JP3349858B2 - 音声符号化装置 - Google Patents

音声符号化装置

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JP3349858B2 JP03062495A JP3062495A JP3349858B2 JP 3349858 B2 JP3349858 B2 JP 3349858B2 JP 03062495 A JP03062495 A JP 03062495A JP 3062495 A JP3062495 A JP 3062495A JP 3349858 B2 JP3349858 B2 JP 3349858B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音声からピッチ周波数、
各高調波の有声無声判定、スペクトル振幅情報の3つの
パラメータを算出して符号化する音声符号化装置であっ
て、そのスペクトル振幅情報をスペクトル包絡パラメー
タによって表現し、そのパラメータを効率よく符号化す
る音声符号化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル信号処理技術の発達に
より、ディジタル通信のサービスが多様化し、通信にお
ける伝送容量の制限から、低ビットレート化の要求が高
まっている。高能率音声符号化技術は、その要求を満た
すために欠かすことのできない技術である。ピッチ周波
数、各高調波の有声無声判定、スペクトル振幅情報の3
つのパラメータを符号化するMBE(Multi Band Excit
ed)符号化法は、低ビットレートにおいても良好な音質
が得られる優れた符号化方法として知られている(IEEE
Trans ASSP VOL 36. NO.8. 1988)。また、そのスペクト
ル振幅情報を改良ケプストラムなどの、スペクトル包絡
を示すパラメータによって表現するMBE符号化法も知
られている(1994 年電子情報通信学会秋季大会 A-177)
【0003】以下、従来から知られているスペクトル包
絡を表すパラメータとして改良ケプストラム係数を用い
るMBE符号化法について、図5を参照して説明する。
図5において、1は入力音声信号を入力とし、推定ピッ
チ周波数を出力するピッチ周波数推定部である。2は入
力音声信号および推定ピッチ周波数を入力とし、入力音
声信号の高調波の有声無声判定を出力とする有声無声判
定部である。3は入力音声信号を入力とし、改良ケプス
トラム係数を出力とする改良ケプストラム係数算出部で
ある。4は修正ピッチ周波数、有声無声判定、改良ケプ
ストラム係数を入力とし、それらの情報を量子化、符号
化した符号を出力する量子化・符号化部である。
【0004】次に、上記従来例の動作を説明する。ピッ
チ周波数推定部1では、入力音声信号からそのピッチ周
波数を算出する。ピッチ周波数を算出する手段として
は、従来から入力音声信号の相関関数やスペクトル振幅
を利用する方法が知られている。次に、有声無声判定部
2では、入力音声信号のスペクトルを算出し、推定ピッ
チ周波数に基づいて高調波周波数を求め、それをもとに
各高調波の有声無声判定を行う。各高調波の有声無声判
定方法としては、各高調波を有声と仮定したときのスペ
クトルと入力音声信号のスペクトルの差異をもとに判定
を行う方法が、従来から知られている。次に改良ケプス
トラム係数算出部3では、入力音声信号の改良ケプスト
ラム係数を算出する。また、量子化・符号化部4では、
推定ピッチ周波数、各高調波の有声無声判定、改良ケプ
ストラム係数を従来用いられているような効率の良い量
子化器およびマルチプレクサによって符号化する。結果
として、符号化されたピッチ周波数、有声無声判定、改
良ケプストラム係数が、この符号化装置の出力として得
られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の音声符号化装置では、改良ケプストラム係数など
のスペクトル包絡パラメータによって求められるスペク
トル包絡は、図6のようにスペクトルのピークを通るよ
うな包絡として求められるため、図6のように推定され
たピッチが正しいピッチの1/2の周波数となる倍ピッ
チ誤りが生じたとき、合成すると図7のように全く異な
るスペクトルが得られてしまうため、復号音声は、ピッ
チ周波数推定誤りが生じた箇所で局所的に非常に耳障り
な音になるという問題を有していた。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、復号化したときに耳障りな音を生じさせない優れた
音声符号化装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、入力音声信号と推定ピッチ周波数とスペ
クトル包絡パラメータの情報をもとに、倍ピッチ誤りを
修正するピッチ周波数修正部を備えたものである。
【0008】
【作用】本発明は、上記構成によって、倍ピッチ誤りを
検出および修正することによって、復号化したときに耳
障りな音の発生を防止することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。図1において、101は入力音声
信号を入力し、推定ピッチ周波数を出力とするピッチ周
波数推定部である。102は入力音声信号と推定ピッチ
周波数と改良ケプストラム係数を入力とし、修正ピッチ
周波数を出力するピッチ周波数修正部である。103は
入力音声信号を入力とし、改良ケプストラム係数を出力
とする改良ケプストラム係数算出部である。104は入
力音声信号と修正ピッチ周波数を入力とし、入力音声信
号の高調波の有声無声判定を出力とする有声無声判定部
である。105は修正ピッチ周波数、有声無声判定、改
良ケプストラム係数を入力とし、それらの情報を符号化
した符号を出力する量子化・符号化部である。
【0010】次に、上記実施例の動作を説明する。ピッ
チ周波数推定部101では、入力音声信号からそのピッ
チ周波数を算出する。ピッチ周波数を算出する手段とし
ては、従来から入力音声信号の相関関数やスペクトル振
幅を利用する方法が知られている。ピッチ周波数修正部
102では、後述するように修正ピッチ周波数を出力す
る。改良ケプストラム係数算出部103では、入力音声
信号の改良ケプストラム係数を算出する。有声無声判定
部104では、入力音声信号のスペクトルを算出し、修
正ピッチ周波数に基づいて高調波周波数を求め、それら
をもとに各高調波の有声無声判定を行う。各高調波の有
声無声判定方法としては、各高調波を有声と仮定したと
きのスペクトルと入力音声信号のスペクトルの差異をも
とに判定を行う方法が、従来から知られている。そして
量子化・符号化部105では、修正ピッチ周波数、各高
調波の有声無声判定、改良ケプストラム係数を、従来用
いられているような効率の良い量子化器およびマルチプ
レクサによって符号化する。結果として、符号化された
ピッチ周波数、有声無声判定、改良ケプストラム係数
が、この符号化装置の出力として得られる。
【0011】次に、ピッチ周波数修正部102につい
て、図2を用いて詳細に説明する。図2において、11
0は推定ピッチ周波数を入力とし、修正ピッチ周波数候
補を出力とするピッチ候補算出部である。111は入力
音声信号を入力とし、入力音声信号のスペクトルを出力
とする高速フーリエ変換器である。112は入力音声信
号のスペクトルおよび修正ピッチ周波数候補を入力と
し、入力音声信号の各高調波のパワーの平均値を出力と
する高調波平均パワー算出部である。113は改良ケプ
ストラム係数を入力とし、合成音声信号の対数スペクト
ルを出力する高速フーリエ変換器である。114は合成
音声信号の対数スペクトルを入力とし、合成音声信号の
スペクトルを出力する対数−リニア変換器である。11
5は合成音声信号のスペクトルと修正ピッチ周波数候補
を入力とし、合成音声信号の各高調波のパワー平均値を
出力する高調波平均パワー算出部である。116は入力
音声信号の各高調波のパワー平均値、合成音声信号のパ
ワー平均値および修正ピッチ周波数候補を入力とし、修
正ピッチ周波数を出力とする修正ピッチ周波数決定部で
ある。
【0012】次に、図2においてその動作を説明する。
ピッチ周波数候補算出部110は、推定ピッチ周波数を
もとに修正ピッチ周波数候補を求める。修正ピッチ候補
とは、ピッチ候補算出部110に入力される周波数w’
の整数倍の周波数で、かつ従来から知られているような
人間の音声のピッチ周波数の取り得る範囲内のものであ
る。すなわち人間の音声のピッチ周波数の下限をwL 、
上限をwH とすると、 wL < nw’< wH (n=2、3、4、) ・・・(1) を満たす全てのnw’である。
【0013】次に、高速フーリエ変換111によって入
力音声信号がスペクトルに変換される。高調波平均パワ
ー算出部112では、入力音声信号のスペクトルにおい
て、修正ピッチ周波数候補nw’の整数倍の周波数成分
である高調波のスペクトルパワーを算出し、その平均値
を求める。第l(エル)高調波のスペクトルパワーをX
I (l,nw’)のように表せば、平均値 XI (n
w’)ave は、
【0014】
【数1】 のように求められる。ここで、Lnw’は入力音声信号の
全帯域を修正ピッチ周波数nw’で割ったもの、すなわ
ち修正ピッチ周波数nw’に対する高調波数である。
【0015】ここで、修正ピッチ周波数候補nw’が、
正しいピッチ周波数であった場合、図6に示すようにス
ペクトルにおいてピークがある周波数と、修正ピッチ周
波数に基づく高調波の周波数が一致するため、前述の入
力音声信号のスペクトルパワーの平均値は、誤って推定
されているスペクトルパワーの平均値よりもかなり大き
な値をとる。これをピッチ修正の条件となる第1の性質
とする。
【0016】次に、高速フーリエ変換器113によっ
て、改良ケプストラム係数から合成音声信号の対数スペ
クトルが算出される。さらに、対数−リニア変換器11
4によって、合成音声信号のスペクトルパワーが算出さ
れる。高調波平均パワー算出部115では、修正ピッチ
周波数候補nw’の整数倍の周波数成分である合成音声
信号の第l高調波のスペクトルパワーXC (l,n
w’)を算出し、その平均値XC (nw’)ave を算出
する。
【0017】
【数2】
【0018】ここで、修正ピッチ周波数候補nw’が、
正しいピッチ周波数であった場合、図7に示す合成音声
信号における各高調波のスペクトルと、図6に示す音声
信号の各高調波のスペクトルは、ほぼ等しい値をとる。
従って、前述入力音声信号のスペクトルパワーの平均値
と前述合成音声信号のスペクトルパワーの平均値もほぼ
等しい値をとることになる。これをピッチ修正の条件と
なる第2の性質とする。
【0019】修正ピッチ周波数決定部11では、前述
したピッチ修正の条件となる第1および第2の性質を主
として、ピッチ修正を行う。この修正アルゴリズムを図
3を参照しながら説明する。まず、初期値として、n=
1、w0 = w’とおく(ステップ121)。ピッチ周
波数候補数回、すなわちnw’が(1)式を満たす
間、nをインクリメントしながら処理を繰り返す(ステ
ップ122、123〜128)。まず、誤修正を防ぐた
めに、フレーム内のパワーがあるしきい値以上であると
き(ステップ124)、かつ前フレームとのピッチ周波
数のずれが、ピッチ周波数の修正によって小さくなる条
件のとき(ステップ125)、次のステップに進む。
【0020】適当なしきい値TH1およびTH2を設
け、前述したピッチ修正の条件となる第1および第2の
性質、すなわち、
【0021】
【数3】 および
【0022】
【数4】 を満たすとき、w0 =nw’のように修正する(ステッ
プ126、127、128)。式(1)を満たす間これ
らの処理を繰り返し、最終時点でのw0 を修正ピッチ周
波数として採用する(ステップ129)。
【0023】本実施例による符号化音声品質特性と従来
の符号化音声品質特性を図4に比較して示している。こ
れは、1フレーム160サンプル(20ms)単位で求
めた入力音声信号に対するCD(ケプストラム距離)値
である。この図から明らかなように、従来装置において
300フレーム近辺で生じているピッチ周波数の推定誤
りによる音質劣化が、本実施例では大きく改善されてい
ることがわかる。また、主観的にも、局所的に非常に耳
障りであった音質劣化が、本実施例によりほぼ除去され
ている。
【0024】以上のように、本実施例によれば、ディジ
タル化された入力音声信号と、推定ピッチ周波数と、改
良ケプストラム係数の情報を用いるピッチ周波数修正部
102を設けることにより、倍ピッチ誤りを修正し、音
声品質を改善することができる。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明は、入力音声信号
と推定ピッチ周波数とスペクトル包絡パラメータの情報
をもとに倍ピッチ誤りを修正するピッチ周波数修正部を
備えているので、倍ピッチ誤りを修正し、音声品質を改
善することができる優れた音声符号化装置を実現できる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における音声符号化装置のブロ
ック図
【図2】本発明の実施例におけるピッチ周波数修正部の
ブロック図
【図3】本発明の実施例における修正ピッチ周波数決定
部での処理を示すフロー図
【図4】本実施例および従来例における音声品質の比較
を示す特性図
【図5】従来の音声符号化装置のブロック図
【図6】倍ピッチ誤り時の入力音声信号スペクトルおよ
びスペクトル包絡を示す特性図
【図7】倍ピッチ誤り時の合成音声信号スペクトルを示
す特性図
【符号の説明】
101 ピッチ周波数推定部 102 ピッチ周波数修正部 103 改良ケプストラム係数算出部 104 有声無声判定部 105 量子化・符号化部 110 ピッチ周波数候補算出部 111 高速フーリエ変換器 112 高調波平均パワー算出部 113 高速フーリエ変換器 114 対数−リニア変換器 115 高調波平均パワー算出部 116 修正ピッチ周波数決定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 19/00 - 19/14 G10L 11/04 - 11/06 H03M 7/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力音声信号のピッチ周波数を推定する
    ピッチ周波数推定部と、入力音声信号の各高調波の有声
    無声を判定する有声無声判定部と、入力音声信号のスペ
    クトル包絡パラメータを求めるスペクトル包絡パラメー
    タ算出部と、入力音声信号と推定ピッチ周波数と音声の
    スペクトル包絡パラメータをもとに、倍ピッチ周波数誤
    りを修正するピッチ周波数修正部と、修正したピッチ周
    波数、有声無声判定、スペクトル包絡パラメータを量子
    化・符号化する量子化・符号化部とを備えた音声符号化
    装置であって、ピッチ周波数修正部が、符号化時に検出
    したピッチ周波数での入力音声信号と係数を用いて算出
    した合成音声信号との合成処理を整数倍のピッチ周波数
    について行い、両者のスペクトルの差が最も小さいもの
    を正しいピッチ周波数として出力することを特徴とする
    音声符号化装置。
  2. 【請求項2】 ピッチ周波数修正部が、合成音声信号の
    スペクトル符号器内で算出際のパラメータとし
    て、改良ケプストラム係数を用いることを特徴とする請
    求項1記載の音声符号化装置。
  3. 【請求項3】 ピッチ周波数修正部が、修正ピッチ周波
    数候補を算出する修正ピッチ周波数候補算出部と、入力
    音声信号のスペクトルを算出する高速フーリエ変換器
    と、入力音声信号の高調波スペクトルのパワーの平均を
    算出する高調波平均パワー算出部と、合成音声信号の対
    数スペクトルを算出する高速フーリエ変換器と、対数−
    リニア変換を行う対数−リニア変換器と、合成音声信号
    の各高調波スペクトルのパワーの平均値を算出する高調
    波平均パワー算出部と、修正ピッチ候補の中から入力音
    声信号の平均パワーが所定のしきい値より大きく、かつ
    入力音声信号と合成音声信号の平均パワーとの誤差が所
    定のしきい値以内であるものを修正ピッチとして決定す
    る修正ピッチ周波数決定部とを備えた請求項2記載の音
    声符号化装置。
  4. 【請求項4】 ピッチ周波数推定部が、前フレームの
    ッチ周波数との差異および現フレームのパワーの値を、
    ピッチ修正の判断基準とる請求項3記載の音声符号化
    装置。
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JP2003241777A (ja) 2001-01-09 2003-08-29 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 楽音のフォルマント抽出方法、記録媒体及び楽音のフォルマント抽出装置

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