JP3337754B2 - 繊維補強発泡体の製造方法 - Google Patents

繊維補強発泡体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材などに好適な繊維
補強発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガラス繊維などの補強繊維材
料に発泡硬化性樹脂を含浸させ、その補強繊維材料を先
すぼまりのテーパ状に配列し、連続的に進行させて成形
通路に導き、この成形通路内で上記樹脂液を発泡、硬化
させて建材などに好適な板状成形体を製造することが出
願人によって行なわれている。まず、この繊維補強発泡
体の製造装置について、図2〜図4に基づいて説明す
る。
【0003】多数のボビンからガラス繊維束Gが連続し
て引き出し、図2及び図3に示すように、厚みの薄い広
幅の状態に配列させて、吐出機40からポリウレタンな
どの発泡硬化性樹脂液を吐出させると、樹脂液が繊維束
Gに付着し、更に、この樹脂液が付着した繊維束Gを含
浸台41と含浸板42との間に鋏み、繊維束Gを揉むと
繊維束Gの内部まで発泡硬化性樹脂が含浸される。この
発泡硬化性樹脂が含浸された繊維束Gは、エンドレスベ
ルト43、44とスラットチェイン45、46で内周面
を係止されたサイドベルト47、48とにより周囲を囲
まれた成形通路49の中に導かれ、エンドレスベルト4
3、44、サイドベルト47、48の進行に伴って成形
通路49内を進行する。エンドレスベルト43、44
は、上金型50と下金型51とにそれぞれ回転自在に軸
支された金型ローラ52群にその内周面が接触して支持
され、又、サイドベルト47、48は、前記上金型50
を下金型51に固定する固定具53により回転自在に軸
支されたホィール54に接触して回転自在とされたスラ
ットチェイン45、46にその内周面が係止して支持さ
れ、エンドレスベルト43、44とサイドベルト47、
48とが容易に回転できるように構成されている。
【0004】この繊維束Gを引張機55で牽引し、エン
ドレスベルト43、44とサイドベルト47、48とに
接して成形通路49内を繊維束Gが進行している間に繊
維束Gに含まれる発泡硬化性樹脂液の発泡と硬化とを行
なわせる。発泡の際、繊維束Gの周囲にはエンドレスベ
ルト43、44とサイドベルト47、48とがあり、更
に、エンドレスベルト43、44の内周面には金型ロー
ラ52群が接触し、サイドベルト47、48の内周面に
はスラットチェイン45、46が係止することから、発
泡した樹脂液は成形通路49より外側に出ることはでき
ない。従って、エンドレスベルト43、44とサイドベ
ルト47、48の各外面によって区画された成形通路4
9に基づいた繊維補強発泡体Sを製造することができる
(特公昭52−2421号公報、実公昭59−3641
4号公報参照)。
【0005】又、均質な繊維補強発泡体Sを製造するた
め、吐出機40から吐出される発泡硬化性樹脂液を繊維
束Gを均等に散布し、更に、この散布によって付着され
た発泡硬化液樹脂液を繊維束Gの内部まで均一に含浸さ
せる必要があり、このため、図2に矢印で示すように、
吐出機1を横方向に往復移動させるとともに、含浸板4
2を含浸台41に対して挟持して横方向に往復移動さ
せ、繊維束を揉むように構成している(特公昭50−2
9751号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の繊維
補強発泡体の製造方法においては、吐出機40から吐出
される発泡硬化性樹脂液を繊維束G上に均等に散布する
ため、吐出機40を横方向に往復移動させているが、往
復運動の折り返し点においては、吐出機40は減速、速
度0、加速を経て一定速度となるため、往復運動をする
吐出機40のノズルから吐出される樹脂液58は、図4
に示すように、繊維束Gの中央部56では均一に散布さ
れても、吐出機40の移動速度が遅くなる繊維束Gの両
端部57においては樹脂液58が厚く散布され易い。こ
のため、繊維束Gの両端部57においては中央部56よ
り樹脂液58が過多に散布され、均質な繊維補強発泡体
を製造する上で問題となることがあった。この障害を無
くすために、吐出機40のノズルから吐出される樹脂液
の量を調整可能とし、折り返し点で樹脂液の量を減少さ
せる手段も考えられるが、この場合、樹脂液の量と、製
造サイズによって変わる往復運動の距離及び繊維束の成
形速度とを完全に連動させて制御しなければならず、
又、ポンプによる樹脂量調整の手段ではポンプの応答速
度が遅いため、樹脂液を繊維束G上に均等に散布するこ
とは極めて難しいという問題があった。
【0007】本発明の繊維補強発泡体の製造方法は、上
記問題点に鑑みなされたもので、繊維束に樹脂液を均一
に付着させ、安定した性状の繊維補強発泡体を製造する
ことができる繊維補強発泡体の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維補強発泡体
の製造方法は、多数の長繊維を束ねて薄い層状に配列し
た複数の繊維束の進行方向と直角方向に往復運動するノ
ズルより発泡硬化性樹脂液を吐出して繊維束上に発泡硬
化性樹脂液を散布する際、このノズルの往復運動の折り
返し点において往復運動するノズルに衝撃を与え、樹脂
液を繊維束に付着させることを特徴とするものである。
【0009】本発明の繊維補強発泡体の製造方法におい
て、ノズルに衝撃を与える手段としては、例えば、ノズ
ルの往復運動の折り返し点の信号となるリミットスィッ
チと同じ台にエアシリンダーを取付け、エアシリンダー
のロッドの先端をノズルが往復運動する領域内に位置さ
せてノズルをロッドの先端に衝突させる手段等が挙げら
れる。尚、このエアシリンダーの代わりに緩衝装置等を
用いてもよい。又、製品サイズによって変わるノズルの
往復運動の折り返し点の間隔は、エアシリンダー又はリ
ミットスィッチの取付け位置を変更する等により調整す
ることができる。
【0010】又、衝撃の強さは、エアシリンダーの空気
圧力、又は、エアシリンダーのロッドの先端部とリミッ
トスィッチとの間隔を変更すること等により調整するこ
とができる。
【0011】
【作用】本発明の繊維補強発泡体の製造方法において
は、多数の長繊維を束ねて薄い層状に配列した複数の繊
維束の進行方向と直角方向に往復運動するノズルより発
泡硬化性樹脂液を吐出して繊維束上に発泡硬化性樹脂液
を散布する際、このノズルの往復運動の折り返し点にお
いて往復運動するノズルに衝撃を与え、樹脂液を繊維束
に付着させるので、ノズルに与えられた衝撃により、一
定速度で走行していたノズルの運動速度が急激に減少
し、これにより、ノズルから吐出された樹脂液は慣性に
より外方に向かってはね出され、樹脂液が過多に付着さ
れ易い繊維束の両端部においても樹脂液が分散され、平
均化されて付着される。
【0012】
【実施例】本発明繊維補強発泡体の製造方法の実施例を
図を参照して説明する。図1は本発明繊維補強発泡体の
製造方法の実施態様の一例を示した正面図である。図1
において、1は矢印X方向に往復動するノズル、2はノ
ズル1の折り返し点の信号となるリミットスイッチ、3
は往復動するノズル1に衝撃を与えるエアシリンダー、
4はエアシリンダー3のロッド、5はロッド3の先端部
である。6はエアシリンダー3とリミットスィッチ2と
が取付けられる取付台、7は取付台6に取付けられたエ
アシリンダー3の取付板である。取付台6はねじ8によ
り図1の左右に位置調整可能とされ、取付板7は長孔9
とねじ10とにより図1の左右に位置調整可能とされて
いる。11はエアシリンダー3の空気圧力を調整する減
圧弁である。
【0013】P1 は矢印X方向に往復運動するノズル1
の左側の折り返し点、P2 は右側の折り返し点である。
エアシリンダー3、3のロッド4、4の先端部5、5は
この折り返し点P 1 、P 2 ノズル1と先端部5、5と
が衝突するように位置調整されている。このエアシリン
ダー3、3のロッド4、4の先端位置は、例えば、ノズ
ル1の吐出口の高さが30cm程度のときには、繊維束
の端より5〜10cm程度内側となるようにするとよ
い。12はノズル1から噴出される発泡硬化性樹脂液、
13は多数の長繊維を束ねて薄い層状に配列した複数の
繊維束、14は繊維束13上に付着した発泡硬化性樹脂
液、15は繊維束13に発泡硬化性樹脂液14を含浸さ
せる含浸台である。尚、ノズル1はこの繊維束13の進
行方向に対して直角方向(図1の左右)に往復運動する
ように構成されている。
【0014】エアシリンダー3は内径40mm、ストロ
ーク100mmのものが使用されており、1〜2kg/
cm2 程度の空気圧力が用いられている。
【0015】製品サイズは、エアシリンダー3とリミッ
トスィッチ2とが取付けられている取付台6、6の位置
の変更により容易に変更することができ、衝撃の強さ
は、エアシリンダー3のロッド4の先端部5とリミット
スィッチ2との間隔の変更又は減圧弁1を調整してエア
シリンダー3の空気圧力を変更することにより容易に調
整することができる。
【0016】次に、本発明繊維補強発泡体の製造方法を
説明する。先ず、繊維束13の幅に対応させてリミット
スィッチ2、2の位置を決める。これにより、ノズル1
の往復運動の折り返し点P1 、P2 の位置が決まる。次
いで、繊維束13の両端部上に樹脂液12を散布すると
きエアシリンダー3の先端部5がノズル1に衝突するよ
うに、折り返し点P1 、P2 の位置に先端部5を位置さ
せる。次いで、減圧弁11によりエアシリンダー3の空
気圧力を所要圧力に調整した後、ノズル1を矢印X方向
に往復運動させながら発泡硬化性樹脂液12を繊維束1
3上に吐出させ、繊維束13に発泡硬化性樹脂液14を
付着させる。このとき、ノズル1が折り返し点(例えば
1 位置)にくるとノズル1がエアシリンダー3の先
端部5に衝突してノズル1に衝撃が与えられる。この衝
撃により、一定速度で走行していたノズル1の運動速度
が急激に減少し、ノズル1から吐出された樹脂液12
は、図1に示すように、慣性により外方に向かってはね
出され、通常の方法では樹脂量が過多になる繊維束13
の両端部において樹脂液12が分散され、平均化されて
繊維束13に付着される。これにより、繊維束に樹脂量
を均一に分布させて付着させることができる。尚、繊維
補強発泡体の成形速度とは無関係にノズル1に衝撃を与
えることができるので繊維補強発泡体の成形速度に影響
を与えることはない。
【0017】
【発明の効果】本発明の繊維補強発泡体の製造方法にお
いては、多数の長繊維を束ねて薄い層状に配列した複数
の繊維束の進行方向と直角方向に往復運動するノズルよ
り発泡硬化性樹脂液を吐出して繊維束上に発泡硬化性樹
脂液を散布する際、このノズルの往復運動の折り返し点
において往復運動するノズルに衝撃を与え、樹脂液を繊
維束に付着させるので、ノズルに与えられた衝撃によ
り、一定速度で走行していたノズルの運動速度が急激に
減少し、このため、ノズルから吐出された樹脂液は慣性
により外方に向かってはね出される。これにより、通常
樹脂液が過多に付着され易い繊維束の両端部においても
発泡硬化性樹脂液を分散し平均化して付着させることが
でき、繊維束に発泡硬化性樹脂液を均一に付着させるこ
とができるので、安定した性状の繊維補強発泡体を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明繊維補強発泡体の製造方法の実施態様の
一例を示した正面図。
【図2】従来の繊維補強発泡体の製造装置の概略を示し
た斜視図。
【図3】従来の繊維補強発泡体の製造装置の正面図。
【図4】従来の繊維補強発泡体の製造方法による樹脂の
分布状態を示した説明図。
【符号の説明】
1 ノズル 2 リミットスイッチ 3 エアシリンダー 4 ロッド 5 先端部 6 取付台 11 減圧弁 12、14 樹脂液 13 繊維束 15 含浸台 P1 、P2 折り返し点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の長繊維を束ねて薄い層状に配列
    した複数の繊維束の進行方向と直角方向に往復運動する
    ノズルより発泡硬化性樹脂液を吐出して繊維束上に発泡
    硬化性樹脂液を散布する際、このノズルの往復運動の
    り返し点において往復運動するノズルに衝撃を与え、樹
    脂液を繊維束に付着させることを特徴とする繊維補強発
    泡体の製造方法。
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