JP3349033B2 - 購買行動予測装置 - Google Patents

購買行動予測装置

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JP3349033B2
JP3349033B2 JP5981896A JP5981896A JP3349033B2 JP 3349033 B2 JP3349033 B2 JP 3349033B2 JP 5981896 A JP5981896 A JP 5981896A JP 5981896 A JP5981896 A JP 5981896A JP 3349033 B2 JP3349033 B2 JP 3349033B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消費者の購買行動
を予測する購買行動予測方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】消費者の購買動向の情報を集めることは
販売方針、製品開発方針を決定する上で極めて重要であ
る。従来、販売時点管理と呼ばれるシステムでは商品に
対して付加されたバーコード等を用いて、各商品の売
上、時刻等の項目について電子的に記録を行なってい
た。このようにして記録された消費者の購買行動に基づ
いて、仕入れ量や店の売上等の予測が行なわれる。言い
換えると、購買行動の予測が行われる。
【0003】例えば、あるサラリーマンは水曜日の夜は
規則的に近くの酒屋である特定のブランドの缶ビールを
1ダース購入するものとする。この店で購買行動の記録
を分析し、そのサラリーマンが水曜の夜にそのブランド
の缶ビールを1ダース購入しているという規則を抽出す
ることが出来れば、酒屋の店主は次の週も、また次の週
も缶ビール1ダースの売上が期待でき、その時にビール
が品切れになっていないように仕入れの計画を立てるこ
とが出来る。
【0004】しかしながら、消費者の購買行動は必ずし
も規則的ではなく、購買の記録だけでは購買行動の予測
に十分ではない。例えば、上記具体例においてサラリー
マンが会社の都合で一週間の海外出張に出かけてしまっ
た場合、その週にその酒屋でそのサラリーマンが缶ビー
ルを購入する可能性はまずない。このように、購買情報
だけから予測される購買行動は必ずしも満足のゆく精度
をもたらさない。
【0005】また、従来の購買行動予測のもう一つの問
題点として購買時に消費者が誰なのかを特定できない場
合が多いことがあげられる。カードを用いたショッピン
グなどの特別な場合を除いて、通常、販売店では商品の
購入者が誰なのかを知ることはできない。上記具体例で
いえば、酒屋で毎週水曜日に缶ビール1ダースが売れる
ことは分かっても、それが同じ消費者によるものなのか
は判断できない。
【0006】このように、消費者を特定できない場合、
同一人物による規則的な購買行動が他の購買行動データ
中に埋没してしまい、規則的な行動として浮かび上がっ
てこないため、購買予測は困難になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のように販売時点
で収集した購買実績データだけをもとにした購買行動予
測では、購買実績データから消費者単位の購買行動規則
を抽出しようとしても、十分な予測精度は得られなかっ
た。また、消費者を特定できない場合、購買実績情報か
ら消費者単位の購買行動規則を抽出することは困難であ
った。
【0008】本発明は、上記事情に考慮してなされたも
のであり、消費者単位の購買行動規則を十分な予測精度
で抽出でき、高精度の購買予測が可能となる購買行動予
測装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1)に係
る購買行動予測装置は、定められた地点を通過した個人
を識別する個人識別情報と通過した方向を示す通過方向
情報と通過した時刻を示す通過時刻情報とを少なくとも
含む移動情報を収集する手段と、個人が一度に購買した
商品を個々に識別する商品識別情報と購買した時刻を示
す購買時刻情報と購買した該個人を識別する個人識別情
報とを少なくとも含む購買行動情報を収集する手段と、
前記移動情報および前記購買行動情報をもとにして、前
記移動情報および前記購買行動情報の両方に記録されて
いる各々の個人識別情報について、各商品識別情報の商
品の購買を発生させるために前記移動情報の内容に課さ
れる条件ついての規則を抽出する手段とを備えたことを
特徴とする。
【0010】本発明では、消費者の購買行動はその消費
者の移動行動と密接に結び付いている点に着目してお
り、本発明によれば、収集した移動行動と購買行動を同
時に分析することにより、高精度の購買行動規則を得る
ことができる。これにより、高精度の購買予測が可能と
なる。
【0011】本発明は(請求項2)は、請求項1におい
て、前記購買行動規則は、購買を発生させるために前記
移動情報の内容に課される条件と、そのときに購買され
る商品の各商品識別情報とを含むものであることを特徴
とする。
【0012】本発明(請求項3)は、請求項2におい
て、前記移動情報のうち最新のものが得られた場合、該
移動情報と該移動情報に含まれる個人識別情報に対応す
る前記規則に基づいて、購買が発生すると予想される時
刻または時間帯および購買されると予想される商品の商
品識別情報を求める手段をさらに備えたことを特徴とす
る。
【0013】本発明によれば、抽出された購買行動規則
が、消費者のある移動行動を条件とするものである場
合、その消費者について新しく得られた移動情報を参照
し、購買行動規則と比較することにより、購買が発生す
るか否か、購買される商品は何か、といったことを知る
ことが出来、より精度のよい予測を実現することが可能
となる。
【0014】本発明(請求項4)は、請求項3におい
て、各個人識別情報ごとの前記予想結果を、各商品識別
情報ごとに集計する手段をさらに備えたことを特徴とす
る。本発明(請求項5)は、請求項1ないし4におい
て、前記購買行動情報を収集するにあたって前記商品識
別情報を得ることができない場合、該商品識別情報を空
欄として購買行動情報を収集する手段と、前記移動情報
に含まれる各々の個人識別情報について、前記定められ
た地点と購買の発生する地点との位置関係、前記通過方
向情報および前記通過時刻情報に基づいて、購買の発生
した可能性のある時間帯を推定する手段と、推定された
前記時間帯において得られた前記購買行動情報を、各購
買行動情報に含まれる商品識別情報の内容の類似性によ
り、クラス分類する手段と、分類されたクラスに属する
前記購買行動情報の発生する確率に基づいて、空欄とな
っている該購買行動情報の個人識別情報として前記推定
の基となった前記個人識別情報を付加すべきか否かを判
断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】本発明によれば、販売時点で購買者を特定
できないような場合でも、移動情報と購買行動情報との
対応付けを分析することにより、その購買者を推定する
ことが可能である。これにより、販売時点で購買者を特
定できる場合と同じように購買行動規則を取り出すこと
ができ、高精度の購買予測が可能となる。
【0016】本発明(請求項6)は、請求項5におい
て、前記判断は、所定のクラスに属する前記購買行動情
報の、推定された前記時間帯において得られた前記購買
行動情報における発生頻度と、所定のクラスに属する前
記購買行動情報の、収集された全購買行動情報における
発生頻度とを比較することによりなされることを特徴と
する。なお、本発明は、相当する方法としても成立する
ものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら発明の
実施の形態を説明する。図1に、本発明の第1の実施形
態に係る購買行動予測システムの構成を示す。この購買
行動予測システムは、移動情報収集部2、購買行動収集
部4、購買行動パターン抽出部6、購買行動予測部8、
移動情報データベース12、購買行動収集データベース
14、購買行動パターンデータベース16、購買行動予
測データベース18を備えている。
【0018】移動情報収集部2は、消費者の移動情報を
記録する。移動情報とは、消費者がある時刻にどの場所
にいたかを記録したものである。移動情報は、連続的に
記録された情報でも、離散的に記録された情報でも構わ
ない。移動情報データベース12は、この移動情報を記
録したデータベースである。
【0019】購買行動収集部4は、消費者の購買行動を
記録する。購買行動とは、少なくとも購買された商品お
よび時刻を記録した情報である。購買者の名前を知り得
る場合には、購買された商品および時刻に購買者の名前
に情報を付加する。また、必要に応じて、店の名前、買
った値段等の情報を含めることもある。購買行動収集部
4が収集した購買行動情報は、購買行動収集データベー
ス14に記録される。
【0020】購買行動パターン抽出部6は、移動情報デ
ータベース12および購買行動収集データベース14消
費者をもとに各々の消費者の購買行動規則を抽出する。
通常、消費者の購買行動は、その人の移動行動と密接な
関係を持っている。例えば、ある消費者にひいきの店が
あれば、その店の近くを通る時にはその店で買いものを
する可能性が高い。あるいは、単身で生活しているもの
であれば、帰宅が遅くなったときは、自炊をせずに外食
したり、弁当を買ったりする可能性が高くなる。購買行
動パターン抽出部6は、このような消費者の購買行動の
パターンを移動情報データベース12および購買行動収
集データベース14から見つけ出し、 移動行動 → 購買行動 の形の規則を導き出し、それを購買行動パターンデータ
ベース16に記録する。
【0021】購買行動予測部8は、移動情報収集部2が
収集する消費者の移動行動を監視しており、購買行動パ
ターンデータベース16に記録された規則の先件にマッ
チする移動行動が見つかった場合、規則の後件に記述さ
れた購買行動が発生するものとして商品の売上を予測す
る。予測結果は、購買行動予測データベース18に記録
される。
【0022】以下、本実施形態の購買行動予測システム
について具体例を交えより詳しく説明する。ここでは、
鉄道のある駅における乗客の乗降の情報を用いて、駅前
にあるコンビニエンス・ストアの売上を予測する例を取
り上げる。
【0023】まず、移動情報は乗客が定期券を用いて自
動改札を通る時に収集されるものとする。移動情報収集
部2は、自動改札器が定期券から読みとった乗客の氏名
と駅に入ったのかあるいは駅から出たのか、およびその
時刻を記録する。ここでは、移動情報は、 (氏名、時刻、動作) からなるものとする。ここで、動作とは出発、帰宅のい
ずれかである。定期券に乗客の氏名そのものではなく認
証番号(ID)が記録されている場合も、その認証番号
から氏名への対応を記録したテーブルが利用可能で乗客
の氏名を割出すことが可能であるとする。
【0024】次に、購買情報収集部4には、コンビニエ
ンス・ストアの持つPOSシステムを利用することがで
きる。このPOSシステムにより、消費者が買った品
物、時刻等の情報を収集できる。
【0025】また、本実施形態では、消費者はプリペイ
ドカードを用いるものとする。そして、POSシステム
では、プリペードカード購入時に登録した名前等の個人
情報とプリペードカードのID番号との対応情報を検索
可能とする。すなわち、POSシステムにて、購買時に
提出してもらうプリペードカードのID番号をキーとし
て、上記対応情報を検索し、購買者の名前等の個人情報
を取得する。
【0026】ここでは、購買情報は、 (氏名、時刻、品目のリスト) からなるものとする。
【0027】図2に、移動情報データベース12および
購買行動収集データベース14をもとにして購買行動パ
ターン抽出部6が購買行動パターンデータベース16を
作る際の処理の流れを示す。
【0028】購買行動パターン抽出部6は、まず、特定
の消費者を取り上げる(ステップS11)。取り上げる
特定の消費者は、例えば、移動情報データベース12を
参照して決定する。ここでは、特定の消費者をX氏とす
る。
【0029】購買行動パターン抽出部6は、特定の消費
者の購買行動と移動行動を調べ、その関連のパターンを
捕まえる。まず、購買行動パターン抽出部6は、移動情
報データベース12からX氏の移動行動を抽出する(ス
テップS12)。
【0030】例えば図3に示したのは、ある一週間のX
氏の移動行動を記録したものである。これから分かるよ
うにX氏は、朝早い時刻に出かけ早く帰ってくる日と、
比較的遅い時刻に出かけ、遅く帰ってくる日があること
が分かる。
【0031】次に、購買行動パターン抽出部6は、購買
行動収集データベース14からX氏の購買行動を抽出す
る(ステップS13)。例えば図4に示したのは、同じ
一週間のX氏のコンビニエンス・ストアでの購買行動の
記録である。これから分かるようにX氏は、ある時間帯
(すなわちX氏にとって比較的遅く帰ってくる時刻)に
特定の弁当を買っていることが分かる。
【0032】ここで、購買行動パターン抽出部6は、X
氏の移動行動と購買行動の間に規則を見つけ出す。もし
規則を見い出すことができれば(ステップS14)、そ
れを購買行動パターンデータベース16に登録する(ス
テップS15)。
【0033】例えば、上記の図3および図4の具体例で
は、次のような規則が抽出される。X氏の出かける時刻
が遅い→コンビニエンス・ストアで特定の弁当を買う購
買行動パターン抽出部6は、このようにして抽出された
規則を購買行動パターンデータベース16に登録する。
【0034】X氏に関する処理が終ると、購買行動パタ
ーン抽出部6は、移動情報データベース12に現れる別
の消費者を取り上げて同じように規則を作成する。これ
を移動情報データベース12に現れるすべての消費者に
関して繰り返す(ステップS16)。
【0035】図5に、購買行動予測部8が商品の売上を
予測する処理の流れを示す。購買行動予測部8は、移動
情報収集部2が新たに移動情報を捕まえると(ステップ
S21)、購買行動パターンデータベース14を走査し
て、その新たな移動情報にマッチする先件を持つ規則を
探す。マッチする規則が見つかった場合(ステップS2
2)、購買行動予測部8はその規則の後件から予想され
る購買行動予測を購買行動予測データベース18に追加
する(ステップS23)。なお、ステップS24は処理
終了の一例であり、ここではシステム停止命令が発生す
るまでステップS21〜ステップS23を繰り返し実行
するものとしている。
【0036】購買行動予測の結果は、例えば、購買商品
とその予想購買時刻からなる。予想購買時刻は、移動情
報データベース12と購買行動パターンデータベース1
4と上記の新たな移動情報をもとに統計計算などして得
られる予想購買時刻分布で表す方法や、1日24時間を
適宜分割した時間帯で表す方法など、種々の表現方法が
考えられる。
【0037】購買行動予測部8は、購買行動予測を購買
行動予測データベース18に追加するにあたって、各購
買行動予測の結果を記録するのに加えて、同一の商品に
ついて各購買者ごとに得られた購買行動予測を集計した
データ、すなわち各商品がある時刻あるいは時間帯にど
れだけ売れると予想されるかを示すデータを記録する。
【0038】上記具体例では、購買行動予測データベー
ス18として、コンビニエンス・ストアでとり扱ってい
る各商品に関して、その商品がある時間帯にどれだけ売
れると予想されるかを記録したデータベースが得られ
る。
【0039】ここで、前述の新たな移動情報として「あ
る日のX氏の出かける時刻が10時半であった」という
情報が得られた場合、前述の規則から「夜の9時から1
0時にかけてX氏が特定の弁当を買う」という購買行動
予測が得られる。したがって、購買行動予測データベー
ス18には、図6に示すように、各時間帯における当該
弁当の売上予想に関するX氏からの寄与が追加される。
なお、ここでは、購買予想時刻を分布で表している。
【0040】また、X氏以外にV氏、W氏も同一の弁当
を買う可能性があるならば、図6に示すように、V氏、
W氏それぞれの寄与が追加される。このコンビニエンス
・ストアでの夜8時から11時までの弁当の売上個数を
予想したい場合、購買行動予測データベース18の分布
で8時から11時までの部分を積算することによりその
数を把握することが出来る。
【0041】予想が的中し、その日の夜9時にX氏が実
際に弁当を買った場合、購買行動予測部8は、購買行動
予測データベース18からX氏の寄与を取り除く。な
お、上記では、予測対象として個別商品を扱ったが、所
定の範囲の個別商品をとりまとめたグループについて予
測を行ってもよい。上記具体例で言えば、全品種の弁当
の購買総計について予測を行ってもよい。
【0042】このようにして、消費者個人の購買行動を
予測することにより、高精度の購買予測・売上予測が可
能となる。次に、本発明の第2の実施形態について説明
する。
【0043】第1の実施形態では、消費者はプリペイド
カードを用いるものとした。しかし、カードを用いる場
合や、会員制の店などの特別の場合を除いて、一般には
購買者が誰であるかが特定することができないことも多
い。そこで、本実施形態は、「消費者には好みの商品が
あり、類似した商品の組合せを購入することが多い。」
ことに着目し、この点を利用して購買行動が誰によるも
のなのか推定可能としている。そして、この推定結果を
用いて、第1の実施形態で述べた消費者個人の購買行動
を予測することが可能となる。
【0044】図7に、本実施形態に係る購買行動予測シ
ステムの構成を示す。この購買行動予測システムは、移
動情報収集部2、購買行動収集部4、購買行動パターン
抽出部6、購買行動予測部8、移動情報データベース1
2、購買行動収集データベース14、購買行動パターン
データベース16、購買行動予測データベース18、購
買者特定部20を備えている。
【0045】すなわち、本実施形態の購買行動予測シス
テムは、第1の実施形態の購買行動予測システムと同様
の構成を有し、この構成にさらに購買者を特定するため
の購買者特定部20を付加した構成となっている。
【0046】ここでは、主として本実施形態で付加した
購買者特定部20の構成・動作について説明する。図8
に、本実施形態の購買者特定部20の内部構成の一例を
示す。この購買者特定部20は、購買行動候補抽出部2
1、購買行動頻度計算部22、購買行動類似度判定部2
3、購買行動分類部24、高頻度購買行動抽出部25を
備え、概略的には、移動情報データベース12および購
買行動収集データベース14から特定の購買者の購買行
動を抽出し、その結果を購買行動収集データベース14
に反映させる。
【0047】購買行動候補抽出部21は、移動情報デー
タベース12を調べることにより、特定の消費者が購買
行動を記録された店の近くにいる時間帯を絞り込み、購
買行動収集データベース14に記録された購買行動の中
で、該消費者が行なった可能性のある購買行動を抽出す
る。
【0048】購買行動頻度計算部22は、ある特定の品
目からなる購買行動が発生する頻度を計算する。全購買
行動における頻度と、購買行動候補抽出部21の抽出し
た購買行動における頻度の両方を計算する。
【0049】購買行動類似度判定部23は、購買行動の
品目リストから特定の2つの購買行動が類似しているか
どうかを判定する。購買行動分類部24は、購買行動類
似度判定部23が求めた類似度(距離)に基づいて購買
行動候補抽出部21がとり出した購買行動をクラスタリ
ングする。これにより、同じ消費者が行なった可能性の
高い購買行動の集合(以下、クラスターと呼ぶ)を取り
出す。
【0050】高頻度購買行動抽出部25は、購買行動分
類部24が分類したあるクラスターのなかで購買行動候
補抽出部21が抽出した購買行動集合におけるその購買
行動の頻度と、全購買行動における頻度とを比較する。
もし、購買行動候補抽出部21が抽出した購買行動にお
ける頻度のほうが著しく大きければ、それらの購買行動
は該消費者が行なったとみなす。
【0051】ここで、本実施形態では、購買者の氏名は
未知であるので、購買情報収集部4により記録される購
買情報の氏名の欄は空欄となっている。高頻度購買行動
抽出部25による購買行動とその消費者の推定結果か
ら、購買行動収集データベース14に記録された該当す
る購買行動の氏名の欄に該当する購買者名を付け加え
る。
【0052】この結果、購買者名が推定できた購買行動
についても、第1の実施形態と同様に、消費者の購買行
動を予測することが可能となる。以下、本実施形態の購
買行動予測システムにおける購買者特定部20の動作に
ついて具体例を交えつつより詳しく説明する。
【0053】ここでは、コンビニエンス・ストアで客が
プリペードカードを用いないと想定する。したがって、
販売時点で記録される購買行動収集データベース14に
は購買者を特定できるような情報は含まれない。そこ
で、移動情報をもとにして、購買者特定部20により購
買者を推定する処理を行う。
【0054】まず、購買者特定部20の動作原理につい
て説明する。ここでも、駅前のコンビニエンス・ストア
を例にとる。コンビニエンス・ストアは駅からあるいて
2、3分のところにあるとする。消費者がコンビニエン
ス・ストアに滞在する時間はせいぜい30分ぐらいであ
るとすると、消費者がコンビニエンス・ストアで商品を
買った可能性が高いのは、駅の改札を入る30分ぐらい
前から2分ぐらい前までの間か、あるいは駅の改札を出
てから2分後から30分後の間であると推定できる。こ
こで、本実施形態では、「一人の消費者の行なう購買行
動には類似性があるであろう」という仮定を設ける。例
えば、Y氏はハンバーグ弁当を良く食べ、N社のコーヒ
ーが好きで、週刊誌Pを愛読しているとする。するとY
氏の購買行動にはハンバーグ弁当やN社のコーヒー、週
刊誌Pが頻繁に現れることになる。言い替えれば、購買
行動の品目リストの中に共通した品目が多く含まれれ
ば、それは同一の人が行なった購買行動である可能性が
高い。そして、この類似した購買行動が例えばY氏によ
るものだとすれば、それらはY氏が店にいた可能性の高
い時間帯に多く現れるはずである。したがって、この時
間帯におけるこれら類似した購買行動の発生確率が、全
購買行動における発生確率よりも大きければ、Y氏によ
る購買行動であると推定できる。
【0055】以下、上記動作原理に従った購買者特定部
20による購買者推定処理について説明する。図9に、
購買者特定部20による購買者推定処理の流れを示す。
まず、購買者特定部20は、移動情報データベース12
を参照して、特定の個人をとり出す(ステップS3
1)。ここでは、特定の個人をY氏とする。
【0056】購買行動候補抽出部21は、Y氏に着目
し、移動情報データベース12からY氏が駅を使用した
時刻を求め、Y氏がコンビニエンス・ストアを使用した
可能性の高い時間を割出す。このようにして割出した高
い時間の一例を図10に示す。
【0057】そして、購買行動候補抽出部21は、購買
行動収集データベース14からその時間帯に属する購買
行動をすべて取り出す(ステップS32)。これを購買
行動候補と呼ぶ。ここでは、Y氏の購買行動候補Cを取
り出す。
【0058】購買行動分類部24は、Y氏の購買行動候
補から類似性を持つような購買行動を分類する(ステッ
プS33)。これにはクラスター分析と呼ばれる手法が
使える。
【0059】そのためには購買行動の類似性の尺度とな
る購買行動の空間内の“距離”を定義する必要がある。
距離の定義の仕方は様々なものが考えられる。ここでは
一つの例として、2つの購買行動b,b′の間の距離を
式(1)のように定義する。ただし、g,g′はそれぞ
れb,b′における購買品目のリストを表す。
【0060】
【数1】 p(g,B)は、購買行動の集合Bのなかで購買された
品目が品目リストgに等しいような購買行動の発生確率
であり、次のように定義される。
【0061】
【数2】
【0062】この確率p(g,B)は、購買行動頻度計
算部22により計算される。式(1)において、Tは購
買行動収集データベース14に含まれるすべての購買行
動を表す。また、関数Fは、
【0063】
【数3】 と定義される。
【0064】購買行動類似度判定部23は、購買行動頻
度計算部22により計算された購買行動の発生確率をも
とに、Y氏の購買行動候補Cに含まれるすべての購買行
動の距離を計算する。
【0065】その中で距離が平均的な距離よりも小さく
なるような一群の購買行動がある場合、それを候補クラ
スターと呼ぶ。一般に候補クラスターは複数あって良
い。購買行動分類部24は、全購買行動中から距離が平
均的な距離よりも小さくなるような一群の購買行動を候
補クラスターとして取り出す。
【0066】高頻度購買行動抽出部25は、購買行動分
類部24がとり出した各候補クラスターに対して、それ
が購買行動がY氏によるものかを以下のようにして判断
する。
【0067】まず、一つの候補クラスターを取り上げる
(ステップS37)。今、一つの候補クラスターに含ま
れる購買行動の品目リストを {g1 ,g2 ,g3 ,…,gn } (4) とする。
【0068】すると、候補クラスターに含まれるような
品目リストを持つ購買行動のY氏の購買行動候補におけ
る確率P0 は式(5)で与えられ、全購買行動における
確率P1 は式(6)で与えられる(ステップS34,S
35)。
【0069】
【数4】
【0070】
【数5】
【0071】高頻度購買行動抽出部25は、ある閾値θ
をもっていて、式(6)の条件が成立すれば(ステップ
S37)、このクラスターはY氏による購買行動である
と判断する(ステップS38)。
【0072】
【数6】
【0073】つまり、取り出されたクラスターに含まれ
る購買行動のがY氏の購買行動候補で発生する確率が、
全購買行動における発生確率よりも大きい場合に、候補
クラスターをY氏によるものと判定する。そして、購買
行動収集データベース14の該当する各購買行動の氏名
フィールドにY氏と書き込む。
【0074】高頻度購買行動抽出部25は、候補クラス
ターが複数あれば、それらのそれぞれについて同じ処理
を行なう(ステップS39)。以上がY氏に対する処理
であり、他の消費者に対しても同様な処理を行なう(ス
テップS40)。
【0075】このように本実施形態によれば、購買行動
収集データベース14中で購買者の情報を持たない購買
行動についてその購買者を推定することができる。この
結果、推定した購買者のデータを付加した購買行動を用
いて第1の実施形態で述べたような購買行動予測を行う
ことができるようになり、高精度の購買予測・売上予測
が可能となる。本発明は、上述した実施の形態に限定さ
れるものではなく、その技術的範囲において種々変形し
て実施することができる。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、収集した消費者ごとの
移動行動と購買行動を同時に分析することにより、消費
者単位の購買行動規則の抽出を高精度に行うことができ
る。これにより、消費者単位の高精度な購買予測が可能
となる。
【0077】また、本発明によれば、販売時点で購買者
を特定できないような場合でも、移動情報に基づいて購
買行動情報を分析することにより、その購買者を推定す
ることが可能となる。これにより、販売時点で購買者を
特定できる場合と同じように購買行動規則を取り出すこ
とができ、消費者単位の高精度の購買予測が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る購買行動予測シ
ステムの構成を示す図
【図2】購買行動パターン抽出部の処理の流れを示すフ
ローチャート
【図3】X氏の移動行動の一例を示す図
【図4】X氏の購買行動の一例を示す図
【図5】購買行動予測部の処理の流れを示すフローチャ
ート
【図6】特定商品の売上予測の一例を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る購買行動予測シ
ステムの構成を示す図
【図8】購買者特定部の内部構成の一例を示す図
【図9】購買者特定部の処理の流れを示すフローチャー
【図10】Y氏がコンビニエンス・ストアにいる可能性
の高い時間帯を示す図
【符号の説明】
2…移動情報収集部 4…購買行動収集部 6…購買行動パターン抽出部 8…購買行動予測部 12…移動情報データベース 14…購買行動収集データベース 16…購買行動パターンデータベース 18…購買行動予測データベース 20…購買者特定部 21…購買行動候補抽出部 22…購買行動頻度計算部 23…購買行動類似度判定部 24…購買行動分類部 25…高頻度購買行動抽出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 17/60 170 G06F 19/00 100 G07C 3/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定められた地点を通過した個人を識別する
    個人識別情報と通過した方向を示す通過方向情報と通過
    した時刻を示す通過時刻情報とを少なくとも含む移動情
    報を収集する手段と、 個人が一度に購買した商品を個々に識別する商品識別情
    報と購買した時刻を示す購買時刻情報と購買した該個人
    を識別する個人識別情報とを少なくとも含む購買行動情
    報を収集する手段と、 前記移動情報および前記購買行動情報をもとにして、前
    記移動情報および前記購買行動情報の両方に記録されて
    いる各々の個人識別情報について、購買行動規則を抽出
    する手段とを備えたことを特徴とする購買行動予測装
    置。
  2. 【請求項2】前記購買行動規則は、購買を発生させるた
    めに前記移動情報の内容に課される条件と、そのときに
    購買される商品の各商品識別情報とを含むものであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の購買行動予測装置。
  3. 【請求項3】前記移動情報のうち最新のものが得られた
    場合、該移動情報と該移動情報に含まれる個人識別情報
    に対応する前記規則に基づいて、購買が発生すると予想
    される時刻または時間帯および購買されると予想される
    商品の商品識別情報を求める手段をさらに備えたことを
    特徴とする請求項2に記載の購買行動予測装置。
  4. 【請求項4】各個人識別情報ごとの前記予想結果を、各
    商品識別情報ごとに集計する手段をさらに備えたことを
    特徴とする請求項3に記載の購買行動予測装置。
  5. 【請求項5】前記購買行動情報を収集するにあたって前
    記商品識別情報を得ることができない場合、該商品識別
    情報を空欄として購買行動情報を収集する手段と、 前記移動情報に含まれる各々の個人識別情報について、
    前記定められた地点と購買の発生する地点との位置関
    係、前記通過方向情報および前記通過時刻情報に基づい
    て、購買の発生した可能性のある時間帯を推定する手段
    と、 推定された前記時間帯において得られた前記購買行動情
    報を、各購買行動情報に含まれる商品識別情報の内容の
    類似性により、クラス分類する手段と、 分類されたクラスに属する前記購買行動情報の発生する
    確率に基づいて、空欄となっている該購買行動情報の個
    人識別情報として前記推定の基となった前記個人識別情
    報を付加すべきか否かを判断する手段とを備えたことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の購買行
    動予測装置。
  6. 【請求項6】前記判断は、所定のクラスに属する前記購
    買行動情報の、推定された前記時間帯において得られた
    前記購買行動情報における発生頻度と、所定のクラスに
    属する前記購買行動情報の、収集された全購買行動情報
    における発生頻度とを比較することによりなされること
    を特徴とする請求項5に記載の購買行動予測装置。
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