JP3356083B2 - 非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法 - Google Patents
非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法Info
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Description
体を貫通する水路の敷設および既設管路の更新方法に係
る。
ためや、逆に河川へ使用した水を排出するために水路を
設ける必要の生じる機会はよく発生するが、この場合に
は当然河川や溜池の堤防を横断する水路を新たに掘削し
なければならないので、堤体の上から開削工事を施して
所望の水路を形成するのが一般の方法である。また、用
水量,排水量が大きく増え、既設の水路ではこの要求に
応じ切れないことも多発しているが、管路の更新につい
ても同様な事情におかれている。
いては堤防の上はそれ自体を車両の往来する道路として
活用する事が普通であって、一時的にせよ、前記の開削
工事のために交通を遮断して迂回を強いることは、現在
の道路事情からはまことに忍びがたい状況に置かれてい
ると言える。また、この交通の切り回しのためや、一時
切り取られる堤体の代わりに仮設する堤防の設置や撤去
には多額の費用を必要とするので、この解決が強く求め
られている。堤体を切除せずに水路を新たに設けたり、
更新するためには、地中へ通水用の管路を開削せずに付
設する推進工法を適用することが最も望ましい。しかし
ながら、この推進工法においては管を発進の竪坑から油
圧ジャッキ等で地中へ押し込むものであるから、管の外
周面と回りの土砂との間には隙間が生じる可能性が高
く、堤防内の水がこの隙間を伝って堤防外へ漏洩する虞
れが残る。従ってこの懸念を払拭する技術的な解決手段
が伴なわない限り、通常の地盤内を敷設するようにその
まま推進工法を適用することは許されるものではないと
考えられる。
成する上で、とくに一般の敷設工事と異なる条件が加え
られることに留意しなければならない。堤防の一方に位
置する河川や溜池の水位が上昇して洪水状態となるにつ
れて、当然、反対側の地下水位との差が大きくなるか
ら、水圧が高まって浸潤作用が起こり、管路に沿った土
砂の中で粒子の流動が始まって高い水位からの水の浸透
が生ずる原因を作り出す懸念が否定できない。この懸念
を除くために矢板を打込んで内外の連通を断ち切る方式
も取られるが、最も有効な構成として管路を横断する遮
水壁を堤体内に埋設する方式が開発され、現在では堤体
を貫通する管路を敷設する設計条件として一般に認識さ
れ、かつ、必要な仕様として規格化される態勢にある。
たとえば、管路を横切る遮水壁としては高さと幅がそれ
ぞれ1mを最低とする内部基準を課している敷設工事が
主流を占めると推定される。
敷設するには、このように難しい2つの条件を同時に満
足しなければ万全とはいえない。たとえば特開平8−2
32231〜特開平8−232233号公報に係る従来
技術では、図13(A)のように河川、溜池などに設け
た堤体101を貫通して管体105を継合して管路を形
成する場合、あらかじめ堤体101の天端111から縦
孔112を開削し、貫通孔113を具えたコンクリート
製の遮水壁103を埋設し、図13(B)のようにこの
貫通孔113を通り抜ける管路を推進工法によって敷設
するが、とくに貫通後に管路が縦孔112に一致する位
置にあらかじめ管体105同士の間に中間部環体160
を介装しておいて管体105を次々と押込み、管路形成
後にこの中間部環体160を内部から取り外して貫通孔
112と管体105の外周面間に形成された間隙Cへ止
水用の充填剤を内部から充填する方式を採っている。
リートを打設して遮水壁を形成していた手順を逆転し、
遮水壁を堤体内に埋設してから管路を遮水壁の貫通孔を
通り抜けて形成した後、管体内から管外周面と遮水壁の
間隙を充填して止水する手順に改めたから、コンクリー
ト用の型枠を設けるスペースが不要となり、遮水壁埋設
時に堤体を堀り開く範囲が狭くできると謳っている。
形成については堤体を開削することなく敷設できるが、
堤体を貫通するという特殊な条件を満たすために遮水壁
の設置が新たに加えられ、遮水壁をあらかじめ埋設する
ことによって堤体の開削を従来よりは軽減できることを
要旨としている。しかし事前の遮水壁を埋設するために
要する工期や交通障害の虞れは軽減されたとしても依然
残っており、また、形成した管路の中から中間部環体1
60を分解して撤去するという煩瑣な作業も伴うから、
必ずしも生産性が高いとは予想できず、従来技術の抱え
る課題が解決したとは評価できないのでないか。
815号公報においては、とくに高能率な推進工法によ
って堤体を非開削で貫通した管路を敷設し、さらに新し
い要件である遮水壁の形成も完全に非開削で形成する構
成と手順を示した。その要旨は図14(A)〜(D)に
示すように、堤体201の少なくとも一方に掘削した竪
坑204から、推進管205を次々と水平に押込む推進
工法で堤体を貫通する管路を形成するが、形成後にほぼ
堤体の中央に位置する予定の管と管の間へあらかじめ竪
坑内で分割リング260を介装しておき、管路形成後に
この分割リング260を分解して取り外し、形成された
環状の開口部から全外周へ向けて硬化促進剤を含むセメ
ントスラリーSを噴射して外周付近の土砂Gと置換して
緻密な置換層、または含浸層Hを形成し、さらに未硬化
状態のうちに止水板203を突設した後、分解リング2
60を接続して環状に復帰させ、水封的に嵌合し直す手
順を示した。この手順によって従来、堤体を一時開削す
るため交通遮断していた難題が解決し、前後の付帯工事
も大幅に軽減されて工費と工期とを大幅に節減できたと
謳っている。
がなくなり交通障害の虞れが皆無となったのは事実であ
るが、なお、実施に当っては不確定な要素が新たに生じ
るため必ずしも課題が無条件に解消して了ったわけでは
ない。近年の堤体貫通の管路敷設に当っては、遮水壁を
設定することが正規の要件として求められるようにな
り、しかもその必要寸法は、たとえば建設省河川砂防技
術基準として「幅1m以上、高さ1m以上」という寸法
が検討される段階に入っているが、この従来技術で管内
からこの必要サイズを具えた遮水壁を突設することは、
管径や周辺の土質にもよるが必ずしも容易でなく、実施
の上で一つの制約となる確率が高い。
周の地盤へ向けて高圧噴射して土砂とセメントスラリー
とを置換することも管路周辺の地盤を攪乱して流動化、
弱体化し、かえって悪影響をもたらす懸念も指摘されて
いる。さらにこの手順で形成した遮水壁の止水効果につ
いては、実際にはフィールドテストで確認しない限り必
ずしも信頼性が高いとはいえないし、仮にある工事で確
認したとしても土質や地盤が異なる他の工事に当てはめ
ることは合理性を欠き、止水効果の信頼性には疑問の余
地があることが否定できない。
の貫通管路について必ずしも万全であると保証できない
ことがある。一般に能率的な推進作用を進めるために
は、竪坑から地盤中へ押し込まれる先頭管の先端へ管径
よりも若干大径の掘削マシンを取り付けて掘進する方式
が慣用化されているから、推進管の外周面と掘削マシン
が掘削した推進孔との間にこの外径差に基づく間隙が生
じることは避け難い。推進工法によって貫通した管路に
は全長に亘ってこの間隙が連通しており、従来技術では
この間隙を単に裏込めグラウトによって充填するだけに
留め、特別な措置を講じているわけではない。
路の全長が大きい場合などでは、間隙も必然的に長くな
り充填すべきグラウト材の範囲も長大とならざるを得な
い。このような場合、施工範囲の中途に地山の緩みや亀
裂、断層、軟弱地盤などが含まれれば、圧入するグラウ
トは当然抵抗の少ない方向を求めて逸出したり漏出し、
緻密で堅固な充填層を形成することが難しくなる。とく
に堤体を構成する地盤を直接、機械的な掘進を行なえ
ば、不規則で凹凸の激しい起伏が表面に生じることは避
け難く、このうち、土質の軟弱な部分にグラウト材の含
浸が集中して流れ去る危惧は多分にある。したがって遮
水壁によって堤体特有の水圧に対抗する耐性を強化でき
たとしても、長い管路全体からみれば、なお、懸念の拭
い切れない箇所が潜在することは否定できない。
してはシールド工法が多用されるが、急曲線部では余堀
りを大きく取らざるを得ないから、シールド機の進行に
追随して組み立てトンネル内面を形成するセグメントリ
ング(分割リング)が地山に固定されず、ジャッキ推力
を受けることができないで敷設が困難となる場合が多
い。このためにセグメントリング自体に余堀り部を充填
するために注入材で膨張する袋体を取付けてジャッキ推
力の反力を受け止める裏材料を注入する従来技術も採用
されている。また、このセグメント本体に余堀りを突っ
張る支柱を着脱できる構成に改良した特開平2−298
39号公報などもある。しかし、これらの急曲線トンネ
ル施工は、シールド工法の一環として掘削の直後に個々
に組み立てて追随していくセグメントが対象であり、竪
坑から連続的にダクタイル鋳鉄管を継ぎ足して押し込ん
でいく本発明の推進工法とは基本的に性格が異なり、到
底そのまま転用できる構成ではないから、本発明の場合
は飽くまで独自の要件を組合わせて堤体を貫通する管路
の水封機能に万全を期さなければならない。
上」を含め、あらゆる寸法を自由に設定できること。 地盤の如何にかかわらず遮水壁自体の止水機能が完全
に信頼性を具えていること。 管路形成後の管周辺の堤体地盤に何の悪影響も残さな
いこと。 工程が機械化され作業員の手仕事が極限された安全で
能率的な施工条件であること。 管路の全長に及ぶ止水機能を必要とする場合でも、効
果的に対応して漏水などの危惧を完全に払拭できる高水
準の強化策も併用できること。をすべて充足する非開削
で堤体を貫通する管路の敷設方法の堤供を目的とする。
体を貫通する管路の敷設方法は、河川、溜池などの堤体
を貫通する管路を敷設するため、堤体1の天端11から
堤体1を貫通する予定の管路を横断する方向へ垂直に高
圧噴射装置2を作動して掘進し、その先端に具えた噴射
ノズル21から硬化促進剤を配合したセメントスラリー
Sを噴射して地盤を切削し混合撹拌しつつセメントスラ
リーに置換して縦向き円柱体を形成し、さらに噴射ノズ
ル21を堤体の長さ方向へ移動しては噴射を繰り返して
固結し、所望の高さと幅を具えた予定管路を遮断する連
続した円柱群を繋いで形成する遮水壁本体3を造成した
後、堤体1の少なくとも一方に掘削した竪坑4から管径
よりやや大径の掘削マシン7を先頭に取り付けた推進管
5Aを水平に堤体内へ押込み、続いてつぎの推進管5B
……を継ぎ足しては押込む手順を繰り返して推進を続
け、掘削マシン7が衝き当った遮水壁本体3には管径よ
りやや大径の貫通孔31を穿って通り抜けて前進し堤体
1を貫通する管路を形成する方法であって、特に、前記
竪坑4内における継ぎ足しが前記遮水壁本体3と交差す
る予定の推進管5Xに達すると、外周面の外装コンクリ
ート64を環状に切り欠いた凹溝65内へ合成樹脂繊維
を織成して空気,水は透過するがグラウト材は透過しな
い織布よりなる複数の環状遮水袋61を膨出自在に折り
畳んで収容し、その外周面を一端が前記凹溝に固定し他
端が着脱自在に遊嵌した弾性保護カバー8によって被覆
し、かつ、複数の該環状遮水袋61同士の中間にグラウ
ト注入口62を開口した遮水推進管6を接続し、さらに
続けて通常の推進管5Yを継ぎ足して推進を続け、推進
中は弾性保護カバー8によって周辺土砂が環状遮水袋6
1まで侵入することを阻止した状態で堤体1を貫通する
管路を形成した後、前記遮水壁本体3の貫通孔31内に
ある推進管6に収容された環状遮水袋61内へあらかじ
め管内へ配置されたグラウト供給チューブを通じて管外
からグラウト材Gを圧入して被覆していた弾性保護カバ
ー8の一端の遊嵌を外して持ち上げ膨出して環状の間隙
Cを閉塞した密閉空間とし、該空間内へグラウト注入口
62からグラウト材Gを圧入して間隙Cを全周に亘って
充填することを特徴とする。
法では、推進管の敷設に先んじてまず、堤体の天端から
予定する管路と直交する方向、すなわち堤体の長さ方向
にいくつかの円柱体を連続した遮水壁本体を造成するか
ら、造成に要する高圧噴射装置は任意の場所へ仮置き
し、実際に堤体上で作業するのは先端の噴射ノズルをボ
ーリングのように捩じ込むだけに過ぎない。堤体を部分
的にしろ開削する従来技術に比べて交通渋滞の虞れはほ
とんど回避されるし、万一、その虞れが残るときには、
別の実施形態(図2)のように堤体天端の一隅から斜め
下方に噴射ノズル21を指向して遮水壁本体3Aを造成
すれば万全である。
して土砂と置換して固結した円柱体、およびその連続体
である遮水壁本体は、堤体天端からの造成であるから、
幅や高さの制限は一切あり得ず、いかなる仕様にも対応
できる汎用性を具えたものである。
なく、敷設前に噴射ノズルの先端を自由に移動して自由
に土砂との置換を行なうものであるから、土砂の物性に
対応して噴射条件を自由に調整し、必要かつ十分な止水
性を保証した遮水壁を造成できる。
成される。先頭管の前端には掘削マシンを取り付けて管
径よりもやや大径(たとえば10mm大径)のトンネル
を掘削し、推進管はその後を外周面を周辺土砂と擦過し
合うことなく追随する。この工法で最大の問題は、管路
が遮水壁本体を潜り抜ける場所の止水であり、当然、推
進管外周面と遮水壁本体を穿孔した貫通孔内面との間に
間隙Cが生じることは避けられないから、この間隙を如
何に水封するかに焦点が絞られる。
あらかじめ分解可能なリングなどを挾着しておき、一
旦、リングを分解して取り外しその開口部からグラウト
を噴出して間隙を充填し水封しようとしているが、いう
までもなくこの間隙Cは推進管と同様に堤体を貫通して
連続しているから、注入するグラウトは際限なく間隙を
伝って流れ出し、まさに孔の空いたバケツで水を汲むよ
うに確実な水封効果は到底期待できない。
に介装し、その弾性中空リングを膨張させてまず対象と
なる遮水壁本体の壁厚部分に形成される環状の間隙Cを
密封した後、この密閉空間へグラウトを押込んで充填す
るから、前記従来技術の課題は完全に解決し、確実に遮
水壁の目的である止水作用が100%働いて課題を解決
する。
貫通する管路を形成したとき、地盤の強弱のバラツキに
よる緩みや亀裂、不等沈下など遮水壁本体以外の推進管
と掘削した推進孔との間隙を充填するときには、危惧の
残る箇所が推定されることも指摘されている。また、遮
水壁本体3に掘削マシーンで穿孔した貫通孔31は硬質
のコンクリート層を削り取った滑らかな内面からなるの
で間隙Cの孔面もほぼ一定であるが、直接、地山を穿孔
した推進孔と推進管外周面との間隙Hは凹凸が激しく寸
法が大きく変動する可能性が高い。この状態に対応する
ためには、遮水壁と交差する遮水推進管6のみならず、
すべてを含む任意の遮水推進管50A,50B,50C
……に少なくともそれぞれ1個の環状遮水袋51と弾性
保護カバー53を取り付け、かつ、管路形成の後に該環
状遮水袋51同士のほぼ中間に相当する遮水推進管に設
けたグラウト注入口52を開口して遮水壁3以外の管路
のほぼ全長に及ぶ前記間隙Hについても遮水袋51で区
切った範囲毎にグラウトをそれぞれ注入して堅固な充填
層で個別に閉塞する最高の強化策を併用すれば完璧であ
る。
る敷設方法の手順を概略示した縦断正面図である。堤体
1の少なくとも一方(図では両方)に竪坑4を掘削し発
進坑とし、他方は到達坑とする。 (A)高圧噴射装置(ここでは全体を図示せず)の噴射
ノズル21によって堤体1の天端11のうち、交通への
影響など考えて施工条件が許容できる位置であり、かつ
遮水壁が必要となる位置に垂直下向きにセメントスラリ
ーSを噴射して円柱体を連続した固結体である遮水壁本
体3を造成し、所要の高さまで施工する。また、堤体の
天端が道路として使用されているため使用できない場合
には、別の形態として図2のように斜め下向きに遮水壁
本体3Aを造成することもできる。 (B)この方法によって遮水壁本体3を造成した後、養
生して固結する。 (C)竪坑4から堤体1へ向けて先頭に掘削マシン7を
取付けた推進管5Aを圧入し、圧入が終われば続けて推
進管5Bを継ぎ足して順次水平に進んでいくが、所定の
推進が完了後、遮水壁本体3の壁厚方向の両端に該当す
る位置に当る推進管5Xの後に遮水推進管6を介装す
る。 (D)遮水推進管6の後に通常の推進管5Yを接続して
さらに推進を続け、所定の推進工が完了した状態であ
る。この時点におけるA−A断面を図3に示す。 (E)遮水推進管6の外周面64と遮水壁本体3の貫通
孔31との間隙Cを少なくとも2箇所以上の位置で塞ぐ
目的で、所定の位置に達した遮水推進管6に折り畳んで
収容したエンドレスの袋体である環状遮水袋61へ、あ
らかじめ管内に配設したグラウト供給用のチューブを通
じてグラウト材Gを圧入して膨出させて充填して外周面
から膨出させる。その後、遮水推進管6にあらかじめ設
けたグラウト注入口62(複数の環状遮水袋61同士の
中間に配置する。)から遮水推進管6と遮水壁本体3の
間隙Cをグラウトを行ない完全に充填する。遮水推進管
6と遮水壁本体3の間隙Cの少なくとも2箇所以上の複
数の位置に亘って環状遮水袋61で塞ぐことにより、間
隙Cは相互の連通を遮断された密閉空間となり注入した
グラウトは空間外へ流出することなく分断された範囲内
に閉じ込められ完全に充填される。この環状遮水袋によ
る閉塞作用は本発明の止水作用の大きな特徴といえる。
形態を構成する部材や機器などをさらに補足する。まず
一般的に高圧噴射装置2としては図4に具体例を掲げて
いるが、地上部分は水タンク23,グラウトミキサ2
4,超高圧ポンプ25,油圧ユニット26,コンプレッ
サ―28と、堤体の天端11上へ載置したボーリングマ
シン27によって構成する。ボーリングマシン27が作
動すると垂直に装置したロッド22を回転して堤体1内
を掘進し、所望の深さに達すると先端に具えた噴射ノズ
ル21からセメントスラリーSを高圧で噴射する。
よって貫通する管路が形成される。図5は推進工法の典
型的な形態を示した垂直断面図であって、発進用の竪坑
4の内部には支柱壁41、推進台42に保持されて油圧
ポンプ43、ジャッキ台44、押圧シリンダ―45が据
え付けられ、一方竪坑の上には管を搬入するための門型
クレ―ン46を載せている。推進管の先頭管の前端には
図示しないが管径よりも約10〜15mm大きい作動直
径を具えた回転羽根からなる掘削マシンを取り付け、竪
坑4から供給される原動力(電力、油圧、空気圧)によ
って回転し地盤および固結した遮水壁本体を掘削して作
動直径の穿孔を行ない、遮水壁本体に貫通孔31を穿っ
て推進管と遮水推進管が通り抜け堤体の他端に至る。推
進管5は竪坑内へ搬入され押圧シリンダ―によって水平
に地中へ圧入されるが、シリンダ―のストロ―クには限
度があるから、限度一杯伸びたストロ―クは一旦縮めて
管端との間にストラットを挟み込み、これを順次繰り返
して圧入距離を大きくしていく。
るダクタイル鋳鉄製の遮水推進管6の一部省略の縦断正
面図であり、図の左側に後続管として接合するのは一般
のダクタイル鋳鉄製の推進管5であり、継手附属品54
で管同士の水密機能を発揮している。推進管5も遮水推
進管6も推進工法時スムースに前進できるように、最大
直径(受口フランジ)全体が均等な直径となるように外
装コンクリート55および64を被覆している。遮水推
進管6が敷設後に遮水壁本体3の壁厚を分割した数箇所
の位置へ外装コンクリート64に環状で切り欠いた同数
の凹溝65を設け、ここへそれぞれ環状遮水袋61を嵌
入する。
される遮水推進管6は4個の環状遮水袋61を管長方向
にほぼ均等分割して配置し、各環状遮水袋61同士のほ
ぼ中間に外装コンクリート64を貫通したグラウト注入
口62を5箇所開口して、比較的細かく分断した短距離
の範囲の間隙Cをそれぞれ別個に区切って強力に充填す
る構成にしている。
するまで推進中の外周の土砂から環状遮水袋を保護する
弾性保護カバー8を主体に示した平面図であり、図8
(A)は図7におけるA−A断面図、図(B)は同B−
B断面図、図(C)は同C−C断面図をそれぞれ示す。
遮水推進管6の外面63を切り欠いて凹設した凹溝65
は両端を外装フランジ81A,81Bで区画され、一方
の外装フランジ81Aにエンドレスのゴムの帯体からな
る弾性保護カバー8の一端をビスで固定し、他方の外装
フランジ81Bに切り込んだ横溝82へ弾性保護カバー
8の他端を離脱自在に遊嵌している。弾性保護カバー8
は推進中は両外装フランジ間に跨がって内部の環状遮水
袋61と土砂との接触、侵入を阻止すると共に、所定の
位置で環状遮水袋61が膨出すれば横溝82内の遊嵌状
態が外れて斜めに持ち上げられ、図9で概念的に示すよ
うに間隙C側へ起立する。離脱を容易にするため、横溝
82へ遊嵌する弾性保護カバー8の端面を斜めに削いだ
り、図示しないが管軸方向へ切れ目を容れて屈曲性を高
めると有効である。
合成樹脂繊維を織成した織布を縫合してエンドレスの袋
体として図8(B)、(C)のように折り畳んで収容す
る。図10は環状遮水袋61の一形態を例示した正面図
であり、正八角形の環状体を形成し、内周側の4箇所に
遮水袋充填口66と接続している。この接続部で環状遮
水袋の底端部は図8(B)のように取付け板67によっ
て挟持され、開口した遮水袋充填口66の内面側には逆
止弁68、シールキャップ69を被冠して通常は閉止さ
れているが、所定の位置に至ればシールキャップ69を
取り外し、図示しないグラウト供給用のチューブと接続
する。
するために強化した実施形態であり、管路を形成する一
般推進部のすべて、または少なくとも任意の数箇所に遮
水推進管6と同様な環状遮水袋51と弾性保護カバー
(図示せず)をそれぞれ少なくとも1セットずつ設け、
各環状遮水袋51同士のほぼ中間にグラウト注入口52
を開口した遮水推進管50A、50B、50
C、、、、、で形成した態様である。それぞれ各環状遮
水袋51によって区切られた短い範囲に限定してグラウ
ト材Gを個別に注入し、逸出や漏洩のない堅牢なグラウ
ト層を形成して凹凸の激しい間隙Hも充填することによ
って完全な堤体貫通管路を敷設する特有のケースであ
る。図12はこの場合のグラウト材Gの注入による環状
遮水袋51が膨出して弾性保護カバー53を押し上げ、
間隙Hを閉塞した状態を示し、軟弱な地山を直接掘進し
て凹凸が激しく、不規則な変動の激しい間隙Hに対し、
この袋体が変動によく馴染んで膨出して圧着し、見事に
地形の変動を吸収する特性を示唆している。
通する管路の敷設方法では、管路自体の敷設も、堤体独
自の設計要件として求められる遮水壁の形成もすべて非
開削で行なわれるから、道路として使用することが通常
となった堤体天端をいささかも開削することなく、交通
渋滞の原因となる懸念がなくなるという最良の効果が顕
われる。
下限を満たすことはいうまでもなく、どのような仕様の
要求にも応え得るフレキシブルな工法であり、自由自在
の汎用性は他に代え難い利点でもある。前記の従来技術
(図13)のようにあらかじめ成形、養生した遮水壁を
埋設する手順ではないから、コンクリート型枠の準備も
不要であり、どのようなサイズの壁体でも自在に設定で
きる汎用性は他に代え難い利点でもある。また、別の従
来技術(図14)のように堤体の地盤の如何に左右され
ることがなく、確実な止水機能を保証する信頼性は一層
高まり、堤体地盤に何の悪影響も及ぼさずに機械化、自
動化された機器を駆使して安全で高い生産性の敷設作業
を実施できる効果は何れの従来技術を大きく凌駕するも
のである。
過しない織布の環状遮水袋の膨出によって強力に間隙C
を閉塞するから、膨出量の微妙な調整が容易であり、短
距離に分割した範囲毎に安定した信頼性の高い施工が可
能となる。また、請求項6で示すようにより高レベルの
耐水性を具えた管路全長に及ぶ強化も並行して施工で
き、推進孔の不規則な凹凸に順応した膨出変形によって
確実に間隙Hを閉塞するから、完全な漏水、逸水を阻止
した管路の形成は他の従来技術では到底替え難い優れた
効果を保証するものである。
工程順に示した縦断正面図である。
る。
る。
の平面図である。
面図(B),同C−C断面図(C)をそれぞれ示す。
る。
断正面図である。
ある。
拡大図(B)である。
手順を縦断正面図によって示す。
間に生じた間隙) H 間隙(遮水推進管外周面と堤体地山の推進孔との間
に生じた間隙) G グラウト材
Claims (3)
- 【請求項1】 河川、溜池などの堤体を貫通する管路を
敷設するため、堤体1の天端11から堤体1を貫通する
予定の管路を横断する方向へ垂直に高圧噴射装置2を作
動して掘進し、その先端に具えた噴射ノズル21から硬
化促進剤を配合したセメントスラリーSを噴射して地盤
を切削し混合撹拌しつつセメントスラリーに置換して縦
向き円柱体を形成し、さらに噴射ノズル21を堤体の長
さ方向へ移動しては噴射を繰り返して固結し、所望の高
さと幅を具えた予定管路を遮断する連続した円柱群を繋
いで形成する遮水壁本体3を造成した後、堤体1の少な
くとも一方に掘削した竪坑4から管径よりやや大径の掘
削マシン7を先頭に取り付けた推進管5Aを水平に堤体
内へ押込み、続いてつぎの推進管5B……を継ぎ足して
は押込む手順を繰り返して推進を続け、掘削マシン7が
衝き当った遮水壁本体3には管径よりやや大径の貫通孔
31を穿って通り抜けて前進し堤体1を貫通する管路を
形成する方法において、前記竪坑4内における継ぎ足し
が前記遮水壁本体3と交差する予定の推進管5Xに達す
ると、外周面の外装コンクリート64を環状に切り欠い
た凹溝65内へ合成樹脂繊維を織成して空気,水は透過
するがグラウト材は透過しない織布よりなる複数の環状
遮水袋61を膨出自在に折り畳んで収容し、その外周面
を一端が前記凹溝に固定し他端が着脱自在に遊嵌した弾
性保護カバー8によって被覆し、かつ、複数の該環状遮
水袋61同士の中間にグラウト注入口62を開口した遮
水推進管6を接続し、さらに続けて通常の推進管5Yを
継ぎ足して推進を続け、推進中は弾性保護カバー8によ
って周辺土砂が環状遮水袋61まで侵入することを阻止
した状態で堤体1を貫通する管路を形成した後、前記遮
水壁本体3の貫通孔31内にある推進管6に収容された
環状遮水袋61内へあらかじめ管内へ配置されたグラウ
ト供給チューブを通じて管外からグラウト材Gを圧入し
て被覆していた弾性保護カバー8の一端の遊嵌を外して
持ち上げ膨出して環状の間隙Cを閉塞した密閉空間と
し、該空間内へグラウト注入口62からグラウト材Gを
圧入して間隙Cを全周に亘って充填することを特徴とす
る非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法。 - 【請求項2】 請求項1において、遮水推進管6の外周
面を切り欠いた凹溝65の一方に環状の帯体よりなる弾
性保護カバー8の一端を係止し、他端を着脱自在に凹溝
65の他方に遊嵌して環状遮水袋61の外面を被覆して
推進中は周辺土砂の侵入を阻止し、所定の位置に達する
と環状遮水袋61が膨出して該弾性保護カバー8の他端
の遊嵌を外して自動的に押し上げ、管外面外の貫通孔3
1の内面まで膨出して間隙Cを閉塞することを特徴とす
る非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、遮水壁本体
3と交差する遮水推進管6のみならず、すべてを含む任
意の一般推進部もそれぞれ少なくとも1個の環状遮水袋
51と弾性保護カバー53を取り付け、かつ、管路形成
の後に該環状遮水袋51同士のほぼ中間に相当する推進
管に設けたグラウト注入口52を開口した遮水推進管5
0A,50B,,,で形成し、遮水壁本体3以外の管路
のほぼ全長に及ぶ前記遮水推進管50と掘進した推進管
孔との間隙Hについても遮水袋51で区切った範囲毎に
グラウト材Gをそれぞれ注入して堅固な充填層で個別に
閉塞することを特徴とする非開削で堤体を貫通する管路
を敷設する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32456598A JP3356083B2 (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32456598A JP3356083B2 (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000130079A JP2000130079A (ja) | 2000-05-09 |
JP3356083B2 true JP3356083B2 (ja) | 2002-12-09 |
Family
ID=18167239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32456598A Expired - Lifetime JP3356083B2 (ja) | 1998-10-28 | 1998-10-28 | 非開削で堤体を貫通する管路を敷設する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3356083B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100439606B1 (ko) * | 2002-03-11 | 2004-07-12 | 김기수 | 지하구조물용 지반 침하방지 및 방수벽 설치방법 |
KR101248728B1 (ko) | 2011-06-13 | 2013-03-28 | 강릉건설 주식회사 | 패널루프 설치장치와 설치방법 및 이를 이용한 터널 축조방법 |
-
1998
- 1998-10-28 JP JP32456598A patent/JP3356083B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2000130079A (ja) | 2000-05-09 |
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