JP3351002B2 - 分析用生体試料中の蛋白質分離除去方法 - Google Patents
分析用生体試料中の蛋白質分離除去方法Info
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Description
高速液体クロマトグラフィー等において目的成分を定量
する際に定量の妨害となる又はクロマトグラフィーのカ
ラム担体充填剤の劣化の原因となる蛋白質を予め分離除
去する方法に関する。
は、酸や溶媒による蛋白質沈澱分離法、被分析成分に抽
出分離法、塩析分離法が知られているが操作が繁雑であ
り、分析用試料の前処理を自動化する方法として適当で
ない。膜を用い除蛋白する方法としては、例えばポリサ
ッカライド系の限外濾過膜を用い血液から除蛋白をして
いる。しかし、この方法は遠心分離操作又は高圧下での
膜透過せねばならず常圧での処理は難しい。
ターズ社の「Sep−Pak」のようにシリカゲル系の
担体を用いる方法が知られている。この方法は、W.R
othの提唱によるものであるが、溶離液と共にプレカ
ラム中に移送された全血を担体中に保持した後、移送の
方向とは逆方向に溶離液を送り、全血中の被分析成分の
みを溶離液と共に担体から溶出させるプレカラムスイッ
チ法である。T.Arvidssonが提唱したプレカ
ラムベンディク法は、蛋白質が溶離液と共にプレカラム
中に移送された後、このカラム中で被分析成分と蛋白質
とが分離して蛋白質が先に担体を通過するので、三方コ
ックの切換により後より溶出した被分析成分のみを含む
溶出液を蛋白質の妨害なく分析し得る方法である。又、
H.Yoshidaは多孔性のシリカの表面を牛血清ア
ルブミンでコートすることにより、被検物質のみを吸着
し、蛋白質は吸着させずに先に溶出させることで除蛋白
を行っている。北野はホルムアルデヒド−ヒドロキシ樹
脂を用いリン酸緩衝液と共にアルブミン溶液を注入し、
該樹脂に蛋白質を共有結合により吸着させて蛋白を吸着
除去している(J.Appl.Biochem.,4,
1982)。
繁雑な操作と複雑な装置が必要で、分析用試料の前処理
として除蛋白を自動化する手段としては適当でない。し
かも、これらの方法は、いずれも、分析用生体試料を溶
離液に注加するか、又は処理前に希釈している。従っ
て、分析用生体試料中の被分析成分を一度カラムに吸着
したとしても、再溶出する際にその溶出液中の被分析成
分の濃度は相対的に低くなり、回収率の低下にも影響
し、微量分析には必ずしも適当とは言えなかった。
下において、分析用生体試料中より蛋白質を分離除去し
て被分析成分の分析時に妨害とならない成分のみを含む
試料液を得るのに、複雑な装置を用いず、繁雑な操作に
よらず、高圧力による分離も必要とせず、汎用型の分析
用試料の前処理システムに組み込みができ、かつ分析用
試料の前処理の自動化も可能なディスポーザルタイプの
カートリッジに充填しうる担体の開発が必要である。
鑑み鋭意検討した結果、特開平1−201015記載の
ヒドロキシアパタイトや、ポリアミノ酸等各種担体が有
効なことを見出し、このような知見に基いて本発明を完
成した。
が共存する分析用生体試料をそのままヒドロキシアパタ
イト担体に負荷した後、アセトニトリル溶離液を用いて
該生体試料を該担体中を移動させ、該分析生体試料中に
存在する保持用量の大きな蛋白質が溶出する以前に保持
容量の小さな被分析成分を溶出させて除蛋白されかつ被
分析成分を含む溶出液を得ることを特徴とする分析用生
体試料中の蛋白質の分離除去方法である。
析用試料量で目的成分を分析できるようになったことに
より、より容易に操作可能となった。
ることなく直接担体に負荷し、該担体に浸み込ませた
後、溶離液を該担体に注加し、保持容量の差を利用し被
分析成分を蛋白質より速く溶出させ、この溶出液を試料
としてこの中に含まれる被分析成分を分析することがで
きるということである。
容量が蛋白質についてよりも被分析成分についての方が
より小さな担体である。その具体例としては、ヒドロキ
シアパタイトやポリアミノ酸を挙げることができる。こ
れらの担体は、通常カートリッジ中に充填されて使用さ
れ、本発明方法に従って分析用生体試料を1回処理する
毎にカートリッジごと交換される。充填量は、担体の種
類によっても異なるが、通常0.1〜1gである。
の量は、被分析成分及び蛋白質の含有量により一概には
言えないが、少な過ぎると定量下限に達しないこともあ
り、逆に担体の量に比しあまり多過ぎると担体中に一時
保持することができない。通常の生体試料の分析におい
ては、担体量0.2gに対し分析用生体試料量は50〜
500μlが適当である。
析用試料中の蛋白質を完全に吸着するものでなくてもよ
く、分析用試料中に共存する被分析成分と蛋白質とをク
ロマトグラフィー的に相互に分離できれば良い。蛋白質
の保持容量が大きいために、保持容量の小さな被分析成
分より蛋白質の溶出時間が遅れることを利用するものだ
からである。
クロマトグラフィーに用いられている通常の溶離液を用
いることができる。そのような溶離液としては、水、食
塩水、アセトニトリル水溶液、リン酸緩衝液等がある。
しかし、担体との組合せで蛋白質の保持容量が被分析成
分の保持容量より小さくなる場合を避けなければならな
い。
には、担体の種類と量、生体試料の量、溶出速度、溶出
液量と溶出液中に含まれる蛋白質の量との関係、等を予
め調べておく必要がある。被分析成分と蛋白質との保持
容量との差により得られるべき溶出液の量は、液体クロ
マトグラフィーによる定量分析又は定性分析に必要とさ
れる量と同じであって、通常100〜300μlで充分
である。
を負荷するので、担体に一時的に保持された被分析成分
は単体内で拡散されにくく、担体の一部に局所的に高濃
度で存在している。従って、この状態の被分析成分を溶
離液で溶出する場合には、分析用生体試料を他の溶液で
希釈処理又はクロマトグラフィー等の溶離液に直接注加
した場合に比べて被分析成分は拡散することなく存在し
ているので、延いてはこの状態の被分析成分を溶離液で
溶出する場合、効率良く溶出でき、しかも溶出液中に存
在する被分析成分は、分析用生体試料を希釈処理した場
合に比べて高濃度であるため、この溶出液を用いて被分
析成分を定量分析する際には定量下限を下げることがで
きる。又、被分析成分の回収率も良く、微量分析が可能
となる。
かも被分析成分を含む溶出液を定量分析又は定性分析に
付するには特別の制限はない。例えば、この溶出液を小
型試験管に分取した後ピペッティング操作により分析機
器に注入することができる。また、この操作は手動でも
自動前処理装置、例えば「LC−ROBOコンポ」(味
の素(株)製)を用いて全自動化することも可能である
(特開平1−250071参照)。また、担体をカート
リッジに充填し、これを予め自動前処理装置にセットし
ておき、分析用生体試料をカートリッジに注入した後、
溶離液を注入し、被分析成分を溶離液と共に溶出し、予
め定められた溶出液量に達したら、自動的に該カートリ
ッジを装置よりはずすという一連の操作を自動的に行わ
しむることもできる(実開平1−95208参照)。
血漿中の蛋白質の分離除去) 人血漿100μl(γ−グロブリン2.006mg及び
アルブミン6.694mgを含有)をヒドロキシアパタ
イト((株)高研製)0.4gを充填したカートリッジ
(充填部分9mmφ×15mmL)上部に注入負荷し
た。
リッジに通過させ、溶出液をフラクション毎(各フラク
ション300μl)に採取し、その中に含まれるγ−グ
ロブリン(γ−GLB)、トランスフェリン及びアルブ
ミン(ALB)を高速液体クロマトグラフ(ガスクロ工
業(株)製「576型高速液体クロマトグラフ」および
同社製「UV検出器502型」)を用いて定量した。結
果を第1表に併記した。この結果から、分析に付すべ
き、溶離液の種類による除蛋白できる最適な溶出液量を
決めることができる。
血漿中の蛋白質の除去) 人血漿300μlを用いた他は実施例1と同様にして、
溶離液の種類と除蛋白効果との関係を検査した。結果を
第2表に示した。
製)0.4gを充填したカートリッジ(充填部分9mm
φ×15mmL)の上部に注入負荷した。このカートリ
ッジの上部より10%アセトニトリル水溶液3mlを通
液し、除蛋白された溶出液の初流液400μlを得た。
マトグラフ(「日立655A−12型高速液体クロマト
グラフ」及び「日立L−4000型UV検出器」により
カフェインを分析した。得られたクロマトグラムを図1
に示す。図中、1はカフェインのピークを示す。
析) テオフィリンを定量するために内部標準物質として7−
(2−ヒドロキシエチル)テオフィリンの2.5%水溶
液を用意した。この溶液100μlを実施例3の高速液
体クロマトグラフィーで分析し保持容量を予め求めた。
採取し、この血漿50μlおよび内部標準物質の2.5
%水溶液100μlを混合した混合液をヒドロキシアパ
タイト((株)高研製)0.4gを充填したカートリッ
ジ(充填部分9mmφ×15mmL)の上部に注入負荷
した。このカートリッジの上部より10%アセトニトリ
ル水溶液3mlを通液した。除蛋白された初流液400
μlを得た。この初流液20μlを用いて実施例3にお
けると同じ高速液体クロマトグラフィーにかけた。得ら
れたクロマトグラムを図2に示す。図中、1はテオフィ
リンの、そして2は内部標準物質のピークを示す。
量線法により定量したところ、該人血漿中のテオフィリ
ン量は25μg/mlであった。
析) 人血漿20μlをヒドロキシアパタイト((株)高研
製)0.4gを充填したカートリッジ(充填部分9mm
φ×15mmL)の上部に注入した。次に、0.25%
のシステイン含有の10mMリン酸緩衝液(pH6.
8)3mlを通液し、初流液800μlを得た。この溶
液20μlを高速液体クロマトグラフィー(「日立65
5A−12型高速液体クロマトグラフ」及び「電気科学
検出器Σ875型」(医理化(株)製)を使用)により
分析した。
中、1はアスコルビン酸のピークを示す。アスコルビン
酸の標準添加法により得られた分析値は7.79μg/
mlであった。
で、神経症における不安、緊張、抑鬱、脳腎臓疾患に伴
う筋痙攣などに適用され、日本薬局方およびアメリカ薬
局方にも収載されている医薬品である。治療において、
ジアゼパムの血中濃度の迅速簡便な分析法の確立はきわ
めて重要である。
(過塩素酸)で行われている。また、血液中のジアゼパ
ムの測定は主に高速液体クロマトグラフィーで行われて
いる。前処理法としてはBond Elut. Sep.Pak C18又はカ
ラムスイッチ法、溶剤抽出、遠心分離などが用いられ、
必ずしも簡便な方法とは言いがたい。ジアゼパムは血中
濃度が比較的低く(0.1〜1.0μg/ml)、優れ
た分析法の開発が望まれている。
イトを充填した除蛋白用カートリッジ「PCPureカ
ートリッジ」((株)モリテックス製)に付すだけで除
タンパクでき、溶出液を溶剤抽出、遠心分離などの操作
を付することなしにジアゼパムの分析用試料を調製でき
る。この調製法は、従来法に比べて簡便、迅速に除タン
パクでき、ルーチン分析および自動化分析に適してい
る。
に、主に標準品のジアゼパムおよび内部標準物質の4,
4′−ジフルオロベンゾフェノンを血漿に添加し、種々
の溶離液によるジアゼパムおよび内部標準物質の溶出挙
動を調べ、また従来法と本法との比較を行った。
(概要) 血漿100μlにジアゼパム標準液10μl(0.1μ
g)および内部標準物質の4,4′−ジフルオロベンゾ
フェノン標準液10μl(1μg)を加えてよく振り混
ぜ、室温で30分間放置後、この溶液を「PCPure
カートリッジ」に注入する。次に、溶離液の50%アセ
トニトリル水溶液2〜3mlを通液して、初流溶出液6
00μlを分析用試料とする。この溶出液の20μlを
高速液体クロマトグラフに注入し、ジアゼパムと内部標
準物質とのピーク高さの比からジアゼパムを分析する。
10mgを正確に量り、10%アセトニトリル水溶液で
100mlに定容し、この10mlを正確に取り、1%
アセトニトリル水溶液で10mlに定容して(10μg
/ml)調製し、また4,4−ジフルオロベンゾフェノ
ン標準液は、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン10
mgを正確に量り、10%アセトニトリル水溶液で10
0mlに定容して(100μg/ml)調製する。
クロマトグラフィーの条件とを考え併せ、(a)におけ
る溶離液として50%アセトニトリル水溶液を選定し
た。
および内部標準物質の回収率 標準品のジアゼパム(0.1μg)および内部標準物質
の4,4′−ジフルオロベンゾフェノン(1μg)を
「PCPureカートリッジ」に注入後、各溶離液2〜
3mlを通液して各フラクション(300μl)毎の回
収率に関する挙動を調べた。結果を第3表に示す。
4,4′−ジフルオロベンゾフェノンは、いずれも、い
ずれの溶離液を用いても、ほとんど第1フラクションお
よび第2フラクションを合わせた初流液600μlで溶
出することが判った。生理食塩水または10mMリン酸
緩衝液を溶離液に用いると、ジアゼパムは第3フラクシ
ョンにも溶出した。アセトニトリルでは、50%および
60%の水溶液を用いると、第1フラクションにシアゼ
パムおよび内部標準物質が全量回収できた。
パムを分析する際、溶出液にジアゼパムが含有されてい
る他に、タンパク質が含まれていないことが必要であ
る。本実施例においては、前出実施例1および2におけ
ると同様にして、しかしながら範囲を拡げて、溶離液に
よる除タンパクの条件を調べた。
〜8.0)の場合:血漿50〜300μlをカートリッ
ジに注入後、生理食塩水で溶出し、溶出液の各フラクシ
ョン(300μl)中のタンパク質量を調べた結果、血
漿量200μlまでは、第1〜5のいずれのフラクショ
ンにもタンパク質は認められなかった。さらに、血漿量
を増やし、300μlをカートリッジに注入すると、第
1フラクションにはタンパク質は認められないが、第2
〜5のフラクションには若干トランスフェリンが検出さ
れたが、除タンパク率は約99%と高い値であった。
を50または100μlカートリッジに注入後、pH
6.8または8.6の緩衝液を通液させ、上記と同様に
して溶出液の各フラクション中のタンパク質の確認を行
った。若干アルブミン、グロブミンおよびトランスフェ
リンが検出されたフラクションもあったが、除タンパク
率は約99%と高い値であった。溶離液のpHによる差
異はほとんどなかった。
100μlをカートリッジにそれぞれ注入後、種々の濃
度のアセトニトリル水溶液を溶離液として通液して、溶
出液の各フラクション中のタンパク質量を調べた。5%
水溶液を用いると、若干アルブミン、グロブミンおよび
トランスフェリンが検出されたフラクションもあるが、
除タンパク率は約99%と高い値であった。一方、10
〜100%の濃度では、100%の除タンパク率であっ
た。次に、血漿量300μlとして、ジアゼパムの移動
相と同濃度の50%の溶離液で検討した結果、前記の生
理食塩水の場合とは若干異なり、第1〜5のいずれのフ
ラクションにもタンパク質は認められなかった。
0μlをカートリッジにそれぞれ注入後、水、10%メ
タノールおよびエタノールを溶離液として通液して得た
溶出液の各フラクション中のタンパク質量を調べた。水
では第1フラクション、メタノールでは第1および2フ
ラクションにはタンパク質は検出されなかった。その他
には若干、アルブミンおよびトランスフェリンが検出さ
れ、除タンパク率は約99%と高い値であった。エタノ
ールでは第1〜5のいずれのフラクションにもタンパク
質は認められなかった。
液(pH6.8)の場合:クロマトグラム上、システイ
ンの妨害により明確にアルブミンの有無ができなかっ
た。血漿量100μlの場合は、グロブリンが検出され
ていることから、アルブミンも溶出されていると考えら
れる。20μlの場合は、グロブリンが検出されていな
いことからアルブミンは溶出されていないと考えられ
る。
8)+生理食塩水(1:1)の場合:血漿100μlを
カートリッジに注入後、この混合液を溶離液に用いる
と、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)を単独に用い
た時よりも除タンパク率は良かった。第3フラクション
に若干アルブミンが検出されたが、除タンパク率は約9
9%であった。
高速液体クロマトグラフィーの操作条件は、下記第4表
に示す通りであった。
法との比較 検量線はジアゼパムと内部標準物質のピークの高さの比
から求めた。検量線は0〜6.6ngの範囲で直線性が
得られた(図4参照)。
漿中のジアゼパムを分析する際、アセトニトリル、メタ
ノールなどを使用する従来の除タンパク方との比較をし
ておくことが重要である。また、本実施例においては血
漿にジアゼパムおよび内部標準物質を添加して検討して
いるので、37℃で30分間インキュベートして血漿タ
ンパク質とジアゼパムとの結合性について検討し、分析
できるかどうかについても併せて比較検討した。
ゼパム0.1μgおよび内部標準物質1μgを加え、こ
れを室温および37℃で30分間それぞれ放置して試料
とした。
さの比からジアゼパムを分析し、比較を行った結果、下
記第5表に示すように、「PCPカートリッジ」と従来
法とにほとんど差がないことが判った。
トリッジ」による除タンパクに付した場合(溶出液40
0μl)の回収率は約84%であった。
して分析した血漿中のジアゼパムのクロマトグラムの例
を示す。すなわち、図5は血漿中のジアゼパムのクロマ
トグラム(ブランク)を示し、そして図6は血漿中のジ
アゼパムのクロマトグラム(実液)を示す。各図におい
いて、1および2は、それぞれ、ジアゼパムおよび4,
4′−ジフルオロベンゾフェノン(内部標準物質)を示
す。
た高速液体クロマトグラフィーの操作条件は、下記第6
表に示す通りであった。
利用することにより、従来法とほとんど差異なく定量で
きることが判った。回収率は約93%であった。また、
相対標準偏差(Relative Standard Deviation 、R.S.
D.)は3.2(n=5)で、血中濃度の高い薬剤テオフ
ィリンの1.2(回収率は約100%)より若干悪い
が、血中濃度の低い薬剤としては良好であると考えられ
る。なお、テオフィリンについては前出実施例4を参照
のこと。
的にも血漿中のアミノ酸を測定することが重要であり、
人血漿中のアミノ酸の迅速簡単な分析法の確立は極めて
重要である。
に、血漿を「PCPureカートリッジ」に付すだけで
除タンパクでき、溶出液を溶剤抽出、遠心分離などの操
作に付することなしにアミノ酸の分析用試料を調製でき
る。この調製法は、従来の方法と比べて簡便迅速に除タ
ンパクでき、タンパクとの結合性の強いトリプトファン
も定量的に分析できることが判った。ルーチン分析およ
び自動化分析に適している。
に、先ず、「PCPureカートリッジ」を用いて血漿
中のアミノ酸をより正確に分析するために内部標準物質
および溶離液の検討、ならびに溶離液による標準品アミ
ノ酸および内部標準物質の回収率を検討した。次に、血
漿中のアミノ酸を分析し、さらに、除タンパクを従来か
ら用いられているスルホサリチル酸などの方法によった
場合の分析結果とを比較検討した。
reカートリッジ」に注入後、生理食塩水2〜3mlを
通液する。溶出初流液1,000μlを1N塩酸−20
μlを加えてpH2に調整し、アミノ酸分析用試料とす
る。この試料のアミノ酸分析は、常法のアミノ酸アナラ
イザー(ニンヒドリン法)を使用して行う。その操作条
件は下記第7表の通りである。
シメチル−L−システイン(SCM)45mg、D−フ
ェニルグリシン(PG)30mgおよびS−アミノエチ
ル−L−システイン(SAE)45mgをそれぞれ正確
に量り、これらを合して水を加えて50mlに定容して
調製する。
漿中のアミノ酸を正確に分析するため、10余種におよ
ぶ種々のアミノ酸などの物質が内部標準物質として適当
であるかどうかを検査した。内部標準物質は血漿中には
存在しないもので、クロマトグラム上でアミノ酸と分離
することが必要である。
SAEの3種のアミノ酸が保持時間の点で内部標準物質
として使用するのに適当であることが判った。
物質液を「PCPureカートリッジ」に各々150μ
lおよび10μlを注入後、(イ)生理食塩水、(ロ)
10mMリン酸緩衝液(pH6.8)、(ハ)生理食塩
水+10mMリン酸緩衝液(1:1、pH6.8)、
(ニ)10%エタノール水溶液、および(ホ)10%ア
セトニトリル水溶液の5種類の溶離液を用いて検討し
た。ここに、標準アミノ酸液は、先ず、L−アスパラギ
ン(Asn)、L−グルタミン(Gln)およびL−ト
リプトファン(Trp)をそれぞれ40mg正確に量
り、これらを合して水を加えて100mlに定量し(4
0mg/100ml)、次に、Beckman製標準試
薬(STD、AN+、B+)を各々2mlおよび上の溶
液2mlを正確に量り、これらを合したものに0.2N
塩酸4mlを加え、最後に、このものの2mlおよび前
記の内部標準物質液の10倍希釈液2mlを正確に量
り、0.2N塩酸を加えて20mlに定容して調製す
る。
との他に、溶出液中にタンパク質が含まれていないこと
が重要である。次に主な結果を記す。(1)いずれの溶
離液を用いても、Asn、Gln、Pro、Cit、G
ABA、Met、PG、Phe、Trpなどは溶出され
やすかった。一方、Asp、Ser、(Cys)2 など
は溶出されにくかった。(2)10%メタノールおよび
10%アセトニトリルを用いると、内部標準物質のう
ち、SAEは溶出されにくかった。(3)生理食塩水お
よび10mMリン酸緩衝液(pH6.8)を用いると、
3種の内部標準物質およびアミノ酸溶出は10%メタノ
ールおよび10%アセトニトリルよりも良かった。溶出
液の最初の3つのフラクション(各フラクション300
μl)、すなわち初流液の第1〜3フラクション(初流
液計900μl)でほとんどのアミノ酸が回収できた。
(4)生理食塩水+10mMリン酸緩衝液(pH6.
8)(1:1)よりも、それぞれを単独に用いた方が良
い結果が得られた。(5)生理食塩水および10%アセ
トニトリルを用いると、第5フラクションまで、すなわ
ち初流1500μlまでタンパクの溶出はなかった。一
方、10mMリン酸緩衝液(pH6.8)および10%
メタノールでは第3フラクションからタンパクの溶出が
みられた。
を考え併せて、本実施例においては、生理食塩水を溶離
液とした。生理食塩水を溶離液とした場合、内部標準物
質の回収率を「PCPureカートリッジ」の初流3フ
ラクションをまとめて(計900μl)みた場合、3回
の試行結果は、SMCについてはそれぞれ95.8、9
7.2および120%、PGについては97.2、9
5.3および96.4%、そしてSAEについては9
7.3、97.3および103%と良好であった。な
お、また、生理食塩水を用いると、血漿200μlを
「PCPureカートリッジ」に注入しても、溶出液の
初流第5フラクションまでタンパクの溶出はなかった。
ら、「PCPureカートリッジ」からの溶出初流液9
00μlを分析用の試料にすれば約90%のアミノ酸の
回収率が得られることが判ったが、溶出をより良くする
ために、溶出初流液1,000μlを分析用試料とし
た。また、「PCPureカートリッジ」への血漿注入
量は50、100、150および200μlを考えた
が、溶出液中でのアミノ酸濃度および除タンパクの点を
考え併せて150μlとした。その他は前出(a)を参
照のこと。
充填剤がヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4 )
6 (OH)2 )であるため、溶出時に溶出液中に溶け込
むおそれがあり、アミノ酸分析計に影響を与えることも
考えられる。そこで、従来からの除タンパク法であるス
ルホサリルチル酸による方法と本発明の方法との試料液
中のカルシウムの含量を念のため調べたところ、本発明
の方法による試料液に含まれるカルシウムはブランクと
ほとんど同じで、スルホサリチル酸法よりも低値であ
り、分析計に悪影響を与えないと結論された。付言する
と、試料の調製に関しては、「PCPureカートリッ
ジ」法の場合、血漿150μlおよび内部標準物質液1
0μlをカートリッジに注入後、生理食塩水を通液し
て、初流液1,000μlを1N塩酸20μlを加えて
調製し、スルホサリチル酸法の場合は、血漿150μl
および内部標準物質液10μlに3.75%スルホサリ
チル酸1mlを加え、次に、これを遠心分離(10,0
00 r.p.m. )し、上層液を試料とし、それぞれの試料
について原子吸光法によってカルシウムを定量した結果
である。
測定したところ、内部標準物質の違いによる著しい測定
値の差異はなかった。一般に、内部標準物質は分析する
物質の近いものを選ぶが、3者の中でSCMおよびPG
はSAEよりもほとんどのアミノ酸の標準偏差値(R.
S.D.)は良い値を示した。この理由は明確でない
が、SAEの濃度をもう少し高くし、ピークの高さを高
くすれば改善できると考える。AspのR.S.D.は
いずれを用いても悪いが、含量が少ないためによると考
えられる。SCMおよびPGとのR.S.D.にはほと
んど差異はないが、PGのほうが若干よい値を示した。
PGはクロマトグラム上で、ほぼ中心に溶出し、R.
S.D.も良いので、全アミノ酸の一斉分析用の内部標
準物質として適していると考えられ。そこで、本実施例
においては、以下、PGを用いて、標準添加法による回
収率および従来から用いられている除タンパク法との比
較検討を行った(後出(f)参照)。
通りであった。すなわち、アミノ酸とタンパク質の結合
性を調べるためにインキュベート(37℃で30分間)
したものとしないものについての標準添加法による回収
率(%)を測定した。本発明の方法による平均回収率
は、インキュベートしない場合93.5%で、インキュ
ベートした場合94.3%と両者に差異は認められなか
った。特に、Trpはタンパク質との結合が強いアミノ
酸であるが、本発明の方法による標準添加法(インキュ
ベートあり)での回収率が97.9%であることから、
本発明の方法はタンパク質結合のあるアミノ酸にも十分
に適用できるものである。従って、タンパク質と結合の
強い医薬品への適用が期待される。
定した結果を下記第8表に示す。
との比較 本発明による「PCPureカートリッジ」による除タ
ンパク法と従来からの除タンパク法(スルホサリチル酸
またはエタノールを用いて除タンパクする方法)につい
て、血漿中のアミノ酸分析の結果を比較検討した。
内部標準物質を使用していないが、本実施例において
は、本発明の方法との比較のために内部標準物質を加え
て試料調製を行なった。従来から用いられている除タン
パク法は、血漿に試料を加えた後、遠心分離、濾過して
試料調製をする。一方、本発明の方法では、「PCPu
reカートリッジ」に血漿を注入後、生理食塩水を通液
するだけで試料調製ができ、操作は簡便迅速である。
の分析結果には両者にほとんど差がなく、R.S.D.
もAspを除いて、きわめて良好であることが判った。
また、PGを内部標準物質に使用することにより、前処
理法が異なってもアミノ酸の分析結果に差異のないこと
が判った。PGはアミノ酸アナライザー法(ニンヒドリ
ン法)の内部標準物質として適したものと言える。
被分析成分を効率良く分析でき、その定量分析が容易に
行なわれ得ることとなった。又、担体をカートリッジに
充填して使用する本発明の実施態様により分析用生体試
料を処理すると装置を複雑にすることなく前処理操作を
自動化することができる。
液体クロマトグラムである。
の液体クロマトグラムである。
の液体クロマトグラムである。
ある。
ク)のクロマトグラムの1例である。
クロマトグラムの1例である。
Claims (1)
- 【請求項1】 蛋白質と被分析成分が共存する分析用生
体試料をそのままヒドロキシアパタイト担体に負荷した
後、アセトニトリル溶離液を用いて該生体試料を該担体
中を移動させ、該分析生体試料中に存在する保持用量の
大きな蛋白質が溶出する以前に保持容量の小さな被分析
成分を溶出させて除蛋白されかつ被分析成分を含む溶出
液を得ることを特徴とする分析用生体試料中の蛋白質の
分離除去方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP06358593A JP3351002B2 (ja) | 1992-03-26 | 1993-03-23 | 分析用生体試料中の蛋白質分離除去方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6834192 | 1992-03-26 | ||
JP4-68341 | 1992-03-26 | ||
JP06358593A JP3351002B2 (ja) | 1992-03-26 | 1993-03-23 | 分析用生体試料中の蛋白質分離除去方法 |
Publications (2)
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ID=26404709
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP06358593A Expired - Fee Related JP3351002B2 (ja) | 1992-03-26 | 1993-03-23 | 分析用生体試料中の蛋白質分離除去方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3351002B2 (ja) |
Cited By (1)
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KR101026946B1 (ko) * | 2007-06-29 | 2011-04-04 | 도시바 메디칼 시스템즈 코포레이션 | 마이크로 화학분석장치, 그 측정방법 및 피검시료 채취기구 |
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---|---|---|---|---|
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-
1993
- 1993-03-23 JP JP06358593A patent/JP3351002B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101026946B1 (ko) * | 2007-06-29 | 2011-04-04 | 도시바 메디칼 시스템즈 코포레이션 | 마이크로 화학분석장치, 그 측정방법 및 피검시료 채취기구 |
US8603414B2 (en) | 2007-06-29 | 2013-12-10 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Micro-chemical analysis device, microchemical measuring method, and sample collecting tool |
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---|---|
JPH0643146A (ja) | 1994-02-18 |
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