JP3349741B2 - 超音波治療装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は超音波振動を体腔内組織
に伝達させて切除する超音波治療装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、超音波振動を体腔内組織に伝達
させて切除する超音波治療装置が知られている。この超
音波治療装置には図５に示すようにハンドピース１と電
源側のコントロールユニット２とが設けられている。

【０００３】また、ハンドピース１には図示しない超音
波振動子が内蔵される把持部３と、この把持部３内の超
音波振動子によって発生された超音波振動を伝達するプ
ローブ４とが設けられている。

【０００４】さらに、把持部３の先端には処置部となる
先端部を除きプローブ４を覆うシース５が固定されてい
る。そして、このシース５によってプローブ４の処置部
となる先端部以外の部分をカバーすることにより、術者
や患者が誤ってプローブ４の側面に触れるのを防いでい
る。

【０００５】また、プローブ４および振動子の内部には
中心軸方向に貫通する吸引路６が設けられている。この
吸引路６の基端部は吸引チューブ７を介してコントロー
ルユニット２側の吸引ポンプ８に接続されている。

【０００６】さらに、吸引チューブ７の途中には吸引チ
ューブ７を押しつぶして吸引流路をしゃ断するピンチバ
ルブ９が設けられており、このピンチバルブ９の開閉動
作にともない吸引動作が制御されるようになっている。

【０００７】また、コントロールユニット２内には吸引
圧設定部１０、発振回路１１、制御回路１２、超音波出
力設定部１３がそれぞれ配設されている。この場合、吸
引圧設定部１０は吸引ポンプ８に接続されており、この
吸引圧設定部１０によって吸引ポンプ８の吸引圧が設定
されるようになっている。さらに、発振回路１１はコー
ド１４を介してハンドピース１内の超音波振動子に接続
されている。

【０００８】また、制御回路１２にはピンチバルブ９、
発振回路１１、超音波出力設定部１３が接続されている
とともに、コントロールユニット２の外部に配設された
フットスイッチ１５が接続されている。このフットスイ
ッチ１５には超音波発振ペダル１６と吸引ペダル１７と
が設けられている。

【０００９】そして、術者がフットスイッチ１５の超音
波発振ペダル１６を操作すると、コントロールユニット
２の発振回路１１からコード１４を通してハンドピース
１内の超音波振動子に電気信号が送られる。さらに、超
音波振動子はこの電気信号を機械振動に変換し、先端に
接続されたプローブ４に超音波振動を伝達させる。この
状態で、プローブ４の先端を患部組織に押し当てること
により、この超音波振動によって組織が破砕されるよう
になっている。

【００１０】また、ピンチバルブ９は超音波発振のＯＮ
／ＯＦＦ動作に連動して開閉され、このピンチバルブ９
の開操作時には超音波振動により破砕した組織がプロー
ブ４および振動子の内部の吸引路６から吸引チューブ７
内を通り、コントロールユニット２側の吸引ポンプ８へ
回収される。

【００１１】さらに、フットスイッチ１５の吸引ペダル
１７の操作でピンチバルブ９を開閉することにより、超
音波発振のＯＮ／ＯＦＦ動作とは無関係に吸引動作を行
なわせることもできるようになっている。

【００１２】そして、超音波治療装置の使用時にはハン
ドピース１内の超音波振動子が駆動されるとともに、超
音波発振のＯＮ動作に連動してピンチバルブ９が開操作
され、超音波発振動作の開始と同時に吸引動作が開始さ
れる。この場合、超音波発振時の吸引力は治療する部位
や手技に応じて予め吸引圧設定部１０で適切な値に設定
されている。

【００１３】例えば、患部に多数の毛細血管が配設され
ている場合にはハンドピース１内への吸引動作によって
毛細血管を吸込んで傷つけないように吸引圧は低めに設
定される。さらに、腹腔鏡下手術で使われる場合にはハ
ンドピース１内への吸引動作によって腹腔内の気腹ガス
が吸引されることをできるだけ防ぐために、吸引量を極
力低く抑えて使用する。

【００１４】一方、出血して術部の視野が遮られる場合
や、腹腔内の洗浄に用いた大量の灌流液を吸引する場合
にはハンドピース１内へ大きな吸引力で一気に吸引する
のが望ましい。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構成のものにあっては超音波発振時の吸引力は治療す
る部位や手技に応じて吸引圧設定部１０で適切な値に設
定されるので、吸引ポンプ８の吸引圧は常に吸引圧設定
部１０で設定した値のまま固定されている。すなわち、
フットスイッチ１５の超音波発振ペダル１６の操作時
も、吸引ペダル１７の操作時もそのときのフットスイッ
チ１５の動作に連動してピンチバルブ９が開閉するだけ
で、吸引圧は常に吸引圧設定部１０で設定した設定値の
まま一定に保持されている。

【００１６】そのため、吸引圧設定部１０で設定した吸
引圧の設定値が超音波発振に適した低い吸引圧に設定さ
れている場合には高速に吸引を行なうことが要求される
状況でも高速吸引できない問題がある。

【００１７】また、状況に応じて適切な吸引圧を得るた
めには、その都度、吸引圧設定部１０の設定を変える面
倒な操作が必要になるので、状況に応じて適切な吸引圧
を得る際の操作性が悪い問題がある。

【００１８】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、状況に応じて適切な吸引圧を得ること
ができるとともに、その操作性の向上を図ることができ
る超音波治療装置を提供することにある。

【００１９】

【課題を解決するための手段】本発明は生体組織を処置
するための超音波振動を発生可能な超音波振動子と、前
記超音波振動子を駆動する駆動手段と、前記駆動手段で
駆動される前記超音波振動子からの前記超音波振動を前
記生体組織に処置可能に伝達する超音波伝達部材と、前
記超音波伝達部材の先端部に設けられ、前記超音波伝達
部材で伝達された前記超音波振動によって処置された組
織片を回収可能に開口した開口部と、前記開口部に一端
が連通した吸引管路と、前記吸引管路の他端に接続さ
れ、前記吸引管路を介して前記開口部より前記組織片を
吸引する吸引手段と、前記吸引手段の吸引力を第１の吸
引力に設定する第１の吸引力設定部と、 前記吸引手段の
吸引力を前記第１の吸引力より高い第２の吸引力に設定
する第２の吸引力設定部と、 操作者が操作可能に設けら
れ、前記第１の吸引力設定部により前記第１の吸引力に
設定された前記吸引手段による動作および前記駆動手段
の動作を指示可能である第１の操作手段と、 操作者が操
作可能に設けられ、前記第２の吸引力設定部により前記
第２の吸引力に設定された前記吸引手段による動作を指
示可能である第２の操作手段と、 前記第１の操作手段ま
たは前記第２の操作手段の操作により、前記吸引手段お
よび前記駆動手段の動作を制御する制御手段と、を具備
したことを特徴とする超音波治療装置である。

【００２０】

【作用】第１の操作手段または第２の操作手段の操作に
より、制御手段によって吸引手段および駆動手段の動作
を制御する。そして、吸引手段に第１の吸引力および第
２の吸引力を設定可能とし、これらと超音波駆動手段と
の出力制御可能な２つの操作手段（第１の操作手段およ
び第２の操作手段）によって様々な状況下で、適切な吸
引力を設定できるとともに、超音波治療装置の操作性も
大幅に向上させるようにしたものである。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例を図１を参照し
て説明する。なお、図１中、図５と同一部分には同一の
符号を付してその説明を省略する。本実施例の超音波治
療装置ではハンドピース１に接続された吸引チューブ７
の基端部はコントロールユニット２内に配設されたピン
チバルブ９内を通って吸引ユニット（吸引手段）２１の
吸引ビン２２に連結されている。この吸引ビン２２は連
結チューブ２３を介して吸引源の真空ポンプ２１Ａに連
結されている。

【００２２】そして、ハンドピース１の吸引路６内に吸
引された超音波振動により破砕された組織や体液、潅流
液等はこの吸引路６から吸引チューブ７を通って吸引ビ
ン２２に貯留されるようになっている。

【００２３】また、連結チューブ２３の中途部には二又
状に分岐された吸引圧調整管路２３ａ，２３ｂの基端部
が連結されている。各吸引圧調整管路２３ａ，２３ｂの
先端部には吸引圧を調整して吸引力を変化させる吸引圧
調整弁（吸引力調整手段）２４ａ，２４ｂがそれぞれ設
けられている。

【００２４】さらに、吸引ユニット２１にはバルブ制御
回路２５、優先吸引信号回路２６、吸引圧設定部２７が
それぞれ配設されている。この場合、バルブ制御回路２
５には吸引圧調整弁２４ａ，２４ｂ、優先吸引信号回路
２６、吸引圧設定部２７がそれぞれ接続されている。そ
して、吸引圧設定部２７、或いは優先吸引信号回路２６
からの入力に応じてバルブ制御回路２５により、吸引圧
調整管路２３ａ，２３ｂの吸引圧調整弁２４ａ，２４ｂ
の開閉動作が制御され、この吸引圧調整弁２４ａ，２４
ｂの開閉動作にともない吸引ユニット２１の吸引圧が適
正な設定値に調節されるようになっている。

【００２５】また、２８は入力信号判別回路（切換え手
段）である。この入力信号判別回路２８には外部のフッ
トスイッチ１５が接続されているとともに、コントロー
ルユニット２内の超音波制御回路２９、ピンチバルブ制
御回路３０、通信回路３１がそれぞれ接続されている。
この通信回路３１は通信ケーブル３２を介して吸引ユニ
ット２１内の優先吸引信号回路２６に接続されている。

【００２６】さらに、超音波制御回路２９には超音波出
力設定部３３および発振回路１１が接続されている。ま
た、ピンチバルブ制御回路３０にはピンチバルブ９が接
続されている。

【００２７】そして、バルブ制御回路２５は優先吸引信
号回路２６を介して通信ケーブル２３で通信回路３１と
接続されており、入力信号判別回路２８によって判別さ
れるフットスイッチ１５の超音波発振ペダル１６および
吸引ペダル１７のＯＮ／ＯＦＦ情報がバルブ制御回路２
５側に送られるようになっている。

【００２８】ここで、フットスイッチ１５の超音波発振
ペダル１６が踏まれたペダル１６のＯＮ情報がバルブ制
御回路２５側に送られた場合には吸引圧設定部２７に設
定された吸引圧の設定値に合わせて吸引圧調整弁２４
ａ，２４ｂの開閉が制御されるようになっている。すな
わち、ハンドピース１内の超音波振動子の動作に連動さ
せ、破砕または乳化された組織、あるいは体腔内に貯溜
した体液をプローブ４の吸引口から吸引圧設定部２７に
設定された吸引圧で吸引除去する第１の吸引機能で吸引
ユニット２１が駆動されるようになっている。

【００２９】また、フットスイッチ１５の吸引ペダル１
７が踏まれたペダル１７のＯＮ情報がバルブ制御回路２
５側に送られた場合には吸引圧設定部２７の設定値にか
かわらず優先吸引信号回路２６によって予め設定されて
いる所定の吸引圧（例えば、吸引圧調整弁２４ａ，２４
ｂの開閉動作による吸引圧の調整範囲の最大の１００％
の吸引圧）になるように吸引圧調整弁２４ａ，２４ｂの
開閉が制御されるようになっている。すなわち、ハンド
ピース１内の超音波振動子とは独立して動作し、第１の
吸引機能による吸引力とは異なる吸引力でプローブ４の
吸引口から吸引する第２の吸引機能に切換えられた状態
で吸引ユニット２１が駆動されるようになっている。な
お、この第２の吸引機能の吸引圧は一定の値でなく、第
２の吸引圧設定部を設けて変更可能にしても良い。

【００３０】そこで、上記構成のものにあってはフット
スイッチ１５の超音波発振ペダル１６が操作された超音
波発振時には吸引圧設定部２７に設定された吸引圧の設
定値に合わせて吸引圧調整弁２４ａ，２４ｂの開閉が制
御される。そのため、ハンドピース１内の超音波振動子
の動作に連動して第１の吸引機能で吸引ユニット２１が
駆動されるので、予め吸引圧設定部２７に設定された吸
引圧で、プローブ４の吸引口から破砕または乳化された
組織、あるいは体腔内に貯溜した体液が吸引除去され
る。

【００３１】また、フットスイッチ１５の吸引ペダル１
７が操作された場合にはこの動作が入力信号判別回路２
８によって判別され、ハンドピース１内の超音波振動子
の動作とは独立して動作する第２の吸引機能に切換えた
状態で吸引ユニット２１が駆動されるので、この第２の
吸引機能によって第１の吸引機能による吸引力とは異な
る吸引力でプローブ４の吸引口から吸引することができ
る。

【００３２】したがって、フットスイッチ１５の超音波
発振ペダル１６が操作された超音波発振時と吸引ペダル
１７が操作された単独吸引時とでは自動的にそれぞれ独
立した吸引力が得られるように吸引ユニット２１を制御
することができるので、術者は吸引力の設定状態を格別
に気にすることなく、各々の状況に応じて最適な吸引力
で吸引動作を行なうことができ、手術をスムーズに進め
ることができる。

【００３３】また、図２は本発明の第２の実施例を示す
ものである。これは、第１の実施例とは異なる構成の吸
引ユニット（吸引手段）４０を設けたものである。すな
わち、この実施例の吸引ユニット４０にはローラーポン
プ（吸引力調整手段）４１が設けられている。

【００３４】このローラーポンプ４１の吸込み側にはハ
ンドピース１に接続された吸引チューブ７の基端部が連
結されている。さらに、このローラーポンプ４１の吐出
側には連結チューブを介して吸引ビン４２が連結されて
いる。そして、吸引ユニット４０の吸引量はローラーポ
ンプ４１の回転数により調節されるようになっている。

【００３５】さらに、吸引ユニット４０にはローラーポ
ンプ制御回路４３が設けられている。このローラーポン
プ制御回路４３には超音波発振時の第１の吸引機能での
吸引量を設定する第１の吸引圧設定部４４、超音波発振
時以外の第２の吸引機能での吸引量を設定する第２の吸
引圧設定部４５、吸引信号選択回路４６がそれぞれ接続
されている。

【００３６】また、吸引信号選択回路４６は通信ケーブ
ル３２を介して入力信号判別回路２８側の通信回路３１
に接続されている。そして、フットスイッチ１５の超音
波発振ペダル１６および吸引ペダル１７のＯＮ／ＯＦＦ
情報が入力信号判別回路２８、通信回路３１、通信ケー
ブル３２、吸引信号選択回路４６を順次介してローラー
ポンプ制御回路４３側に送られるようになっている。な
お、コントロールユニット２と吸引ユニット４０とを一
体に設け、通信ケーブル３２を内部配線する構成にして
もよい。

【００３７】ここで、フットスイッチ１５の超音波発振
ペダル１６が踏まれたペダル１６のＯＮ情報がローラー
ポンプ制御回路４３側に送られた場合には第１の吸引圧
設定部４４に設定された吸引圧の設定値に合わせてロー
ラーポンプ４１の回転数が制御されるようになってい
る。すなわち、ハンドピース１内の超音波振動子の動作
に連動させ、破砕または乳化された組織、あるいは体腔
内に貯溜した体液をプローブ４の吸引口から第１の吸引
圧設定部４４に設定された吸引圧で吸引除去する第１の
吸引機能で吸引ユニット４０が駆動されるようになって
いる。

【００３８】また、フットスイッチ１５の吸引ペダル１
７が踏まれたペダル１７のＯＮ情報がローラーポンプ制
御回路４３側に送られた場合には第２の吸引圧設定部４
５に設定された吸引圧の設定値に合わせてローラーポン
プ４１の回転数が制御されるようになっている。すなわ
ち、ハンドピース１内の超音波振動子とは独立して動作
し、第１の吸引機能による吸引力とは異なる吸引力でプ
ローブ４の吸引口から吸引する第２の吸引機能に切換え
られた状態で吸引ユニット４０が駆動されるようになっ
ている。なお、第２の吸引圧設定部４５は格別に設けず
に、予め設定されている一定の回転数でローラーポンプ
４１が動作する構成にしてもよい。さらに、フットスイ
ッチ１５が踏まれていない場合にはローラーポンプ４１
が停止するので、第１の実施例のようにピンチバルブ９
で吸引路を塞ぐ必要はない。

【００３９】そこで、上記構成のものにあっても第１の
実施例と同様にフットスイッチ１５の超音波発振ペダル
１６が操作された超音波発振時と吸引ペダル１７が操作
された単独吸引時とでは自動的にそれぞれ独立した吸引
力が得られるように吸引ユニット４０を制御することが
できるので、術者は吸引力の設定状態を格別に気にする
ことなく、各々の状況に応じて最適な吸引力で吸引動作
を行なうことができ、手術をスムーズに進めることがで
きる。

【００４０】また、図３および図４は本発明の第３の実
施例を示すものである。これは、フットスイッチ１５の
吸引ペダル１７の踏込み操作時にハンドピース１に内蔵
された超音波振動子で低振幅の超音波振動を発生させ、
この低振幅の超音波振動をプローブ４に伝達させること
により、プローブ４を低振幅で超音波振動させると同時
に吸引ユニット２１によって第２の吸引機能の所定の吸
引力で吸引を行なわせる構成にしたものである。

【００４１】すなわち、例えば図１の第１の実施例の超
音波治療装置ではフットスイッチ１５の吸引ペダル１７
からＯＮ信号を受けると超音波制御回路２９から超音波
出力設定部３３の設定値にかかわらず予め定めておいた
低振幅の超音波振動の出力（例えば、超音波振動子の最
大出力の１０％程度の出力）の制御信号が発振回路１１
に送られる。

【００４２】そして、発振回路１１で発生させた低い出
力の電気信号はコード１４を通り、ハンドピース１に内
蔵された超音波振動子に送られる。さらに、超音波振動
子によってこの電気信号が低振幅の超音波振動に変換さ
れ、プローブ４に伝達される。これと同時に吸引ユニッ
ト２１は第２の吸引機能の所定の吸引力で吸引を行な
い、ピンチバルブ９が開かれて、吸引チューブ７とそれ
に接続された吸引路６に吸引力が作用する。

【００４３】そのため、ハンドピース１の先端の吸引口
の近傍では吸引路６から第２の吸引機能の吸引を行なう
と同時に、プローブ４が低振幅で超音波振動するので、
図４に示すように体腔内の洗浄に用いた潅流液や体腔内
組織５１の間に溜った体液５３等を吸引する際、プロー
ブ４の吸引口に生体組織５１内の脂肪などの軟らかい組
織５２が吸いよせられても吸引路６の先端開口部にこの
軟らかい組織５２が密着して塞いでしまうおそれがな
い。

【００４４】また、吸引路６を形成するプローブ４が常
に振動しているので、凝固して粘性が高くなった血塊５
４や組織片等が体液５３とともに吸引路６内に吸引され
た際に、吸引路６内にこれらの血塊５４や組織片等が詰
まることを防止することができる。

【００４５】なお、図４に示すように第２の吸引機能に
よる吸引動作時のプローブ４の低振幅の超音波振動６２
は組織を切除する際の超音波発振時に生じるプローブ４
の超音波振動６１の振幅に比べて十分に低いので、プロ
ーブ４に組織が当たっても組織を傷つけるおそれはな
い。

【００４６】また、第２の吸引機能による吸引時のプロ
ーブ４の振動は図４に示した正弦波の代わりに、三角波
や矩形波、パルス波でもよい。さらに、第２の吸引機能
による吸引時のプローブ４の超音波振動は振幅の大きさ
も一定の設定値に固定されることなく、第２の超音波出
力設定部を設けることにより、超音波振動の振幅の大き
さも変更可能としてもよい。

【００４７】そこで、上記構成のものにあっては組織を
切除する際の超音波発振時には超音波出力設定部３３で
設定した振幅でプローブ４が振動し、第２の吸引機能に
よる吸引時には組織を切除する際の超音波発振時の超音
波出力の設定値よりも振幅が十分に小さい独立した低振
幅の超音波振動６２で自動的にプローブ４を振動させる
ことができるので、術者は超音波出力設定を気にせずに
超音波発振と吸引とを使い分けることができる。

【００４８】また、第２の吸引機能による吸引時に吸引
路６に組織が吸いついたり、詰まることがないため、吸
引操作を中断して吸引路６内の詰まりを除去する等の面
倒な作業が必要なく、円滑に手術を進めることができ
る。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施でき
ることは勿論である。

【００４９】

【発明の効果】本発明によれば、超音波治療装置におい
て、吸引手段に第１の吸引力および第２の吸引力を設定
可能とし、これらと超音波駆動手段との出力制御可能な
２つの操作手段（第１の操作手段および第２の操作手
段）を設けたので、超音波処置あるいは処置組織の吸引
等の治療時に様々な状況に応じて適切な吸引圧を得るこ
とができるとともに、超音波治療装置の操作性も大幅に
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施例の装置全体の概略構成
図。

【図２】 本発明の第２の実施例の装置全体の概略構成
図。

【図３】 本発明の第３の実施例の超音波発振時の動作
を説明するための概略構成図。

【図４】 超音波発振時のプローブの振幅の変化を示す
特性図。

【図５】 従来の超音波治療装置全体の概略構成図。

【符号の説明】

４…プローブ、２１，４０…吸引ユニット（吸引手
段）、２４ａ，２４ｂ…吸引圧調整弁（吸引力調整手
段）、２８…入力信号判別回路（切換え手段）、４１…
ローラーポンプ（吸引力調整手段）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61B 18/00 A61B 17/22

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 生体組織を処置するための超音波振動を
   発生可能な超音波振動子と、 前記超音波振動子を駆動する駆動手段と、 前記駆動手段で駆動される前記超音波振動子からの前記
   超音波振動を前記生体組織に処置可能に伝達する超音波
   伝達部材と、 前記超音波伝達部材の先端部に設けられ、前記超音波伝
   達部材で伝達された前記超音波振動によって処置された
   組織片を回収可能に開口した開口部と、 前記開口部に一端が連通した吸引管路と、 前記吸引管路の他端に接続され、前記吸引管路を介して
   前記開口部より前記組織片を吸引する吸引手段と、 前記吸引手段の吸引力を第１の吸引力に設定する第１の
   吸引力設定部と、 前記吸引手段の吸引力を前記第１の吸引力より高い第２
   の吸引力に設定する第２の吸引力設定部と、 操作者が操作可能に設けられ、前記第１の吸引力設定部
   により前記第１の吸引力に設定された前記吸引手段によ
   る動作および前記駆動手段の動作を指示可能である第１
   の操作手段と、 操作者が操作可能に設けられ、前記第２の吸引力設定部
   により前記第２の吸引力に設定された前記吸引手段によ
   る動作を指示可能である第２の操作手段と、 前記第１の操作手段または前記第２の操作手段の操作に
   より、前記吸引手段および前記駆動手段の動作を制御す
   る制御手段と、 を具備したことを特徴とする超音波治療装置。