JP3325176B2 - 潤滑性電気絶縁塗料 - Google Patents
潤滑性電気絶縁塗料Info
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Description
器、電気計器等の巻線及び配線に使用される銅線、アル
ミニウム線等の導体の絶縁皮膜に有用な焼き付け用電気
絶縁塗料、およびその使用に関する。
その巻線工程において巻線機のニードル、プーリー等に
よって傷付けられレアショートやアース不良等が発生す
る場合がある。特に近年に至っては、巻取り速度の高速
化に伴いその対策が急務となっている。解決策として、
絶縁電線の摩擦係数を小さくする為、電線の表面に流動
パラフィン、冷凍機油等の液体の潤滑剤を塗布する方法
が行なわれている。しかしながら、この方法は潤滑性が
不十分であり、巻線時においてはトランス、コイルの整
列性が不十分という問題を抱えている。また、潤滑性を
向上させようと、多量に塗布してもその効果は殆ど無
く、かえったゴミが付着したり、コイルの端止めに使用
する接着テープの接着性を低下させるといった欠点が生
じる。また、固形パラフィン及びカルナバロウといった
固形樹脂を塗布する方法も取られているが、これらは一
度トルエン、キシレン等の溶剤に溶解してから使用しな
ければならず安全衛生上好ましくない。また、その溶剤
によってクレージングが発生する電線もあり、商品とし
ての価値を著しく低下させるといった問題がある。ま
た、他の方法として絶縁塗料中にあらかじめ潤滑剤を添
加しておく方法がある。現在使用されている潤滑剤は、
ポリエチレン、ポリプロピレン、4フッ化エチレン樹脂
等の優れた潤滑性を示すものである。しかし、これらの
潤滑剤は絶縁塗料の溶剤に難溶である為、塗料中に均一
に分散する事は難しく、また、塗料の安定性も不十分で
ある。また、液状の潤滑剤を添加する場合には、外観が
悪化するといった欠点もみられる。更に、巻線後のコイ
ルは含浸ワニス等で硬化処理して使用される事もある
が、上記の潤滑剤を添加した絶縁電線においては含浸ワ
ニスの付着量が極端に少なくなり、硬化後に電線のバラ
ケ、ホツレといった問題が発生する。
の従来からの問題点を解決し、電線表面に安定した優れ
た潤滑性を付与すると共に、耐摩耗性に優れ、かつ含浸
ワニス等とのコンパティビリティーの良い電気絶縁塗料
を提供することである。
題を解消するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリ
ル変性シリコーンとラジカル重合性単量体とをラジカル
重合させて得られるシリコーン系グラフト共重合物を配
合して得られる電気絶縁塗料を、導体上に直接もしくは
他の絶縁物を介して被覆して得られる絶縁電線によっ
て、前記の問題点が解決される事を見出し、本発明に到
達した。本発明において用いられるシリコーン系グラフ
ト共重合物は、前記の通り(メタ)アクリル変性シリコ
ーンとラジカル重合性単量体とをラジカル重合させて得
る事が出来る。(メタ)アクリル変性シリコーンは、シ
リコーンと(メタ)アクリル化合物との縮合反応により
得られる。用いる事のできるシリコーンは下記の一般式
Aによって示され、現在各種のものが容易に市場におい
て入手可能であり、目的に合致したものを選択する事が
出来る。
炭化水素基、フェニル基、又は1価のハロゲン化炭化水
素基である。〕
般式Bによって示され、例えば、γ−メタクリルオキシ
プロピルジクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルフ
ェニルジクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
エチルジクロロシラン、γ−アクリルオキシプロピルメ
チルジクロロシラン、及びその誘導体が挙げられる。
基、エチル基又はフェニル基;Xは塩素原子、メトキシ
基又はエトキシ基である。〕 これらの化合物は、特開昭58−154766号公報に
記載されている。
性シリコーンは、極めて重合性に富み、一般のラジカル
重合性単量体との間において極めて円滑に反応が進行
し、目的とするシリコーン系グラフト共重合物を得る事
ができる。用いる事の出来るラジカル重合性単量体とし
ては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル
酸ステアリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、スチレン、スチレン置
換体、酢酸ビニルの如き有機酸のビニルエステル、エチ
レン、プロピレンの如き低分子量直鎖炭化水素、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレンモノメタク
リレート等が挙げられ、これらは単独もしくは2種類以
上の単量体を組み合わせて使用しても良い。尚、重合
は、公知の重合技術により行う事が出来る。また、目的
とする分子量、含有するシリコーンの量は、原料の選択
や配合比により調節する事が出来る。更に、シリコーン
系グラフト共重合物には、末端にOH、COOHの如き
官能基を持たせる事も可能である。これは、ラジカル重
合性単量体の種類の選択により容易に得る事が出来、官
能基としてOH基を持たせたい場合には、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート等を、COOH基を持たせたい場
合には、アクリル酸等を使用すると良い。上記の方法に
よってシリコーン系グラフト共重合物を合成する事は可
能であるが、市販されているもの(東亜合成化学工業
(株)製、サイマックシリーズ等)を使用しても目的と
する特性を得る事が出来る。
は、一般的な電気絶縁塗料中に単に添加する事で本発明
にかかる効果を得る事が出来るが、末端に官能基を有す
るシリコーン系グラフト共重合物を、基本樹脂となる熱
可塑性或いは熱硬化性樹脂の骨格中へ化学反応によって
組み込んで使用しても良好な潤滑性が得られることが本
研究において確認されている。また、塗料に配合する際
には、このシリコーン系グラフト共重合物をトルエン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤
に予め溶解もしくは分散しておくと容易に配合できる。
配合量については、基本樹脂に対し0.1〜50重量
%、好ましくは0.5〜15重量%の配合によって良好
な特性を得る事ができる。0.1%末端では電線表面に
与える潤滑性の効果は殆どみられず、50%より多い配
合では分散が困難であり、また、原料が高価な為にコス
ト上好ましくない。樹脂組成物の溶解に用いる事の出来
る溶剤としては、そのまま電気絶縁用塗料として使用出
来るという観点より、フェノール、o−クレゾール、m
−クレゾール、p−クレゾール、2.3キシレノール、
2.4キシレノール、2.5キシレノール、3.4キシ
レノール、3.5キシレノール等のフェノール系水酸基
を有する溶剤を用いるのが好ましい。また、上記溶剤以
外にもN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドの
様な極性溶剤を使用する事も可能である。更に、本発明
において塗料の粘度、濃度を調整する為に希釈剤を用い
る事が出来る。用いる事の出来る希釈剤の例は、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサ、シ
クロヘキサノン、酢酸セロソルブ、その他の高沸点アル
キルベンゼン等である。
る基本樹脂としては、ポリビニルホルマール、変成ポリ
ビニルホルマール、エポキシ、ポリウレタン、ポリエス
テル、熱可塑型ポリアミド、熱硬化性ポリアミド、ポリ
イミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ブチ
ラール、フェノール、フェノキシ樹脂等があるが、これ
らに限定されるものではない。上記の組成の電気絶縁塗
料を焼き付けてつくられた絶縁電線は、潤滑性に優れて
いる事はもとより外観も良好であり、電線特性に対する
影響も殆どみられない。更に、含浸ワニス等の付着性も
良好であり、硬化成形後の電線のバラケやホツレ等の問
題も発生しない。
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、実施例、比較例における塗料の焼き付けは、炉長
2.5mの横型電熱炉を用いて行った。
0gをm−クレゾール669g中へ100℃に1時間加
熱して溶解させた。この溶液にシリコーン系グラフト共
重合物(東亜合成化学工業(株)製、サイマックUS−
350)をナイロン樹脂に対し10重量%添加し、50
℃において1時間攪拌混合を行い、ポリアミド系電気絶
縁塗料を得た。これを、0.4mmφの銅線上にエステル
イミド絶縁塗料(オート化学工業(株)製、AEI−9
00H)を塗布焼き付けした電線上に、1回塗布焼き付
けを行ったところ、表1に示される性能を持った絶縁電
線を得た。
を、0.4mmφの銅線上にポリウレタン絶縁塗料(オー
ト化学工業(株)製、APU−2147A)を塗布焼き
付けた電線上に1回塗布焼き付けを行ったところ、表1
に示される性能を持った絶縁電線を得た。
いた他は全て同一のポリアミド系電気絶縁塗料を、実施
例1と同様に塗布焼き付けた電線の表面に流動パラフィ
ンを塗布し、これを試料とした。この試料の性能は表1
に示すとおりである。
りに分子量2000のポリエチレンをナイロン樹脂に対
し3%添加分散させたポリアミド系電気絶縁塗料を、実
施例1と同様に塗布焼き付け、これを試料とした。この
試料の性能は表1に示すとおりである。
ルヒュルス社製、ダイアミドN−1901)100gを
m−クレゾール293g、キシロール195g中へ10
0℃において1時間加熱して溶解させた。この溶液にシ
リコーン系グラフト共重合物(東亜合成化学工業(株)
製、サイマックUS−350)をナイロン樹脂に対し1
0重量%添加し、50℃において1時間攪拌分散して、
ポリアミド系電気絶縁塗料を得た。この塗料を実施例1
と同様な条件で焼き付けを行ったところ、表2に示され
る性能を持った自己融着性絶縁電線を得た。
去した他は全て同一のポリアミド系電気絶縁塗料を実施
例3と同様に塗布焼き付け、これを試料とした。この試
料の性能は表2に示すとおりである。
有したシリコーン系グラフト共重合物(東亜合成化学工
業(株)製、サイマックUS−270)218.7gを
トルエンジイソシアナート522.0gと80℃にて1
時間反応させた後、遊離のイソシアナート基を等量のフ
ェノールでブロックし、更にクレゾール、キシレンの混
合溶剤(重量比=1/1)に溶解し、樹脂分50重量%
のシリコーン含有ポリイソシアナート溶液を得た。上記
ポリイソシアナート溶液とポリエステルポリオール(日
本ポリウレタン工業(株)製、ニッポラン2006)と
を重量比で7/3の割合となるように配合し、更にクレ
ゾール、キシレンの混合溶剤(重量比=1/1)で希釈
して樹脂分30重量%のポリウレタン系電気絶縁塗料を
得た。この塗料を0.2mmφの銅線上にポリウレタン絶
縁塗料(オート化学工業(株)製、APU−2126
A)を塗布焼き付けた電線上に1回塗布焼き付けを行っ
たところ、表3に示される性能を持った絶縁電線を得
た。
絶縁塗料を、0.2mmφの銅線上に直接塗布焼き付けし
た。その結果、表3に示される性能を持った絶縁電線を
得た。
料を塗布焼き付ける代わりに、電線表面に流動パラフィ
ンを塗布し、これを試料とした。この試料の性能は表3
に示すとおりである。
の電気絶縁塗料を用いた場合には、優れた潤滑性が付与
される。また、含浸ワニス等の処理においてもワニス付
着量の低下が無く、硬化成形後の電線のバラケやホツレ
と言った問題を発生させることが無いので、幅広い分野
に渡ってコイル巻線性を向上することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記の一般式Aで示されるシリコーンと
一般式Bで示される(メタ)アクリル化合物とを縮合反
応させて得られるアクリル及び/またはメタクリル変性
シリコーンとラジカル重合性単量体とをラジカル重合さ
せて得られるシリコーン系グラフト共重合物を、基本樹
脂である熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に対して0.
5〜15重量%配合し、フェノール系水酸基を有する溶
剤を用いた潤滑性電気絶縁塗料。 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は炭素数1〜10の1価の脂肪
族炭化水素基、フェニル基、又は1価のハロゲン化炭化
水素基である。〕 【化2】 〔式中、R3 は水素原子、又はメチル基;R4 はメチ
ル基、エチル基又はフェニル基;Xは塩素原子、メトキ
シ基又はエトキシ基である。〕 - 【請求項2】 請求項1記載の潤滑性電気絶縁塗料を電
線の絶縁塗料として使用する方法。
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JP34066595A JP3325176B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 潤滑性電気絶縁塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34066595A JP3325176B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 潤滑性電気絶縁塗料 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09176526A JPH09176526A (ja) | 1997-07-08 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP34066595A Expired - Fee Related JP3325176B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 潤滑性電気絶縁塗料 |
Country Status (1)
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JP4891603B2 (ja) * | 2005-12-07 | 2012-03-07 | 電気化学工業株式会社 | 粘着シート及びそれを用いた電子部品製造方法。 |
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-
1995
- 1995-12-27 JP JP34066595A patent/JP3325176B2/ja not_active Expired - Fee Related
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