JP3344781B2 - 電気泳動用ゲル型および電気泳動用ゲル - Google Patents

電気泳動用ゲル型および電気泳動用ゲル

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JP3344781B2 JP21803393A JP21803393A JP3344781B2 JP 3344781 B2 JP3344781 B2 JP 3344781B2 JP 21803393 A JP21803393 A JP 21803393A JP 21803393 A JP21803393 A JP 21803393A JP 3344781 B2 JP3344781 B2 JP 3344781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気泳動用ゲルの作製
に好適に用いることが可能な電気泳動用ゲル型(ゲル作
製用容器)、およびこれを用いて作製される電気泳動用
ゲルに関する。
【0002】
【従来の技術】電荷をもった物質を、電場を印加した支
持体(溶液、ゲル等)中における移動度の差によって分
離する電気泳動法は、生物学・生化学等の分野におい
て、タンパク質、核酸やそれらの分解物をはじめとする
種々の物質の分離・分析のために広く利用されている。
電気泳動法の中でも、ポリアクリルアミドゲルやアガロ
ースゲル等のゲル材を支持体として用いるゲル電気泳動
法は、一種の分子ふるい効果に基づいた高い分離能を示
すので、特に利用価値が大きい。
【0003】このゲル電気泳動法においては、サンプル
(試料)は、比較的幅の狭いゾーン(通常、電場の方向
とほぼ垂直に設けられる)として支持体たるゲル材上に
設けられたサンプル溝中に添加され、電気泳動に供せら
れる。したがって、電気泳動用ゲル材の作製に際して
は、該ゲル材にサンプル溝を設ける必要がある。
【0004】従来より、このようなサンプル溝を電気泳
動用ゲル材に形成するための器具として、サンプル溝作
成のためのコーム(comb;串状部材)と、ゲル材を
収容する容器とが分離可能に設けられたゲル作製容器が
用いられてきた。従来のゲル作製容器の一例を、図12
の模式斜視図に示す。
【0005】図12を参照して、このゲル作製容器は、
コーム配置用スロット40が設けられたゲル収容用トレ
ー41と、ゲル材にサンプル溝を作成するための着脱可
能なコーム42と、ゲル形成時に上記トレー41ととも
に該ゲル材を収容するスペースを作るゲル形成用台43
とからなる。
【0006】従来、電気泳動用アガロースゲルの作製
は、図12に示したようなゲル作製容器を用いて、以下
のようにして行われてきた。
【0007】すなわち、コーム42をゲル収容用トレー
41のコーム配置用スロット40に差し込んで図13の
模式斜視図に示したように組み立て、更にゲル形成用台
43に挿入して、図14の模式斜視図に示したゲル作製
容器とする。このようにして組み立てたゲル作製容器の
ゲル収容部に、高温(90℃程度)で溶解したアガロー
スを含むアガロース溶液を流し込む。該アガロース溶液
が冷却により充分固まってゲル化した後、ゲル形成用台
43からトレー41を取り外し、更にトレー41からコ
ーム42を取り外すことにより、トレー41内に、(上
記コーム42の配置に基づき形成された)サンプル溝を
有する電気泳動用アガロースゲル材が作製される。この
ように作製されたアガロースゲル材は、公知のゲル電気
泳動装置(図示せず)内に配置されて電気泳動操作に供
される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のゲル作製容器を用いた場合、1個の電気泳動用
ゲル材を作製する度に、ゲル作製前にコーム42を上方
からゲル収容用トレー41のコーム配置用スロット40
に差し込んでゲル収容部を組み立て、且つ、ゲル作製後
には、逆にトレー41からコーム42を外す操作が必要
になるため、操作性(operability )が良好とは言えな
い。
【0009】また、コーム42はトレー41に着脱可能
に構成する必要があり、コーム42とトレー41とを完
全に固定することができないため、上記のようにゲル作
製容器中に作製したゲルをそのまま輸送する際には、該
ゲルが(特に、比較的強度の低いサンプル溝の近傍で)
破損する可能性が高くなる。
【0010】また、着脱可能に構成する必要から、トレ
ー41に差し込まれた状態におけるコーム42の両端部
分(コーム42のコーム配置用スロット40に差し込ま
れるべき部分、およびその近傍の部分)の高さは、トレ
ー41の上面より高く設定せざるを得ないため、ゲル作
製容器として嵩が大きくなる(すなわち嵩張る)ことは
避け難い。
【0011】更には、上記のトレー41およびコーム4
2には高い寸法安定性が要求されるため、これら複数の
部材を、寸法安定性の良い比較的高価な樹脂(例えば、
商品名デルリン(デュポン社製)等のアセタール樹脂)
を用いて形成せざるを得ない。したがって、従来のゲル
作製容器は、その製造コストが高くなるため、大量生産
に適しているとは言えない。
【0012】したがって本発明の目的は、電気泳動用ゲ
ル作製の際の操作性に優れた電気泳動用ゲル型を提供す
ることにある。
【0013】本発明の他の目的は、電気泳動用ゲルにお
いて比較的強度の低いサンプル溝の近傍の部分でのゲル
破損を効果的に防止できる電気泳動用ゲル型を提供する
ことにある。
【0014】本発明の他の目的は、嵩が比較的小さく、
コンパクトな電気泳動用ゲル型を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、製造コストが低く、
大量生産に適した電気泳動用ゲル型を提供することにあ
る。
【0016】本発明の他の目的は、保存性および輸送性
に優れた電気泳動用ゲルを提供することにある。
【0017】本発明の更に他の目的は、耐乾燥性および
耐汚染性に優れた電気泳動用ゲルを提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の結
果、従来の電気泳動用ゲル型におけるように着脱自在な
コームをゲル収容部の底部に対向して設けるのではな
く、これとは全く逆に、コームをゲル収容部の底部側
に、しかも該底部に固定して設けることが、上記した課
題の解決に極めて効果的なことを見出だした。
【0019】本発明の電気泳動用ゲル型は上記知見に基
づくものであり、より詳しくは、内部に電気泳動用ゲル
材料を収容可能としたゲル容器部と、該ゲル容器部の底
面に固定された少なくとも一つのコームとからなること
を特徴とするものである。
【0020】本発明によれば、更に、内部に電気泳動用
ゲル材料を収容可能としたゲル容器部と、該ゲル容器部
の底面に固定された少なくとも一つのコームとからなる
電気泳動用ゲル型と;前記ゲル容器部に収容されたゲル
材料とからなることを特徴とする電気泳動用ゲルが提供
される。
【0021】
【作用】上記した本発明の電気泳動用ゲル型において
は、コームがゲル容器部の底に固定されているため、従
来の電気泳動用ゲル型を用いた場合のように、ゲル作製
の度にコームをゲル収容部(ゲル収容用トレー)に差し
込んで組み立てる必要がなくなり、そのままゲル材料
(例えば、溶解したアガロース溶液)を上記ゲル型に注
ぎ入れてゲルを作製することが可能となる。また、突起
部分たるコームが固定されている面はゲル容器部の底面
であるため、作製されたゲルをゲル材型から取り出す際
に、該コームがゲル材のゲル型からの脱離を妨害するこ
ともない。したがって、本発明の電気泳動用ゲル型は、
ゲル作製の際の操作性に優れたものとなる。
【0022】更に、上記コームがゲル容器部に固定され
ているため、該コームがぐらつくことがなく、比較的強
度の弱い電気泳動用ゲル材のサンプル溝近傍部分等のゲ
ル破損の防止が容易となるのみならず、コームをゲル容
器部に着脱自在に構成する必要がなくなるため、電気泳
動用ゲル型全体の嵩を小さくして、コンパクトにするこ
とが可能となる。
【0023】更に、本発明の電気泳動用ゲル型は一体的
に成形することができるため、安価な樹脂を用いて、低
コストで大量に製造することが可能となる。
【0024】一方、上記した電気泳動用ゲル型の容器部
内にゲル材料が収容されてなる発明の電気泳動用ゲルに
おいては、上記コームが容器部に固定されていて該コー
ムがぐらつくことがないため、容器部内にゲル材料を収
容したまま保存ないし運搬しても、比較的強度の弱いサ
ンプル溝ないしその近傍部分等のゲル破損が効果的に防
止される。したがって、このような本発明の電気泳動用
ゲルは保存および/又は運搬性に優れており、プレキャ
ストタイプないしレディメードタイプの電気泳動用ゲル
として好適に使用することが可能である。
【0025】
【実施例】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発
明を詳細に説明する。
【0026】本発明の電気泳動用ゲル型の一実施態様
を、図1の模式斜視図に示す。図2は該実施態様の模式
平面図,図3はその模式側面断面図である。図1を参照
して、この電気泳動用ゲル型は、ポリプロピレン等のプ
ラスチックからなるゲル容器部1と、該ゲル容器部1の
底面に配置されたコーム2とからなる。該コーム2は、
ゲル容器部1の底面に固定された複数の突起部3からな
る。
【0027】図1に示したような電気泳動用ゲル型を用
いて電気泳動用ゲル材を作製するに際しては、例えば、
該ゲル型のゲル容器部1に、高温(90℃程度)で溶解
したアガロースを含むアガロース溶液をコーム2が埋ま
る程度に流し込み、該アガロース溶液を室温まで冷却さ
せてアガロース溶液を充分固めてゲル化させる。次い
で、例えば、上記ゲル型の上下を逆様にしてゲル容器部
1を軽く歪めることにより、固化したアガロースゲルを
上記ゲル型の外に取り出す。このように作製された電気
泳動用アガロースゲルは、上記コーム2の配置に基づき
形成されたサンプル溝を有しているので、そのまま任意
のゲル電気泳動装置(図示せず)内に配置して電気泳動
操作に供することができる。
【0028】次に、本発明の電気泳動用ゲル型を構成す
る各部分について説明する。
【0029】(ゲル容器部)その内部に電気泳動用ゲル
材料の収容が可能である限り、ゲル容器部1の形状は特
に制限されず、形成されるべき電気泳動用ゲル材の形状
に応じて適宜変更することが可能である。より具体的に
は例えば、形成されるべき電気泳動用ゲル材の形状が直
方体状であれば、ゲル容器部1の形状もこれに対応する
直方体状となる。
【0030】本発明においては、このゲル容器部1の底
面の内側(ゲル材料が収容される側)に少なくとも1つ
のコーム2が固定されている。ここに「ゲル容器部の底
面」とは、ゲル容器部1の開口側(ゲル材料が収容され
る側)に対向する面、すなわち、該開口側を上にしてゲ
ル型を平面上に置いた場合に、ゲル容器部1の底部をな
す面をいう。例えば、形成されるべき電気泳動用ゲル材
の形状が上下に偏平な直方体状であれば、ゲル容器部1
の底面は、該ゲル容器部1を形成する複数の面(通常は
5面)のうち、最も面積が大きい面である。
【0031】ゲル容器部1の大きさは、形成されるべき
電気泳動用ゲル材の大きさに対応して任意に設定するこ
とが可能である。電気泳動用ゲル材の強度の点からは、
通常、縦(電場をかけるべき方向の大きさ)が2〜30
cm程度、横(電場の方向に垂直な方向の大きさ)が1
〜30cm程度、高さが0.5〜3cm程度であること
が好ましい。
【0032】ゲル容器部1を形成する材料は特に制限さ
れないが、大量生産が容易な点からは、プラスチックを
用いることが好ましい。このようなプラスチックとして
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等の重合体、あるいはこれらの重合体を構成するモ
ノマー2種以上からなる共重合体又はテトラフルオロエ
チレン(テフロン)、合成樹脂を用いることが可能であ
る。ゲル容器部1を軽く歪めることによる電気泳動用ゲ
ル材の脱離が容易な点からは、ゲル容器部1はポリエチ
レン、ポリプロピレン、あるいはこれらの重合体を構成
するモノマー2種以上からなる共重合体等の軟質プラス
チックからなることが好ましい。
【0033】(コーム)コーム2を上記したゲル容器部
1の底面に固定する手段は特に制限されない。より具体
的には、例えば、コーム2は加熱、接着剤等によりゲル
容器部1の底面に固定されていてもよい。コーム2のゲ
ル容器部1への固定の強度ないしはゲル型製造の容易性
の点からは、コーム2はゲル容器部1と一体に成形され
ていることが好ましい。
【0034】ゲル型からのゲル材の離型性を向上させる
点からは、該ゲル型を形成する際に用いる鋳型(例えば
金属製)は鏡面加工されていることが好ましい。
【0035】コーム2を形成する材料は特に制限されな
いが、大量生産が容易な点からは、プラスチックを用い
ることが好ましい。コーム2がゲル容器部1と一体に成
形されている場合には、コーム2はゲル容器部1と同様
の材料からなることが好ましい。
【0036】コーム2を容器部1に固定する位置は、形
成されるべき電気泳動用ゲル材のサンプル溝の位置に対
応して任意に設定することが可能である。上記サンプル
溝近傍のゲル強度の点、および/又は電気泳動によるサ
ンプル分離のスペース確保の点からは、図2の模式平面
図に示したb/aの値が、1/30≦b/a≦1/2程
度(更には1/6≦b/a≦1/3程度)であることが
好ましい。一方、サンプル溝近傍のゲル強度の点、およ
び/又はスペースの有効利用の点からは、図2に示した
cの大きさは1〜30mm程度(更には5〜10mm程
度)であることが好ましい。
【0037】コーム2は1個以上(好ましくは複数)の
突起3からなるが、1つのコーム2を構成する突起3の
数あるいは大きさは、形成されるべきサンプル溝の数あ
るいは大きさに対応して任意に設定することが可能であ
る。サンプル溝近傍のゲル強度の点、および/又はスペ
ースの有効利用の点からは、1つのコーム2は2〜10
0個(更には5〜30個)の突起3から構成されている
ことが好ましい。
【0038】1つの突起3の大きさ(図2のd)は、2
〜8mm程度(更には4〜6mm程度)であることが好
ましい。また、突起3間の間隔の大きさ(図2のe)
は、0.5〜10mm程度(更には1〜2mm程度)で
あることが好ましい。突起3と上記間隔との相対比e/
dは、1/5〜2/1程度であることが好ましい。
【0039】コーム2(すなわち突起3)の高さ(図3
の断面図のf)は、0.1〜10mm程度(更には1〜
10mm程度)であることが好ましい。コーム2の高さ
fと容器部1の高さgとの相対比f/gは、1.1/1
〜3/1程度であることが好ましい。
【0040】コーム2の個数は1個以上であればよく、
必要とされるサンプル溝の個数に応じてゲル容器部の底
面に設けられる。
【0041】(電気泳動用ゲル)上述したような本発明
の電気泳動用ゲル型を用いて、電気泳動用ゲルを作製し
た一例を図4の模式側面断面図に示す。
【0042】図4を参照して、ゲル容器部1と、該ゲル
容器部1の底面に固定されたコーム2とからなる電気泳
動用ゲル型(図3に記載されたようなゲル型)のゲル容
器部1内に、アガロースゲル等からなる電気泳動用ゲル
材料4が収容されている。本発明においては、コーム2
は容器部1に固定されており、(従来の電気泳動用ゲル
型と異なり)コーム2がぐらつくことがないため、比較
的強度の弱いサンプル溝ないしその近傍部分等のゲル破
損を容易に防止することができる。したがって、本発明
の電気泳動用ゲル型を用いて作製した電気泳動用ゲル
(図4の態様)は、ゲル4形成後の保存および/又は運
搬性に優れている。
【0043】本発明においてゲル材料としては、公知の
ゲル材料を特に制限なく使用することができる。より具
体的には例えば、上記したアガロースの他に、アクリル
アミド等のゲル材料が使用可能である。
【0044】本発明の電気泳動用ゲルにおいては、図4
に示したように、ゲル材料4を収容したゲル容器部1の
開口側を、必要に応じてシール部材5でシールしてもよ
い。このようなシールを施した場合、ゲル4の乾燥、破
損、あるいは空気中の異物等によるコンタミネーション
を防止することが容易となるので好ましい。シール部材
5は、容器部1に接着剤、ヒートシール等の任意の手段
により接着させることが可能である。
【0045】(電気泳動用ゲル型の他の態様)図5の模
式側面断面図に、本発明の電気泳動用ゲル型の他の態様
を示す。図5を参照して、この態様においては、図3に
示したような電気泳動用ゲル型を複数積み重ねた場合
に、下方に配置された他のゲル容器部1の内側に配置さ
れるような位置に、ゲル容器部1に脚部6が設けてあ
る。このような脚部6を設けた場合、積み重ねられた複
数の電気泳動用ゲル型の安定性が増大するので好まし
い。例えば、ゲル容器部1底面の横(コームに平行な方
向)の大きさが10cm程度の場合、脚部6の高さは
0.5〜10mm程度(更には1〜2mm程度)である
ことが好ましい。
【0046】図5の態様においては、必要に応じて、ゲ
ル容器部1に突出部7を設けてもよい。このような突出
部7を設けた場合、ゲル容器部1の内部に形成した電気
泳動用ゲル材の取り出しが更に容易になるので好まし
い。例えば、ゲル容器部1底面の横の大きさが10cm
程度の場合、突出部7の突出の程度(図5のh)は0.
5〜10mm程度(更には1〜2mm程度)であること
が好ましい。
【0047】図6の部分模式側面断面図に、本発明の電
気泳動用ゲル型の更に他の態様を示す。図5を参照し
て、この態様においてはゲル容器部1の開口部側に、被
シール部8が設けてある。このように被シール部8を設
けた場合、図4に示したようなシール部材5によるシー
ルがより容易となり、且つ該シールの安定性が増大する
ので好ましい。例えば、ゲル容器部1底面の横の大きさ
が10cm程度の場合、被シール部8の大きさ(図6の
j)は、0.5〜10mm程度(更には1〜2mm程
度)であることが好ましい。
【0048】図7の部分模式側面断面図に示したよう
に、容器部1の開口側に、突出部7と被シール部8との
両方を設けてもよい。
【0049】また、図8の部分模式側面断面図に示した
ように、容器部1の側壁自体に、該容器部1の開口側が
広がるような傾きをつけることは、ゲル型からのゲル材
の離型性を更に向上させる点から好ましい。この場合、
容器部側壁の高さ(k)と、傾きの大きさ(m)との比
(m/k)は、1/20〜1/2程度(更には1/20
〜1/4程度)であることが好ましい。
【0050】また、図9の部分模式側面断面図(突起3
の厚さ方向から見た図)に示したように、該突起3(厚
さ方向)の面の少くとも一方の面に、傾きをつけること
は、ゲル型からのゲル材の離型性を更に向上させる点か
ら好ましい。この場合、突起部3の最大の厚さ(n)
と、最小の厚さ(p)との比(p/n)は、0.1〜
0.9程度(更には0.5〜0.9程度)であることが
好ましい。
【0051】以下、実験例により本発明の電気泳動用ゲ
ル型および電気泳動用ゲルについて更に具体的に説明す
る。
【0052】実験例 金属製の鋳型を用い、ポリプロピレン樹脂の一体成形に
より、図5に示すような本発明の電気泳動用ゲル型(肉
厚:0.12cm、縦:7.5cm、横:11.5c
m、高さ:1.6cm)を作製した。このようにして作
製した電気泳動用ゲル型においては、コーム2は21個
の突起部3(高さ(f):6mm、幅(d):3.3m
m、間隔(e):1.5mm、突起部3の上部(p)1
mm厚、下部 (n)1.5mm厚)からなり、且つ、
容器部1は脚部6(高さ:0.8mm)および突出部7
(突出の程度h:1mm)を有していた。
【0053】別に、2%ヌーシヴGTGアガー(米国F
MC社製)、1%アガロースS(日本ジーン社製)、お
よび1xTBEバッファー(0.89Mトリスーホウ
酸、0.02M EDTA)の組成を有するアガロース
溶液を作成した。このアガロース溶液を電子レンジを用
いて充分に溶解した後、60℃まで冷却し、上記で作製
した電気泳動用ゲル型の容器部1に、コーム2が埋まる
程度に注いだ。室温下で約60分間放置したところ、上
記アガロース溶液がゲル化して本発明の電気泳動用ゲル
が得られた。
【0054】上記のようにして得られた電気泳動用ゲル
のゲル容器部1を両手で軽く歪めて、ゲル容器部1内部
に形成されたゲル材を取り出し、上記コーム2に対応し
た21個のサンプル溝を有するアガロースゲルを得た。
【0055】このようにして作製したゲルを、1xTB
Eバッファーを満たした電気泳動漕(商品名:ホリゾン
11・14、BRL社製)に入れた。DNA分子量マー
カーであるφX174のHaeIII 処理断片0.25μ
g(12μl)を上記サンプル溝に注入し、電圧150
Vで、1時間電気泳動操作を行った。上記アガロースゲ
ル中のDNA断片の検出には、エチジウムブロマイド
(蛍光色素)−紫外線照射法を用いた。すなわち、上記
電気泳動後のアガロースゲルを1μg/mlのエチジウ
ムブロマイド溶液に30分浸した後、長波長側(254
nm)のトランスイルミナーター(英国UVP社製)で
照射し、分離されたDNA断片のバンドを検出した。図
10に、DNA断片分離後の上記ゲル材の写真(ケンコ
ー“R1”フィルター及びポラロイドフィルムを使用し
て撮影した写真を、通常の写真法により複製)を示す。
上記DNA断片は、良好に分離され、且つ上記エチジウ
ムブロマイドにより良好に染色されていた。
【0056】上記した本発明の電気泳動用ゲル型に代え
て、従来のコーム分離タイプのゲル型(米国ライフ・テ
クノロジー社製,Horizon 11・14)を用いた以外は、上
記と同様にしてアガロースゲルを作成し、DNA断片の
分析に用いた。同様に撮影・複製した写真を図11に示
す。
【0057】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、内部に
電気泳動用ゲル材料を収容可能としたゲル容器部と、該
ゲル容器部の底面に固定された少なくとも一つのコーム
とからなることを特徴とする電気泳動用ゲル型が提供さ
れる。
【0058】上記した本発明の電気泳動用ゲル型におい
ては、コームがゲル容器部の底に固定されているため、
ゲル作製の度にゲル収容部を組み立てる必要がなく、そ
のままゲル材料(例えば、溶解したアガロース)を上記
ゲル型に注ぎ入れてゲルを作製することが可能となる。
【0059】また、上記コームがゲル容器部に固定さ
れ、ぐらつくことがないため、比較的強度の弱い電気泳
動用ゲル材のサンプル溝近傍部分等のゲル破損が容易に
防止される。更には、コームをゲル容器部に着脱自在に
構成する必要がなくなるため、ゲル型全体の嵩を小さく
して、コンパクトにすることが可能となる。
【0060】更に、本発明の電気泳動用ゲル型は一体的
に成形することができるため、安価な樹脂を用いて、低
コストで大量に製造することが可能となる。
【0061】一方、上記した電気泳動用ゲル型の容器部
内にアガロースゲル等からなるゲル材料が収容されてな
る発明の電気泳動用ゲルにおいては、上記コームが容器
部に固定されてぐらつくことがないため、容器部内にゲ
ル材料を収容したまま保存ないし運搬しても、比較的強
度の弱いサンプル溝ないしその近傍部分等のゲル破損が
防止される。したがって、このような本発明の電気泳動
用ゲルは保存および/又は運搬性に優れており、プレキ
ャストタイプないしレディメードタイプの電気泳動用ゲ
ルとして好適に使用することが可能となる。
【0062】上記した電気泳動用ゲルの容器部の開口側
に、更にシール部材を配置した場合には、更に耐乾燥性
および耐汚染性に優れたプレキャストタイプの電気泳動
用ゲルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動用ゲル型の一実施態様を示す
模式斜視図である。
【図2】本発明の電気泳動用ゲル型の一実施態様を示す
模式平面図である。
【図3】本発明の電気泳動用ゲル型の一実施態様を示す
模式側面断面図である。
【図4】本発明の電気泳動用ゲルの一実施態様を示す模
式側面断面図である。
【図5】本発明の電気泳動用ゲル型の他の実施態様を示
す模式側面断面図である。
【図6】本発明の電気泳動用ゲル型の更に他の実施態様
を示す部分模式側面断面図である。
【図7】本発明の電気泳動用ゲル型の更に他の実施態様
を示す部分模式側面断面図である。
【図8】本発明の電気泳動用ゲル型の更に他の実施態様
を示す部分模式側面断面図である。
【図9】本発明の電気泳動用ゲル型の更に他の実施態様
を示す部分模式側面断面図である。
【図10】本発明の電気泳動用ゲル型を用いて作成した
ゲル材を用いたDNA断片の分析結果(電気泳動パター
ン)を示す写真である。
【図11】従来の電気泳動用ゲル型を用いて作成したゲ
ル材を用いたDNA断片の分析結果(電気泳動パター
ン)を示す写真である。
【図12】従来の電気泳動用ゲル作製容器の一例及びそ
の組み立ての態様を示す模式斜視図である。
【図13】従来の電気泳動用ゲル作製容器において、コ
ームをゲル収容用トレーに差し込んだ状態を示す模式斜
視図である。
【図14】図13に示したゲル収容用トレーを、ゲル形
成用台に挿入した状態を示す模式斜視図である。
【符号の説明】
1…ゲル容器部、2…コーム、3…突起、4…ゲル材、
5…シール部材、6…脚部、7…突出部、8…被シール
部、40…コーム配置用スロット、41…ゲル収容用ト
レー、42…コーム、43…ゲル形成用台。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−68861(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/447

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に電気泳動用ゲル材料を収容可能と
    したゲル容器部と、該ゲル容器部の底面に固定された少
    なくとも一つのコームとからなることを特徴とする電気
    泳動用ゲル型。
  2. 【請求項2】 合成樹脂からなる請求項1記載の電気泳
    動用ゲル型。
  3. 【請求項3】 一体成形により形成された請求項1記載
    の電気泳動用ゲル型。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン、ポリスチレン、プロピ
    レン−スチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン
    あるいはこれらの混合物を主成分とする請求項1記載の
    電気泳動用ゲル型。
  5. 【請求項5】 前記ゲル容器部の底部外側に、脚部が設
    けられている請求項1記載の電気泳動用ゲル型。
  6. 【請求項6】 前記ゲル容器部の開口部側に、外側への
    突出部が設けられている請求項1記載の電気泳動用ゲル
    型。
  7. 【請求項7】 前記ゲル容器部の開口部側に、被シール
    部が設けられている請求項1記載の電気泳動用ゲル型。
  8. 【請求項8】 前記コームの高さが、0.1〜10mm
    である請求項1記載の電気泳動用ゲル型。
  9. 【請求項9】 前記コームが、1〜100個のゲル容器
    部の底面に固定された突起部からなる請求項1記載の電
    気泳動用ゲル型。
  10. 【請求項10】 内部に電気泳動用ゲル材料を収容可能
    としたゲル容器部と、該ゲル容器部の底面に固定された
    少なくとも一つのコームとからなる電気泳動用ゲル型
    と; 前記ゲル容器部に収容されたゲル材料とからなることを
    特徴とする電気泳動用ゲル。
  11. 【請求項11】 前記ゲル容器部の開口側にシール部材
    が配置されている請求項10記載の電気泳動用ゲル。
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