JP3348571B2 - 多溝性材料,擬縦多層膜およびこれらの製造方法 - Google Patents

多溝性材料,擬縦多層膜およびこれらの製造方法

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JP3348571B2 JP23606395A JP23606395A JP3348571B2 JP 3348571 B2 JP3348571 B2 JP 3348571B2 JP 23606395 A JP23606395 A JP 23606395A JP 23606395 A JP23606395 A JP 23606395A JP 3348571 B2 JP3348571 B2 JP 3348571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多溝性材料,擬縦
多層膜およびこれらの製造方法に関する。
【0002】本発明の多溝性材料,擬縦多層膜は、光学
的、電気的あるいは磁気的な面内異方性を有し、例え
ば、光通信や光検出において重要な役割を果たす偏光子
として利用できる。
【0003】
【技術の背景】ナノメートルオーダーの構造単位(金属
粒子や半導体微結晶等)を分散させた複合材料は、非線
形光学効果や偏光特性を利用した応用が検討されてい
る。この非線形光学効果や偏光特性は、各微粒子が一定
の規則性(例えば、その配向方向が揃っている)をもっ
て異方的に分散して、各微粒子が発現する効果が互いに
強めあうような形態となっているときに得られる。
【0004】本願出願人は、先に、新規かつ有用な異方
性ナノ複合材料およびその製造方法を提案している(特
開平4−218662号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】出願人が先に提案した
上記の製造方法によれば、複雑な工程によらず、気相か
ら膜として基板上に析出させるだけで、異方性ナノ複合
材料(すなわち、少なくとも2種以上の物質が三次元領
域に間隔をおいて多数分散し、面内における形態の異方
性を有し、かつ配向方向が揃っている異方性ナノ複合材
料)を得ることができる。
【0006】本発明の発明者は、本出願人により提案さ
れた上記の要素技術に関して、さらに種々の研究を行っ
た。
【0007】本発明は、その過程で得られた新規な知見
に基づき、より発展的,応用的な、新規かつ有用な技
術、すなわち、材料層に微細な多数の溝を形成する技術
や、異なる種類の構成物質が交互に並んだ縦超格子構造
の形成技術等を提供するものである。
【0008】縦多層膜を形成する場合を例にとると、従
来は、微細な溝を形成する技術として、特開平5−28
9027号公報に記載されるように、フォトリソグラフ
ィー技術を用いている。この場合には、正確な微細加工
を行うために複雑なプロセスや大規模な装置を必要と
し、したがってコスト高となる。また、フォトリソグラ
フィーを用いた加工では本質的に大面積の膜を形成する
のがむずかしく、さらに、物質によりエッチング条件が
異なるために使用できる材料が限定される等の問題があ
る。
【0009】本発明によれば、上述した現状の技術の問
題点が解決される。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の本発明の多溝性材料の製造方法は、減
圧容器内において、基板面上に蒸着する物質のうちの融
点が低い方の物質の融点(絶対温度)の1/3以下の温
度に設定した基板面の法線に対し、30〜89度傾斜し
た第1の方向を中心とする方向から一方の物質を前記基
板面上に蒸着するとともに、前記第1の方向に対して3
0度以上異なる第2の方向を中心とする方向から他方の
物質を前記基板面上に蒸着する2源同時斜め蒸着によ
り、前記両方の物質が前記基板面内における、形態的異
方性をもって分散した異方性ナノ複合材料を形成する第
1の工程と、前記材料の構成物質のうちの少なくとも一
種を選択的に除去する選択的除去処理を施し、残存物質
を凝集させて、ほぼ一定の方向に延在する凸部を構成さ
せて多溝構造を形成させる第2の工程と、を含んでなる
ことを特徴とする。
【0011】本請求項の発明の作用は以下のとおりであ
る。
【0012】第1の工程において、基板温度ならびに蒸
着における角度が上記の条件を満たす場合に、それぞれ
の物質は原子オーダーで混じり合うことなく個々の相に
分離し、更に、各相の分散の状態は面内で異方的となっ
て、基板面において形態的異方性をもったナノ複合材料
が形成される。
【0013】次に、選択的除去処理により、一方の構成
物質を除去させることにより、異方性ナノ複合材料がも
つわずかの規則性(配向性、すなわち、粒子の形状ある
いは配列が一方向に揃っている)が増大され、多溝構造
が形成される。その結果、多溝構造の構成物質に応じ
て、光学特性、電気的特性、磁気的特性等所望の特性の
面内異方性を得ることができる。
【0014】(2)請求項2の本発明の擬縦多層膜の製
造方法は、請求項1に記載の方法における前記第2の工
程の後に、さらに下記の第3の工程を追加し、これによ
り擬縦多層膜を得ることを特徴とするものである。
【0015】(第3の工程)前記第2の工程により形成
された前記溝にさらに物質を充填する。
【0016】本請求項の発明の作用は以下のとおりであ
る。
【0017】本請求項の発明では、溝部分にさらに物質
を充填することにより、柱状物質の凝集体からなる第1
の縦の層と、溝部分に充填された物質からなる第2の縦
の層とが交互に並んだ、擬縦多層膜を形成する。
【0018】本明細書において、「縦多層膜」の用語を
使用せずに「擬縦多層膜」の用語を使用しているのは、
上述のように、選択的除去処理に伴って生じる溝は、ミ
クロレベルで微妙な不規則性(人為的には導入できない
微少な不規則性)を有しており、したがって、その溝に
他の物質を充填して形成される縦の多層膜にも微妙な不
規則性が存在していることを考慮したからである。
【0019】本請求項の擬縦多層膜の製造方法は、フォ
トリソグラフィーのような複雑な工程を必要とせず簡易
であり、大きなサイズの材料の製造も容易に行える。ま
た、低コストである。
【0020】さらに、溝に充填する物質を選択すること
により、擬縦多層膜に光学特性、電気的特性、磁気的特
性等の所望の特性の面内異方性を、容易に付与または増
大させることができる。
【0021】なお、上述した多溝性材料の製造プロセス
と同様の理由により、材料選択の自由度が大きく、ま
た、縦多層膜を構成する各層の厚みも、蒸着角や蒸着源
の投入電力により制御可能である。
【0022】(3)請求項3に記載の本発明は、請求項
1に記載の多溝性材料の製造方法により製造される、多
数の柱状物質の凝集体からなる凸部と、選択的除去処理
により生じた溝とが交互に並んで構成されてなる、多溝
性材料である。
【0023】選択的除去処理により残存した多数の柱状
物質が凝集して構成されたランド(凸部)と、その結果
生じた溝部(凹部)とを有する、特異な微細構造を有し
ている。
【0024】(4)請求項4に記載の本発明は、請求項
2に記載の擬縦多層膜の製造方法により製造される、多
数の柱状物質の凝集体からなる第1の層と、選択的除去
処理により生じた溝に充填された物質からなる第2の層
とが交互に並んで構成されてなる擬縦多層膜である。
【0025】選択的除去処理により残存した多数の柱状
物質が凝集して構成された第1の層と、凝集の結果生じ
た溝部に充填された第2の層とが交互に配列されてな
る、特異な微細構造を有している。
【0026】
【発明の実施の形態】
(1)第1の実施の形態(多溝性材料) 多溝性材料の製造プロセスの一つの態様は、図6に示す
ように、蒸着により異方性複合材料(異方性ナノ複合材
料)を形成する工程(工程A,B)と、次に、選択的除
去処理により構成物質の少なくとも一つを除去し、多数
の溝を生じさせる工程(工程C)とからなる。
【0027】(蒸着工程および選択的除去処理工程の態
様)蒸着は、例えば、図9に示すような装置を用いて行
う。図9には、2源同時斜め蒸着を行う場合の構成が示
されている。以下、その構成について説明する。
【0028】減圧容器500のほぼ中央に基板100が
設置されており、この基板100は、加熱装置(ヒータ
ー)300によって必要に応じて加熱される。
【0029】物質の蒸着は、第1の小型スパッタ源21
4(第1のターゲット210を有する)および第2の小
型スパッタ源216(第2のターゲット220を有す
る)によって行う。
【0030】本実施の形態では、第1のターゲット21
0としてSiO2を使用し、第2のターゲット220と
してNiを使用するものとする。
【0031】第1のターゲット210は、基板の面法線
(ア)に対して反時計回りにθ1(θ1=30〜89
度)傾斜した方向(イ)を中心として設置され、第2の
ターゲット220は、基板の面法線(ア)に対し、時計
回りにθ2(θ2=30〜89度)傾斜した方向(エ)
を中心として設置される。第1のターゲット210と第
2のターゲット220との相対角は、θ3(=θ1+θ
2)である。
【0032】異方性複合材料を得る場合には、基板面上
に蒸着する物質のうちの融点が低い方の物質の融点(絶
対温度)の1/3以下の温度に基板温度を設定し、か
つ、その基板の面法線に対し、30〜89度傾斜した第
1の方向を中心とする方向から一方の物質を前記基板面
上に蒸着するとともに、その第1の方向に対して30度
以上異なる第2の方向を中心とする方向から他方の物質
を基板面上に蒸着する。
【0033】すなわち、図9においては、基板100の
温度が、融点が低い方の物質(本実施の形態ではNi)
の融点(2726K)の1/3以下となるように調整さ
れ、かつ、蒸着角θ1が30〜89度の範囲内にあり、
相対角θ3は30度以上である。基板温度ならびに蒸着
における角度が上記の条件を満たす場合に、各方向から
蒸着された物質は原子オーダーで混じり合うことなく個
々の相に分離し、更に、各相の分散の状態は面内で異方
的となって、基板面において形態的異方性をもったナノ
複合材料(異方性ナノ複合材料)が形成される。
【0034】2種類の蒸着物質の組み合わせは特に限定
は無く、酸化物、フッ化物、半導体、金属、有機高分
子、無機高分子どうしあるいはこれらの任意の組み合わ
せが可能である。
【0035】多溝性材料における溝の幅,間隔は、両方
向からの物質の蒸着角と、蒸着量の比率(すなわちスパ
ッタ源の投入電力)により制御することができる。蒸着
角が小さい(基板に対して垂直に近い)場合には、より
微細な構造が形成される。
【0036】また、残存物質の蒸着量の比率が大きい場
合には、より微細な構造が形成される。
【0037】(多溝性材料の形成原理)次に、図1〜図
5を用いて、多溝性材料の形成原理を、プロセスに即し
て、以下、説明する。
【0038】上述の装置を用いて、図1(a)に示すよ
うに、SiO2およびNiからなる異方性ナノ複合材料
を基板100上に形成する。
【0039】次に、図1(b)に示すように、塩酸によ
る選択的除去処理によりNiのみを選択的に除去する
と、柱状のSiO2(ピラー)112が形成される。
【0040】すると、これらのピラー(pillar)
112は、相互活用により凝集し、図1(c)に示すよ
うに、ランド140とグルーブ150とが生じる。図1
(d)は図1(c)の斜視図である。
【0041】つまり、溶解前は、Ni微粒子が配向性を
もって分散しているが、選択的除去処理後は、溶解によ
り生じた空隙(孔)が一方向に連なっていき、規則性が
増大されるという現象が生じる。つまり、成膜時に生じ
るわずかな規則性が、外からの規則性の要因を付加する
ことなく増大されるという、一種の自己組織化現象が生
じていると考えられる。
【0042】図1に示した一連のプロセスをより具体的
に示した斜視図が、図2〜図4である。
【0043】このようにして、一方向に延在する多数の
溝を有する特異な多溝構造が形成される。この溝は、全
体的にみてほぼ一方向に延在するが、部分的には図示し
ないわずかの不規則性(蛇行など)を包含していると考
えられる。
【0044】このようにして形成された多溝性材料は、
光学的異方性を有する。例えば、図7に示すように、多
溝性材料160に垂直にレーザ光を照射し、その透過光
強度の分布をセンサ360で測定すると、図8に示すよ
うに、溝と垂直方向の光強度分布(図8(a))と、溝
と平行方向の光強度分布(図8(b))は異なり、光学
的異方性が現れる(このことについては、後の実施例に
おいて具体的に説明する)。
【0045】なお、上述の具体例では、SiO2とNi
を例にとって光学的異方性の発現について示したが、選
択的除去の際の残存物質として、導電性の物質を用いれ
ば、電気伝導度の面内異方性が得られる。また、残存物
質が強磁性体の場合には、保磁力の面内異方性が得られ
る。
【0046】上述のように、多溝性材料を製造するため
には、まず、2源同時斜め蒸着によって、「2種以上の
物質が間隔をおいて多数分散し、その形態が異方的であ
り、かつ配向性を有する異方性ナノ複合材料」を形成す
ることが必要であるが、この場合における「配向性」と
は、図10(a),(b)に示されるような異方形状を
もつ微粒子の方向性の他に、図10(c)に示すような
等方形状をもつ微粒子の配列の方向性(すなわち、x方
向とy方向とで間隔が異なる)も含む概念である。
【0047】図11(a),(b)および図12は、2
源同時斜め蒸着により形成される異方性ナノ複合材料の
具体例を示すが、本発明者の実験により、いずれの態様
の場合も、選択的除去処理により方向性を有する溝が形
成されることが確認されている。
【0048】なお、図11(a)の場合は、2種類の物
質(720,730)が密接して多数分散し、黒色部7
20の平面形状における平均的厚さが数nm,平均的長
さが数10nmである状態の異方性ナノ複合材料を示
し、図11(b)は、基板面から膜表面に至る物質が空
隙を介して多数分散し、2種類の板状の物質740およ
び750が対面して貼り合わされた状態の異方性ナノ複
合材料を示し、図12は、基板面から膜表面に至る物質
760,770が、互いにその一部が密接して基板面法
線に対し傾斜して多数分散している状態の異方性ナノ複
合材料を示している。
【0049】蒸着工程の後、選択的除去処理の際、異方
性ナノ複合材料を構成する物質のうち少なくとも一種を
選択的に除去する方法には特に限定は無く、当該物質を
除去し、かつ、残存物質に実質的に影響を与えない方法
であれば、何でもよい。たとえば、酸、アルカリ、有機
溶媒等による溶解処理、反応性ガスによるドライエッチ
ング、電気化学的な選択エッチング処理などで行うこと
ができる。
【0050】(2)第2の実施の形態(擬縦多層膜) 図6の工程Dに示すように、上述の多溝性材料の溝に、
物質を充填することにより、規則性をもった縦の層が交
互に並ぶ擬縦多層膜を形成することができる。
【0051】図5に示すように、擬縦多層膜400は、
選択的除去処理により残った柱状の物質(ピラー)11
2が凝集して構成された第1の層140と、溝に充填さ
れた物質(充填物質)からなる第2の層300とで構成
される。
【0052】第1の層と第2の層との層厚の比(d1:
d2)は、多溝性材料を形成する場合の蒸着工程におけ
る両方向からの物質の蒸着角と蒸着量の比率によって変
化させることができる。
【0053】溝に第3の物質を充填する方法には、特に
限定はない。例えば、電解析出法により充填する場合に
は、基板として、金属、酸化物導電体、あるいは絶縁体
基板の上に導電性物質をコートしたもの等を用い、多溝
性材料を構成する物質としては、SiO2等の絶縁性の
ものを用いる。
【0054】また、無電解析出法により充填する場合に
は、蒸着前に基板に無電解析出のための前処理を行う。
例えば、金属を充填する場合には、基板上にPdを数オ
ングストローム程度蒸着しておく。
【0055】第1の層の物質と第2の層の物質の組合せ
を選択することにより、所望の特性の面内異方性を得る
ことができる。たとえば、光学特性の異なる2種類の物
質を選択すれば光学特性の面内異方性が得られる。ま
た、電気的特性の異なる2種類の物質を選択すれば電気
的特性の面内異方性が得られ、磁気的特性の異なる2種
類の物質を選択すれば磁気的特性の面内異方性が得られ
る。
【0056】
【実施例】以下、実施例について説明する。
【0057】(実施例1)ガラス基板上にSiO2から
なる多溝性材料を作製し、その回析格子としての特性を
調べた。
【0058】多溝性材料は、図9に示した装置を用いて
作製した。
【0059】一方の物質としてはSiO2を用い、この
SiO2ターゲット210を搭載した小型スパッタ源2
14を、基板の面法線(ア)に対して70度(=θ1)
傾斜した方向(イ)に設置した。
【0060】他方の物質としてはNiを用い、このNi
ターゲット220を搭載した小型スパッタ源216を、
基板の面法線(ア)対して70度(=θ2)傾斜した方
向(エ)に設置した。各ターゲットは、面法線(ア)を
含む、同一の平面上に配置されている。
【0061】減圧容器内のArガス濃度を3×10-3
orrとし、両スパッタ源で放電を開始した。
【0062】SiO2ターゲット210への投入電力を
300W、Niターゲット216への投入電力を50W
とし、60分間のスパッタ蒸着を行い、室温のガラス基
板上にSiO2とNiを同時に蒸着して、厚さ1μmの
薄膜を形成した。
【0063】その後、1規定の濃度の塩酸水溶液で20
分間の処理を行い、Niを溶解させ、その後純水で洗浄
してSiO2からなる多溝性材料を作製した。多溝性材
料の走査型電子顕微鏡写真を図13に示す。
【0064】溝の幅、長さ、間隔の平均値はそれぞれは
200nm、20μm、2.3μmであった。この材料
に、図7に示すように、基板に垂直な方向から波長63
3nmのHe−Neレーザー光を照射し、センサ360
で前方散乱光強度の角度分布を測定したところ、図8
(a),(b)のような結果が得られた。
【0065】すなわち、図8(b)に示すように、溝と
平行方向には光はほとんど散乱されず、一方、図8
(a)に示すように、溝と垂直方向には、散乱角±16
度の方向に回析ピークが現れた。
【0066】(実施例2)Cu基板上に、Coからなる
多溝性材料を作製し、その保磁力の面内異方性を調べ
た。
【0067】一方の物質としてCo、他方の物質として
Alを用いた。蒸着装置は、実施例1と同一のものを用
い、Coターゲットへの投入電力を50W、Alターゲ
ットへの投入電力を100Wとし、15分間のスパッタ
蒸着を行い、室温のCu基板上にCoとAlを同時に蒸
着して、厚さ300nmの薄膜を成形した。その後、1
規定の濃度の水酸化ナトリウムの水溶液で10分間の処
理を行い、Alを溶解させ、その後純水で洗浄してCo
からなる多溝性材料を作製した。
【0068】多溝性材料の走査型電子顕微鏡写真を図1
5に示す。
【0069】溝の幅、長さ、間隔の平均値はそれぞれは
200nm、4μm、500nmであった。この材料の
保磁力の面内異方性を測定したところ、溝に平行な方向
の保磁力は、溝と垂直な方向の保磁力の20倍以上であ
った。
【0070】(実施例3)ITO(indium-tin-oxide)
付きガラス基板上にSiO2とAuからなる擬縦多層膜
を作製し、その偏光フィルターとしての特性を調べた。
【0071】一方の物質としてSiO2、他方の物質と
してNiを用いた。室温のITO付きガラス基板上に、
実施例1と同一の装置を用い、スパッタ蒸着時間を30
分とした以外は同一の蒸着条件で、厚さ500nmの薄
膜を成形した。
【0072】その後、1規定の濃度の塩酸水溶液で10
分間の処理を行い、Niを溶解させ、その後純水で洗浄
してSiO2からなる多溝性材料を作製した。
【0073】多溝性材料の走査型電子顕微鏡写真を図1
4に示す。溝の幅、長さ、間隔の平均値はそれぞれは1
00nm、4μm、400nmであった。図13や図1
5との比較から明らかなように、本発明の製造プロセス
によって製造される多溝性材料の溝の幅や溝と溝の間隔
等は、多様に制御可能である。
【0074】溝の充填物質としてはAuを用い、形成し
た多溝性材料の溝部分に電解析出法にて充填した。
【0075】析出液は高純度化学製,K24Eを用い、
電流5mA(基板サイズ1cm□)、析出時間55秒と
してSiO2とAuからなる擬縦多層膜を作製した。
【0076】この材料に、基板に垂直な方向から波長1
μm〜3μmの赤外光を照射し、透過光強度を測定した
ところ、偏光方向が擬縦多層膜の層方向に平行な光は吸
収され、偏光方向が擬縦多層膜の層方向に垂直な光は透
過するという偏光フィルターとしての特性が得られ、消
光比は1/100以下が得られた。
【0077】(実施例4)ガラス基板上にSiO2とA
uからなる擬縦多層膜を作製し、その電気電導率の面内
異方性を調べた。
【0078】ガラス基板上に無電界析出のための前処理
として、Pdを抵抗加熱により、5オングストローム
(体積膜厚)蒸着した。次いで、実施例3と同様にして
SiO 2からなる多溝性材料を作製した。
【0079】作製した材料の微細構造は、実施例3の場
合と同様であった。
【0080】溝の充填物質としてはAuを用い、形成し
た多溝性材料の溝部分に無電界析出法にて充填した。
【0081】析出液は高純度化学製,K24Nを用い、
析出時間20分としてSiO2とAuからなる擬縦多層
膜を作製した。
【0082】この材料の電気電導率の面内異方性を測定
したところ、擬縦多層膜の層に平行な方向の電気伝導率
は、擬縦多層膜の層と垂直な方向の電気伝導率の10倍
以上であった。
【0083】(実施例5)ITO(indium-tin-oxide)
付きガラス基板上にSiO2とCoからなる擬縦多層膜
を作製し、その保磁力の異方性を調べた。
【0084】実施例3と同様にしてSiO2からなる多
溝性材料を作製した。作製した材料の微細構造は、実施
例3の場合と同様であった。第3の物質(溝の充填物
質)としてはCoを用い、多溝性材料の溝部分に電界析
出法にて充填した。
【0085】析出液は高純度化学製Co100ESを用
い、電流5mA(基板サイズ1cm□)、析出時間50
秒としてSiO2とCoからなる擬縦多層膜を作製し
た。
【0086】この材料の保磁力の異方性を測定したとこ
ろ、擬縦多層膜の層に平行な方向の保磁力は、擬縦多層
膜の層と垂直な方向の保磁力の50倍以上であった。
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は多溝性材料の製造プロセスを
説明するための図であり、(a)〜(c)は工程毎のデ
バイス断面図であり、(d)は(c)の状態の斜視図で
ある。
【図2】異方性ナノ複合材料のより具体的な形態例を示
す斜視図(概念図)である。
【図3】選択的除去処理によって形成されたSiO2
(ピラー)のより具体的な形態例を示す斜視図である。
【図4】SiO2柱(ピラー)の凝集により生じた多溝
構造の、より具体的な形態例を示す斜視図である。
【図5】擬縦多層膜の構造を説明するための断面図であ
る。
【図6】多溝性材料ならびに擬縦多層膜の製造工程を説
明するための図である。
【図7】多溝性材料の前方散乱強度を測定するための構
成(配置)を示す図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、溝と垂直方向,溝
と平行方向における前方散乱光強度の角度分布を示す図
である。
【図9】異方性ナノ複合材料を形成するための蒸着処理
を実施する装置の概要を説明するための図である。
【図10】(a)〜(c)は、異方性ナノ複合材料の
「配向性」の態様を説明するための図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ、異方性ナノ複合
材料の一例を示す図である。
【図12】異方性ナノ複合材料の他の例を示す図であ
る。
【図13】ガラス基板上に作製されたSiO2からなる
多溝性材料の、断面ならびに表面の走査型電子顕微鏡写
真である。
【図14】ITO付きガラス基板上に作製されたSiO
2からなる多溝性材料の、断面ならびに表面の走査型電
子顕微鏡写真である。
【図15】Cu基板上に作製された、Coからなる多溝
性材料の断面ならびに表面の走査型電子顕微鏡写真であ
る。
【符号の説明】
100 基板 110 一方の物質 112 ピラー 120 他方の物質 130 異方性ナノ複合材料 140 ランド(凸部) 150 グルーブ(溝,凹部) 160 多溝性材料 210,220 ターゲット 214,216 小型スパッタ源 300 充填物質 400 擬縦多層膜 500 蒸着装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C25F 3/02 C25F 3/02 B G02B 5/18 G02B 5/18 G02F 1/35 G02F 1/35 H01B 1/00 H01B 1/00 H01F 1/00 H01F 1/00 (72)発明者 野田 正治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平4−218662(JP,A) 特開 平4−97104(JP,A) 特開 平1−312507(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30 G02B 5/18 H01B 1/00 H01F 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧容器内において、基板面上に蒸着す
    る物質のうちの融点が低い方の物質の融点(絶対温度)
    の1/3以下の温度に設定した基板面の法線に対し、3
    0〜89度傾斜した第1の方向を中心とする方向から一
    方の物質を前記基板面上に蒸着するとともに、前記第1
    の方向に対して30度以上異なる第2の方向を中心とす
    る方向から他方の物質を前記基板面上に蒸着する2源同
    時斜め蒸着により、前記両方の物質が前記基板面内にお
    ける形態的異方性をもって分散した、異方性ナノ複合材
    料を形成する第1の工程と、 前記材料の構成物質のうちの少なくとも一種を選択的に
    除去する選択的除去処理を施し、残存物質を凝集させ
    て、ほぼ一定の方向に延在する凸部を構成させて多溝構
    造を形成させる第2の工程と、を含んでなることを特徴
    とする多溝性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法における前記第2の
    工程の後に、さらに下記の第3の工程を追加し、これに
    より擬縦多層膜を得ることを特徴とする擬縦多層膜の製
    造方法。 (第3の工程)前記第2の工程により形成された前記溝
    にさらに物質を充填する。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の多溝性材料の製造方法に
    より製造される、多数の柱状物質の凝集体からなる多溝
    性材料。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の擬縦多層膜の製造方法に
    より製造される、多数の柱状物質の凝集体からなる第1
    の層と、選択的除去処理により生じた溝に充填された物
    質からなる第2の層とが交互に並んで構成されてなる擬
    縦多層膜。
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