JP3321460B2 - 近臨界流体液面感知センサ - Google Patents

近臨界流体液面感知センサ

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JP3321460B2
JP3321460B2 JP2000166920A JP2000166920A JP3321460B2 JP 3321460 B2 JP3321460 B2 JP 3321460B2 JP 2000166920 A JP2000166920 A JP 2000166920A JP 2000166920 A JP2000166920 A JP 2000166920A JP 3321460 B2 JP3321460 B2 JP 3321460B2
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勝則 篠原
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Sukegawa Electric Co Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Sukegawa Electric Co Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液相と気相との境
界を感知する液面センサに関し、特にヒータと測温素子
とを組み合わせて二酸化炭素やその他の物質の亜臨界状
態を含む臨界点に近い状態にある近臨界流体界面での温
度変化を感知し、近臨界流体の液面を測定するのに好適
な感熱式近臨界流体液面センサに関する。
【0002】
【従来の技術】亜臨界や超臨界流体は、液体の特性と気
体の特性を併せ持つ高密度流体である。例えば、二酸化
炭素等の亜臨界流体や超臨界流体は、物体間の隙間に容
易に浸透する特性を持ち、更に溶媒としての特性を持つ
ため、抽出、精製、反応、洗浄等の分野で利用されてい
る。図5は、二酸化炭素の三相状態を示すグラフであ
る。二酸化炭素が或る圧力と温度で臨界点に達し、圧力
または温度の少なくとも何れか一方がそれ以上になる
と、超臨界状態となる。
【0003】或る物質を亜臨界や超臨界流体とし、その
状態を維持する場合、それらの物質を所要の温度と圧力
の環境下におく必要がある。その環境は、例えば水の場
合圧力が22.1MPa(225.4Kgf/cm2
と比較的圧力が高く、温度も374℃以上と高い。一
方、二酸化炭素の場合、必要とする圧力は7.38MP
a(75.3Kgf/cm2 )であり、温度は常温より
やや高い31℃となっている。このように二酸化炭素
は、水に比べて亜臨界状態や超臨界状態で使用するため
の環境下の圧力と温度が共に低いので、比較的使いやす
い。
【0004】しかしながら、亜臨界流体や超臨界流体と
して比較的使いやすい二酸化炭素であっても、それを亜
臨界流体や超臨界流体として維持しておくためには、圧
力容器が必要であり、その亜臨界流体や超臨界流体を利
用する装置類も全て同等の圧力、温度の環境下に維持し
ておく必要がある。
【0005】この場合、圧力容器内の二酸化炭素亜臨界
または超臨界流体の量を把握できなければ、残存量が明
らかではなく、従って必要とする亜臨界または超臨界流
体の供給量も明らかでない。そのため、必要に応じて随
時圧力容器内の亜臨界または超臨界流体の量を測定する
必要がある。
【0006】亜臨界または超臨界流体の流体量を測定す
るには、容器ごと重量を測定する手段が考えられる。し
かし、容器重量は、圧力容器に接続した配管の吊り金具
によって支持される負側の荷重等により、実際の計量結
果と流体量とが一致しないことが多く、これらの点を考
慮しなければならない。そのため、重量測定値を或る程
度校正したとしても、接続配管を通る物によって誤差が
生じるという問題もある。
【0007】超臨界以外の状態であれば、液面が存在す
るため、この状態で容器内の二酸化炭素の液面を測定し
ておけば、容器内の二酸化炭素の液量が分かる。二酸化
炭素を亜臨界の状態で使用するのであれば、このように
して存在する液位を検知しながら使用できる。また、二
酸化炭素を超臨界の状態で使用する場合でも、亜臨界状
態やその亜臨界状態を含む臨界点に近い近臨界の状態で
液位を測定した後、超臨界状態とすれば、予め容器内の
二酸化炭素の量は分かっているので、反応等の管理もし
やすい。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】ところが、二酸化
炭素は亜臨界状態を含む近臨界状態において液面を有す
るものの、現実でのその液位の測定は困難なのが現状で
ある。例えば、ガラス管やガラス窓を通しての目視によ
る近臨界流体の液位の測定では、近臨界状態と言って
も、高圧状態にあるため、ガラス管やガラス窓の強度不
足による圧力容器の破損等の問題がある。静電容量式の
レベル測定手段は、近臨界状態にある二酸化炭素も、誘
電率が圧力と温度によって変化するので、静電容量の変
化が温度や圧力による変化であるのか、液位の変化によ
るものであるのか判別することが困難である。電気的な
導通の有無による液位を測定する手段も、近臨界状態に
ある二酸化炭素が導電性を示さないため、使用すること
ができない。超音波により液位を測定する手段も、近臨
界状態にある二酸化炭素は圧力と温度によってその密度
が大きく変化するので、液面から得られる反射波が極め
て不明瞭であり、やはり液面の把握には適さない。液体
の差圧を利用した液位の測定手段も、近臨界状態にある
二酸化炭素の圧力と温度によるその密度の変化により、
液位の存在による差圧を把握することができず、やはり
使用することができない。さらに、フロート式の機械的
な液位測定手段も、近臨界状態にある二酸化炭素の圧力
変動により密度変化が大きく、フロートが上下動するた
め、液位を把握することは困難である。
【0009】このように、気液2相が存在する二酸化炭
素の近臨界状態でも、二酸化炭素の液位測定が困難であ
り、現実には近臨界状態にある二酸化炭素の液位測定が
行われた事例は無い。
【0010】本発明は、前記従来の液位測定手段におけ
る課題に鑑み、ヒータと温度測定素子を使用した感熱式
液位測定手段を使用し、確実に近臨界状態にある二酸化
炭素等の液位を測定し、その液量を計測することができ
る感熱式近臨界流体液面センサを提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明では、ヒータエレメント1とそのヒータエレ
メント1の外壁面での温度を熱電対等の測温素子2の測
温点13で測定し、ヒータエレメント1の外壁面におけ
る放熱量の差で液相と気相の境界を検知するものであ
る。そして、近臨界状態にある二酸化炭素等を超臨界状
態に転移させることなく、確実に且つ高感度で液相と気
相の境界を測定するため、ヒータエレメント1の熱流
束、測温素子2の径等を最適な条件に設定したものであ
る。
【0012】すなわち、本発明による感熱式近臨界流体
液面センサは、近臨界流体が封入される圧力容器14内
に導入されるヒータエレメント1と、このヒータエレメ
ント1の外壁面の温度を測定する測温点13を備えた測
温素子2とを有し、前記ヒータエレメント1の熱流束を
0.3W/cm2〜2.8W/cm2とし、ヒータエレメ
ント1に取り付ける測温素子2の太さをφ3mm以下と
したことを特徴とするものである。測温素子2として
は、シース熱電対を用いるのがよく、その外径はヒータ
エレメント1の外径の1/7.5以下とするのがよい。
【0013】前記のようなヒータエレメント1の熱流束
の範囲は、種々の実験の結果決定したもので、近臨界状
態にある二酸化炭素等が超臨界状態に転移せずに、確実
にその液面を検知出来る範囲である。ヒータエレメント
1の熱流束が2.8W/cm 2 を越えると、ヒータエレ
メント1の表面温度が上昇しすぎるため、その周囲の近
臨界状態にある二酸化炭素等が超臨界状態に変化してし
まい、液面の感知が困難になる。また、ヒータエレメン
ト1の熱流束が0.3W/cm2 に満たないと、ヒータ
エレメント1の表面温度が殆ど上昇しないため、温度変
化が圧力容器14内の温度のゆらぎと区別がつかなくな
り、やはり近臨界流体の液面の感知が困難になる。
【0014】測温素子2の太さは、その表面の放熱量の
関係から、ヒータエレメント1の外面の温度の測定値に
影響を与える。測温素子2の太さがφ3mmを越える
と、ヒータエレメント1の熱流束を2.8W/cm2
しても、測温素子2で測定できる温度上昇値は僅かであ
り、ヒータエレメント1の熱流束を0.3W/cm2
は、測温素子2で測定できる温度上昇値は圧力容器14
内の温度のゆらぎと殆ど区別がつかなくなる。これと同
じ観点から、測温素子2の径は、ヒータエレメント1の
径の1/7.5以下とする。
【0015】なお、前述の場合は、近臨界流体が二酸化
炭素の場合であるが、それ以外の近臨界流体の場合は次
のようにして換算する。近臨界流体の熱伝導率をλ、比
重量をρ、比熱をCpとし、ヒータエレメント1の表面
における熱流束をSdとし、λx、ρx、Cpx、Sd
xは二酸化炭素以外の近臨界流体の物性値と熱流束を示
し、λCO2、ρCO2、CpCO2、SdCO2は二酸化炭素の物
性値と熱流束をそれぞれ示すものとしたとき、二酸化炭
素以外の近臨界流体における熱流束Sdxの下限値を、
SdCO2=0.3W/cm2として数2により求める。こ
のとき、数2におけるλx、ρx、Cpx、λCO2、ρ
CO2、CpCO2は、何れも気相の物性値を用いる。他方、
二酸化炭素以外の近臨界流体における熱流束Sdxの上
限値を、SdCO2=2.8W/cm2として数2により求
める。このとき、数2におけるλx、ρx、Cpx、λ
CO2、ρCO2、CpCO2は、何れも液相の物性値を用い
る。
【0016】
【数2】
【0017】前記の二酸化炭素以外の近臨界流体におけ
る熱流束Sdxの下限値を、気相における熱伝導率、比
重量、比熱をもって二酸化炭素のSdCO2=0.3W/
cm2に対して換算するのは、気相中で近臨界流体の液
面の有無を検知するための温度変化を得るのに必要最小
限の熱流束を確保するためである。
【0018】他方、前記の二酸化炭素以外の近臨界流体
における熱流束Sdxの上限値を、液相における熱伝導
率、比重量、比熱をもって二酸化炭素のSdCO2=2.
8W/cm2に対して換算するのは、近臨界流体の液相
状態を気相に変化せしめない程度の熱流束を維持する必
要性からである。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は、本発明による感熱式近臨界流体液面センサの概
略を示しており、この液面センサは図示のようなプロー
ブ状のものとして構成されている。
【0020】ここでいう「近臨界」とは、図5に示すよ
うに、例えば二酸化炭素が液体の状態であって、且つ臨
界点に近い臨界域にあり、それより温度と圧力または温
度のみの何れかを高めることにより、液相状態にある二
酸化炭素が容易に臨界点を越え、超臨界となり得る状態
の領域を言う。その代表的な状態が亜臨界であり、近臨
界領域は概念のうえで亜臨界状態を含んだ領域である。
【0021】ヒータエレメント1は、円筒形のヒータケ
ース5の中にヒータ9を収納し、ヒータケース5の先端
をシール部材6で気密に封止したものである。ヒータケ
ース5の中間部には、取り付けネジ3が溶接等の手段で
取り付けられている。ヒータ9のリード線7の先端に
は、電源への接続のため圧着端子10が取り付けられて
いる。
【0022】前記ヒータケース5の取り付けネジ3より
基端側にサポート4が取り付けられ、このサポート4に
固定された熱電対等の線状の測温素子2がヒータケース
5の外周の長手方向に沿って添えられ、この測温素子2
の先端の測温点13が取り付けネジ3を通してヒータケ
ース5の先端側に導入されている。この状態で、取り付
けネジ3は、ヒータケース5の外周に気密に封止されて
いる。
【0023】取り付けネジ3を通してヒータエレメント
1の先端側に導入された測温素子2の中間部や先端部
は、ケーブル押え12によりヒータケース5の外周に押
さえられている。ヒータケース5の外周面の縦方向に溝
を設け、この溝に測温素子2を埋め込んでもよい。測温
素子2をヒータケース5の外周面に埋め込むときは、ケ
ーブル押え12により押さえ込んだり、測温素子2を溝
にカシメたり、ロウ付けしたり、或いは溶接する等して
もよい。
【0024】さらに、測温素子2の先端の測温点13
は、ヒータケース5の外周面に密着され、且つケーブル
押え12で押さえられている。熱電対である測温素子2
は、補償導線8が接続され、この補償導線8には、補償
回路を含む測定回路に接続するための圧着端子11が取
り付けられている。
【0025】図1に示した感熱式近臨界流体液面センサ
の例では、ヒータエレメント1に1本の熱電対からなる
測温素子2が取り付けられており、従ってその測温点1
3も一カ所である。前記ヒータエレメント1の熱流束
は、2.8W/cm2〜0.3W/cm2とし、ヒータエ
レメント1に取り付ける熱電対の太さをφ3mm以下と
する。また、測温素子2の外径は、ヒータエレメント1
の外径の1/7.5以下とするのがよい。
【0026】図2は、前記の感熱式近臨界流体液面セン
サを圧力容器14に取り付け、圧力容器14内の近臨界
流体液面を感知できるようにした状態を示す。感熱式近
臨界流体液面センサは、近臨界流体を封入する圧力容器
14に直接取り付けてもよいが、図2に示す例では、フ
ランジ15を介して圧力容器14に取り付けた液面検出
部16に感熱式近臨界流体液面センサを取り付けてい
る。
【0027】液面検出部16の側壁には、上下2カ所に
雌ねじを有する円筒形のセンサ取付部17、17が突設
され、このセンサ取付部17、17から測温素子2、2
の測温点13、13を取り付けたヒータエレメント1、
1がそれぞれ挿入され、取り付けネジ3、3がセンサ取
付部17、17の雌ネジにねじ込まれている。センサ取
付部17、17には、予めOリング等のガスケット18
が挿入され、このガスケット18により、センサ取付部
17、17が気密に封止される。このようにして、測温
素子2、2の測温点13、13を取り付けたヒータエレ
メント1、1が圧力容器14に通じた液面検出部16の
内側に設置される。
【0028】このようにして感熱式近臨界流体液面セン
サを圧力容器14に通じた液面検出部16に取り付けた
状態において、測温素子2、2の測温点13、13を取
り付けたヒータエレメント1、1の位置に近臨界流体の
液相が無いとき、ヒータエレメント1が熱を発生するこ
とで、そのヒータケース5、5の外周壁が加熱され、ヒ
ータケース5、5の外周壁は周囲の気相状態の雰囲気温
度(以下、「雰囲気」は気相状態を意味する)よりやや
高い温度に維持される。
【0029】これに対し、測温素子2、2の測温点1
3、13を取り付けたヒータエレメント1、1の位置に
近臨界流体の液相が有ると、近臨界流体の液相が無い状
態に比べてヒータエレメント1、1からその周囲に対す
る伝熱係数が異なるため、ヒータエレメント1、1の外
周面の温度が変化し、測温点13、13で測定される温
度が違ってくる。
【0030】より具体的には、近臨界流体の液面が測温
素子2の測温点13に達し、その測温点13が近臨界流
体の液相内に入ったとき、測温点13は、近臨界流体の
液相の温度まで下がる。一方、近臨界流体の液面が下が
り、測温素子2の測温点13が近臨界流体の液面から出
たとき、測温点13の温度は、その周囲の雰囲気温度よ
り高くなり、測温素子2による温度測定値が近臨界流体
の液相温度より上昇することになる。
【0031】このような近臨界流体気液相の伝熱係数の
違いによる測定温度の変化を利用し、上下2つの感熱式
近臨界流体液面センサにおける前記測温素子2の測温点
13での測定温度の違いにより、近臨界流体の液面の位
置を測定する。すなわち、上下の感熱式近臨界流体液面
センサにおいて、それぞれの測温点13、13で測定さ
れる温度が異なっている場合、その間に近臨界流体の液
面があることが分かる。
【0032】感熱式近臨界流体液面センサにおいて、ヒ
ータエレメント1と測温素子2との太さの関係は、ヒー
タエレメント1と測温素子2との間の伝熱が良好に行
え、且つヒータエレメント1により近臨界流体が加熱さ
れても、ヒータエレメント1の表面で近臨界の状態がそ
のまま維持されることが必要である。
【0033】ヒータエレメント1の熱流束が2W/cm
2のとき、ヒータエレメント1の表面温度はその周囲の
雰囲気温度から7℃程上昇する。ヒータエレメント1の
熱流束が2.8W/cm2 を越えると、エレメント1の
表面温度はその周囲の雰囲気温度に比べて10℃以上上
昇する。しかし、エレメント1の表面温度がこの程度上
昇する発熱量があると、ヒータエレメント1の周囲に近
臨界状態の二酸化炭素等がある時、この二酸化炭素等が
超臨界状態に変化してしまい、その液面の感知が出来な
くなる。
【0034】他方、ヒータエレメント1の熱流束が0.
3W/cm2 に満たないと、ヒータエレメント1の表面
温度は、その周囲の雰囲気温度より1℃上昇する程度で
ある。圧力容器14や液面検出部16内の近臨界流体の
温度のゆらぎは±0.5℃前後であり、このゆらぎの中
で測温素子2により近臨界流体の有無による温度変化を
読み取るのは、これが限界である。
【0035】さらに、ヒータエレメント1と測温素子2
との接触は、線接触である為、ヒータエレメント1に対
して測温素子2の径が太すぎても、ヒータエレメント1
から測温素子2への伝熱量は同じでも、測温素子2のの
表面積が増える分、測温素子2の表面からの放熱によっ
て測温素子2の測定温度は上昇しない。
【0036】例えば測温素子2をφ3mmにすると、ヒ
ータエレメント1の径が同じであっても、その熱流束が
2.8W/cm2 でも測温素子2の測温点13での測定
温度は、雰囲気中で2.5℃しか上昇しない。ヒータエ
レメント1の熱流束が0.3W/cm2 に至っては、測
温素子2の測温点13での測定温度は、雰囲気中で0.
4℃上昇する程度である。この程度の温度上昇では、前
述の近臨界流体の温度ゆらぎの±0.5℃と比較して、
雰囲気中においてヒータエレメント1に取り付けられた
測温素子2で温度変化を読みとることは出来ない。すな
わち、気相と液相の判別が出来ない。従って、測温素子
2の径はφ3mm以下とし、ヒータエレメント1の径の
1/7.5以下にする必要がある。例えば、ヒータエレ
メント1の径がφ12mmの場合、測温素子2の太さは
φ1.6mmとなり、熱流束が0.3W/cm2 でも
0.7℃の上昇は得られ、前述の近臨界流体の温度ゆら
ぎの±0.5℃の中で、何とか雰囲気中においてヒータ
エレメント1に取り付けられた測温素子2で温度変化を
読みとることが出来る。
【0037】ヒータエレメント1の径はヒータエレメン
ト1自体の温度上昇速度に影響し、太くなる程温度の上
昇が遅く、φ12mmで定常温度になるまで1分程掛か
る。しかし温度差が2℃もあれば、気液の判別ができる
ので、例えば、熱流束Sd=2.0W/cm2 の時のヒ
ータエレメント1の径がφ12mmの場合、10秒位で
確認できる。
【0038】ヒータエレメント1の太さは、圧力容器1
4の大きさや近臨界流体の単位時間の供給量や排出量に
よって決めればよい。ヒータエレメント1の径をφ12
mmからφ6.5mmへ細くすると、ヒータエレメント
1の応答性は早くなり1/3.4になる。
【0039】図3は、本発明による感熱式近臨界流体液
面センサの他の例を示している。この感熱式近臨界流体
液面センサでは、測温素子2を2本使用し、その測温点
13、13を、ヒータエレメント1の上下の2箇所に取
り付けている。さらに、ヒータエレメント1の前記測温
点13、13の間の部分に、セラミック端子のような、
耐熱性を有し、熱伝導率の小さい熱絶縁部材19が挿入
されている。これらの構成以外は、図1に示した前記感
熱式近臨界流体液面センサの例と同様である。
【0040】なお、3カ所以上の測温点13、13…
を、ヒータエレメント1の上下の3箇所以上の位置に取
り付けることももちろん可能である。これらの場合も、
ヒータエレメント1の各測温点13、13…の間の部分
に、セラミック等の耐熱性を有し、熱伝導率の小さな熱
絶縁部材19を挿入する。
【0041】図4は、前記の感熱式近臨界流体液面セン
サを圧力容器14に取り付け、圧力容器14内の近臨界
流体液面を感知できるようにした状態を示す。やはり、
この感熱式近臨界流体液面センサも、近臨界流体を封入
する圧力容器14に直接取り付けてもよいが、図4に示
す例では、フランジ15を介して圧力容器14に取り付
けた液面検出部16に感熱式近臨界流体液面センサを取
り付けている。
【0042】液面検出部16の上壁には、雌ねじを有す
る円筒形のセンサ取付部17が立設され、このセンサ取
付部17から測温素子2、2の測温点13、13を取り
付けたヒータエレメント1が挿入され、取り付けネジ3
がセンサ取付部17の雌ネジにねじ込まれている。この
ようにして、測温素子2、2の測温点13、13を取り
付けたヒータエレメント1が圧力容器14に通じた液面
検出部16の内側に設置される。
【0043】このようにして感熱式近臨界流体液面セン
サを圧力容器14に通じた液面検出部16に取り付けた
状態において、測温点13、13を取り付けたヒータエ
レメント1、1の位置に近臨界流体の液相が無いとき、
ヒータエレメント1、1が熱を発生することで、そのヒ
ータケース5、5の外周壁が加熱され、ヒータケース
5、5の外周壁は周囲の雰囲気温度よりやや高い温度に
維持される。
【0044】これに対し、測温素子2、2の測温点1
3、13の部分に近臨界流体の液相が有ると、近臨界流
体の液相が無い状態に比べてヒータエレメント1から周
囲に伝達される熱量が異なるため、測温点13、13で
測定される温度が違ってくる。上下2つの測温点13、
13で測定される前記の温度の違いにより、近臨界流体
の液面の位置を測定することができる。すなわち、測温
素子2、2の上下の測温点13、13において、それぞ
れの測温点13、13で測定される温度が異なっている
場合、その間に近臨界流体の液面があることが分かる。
【0045】なお、前述の実施形態による感熱式近臨界
流体液面センサは、取り付けネジ3、3により圧力容器
14の液面検出部16に取り付けられるが、近臨界流体
液面センサを、フランジを介して圧力容器14或いはそ
の液面検出部16に取り付けることもできる。或いはス
ウェージロック、テーパーロック等の気密な嵌め込み構
造の継手により、近臨界流体液面センサを圧力容器14
或いはその液面検出部16に取り付けることもできる。
【0046】さらに、前述の実施形態による感熱式近臨
界流体液面センサでは、近臨界状態にある二酸化炭素の
液位を測定することを中心に説明したが、二酸化炭素以
外の物質、例えば、近臨界状態にあるCH4、C24
26、N2O、C36、CHCLF2、C38、CCL
22、NH3、CH3OH、C66、C78、H2O等の
液位の測定に適用することもできる。
【0047】この場合に、ヒータ出力範囲は、二酸化炭
素を基準として気相と液相での物性値の比率で決定する
方法が適当である。例えば、λを熱伝導率(mW/m゜
k)、ρを比重量(Kg/m3 )、Cpを比熱(KJ/
Kg゜k)とすると、ヒータエレメント1の表面におけ
る熱流束Sdは、数1に示す関係にある。但し、数1に
おいて、xは測定対象の物質と数値の物性を示し、CO
2 は、二酸化炭素の物性と数値をそれぞれ示す。
【0048】
【数3】
【0049】従って、前記数3において、SdCO2を二
酸化炭素の熱流束の下限値、つまりSdCO2=0.3W
/cm2として計算したSdxをその二酸化炭素以外の
近臨界流体における熱流束Sdxの下限値とする。この
場合、熱伝導率、比重量及び比熱は、気相の物性値を使
用する。他方、前記数3において、SdCO2を二酸化炭
素の熱流束の上限値、つまりSdCO2=2.8W/cm2
として計算したSdxをその二酸化炭素以外の近臨界流
体における熱流束Sdxの上限値とする。この場合、熱
伝導率、比重量及び比熱は、液相の物性値を使用する。
【0050】表1は、二酸化炭素CO2、エタンC
24、アンモニアNH3 及び水H2Oの臨界圧力、臨界
温度、熱伝導率λ、比重量ρ、比熱Cpを示す表であ
る。この表から明らかな通り、二酸化炭素の気相におけ
る熱伝導率λCO2=23.0(mW/m゜k)、比重量
ρCO2=128.5、(Kg/m3 )、比熱CpCO2
1.08(KJ/Kg゜k)であり、λCO2・ρCO2・C
CO2 =5320である。また、二酸化炭素の液相にお
ける熱伝導率λCO2=84.0(mW/m゜k)、比重
量ρCO2=734.1、(Kg/m3 )、比熱CpCO2
=4.54(KJ/Kg゜k)であり、λCO2・ρCO2
CpCO2 =279956である。
【0051】この表1には、二酸化炭素以外の物質の気
相と液相における熱伝導率λx、比重量ρx、比熱Cp
xが示されており、それらのそれぞれ気相と液相のλx
・ρx・Cpxを用い、前記数3において二酸化炭素に
対して換算された熱流束Sdxの下限値と上限値とを求
めることができる。
【0052】
【表1】
【0053】さらに、表2には、他の物質の臨界温度、
臨界圧力及び臨界密度が示されている。これらについて
も、前記の物質と同様にして熱流束Sdxを求めること
ができる。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明による感熱式
近臨界流体液面センサは、ヒータ1と温度測定素子2を
使用した感熱式液位測定手段を使用し、周囲の雰囲気に
影響を与えることなく、確実に近臨界状態にある二酸化
炭素等の液位を測定し、その液量を計測することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による感熱式近臨界流体液面センサの例
を示す半断面側面図である。
【図2】同感熱式近臨界流体液面センサを圧力容器に取
り付けた状態の例を示す部分断面側面図である。
【図3】本発明による感熱式近臨界流体液面センサの他
の例を示す半断面側面図である。
【図4】同感熱式近臨界流体液面センサを圧力容器に取
り付けた状態の例を示す部分断面側面図である。
【図5】二酸化炭素の三相状態を示す温度と圧力の関係
を示すグラフの例である。
【符号の説明】
1 ヒータエレメント 2 測温素子 13 測温素子の測温点 14 圧力容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−146118(JP,A) 特開 昭60−147610(JP,A) 実開 平3−93733(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01F 23/00 - 25/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 近臨界流体の液面を感知する液面センサ
    において、近臨界流体が封入される圧力容器(14)内
    に導入されるヒータエレメント(1)と、このヒータエ
    レメント(1)の外壁面の温度を測定する測温点(1
    3)を備える測温素子(2)とを有し、前記ヒータエレ
    メント(1)の熱流束を0.3W/cm 2〜2.8W/
    cm2とし、ヒータに取り付ける測温素子(2)の太さ
    をφ3mm以下としたことを特徴とする近臨界流体液面
    センサ。
  2. 【請求項2】 近臨界流体の熱伝導率をλ、比重量を
    ρ、比熱をCpとし、ヒータエレメント1の表面におけ
    る熱流束をSdとし、λx、ρx、Cpx、Sdxは二
    酸化炭素以外の近臨界流体の物性値と熱流束を示し、λ
    CO2、ρCO2、CpCO2、SdCO2は二酸化炭素の物性値と
    熱流束をそれぞれ示すものとしたとき、二酸化炭素以外
    の近臨界流体における熱流速Sdxを、SdCO2=0.
    3W/cm2として気相の物性値により数1で求めたS
    dxから、SdCO2=2.8W/cm2として液相の物性
    値により数1で求めたSdxまでの範囲とすることを特
    徴とする請求項1に記載の近臨界流体液面センサ。 【数1】
  3. 【請求項3】 測温素子(2)がシース熱電対であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の近臨界流体液
    面センサ。
  4. 【請求項4】 測温素子(2)の径がヒータエレメント
    (1)の径の1/7.5以下とすることを特徴とする請
    求項1〜3の何れかに記載の近臨界流体液面センサ。
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