JP3324090B2 - 非磁性裸撚線の精密計尺方法及び非磁性裸撚線の製造方法 - Google Patents

非磁性裸撚線の精密計尺方法及び非磁性裸撚線の製造方法

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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性体を含まな
い非磁性裸撚線又は弱磁性裸撚線(本明細書では総称し
て非磁性裸撚線と記す)の長さを精密に計測する方法、
非磁性裸撚線を決められた長さに精密に製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、架空送電線は鋼心アルミ撚線(以
下ACSR系と記す)が多く用いられているが、ACS
R系の架線工事として、省力化のために、プレハブ架線
工法が多く用いられている。このプレハブ架線工法を実
施するための主な要件は、 電線を工場で精密に(通常1/10000の精度)計
尺すること 鉄塔の支持点間を精密に測量すること 架線設計条件より電線の必要長さを算出すること の3つであり、中でもの電線の精密計尺は欠かすこと
ができない要件である。を実現するための精密計尺法
としては、電線自身の磁気を用いる方法、光学的手段を
用いる方法等があるが、電線を製造しながら精密に計尺
する方法としては、磁気を利用する方法が一般的であ
る。即ちACSR系には硬鋼線からなる鋼心があり、こ
の鋼心は強磁性体であるので、ある一定間隔に設置され
た着磁装置と検磁装置を用いて、着磁された点が検磁さ
れると同時に着磁するという方法を繰り返すことで数百
m以上の長さを精密に計尺することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような磁気を利
用した精密計尺法は着磁〜検磁を繰り返すので、少なく
とも着磁された磁気が検出されるまで、ある一定のレベ
ルの磁気を保磁していることが必要となる。したがっ
て、強磁性体をその素線構成に持たない硬銅撚線や全ア
ルミ撚線には、上記のような磁気を利用した精密計尺法
は利用することができない。
【0004】ところで、最近は既設送電線の容量アップ
のために低弛度電線として、鋼心の代わりにFe−Ni
合金心線を用いたインバー線が用いられることが多くな
った。このインバー線は非磁性材料ではないが、保磁力
がACSR系より格段に低いため(1/10以下)、検
磁の際に誤差が生じる。
【0005】素線構成に強磁性体を有しない裸撚線を磁
気を利用して精密計尺するためには下記のような方法が
考えられる。即ち、 強磁性体粉を含んだ塗料を塗布して計尺する。 強磁性体の線又は条を電線に添わせて、何らかの方法
で固定して、計尺後強磁性体を取り除く。 などの方法である。しかし、の方法は塗料が電線の隙
間などに入り込み、これを計尺した後に除去等の処置を
施さないと変色・腐食等の不具合が生じる上に、除去処
理のためには大がかりな装置が必要になる。または、
添わせた線又は条が計尺中の振動等で動いた場合は誤差
の要因となるため、固定の方法は大変難しく、例えば、
結束等の方法は新たな設備として、線又は条を添わせな
がら周囲にテープなどを巻き付けて結束し、計尺後、こ
のテープをほどきながら前記線又は条を回収するという
ような大がかりな設備が必要となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの問題を
解決するために鋭意研究を行なった結果、上記のような
問題の発生しない非磁性裸撚線の精密計尺方法及び非磁
性裸撚線の製造方法を見出したものである。
【0007】即ち、請求項1の発明は、非磁性裸撚線の
最外層に1本以上の強磁性体素線を撚り込み、磁気によ
り計尺した後、前記強磁性体素線を本来あるべき材質の
素線に置き換えることを特徴とする非磁性裸撚線の精密
計測方法である。
【0008】また、請求項2の発明は、非磁性裸撚線を
決められた長さに精密に製造する方法において、前記非
磁性裸撚線の最外層に1本以上の強磁性体素線を含ませ
て撚り込み、前記強磁性体素線を磁気により計尺した
後、前記強磁性体素線をはずして空隙を形成し、しかる
後、前記空隙に本来あるべき材質の素線を入れ込むこと
を特徴とする非磁性裸撚線の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】撚線の素線を他の素線に置き換え
る方法は、撚線工程中に素線にキズが付いたり、異常が
発見された時の電線修理の方法としてすでに確立された
一般的に「入れ子」と呼ばれる方法であり、特別大規模
に設備を追加する必要はない。
【0010】最外層に臨時的に撚り込まれた強磁性体素
線は、着磁された磁気を高いレベルで保磁し、精密に検
磁されると共に、着磁信号を着磁器に送り、次の着磁を
繰り返すことができる。また、他の素線間にほぼ同径で
撚り込まれているため、製造中の振動や保持ローラーの
通過等によって緩むことはない。
【0011】
【実施例】以下,本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0012】(実施例1)図1は強磁性体を持たない電
線に臨時的に強磁性体素線を一本撚り込んだ状態の断面
図である。(1)は本来あるべき材質の素線で、例えば
硬銅線やアルミ線等である。(2)は(1)とほぼ同じ
径の強磁性体素線で、例えば亜鉛めっき鋼線やアルミ被
覆鋼線等である。図1の状態で(2)の強磁性体素線に
着磁した後に検磁する計尺を行い、しかる後、(2)の
強磁性体素線を抜き出し、本来あるべき材質の素線
(1)と同じ素線(1’)を撚り込み、本来あるべき状
態(図2)にするわけであるが、その入替え作業方法
は、図3に示すように、計尺後の電線(3)に二つのケ
ージ(4)(4’)を用いる。前工程のケージ(4)を
撚り方向と反対の方向に回転させて強磁性体素線(2)
を抜き出し、抜き出されたことにより形成された空隙
(5)に、本来あるべき素線(1’)を次工程のケージ
(4’)を撚り方向に回転させて撚り込むことにより入
替え作業を完了する。
【0013】本実施例では、最外層に臨時的に撚り込ま
れた強磁性体素線により、着磁された磁気は高いレベル
で保磁し、1/10000の精度で検磁されると共に、
着磁信号を着磁器に送り、次の着磁を繰り返すことがで
きた。また、他の素線間にほぼ同径で撚り込まれている
ため、製造中の振動や保持ローラーの通過等によって緩
むことはなかった。
【0014】(実施例2)図4は第二の実施例を示すも
のであって、インバ心(6)の外周にアルミ線(1)を
撚り合わせてなる架空送電線に本発明を適用した場合で
あり、この第二の実施例では電線の径が大きいので、1
本の強磁性体素線では保磁力が十分でなく、検磁が正確
に行うことができない場合である。このような場合は、
図4に示すように強磁性体素線(2)を電線断面の対称
の位置に数本配置することにより、計尺に十分な保磁力
を供給する。この場合の強磁性体素線(2)の抜き出し
と、本来あるべき素線(1)の撚り込みは、実施例1と
同様に行う。
【0015】実施例2においても、最外層に臨時的に撚
り込まれた数本の強磁性体素線により、着磁された磁気
は高いレベルで保磁し、1/10000の精度で検磁す
ることができた。着磁信号を着磁器に送り、次の着磁を
繰り返すことができた。また、他の素線間にほぼ同径で
撚り込まれているため、製造中の振動や保持ローラーの
通過等によって緩むことはなかった。
【0016】尚、実施例1及び実施例2では、インバー
素線、アルミ素線、強磁性体素線の全部に断面丸形の素
線を用いたが、それぞれの素線の一部または全部を平角
線、テープ線、扇形線、梯形線、任意の形状のものを使
用してもよい。
【0017】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
強磁性体を持たない電線を精密に計尺することができる
ので、プレハブ架線に必要とされる精密計尺を安定に実
施することができ、既設送電線の容量アップに貢献する
等、工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】非磁性裸撚線に強磁性体素線を一本撚り込んだ
状態を示す裸撚線の断面図である。
【図2】図1の強磁性体素線を、本来あるべき材質の素
線に入れ換えた状態を示す裸撚線の断面図である。
【図3】強磁性体素線を、本来あるべき材質の素線に入
れ換える作業を説明する簡略図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1’ 本来あるべき材質の素線 2 強磁性体素線 3 計尺後の電線 4,4’ ケージ 5 空隙 6 インバ心

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性裸撚線の最外層に1本以上の強磁性
    体素線を撚り込み、磁気により計尺した後、前記強磁性
    体素線を本来あるべき材質の素線に置き換えることを特
    徴とする非磁性裸撚線の精密計測方法。
  2. 【請求項2】非磁性裸撚線を決められた長さに精密に製
    造する方法において、前記非磁性裸撚線の最外層に1本
    以上の強磁性体素線を含ませて撚り込み、前記強磁性体
    素線を磁気により計尺した後、前記強磁性体素線をはず
    して空隙を形成し、しかる後、前記空隙に本来あるべき
    材質の素線を入れ込むことを特徴とする非磁性裸撚線の
    製造方法。
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