JP3320623B2

JP3320623B2 - 電気ギターのボディ構造

Info

Publication number: JP3320623B2
Application number: JP30117896A
Authority: JP
Inventors: 義裕星野
Original assignee: 星野楽器株式会社
Priority date: 1996-10-24
Filing date: 1996-10-24
Publication date: 2002-09-03
Anticipated expiration: 2016-10-24
Also published as: JPH10124058A; KR19980032324A; US5811703A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は電気ギターのボデ
ィ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気ギターのボディは、アコースティッ
クギターと異なり共鳴用の箱体を必要としないので板面
状に形成され、通常は単一の木材によって構成されてい
る。また、ギターボディの側面部である外周部は、演奏
時に演奏者の腕や体にひんぱんに触れる部分であるから
その厚み方向に丸く曲面状に形成されることが多い。

【０００３】さらに、電気ギターのボディは、デザイン
性が強く求められ、ボディ外形状の輪郭のみならず、そ
の表面にも様々な意匠が施されることが多く、例えば、
ピック板として独特の模様や色調を付してボディ表面に
張り付けることはしばしば行われているところである。
近年では、ピック板のように部分的ではなく、ボディ表
面側の全面に比較的薄い表面板を張り付けて裏面側と異
なった意匠を付与することも提案されている。

【０００４】しかるに、ボディ表面側の全面に表面板を
張り付けた場合には、例えば図５に例示したように、ギ
ターボディの側面部に表面板５０と本体６０との接合部
６５が現出して、この接合部６５がボディの輪郭線と重
なって貼り合わせの印象が強く、全体としての一体感に
欠く嫌いがある。特に、この接合部６５が現出する側面
部は、前記したように厚み方向に丸く傾斜状に形成され
ることが多く、このような場合には、表面板５０の断
面、つまり木口部分５２が幅広の帯状に現れる。この木
口部分５２は表面板５０表面の木目部分５１の美麗な風
合いとは異なる装飾性の低い外観を有しており、また塗
装した場合にも表面の木目部分５１とは異なった塗装外
観となり、煩雑な印象を与える。また、単に外観上の印
象のみならず、ギターボディの側面部は演奏者の目に触
れ腕や体に常時接触する部分であるから、該側面部の接
合部６５は演奏者をして不快感を抱かせ、しばしば接合
部の剥離や損傷などの接合の確実性に関する不安感を生
ぜしめる。

【０００５】一方において、電気ギターの板面状ボディ
は共鳴機能を有しないとはいうものの、音の発現性を考
えると、単一の材料のみを使用した場合よりも複数の材
料を用いた場合の方が、音の発現性に変化が出る。例え
ば、硬い材料と柔らかい材料とを組合わせた場合、ある
いは軽い材料と重い材料を組合わせた場合には、それら
のうちの単一の材料のみからなるものに比して、音の発
現性に変化が生じ、設計上の選択範囲を広くすることが
できる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上のよう
な状況に鑑みて提案されたもので、外観性に優れ、演奏
者の使用感もよく、また音質機能も豊富となり、さらに
品質の安定したものを簡単かつ容易に製作することがで
きる電気ギターのボディ構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわち、請求項１の発
明は、互いに異色又は異種の木材よりなる第一部材と第
二部材とからなり、前記第一部材の表面凹部内に前記第
二部材が一体に埋設固着された部材の側部が丸く切除加
工されることによって、前記第一部材によってギターボ
ディの裏面部と外周部および前記外周部の外端縁に沿う
一定幅の周縁部が形成されているとともに、前記第二部
材が前記第一部材の周縁部内側に密着しかつ該周縁部上
面と面一となるように形成されていることを特徴とする
電気ギターのボディ構造に係る。

【０００８】請求項２の発明は、請求項１において、前
記周縁部の幅が５ないし１０ｍｍであることを特徴とす
る電気ギターのボディ構造に係る。

【０００９】また請求項３の発明は、請求項１または２
において、前記第二部材の厚みが５ｍｍ以上であること
を特徴とする電気ギターのボディ構造に係る。

【００１０】請求項４の発明は、請求項１ないし３のい
ずれかにおいて、前記外周部が厚み方向に丸く形成され
ている電気ギターの構造電気ギターのボディ構造に係
る。

【００１１】請求項５の発明は、請求項１ないし４のい
ずれかにおいて、前記第一部材と第二部材の材質が、一
方が軽くかつ軟かいものであるときに、他方がこれに対
して相対的に重く硬いものである電気ギターのボディ構
造に係る。

【００１２】また請求項６の発明は、請求項５におい
て、前記第一部材の材質がマホガニーもしくはアルダー
もしくはバスウッドもしくはアッシュのいずれかよりな
り、前記第二部材が各種メープルもしくはウオールナッ
トもしくはハワイアンコアもしくはカリンのいずれかよ
りなる電気ギターのボディ構造に係る。

【００１３】さらに請求項７の発明は、請求項１ないし
６のいずれかにおいて、ギターボディ全体が単一の塗料
によって塗装されている電気ギターのボディ構造に係
る。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図１はこの発明の一実施例を示す電
気ギターのボディの全体斜視図、図２はこの発明構造を
断面とともに表したボディの部分斜視図、図３はその中
間部分を省略した拡大断面図、図４は製作工程を示す断
面図である。

【００１５】図１ないし図３に図示したように、この発
明の電気ギターのボディ１０は、互いに異色又は異種の
木材よりなる第一部材２０と第二部材３０よりなる。第
一部材２０は、ギターボディの裏面部２１と外周部２２
および前記外周部の外端縁に沿う一定幅の周縁部２３を
介して形成された表面凹部２４を備えている。また、第
二部材３０は、前記第一部材の周縁部２３内側に密着し
かつ該周縁部上面２３ａと面一となるように前記表面凹
部２４内に一体に埋設固着されている。なお、図におい
て、符号１２はネック保持部で、１３，１３，１３，１
３，１３は電気ギターの機能部品、例えばピックアップ
部、サドル部、トレモロ装置等を収納装着する取付用の
凹部または切欠部である。

【００１６】図示のように、第一部材２０はギターボデ
ィ１０の全体の外形状を規定しつつ、その表面凹部２４
に第二部材３０が一体に埋設固着される。このとき、該
表面凹部２４はギターボディ１０の外周部となる第一部
材２０の外周部２２の外端縁に沿う一定幅の周縁部２３
を介して形成されるものであるから、第一部材２０と第
二部材３０とは線状の接合部、つまり境界線Ｂが、ギタ
ーボディ１０の外周部の外端縁と平行にギターボディ表
面側に現出される。この境界線Ｂは種々のデザインに決
定されたギターボディ１０の平面の形状輪郭を一層際立
たせる。この境界線Ｂはギターボディ１０の外形線、つ
まり外端縁よりも５ないし１０ｍｍの範囲内にあるとき
落ち着いた美しさがあり、周縁部２３の幅ｗ（図３参
照）は５ないし１０ｍｍの範囲内で形成されることが好
ましい。

【００１７】また、表面凹部２４内に埋設固着される第
二部材３０の厚みｔ（図３参照）は、その質量感および
音の発現性への影響を考慮すると、５ｍｍ以上であるこ
とが望ましい。５ｍｍ以下の厚みでは質量感に乏しく外
観変化への影響が少なく、また、音の発現性への影響力
が不十分であると考えられる。

【００１８】また、この発明構造は、図示のように、ギ
ターボディ１０の外周部２２がその厚み方向に丸く形成
する場合に有利である。例えば図１ないし図３に図示の
ようなギターボディ１０は図４のように、第一部材２０
と第二部材３０が一体に埋設固着された部材１０Ａの側
部を丸く切除加工して製作される。図の鎖線からよく理
解されるように、本件発明のように第一部材２０の表面
凹部２４内に第二部材３０を一体に埋設固着したボディ
にあっては、その接合部がボディ表面側に線状に現れ、
前述のような木口部分が現出されることがなく、美麗に
仕上げることができるのである。

【００１９】さらに、第一部材２０と第二部材３０との
材質としてなるべく差のあるものを選択することは、外
観性および音の発現性において変化を大きくすることが
できる。すなわち、第一部材２０と第二部材３０の材質
として、一方が軽くかつ軟らかいものであり、もう一方
が相対的に重く硬いものである場合である。これらの具
体的な例を挙げると、第一部材２０としては軽くかつ軟
らかいマホガニー、アルダー、バスウッドまたはアッシ
ュ等であり、第二部材３０としては該第一部材より相対
的に重く硬い各種メープル、ウオールナット、ハワイア
ンコアまたはカリン等である。このうち特にマホガニー
等は単調な木目であるのに対し、各種メープル等はマー
ブル調の独特な木目を有し、外観的に対照的な特異なボ
ディ表面を得ることができるのみならず、音質的にも単
一材質よりなるものに比して変化をもたせることができ
る。

【００２０】なお、ギターボディ１０は仕上げ塗装がな
されるのであるが、この発明構造にあっては、第一部材
と第二部材とがそれ自体異色または異種の材料によって
形成されているので、これを単一の塗料によって塗装し
ても地肌または地色の相違により変化のある外観とする
ことができる。第一部材と第二部材との木目等の変化を
表現するときには透明系の単一塗料が用いられる。

【００２１】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
ギターボディの構造によれば、異色または異種の材料よ
りなる第一部材および第二部材の組合せよりなるもので
あるから、単一材料よりなるものに比して、外観意匠性
に優れ、また音質機能の選択の幅も広くなる。

【００２２】また、この発明によれば、ギターボディの
裏面部と外周部および前記外周部の外端縁に沿う一定幅
の周縁部を介して形成された表面凹部を備えた第一部材
の該表面凹部内に第二部材が一体に埋設固着された構造
よりなるものであるから、両者の接合部が境界線とし
て、ボディ表面側に、ギターボディの外周部の外端縁と
平行に現れる。従って、接合部がギターボディの外周部
に現出されず、ボディ全体に一体感があり、見栄えが良
く、また演奏者の使用感にも優れる。特に、外周部を丸
く加工する場合にも、材料の断面である木口部分が現れ
ないので、すっきりとした外観性を得ることができるの
みならず、このような構造とすることによって、接合も
確実となり、品質にばらつきのない安定したギターボデ
ィを簡単かつ容易に製作することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す電気ギターのボディ
の全体斜視図である。

【図２】この発明構造を断面とともに表したボディの部
分斜視図である。

【図３】その中間部分を省略した拡大断面図である。

【図４】製作工程を示す断面図である。

【図５】ギターボディの表面側に表面板を貼り付けた例
を表わす部分斜視である。

【符号の説明】

１０ギターボディ２０第一部材２１裏面部２２外周部２３周縁部２４表面凹部３０第二部材

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G10H 3/18 G10H 1/00 G10D 1/00 - 3/18

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】互いに異色又は異種の木材よりなる第一
部材と第二部材とからなり、前記第一部材の表面凹部内
に前記第二部材が一体に埋設固着された部材の側部が丸
く切除加工されることによって、前記第一部材によって
ギターボディの裏面部と外周部および前記外周部の外端
縁に沿う一定幅の周縁部が形成されているとともに、前
記第二部材が前記第一部材の周縁部内側に密着しかつ該
周縁部上面と面一となるように形成されていることを特
徴とする電気ギターのボディ構造。
【請求項２】請求項１において、前記周縁部の幅が５
ないし１０ｍｍである電気ギターのボディ構造。
【請求項３】請求項１または２において、前記第二部
材の厚みが５ｍｍ以上である電気ギターの構造。
【請求項４】請求項１ないし３のいずれかにおいて、
前記外周部が厚み方向に丸く形成されている電気ギター
の構造。
【請求項５】請求項１ないし４のいずれかにおいて、
前記第一部材と第二部材の材質が、一方が軽くかつ軟か
いものであるときに、他方がこれに対して相対的に重く
硬いものである電気ギターのボディ構造。
【請求項６】請求項５において、前記第一部材の材質
がマホガニーもしくはアルダーもしくはバスウッドもし
くはアッシュのいずれかよりなり、前記第二部材が各種
メープルもしくはウオールナットもしくはハワイアンコ
アもしくはカリンのいずれかよりなる電気ギターのボデ
ィ構造。
【請求項７】請求項１ないし６のいずれかにおいて、
ギターボディ全体が単一の塗料によって塗装されている
電気ギターのボディ構造。