JP3350588B2 - 円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御方法及びそのための装置 - Google Patents

円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御方法及びそのための装置

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JP3350588B2 JP00339394A JP339394A JP3350588B2 JP 3350588 B2 JP3350588 B2 JP 3350588B2 JP 00339394 A JP00339394 A JP 00339394A JP 339394 A JP339394 A JP 339394A JP 3350588 B2 JP3350588 B2 JP 3350588B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核磁気共鳴描画〔MR
I(Magnetic ResonanceImagi
ng)〕装置のコイルドラムの振動などを制御するのに
適用可能な円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御
方法及びそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】円筒殻の強制振動は、MRI(Magn
etic Resonance Imaging)の衝
撃磁場による振動、石油貯槽タンクの横振動などに見ら
れるように、工学的に重要な興味深い現象であり、以前
から多くの研究がなされている。このような強制振動に
対し、外部から制振エネルギーを加えることによって、
能動的にその振動を抑えるという能動的制御か多く研究
されている。
【0003】これらの中にはアクチュエータとして、圧
電材料を用いた研究がいくつかなされている。圧電材料
の1つである圧電フィルムは、軽薄長大であり、切断変
形が容易に可能な柔軟材料である等の利点を持つ材料で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、円筒殻の振動に
は、非線形性が存在することによるモデル化誤差が含ま
れているため、通常設計に使用する状態空間モデルは、
制御対象の1つの近似モデルに過ぎず、制御に際しては
ロバスト安定性を保証して制御器を設計する必要があ
り、技術的に満足できるものではなかった。
【0005】また、MRIは、NMR(Nuclear
Magnetic Resonance:核磁気共
鳴)現象を利用した、無侵襲で組織の硬軟に関係なく、
病態の初期状態がとらえる医療画像診断機器として注目
され、使用され始めているそのMRI装置の概略構成に
ついて、図36を参照しながら説明する。主要部は全身
が入る磁石からなり、静磁場コイル1によって人体に均
一な静磁場H0 を印加する。
【0006】現在では、静磁場コイルを常温で使用する
常電導方式に代わり、液体He温度で電線(NbTi)
の電気抵抗がゼロになる現象を利用した超電導方式が一
般的となっている。照射コイル2から照射された高周波
の磁場成分H1 は、体内では核磁気共鳴現象を起こし、
受信コイル3に電流を誘起する。また、勾配磁場コイル
4により静磁場を場所の関数としてわずかずつシフトさ
せ、信号発生部位についての位置情報を得るようにして
いる。
【0007】しかしながら、上記したMRI装置の勾配
磁場コイルドラムに衝撃電磁力が作用し、ドラムが振動
し、衝撃音が発生し、人間には耐えられない状態になる
といった問題があった。すなわち、そのドラムの振動
は、コイルに流れる電流パルスとメインの磁場との間の
ローレンツ力により励起される。
【0008】したがって、勾配磁場コイルドラムの高周
波振動を制御・抑制し、音を発生させないシステムの開
発はMRI装置の高性能化と普及に不可欠である。しか
し、狭い超伝導コイルの内側で、人間が入る広い空間を
確保しなければならないため、堅固で厚く重い勾配磁場
コイルドラムを作って、振動を発生させないようにする
ことは困難である。
【0009】そこで、米国やヨーロッパでは、発生した
音を外部から音を加えて消す能動音場制御技術を開発し
ようとしている。しかし、まだ人間が入る広い空間内の
衝撃音を十分に消音するまでには至っていないのが現状
である。本発明は、磁場に影響を与えない圧電アクチュ
エータのみを用いて能動制御を行い、勾配磁場コイルド
ラムの振動を抑制することにより、MRI(核磁気共鳴
描画)装置の勾配磁場コイルドラムに発生する衝撃電磁
力による振動を、制御し抑制する方法を提供することを
目的としている。
【0010】これにより、勾配磁場に高周波の電流を流
すことができるようになり、MRI装置の性能を飛躍的
に高めることが可能となる。つまり、振動が発生しない
静かで高性能なMRI装置を得ることができる。このよ
うに、本発明は、円筒殻の振動を、前記円筒殻を形成す
る圧電フィルムからなる圧電アクチュエータの強制加振
により、円筒殻の振動を有効に制御することにある。よ
り具体的には、 (1)H∞制御理論を適用した制御系を設計することに
より、また、アクチュエータとして圧電フィルムを使用
し、これによって発生するトルクを用いて、強制加振に
よって発生した円筒殻の強制振動を抑制する円筒殻の圧
電アクチュエータによる振動制御方法及びそのための装
置を提供することである。
【0011】(2)磁場に影響を与えない圧電アクチュ
エータのみを用いて能動制御を行い、勾配磁場コイルド
ラムの振動を抑制することにより、MRI装置の勾配磁
場コイルドラムに発生する衝撃電磁力による振動を制御
し抑制する、MRI装置の勾配磁場コイルドラムの振動
制御方法及びそのための装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、〔A〕円筒殻の圧電アクチュエータによ
る振動制御方法において、圧電フィルムからなる圧電ア
クチュエータを有すると共に、核磁気共鳴描画装置の勾
配磁場コイルを有する円筒殻の両端を支持し、前記勾配
磁場コイルに流れるパルス電流と同期させて、前記圧電
アクチュエータに駆動電圧を印加し、前記勾配磁場コイ
ルに働く衝撃的なローレンツ力を圧電アクチュエータの
生成力で相殺するようにしたものである。
【0013】〔B〕円筒殻の圧電アクチュエータによる
振動制御装置において、圧電アクチュエータを有すると
共に、核磁気共鳴描画装置の勾配磁場コイルを有する円
筒殻の両端を支持する手段と、前記勾配磁場コイルに流
れるパルス電流と同期させて、前記圧電アクチュエータ
に駆動電圧を印加する手段と、前記勾配磁場コイルに働
く衝撃的なローレンツ力を圧電アクチュエータの生成力
で相殺する手段を具備するようにしたものである。
【0014】
【作用】本発明は、上記したように、円筒殻の振動を、
前記円筒殻を形成する圧電フィルムからなる圧電アクチ
ュエータの強制加振により制振するようにしたので、円
筒殻に生ずる振動をアクチュエータとして圧電フィルム
を用いてモーメントを加えて、材料自体で能動的に振動
を制御することができる。
【0015】また、円筒殻等の曲率を持った物の振動で
も、柔軟性を持った圧電フィルムを用いることにより、
振動を制御することができる。更に、MRI装置の勾配
磁場コイルの衝撃的な振動を、円筒殻を形成する圧電フ
ィルムからなる圧電アクチュエータの強制加振により、
有効に制振することができる。
【0016】また、MRI装置の勾配磁場コイルに高周
波の電流を流すことができるようになり、MRI装置の
性能を飛躍的に高めることが可能となり、振動が発生し
ない、静かで高性能なMRI装置を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。まず、円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御
のための運動方程式と境界条件について説明する。図3
は本発明で扱う円筒殻の圧電アクチュエータによる振動
制御のための解析モデルと座標系を示す図である。
【0018】図3に示すように、円筒殻5は上端が自由
であり、下端が固定されており、この円筒殻5は圧電フ
ィルム自体で造られ、円筒殻5の縦弾性係数、密度、長
さ、厚さ、曲率半径、ポアソン比をそれぞれ、E,ρ,
L,h,R,νとする。また、円筒殻5の一部が2枚で
対となった圧電アクチュエータ2となっており、それぞ
れに耐電圧以下の電圧を同じ大きさで逆向きに印加す
る。
【0019】これにより、x1 ≦x≦x2 、y1 ≦y≦
2 の部分が、圧電アクチュエータ6として働き、y=
1 ,y2 の点には、圧電アクチュエータ6により発生
するモーメントMp (t)が加えられる。なお、解析対
象の円筒殻5は十分薄く、振動に際し回転慣性及びせん
断変形の影響は無視できるものとする。以上の仮定に基
づくと、圧電アクチュエータ6を有する円筒殻5の運動
方程式は、円筒殻のフリューゲ(Flugge)の式に
ある各3方向の慣性力を考慮して、円筒殻5のある点
(x,y)の、ある時刻tにおけるx方向,y方向,z
方向の撓みを、それぞれU(x,y,t),V(x,
y,t),W(x,y,t)とし、円筒殻5をAe si
n pt でz方向に点加振した場合、次式のように表され
る。
【0020】
【数1】
【0021】 δ(y1 ,y2 )=δ(y−y1 )−δ(y−y2 ) H(x1 ,x2 )=H(x−x1 )−H(x−x2 ) ここで、コンマの後の添字はそれらに関する微分を意味
し、δ(・),H(・)は、それぞれディラックのデル
タ関数と、ヘビサイドのステップ関数である。また、P
0 は加振する点(xe ,ye )を変形させた時、その点
のz方向変位がAe に等しくなるような集中力である。
また、C,D,kはそれぞれ次式で表される。
【0022】C=Eh/1−ν2 ,D=Eh3 /12
(1−ν2 ),k=h2 /12R2 ここで、便宜上次の無次元量を導入する。
【0023】
【数2】
【0024】式(2)を用いて式(1)は次式のように
書き改められる。
【0025】
【数3】
【0026】 δ(η1,η2 )=δ(η−η1 )−δ(η−η2 ) H(ξ1,ξ2 )=H(ξ−ξ1 )−H(ξ−ξ2 ) 境界条件は自由−固定である。固定端の境界条件式は次
式で与えられる。
【0027】
【数4】
【0028】一方、自由端における境界条件式は次式で
与えられる。 Sx =Mx =Nx =Tx =0 (ξ=1) …(5) Sx =Qx +Mxy,y , Tx =Nxy−(Mxy/R) …(6) ここで、Sx 及びTx は円筒殻5の断面の単位長さ当た
りの等価横力及び等価せん断力であり、Qx はせん断
力、Mx ,Mxyは合成モーメント、Nx ,Nxyは合成力
を表す。式(8)の各条件を変位成分を用いて表すと次
式になる。
【0029】
【数5】
【0030】次に、モード解析と状態方程式について説
明する。円筒殻5は周方向波数N(≧1)、円振動数Ω
で振動するものとし、式(3)の解の形を次のように仮
定する。
【0031】
【数6】
【0032】ただし、α0 =LN/Rであり、式(8)
において、A,B,C及びrは未知の複素数である。式
(8)を式(3)に代入し、kは微小量であることを考
慮して特性方程式を求めると次式のようになる。 a8 8 +a6 6 +a4 4 +a2 2 +a0 =0 …(9)
【0033】
【数7】
【0034】ただし、δ=k4 ζ,ζ=(ρh/D)L
4 ω2 であり、式(10)において、a0 及びζはそれ
ぞれ波数及び振動数に関する無次元係数である。また、
係数A,B,Cの間には次の関係式が成立する。 φ=A/C=m2 /m1 ,Ψ=B/C=m3 /m1 …(11)
【0035】
【数8】
【0036】したがって、特性方程式(9)の相異なる
8根をrj (j=1,…,8)とすると、一般解は次式
で表される。
【0037】
【数9】
【0038】ただし、Cj (j=1,…,8)は任意の
複素定数である。一般解の式(13)を境界条件式
(4),(7)に代入すると、Cj (j=1,…,8)
に関する同次の8元連立1次方程式が得られる。
【0039】
【数10】
【0040】この方程式(14)が恒等的に0でない解
を持つためには、その係数行列式が0となる必要があ
る。なお、係数行列の各要素は一般に複素数となるが、
解は必ず互いに複素共役の関係になるため、複素共役の
解同士を組み合わせることによって、係数行列全て実数
に変換して計算することができる。この場合、行列式Δ
はポアソン比ν、半径厚さ比R/h、細長比L/R、周
方向波数N及び円振動数ωの関数となるため、結局、次
の振動数方程式が得られる。
【0041】 Δ(ν,R/h,L/R,N,ω)=0 …(15) したがって、ν,R/h及びL/Rの値が与えられると
波数Nの各値に対して、式(15)から円振動数ωm
(M=1,2,…)の値を小さい順に逐次定めることが
できる。次に式(3)を解くため、その解を式(4),
(7)を考慮して次式のように仮定する。
【0042】
【数11】
【0043】ただし、iは振動次数mに対応し、jは周
方向波数Nに対応する。さらに、内部粘性減衰を考慮し
て式(16)を式(3)の第3式に代入して、次式を得
る。
【0044】
【数12】
【0045】ただし、cは内部粘性減衰係数である。ま
た、各関数のダッシュはその関数の引数に関する微分を
表し、ドットは時間に関する微分を表す。また、関数Φ
Uij ΨUj,ΦVij ΨVj,ΦWij ΨWjは次の方程式の解で
ある。
【0046】
【数13】
【0047】式(18)を式(17)に代入して次式を
得る。
【0048】
【数14】
【0049】前と同じ方法で、式(3)の第1、2式よ
り、次の二式が得られる。
【0050】
【数15】
【0051】
【数16】
【0052】また、振動モードの間に、次の直交性が成
立している。
【0053】
【数17】
【0054】前記式(19),(20),(21)の両
辺に各々ΦUlk ΨUk,ΦVlk ΨVk,ΦWlk ΨWkをかけ
て、合算し、全面積で積分する。さらに、式(22)の
モード直交性を利用すると、次式のように非連成化でき
る。
【0055】
【数18】
【0056】式(23)を状態変数ベクトルを導入して
状態方程式の形で表すと、次式のようになる。ここで、
加振項は外乱として省略した。
【0057】
【数19】
【0058】
【数20】
【0059】センサをξ=ξp の位置に配置すると、シ
ステムの出力方程式は次式で表される。 y(t)=Cc X(t) …(26) Cc =h〔ΦW1(ξp )ΨW1(ηp )…ΦWn(ξp )Ψ
Wn(ηp )0…0〕次に、H∞制御理論について説明す
る。
【0060】実際に制御を行う際には、縦弾性係数など
のパラメータに対する同定誤差による不確かさ、あるい
は高次振動モード等、モデル化されなかったダイナミク
スによる不確かさがある。また、円筒殻5は片持ち梁な
どと異なり振動の非線形性が存在する。そこで、ここで
はロバスト性が強い制御法の1つであるH∞制御法を用
いる。コントローラの設計に当たって、図2に示すよう
な、拡大制御システムを考える。
【0061】図2ではモデルの不確かさや制御仕様に関
係した重み関数を含んだ制御対象とコントローラのフィ
ードバック構造を表しており、点線で囲まれた部分10
は実際の制御対象モデルを表し、その伝達マトリクスを
Gとする。点線で囲まれた部分10の中は、制御対象の
公称モデルGnom 11と、そのモデルの不確かさをパラ
メタライズする要素Wdel 12と、そのモデル化誤差で
あるΔG13からなる。ここでKは出力フィードバック
コントローラK14であり、dは外乱、センサノイズ、
目標値信号などからなる外部入力を、eは誤差出力を、
yは観測出力を、uは操作入力をそれぞれ表す。また、
del 12はモデルの不確かさの量を反映し既知である
とし、ΔG 13は安定かつ‖ΔG‖∞<1の条件を満た
す以外は未知であるとする。
【0062】また、要素Wp 15は制御性能仕様が満た
すべき周波数帯域を相対的に規定するものである。H∞
コントローラの設計においては、この2つの重み関数W
del12とWp 15の選定が重要となる。ここでは、こ
の拡大制御システムに対してロバスト安定性、公称制御
性能、ロバスト制御性能を満足し、かつ、外乱dから誤
差出力eまでの伝達関数のH∞ノルムが最小となるコン
トローラK14を求める。
【0063】以下、具体的に実施例を図を用いて説明す
る。図1は本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータによる振動制御システム構成図である。この
実施例では、円筒殻20自体を圧電フィルムで製作し
た。この圧電フィルムはバイモルフ型を形成するため
に、フィルムを表裏を同じにして2枚重ねに貼り付け、
その圧電フィルムは表面に蒸着された金属膜の一部を予
め剥がして、アクチュエータとして機能させる部分を分
離させておいた。そして、アクリル製の台座21に固定
された円筒殻20を、自由に加振点の位置が変えられる
ようにした加振器を固定した台座21に据え付けた。そ
して円筒殻20をミニ加振器によって加振振幅250μ
mで点加振して共振状態を起こし、それによって発生す
る横振動を発生させてから制御入力を加えて能動的に制
振を行った。
【0064】ここで、加振点の真上のxp =255mm
の位置の変位をギャップ・センサ23を用いて測定し、
その電圧に基づいて、制御入力u(k)をオン・ライン
で算出し、アンプで増幅して圧電アクチュエータ22に
印加した。すなわち、ギャップ・センサ23からの出力
信号は、A/Dコンバータ41を介して電子制御装置3
0に入力し、その電子制御装置30からの出力信号をD
/Aコンバータ42、増幅器43で増幅して圧電アクチ
ュエータ22に印加する。ここで、電子制御装置30
は、中央処理装置31、インタフェース32、33、3
4を有し、制御入力u(k)をオン・ラインで算出する
ことができる。また、データ入力装置44からデータを
入力することにより、制御系のパラメータを変えること
ができる。
【0065】ここで使用したものの各種パラメータをそ
れぞれ図4に示す。すなわち、円筒殻20の長さL=3
47.5mm、円筒殻20の曲率半径R=100mm、
円筒殻20のヤング率E=2.0×109 (N/
2 )、内部粘性係数c=3.0×10-4(s)、円筒
殻20の密度ρ=1.78×103 (kg/m3 )、円
筒殻20の厚さh=0.130(mm)、アクチュエー
タの位置(x1 ,y1 )=(10.0,−25.0)
(mm)、(x2 ,y2 )=(345.0,25.0)
(mm)、加振点(xe ,ye )=(70,−80)
(mm)、(xe ,ye )=(70,234)(m
m)、センサの位置(xp ,ye )=(255.0,−
80)(mm)である。
【0066】ただし、円筒殻20の座標系は圧電アクチ
ュエータ22の中央にx軸を設定した。また、円筒殻2
0の内部粘性係数は実験装置の自由振動の波形が、きれ
いな減衰曲線にならなかったため、強制振動の振幅から
求めた。その結果、この実施例で用いた円筒殻20の固
有振動数を図5に示す。ここでNは周方向の波数を、m
は振動次数を表す。実験に際して、N=4,m=1の振
動数と、N=5,m=1の振動数が接近していたため、
加振器に互いに逆位相の信号を入れるようにして、N=
4の振動が起こらないようにした。また、加振周波数は
N=5の振動が起こるように、数値シミュレーションで
は24.60(Hz)、実験では、31.0(Hz)と
した。
【0067】次に、重み関数及びコントローラのパラメ
ータについて説明する。ここでは、固有振動数の理論値
と実験値の差などを考慮してモデリング誤差を表す重み
関数Wdel (s)を次のようにおいた。 Wdel (s)=0.3(s+5000)/(s+20000) …(27) また、制御仕様に関する重み係数Wp (s)は加振周波
数での制振効果の要求などを考え、次のようにおいた。
【0068】 Wp (s)=0.5(s+800)/(s+40) …(28) これら2つの重み関数のゲインプロットを図6に示す。
そして、この重み関数を結合させた拡大システムに対し
てコントローラの設計を行う。ここで制御対象は多くの
振動モードのうち最低固有振動数に近い(N,m)=
(4,1)のモードと、(N,m)=(5,1)の2つ
のモードのみを考慮した。その結果、外乱dから誤差出
力eまでの伝達関数のH∞ノルム(γ)の最小値は0.
9454であった。このときのコントローラを次式に示
す。
【0069】
【数21】
【0070】設計されたコントローラによる閉ループ系
のロバスト安定性と公称制御性能、及びロバスト制御性
能の周波数プロットを図7及び図8に示す。これらの図
からコントローラK(s)はロバスト安定性、公称制御
性能、ロバスト制御性能をいずれも満足していることが
分かる。次に、計算及び実験結果について説明する。
【0071】計算されたコントローラの出力u(s)は
モーメントであるが、実際に制御を行う場合には電圧が
出力となる。しかし、電圧増幅器の最大出力電圧や圧電
フィルムの耐電圧の制約から、印加できる最大電圧が設
定される。以下の実験とそれに対応する計算結果は、こ
の最大電圧を変化させたものである。
【0072】このようにして最大電圧を200(V)、
500(V)と変えて強制振動を行った場合の制御実験
を行った。円筒殻20の応答波形と圧電アクチュエータ
22への印加電圧を計算結果と併せて図9〜図12、図
13〜図16に示す。これらの図から最大印加電圧が大
きくなると共に、良好な振動効果が得られており、実験
結果と計算結果はよく一致している。ここでは、点加振
により加振したため発生する振動モードの腹と節の位置
が、どこに来るかが予測できたが、一般の下端固定の円
筒殻では起こり得る振動モードの腹と節の位置が特定で
きない。
【0073】そこで、円筒殻に貼る圧電アクチュエータ
は、振動モードのモーメントが0になる点、つまり振動
モードの変曲点である節から次の節まで貼るのが最も効
果的である。そのため、特定の周方向波数Nの値のもの
にだけ効果的になってしまい、Nの値によってほとんど
制振効果がない場合もあり得る。上記したように、本発
明では、上端が自由で、下端が固定の円筒殻に生ずる横
振動を、アクチュエータとして圧電フィルムを用いてモ
ーメントを加えて材料自体で能動的に振動を制御するこ
とができる。
【0074】また、圧電アクチュエータは振動モードの
モーメントが0になる点、すなわち振動モードの変極点
である節から次の節まで貼るのが最も有効であり、振動
モードの節がどの位置にくるかを予め設定した上で、圧
電アクチュエータを取り付けることにより、より有効な
振動の制御を行うことができる。次に、本発明の第2実
施例を示す円筒殻の核磁気共鳴描画装置の勾配コイルド
ラムの振動制御について説明する。
【0075】図17は本発明の第2実施例を示す円筒殻
の核磁気共鳴描画装置の勾配コイルドラムの振動制御の
説明図、図18はその核磁気共鳴描画装置の勾配コイル
ドラムのアクチェータの概略断面図(図17のA断
面)、図19はその核磁気共鳴描画装置の勾配コイルド
ラムのアクチェータによる曲げモーメント生成の説明
図、図20はその核磁気共鳴描画装置の勾配コイルドラ
ムのアクチェータによる面内力の生成の説明図である。
【0076】この実施例では、図17に示すように、核
磁気共鳴描画装置の勾配磁場コイル103を有する円筒
殻100が設けられ、その円筒殻100の両端101,
102は固定され、両端の動きが完全に止められる。そ
の円筒殻100には面内力を発生させるリング状の面内
力生成用圧電アクチュエータ104,105と、矩形状
の曲げモーメント生成用圧電アクチュエータ106,1
07,108,109を設ける。なお、109は、図示
しないが、円筒殻100の外側に形成される圧電アクチ
ュエータ108と対になり、円筒殻100の内側に設け
られる。
【0077】そこで、勾配磁場コイル103には勾配磁
場コイル用電源110よりスイッチング回路111を介
してパルス電流が周期的に供給される。一方、曲げモー
メント生成用アクチュエータ106,107,108,
109には、アクチュエータ用電源114からスイッチ
ング回路115を介して電圧が印加される。また、面内
力生成用圧電アクチュエータ104,105には、アク
チュエータ用電源116からスイッチング回路117を
介して電圧が供給される。
【0078】ここで、スイッチング回路115と、スイ
ッチング回路117とは、勾配磁場コイル103のスイ
ッチング回路111と同期するように、電源110,1
14,116を監視する電子制御装置112からの出力
信号を受けた同期装置113からの出力信号により制御
される。すなわち、曲げモーメント生成用圧電アクチュ
エータ106,107,108,109と、面内力生成
用圧電アクチュエータ104,105には、勾配磁場コ
イル103のパルス電流と同期した電圧が供給されるこ
とになり、勾配磁場コイル103に働く衝撃的なローレ
ンツ力を、圧電アクチュエータの生成力で相殺させるこ
とができる。
【0079】以下、図18、図19及び図20を用いて
アクチェータの構成と動作について説明する。図17の
A断面を示した図18から明らかなように、円筒殻10
0はエポキシ樹脂で円筒状に固められており、その円周
方向にリング状の面内力生成用圧電アクチュエータ10
4が設けられ、対向する2箇所に面内力生成用圧電アク
チュエータ104を挟むように対になった、つまり、内
側のアクチュエータ107と、外側のアクチュエータ1
06からなる矩形状の曲げモーメント生成用圧電アクチ
ュエータが設けられている。なお、この図においては、
アクチュエータのみが示されているが、実際は、面内力
生成用圧電アクチュエータと同じ箇所にリング状のzコ
イルと、曲げモーメント生成用圧電アクチュエータと同
じ箇所に矩形状のxコイルが設けられている。つまり、
円筒殻100は5乃至6層からなる積層の円筒殻とな
る。
【0080】曲げモーメント生成用圧電アクチュエータ
は、内側のアクチュエータ107と外側のアクチュエー
タ106に逆位相の電圧を印加すると、図19に示すよ
うに、外側のアクチュエータ106が伸び、内側のアク
チュエータ107が縮むことになり、結果として、円筒
殻の壁を曲げる力になる。また、曲げモーメント生成用
圧電アクチュエータの内側のアクチュエータ107と外
側のアクチュエータ106に同相の電圧を印加すると、
図20に示すように、外側のアクチュエータ106と内
側のアクチュエータ107とは共に伸びる(あるいは縮
む)だけであり、面内力になる。同様に、面内力生成用
圧電アクチュエータ104は、円周方向に伸び縮みし、
面内力を生成する。
【0081】このように構成することにより、勾配磁場
コイル103にパルス電流が周期的に流されると、同じ
周期でパルス的にアクチュエータに電圧を加え、面内力
や曲げモーメントを発生させる。それにより、勾配磁場
コイルにパルス電流が流れることにより生成するローレ
ンツ力を打ち消すことができる。従って、勾配磁場コイ
ルを有する円筒殻に振動を発生させる励振力が打ち消さ
れてしまい、その円筒殻は振動することはない。
【0082】この構成によれば、前記した本発明の第1
実施例におけるような高度な制御をする必要はなくな
り、簡単に円筒殻の振動の制御を行うことができる利点
を有する。なお、円筒殻が、コイルの部分で衝撃的なロ
ーレンツ力により励振を受けるので、円筒殻の振動数は
450Hzから5000Hzとなる。しかしながら、1
000Hz以上のノイズは、絶縁材料及び吸収材料によ
り減少させることができるので、1000Hz以下の振
動を抑制することが主なねらいとなる。
【0083】以下、解析的なモデルと運動方程式につい
て述べる。MRI装置において勾配磁場コイルをサポー
トするために使用されている実物大の円筒殻の制御を行
う。その円筒殻の外形は図21に示されており、幾何学
的パラメータ及び材料的特性は図22にリストされてい
る。円筒殻100の材料は異方性であるが、簡便にする
ため、モデルでは等方性と見なされている。図21もま
た、円筒殻100の壁の表面中央に挿入されているコイ
ルの外形を示している。コイルの存在は、円筒殻100
の局部的剛性と質量に影響しないものとする。円筒殻1
00は薄いということを考慮して、円筒殻100の運動
を記述するために、以下のようなフリューゲの方程式が
使われる。
【0084】
【数22】
【0085】ここで、U,V及びWは各々x,y及びz
方向における変位である。コンマの後の添字はこの変数
に関連する導関数を意味する。さらに、fx ,fy 及び
zはx,y及びz方向における外力の分布であり、コ
イルのローレンツ力及び圧電アクチュエータから生ずる
ものである。パラメータC,D及びKは以下のように定
義される。 C=Eh/(1−ν2 ),D=Eh3 /12(1−
ν2 ),K=h2 /12R2 ここで、便宜上、座標と変位は以下のように無次元化さ
れる。
【0086】
【数23】
【0087】円筒殻の両端は固定されているので、境界
条件は、次式で記述されることとする。
【0088】
【数24】
【0089】次に、強制振動のモード展開(振動波形の
形で表すこと)について述べる。数式(30)のfx
y 及びfz を0とすると、円筒殻の自由振動(強制的
励振力が加わっていない場合)に対する運動方程式を得
ることができる。これを解くと、固有振動数とモード関
数(振動波形)が得られる。i及びjを、各々軸方向及
び周方向の波数とすると、軸対称モード(j=0)を得
ることができる。
【0090】
【数25】
【0091】そして、非軸対称モード(j≠0)のと
き、
【0092】
【数26】
【0093】である。ここで、α0j=(L/R)j及び
φijk,ψijk,ijk (バー付き)及びγijkは全て定数
と固有振動数ωijの関数である。ここで、Cijk (バー
付き)は正規化されるので、次式が成り立つ。
【0094】
【数27】
【0095】そして、殻の強制された振動は次式で示さ
れる。
【0096】
【数28】
【0097】数式(30)に数式(36)を代入する
と、
【0098】
【数29】
【0099】を得ることができる。ΦUij,ΦVij 及びΦ
Wij を数式(37)のそれぞれに乗じ、3つの方程式を
加え、殻の全表面積で積分すると、
【0100】
【数30】
【0101】及び
【0102】
【数31】
【0103】を得る。ここで、gij(t)は対応するモ
ードに加わる等価力である。得られた数式(38)にお
いて、数式(35)のモードの直交性を使い、構造減衰
を考慮するため、qij(t)+2ζqij(t)/ωij
より、qij(t)は置き換えられている。次に、コイル
の励振力について述べる。
【0104】パルス電流がzコイル、xコイルを通って
流れると、衝撃的なローレンツ力がコイルに加わる。磁
場は均一になると仮定されるので、ローレンツ力はコイ
ルラインに沿って均一である。zコイル、xコイルのロ
ーレンツ力の方向は各々、図23(a),(b)に示さ
れている。zコイル、xコイルの各々の単位長さに働く
ローレンツ力をFz ,Fx とすると、励振力fx ,fy
及びfz の分布は、
【0105】
【数32】
【0106】である。ここでδ(・,・)及びH(・,
・)は各々ディラック関数とステップ関数であり、FX
及びFZ はxとzの単位長さに加わるローレンツ力であ
る。数式(39)に数式(40)を代入した後、以下の
ように各々のモードに働く励振力を得ることができる。
【0107】
【数33】
【0108】ここでは、j=0 そして、
【0109】
【数34】
【0110】ここでは、j≠0、β1 =(L/R)ηl
である。数式(41),(42)からzコイルの励振力
は、単に軸対称モードと連成されているだけであり、x
コイルの力は非軸対称モードと連成されているのみであ
る。これは、アクチュエータのデザインを大いに簡単に
する。次に、アクチュエータの制御力について述べる。
【0111】軸対称モード及び非軸対称モードがzコイ
ルのローレンツ力及びxコイルのローレンツ力により各
々励起されるので、別々のアクチュエータがこれらの異
なる2つのタイプのモードを制御するために使われてい
る。アクチュエータの第1のセットは、非軸対称振動の
ための制御力を生ずるが、軸対称モードとは連成しな
い。アクチュエータの第2のセットは、非軸対称モード
のための制御力を生ずるが、軸対称モードとは連成しな
い。これらのアクチュエータの2つのセットの形状は各
々図24(a),(b)に示されている。
【0112】図24(a)において、アクチュエータは
均一の面内力を生じ、図24(b)において、アクチュ
エータは均一の曲げモーメントを生じる。
【0113】
【数35】
【0114】
【数36】
【0115】L1 は面内力のためのアクチュエータの数
であり、L2 は曲げモーメントのためのアクチュエータ
の数である。一方、Fxl(バー付き)及びFyl(バー付
き)はx及びy方向における面内力であり、Mxl(バー
付き)及びMyl(バー付き)はx及びy方向における曲
げモーメントである。そして、それらは時間関数であ
る。さらに、ξc l 及びηc l はx方向における2△ξ
c l 及びy方向におけるηc l の長さを持つl番目のア
クチュエータの中央座標である。面内力と曲げモーメン
トは以下のように分布力に関連する。
【0116】
【数37】
【0117】数式(43)及び(44)を数式(45)
に代入し、全てのアクチュエータに対して加えると、次
のような分布力を得ることができる。
【0118】
【数38】
【0119】数式(39)に数式(46)を代入する
と、モデル制御力が、
【0120】
【数39】
【0121】となる。ここでj=0である。そして、
【0122】
【数40】
【0123】となる。ここでj≠0である。数式(4
7)及び(48)からアクチュエータの第1のセットは
軸対称モードと連成されず、アクチュエータの第2のセ
ットは非軸対称モードと連結されないことが容易に理解
できる。図25に異なる軸方向の波数i及び周方向の波
数jの固有振動数が示されている。ノイズレベルを10
00Hz以下で減少させるために、1000Hzより小
さい振動数を持つ全てのモードは制御される。しかし、
便宜上、1≦i≦6、及び0≦j≦6を持つモードのみ
考えることとする。zコイルは軸対称モードとのみ連成
され、非軸対称モードは引き起こさない。xコイルのロ
ーレンツ力がβ=π/2面について反対称であるため、
周方向(jは奇数)における奇数モードを励起するだけ
である。また、xコイルの角張った範囲がモードの波長
の2π/3であるので、jが3である全てのモードは出
現しない。
【0124】次に、調和励振力下のモード応答について
述べる。まず、瞬間的な励振は常に分離型及び連続型で
調和関数の和に展開され得るので、調和励振力下のモー
ド応答を考える。xコイル及びzコイルのローレンツ力
は、
【0125】
【数41】
【0126】
【数42】
【0127】である。ここでは、MRI装置では通常F
* x =F* z =600N/mである。上記の議論から、
軸対称モード及びj=3を除いた周方向の奇数モードは
制御が必要であり、制御モードと呼ばれる。電磁力によ
り励起されない全てのモードを制御する必要はなく、非
制御モードと呼ばれる。圧電アクチュエータは制御モー
ドを制御するために有効な力を出すが、非制御モードと
は連成しない(制御により励振される)ことがたやすく
理解できる。この目的のために、アクチュエータの振幅
の大きさ、位置及び力は良好に設計されるできである。
【0128】第1のケースとして、図26に示すよう
に、面内力を生成する2つのアクチュエータが軸対称モ
ードを制御するために使われ、図27に示すように、曲
げモーメントを生成する4つのアクチュエータが非軸対
称モードを制御するために使われている。アクチュエー
タのパラメータは図28に示され、そこでは、F* xl
* yl,M* xl及びM* ylは、それぞれFxl(バー付
き),Fyl(バー付き),Mxl(バー付き)及びM
yl(バー付き)の幅である。調和励振力下では、モード
応答qij(t)は次のような形で表記される。
【0129】
【数43】
【0130】ここでは、Aijはモード(i,j)の振幅
である。制御されたモードの振幅は、図29では固有振
動数ω2,0 に等しいf=600Hz、図30ではf=9
62Hzにおいて示されている(ここでは、コンマはi
とjの値を別にするために使われている)。デシベル値
は10logAijとして定義されている。これらの図面
から、特に、共振振動数の近くでは軸対称モードの振幅
は減少するが、非軸対称モードの振幅は、ほとんど変化
がないことが分かる。
【0131】更に、より良い制御結果を得るため、図3
1に示すように、面内力を生成する6つのアクチュエー
タが軸対称モードを制御するため、図32に示すよう
に、曲げモーメントを生成する12のアクチュエータが
非軸対称モードを制御するために使われる。全てのアク
チュエータの大きさが前もって与えられる。面内力アク
チュエータの振幅の位置と力はモード(i,j)=
(2,0),(4,0)及び(6,0)の制御に対し
て、手動操作で最適化される。曲げモーメントアクチュ
エータの振幅の位置と力は、モード(i,j)=(2,
5),(4,5)及び(6,5)の制御に対して、手動
操作で最適化される。全てのパラメータは図33に表示
される。
【0132】モード応答の振幅もまた、図29において
f=600Hz、図30においてf=962Hzのとこ
ろで示されている。上記モードの振幅が効果的に制御さ
れることは容易に理解することができる。また、十分な
数のアクチュエータが使われ、アクチュエータの振幅の
大きさ、位置及び力が十分に最適化される場合、最初に
仮定した数のモードは完全に制御され得る。
【0133】次に、平均応答について説明する。殻表面
上の異なる位置での振動振幅は異なっており、そのた
め、筒内のノイズレベルは空間的な座標の関数である。
また、制御法の効果は、異なるモードによって異なって
しまう。したがって、包括的な制御効率を求めるため
に、我々は平均のノイズレベルに関連する全てのモード
の振幅の2乗平方根値を導入する。簡便のため、2乗平
方根値は平均応答と呼ばれ、以下のように定義される。
【0134】
【数44】
【0135】図34は周波数範囲400Hz〜1200
Hz内の平均応答の振幅を示す図である。この図30か
ら、ケース1(パラメータ最適化以前)の場合、振動レ
ベルはモード(2,0)の共振周波数である926Hz
近くの振動レベルが10dB以上減少するが、500H
z近くでは、約4dBしか減少しない。ケース2(パラ
メータ最適化以後)の場合、振動レベルは、モード
(2,5)の共振周波数の近傍を除いて、全ての共振周
波数に対して10dB以上も減少する。事実、パラメー
タがより最適化される場合、このモードは一層減少され
得る。
【0136】次に、パルス励振力下での過渡応答につい
て説明する。ここでは、パルス励振力下での殻の過渡応
答が考えられる。パルスは、上記に論じた周期的力の振
幅と同様の振幅を持つ矩形波である。パルス期間は10
msである。図35は、アクチュエータのパラメータが
最適化される時の、制御無し及び制御有りの(ξ,η)
=(0.35,0.0)位置の時刻歴を示す図である。
制御の有る振動の振幅は、制御の無いものより、さらに
小さくなることは容易に理解できる。
【0137】このように、衝撃的なローレンツ力を受け
るMRI装置で使用される円筒殻の振動の制御を行うこ
とができる。ここで、圧電アクチュエータは軸対称モー
ドと非軸対称モードが、各々に連成する面内力と曲げモ
ーメントを生じさせるために使われている。その結果、 (1)円筒殻のMRI装置の勾配磁場コイルの周方向の
低いモードの振幅を十分に減少することができる。 (2)制御されないモードとは連成しないように、アク
チュエータの振幅の大きさ、位置及び力が設計される。 (3)十分な数のアクチュエータが使用され、アクチュ
エータの振幅の大きさ、位置及び力が最適化される場
合、考慮された数のモードは完全に制御される。
【0138】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0139】
【発明の効果】以下、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。 (1)円筒殻に生ずる振動をアクチュエータとして圧電
フィルムを用いて、モーメントを加えて材料自体で能動
的に振動を制御することができる。
【0140】また、円筒殻等の曲率を持った物の振動で
も、柔軟性を持った圧電フィルムを用いることにより、
振動を制御することができる。更に、圧電アクチュエー
タは振動モードのモーメントが0になる点、すなわち振
動モードの変極点である節から次の節まで貼るのが最も
有効であり、振動モードの節がどの位置にくるかを予め
設定した上で、圧電アクチュエータを取り付けることに
より、より有効な振動の制御を行うことができる。
【0141】(2)MRI装置の勾配磁場コイルの衝撃
的な振動を圧電フィルムからなる圧電アクチュエータの
強制加振により、有効に制振することができる。更に、
MRI装置の勾配磁場コイルの勾配磁場に高周波の電流
を流すことができるようになり、MRI装置の性能を飛
躍的に高めることが可能となる。つまり、振動が発生し
ない静かで高性能なMRI装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アクチ
ュエータによる振動制御システム構成図である。
【図2】本発明のモデルの不確かさや制御仕様に関係し
た重み関数を含んだ制御対象とコントローラのフィード
バック構造を示す図である。
【図3】本発明で扱う円筒殻の圧電アクチュエータによ
る振動制御のための解析モデルと座標系を示す図であ
る。
【図4】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アクチ
ュエータによる振動制御装置の各種パラメータを示す図
である。
【図5】本発明の第1実施例を示す円筒殻の固有振動数
を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例を示す周波数対重み関数の
ゲインプロットを示す図である。
【図7】本発明の第1実施例を示す周波数対ロバスト安
定性と公称制御性能を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例を示す周波数対最大特異点
及びμプロットを示す図である。
【図9】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アクチ
ュエータに最大電圧200Vを印加した場合の応答波形
の計算結果を示す図である。
【図10】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧200Vを印加した場合の応答波
形の実験結果を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧200Vを印加した場合の制御入
力の計算結果を示す図である。
【図12】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧200Vを印加した場合の制御入
力の実験結果を示す図である。
【図13】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧500Vを印加した場合の応答波
形の計算結果を示す図である。
【図14】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧500Vを印加した場合の応答波
形の実験結果を示す図である。
【図15】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧500Vを印加した場合の制御入
力の計算結果を示す図である。
【図16】本発明の第1実施例を示す円筒殻の圧電アク
チュエータに最大電圧500Vを印加した場合の制御入
力の実験結果を示す図である。
【図17】本発明の第2実施例を示す円筒殻の核磁気共
鳴描画装置の勾配コイルドラムの振動制御の説明図であ
る。
【図18】本発明の第2実施例を示す円筒殻の核磁気共
鳴描画装置の勾配コイルドラムのアクチェータの配置図
である。
【図19】本発明の第2実施例を示す円筒殻の核磁気共
鳴描画装置の勾配コイルドラムのアクチェータによる曲
げモーメント生成の説明図である。
【図20】本発明の第2実施例を示す円筒殻の他の核磁
気共鳴描画装置の勾配コイルドラムのアクチェータによ
る面内力生成の説明図である。
【図21】本発明の第2実施例を示す円筒殻の核磁気共
鳴描画装置の勾配コイルドラムの外形を示す図である。
【図22】本発明の第2実施例を示す円筒殻の核磁気共
鳴描画装置の勾配コイルドラムの幾何学的パラメータ及
び材料的特性を示す図である。
【図23】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのzコイル、xコイルのローレン
ツ力の方向を示す図である。
【図24】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのアクチュエータの2つのセット
の形状を示す図である。
【図25】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムの異なる軸方向の波数i及び周方
向の波数jの固有振動数を示す図である。
【図26】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのケース1の面内力生成用アクチ
ュエータの配置を示す図である。
【図27】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのケース1の曲げモーメント生成
用アクチュエータの配置を示す図である。
【図28】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのアクチュエータのパラメータを
示す図である。
【図29】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムの制御されたモードの振幅(固有
振動数ω2,0 に等しいf=600Hz)を示す図であ
る。
【図30】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムの制御されたモードの振幅(f=
962Hz)を示す図である。
【図31】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのケース2の面内力生成用アクチ
ュエータの配置を示す図である。
【図32】本発明の第2実施例を示す核磁気共鳴描画装
置の勾配コイルドラムのケース2の曲げモーメント生成
用アクチュエータの配置を示す図である。
【図33】本発明の第2実施例を示す他の核磁気共鳴描
画装置の勾配コイルドラムの制御装置の全てのパラメー
タを示す図である。
【図34】本発明の第2実施例を示す他の核磁気共鳴描
画装置の勾配コイルドラムの周波数範囲400Hz〜1
200Hz内の平均応答の振幅を示す図である。
【図35】本発明の第2実施例を示す他の核磁気共鳴描
画装置の勾配コイルドラムのアクチュエータのパラメー
タが最適化される時の、制御無し及び制御有りの位置の
時刻歴を示す図である。
【図36】従来の核磁気共鳴描画装置の構成図である。
【符号の説明】
5,20,100 円筒殻 6,22 圧電アクチュエータ 21 台座 23 ギャップ・センサ 30,112 電子制御装置 32,33,34 インタフェース 41 A/Dコンバータ 42 D/Aコンバータ 43 増幅器 44 データ入力装置 103 勾配磁場コイル 104,105 面内力生成用圧電アクチュエータ 106,107,108,109 曲げモーメント生
成用圧電アクチュエータ 110 勾配磁場コイル用電源 111,115,117 スイッチング回路 113 同期装置 114,116 アクチュエータ用電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 3/00 - 3/20 G05D 19/00 - 19/02 G05B 11/00 - 13/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)圧電フィルムからなる圧電アクチュ
    エータを有すると共に、核磁気共鳴描画装置の勾配磁場
    コイルを有する円筒殻の両端を支持し、 (b)前記勾配磁場コイルに流れるパルス電流と同期さ
    せて、前記圧電アクチュエータに駆動電圧を印加し、 (c)前記勾配磁場コイルに働く衝撃的なローレンツ力
    を圧電アクチュエータの生成力で相殺することを特徴と
    する円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御方法。
  2. 【請求項2】 前記圧電アクチュエータに電圧の同位相
    もしくは逆位相が圧電フィルムの異なる層に加えられる
    と、面内力及び曲げモーメントを生じ、振動の軸対称及
    び非軸対称なモードを制御する請求項記載の円筒殻の
    圧電アクチュエータによる振動制御方法。
  3. 【請求項3】 前記振動は1000Hz以下である請求
    記載の円筒殻の圧電アクチュエータによる振動制御
    方法。
  4. 【請求項4】(a)圧電アクチュエータを有すると共
    に、核磁気共鳴描画装置の勾配磁場コイルを有する円筒
    殻の両端を支持する手段と、 (b)前記勾配磁場コイルに流れるパルス電流と同期さ
    せて、前記圧電アクチュエータに駆動電圧を印加する手
    段と、 (c)前記勾配磁場コイルに働く衝撃的なローレンツ力
    を圧電アクチュエータの生成力で相殺する手段を具備す
    ることを特徴とする円筒殻の圧電アクチュエータによる
    振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記圧電アクチュエータは前記勾配磁場
    コイルのリング状のzコイルに対応させてリング状の面
    内力生成用圧電アクチュエータを、前記勾配磁場コイル
    の矩形状のxコイルに対応させて曲げモーメント生成用
    圧電アクチュエータを配置してある多層の圧電フィルム
    よりなる請求項記載の円筒殻の圧電アクチュエータに
    よる振動制御装置。
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