JP3331309B2 - エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット及びそれを用いたエレクトレットコンデンサマイクロホン - Google Patents

エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット及びそれを用いたエレクトレットコンデンサマイクロホン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は例えば携帯電話
機、送話機能付きパソコンなどのマイクロホンに適用さ
れ、エレクトレットマイクロホンユニットをケースに保
持し、かつそのケースに外部との接続を可能とした接触
部を設けたエレクトレットコンデンサマイクロホンと、
これに用いられるエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエレクトレットコンデンサマイク
ロホンは、特開平8−237797号公報に示すよう
に、携帯電話機などのセットの配線基板との接続のため
にリード線を半田接続する場合は、エレクトレットコン
デンサマイクロホンは熱に弱く、半田接続時の熱によ
り、感度変動などの問題が生じるため、板ばねによりセ
ットの配線基板と弾性接触により接続するものが提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前に述べたように、半
田付けにより接続する場合は、半田時の熱劣化が生じ、
一方、前記公報で提案されているように半田を用いるこ
となく、板ばねを用いるものは、保持体を、マイクロホ
ンユニットを収容するように設け、この保持体に板ばね
を保持させているため、外形形状が大きくなる。
【0004】また無指向性マイクロホンを近接使用時
(発声者の口に近ずけて用いる)低域周波数特性が上が
って、平坦特性とならず、通話品質が劣化する。
【0005】
【課題を解決するための手段】エレクトレットコンデン
サマイクロホンユニットのカプセル開放面を塞ぐ、配線
基板の外面に、マイクロホン信号伝送用のコネクタが固
定されている。またこの発明のエレクトレットコンデン
サマイクロホンによれば、前記この発明のマイクロホン
ユニットが絶縁材の筒状ケースに保持され、このケース
の形成された貫通穴内に前記コネクタが挿通されてい
る。
【0006】
【発明の実施の形態】図1にこの発明の実施例を示し、
図1Aは正面図、BはAのケース11をAA断面とした
側面図、CはAの外部背ケース14をBB断面とした側
面図である。絶縁材で構成された筒状のケース11内に
エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット12が
挿入保持されている。ケース11はPBTのような合成
樹脂材のモールド品で構成された内部ケース13とクロ
ロプレンゴムのような弾性材で構成された外部ケース1
4とよりなる。内部ケース13は一端が閉塞され、他端
が開放された短い円筒状をしており、内部ケース13内
にマイクロホンユニット12の一半部が圧入保持され
る。これらマイクロホンユニット12と内部ケース13
が筒状外部ケース14に収納される。
【0007】マイクロホンユニット12は、例えば図2
Aに示すようにアルミニュームの筒状カプセル17の前
面板17aに前面音孔18が形成され、前面板17aの
内面にリング30を介してエレクトレット振動膜19が
設けられ、エレクトレット振動膜19にスペーサ20を
介して背極21が対向し、背極21は筒状ホルダ22の
一端に保持され、ホルダ22の他端に配線基板23が保
持され、配線基板23の外面周縁にカプセル17の開放
端部が内側に折り曲げられたつば部17bで、カプセル
17の内部のものが前面板17aに押さえられている。
振動膜19の導体層と背極21に接続されたインピーダ
ンス変換用IC素子24がホルダ22内で配線基板23
に取り付けられている。配線基板23には背面音孔25
が形成されている。カプセル17の前面板17aの前面
は防塵膜26で覆われている。
【0008】この発明ではマイクロホンユニット12の
配線基板23の外面に、マイクロホン信号を伝達するコ
ネクタ61が突出して固定される。この例ではコネクタ
61は絶縁材の本体62に方形穴63,64が、カプセ
ル17の軸心と直角方向に互いに平行に貫通形成され、
これら方形穴63,64に接触子31,32が軸心に対
し、横方向から挿される。この例では図2Cに示すよう
に、接触子31,32は導電性板ばねをU字状に折りま
げた形状をしている。この例では配線基板23の外面に
信号端子板27とアース端子板28とが印刷配線により
形成され、方形穴63,64に互いに反対方向から挿入
された接触子31,32の各一端が端子板27,28に
それぞれ例えば半田付けされて、互いに接続され、ま
た、接触子31,32の他端部にそれぞれ配線基板23
から離れる方向に、コネクタ本体61から突出すると共
に折返されて、接触部31a,32aとされている。各
方形穴63,64の各接触部31a,32a側の一半部
は切り取られ、開放とされ、U字状接触子31,32の
弾性が有効に利用されるようにされている。
【0009】コネクタ61を配線基板23に十分確実に
半田付けした後にその配線基板23をカプセル17内に
取付けることにより、半田熱の影響をエレクトレット振
動膜19は全く受けない。マイクロホンユニット12は
その配線基板23側(背面側)が内部ケース13内に圧
入される。内部ケース13の閉塞板13aには図1B,
図3Aに示すように、コネクタ用穴66が貫通形成さ
れ、このコネクタ用穴66内にコネクタ61が嵌合挿通
される。
【0010】更に、この例で無指向性、両指向特性又は
単一指向特性の何れでも構成できるように、図1B,図
3Bに示すように、内部ケース13の閉塞板13aの内
面に、マイクロホンユニット12の背面音孔25の複数
個と対向し、コネクタ61の一側において比較的広い面
積の浅い音孔用凹部35が形成され、凹部35は内部ケ
ース13の周面に形成されたスリット36により外部と
連通される。なお、閉塞板13aの内面にはマイクロホ
ンユニット12のカプセルのつば部17bが位置する浅
いリング状凹部37も形成されている。
【0011】外部ケース14は図1,図3に示すように
円筒状をしており、一方の端板14aには、大きな開口
41が形成され、他方の端板14bにも大きな開口42
が形成されている。この開口42より、マイクロホンユ
ニット12の前面音孔18(図2A)が外部にのぞんで
いる。端板14aはその周縁部のみに閉塞板13aの外
面と対接し、端板14bの内面にマイクロホンユニット
12の前面の周縁部が対接される。マイクロホンユニッ
ト12の内部ケース13より突出した部分の外周面に外
部ケース14の内周面が対接するように、この部分は外
部ケース14が肉厚とされている。
【0012】内部ケース13のスリット36と対向し
て、これに沿った小開口45が外部ケース14の周壁に
形成され、その小開口45をその外側から音響抵抗膜4
6で塞いで単一指向性とすることができる。図示例では
音響抵抗膜46を音孔用凹部35に配し、かつこれをス
リット36に挿入して塞いでいる。この音響抵抗膜46
を外すと、両指向特性となる。スリット36を音響的に
完全に塞ぐ、つまり、スリット36を形成しない場合
は、無指向性となる。
【0013】上述したマイクロホンを組み立てるにはマ
イクロホンユニット12を内部ケース13に圧入保持さ
せ、その後、弾性材の外部ケース14の開口を押し広げ
て、内部ケース13側から外部ケース14内に挿入して
完成する。コネクタ61の接触子31,32の接触部3
1a,32aは、このマイクロホンが取付けられるセッ
ト(例えば携帯電話機)の配線基板の電極と弾性接触さ
せて電気的に接触させることができる。接触子31,3
2とはコイルばねなど他のものでもよい。
【0014】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
コネクタ61を配線基板23に固定してあり、例えばセ
ットの配線基板の導体に確実に接触接続することがで
き、振動、衝撃に対しても安定な接続が得られる。しか
もその接続のために、半田熱の影響をエレクトレット膜
は影響を全く受けない。
【0015】内部ケース13の音孔用凹部35及びスリ
ット36と、外部ケース14の小開口45とにより後部
音孔が構成され、これはマイクロホンユニット12の背
面音孔25と連通しているため、両指向特性マイクロホ
ンとして構成することができ、また小開口45を音響抵
抗膜46で塞ぐことにより単一指向特性のものとするこ
ともできる。
【0016】しかもこれらの指向特性は、内部ケース1
3を樹脂材のモールド品として構成することにより、音
孔用凹部35により構成される微小音響室の容積が一定
の値となり、かつ音響抵抗膜46の音響インピーダンス
を選定することにより、目的とするものを量産すること
ができる。従来において、通常全指向性(無指向性)マ
イクロホンが用いられていたが、携帯電話機で接話形マ
イクロホンとして用いると、つまり利用者の口をマイク
ロホンに著しく接近して利用すると、マイクロホンと口
との距離が1cmの場合は、図4Aが点線のように低周
波域のレベルが上がり、低域が強調され違和感が生じ
る。マイクロホンと口との距離が50cm程度であれば
実線のように平坦特性となる。低域がもち上がるのは、
マイクロホンユニット12の前面音孔より振動膜19に
加わる音圧と、背面音孔25を通じて振動膜19に加わ
る音圧との差が、口とマイクロホンとの距離が接近する
と、口から両音孔を通じて振動膜19へ至る距離が著し
く大となって顕著になり、低域がもち上がる。
【0017】両指向性マイクロホンを接話形として用い
ると、図4Bの点線(マイクロホンと口間の距離が1c
m)のように、ほぼ平坦な特性となる。しかし、両指向
性マイクロホンはマイクロホンと口の距離が50cm程
度になると低域が下がる。従って、接話形として用いら
れる場合は、両指向性として構成することによる違和感
が生じないようにすることができる。
【0018】なお、携帯電話機のように高周波信号を扱
う場合は、マイクロホンが外部の影響を受け易く、雑音
としてマイクロホン出力に入ることがある。これを抑制
するために、使用高周波信号の周波数に応じて雑音除去
用のコンデンサがマイクロホンユニットにおいて配線基
板23に実装されているものがあり、マイクロホンユニ
ット12としてそのようなものを使用することが望まし
い。
【0019】外部ケース14としてゴムのような弾性材
を用いることにより、音もれを防止した密閉構造とする
ことができる。半田接続を行わないため、エレクトレッ
トコンデンサマイクロホン熱劣化がなく、圧入で組み立
てることができ、感度特性が均一なものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aはこの発明のマイクロホンの実施例を示す正
面図、BはAのケース11をAA断面とした側面図、C
はAの外部ケース14をBB断面とした側面図である。
【図2】Aはこの発明のマイクロホンユニット12の実
施例を示す一部を断面にした斜視図、Bはマイクロホン
ユニット12の背面図、Cはコネクタ61の拡大断面図
である。
【図3】図Aは図1Aの背面図、Bは外部ケース14を
外した背面図、Cは図1Aの正面側面図である。
【図4】Aは無指向性マイクロホンの周波数特性例を示
す図、Bはこの発明によるマイクロホンの周波数特性例
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 松澤 福三郎 (56)参考文献 実開 昭61−18691(JP,U) 登録実用新案3017118(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 19/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カプセル内にエレクトレット振動膜と、
    背極などが収容され、カプセルの前面板に前面音孔が形
    成され、開放とされたカプセルの背面が配線基板で閉塞
    され、その配線基板の内面に、インピーダンス変換素子
    が実装されたエレクトレットコンデンサマイクロホンユ
    ニットにおいて、 上記配線基板の外面に、マイクロホン信号伝送用のコネ
    クタが固定されていることを特徴とするエレクトレット
    コンデンサマイクロホンユニット。
  2. 【請求項2】 上記配線基板の外面に信号端子板とアー
    ス端子板が形成され、これら信号端子板とアース端子板
    とにそれぞれ電気的に接続された一つの接触子を上記コ
    ネクタに具備することを特徴とする請求項1記載のエレ
    クトレットコンデンサマイクロホンユニット。
  3. 【請求項3】 エレクトレットコンデンサマイクロホン
    ユニットと、 そのマイクロホンユニットの配線基板の外面に固定され
    たコネクタと、そのマイクロホンユニットが挿入保持さ
    れ、上記コネクタが貫通されたコネクタ用穴を有する絶
    縁材よりなる筒状ケースとよりなるエレクトレットコン
    デンサマイクロホン。
  4. 【請求項4】 上記ケースは、上記マイクロホンユニッ
    トの上記端子板側が嵌合され、かつ上記コネクタが挿通
    された上記コネクタ用穴を有する、樹脂材のモールド品
    よりなる内部ケースと、 上記内部ケースの外周面と、背面の周縁部と、上記マイ
    クロホンユニットの前面の周縁部とを弾性材よりなる外
    側ケースとより構成されていることを特徴とする請求項
    1記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  5. 【請求項5】 上記配線基板に背面音孔が形成され、そ
    の背面音孔と上記ケースの後方部の外部と連通した後部
    音孔が上記ケースに形成されていることを特徴とする請
    求項4記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  6. 【請求項6】 上記後部音孔は音響抵抗膜で塞がれてい
    ることを特徴とする請求項5記載のエレクトレットコン
    デンサマイクロホン。
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