JP3321267B2 - パターン認識における遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法 - Google Patents

パターン認識における遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙幣等の紙葉類の光学
パターン画像にマスクを施してニューラルネットワーク
によって紙葉類を識別する際に用いるパターン認識にお
ける遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の紙幣等の紙葉類の識別方法は、金
種毎に異なる紙幣幅を金種決定の大きな要素としてい
る。さらに、日本の円紙幣は色相や透かし部の位置等が
金種毎に異なっているので、任意の特徴ある比較ポイン
トを検査するだけで十分な識別性能を得ることができ
る。ところが、例えばアメリカのドル紙幣のように同一
寸法、凹版単色印刷、類似絵柄配置である紙幣では十分
な識別性能を得ることが容易には出来なかった。このよ
うな紙幣を識別する場合、紙幣の表面を光学的に2次元
のデータとして読み込み、読み込んだ画像の全面検索を
行えばよいが、処理する画像データ量が多いため現存す
るマイクロコンピュータシステムでは処理時間の問題に
より実現が困難である。そこで、紙幣に印刷されている
金種を示す数字を部分的に読み込んで識別したり、紙幣
の搬送に伴う1次元の光学的なデータにより識別する方
法が採られている(米国特許 第4,973,851 号参照)。
【0003】このような識別方法に対しさらに識別性能
を向上させるものとして、生物の神経回路網の情報伝達
をモデルにしたニューラルネットワークを用いたものが
開発されている。このニューラルネットワークは、情報
の内挿、学習によるアルゴリズムの自己組織化及び並列
処理などの優れた特徴を有し、種々のパターン認識に適
している。特に、学習によるアルゴリズムの自己組織化
は、従来の経験による紙幣の特徴パラメータの探索業務
を軽減することが可能であるとされている。従来のニュ
ーラルネットワークを用いたものとしては、図19に示
すようなものがある。図19の認識装置は、被識別対象
1の文字等をイメージセンサ2で読取って入力画像3を
得る。図19の入力画像3の場合、縦,横各8分割なの
で、D(i.j)(但しi=1〜8、j=1〜8)の6
4画素の入力情報として取得する。そして、この64個
の各画素データを分離演算部5に直接入力する。このと
き、分離演算部5の入力層のニューロ素子は、各画素に
対応した64個が必要となる。そして、この入力情報に
基づきニューラルネットワークを用いてパターンの認識
を行なうようになっている。
【0004】ところが、実際の紙幣の画像データの大き
さはセンサの画像採取領域に依存し、216 ×30画素であ
るので、入力層のニューロ素子数を6480個、隠れ層のニ
ューロ素子数を6480個、出力層のニューロ素子数を7個
(7金種としたとき)とすると、神経細胞ユニットをつ
なぐ各重みの数は6480×6480+6480×7で合計4×10
という膨大なものとなってしまう。そこで、識別する
紙幣間で類似の部分を除くようにして、特徴部分のみを
抽出して紙幣の識別を行うことが考えられた。即ち、紙
幣の光学パターンの画素の幾らかをマスクすることによ
って、特徴点を浮き出させることが考えられた。図20
(A)に示すように、画像フレーム内でn個のカラムマ
スクの候補があるとすると、マスクをするを“1”、マ
スクをしないを“0”とする2通りの場合がそれぞれの
カラムマスクについて考えられる。つまりマスクは
{1、0}のパターンで表すことができ、全てのマスク
パターンは同図(B)のように2通りとなる。
【0005】例えばn=3の場合には図21(A)に示
すように、画像フレームは3分割される。そして、その
マスクパターンは同図(B)のように8通りとなる。こ
れを画像フレームに戻すと図22に示すようになる。こ
れらのうちマスクパターン1は画像データ全面をマスク
することを意味し、ニューラルネットワークへの入力は
常に0になるのでマスクとしては不適である。マスクパ
ターン8はマスクを全くしないことであるが、画像の合
計値はニューラルネットワークの入力として問題ないの
で、そのままマスクとして取り扱うこととする。従っ
て、マスクパターン2から8までを用いてニューラルネ
ットワークの学習を行い、学習収束後に未学習のデータ
を識別評価する。例えば円紙幣(千円札、五千円札、一
万円札)を用いて図23に示すように入力層のニューロ
素子数を1個、隠れ層のニューロ素子数を6個、出力層
のニューロ素子数を3個とした場合は、マスクパターン
の種類が少ないので全ての場合における学習を行い、そ
の結果である汎化能力、即ち未学習データにおける紙幣
鑑別率の良さを調査すればよい。この例では図24に示
すようにマスクパターン6の鑑別率が第1順位であり、
最適マスクと決定できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
紙幣の画像データの大きさが216 ×30画素であることを
考えると、マスクがカラム状であればマスクの大きさは
横1画素×縦30画素となる。画像データの全エリアのマ
スクを考えるとマスクパターンは2216 −1通り(全面
マスクは含めず)となり、上述したようなマスクの最適
化方法ではほとんど対処できないことになる。マスク位
置を乱数を用いて決定する方法も考えられるが、識別に
無効な部分を被覆すると画像データの固有の特徴量とな
らず、効率的な学習が行えないという問題や、マスク位
置によっては必ずしも学習が収束しないという問題があ
った。
【0007】本発明は上述の如き事情よりなされたもの
であり、本発明の目的は、紙葉類のパターン認識におい
て生物の進化過程のメカニズムの三大特徴である交差、
淘汰、突然変異をコンピュータでシミュレーションする
ことにより、紙葉類識別に最適なマスクを決定するとい
うパターン認識における遺伝アルゴリズムを用いたマス
クの最適化方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はパターン認識に
おける遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法に
関するもので、本発明の上記目的は、識別すべき紙葉類
の光学パターン画像を入力して画像データを記憶し、こ
の記憶した画像データから前記紙葉類のみの光学パター
ン画像を抽出し、この抽出した光学パターン画像に対し
て複数種のマスクを施し、前記マスクを符号化して遺伝
子として設定し、前記マスクからなるマスクパターンを
かけた画像データ総和値をニューラルネットワークに入
力して前記紙葉類の識別を学習させ、その結果を評価
し、所定の識別達成度に有るか否かに応じて前記マスク
パターンを淘汰し、残ったマスクパターンに対して遺伝
子組み替え或いは、突然変異を実行して世代交代させ、
この世代交代させたマスクパターンを用いて前記ニュー
ラルネットワークの学習を実行するという一連の処理
を、所定の世代交代数内で所定の識別達成値に達するま
で繰り返して前記マスクを最適に配置することによって
達成される。
【0009】
【作用】本発明では、脳や神経回路網における生体系の
適応的な情報処理の仕組みを利用するに際して、遺伝子
情報に基づく生物の環境適応的な進化課程を模擬した遺
伝アルゴリズムを採用して紙葉類識別装置の識別能力を
改善する。上記遺伝アルゴリズムは、自然界における生
物の進化(集団遺伝)モデル、すなわち世代を形成して
いる個体の集合(個体群)の中で、環境への適応度の高
い個体がより多く生き残り、また交配及び突然変異を起
しながら次の世代を形成していく課程を模した最適化法
である。最適化問題の目的化関数を紙葉類の鑑別率に、
解の候補を紙葉類の画像のマスクパターンに、遺伝子を
画像にマスクを施す或いは施こさないという事象に、染
色体を解の候補でもあるマスクパターンに、個体を種々
のカラムマスクのパターンの集合体にそれぞれ対応させ
る。まず、初期集団を構成する。一般には決められた個
体数の染色体をランダムに生成するので、集団は任意に
決定されることになる。次に、各々の個体に対して適応
度の評価を行う。基本的には高い鑑別率を有する個体が
高い適応度を有するものと評価する。従って、高い適応
度が得られた個体を任意に集め、それを基に選択交配を
行う。基本的には、適応度の高い個体がより多くの子孫
を残す機構となる。これによって、より良い遺伝子が集
団中に広がる選択交配を行う個体対が決定されたら(自
己と配偶者と呼ぶことにする)、遺伝子の交差を行う。
基本的には配偶者の遺伝子の一部を採ってきて子孫の染
色体を作る。次に、突然変異を加える。これはある確率
で染色体の一部の遺伝子の値を変える操作である。そし
てこの新たな集団に対して適応度評価を行ない、淘汰を
行って次世代とする。このように選択交配、突然変位を
施し、次々と新たな世代を作っていく。各世代において
個体が揃ったところで、その個体が持つ染色体すなわち
マスクパターンを紙葉類の画像パターンに適用して、お
のおの非マスク部分の総和であるスラブ値をニューラル
ネットワークに入力し学習をさせてニューロ素子間のシ
ナプスを形成させる。即ち、入力層、隠れ層、出力層の
重み係数値を学習によって決定させるのである。これら
一連の学習終了後、学習データとは異なる未学習データ
を用い、最適化された重みを用いたニューラルネットワ
ークで評価し、それぞれのスラブ値群の汎化機能を確認
する。この時、一定の識別性能に満たない入力を発生し
たカラムマスクをその世代の配列パターンから淘汰して
カラムマスクを最適化する。
【0010】
【実施例】以下、本発明のパターン認識における遺伝ア
ルゴリズムを用いたマスクの最適化方法を適用する紙幣
識別装置の実施例を、図面を参照して説明する。図1は
本発明方法を適用する識別装置の外観構成を示してお
り、紙幣識別装置100の傾斜した前面右部にはパネル
部120が設けられており、上部には識別すべき紙幣
(米ドル紙幣)10を整列して収納するためのホッパ1
01が設けられている。ホッパ101に収納された紙幣
10は、繰出しローラー110を有して成る紙幣繰り出
し部102及び103から順次1枚ずつ繰り出され、選
択希望金種の紙幣は第1スタッカ104に保留され、金
種の判定された紙幣は第2スタッカ105に保留され、
リジェクト紙幣はリジェクトスタッカ106に保留され
る。また、第1スタッカ104の上方には開閉可能なガ
イド板107が配置されており、第2スタッカ105の
上方には開閉可能なガイド板108が配置されている。
この機構に関しては後述する。
【0011】パネル部120には電源スイッチ121が
設けられていると共に、識別動作のスタートとストップ
をトグル式に指示するスタート/ストップボタン122
が設けられ、表示のクリアを指示するクリアボタン12
3が設けられている。その下方には、計数した枚数(金
額)等を表示する表示部130が設けられており、更に
紙幣識別装置100の故障部位及び内容を表示するガイ
ダンス表示部124が設けられている。そして、識別モ
ード、学習モード、テストモードを順次選択して切換え
るモードスイッチ125と、指定枚数になれば計数を停
止するためのバッチモードを設定するバッチスイッチ1
26と、押すたびに停止枚数を増加(例えば10枚毎)
して指定枚数を設定するための枚数指定スイッチ127
と、スタート/ストップボタン122が押され、最初に
識別した紙幣以外の金種が識別されたときに異金種とし
てリジェクトする異金種リジェクト設定ボタン128と
が縦列に設けられている。さらに、最下部には、紙幣の
汚れを検知して損券としてリジェクトするレベルを設定
するための損券レベル設定スイッチ129Aと、テープ
が貼られた紙幣を検出する場合のテープ長を設定するテ
ープ長設定スイッチ129Bとが設けられている。
【0012】図2は紙幣識別装置100の内部機構を示
しており、ホッパ101に収納された紙幣10は1枚ず
つ繰り出しローラ110で繰り出され、搬送路P1を経
てローラ111で方向変換されて後に搬送路P2を経て
ローラ112に搬送される。ローラ112の搬送出口部
には、搬送路P3又はP8への切換えを行なう通路切換
部材113が設けられており、搬送路P8へ送られた紙
幣は搬送路P9を経てリジェクトスタッカ106に保留
される。また、通路切換部材113で搬送路P3へ送ら
れた紙幣は更にローラ114へ送られ、ローラ114の
搬送出口部に設けられた通路切換部材115によって、
搬送路P4又はP6へ切換えられて搬送される。搬送路
P4へ送られた紙幣はローラ116を介して搬送路P5
に送られ、その後に紙幣繰り出し部102に周設されて
いる羽根部材を介して第1スタッカ104に保留され、
搬送路P6へ送られた紙幣はローラ117を介して搬送
路P7に送られ、その後に紙幣繰り出し部103に周設
されている羽根部材を介して第2スタッカ105に保留
される。第1スタッカ104に保留された紙幣は、ガイ
ド板107を開けることによって外部に取り出され、第
2スタッカ105に保留された紙幣も同様に、ガイド板
108を開けることによって外部に取り出される。そし
て、搬送路P1には、搬送される紙幣の光学パターン画
像を読取るためのラインセンサ11が、発光部12と一
体的に配設されている。又、ローラ111等の搬送繰り
出し手段には、ラインセンサ11の出力データを取込む
タイミングを定めるサンプルパルスSPを出力するロー
タリエンコーダ13が接続されている。更に、図示はし
ていないが各搬送路P1〜P9には紙幣通過を検知する
ためのセンサが設けられており、第1スタッカ104、
第2スタッカ105及びリジェクトスタッカにも紙幣の
保留及び取り出しを検知するためのセンサが設けられて
いる。
【0013】表示部130の詳細は図3に示すようであ
り、最上段は計数した枚数又は金額を表示する数量表示
欄131であり、中段にはバッチ処理の停止枚数を表示
するバッチ表示欄132が設けられており、最下段には
モードスイッチ125が選択しているモードを点灯表示
するためのモード表示灯133が設けられている。本発
明では、ホッパ101に収納する紙幣10の表裏や向き
には限定のないようにしているが、その搬送方向と表裏
に対応して図4の(A),(B)に示す如きA〜D方向
を定義している。即ち、本発明では米ドル紙幣の各金種
について、A〜D方向のいずれについても識別できるよ
うになっている。
【0014】図5は紙幣識別装置100の内部構成を示
すブロック図であり、発光部12からの光は搬送路P1
上の紙幣表面で反射されてラインセンサ11に入力さ
れ、ラインセンサ11の読取信号は時系列にデータ処理
部140に入力され、サンプルパルスSPの入力に従っ
て処理されてメモリ141に図6の141Aで示すよう
にフレーム画像として記憶される。メモリ141の記憶
データから紙幣切出部142は、図6の142Aで示す
ように紙幣部分のみを切出してその切り出し画像をニュ
ーロ回路150に入力し、ニューロ回路150の識別結
果DRは、CPU,ROM,RAM等で成る識別装置制
御部160に入力される。識別装置制御部160は発光
部12の照度を制御すると共に、通路切換部材113及
び115を制御し、表示部130及びガイダンス表示部
124の表示を制御する。又、識別装置制御部160に
はスタート/ストップボタン122等の設定入力手段が
接続され、繰り出しローラ110等の搬送繰り出し手段
の駆動を制御するようになっており、更に各種センサか
らの検知信号が入力されるようになっている。
【0015】図7はニューロ回路150の詳細構成例を
示すブロック図であり、認識対象の紙幣10はCCD等
で成るイメージセンサ11で計測され、適宜画像処理さ
れてメモリ141内にフレーム画像141Aが得られ
る。フレーム画像141Aは紙幣切出部142で紙幣部
分のみが切り出されて142Aのように紙幣イメージが
特定される。次に、前処理部151にてカラムマスク4
1〜4nを紙幣イメージデータ142Aに適用してマス
クの掛かっていない部分の画素データの総和値(スラブ
値)SB1〜SBnを得る。このスラブ値SB1〜SB
nはニューラルネットワークの分離演算部152に入力
され、予め判定用紙幣のパターン分類に最適に調整され
た重みにより分離演算値SPが算出される。分離演算値
SPは判定部153に入力され、分離演算値SPの中で
最大値を有するパターンが対象物の紙幣10のパターン
画像として出力される。前処理部151内のカラムマス
ク41〜4nは搬送方向と平行に細長い帯状のカラムマ
スクであり、それぞれが異なる小区画を被覆するもので
ある。そして、これらのカラムマスク41〜4nは、後
述する遺伝アルゴリズムにより最適化される。
【0016】ここで、カラムマスクを用いた前処理部1
51について説明する。本発明でカラムマスク41〜4
nを用いる理由は、次のことによる。図8に示すように
8×8のマトリクス上の“0”と“1”の2値画像にお
いて、画像の特徴量として画素値の総和であるスラブ値
(2値画像の“1”の数)を用いた場合、図8(A)で
は文字“E”を特徴づける値として“14”が得られ、
同図(B)では文字“H”を特徴づける値として“1
2”が得られる。従って、スラブ値を用いることによっ
て“E”と“H”が分離可能となる。しかしながら、異
なるパターンを有する画像でもスラブ値が等しくなる場
合が存在する。例えば、図9(A)では文字“F”のス
ラブ値は“10”であるが、同図(B)の文字“K”の
スラブ値も“10”であり、分離不可能となる。このよ
うな問題に対しては、図10(C)に示すような入力画
像の画素に対応する特定の棒状領域が被覆されたカラム
マスクを導入することにより解決できる。図10(C)
のマスクで図9(A)の画像を覆うと図10(A)に示
す画像となり、この場合のスラブ値は“8”となる。一
方、図10(C)のマスクで図9(B)の画像を覆うと
図10(B)に示す画像となり、スラブ値は“9”とな
る。このようにカラムマスクを導入することにより、
“F”と“K”も分離可能となる。
【0017】そこで、このように種々の画像を分離する
ために、図10(C)に示すような予めマスク内の複数
の長形状の被覆される部分の位置を選定しておく。この
場合、ただ一つのこのようなマスクによって、種々の画
像を分離できるスラブ値を生成する確率は極めて小さ
い。しかしながら、前述のように異なる種々のカラムマ
スクを使用することによって、同じ画像でも異なるスラ
ブ値列を得ることができる。このスラブ値列のいずれか
が画像間で異なることが多く、種々のカラムマスクを利
用することによって、画像間の分離能力を確率的に高め
ることが可能である。なお、上述の複数の異なるカラム
マスクを使用することは、次のような物理的な意味を有
している。つまり、3次元物体を他方向から視点を変え
て観測する場合、同一の対象でも異なる情報を得ること
ができる。これと同様に、種々のカラムマスクを用いる
ことは2次元平面内で視点を変えて画像を観測すること
になり、前述のように同一の画像でも異なる情報を生成
することが可能となる。この場合、前処理で入力画像が
種々の異なるカラムマスクで覆われ、被覆されない画素
の総和がそれぞれに対応したスラブ値SB1〜SBnと
なり、入力層のニューロ素子と一対一に対応している。
さらに、出力層のユニット値は判定パターンに対応して
いる。
【0018】図11は、マスク41〜4nの如き垂直方
向のカラムマスクの効果を示しており、同図(A)の下
移動入力画像と同図(B)の上移動入力画像に対して同
一なスラブ値“5”を得ることができ、入力画像が上下
の垂直方向ずれを生じても不変なスラブ値を得ることが
できる。なお、紙幣は短手方向に搬送され、搬送時に
は、紙幣が搬送通路に対して直角に保持されて搬送され
る場合は極めて稀で、普通は左乃至右側に少なからず先
行して搬送されるという、いわゆる斜行搬送が起きる。
斜行に対してもカラムマスクはロウマスク(横手方向棒
状マスク)と比べると、その長辺長さが短い(カラムマ
スクの長手長さは、紙幣の短手方向の長さであり、ロウ
マスクのそれは紙幣の長手方向の長さであって、カラム
マスクの方が短い)ので変化する画素領域が少なくその
影響を受けにくい。実施例の場合には、斜行角±8°ま
でを許容するようにしている。
【0019】次に、上述の前処理部151で前処理され
た情報を入力して分離演算を行なう分離演算部152に
ついて説明する。階層構造の分離演算部152は、大別
すると入力層,隠れ層,出力層の3層から成っている。
図12に示すように入力層は、前処理部151からの各
マスクの種類に一対一に対応するようにニューロ素子が
設けられており、各マスク種類により前処理されたスラ
ブ値(マスク処理された後の画素数の総和)を対応する
ニューロ素子に入力する。隠れ層は少なくとも1つのニ
ューロ素子の層から成り、入力層の情報を分離演算して
出力層に伝達する役割を果たしている。この隠れ層が多
くなればそれだけ、入力層の各ニューロ素子の情報の変
動に対しても不変に各パターンの各々に分離して演算す
ることが可能となる。出力層には、識別すべきカテゴリ
ーに一対一に対応するようにニューロ素子が設けられて
いる。そして、学習により完成したニューロ素子間の重
み係数による出力ユニット値を出力ユニット数個分算出
する。この複数個の出力ユニット値(0〜1の間の値を
採る)の最大値(通常検査紙幣の金種の出力ユニットで
0.99ぐらい)と、準最大値(2番目の金種の候補で
0.2以下)とを抽出する。次に、最大値が閾値1(通
常0.6)よりも大きいかどうかを判断し、小さいとき
には、学習データから除く。そして、(最大値−準最大
値)が閾値2(通常0.4)より大きいかどうかを判断
し、(最大値−準最大値)が小さい場合には排除し、大
きい場合には最大値を有するユニットのパターンを評価
紙幣の判定パターンと決定する。ここで、最大値と準最
大値をチェックするのは、金種間の誤鑑を防ぐためであ
る。例えば1$〜100$の米ドル紙幣を識別する時に
は、出力層のニューロ素子が上から順に1$〜100$
の金種に対応し、識別する時には、該当するニューロ素
子が1に最も近い値、即ち最大値を出力し、他のニュー
ロ素子は0に近い値を出力する。1$紙幣を識別する時
には、出力層の最上位のニューロ素子が最大値を出力
し、判定パターンと決定する。
【0020】同様に、上述の紙幣識別の際には出力層の
ニューロ素子が上から順に1$、2$、5$、10$、
20$…100$と言うように7金種×4方向の28個
のニューロ素子が一対一に対応している。そして、この
入力層から出力層までのニューロ素子同士を接続し、信
号を受け渡す機構をシナプスという。シナプスは、ニュ
ーロ素子同士の結合の強さを重み付け関数で記憶してい
る。1つのニューロ素子は、シナプスを通じ前段の層の
複数のニューロ素子から信号を受取り、経由してきたシ
ナプスが持つ重みを乗算して入力値とする。ニューロ素
子は、それが結合している全てのニューロ素子からの信
号を受取ると、入力値の総和をとる。総和の値が予めニ
ューロ素子に設定した閾値を越えるとニューロ素子が
“発火”し、次の後段の層のニューロ素子に出力信号を
送り、この処理を繰返して出力層から情報を出力する。
この各々のシナプスの重みは識別対象に対応して、予め
次の数1で与えられるバックプロパゲーション法による
学習により決定されている。
【数1】 また、重みの修正は、各パターンの提示毎に行なう。収
束判定は、各パターン毎に得られる出力層の値と教師値
との差の2乗の総和が収束判定誤差以下になった場合、
または提示回数が最大提示回数に達した場合としてい
る。ここで、提示回数とは、米ドル1$から100$ま
での7金種分の全てのパターンに教師を提示した場合を
1回として定義する。学習データは米ドル1$から10
0$までの7金種分までをニューラルネットワークに逐
次的に提示する。さらに、認識能力の評価規範として次
式で与えられる鑑別率ESを用いる。
【数2】ES=正しく認識された事象の個数/全事象の
評価個数×100 次に、判定部153について説明する。判定部153
は、分離演算部152の出力層から出力される情報を入
力し、その中から最大値を判別し、その最大値のニュー
ロ素子に対応するカデゴリーと判別する。例えば、出力
層のニューロ素子が上から1$紙幣のA方向、1$紙幣
B方向、1$紙幣C方向のカデゴリーに対応している場
合に、最上位のニューロ素子から最大値の出力が出てい
れば“1$A方向”であると判別する。
【0021】このような構成において、その動作例を図
13のフローチャートにより説明する。ホッパ101に
紙幣10を載置して後にスタート/ストップボタン12
2を押すと、識別装置制御部160は搬送繰り出し手段
を駆動し、繰り出しローラ110によって紙幣10を1
枚ずつ搬送路P1に繰り出す。繰り出された紙幣10は
発光部12からの光で照射され、その反射光がCCD等
で成るラインセンサ11に入力され、その読取信号がデ
ータ処理部140に入力される。データ処理部140に
はロータリエンコーダ13からのサンプルパルスSPが
入力され、メカクロックの所定クロック毎に掃引を開始
し、搬送方向に4mm間隔で、横方向には1mmピッチ
とする1ライン分の画素出力をAD変換し、変換された
デジタル数値をメモリ141に書込むことにより、紙幣
10の光学イメージを記憶手段に入力することができる
(ステップS1−S5)。本例のメモリ141は、紙幣
1枚に付き横方向256mm×縦方向128mmの大き
さ分用意している。紙幣の大きさは、米ドル紙幣の場合
には156mm×66mmであるので、次ステップでマ
スクをする場合に、非紙幣部分にマスクを設定すること
を避けるために、紙幣切出部142はメモリ141に展
開された画像フレーム内の紙幣エッジを抽出し(ステッ
プS6)、紙幣部分のデータを特定して切り出し(ステ
ップS7)、紙幣の部分が画像処理されて入力画像を得
る。
【0022】光学系は反射型センサなので、媒体の無い
部分の最暗部のAD値の所定倍した閾値を用い、紙幣媒
体の有り無しを判断して、明るい部分を取出す。透過型
センサを用いる場合には、逆に設定した閾値よりも暗い
場所が紙幣の部分である。紙幣切出部142で切出され
た画像データはニューロ回路150に入力される。ニュ
ーロ回路150の前処理部151はマスク情報を読み込
み(ステップS8)、そのマスク情報に基づくスラブ値
を作成する(ステップS9)。スラブ値の数が入力ユニ
ット数に到達するまでステップS8,S9の処理を繰り
返し(ステップS10)、到達したら分離演算部152
は学習により完成したニューロ素子間の重み係数による
出力ユニット値を算出する(ステップS11)。そし
て、出力ユニット値(0〜1の間の値をとる)の最大値
(通常検査紙幣の金種の出力ユニットで0.99ぐら
い)と、準最大値(2番目の金種の候補で0.2以下)
とを抽出する(ステップS12)。次に、最大値が閾値
1(通常0.6)よりも大きいかどうかを判断し(ステ
ップS13)、小さいときには学習データから除く(ス
テップS15)。そして、(最大値−準最大値)が閾値
2(通常0.4)より大きいかどうかを判断し(ステッ
プS14)、(最大値−準最大値)が小さい場合には排
除し(ステップS15)、大きい場合には最大値を有す
るユニットのパターンを評価紙幣の判定パターンと決定
する(ステップS16)。
【0023】判定部153は、分離演算部152の出力
層から出力される情報を入力し、その中から最大値を判
別し、その最大値のニューロ素子に対応するカデゴリー
と判別する。そして、その識別結果DRが識別装置制御
部160に入力される。上記識別動作中に紙幣は搬送路
P1,P2を搬送され、ローラ112に達するまでに
は、識別装置制御部160が入力した識別結果DRに基
づいて通路切換部材113,115を駆動する。すなわ
ち、希望金種の紙幣と識別した場合は通路切換部材11
3をローラ112側に回転させて搬送路P3から退避さ
せ、通路切換部材115を搬送路P6上に突き出させる
ので、紙幣は搬送路P3,P4,P5を搬送され、紙幣
繰り出し部102により繰り出されて第1スタッカ10
4に保留される。また、希望しない金種の紙幣と識別し
た場合は通路切換部材113をローラ112側に回転さ
せ、搬送路P3から退避させ、通路切換部材115をロ
ーラ114側に回転させ搬送路P6から退避させるの
で、紙幣は搬送路P3,P6,P7を搬送され、紙幣繰
り出し部103により繰り出されて第2スタッカ105
に保留される。そして、金種の識別ができない場合には
通路切換部材113を搬送路P3に突き出させ、紙幣は
搬送路P8,P9を搬送されてリジェクトスタッカ10
6に保留される。識別装置制御部160は、センサから
紙幣の保留検知信号を受けると、その枚数や金額等を表
示部130に表示する。そして、金種の決定が全て終了
していなければステップS11に戻って上述した処理を
繰り返す(ステップS17)。
【0024】ここで、本発明のパターン認識における遺
伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法を図14の
フローチャートによって説明する。まず、N種類の任意
のカラムマスクを設定する(ステップS21)、それぞ
れのカラムマスクを{1,0}のビット、つまり遺伝子
として取り扱い、8ビットで構成されるカラムマスクパ
ターンを染色体として取扱う。本実施例では、染色体で
あるカラムマスクパターンの数量1個で1個体を形成す
る(ステップS22)。次に、上記の初期個体を用いて
各カラムマスクにより被覆されない画素を合計し、スラ
ブ値を作成する。これらのスラブ値からニューラルネッ
トワークの入力情報を作成する(ステップS23)。作
成した入力毎に各金種の分離学習を行う。この分離学習
はバックプロパゲーション法によって行われ、階層ネッ
トワークの各ユニット間に割付けられる重み係数が入出
力関係を一意に規定する教師データを与えることによっ
て最適化されて行く。
【0025】例えば図15の第1世代であるA,B,C
の3パターンの汎化能力は図17に示すようにパターン
Aが90%、Bが92%、Cが80%ある。次に第1世
代のマスク間でその遺伝子の一部、つまり特定の位置の
ビットを相互に入れ換える(ステップS24〜S2
6)。図16ではパターンA及びBを1/2ずつ入れ換
えてパターンA´とした場合を示す。そして、上記の遺
伝子の入れ替え、つまり被覆位置の入れ替えを行った新
しいカラムマスクを用いて、被覆されない画素の合計で
あるスラブ値、即ちニューラルネットワークの入力を作
成する。その後、上述と同様に、残された優良カラムマ
スク間で遺伝子の一部を相互に入れ替え、新しいカラム
マスクを生成する。これらの一連の操作を数世代繰り返
し、性能の良いカラムマスクからより性能の良いカラム
マスクを生成し、除々にカラムマスクを最適化する。
【0026】さらに、淘汰後のカラムマスク間の相互の
遺伝子の入れ替えに変化を持たせるために、任意にカラ
ムマスクの遺伝子の一部を突然変異、つまり“1”を
“0”にあるいは“0”を“1”にする操作も新しいカ
ラムマスク生成時に行う(ステップS33)。この突然
変異は頻繁には起こり得ないので、小さな確率で起こる
ように設定する。このようにして新に作成された入力を
用いて上述の学習を行い(ステップS27)、その後未
学習データを用いて各世代にて淘汰されなかった遺伝子
の組み合わせ,即ちマスクの配列パターンの性能確認を
行い(ステップS28)、能力の低いマスクパターンの
みを淘汰する(ステップS29)。ここでパターンの淘
汰とは、次世代の作成に親としてその個体を使用しない
ということであり、図17ではB´、B”、C”は淘汰
することになる。以上の操作を指定回数の世代分繰り返
すか、目標とする適応度に達したか否かをチェックし
(ステップS30〜S32)、何れかが満足すれば終了
とし、最良の識別性能が得られた個体を最適マスクパタ
ーンとする。
【0027】ドル紙幣の同一方向の7金種を分離する場
合を例にとって、以下に遺伝アルゴリズムによるマスク
の最適化方法について説明する。 (1)初期集団の構成を行なう。遺伝子学上では、一般
には決められた個体数の染色体をランダムに生成する。
この際の、個体数の決定や染色体の長さ、コーディング
(コード化)の方法は遺伝アルゴリズムの研究の中心的
課題であるが、現在は職人芸的に決めているのが実情で
ある。本実施例では、個体は16個の染色体、即ち、1
6種のマスクパターンの集合体である。初期集団は、任
意に構成したマスクパターンにより学習をさせ汎化能力
を確認して、鑑別率が80%以上を目安として選択決定
している。より良い個体が高い適応度(鑑別率)の評価
をされるということに基づいている。図18の例で示さ
れるマスク情報のNO.1〜16は、各スラブ値として
ニューラルネットワークに入力するユニット番号を示し
ている。行で示される1、2、3、〜、4、5、6はマ
スク位置を示しており0がマスクのかかっていないこと
を、1がマスクされていることをそれぞれ示している。
このマスクがかかっていないところの絵柄の画像データ
の和をスラブ値として入力層に入力する。このニューラ
ルネットワークは入力層のニューロ素子を16個、隠れ
層のニューロ素子を16個、出力層のニューロ素子を7
個(米ドル紙幣の7金種で方向を限定したもの)で構成
している。つまり入力データは、同一方向の紙幣の画像
データを用いる。実際のドル鑑別装置ではこのニューラ
ルネットワークを4段カスケードに接続し、4方向の金
種出力信号が得られるようになっている。得られた汎化
能力は(イ)のパターンでは鑑別率90%、(ロ)では
93%、(ハ)では83%が得られている。この(イ)
(ロ)(ハ)を第1世代として進化を進めて行く。
【0028】(2)おのおのの個体に適応度が決定され
たら、それを基に選択交配を行う。基本的に適応度の高
い個体がより多くの子孫を残す機構となる。これによっ
て、より良い個体を形成する遺伝子が集団中に広がるこ
とになる。遺伝子の交配は実施例では=6で6通
り存在する。例えば図18において、ユニット番号N
O.4,7,11,15のマスク位置の9、0、1、
2、3、4、5、6を1ビット交換する。交差に際して
は1〜16の一様乱数を発生させ、1回目に4が出れば
配偶者の個体のユニット番号NO.4のマスクパターン
の4のビットを自己のユニット番号NO.4のマスクパ
ターンの4のビットの値とし、4でなければビットの交
換はしない。
【0029】次に、2回目の乱数を発生させ、得られた
乱数が7であれば配偶者の個体のユニット番号NO.7
のマスクパターンの7のビットを自己のユニット番号N
O.7のマスクパターンの7のビットの値とし、7でな
ければビットの交換はしない。更に3回目の乱数を発生
させ、得られた乱数が11であれば配偶者の個体のユニ
ット番号NO.11のマスクパターンの11のビットを
自己のユニット番号NO.11のマスクパターンの11
のビットの値とする。更にまた、4回目の乱数を発生さ
せ、得られた乱数が15であれば配偶者の個体のユニッ
ト番号NO.15のマスクパターンの15のビットを自
己のユニット番号NO.15のマスクパターンの15の
ビットの値とする。得られた乱数が15以外の場合には
ビットの交換は行わない。
【0030】次に、突然変異の発生について説明する。
これはある確率で遺伝子であるマスクパターンのビット
を変更するものである。まず、交配の対象となったユニ
ット番号NO.4、7、11、15のマスクパターン
(染色体)には突然変異の適用は行わない。この突然変
異はまず一様乱数を用いて突然変異を起させるか否かを
決定する。これには、{−1,1}の乱数を発生させ、
得られた乱数が0.5〜1の時にのみ該当個体の突然変
異を起こさしめる。0.5以下の場合は該当個体の該当
世代に突然変異の発生はない。
【0031】次に突然変異が起きると決定された場合に
は、1〜16の乱数を使って個体の各染色体、即ち、ど
のユニット番号のマスクパターンに突然変異を起こさせ
るかを決定する。つまり、この乱数で1が出れば、ユニ
ット番号NO.1のマスクパターンに着目することにな
る。ユニット番号NO.4、7、11、15のマスクパ
ターンは交配で使用済みなので、突然変異の発生の対象
とはしない。従って、この1から16の乱数で4、7、
11、15のどれかが出た場合は、この個体に対し突然
変異は施さない。また、この乱数値によってビットの反
転の起きる位置も同時に決定される。つまり、ユニット
番号NO.1のマスクパターンはビット1に、NO.2
はビット2に…NO.16はビット16にという具合で
ある。さらにもう一度、ビットを反転させるか否かを決
定する。{−1,1}の乱数を任意の初期値を与えて1
00個発生させ、その内10個以上が0.5〜1である
かどうかで決定する。10個以上有る場合には、ユニッ
ト番号NO.1のマスクパターンであれば上述のように
ビットの1を反転させる。同様にしてユニット番号N
O.2のマスクパターンに対し1〜16の乱数により突
然変異の発生の有無を決定し、{−1,1}の乱数から
ビット2のビット反転を決定する。同様の処理をユニッ
ト番号NO.3、5、6、8、9、10、12、13、
14、16のマスクパターンについて行う。
【0032】このようにして得られた6個体の第2世代
に対して学習をさせ、ニューロ回路を形成させて汎化能
力を調査する。その結果(ニ)、(ホ)、(ヘ)を得る
ことになり、それぞれの鑑別率は(ニ)が95%、
(ホ)が94%、(ヘ)が91%である。次に、第1世
代から第2世代を得たように第2世代から第3世代を得
る。各世代から汎化能力の良いものから順番に並べ、最
良のものを最適個体としての最終マスクパターン群とす
る。その結果(ト)、(チ)、(リ)を得ることにな
り、それぞれの鑑別率は(ト)が99%、(チ)が98
%、(リ)が96%である。なお、各世代の進化時に、
孫の世代を得る際に子の世代のみを利用する実施例であ
ったが、先代(親)の個体をそのまま子世代に用いるこ
とも可能である。
【0033】ところで、突然変異を起こす確率や位置な
どは、任意に変更が可能である。このようにすることで
乱数でマスクの被覆部分を決定するよりも無効な画像
(例えば、パターン間で図柄の内部分、あるいは同じ図
柄及び濃度値を有する画素)を非被覆領域として残すよ
うなことがなくなり、画像の違いを効率的にニューラル
ネットワークの入力値(スラブ値)に反映させることが
でき、金種分離のための学習を高速化し、さらに汎化能
力を向上させることができる。また、カラムマスクで被
覆された画像パターン全数を検査するよりも短時間に効
率良く識別可能なマスクパターンを最適に生成すること
が可能となる。更に、上述の実施例では、米ドル紙幣の
パターン認識について説明したが、他の国の紙幣識別や
OCRを使って読み込む伝票文字読み込み機や、小切手
等の有価証券読み取り機も同様にパターン認識可能であ
り、その他のパターン読取装置についても可能なことは
勿論である。また、上述ではラインセンサを用いて光学
パターン画像を取得しているが、エリアセンサを用いる
ことも可能である。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明のパターン認識にお
ける遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方法によ
れば、最適なマスクパターンを得るために遺伝子工学の
交差、淘汰、突然変異の概念を取り入れているので、あ
たかも生物が進化の課程をたどるかの如く最良のマスク
パターンが短時間で得られ、ニューラルネットワークの
学習機能とあわせ、優れた紙葉類識別装置の識別アルゴ
リズムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン認識における遺伝アルゴリズ
ムを用いたマスクの最適化方法を適用する紙幣識別装置
の外観構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明方法を適用する紙幣識別装置の内部機構
を示す図である。
【図3】本発明方法を適用する紙幣識別装置の表示部の
詳細を示す図である。
【図4】紙幣データと採取方向を説明するための図であ
る。
【図5】本発明方法を適用する紙幣識別装置の内部構成
を示すブロック図である。
【図6】紙幣データと採取方法を説明するための図であ
る。
【図7】本発明方法を適用する紙幣識別装置の主要部構
成を示すブロック図である。
【図8】本発明に用いるスラブ値を説明するための図で
ある。
【図9】本発明に用いるスラブ値を説明するための図で
ある。
【図10】本発明に用いるカラムマスクを説明するため
の図である。
【図11】画像の垂直方向の移動に対するカラムマスク
の効果を説明するための図である。
【図12】本発明方法を適用する紙幣識別装置の主要部
構成の詳細を示すブロック図である。
【図13】本発明方法を適用する紙幣識別装置の動作例
を示すフローチャートである。
【図14】本発明方法の動作例を示すフローチャートで
ある。
【図15】本発明方法によるマスクの符号化を説明する
ための図である。
【図16】本発明方法によるマスクの交差を説明するた
めの図である。
【図17】本発明方法によるマスクの最適化を実行した
ときの鑑別率と淘汰の有無を示す図である。
【図18】本発明方法によるマスクの最適化の課程の具
体例を示す図である。
【図19】従来のパターン紙幣認識装置の構成例を示す
ブロック図である。
【図20】従来のマスクの最適化の問題点を説明するた
めの図である。
【図21】従来のマスクの最適化の具体例を示す図であ
る。
【図22】図21に示す従来のマスクの最適化の具体例
を示す図である。
【図23】図21に示す従来のマスクの最適化の具体例
を示す図である。
【図24】図21に示す従来のマスクの最適化の具体例
を示す図である。
【符号の説明】
1 紙幣(被識別対象) 2 イメージセンサ 3 入力画像 4 前処理部 5 分離演算部 10 紙幣(米ドル紙幣) 11 ラインセンサ 12 発光部 140 データ処理部 141 メモリ 142 紙幣切出部 150 ニューロ回路 151 前処理部 152 分離演算部 153 判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G07D 7/20 G07D 7/20 (56)参考文献 特開 昭56−111977(JP,A) 特開 昭62−231384(JP,A) 特開 昭63−244294(JP,A) 特開 平4−118796(JP,A) 特開 平5−165969(JP,A) 特開 平5−324837(JP,A) 特開 平5−324838(JP,A) 特開 平5−324839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06T 1/00 310 G06N 3/00 560 G06T 7/00 350 G07D 7/12 G07D 7/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 識別すべき紙葉類の光学パターン画像を
    入力して画像データを記憶し、この記憶した画像データ
    から前記紙葉類のみの光学パターン画像を抽出し、この
    抽出した光学パターン画像に対して複数種のマスクを施
    し、前記マスクを符号化して遺伝子として設定し、前記
    マスクからなるマスクパターンをかけた画像データ総和
    値をニューラルネットワークに入力して前記紙葉類の識
    別を学習させ、その結果を評価し、所定の識別達成度に
    有るか否かに応じて前記マスクパターンを淘汰し、残っ
    たマスクパターンに対して遺伝子組み替え或いは、突然
    変異を実行して世代交代させ、この世代交代させたマス
    クパターンを用いて前記ニューラルネットワークの学習
    を実行するという一連の処理を、所定の世代交代数内で
    所定の識別達成値に達するまで繰り返して前記マスクを
    最適に配置するようにしたことを特徴とするパターン認
    識における遺伝アルゴリズムを用いたマスクの最適化方
    法。
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