JP4343302B2 - ピッチ強調方法及びその装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル携帯電話などのディジタル音声通信装置に搭載される音声復号器におけるピッチ強調方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディジタル携帯電話などでは、音声信号を効率的に情報圧縮して伝送するため音声符号/復号化装置を搭載している。音声符号/復号化装置の音声復号側において、符号化により生じる復号音声の品質劣化に対して聴感上の品質を向上させるためポストフィルタによる処理が実行される。ポストフィルタによる処理には、復号信号が有するピッチ周期性を強調することにより聴感品質の向上を図るピッチ強調が含まれる。従来のピッチ強調方法の一つとして、国際機関ITU−Tの標準勧告G.729(8kbps CS−ACELP音声符号化方式)に基づく技術がある。以下、その従来のピッチ強調方法について図6及び図7を用いて説明する。
【0003】
図6は、音声符号/復号化装置の音声復号側に配置されたポストフィルタの構成を示すブロック図である。このポストフィルタ1は、音声復号後の復号音声に対して、後述するピッチ強調部2でピッチ強調を行った後、ホルマント強調部3で音声スペクトルの強調を行う。そして、高域強調部4でホルマント強調部3により生じたスペクトルの傾斜特性を補正し、最後にゲイン制御部5によりポストフィルタ処理後の信号パワーをポストフィルタ処理前の信号パワーに合わせるゲイン補正を行う。
【0004】
図7はピッチ強調部2の構成を示すブロック図である。ピッチ強調部2は、音声復号時に用いられたLPCパラメータにより構成されたLPC逆フィルタ21で復号音声から残差信号を算出する。本従来例では、LPC逆フィルタは、図6のホルマント強調部3におけるホルマント強調フィルタの分子項に相当し、ホルマント強調処理の一部を兼ねている。
【0005】
ラグ値算出部22では、LPC逆フィルタ21で得られた残差信号を用いてラグ値を算出する。ラグ値の算出には、音声復号で用いられたラグパラメータを利用する。ラグパラメータの表す整数ラグ値の前後から、残差信号の相関値が最大になる整数ラグ値を決定し、さらにその整数ラグ値の前後で正規化相関値が最大になる小数ラグ値Tを決定する。
【0006】
ゲイン係数算出部23では、ピッチ強調フィルタ24のゲインを制御する係数gを算出する。これは、ラグ値Tにおけるピッチ予測ゲイン(正規化相関値)として求める。
【0007】
最後にピッチ強調フィルタ24により、復号音声のLPC逆フィルタ後の残差信号に対してピッチ強調処理を行う。ピッチ強調フィルタHp(z)は、(1)式で与えられる。
【0008】
【数1】
Figure 0004343302
ただし、γはピッチ強調の度合いを制御する定数である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のピッチ強調方法をより効率的な符号化を行う低ビットレート(例えば4kbps)での音声符復号器に適用する場合、低ビットレート化に伴う復号音声品質の劣化をより抑えるために、ピッチ強調の度合いを強める必要がある。従来のピッチ強調方法は、ピッチ強調の度合いを強める場合、上記(1)式におけるピッチ強調の度合いを制御する定数γを大きくする必要がある。
【0010】
しかしながら、単に定数γを大きくしただけでは、音声の自然性を損なうことから違和感のある音質となり、かえって聴感上の品質を劣化させてしまうという問題を有する。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、低ビットレートな音声符復号器において、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行うことができ聴感品質をより高めることのできる優れたピッチ強調方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出し、前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの他のラグ値を一つ以上算出し、前記複数のラグ値での信号波形を用いて復号音声の強調を行うことである。
【0013】
これにより、低ビットレートな音声符復号器に適用する際に、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行い聴感品質をより向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1及び第2の態様のピッチ強調方法は、復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出し、前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの他のラグ値を一つ以上算出し、前記複数のラグ値での信号波形を用いて復号音声の強調を行うピッチ強調方法であり、他のラグ値は、第1のラグ値又は第1のラグ値の整数部分をn倍した値又はその付近の値であるようにしたものである。
【0015】
これらの方法により、ピッチ強調を行う信号波形に最も類似な第1のラグ値(1ピッチ周期前)の信号に加え、波形の類似性の高い第2(又はそれ以降)のラグ値(2ピッチ又はそれ以上のピッチ周期前)における信号を用いることにより、過去の複数の類似信号波形を用いたより滑らかなピッチ強調を実現でき、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行うことができる。
【0016】
本発明の第3の態様のピッチ強調方法は、復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出し、前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの第2のラグ値を算出し、前記第1、第2のラグ値及び前記復号音声から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出し、前記復号音声、第1及び第2のラグ値及び第1及び第2のゲイン係数を用いて復号音声のピッチ強調を行うものである。
【0017】
この方法は、複数のラグとして第1と第2の2つのラグ値を用いてピッチ強調を実現したもので、第1及び第2の態様の方法と同様、過去の複数の類似信号波形を用いたより滑らかなピッチ強調を実現でき、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行うことができる。
【0018】
本発明の第4の態様のピッチ強調方法は、第3の態様において、第2のラグ値を、第1のラグ値又はその整数部分の2倍の値を中心に、小数値を含むその前後のラグ値候補の中から、復号音声又はそれに関連する信号の相関値又はそれに関連する値を最大にするラグ値として算出するようにしたものである。
【0019】
この方法によれば、算出すべき第2のラグ値を第1のラグ値からより適切な範囲に限定すると共に、少ない演算量で第2のラグ値を算出できる。
【0020】
本発明の第5の態様のピッチ強調方法は、第3の態様において、第2のラグ値が、ラグ値算出に用いる復号音声又はそれに関連する信号のバッファ長の値を越える場合には、前記第2のラグ値における復号音声又はそれに関連する信号をピッチ強調フィルタ処理には用いないようにしたものである。
【0021】
この方法によれば、第2のラグ値における信号をピッチ強調に用いる場合に生じる保存すべきバッファ容量(メモリ容量)の増加を抑えることができる。
【0022】
本発明の第6の態様のピッチ強調方法は、第3の態様において、復号音声又はそれに関連する信号の第1又は第2のラグ値における正規化相関値があるしきい値以下の場合には、そのラグ値における復号音声又はそれに関連する信号をピッチ強調フィルタ処理には用いないようにしたものである。
【0023】
この方法によれば、ピッチ強調を行う信号波形と類似性の高くない信号をピッチ強調に用いないことで、聴感品質の劣化を抑えることができる。
【0024】
本発明の第7の態様のピッチ強調方法は、第3の態様において、ラグ値算出及び相関値算出に用いる復号音声又はそれに関連する信号として、復号音声に対してLPC逆フィルタを施して得られる残差信号を用いるようにしたものである。
【0025】
本発明の第8の態様のピッチ強調方法は、第3から第7のいずれかの態様において、復号音声の代わりに、残差信号に対してピッチ強調フィルタ処理を行うようにしたものである。
【0026】
これらの方法により、ピッチ強調処理の後段で行われるホルマント強調処理の一部を兼ねることができ、ホルマント強調処理での演算量を削減できる。
【0027】
本発明の第9の態様の音声復号方法は、第1から第8のいずれかの態様のピッチ強調方法を復号側のポストフィルタの処理に適用したものであり、音声復号において聴感特性に優れたピッチ強調を可能にする。
【0028】
本発明の第10及び第11の態様のピッチ強調装置は、復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出する第1のラグ値算出器と、前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの第2のラグ値を算出する第2のラグ値算出器と、前記第1,第2のラグ値及び前記復号音声から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出する第1及び第2のゲイン係数算出器と、前記復号音声、第1及び第2のラグ値及び第1及び第2のゲイン係数を用いてピッチ強調フィルタ処理を行うピッチ強調フィルタとを備え、また、復号音声又は音声復号で用いられるLPCパラメータにより復号音声に対してLPC逆フィルタ処理を行い残差信号を求めるLPC逆フィルタを備えたものであり、第3〜第7のいずれかの態様の方法を装置として実現したものである。
【0029】
本発明の第12の態様のピッチ強調装置は、第10の態様において、復号音声に対する代わりに、残差信号に対してピッチ強調フィルタ処理を行うピッチ強調フィルタを備えたものであり、第8の態様の方法を装置として実現したものである。
【0030】
本発明の第13の態様の音声復号装置は、第10から第12のいずれかの態様のピッチ強調装置を復号側のポストフィルタの一部として備えたものである。
【0031】
本発明の第14の態様の音声通信装置は、第10から第12のいずれかの態様のピッチ強調装置を復号側のポストフィルタの一部として備えたものである。
【0032】
本発明の第15の態様のコンピュータ・プログラム製品は、第1の態様のピッチ強調方法をソフトウェアで実現したプログラムを磁気ディスク、光磁気ディスク、ROM等の記録媒体記録したものを用いてピッチ強調装置として動作するものである。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるポストフィルタを備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
この無線通信装置において、送信側で音声がマイクなどの音声入力装置101によって電気的アナログ信号に変換され、A/D変換器102に出力される。アナログ音声信号は、A/D変換器102によってディジタル音声信号に変換され、音声符号化部103に出力される。音声符号化部103は、ディジタル音声信号に対して音声符号化処理を行い、符号化した情報を変復調部104に出力する。変復調部104は、符号化された音声信号をディジタル変調して、無線送信部105に送る。無線送信部105では、変調後の信号に所定の無線送信処理を施す。この信号は、アンテナ106を介して送信される。
【0035】
一方、無線通信装置の受信側では、アンテナ107で受信した受信信号は、無線受信部108で所定の無線受信処理が施され、変復調部104に送られる。変復調部104では、受信信号に対して復調処理を行い、復調後の信号を音声復号化部109に出力する。音声復号化部109は、復調後の信号に復号処理を行ってディジタル復号音声信号を得て、そのディジタル復号音声信号をD/A変換器110へ出力する。D/A変換器110は、音声復号化部109から出力されたディジタル復号音声信号をアナログ復号音声信号に変換してスピーカなどの音声出力装置111に出力する。最後に音声出力装置111が電気的アナログ復号音声信号を復号音声に変換して出力する。
【0036】
上記構成において、音声復号化部109は、図2に示す構成を有する。すなわち、受信データが分離器201に入力されると、受信データから量子化LPCを表現するLPCパラメータ符号L、固定音源符号ベクトルを表現する固定音源符号S、ラグ値を表現するラグパラメータ符号P、及びゲイン情報を表現するゲイン符号Gが抽出され、それぞれの符号がLPC復号部207、固定音源符号帳205、ラグパラメータ復号部203、及びゲイン符号帳206に入力される。
【0037】
LPC復号部207は、LPCパラメータ符号Lから量子化LPCを復号し、合成フィルタ208に出力する。固定音源符号帳205は、予め定められた個数の形状の異なる固定音源符号ベクトルが格納されており、入力した固定音源符号Sを復号して得られる固定音源符号帳インデックスによって指定される固定音源符号ベクトルを出力する。この固定音源符号ベクトルは、乗算器で後述する固定音源符号帳利得が乗じられた後に加算器に出力される。
【0038】
適応音源符号帳204は、過去に生成した駆動音源信号を逐次更新しながらバッファリングしており、ラグパラメータを用いて適応音源符号ベクトルを生成する。このラグパラメータは、入力したラグパラメータ符号Pをラグパラメータ復号部203で復号して得られる。この適応音源符号ベクトルは、乗算器で後述する適応音源符号帳利得が乗じられた後に加算器に出力される。
【0039】
ゲイン符号帳206は、適応音源符号帳利得と固定音源符号帳利得のセット(ゲインベクトル)を予め定められた個数だけ格納しており、入力したゲイン符号Gを復号して得られるゲイン符号帳インデックスによって指定されるゲインベクトルの適応音源符号帳利得成分を乗算器に、固定音源符号帳利得成分を乗算器に夫々出力する。
【0040】
加算器は、乗算器から入力される固定音源符号ベクトルと適応音源符号ベクトルの加算を行って駆動音源信号を生成し、合成フィルタ208及び適応音源符号帳204に出力する。
【0041】
合成フィルタ208は、入力した量子化LPCを用いてLPC合成フィルタを構築する。この合成フィルタに対して加算器から出力される駆動音源信号を入力としてフィルタ処理を行って合成信号をポストフィルタ209に出力する。
【0042】
ポストフィルタ209は、合成フィルタ208から入力した合成信号に対して、ピッチ強調、ホルマント強調、高域強調、及びゲイン制御などの音声信号の主観的品質を改善させるための処理を行う。ポストフィルタ209の出力は、所定の後処理が施された後にディジタル化された復号音声信号などの出力データとして出力される。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態1にかかるポストフィルタのピッチ強調部の機能ブロック図である。実施の形態1に係るポストフィルタのピッチ強調部は、復号音声に対してLPC逆フィルタ処理を行い残差信号を求めるLPC逆フィルタ301、音声復号で用いられるラグパラメータを用いて復号音声から第1のラグ値を算出する第1のラグ値算出部302、第1のラグ値及び復号音声から第2のラグ値を算出する第2のラグ値算出部303、第1、第2のラグ値及び前記復号音声から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出する第1及び第2のゲイン係数算出部304、復号音声、第1及び第2のラグ値及び第1及び第2のゲイン係数を用いてピッチ強調フィルタ処理を行うピッチ強調フィルタ305を備える。
【0044】
ピッチ強調フィルタ305のフィルタ特性を(2)式に示す。
【数2】
Figure 0004343302
ここで、T1,T2は、第1及び第2のラグ値、g1,g2はT1,T2のピッチ強調フィルタのゲイン係数、γ1、γ2はラグ値T1,T2に対するピッチ強調の度合いを制御する定数である。ピッチ強調フィルタ305は、(2)式に示されるように第1のラグ値T1の信号に加え、第2のラグ値T2の信号を用いてピッチ強調する。
【0045】
以上のように構成された実施の形態1についてそのピッチ強調の動作を図4に示す処理手順にしたがって説明する。なお、本実施の形態1でピッチ強調処理は復号音声の一定長の区間を単位として行われる。この区間長は、ピッチ強調が適用される音声符復号処理の符号化単位(フレーム又はサブフレーム)に対応している。
【0046】
まず、LPC逆フィルタ301では、復号音声s(n)(n=0,1,…,N−1;N:区間長)から残差信号r(n)(n=0,1,…,N−1)が算出される。LPC逆フィルタ301を構成するLPC係数は、音声復号時に用いる符号化側から送信されたLPCパラメータを用いている。なお、LPC係数については、復号音声s(n)を直接LPC分析して求めたLPCパラメータを用いることができる。
【0047】
次に、第1のラグ値算出部302において、残差信号r(n)から第1のラグ値T1を求める。第1のラグ値T1の算出方法は任意であるが、例えば、(3)式に示す残差信号の相関値R(k)、又は(4)式に示す正規化相関値Rn(k)が最大になるラグ値を第1のラグ値T1として求めることができる。
【0048】
【数3】
Figure 0004343302
【数4】
Figure 0004343302
ここで、(3)式、(4)式においてrk(n)はラグ値k(小数ラグ値を含む)における残差信号である。
【0049】
また、最初に整数ラグ値でラグ値の範囲を絞り、その整数ラグ値の前後の特定範囲内で小数ラグ値の最適値を求めるという方法を採ることができる。また、音声復号時に符号化側から送信されるラグパラメータのラグ値をそのまま第1のラグ値とする、あるいはその整数部分を中心にその前後の範囲で小数ラグ値を算出しても良い。
【0050】
このようにして得られた第1のラグ値T1は、ピッチ強調の対象信号波形に最も類似した信号波形が存在する位置までの遅延量を表すことになる。典型的には、復号音声信号又は残差信号が周期的な信号波形の場合、対象信号波形から1ピッチ周期前の信号波形までの距離を示す。
【0051】
次に、第2のラグ値算出部303が、第1のラグ値T1と残差信号を用いて第2のラグ値T2を算出する。第2のラグ値算出部303は、第1のラグ値T1(又は第1のラグ値T1における整数部分)を2倍したラグ値を中心に、その前後の小数ラグ値を含む範囲で(4)式が最大になるラグ値を第2のラグ値T2として算出する。このように第2のラグ値を求めることにより、算出すべき第2のラグ値を第1のラグ値からより適切な範囲に限定すると共に、少ない演算量で第2のラグ値を算出できる。
【0052】
このようにして得られた第2のラグ値T2は、典型的には、復号音声信号又は残差信号が周期的な信号波形の場合、対象信号波形から2ピッチ周期前の信号波形までの距離を示す。
【0053】
なお、第2のラグ値T2の探索範囲が、残差信号のバッファ長の値を越えるような場合には、第2のラグ値算出を中止し、第2のラグ値T2における復号音声信号をピッチ強調に用いないようにする。このことで、残差信号及び復号音声信号のバッファ容量(メモリ容量)の増加を抑えることができる。
【0054】
次に、第1及び第2のゲイン係数算出部304により、第1及び第2のラグ値におけるピッチ強調フィルタのゲイン係数を決定する。第1及び第2のゲイン係数g1、g2は(5)式、(6)式により算出できる。
【0055】
【数5】
Figure 0004343302
【数6】
Figure 0004343302
なお、g1、g2に関連する(7)式及び(8)式の値があるしきい値Th1、Th2以下の場合、そのラグ値でのピッチ強調を行わないようにする。このことで、類似性の高くない復号音声信号をピッチ強調に用いてしまうことによる聴感品質の劣化を抑えることができる。
【0056】
【数7】
Figure 0004343302
【数8】
Figure 0004343302
最後に、ピッチ強調フィルタ305により、復号音声に対して(2)式に示すピッチ強調フィルタを施すことでピッチ強調を行い、ピッチ強調後の出力信号を得る。
【0057】
ピッチ強調後の出力に対しては、その後ホルマント強調、高域強調、及びゲイン制御の各処理が施され、ポストフィルタの出力となる。このような処理を行うことにより、聴感特性に優れたピッチ強調を可能にした音声復号を行うことができる。
【0058】
以上のような実施の形態1によれば、第1のラグ値算出部302に加え、第2のラグ値算出部303を備え、第1のラグ値T1の2倍付近で最適な第2のラグ値T2を算出し、そのラグ値T2での復号音声信号を第1のラグ値での復号音声信号に加えてピッチ強調に用いることで、ピッチ強調を行う信号波形に最も類似な第1のラグ値(1ピッチ周期前)の信号に加え、波形の類似性の高い第2のラグ値(2ピッチ周期前)における信号を用いることとなり、過去の複数の類似信号波形を用いたより滑らかなピッチ強調を実現でき、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行うことができる。
【0059】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るポストフィルタのピッチ強調部の機能ブロックである。実施の形態2のポストフィルタは、ピッチ強調フィルタ405の入力として、復号音声信号の代わりにLPC逆フィルタ401の出力である残差信号を用いる。その他の構成(第1のラグ値算出部402、第2のラグ値算出部403、第1、第2のゲイン係数算出部404)は実施の形態1と同一である。
【0060】
実施の形態2では、第1及び第2のラグ値における残差信号及びゲイン係数を用いてピッチ強調処理を行う。ここで、LPC逆フィルタ401のフィルタ特性として、ピッチ強調処理の後段で行われる(9)式で示すホルマント強調フィルタの分子項に相当する特性を用いる。ai(i=1,…,Np)はLPC係数、γn,γdはホルマント強調度合いを制御する定数、1/gfはゲイン補正項である。
【0061】
【数9】
Figure 0004343302
【0062】
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、本発明のピッチ強調フィルタで用いるラグ値及びゲイン係数算出時に用いる残差信号を得るためのLPC逆フィルタ処理が、ホルマント強調フィルタの一部を兼ねることができ、演算量の削減を図ることができる。
【0063】
なお、上記実施の形態1及び2では、ピッチ強調に用いるラグ値として第1及び第2の2つのラグ値を用いる場合について説明したが、2つ以上のラグ値を用いる方法も同様に実現できる。
【0064】
また、その場合に、第1のラグ値の1/2あるいは1/n(n=3,4,…)付近のラグ値を用いるようにして、第1のラグ値算出時にn倍ピッチ誤り(ラグ値を本来のn倍の値として誤って算出してしまう)場合の改善を図ることも可能である。
【0065】
また、上記実施の形態1及び2においては、ラグ値及びゲイン係数算出にLPC逆フィルタ後の残差信号を用いて算出する方法について説明したが、復号音声信号から直接求めてもよい。
【0066】
また、本発明は、上述したピッチ強調方法をソフトウェアで実現したプログラムを磁気ディスク、光磁気ディスク、ROMなどの記録媒体に記録したものを用いてピッチ強調装置として動作するものを含む。
【0067】
上記実施の形態においては、音声復号がCELP型の場合について説明しているが、本発明はCELP型ではない音声復号である場合にも適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ピッチ強調を行う信号波形に最も類似な第1のラグ値(1ピッチ周期前)の信号に加え、波形の類似性の高い第2のラグ値(2ピッチ周期前)における信号を用いることにより、過去の複数の類似信号波形を用いたより滑らかなピッチ強調を実現でき、復号音声の自然性を損なうことなく強調度合いの高いピッチ強調を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるポストフィルタを備えた無線通信装置の構成を示すブロック図
【図2】図1に示す無線通信装置の音声復号化部の構成を示すブロック図
【図3】上記実施の形態1にかかるポストフィルタのピッチ強調部の構成を示すブロック図
【図4】上記実施の形態1におけるピッチ強調動作の動作手順を示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態2にかかるポストフィルタのピッチ強調部の構成を示すブロック図
【図6】従来のピッチ強調を行うポストフィルタの構成を示すブロック図
【図7】従来のポストフィルタにおけるピッチ強調部の構成を示すブロック図
【符号の説明】
301,401 LPC逆フィルタ
302,402 第1のラグ値算出部
303,403 第2のラグ値算出部
304,404 第1、第2のゲイン係数算出部
305,405 ピッチ強調フィルタ

Claims (10)

  1. 復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出し、
    前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの他のラグ値であって、前記第1のラグ値又は前記第1のラグ値の整数部分をn倍した値又はその付近の値である他のラグ値を一つ以上算出し、
    前記複数のラグ値を予め設定された特性式に適用して得られるピッチ強調フィルタに、前記復号音声を入力してフィルタ処理を行うことにより、復号音声の強調を行う
    ことを特徴とするピッチ強調方法。
  2. 復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出し、
    前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの第2のラグ値であって、前記第1のラグ値又は前記第1のラグ値の整数部分を2倍した値を中心に、小数値を含むその前後のラグ値候補の中から、復号音声又は復号信号にLPC逆フィルタ処理を施して得られる残差信号の相関値を最大にする第2のラグ値を算出し、
    前記第1、第2のラグ値及び前記復号音声から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出し、
    前記第1及び第2のラグ値及び前記第1及び第2のゲイン係数を予め設定された特性式に適用して得られるピッチ強調フィルタに、前記復号音声を入力してフィルタ処理を行うことにより、復号音声のピッチ強調を行う
    ことを特徴とするピッチ強調方法。
  3. 第2のラグ値が、ラグ値算出に用いる前記復号音声又は前記残差信号のバッファ長の値を越える場合には、前記第2のラグ値における前記復号音声又は前記残差信号をピッチ強調には用いない
    ことを特徴とする請求項記載のピッチ強調方法。
  4. 前記復号音声又は前記残差信号の第1又は第2のラグ値における正規化相関値があるしきい値以下の場合には、そのラグ値における前記復号音声又は前記残差信号をピッチ強調には用いない
    ことを特徴とする請求項記載のピッチ強調方法。
  5. 復号音声の代わりに、復号音声に対してLPC逆フィルタを施して得られる残差信号をピッチ強調フィルタ処理の入力として用いる
    ことを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のピッチ強調方法。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載のピッチ強調方法を復号側のポストフィルタの処理に適用したことを特徴とする音声復号化方法。
  7. 復号音声に対してLPC逆フィルタ処理を行い残差信号を求めるLPC逆フィルタと、
    前記復号音声又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出する第1のラグ値算出器と、
    前記第1のラグ値を基準にして前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの第2のラグ値であって、前記第1のラグ値又は前記第1のラグ値の整数部分を2倍した値を中心に、小数値を含むその前後のラグ値候補の中から、前記復号音声又は前記残差信号の相関値を最大にする第2のラグ値を算出する第2のラグ値算出器と、
    前記第1及び第2のラグ値及び前記復号音声から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出する第1及び第2のゲイン係数算出器と、
    前記第1及び第2のラグ値及び前記第1及び第2のゲイン係数を予め設定された特性式に適用して得られるフィルタであって、前記復号音声を入力してピッチ強調フィルタ処理を行うピッチ強調フィルタと
    を備えたことを特徴とするピッチ強調装置。
  8. 復号音声に対してLPC逆フィルタ処理を行い残差信号を求めるLPC逆フィルタと、
    前記残差信号又は音声復号で用いられるラグパラメータの少なくとも一つからピッチ強調対象の信号波形に類似する信号波形までの第1のラグ値を算出する第1のラグ値算出器と、
    前記第1のラグ値及び前記残差信号から前記ピッチ強調対象の信号波形に類似する他の信号波形までの第2のラグ値であって、前記第1のラグ値又は前記第1のラグ値の整数部分を2倍した値を中心に、小数値を含むその前後のラグ値候補の中から、前記復号音声又は前記残差信号の相関値を最大にする第2のラグ値を算出する第2のラグ値算出器と、
    前記第1及び第2のラグ値及び前記残差信号から第1及び第2のラグ値に対する第1及び第2のゲイン係数を算出する第1及び第2のゲイン係数算出器と、
    前記第1及び第2のラグ値及び前記第1及び第2のゲイン係数を予め設定された特性式に適用して得られるフィルタであって、前記残差信号を入力してピッチ強調フィルタ処理を行うピッチ強調フィルタと
    を備えたことを特徴とするピッチ強調装置。
  9. 請求項7または請求項に記載のピッチ強調装置を復号側のポストフィルタの一部に適用した
    ことを特徴とする音声復号化装置。
  10. 請求項7または請求項に記載のピッチ強調装置を復号側のポストフィルタの一部に適用した
    ことを特徴とするデジタル音声通信装置。
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