の非点収差の適
正化との両立が困難となるという問題点があった。
【0007】またこの問題点は、コマ収差の発生やレン
ズ倍率と球面収差の最適均衡条件からの逸脱という好ま
しからざる事態を招く原因ともなっていた。以下、これ
らの問題点について順を追って詳述する。
【0008】電子銃全段の非点収差を適正化する方法と
しては、第一には主レンズ41の非点収差を調整する方
法、第二には主レンズ41の前段に配置されたプリフォ
ーカスレンズ31に非点収差を付与する方法がある。
【0009】まず主レンズ41の非点収差を調整するこ
とにより電子銃全段の非点収差を適正化しようとすると
きの問題点について説明する。主レンズ41の非点収差
を調整する最も簡単な手段は、電子レンズを形成する電
極開口の水平開口径と垂直開口径の比を適切な値に選ぶ
ことであるが、前述のように、電極開口径は球面収差を
低減すべく可及的に広げると、開口形状の設計自由度は
強く制限されるので、当該手段は適切ではない。そこで
代替手段として、筒状電極51a、51bの開口端面か
ら測った三個の電子ビーム通過孔61a、61bの位置
を管軸方向に変化させることにより、非点収差を調整す
ることが考えられる。
【0010】具体例を示すと、低圧側電子ビーム通過孔
61aを高圧側筒状電極51bと相対向する低圧側筒状
電極51aの開口端面から遠ざけて配置するほど水平方
向のレンズ強度を垂直方向のレンズ強度よりも相対的に
弱めることができる。また、高圧側電子ビーム通過孔6
1bを低圧側筒状電極51aと相対向する高圧側筒状電
極51bの開口端面に近づけて配置するほど同様に水平
方向のレンズ強度を垂直方向のレンズ強度よりも相対的
に弱めることができる。
【0011】このような手段で主レンズ41の非点収差
を調整しようとするとき、避け難い障害となるのは、非
点収差の変化と連動して静コンバーゼンスも変化してし
まうことである。一般に電子ビーム通過孔61a、61
bの位置を管軸方向に変化させて水平方向のレンズ強度
を垂直方向のレンズ強度よりも弱めると、三本の電子ビ
ーム2a、2b、2cのうち外側二本の電子ビーム2
a、2cの軌道を内向きに曲げるコンバーゼンス作用は
強まる。したがって主レンズ41の非点収差を所定の適
正値に設定しようとするとき、静コンバーゼンス条件は
必ずしも同時には達成され得ず、別の手段によって補正
する必要がある。
【0012】そこで想到されるのは、主レンズ41の前
段にて外側二本の電子ビーム2a、2cの軌道を屈折せ
しめることにより静コンバーゼンス条件を達成する方法
である。
【0013】図9は当該方法による従来のインライン型
電子銃の概略構成を示す横断面図である。図9におい
て、11は外側二本の電子ビーム2a、2cの軌道を屈
折せしめる軌道屈折手段である。軌道屈折手段11に
は、例えばプリフォーカスレンズ31を構成する電極の
両外側の電子ビーム通過孔の中心軸を電子ビーム軌道軸
に対して偏位させるなどの周知の手段を用いることがで
きる。主レンズ41の非点収差を所定の適正値に設定し
たとき、例えば主レンズ41のコンバーゼンス作用が過
少であったとすれば、軌道屈折手段11にて外側二本の
電子ビーム2a、2cの軌道を内向きに屈折せしめるこ
とにより、静コンバーゼンス条件を実現することができ
る。
【0014】しかしながら、このような静コンバーゼン
ス補正によると、主レンズ41で発生するコマ収差が新
たな問題点となる。コマ収差は、典型的には図10に示
すように、外側二本の電子ビーム2a、2cのスクリー
ン面10での集束スポットが内向きあるいは外向きに長
く尾を曳くハロー12として現れる収差である。コマ収
差の極性や大きさは主レンズ41を通過する際の軌道経
路に敏感に依存し、軌道屈折手段11によって外側二本
の電子ビーム2a、2cの軌道を外向きに大きく曲げる
場合には図10(a)のように内向きに尾を曳くコマ収
差を生じやすく、逆に外側二本の電子ビーム2a、2c
の軌道を内向きに大きく曲げる場合には図10(b)の
ように外向きに尾を曳くコマ収差を生じやすい。このよ
うなコマ収差はいずれも画像の鮮鋭度を著しく劣化させ
るので、軌道屈折手段11による軌道屈折角度を適正に
選定し、コマ収差が軽微となる条件を実現すべきであ
る。ところが、コマ収差が軽微となる条件は静コンバー
ゼンスを実現する条件とは必ずしも両立しないので、軌
道屈折手段11をコマ収差補正の目的に用いることがで
きないという問題点がある。
【0015】一方、コマ収差が発生しない条件と静コン
バーゼンスとが両立するように主レンズ41および軌道
屈折手段11の構造をまず決定しておき、その結果生じ
た主レンズ41の非点収差の適正値からのずれをプリフ
ォーカスレンズ31に適切な非点収差を付与することで
補償するという方策も容易に想到し得るが、当該手法で
はレンズ倍率と球面収差の不均衡という別の問題点が誘
発される。
【0016】上記問題点が誘発される理由の説明に先立
って、まずレンズ倍率と球面収差との均衡という意味を
説明する。レンズ倍率とは、陰極1の前面に形成される
電子ビームのクロスオーバーをスクリーン面10に結像
する際の拡大率であり、その意味では、微細なビームス
ポットを形成するには低倍率であることが望ましい。レ
ンズ倍率は主レンズ41主面での電子ビームの広がりに
依存し、低倍率とするにはプリフォーカスレンズ31を
弱めて主レンズ41内の電子ビーム径を広げればよい。
しかし、倍率を下げるために主レンズ41内の電子ビー
ム径を過度に広げると、主レンズ41で生ずる球面収差
が急増するので、却って画像の鮮鋭度の劣化が顕著とな
る。すなわち、画像の鮮鋭度に対する主レンズ41内の
電子ビーム径には、レンズ倍率と球面収差との均衡から
定まる最適値が存在する。通常、主レンズ41の球面収
差係数の値は水平方向と垂直方向で異なり、またセルフ
コンバーゼンス偏向磁界の四極レンズ作用により光学系
全体のレンズ倍率も水平方向と垂直方向で異なるため、
主レンズ41内の電子ビーム径の最適値もまた水平方向
と垂直方向とでは異なった値をとる。
【0017】上記説明を踏まえて、図9において、プリ
フォーカスレンズ31に非点収差を付与することに伴う
問題点を説明する。コマ収差が発生しない条件と静コン
バーゼンス条件とが両立するように主レンズ41および
軌道屈折手段11の構造を定めたとき、主レンズ41の
非点収差は一般には適正値から逸脱しているので、プリ
フォーカスレンズ31に適切な非点収差を付与し、電子
銃全段の非点収差を適正化せねばならない。プリフォー
カスレンズ31に非点収差を付与するには、例えば電子
レンズを形成するプリフォーカスレンズ31の電子ビー
ム通過孔形状を長方形にするなどの周知の手段を用いる
ことができる。
【0018】図11はプリフォーカスレンズ31に非点
収差を付与した場合の一本の電子ビームに関する光線図
の一例である。図11の上半分に垂直光線図、下半分に
水平光線図を併記している。電子銃全段の非点収差を適
正化するためにプリフォーカスレンズ31に付与すべき
非点収差の条件が定まると、図11にも示されるよう
に、当該非点収差条件に応じて垂直方向および水平方向
の主レンズ41内の電子ビーム径にも差異が生じる。し
かし付与すべき非点収差条件を満たしながら、かつ、垂
直方向および水平方向の主レンズ41内の電子ビーム径
をレンズ倍率と球面収差との均衡から定まる最適値に両
者とも合致させるようプリフォーカスレンズ31を構成
することは一般には困難である。
【0019】端的な一例を挙げると、図11のようにプ
リフォーカスレンズ31に付与すべき非点収差が、垂直
方向の集束よりも水平方向の集束を強める極性である場
合、例えば主レンズ41内の電子ビーム径の水平方向最
適値が垂直方向最適値よりも大きければ、水平方向もし
くは垂直方向のいずれか一方のみしか最適値に合致させ
ることができない。
【0020】以上の説明から理解されるように、球面収
差を低減すべく電極開口径を可及的に広げた主レンズ4
1を用いるとき、従来のインライン型電子銃では、静コ
ンバーゼンスと非点収差の適性化を主レンズ41のみで
満足することが困難であった。
【0021】さらに、鮮鋭度の高い画質を得るために、
次の四条件を同時に満たす必要がある。 1、 静コンバーゼンス 2、 非点収差の適正化 3、 コマ収差の低減 4、 レンズ倍率と球面収差との最適均衡 しかし、上記四条件をすべて同時に満たすことは一般に
は困難であり、いずれかの要件を犠牲にすることを受忍
するか、あるいは球面収差を低減すべく電極開口径を可
及的に広げることを放棄せざるを得なかった。そしてこ
の問題は、主レンズ41における非点収差とコンバーゼ
ンス作用とを電極開口形状によらず互いに独立に操作し
得る手段が用意されない限り本質的解決には至らないの
であった。
【0022】本発明は、かかる問題点を解決するために
なされたものであり、球面収差を低減すべく電極開口径
が可及的に広げられた主レンズであっても、主レンズに
おける非点収差とコンバーゼンス作用との独立な操作を
可能にすることにより、低収差のインライン型電子銃を
提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】この発明のインライン型
電子銃は、長円状断面を有し、開口部を相対向させ、間
隙を有して配置した二個の筒状電極と、各々の筒状電極
内部に電子ビーム通過孔を形成した板状電極を有する主
レンズから構成され、上記二個の筒状電極のうち少なく
とも一方の筒状電極の開口部に、その中心部より長軸方
向端部側の方が管軸方向へ所定の傾斜角で傾斜する傾斜
面を形成すると共に、上記各板状電極を上記各筒状電極
の開口端面より所定距離、離して配設したものである。
【0024】また、この発明のインライン型電子銃は、
上記電子銃において、非点収差を付与したプリフォーカ
スレンズと三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビー
ムの軌道を屈折せしめる軌道屈折手段のうち、少なくと
も一方を主レンズの前段に設けたものである。
【0025】また、この発明のインライン型電子銃は、
長円状断面を有し、開口部を相対向させ、間隙を有して
配置した二個の筒状電極と、各々の筒状電極内部に電子
ビーム通過孔を形成した板状電極を有する主レンズから
構成され、上記二個の筒状電極の両開口部に、その中心
部より長軸方向端部側の方が、管軸方向に所定の傾斜角
傾斜する傾斜面を形成し、該傾斜面互いに平行と
ると共に、上記各板状電極を上記各筒状電極の開口端面
より所定距離、離して配設したものである。
【0026】また、この発明のインライン型電子銃は、
上記電子銃において、非点収差を付与したプリフォーカ
スレンズと三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビー
ムの軌道を屈折せしめる軌道屈折手段のうち、少なくと
も一方を主レンズの前段に設けたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】実施の形態1. この発明の実施の形態1によるインライン型電子銃につ
いて説明する。図1は本発明の実施の形態1であるイン
ライン型電子銃の概略構成を示す横断面図である。図1
において、1は水平面上に一列に配置された三個の陰
極、2a、2b、2cは陰極1から発生された電子ビー
ム、31は単段構成もしくは多段構成のプリフォーカス
レンズ、4は略長円状断面を有する二個の筒状電極5
a、5bと、筒状電極5a、5bの内部に電子ビーム通
過孔6a、6bを形成するための板状電極7a、7bを
有する主レンズである。
【0028】図1において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、プリフォーカスレン
ズ31を経て主レンズ4に入射する。主レンズ4は略長
円状断面を有する二個の筒状電極5a、5bと、筒状電
極5a、5bの内部に電子ビーム通過孔6a、6bを形
成するための板状電極7a、7bから構成されていて、
二個の筒状電極5a、5bは互いの開口部を相対向し
て、間隙を有して配置されている。また二個の筒状電極
5a、5bの相対向した長軸方向開口端部に、その中心
部より長軸方向端部側の方が管軸方向に傾斜する傾斜面
13a、13bを設けている。
【0029】上記のように構成されたインライン型電子
銃において、主レンズ4における非点収差とコンバーゼ
ンス作用を独立に操作する方法について説明する。図1
のように、低圧側筒状電極5aの開口端部にはスクリー
ン面10側に向かって凹形になるような傾斜面13aを
設け、高圧側筒状電極5bの開口端部には陰極1側に向
かって凸形になるような傾斜面13bを設けた主レンズ
4において、それぞれの傾斜面13a、13bの傾斜角
を変えたとき、主レンズ4の非点収差とコンバーゼンス
作用の変化の様子を表1に示す。表1には、筒状電極5
a、5bの開口端面から測った板状電極7a、7bの位
置を変えたときの主レンズ4の非点収差とコンバーゼン
ス作用の変化の様子も併せて記載している。
【0030】
【表1】
【0031】前述の通り、低圧側板状電極7aを高圧側
筒状電極5b側に対向した低圧側筒状電極5aの開口端
面から遠ざけて配置するほどコンバーゼンス作用は強め
られる。また水平方向のレンズ強度が垂直方向レンズ強
度よりも相対的に弱められる。
【0032】また、高圧側板状電極7bを低圧側筒状電
極5a側に対向した高圧筒状電極5bの開口端面に近づ
けて配置しても同様である。
【0033】一方、低圧側筒状電極5aの開口端部に設
けた凹形傾斜面13aの傾斜角を大きくする場合、ある
いは高圧側筒状電極5bの開口端部に設けた凸形傾斜面
13bの傾斜角を大きくする場合、ともにコンバーゼン
ス作用は強められるが、非点収差については水平方向の
レンズ強度が垂直方向のレンズ強度よりも相対的に強め
られ、板状電極7a、7bの位置を変えてコンバーゼン
ス作用を強めた場合と比較すると、非点収差の変化が逆
転する。
【0034】以上により、板状電極7a、7bと筒状電
極5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、
13bの傾斜角の組み合わせを適切に選べば、主レンズ
4の非点収差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を
変化させることができ、反対にコンバーゼンス作用を一
定に保ったまま非点収差を変化させることもできる。
【0035】例えば、図1において主レンズ4の非点収
差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を強めようと
するならば、低圧側板状電極7aを高圧側筒状電極5b
に対向した低圧側筒状電極5aの開口端面からより遠ざ
けて配置し、かつそれによって生じた非点収差の変化を
打消すべく低圧側筒状電極5aの凹形傾斜面13aの傾
斜角をより大きくすれば良い。
【0036】このとき、低圧側板状電極7aの位置を低
圧側筒状電極5aの開口端面から遠ざける代わりに、高
圧側板状電極7bの位置を低圧側筒状電極5bに対向し
た高圧側筒状電極5bの開口端面に近づけても良い。
【0037】また、低圧側筒状電極5aの凹形傾斜面1
3aの傾斜角を大きくする代わりに、高圧側筒状電極5
bの凸形傾斜面13bの傾斜角を大きくしても良い。
【0038】上記により、本発明の実施の形態1による
インライン型電子銃において、三個の陰極1の間隔や電
子銃からスクリーン面10までの距離、あるいはガラス
管径などの管種によっては、二個の筒状電極5a、5b
の相対向した長軸方向開口端部に、その中心部より長軸
方向端部側の方が管軸方向に傾斜する傾斜面13a、1
3bを設けることにより、球面収差を低減すべく電極開
口径が可及的に広げられた主レンズ4であっても、主レ
ンズ4における非点収差とコンバーゼンス作用が互いに
独立して操作することができるので、低収差電子銃を提
供できる。
【0039】実施の形態2.この発明の実施の形態2に
よるインライン型電子銃について説明する。図2は本発
明の実施の形態2であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図2において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、3は非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ、非点収差を付与したプリフォー
カスレンズ3は単段構成もしくは多段構成のいずれであ
っても良く、その水平方向強度および垂直方向強度の決
定は後述する設計手順で説明する。4は略長円状断面を
有する二個の筒状電極5a、5bと、筒状電極5a、5
bの内部に電子ビーム通過孔6a、6bを形成するため
の板状電極7a、7bを有する主レンズである。
【0040】図2において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ3を経て主レンズ4に入射する。
主レンズ4は略長円状断面を有する二個の筒状電極5
a、5bと、筒状電極5a、5bの内部に電子ビーム通
過孔6a、6bを形成するための板状電極7a、7bか
ら構成されていて、二個の筒状電極5a、5bは互いの
開口部を相対向して、間隙を有して配置されている。ま
た二個の筒状電極5a、5bの相対向した長軸方向開口
端部に、その中心部より長軸方向端部側の方が管軸方向
に傾斜する傾斜面13a、13bを設けている。
【0041】上記のように構成されたインライン型電子
銃において、主レンズ4における非点収差とコンバーゼ
ンス作用を独立に操作する方法について説明する。図2
のように、低圧側筒状電極5aの開口端部にはスクリー
ン面10側に向かって凹形になるような傾斜面13aを
設け、高圧側筒状電極5bの開口端部には陰極1側に向
かって凸形になるような傾斜面13bを設けた主レンズ
4において、それぞれの傾斜面13a、13bの傾斜角
を変えたとき、主レンズ4の非点収差とコンバーゼンス
作用の変化の様子を表2に示す。表2には、筒状電極5
a、5bの開口端面から測った板状電極7a、7bの位
置を変えたときの主レンズ4の非点収差とコンバーゼン
ス作用の変化の様子も併せて記載している。
【0042】
【表2】
【0043】発明の実施の形態1で記載した通り、低圧
側板状電極7aを高圧側筒状電極5b側に対向した低圧
側筒状電極5aの開口端面から遠ざけて配置するほどコ
ンバーゼンス作用は強められる。また水平方向のレンズ
強度が垂直方向レンズ強度よりも相対的に弱められる。
【0044】また、高圧側板状電極7bを低圧側筒状電
極5a側に対向した高圧筒状電極5bの開口端面に近づ
けて配置しても同様である。
【0045】一方、低圧側筒状電極5aの開口端部に設
けた凹形傾斜面13aの傾斜角を大きくする場合、ある
いは高圧側筒状電極5bの開口端部に設けた凸形傾斜面
13bの傾斜角を大きくする場合、ともにコンバーゼン
ス作用は強められるが、非点収差については水平方向の
レンズ強度が垂直方向のレンズ強度よりも相対的に強め
られ、板状電極7a、7bの位置を変えてコンバーゼン
ス作用を強めた場合と比較すると、非点収差の変化が逆
転する。
【0046】以上より、板状電極7a、7bと筒状電極
5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、1
3bの傾斜角の組み合わせを適切に選べば、主レンズ4
の非点収差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を変
化させることができ、反対にコンバーゼンス作用を一定
に保ったまま非点収差を変化させることもできる。
【0047】例えば、図2において主レンズ4の非点収
差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を強めようと
するならば、低圧側板状電極7aを高圧側筒状電極5b
に対向した低圧側筒状電極5aの開口端面からより遠ざ
けて配置し、かつそれによって生じた非点収差の変化を
打消すべく低圧側筒状電極5aの凹形傾斜面13aの傾
斜角をより大きくすれば良い。
【0048】このとき、低圧側板状電極7aの位置を低
圧側筒状電極5aの開口端面から遠ざける代わりに、高
圧側板状電極7bの位置を低圧側筒状電極5bに対向し
た高圧側筒状電極5bの開口端面に近づけても良い。
【0049】また、低圧側筒状電極5aの凹形傾斜面1
3aの傾斜角を大きくする代わりに、高圧側筒状電極5
bの凸形傾斜面13bの傾斜角を大きくしても良い。
【0050】次に、上記のように主レンズ4における非
点収差とコンバーゼンス作用を独立に操作しても、電子
ビーム径がレンズ倍率と球面収差との均衡から低収差電
子銃が得られない場合を図2に基づいて非点収差を付与
したプリフォーカスレンズ3の設計手順を説明する。ま
ず主レンズ4の球面収差係数を低減するため、筒状電極
5a、5bの開口径および板状電極7a、7bにより形
成される各々三個の電子ビーム通過孔6a、6bの孔径
を寸法制約の許す範囲で可能な限り広げる。ただし、電
子ビーム通過孔6a、6bは三本の電子ビーム2a、2
b、2cに対するレンズ強度がほぼ揃うように構成す
る。。
【0051】次に、水平方向および垂直方向の主レンズ
4内の電子ビーム径がレンズ倍率と球面収差との均衡か
ら定まる最適値にそれぞれ合致するようにプリフォーカ
スレンズ3の水平方向および垂直方向の強度を選ぶ。
【0052】具体的には、例えばプリフォーカスレンズ
3を形成する電子ビーム通過孔の形状を長方形にするな
どの周知の手段を用いることができる。この時点でプリ
フォーカスレンズ3に付与される非点収差が定まるの
で、電子銃全段の非点収差を適正にするために主レンズ
4が満たすべき非点収差条件も定まる。以上により、主
レンズ4の非点収差の仕様を満たし、かつ静コンバーゼ
ンス条件を満たすように、板状電極7a、7bと筒状電
極5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、
13bの傾斜角の組み合わせを選ぶ。
【0053】このようにして、非点収差を付与したプリ
フォーカスレンズ3を主レンズ4の前段に備えることに
より、球面収差を低減すべく電極開口径が可及的に広げ
られた主レンズ4であっても、主レンズ4における非点
収差とコンバーゼンス作用が互いに独立して操作でき、
レンズ倍率と球面収差との均衡から電子銃全段の非点収
差の適正化と主レンズ4内ビーム径の適正化を両立させ
た低収差電子銃を提供できる。
【0054】実施の形態3.この発明の実施の形態3に
よるインライン型電子銃について説明する。図3は本発
明の実施の形態3であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図3において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、31はプリフォーカスレ
ンズ、11は三本の電子ビーム2a、2b、2cのうち
外側二本の電子ビーム2a、2cの軌道を外向きもしく
は内向きに屈折せしめる軌道屈折手段である。また軌道
屈折手段11は、図3では内向きに軌道を屈折せしめる
ように描かれているが、実際の極性および強度の決定は
後述の設計手順で説明する。4は略長円状断面を有する
二個の筒状電極5a、5bと、筒状電極5a、5bの内
部に電子ビーム通過孔6a、6bを形成するための板状
電極7a、7bを有する主レンズである。
【0055】図3において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、プリフォーカスレン
ズ31、軌道屈折手段11を経て主レンズ4に入射す
る。主レンズ4は略長円状断面を有する二個の筒状電極
5a、5bと、筒状電極5a、5bの内部に電子ビーム
通過孔6a、6bを形成するための板状電極7a、7b
から構成されており、二個の筒状電極5a、5bは互い
の開口部を相対向して、間隙を有して配置されている。
また二個の筒状電極5a、5bの相対向した長軸方向開
口端部を、その中心部より長軸方向端部側の方が管軸方
向に傾斜する傾斜面13a、13bを設けている。
【0056】上記のように構成されたインライン型電子
銃において、主レンズ4における非点収差とコンバーゼ
ンス作用を独立に操作する方法を説明する。図3のよう
に、低圧側筒状電極5aの開口端部にはスクリーン面1
0側に向かって凹形になるような傾斜面13aを設け、
高圧側筒状電極5bの開口端面には陰極1側に向かって
凸形になるような傾斜面13bを設けた主レンズ4にお
いて、それぞれの傾斜面13a、13bの傾斜角を変え
たとき、主レンズ4の非点収差とコンバーゼンス作用の
変化の様子を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】発明の実施の形態1で記載した通り、低圧
側板状電極7aを高圧側筒状電極5b側に対向した低圧
側筒状電極5aの開口端面から遠ざけて配置するほどコ
ンバーゼンス作用は強められる。また水平方向のレンズ
強度が垂直方向レンズ強度よりも相対的に弱められる。
【0059】また、高圧側板状電極7bを低圧側筒状電
極5a側に対向した高圧筒状電極5bの開口端面に近づ
けて配置しても同様である。
【0060】一方、低圧側筒状電極5aの開口端部に設
けた凹形傾斜面13aの傾斜角を大きくする場合、ある
いは高圧側筒状電極5bの開口端部に設けた凸形傾斜面
13bの傾斜角を大きくする場合、ともにコンバーゼン
ス作用は強められるが、非点収差については水平方向の
レンズ強度が垂直方向のレンズ強度よりも相対的に強め
られ、板状電極7a、7bの位置を変えてコンバーゼン
ス作用を強めた場合と比較すると、非点収差の変化が逆
転する。
【0061】以上より、板状電極7a、7bと筒状電極
5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、1
3bの傾斜角の組み合わせを適切に選べば、主レンズ4
の非点収差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を変
化させることができ、反対にコンバーゼンス作用を一定
に保ったまま非点収差を変化させることもできる。
【0062】上記のように主レンズ4における非点収差
とコンバーゼンス作用を独立に操作しても、コマ収差が
発生し、最適な低収差電子銃が得られない場合、図3に
基づいて、三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビー
ムの軌道を内向きもしくは外向きに屈折せしめる軌道屈
折手段11手段の設計手順を説明する。まず主レンズ4
の球面収差係数を低減するため、筒状電極5a、5bの
開口径および板状電極7a、7bにより形成される各々
三個の電子ビーム通過孔6a、6bの孔径を寸法制約の
許す範囲で可能な限り広げる。ただし、電子ビーム通過
孔6a、6bは三本の電子ビーム2a、2b、2cに対
するレンズ強度がほぼ揃うように構成する。
【0063】次に主レンズ4でコマ収差が発生しない条
件を満たすように、軌道屈折手段11の極性および屈折
角を選ぶ。軌道屈折手段11には、例えばプリフォーカ
スレンズ31を構成する電極の両外側の電子ビーム通過
孔の中心軸を電子ビームの軌道軸に対して偏位させるな
どの周知の手段を用いることができる。この時点で静コ
ンバーゼンス条件が実現されるために必要な主レンズ4
のコンバーゼンス作用が定まる。以上より、主レンズ4
の非点収差およびコンバーゼンス作用の仕様が定まるの
で、これを満たすように板状電極7a、7bと筒状電極
5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、1
3bの傾斜角の組み合わせを選ぶ。
【0064】このようにして、三本の電子ビームのうち
外側二本の電子ビームの軌道を内向きもしくは外向きに
屈折せしめる軌道屈折手段11手段を主レンズ4の前段
に備えることにより、球面収差を低減すべく電極開口径
が可及的に広げられた主レンズ4であっても、主レンズ
4における非点収差とコンバーゼンス作用が互いに独立
して操作できるので、電子銃全段の非点収差の適正化と
コマ収差が軽微となる条件及び静コンバーゼンスの適正
化を満足させる低収差電子銃を提供できる。
【0065】実施の形態4.この発明の実施の形態4に
よるインライン型電子銃について説明する。図4は本発
明の実施の形態4であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図4において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、3は非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ、11は三本の電子ビーム2a、
2b、2cのうち外側二本の電子ビーム2a、2cの軌
道を外向きもしくは内向きに屈折せしめる軌道屈折手段
である。非点収差を付与したプリフォーカスレンズ3は
単段構成もしくは多段構成のいずれであっても良い。
【0066】図4において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ3、軌道屈折手段11を経て主レ
ンズ4に入射する。主レンズ4は略長円状断面を有する
二個の筒状電極5a、5bと、筒状電極5a、5bの内
部に電子ビーム通過孔6a、6bを形成するための板状
電極7a、7bから構成されていて、二個の筒状電極5
a、5bは開口部を相対向して、間隙を有して配置され
ている。また二個の筒状電極5a、5bの相対向した長
軸方向開口端部を、その中心部より長軸方向端部側の方
が管軸方向に傾斜する傾斜面13a、13bを設けてい
る。
【0067】上記のように構成されたインライン型電子
銃において、主レンズ4における非点収差とコンバーゼ
ンス作用を独立に操作する方法について説明する。図4
のように、低圧側筒状電極5aの開口端部にはスクリー
ン面10側に向かって凹形になるような傾斜面13aを
設け、高圧側筒状電極5bの開口端部には陰極1側に向
かって凸形になるような傾斜面13bを設けた主レンズ
4において、それぞれの傾斜面13a、13bの傾斜角
を変えたとき、主レンズ4の非点収差とコンバーゼンス
作用の変化の様子を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】発明の実施の形態1で記載した通り、低圧
側板状電極7aを高圧側筒状電極5b側に対向した低圧
側筒状電極5aの開口端面から遠ざけて配置するほどコ
ンバーゼンス作用は強められる。また水平方向のレンズ
強度が垂直方向レンズ強度よりも相対的に弱められる。
【0070】また、高圧側板状電極7bを低圧側筒状電
極5a側に対向した高圧筒状電極5bの開口端面に近づ
けて配置しても同様である。
【0071】一方、低圧側筒状電極5aの開口端部に設
けた凹形傾斜面13aの傾斜角を大きくする場合、ある
いは高圧側筒状電極5bの開口端部に設けた凸形傾斜面
13bの傾斜角を大きくする場合、ともにコンバーゼン
ス作用は強められるが、非点収差については水平方向の
レンズ強度が垂直方向のレンズ強度よりも相対的に強め
られ、板状電極7a、7bの位置を変えてコンバーゼン
ス作用を強めた場合と比較すると、非点収差の変化が逆
転する。
【0072】以上より、板状電極7a、7bと筒状電極
5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、1
3bの傾斜角の組み合わせを適切に選べば、主レンズ4
の非点収差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を変
化させることができ、反対にコンバーゼンス作用を一定
に保ったまま非点収差を変化させることもできる。
【0073】上記のように主レンズ4における非点収差
とコンバーゼンス作用を独立に操作しても、電子ビーム
径がレンズ倍率と球面収差との均衡、コマ収差の問題か
ら低収差電子銃が得られない場合、図4に基づいて非点
収差を付与したプリフォーカスレンズ3及び三本の電子
ビームのうち外側二本の電子ビームの軌道を内向きもし
くは外向きに屈折せしめる軌道屈折手段11手段の設計
手順を説明する。まず主レンズ4の球面収差係数を低減
するため、筒状電極5a、5bの開口径および板状電極
7a、7bにより形成される各々三個の電子ビーム通過
孔6a、6bの孔径を寸法制約の許す範囲で可能な限り
広げる。ただし、電子ビーム通過孔6a、6bは三本の
電子ビーム2a、2b、2cに対するレンズ強度がほぼ
揃うように構成する。
【0074】次に、水平方向および垂直方向の主レンズ
4内の電子ビーム径がレンズ倍率と球面収差との均衡か
ら定まる最適値にそれぞれ合致するようにプリフォーカ
スレンズ3の水平方向および垂直方向の強度を選ぶ。
【0075】具体的には、例えばプリフォーカスレンズ
3を形成する電子ビーム通過孔の形状を長方形にするな
どの周知の手段を用いることができる。この時点でプリ
フォーカスレンズ3に付与される非点収差が定まるの
で、電子銃全段の非点収差を適正にするために主レンズ
4が満たすべき非点収差条件も定まる。
【0076】次に、主レンズ4でコマ収差が発生しない
条件を満たすように、軌道屈折手段11の極性および屈
折角を選ぶ。軌道屈折手段11には、例えばプリフォー
カスレンズ3を構成する電極の両外側の電子ビーム通過
孔の中心軸を電子ビームの軌道軸に対して偏位させるな
どの周知の手段を用いることができる。この時点で静コ
ンバーゼンス条件が実現されるために必要な主レンズ4
のコンバーゼンス作用が定まる。以上より、主レンズ4
の非点収差およびコンバーゼンス作用の仕様が定まるの
で、これを満たすように板状電極7a、7bと筒状電極
5a、5bの開口端面との距離および傾斜面13a、1
3bの傾斜角の組み合わせを選ぶ。
【0077】このようにして、非点収差を付与したプリ
フォーカスレンズ3を主レンズ4の前段に備え、さらに
三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビームの軌道を
内向きもしくは外向きに屈折せしめる軌道屈折手段11
手段を主レンズ4の前段に備えることにより、球面収差
を低減すべく電極開口径が可及的に広げられた主レンズ
4であっても、主レンズ4における非点収差とコンバー
ゼンス作用が互いに独立して操作できるので、レンズ倍
率と球面収差との均衡、コマ収差の低減ができ、電子銃
全段の非点収差の適正化と主レンズ4内ビーム径の適正
化、静コンバーゼンスの適正化を満足させる低収差電子
銃を提供できる。
【0078】実施の形態5.この発明の実施の形態5に
よるインライン型電子銃について説明する。図5は本発
明の実施の形態5であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図5において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、3は非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ、11は三本の電子ビーム2a、
2b、2cのうち外側二本の電子ビーム2a、2cの軌
道を外向きもしくは内向きに屈折せしめる軌道屈折手段
である。図5においては、実施の形態4の図4で示した
状態から、傾斜面13a、13bの凹凸形状を入れ替え
た状態である。すなわち、低圧側筒状電極5aの開口端
部にスクリーン面10側に凸形傾斜面13aを設け、高
圧側筒状電極5bの開口端部には陰極1側に凹形傾斜面
13bを設けたものである。
【0079】上記のように構成された、インライン型電
子銃では、傾斜面13a、13bの傾斜角を大きくする
ほど主レンズ4のコンバーゼンス作用は弱められ、また
水平方向のレンズ強度が垂直方向のレンズ強度よりも相
対的に弱められる。これは、板状電極7の位置を変えた
場合と比較すると、コンバーゼンス作用の変化に対する
非点収差の変化はやはり逆になる。それぞれの傾斜面1
3a、13bの傾斜角を変えたとき、及び板状電極7
a、7bを移動させた時の主レンズ4の非点収差とコン
バーゼンス作用の変化の様子を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】例えば、図5において、主レンズ4の非点
収差を一定に保ったままコンバーゼンス作用を弱めよう
とするならば、低圧側板状電極7aを高圧側筒状電極5
bに対向した低圧側筒状電極5aの開口端面により近づ
けて配置し、かつ、それによって生じた非点収差の変化
を打ち消すべく低圧側筒状電極5aの凸形傾斜面13a
の傾斜角を大きくすれば良い。
【0082】このとき、低圧側板状電極7aの位置を低
圧側筒状電極5aの開口端面に近づける代わりに、高圧
側板状電極7bの位置を低圧側筒状電極5aに対向した
高圧側筒状電極5bの開口端面から遠ざけても良い。
【0083】また、低圧側筒状電極5aの凸形傾斜面1
3aの傾斜角を大きくする代わりに、高圧側筒状電極5
bの凹形傾斜面13bの傾斜角を大きくしても良い。
【0084】このようにして、非点収差を付与したプリ
フォーカスレンズ3を主レンズ4の前段に備え、さらに
三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビームの軌道を
内向きもしくは外向きに屈折せしめる軌道屈折手段11
手段を主レンズ4の前段に備えることにより、球面収差
を低減すべく電極開口径が可及的に広げられた主レンズ
4であっても、主レンズ4における非点収差とコンバー
ゼンス作用が互いに独立して操作できるので、レンズ倍
率と球面収差との均衡、コマ収差の低減ができ、電子銃
全段の非点収差の適正化と主レンズ4内ビーム径の適正
化、静コンバーゼンスの適正化を満足させる低収差電子
銃を提供できる。
【0085】実施の形態6.この発明の実施の形態6に
よるインライン型電子銃について説明する。図6は本発
明の実施の形態6であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図6において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、3は非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ、11は三本の電子ビーム2a、
2b、2cのうち外側二本の電子ビーム2a、2cの軌
道を外向きもしくは内向きに屈折せしめる軌道屈折手段
である。4は略長円状断面を有する二個の筒状電極5
a、5bと、筒状電極5a、5bの内部に電子ビーム通
過孔6a、6bを形成するための板状電極7a、7bを
有する主レンズである。
【0086】図6において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ3、軌道屈折手段11を経て主レ
ンズ4に入射する。主レンズ4は略長円状断面を有する
二個の筒状電極5a、5bと、筒状電極5a、5bの内
部に電子ビーム通過孔6a、6bを形成するための板状
電極7a、7bから構成されており、二個の筒状電極5
a、5bは開口部を相対向して、間隙を有して配置され
ている。また二個の筒状電極5a、5bの相対向した長
軸方向開口端部に、その中心部より長軸方向端部側の方
が管軸方向に傾斜する傾斜面13a、13bを筒状電極
5a、5bの何れか一方の開口端部に設けている。
【0087】上記のように構成されたインライン型電子
銃でも、前記実施の形態1〜5の説明から明らかなよう
に、主レンズ4を構成する二つの筒状電極5a、5bの
うち少なくとも一方の筒状電極5a、5bの長軸方向開
口端部に、その中心部より長軸方向端部側の方が管軸方
向へ傾斜する傾斜面を設けることにより、球面収差を低
減すべく電極開口径が可及的に広げられた主レンズ4で
あっても、主レンズ4における非点収差とコンバーゼン
ス作用とを互いに独立に操作することができ、さらにコ
マ収差、非点収差およびレンズ倍率という画像の鮮鋭度
に係わる諸元は相互に矛盾なく適正化される。
【0088】なお、図1〜図5においては、傾斜面13
a、13bは二つの筒状電極5a、5bの双方の開口端
部に設け、図6においては一方の筒状電極5a、5bの
開口端部に設けた例を示した。一般に、ほぼ同等の集束
特性を実現しようとすれば、二カ所に傾斜面13a、1
3bを設ける方が一カ所に傾斜面を設けるよりも傾斜角
を小さくすることができるので、部品製造における傾斜
面13a、13bを形成するプレス加工の難易度の比較
では前者の方が容易である。一方、プレス加工の工程数
について比較すると、傾斜面13a、13bが一カ所で
ある後者の方が工程数が少なくて済むため有利である。
傾斜面13a、13bを一カ所に設けるか、あるいは二
カ所に設けるかは上記要因を勘案して選択される。
【0089】実施の形態7.この発明の実施の形態7に
よるインライン型電子銃について説明する。図7は本発
明の実施の形態7であるインライン型電子銃の概略構成
を示す横断面図である。図7において、1は水平面上に
一列に配置された三個の陰極、2a、2b、2cは陰極
1から発生された電子ビーム、3は非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ、11は三本の電子ビーム2a、
2b、2cのうち外側二本の電子ビーム2a、2cの軌
道を外向きもしくは内向きに屈折せしめる軌道屈折手段
である。4は略長円状断面を有する二個の筒状電極5
a、5bと、筒状電極5a、5bの内部に電子ビーム通
過孔6a、6bを形成するための板状電極7a、7bを
有する主レンズである。
【0090】図7において、陰極1から放出された三本
の電子ビーム2a、2b、2cは、非点収差を付与した
プリフォーカスレンズ3、軌道屈折手段11を経て主レ
ンズ4に入射する。主レンズ4は略長円状断面を有する
二個の筒状電極5a、5bと、筒状電極5a、5bの内
部に電子ビーム通過孔6a、6bを形成するための板状
電極7a、7bから構成されており、二個の筒状電極5
a、5bは開口部を相対向して、間隙を有して配置され
ている。また二個の筒状電極5a、5bの相対向した長
軸方向開口端部を、その中心部より長軸方向端部側の方
が管軸方向に傾斜する傾斜面13a、13が互いに平行
となるように形成されている。
【0091】二個の筒状電極5a、5bの相対する開口
端部に傾斜面13a、13bを設けるとき、二つの傾斜
面が互いに平行であるという条件を課したとしても、本
発明の所期の目的は達成できる。
【0092】上記のようにに構成された主レンズ4で
は、図示していないが、ガラスなどの支持体に各電極を
溶着固定する組立工程において、高圧側筒状電極5aと
低圧側筒状電極5bとの間隔を所定値に保つべく二つの
傾斜面13a、13bの間に挟む組立補助部材として、
楔状ではなく板厚の均一な平板状部材を用いることがで
きるので、組立誤差が生じにくい。
【0093】
【発明の効果】以上の如く、本発明によるインライン型
電子銃においては、主レンズを構成する筒状電極の相対
向する長軸方向開口端に、その中心部より長軸方向端部
側の方が管軸方向に所定の傾斜角で傾斜する傾斜面を
成すると共に、筒状電極内部に設けられる板状電極を上
記筒状電極の開口端面より所定距離、離して配設する
とにより、主レンズの電極開口径を可及的に広げて球面
収差を低減しつつ、コマ収差、非点収差およびレンズ倍
率の諸元も相互に矛盾なく適正化されるので、スクリー
ン面に形成される電子ビームの微細化が可能で、カラー
受像管において画像の鮮鋭度の向上がはかれるという優
れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるインライン型
電子銃の概略構成を示す横断面図である。
【図2】 この本発明の実施の形態2によるインライン
型電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図で
ある。
【図3】 この発明の実施の形態3によるインライン型
電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図であ
る。
【図4】 この発明の実施の形態4によるインライン型
電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図であ
る。
【図5】 この発明の実施の形態5によるインライン型
電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図であ
る。
【図6】 この発明の実施の形態6によるインライン型
電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図であ
る。
【図7】 この発明の実施の形態7によるインライン型
電子銃の他の選択的形態の概略構成を示す横断面図であ
る。
【図8】 従来技術によるインライン型電子銃の概略構
成を示す横断面図である。
【図9】 従来技術による軌道屈折手段を備えたインラ
イン型電子銃の概略構成を示す横断面図である。
【図10】 スクリーン面上の電子ビームスポット形状
に現れるコマ収差の特徴を説明するための図である。
【図11】 プリフォーカスレンズの非点収差の作用を
説明するための水平方向・垂直方向を併記した光線図で
ある。
【符号の説明】
1:陰極 2a、2b、2c:電子ビーム 3:非点収差を付与したプリフォーカスレンズ
4:主レンズ 5a、5b:筒状電極 6a、6b:電子ビー
ム通過孔 7a、7b:板状電極 11 軌道屈折手段 13a、13b:傾斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船倉 哲生 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−212243(JP,A) 特開 昭52−132670(JP,A) 特開 平4−149935(JP,A) 特開 昭52−111370(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/48 H01J 29/50 H01J 29/51 H01J 29/56

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長円状断面を有し、開口部を相対向さ
    せ、間隙を有して配置した二個の筒状電極と、各々の筒
    状電極内部に電子ビーム通過孔を形成した板状電極を有
    する主レンズから構成されるインライン型電子銃におい
    て、上記二個の筒状電極のうち少なくとも一方の筒状電
    極の開口部に、その中心部より長軸方向端部側の方が管
    軸方向へ所定の傾斜角で傾斜する傾斜面を形成すると共
    に、上記各板状電極を上記各筒状電極の開口端面より所
    定距離、離して配設したことを特徴とするインライン型
    電子銃。
  2. 【請求項2】 非点収差を付与したプリフォーカスレン
    ズと三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビームの軌
    道を屈折せしめる軌道屈折手段のうち、少なくとも一方
    を主レンズの前段に設けたことを特徴とする請求項1記
    載のインライン型電子銃。
  3. 【請求項3】 長円状断面を有し、開口部を相対向さ
    せ、間隙を有して配置した二個の筒状電極と、各々の筒
    状電極内部に電子ビーム通過孔を形成した板状電極を有
    する主レンズから構成されるインライン型電子銃におい
    て、上記二個の筒状電極の両開口部に、その中心部より
    長軸方向端部側の方が、管軸方向に所定の傾斜角で傾斜
    する傾斜面を形成し、該傾斜面互いに平行とすると共
    に、上記各板状電極を上記各筒状電極の開口端面より所
    定距離、離して配設したことを特徴とするインライン型
    電子銃。
  4. 【請求項4】 非点収差を付与したプリフォーカスレン
    ズと三本の電子ビームのうち外側二本の電子ビームの軌
    道を屈折せしめる軌道屈折手段のうち、少なくとも一方
    を主レンズの前段に設けたことを特徴とする請求項3記
    載のインライン型電子銃。
JP21738195A 1995-08-25 1995-08-25 インライン型電子銃 Expired - Fee Related JP3360498B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21738195A JP3360498B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 インライン型電子銃

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21738195A JP3360498B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 インライン型電子銃

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0963501A JPH0963501A (ja) 1997-03-07
JP3360498B2 true JP3360498B2 (ja) 2002-12-24

Family

ID=16703289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21738195A Expired - Fee Related JP3360498B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 インライン型電子銃

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3360498B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0963501A (ja) 1997-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3053845B2 (ja) 陰極線管
US4599534A (en) Electron gun for color picture tube
KR0173722B1 (ko) 컬러음극선관
US4851741A (en) Electron gun for color picture tube
JPH0429178B2 (ja)
JPS6329376B2 (ja)
JP3360498B2 (ja) インライン型電子銃
US6144150A (en) Color picture tube apparatus
KR0147541B1 (ko) 음극선관용 다단집속형 전자총
US5039906A (en) Electron gun for color cathode ray tube
KR900003904B1 (ko) 컬러수상관용 전자총
JP2003500794A (ja) カラー陰極線管用インライン型電子銃(Electrongunforcolorcathoderaytube)
US6013976A (en) In-line SB electron gun with large and deep main lens apertures
KR100719526B1 (ko) 칼라 음극선관용 전자총
EP1333463A2 (en) Electron gun and color picture tube apparatus that attain a high degree of resolution over the entire screen
JP3926953B2 (ja) カラー受像管
JP2690913B2 (ja) カラー受像管
KR100201158B1 (ko) 브라운관 전차총의 전극
KR100719533B1 (ko) 칼라 음극선관용 전자총
JPH0410693B2 (ja)
US6815881B2 (en) Color CRT electron gun with progressively reduced electron beam passing aperture size
KR910004063Y1 (ko) 다단집속형 칼라음극선관용 전자총
JPH01187744A (ja) カラー受像管
KR100356602B1 (ko) 인라인형 컬러수상관
US5763991A (en) Electron gun for a color picture tube

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees