JP3318707B2 - 画像信号符号化装置および画像信号符号化方法、画像信号復号装置および画像信号復号方法、画像信号伝送方法、並びに画像信号記録媒体 - Google Patents

画像信号符号化装置および画像信号符号化方法、画像信号復号装置および画像信号復号方法、画像信号伝送方法、並びに画像信号記録媒体

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JP3318707B2
JP3318707B2 JP30165397A JP30165397A JP3318707B2 JP 3318707 B2 JP3318707 B2 JP 3318707B2 JP 30165397 A JP30165397 A JP 30165397A JP 30165397 A JP30165397 A JP 30165397A JP 3318707 B2 JP3318707 B2 JP 3318707B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画像信号を、例
えば光磁気ディスクや磁気テープなどの記録媒体に記録
し、これを再生してディスプレイに表示したり、テレビ
会議システム、テレビ電話システム、放送用機器、マル
チメディアデータベース検索システムなど、動画像信号
を伝送路を介して送信側から受信側に伝送し、受信側に
おいてこれを受信し、表示する場合、あるいは動画像信
号を編集し、記録する場合などに用いて好適な画像信号
符号化装置および画像信号符号化方法、画像信号復号装
置および画像信号復号方法、画像信号伝送方法、並びに
画像信号記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、テレビ会議システム、テレビ電
話システムなどのように、動画像信号を遠隔地に伝送す
るシステムにおいては、伝送路を効率良く利用するた
め、映像信号のライン相関やフレーム間相関を利用し
て、画像信号を圧縮符号化するようになされている。
【0003】動画像の高能率符号化方式の代表的なもの
としてMPEG(Moving Picture Experts Group)方式があ
る。ここでは、動き補償予測符号化とDCT(Discrete Co
sine Transform)符号化を組み合わせたハイブリッド方
式が採用されている。
【0004】MPEGでは様々なアプリケーションや機能に
対応するために、いくつかのプロファイル(機能の分
類)およびレベル(画像サイズなどの量)が定義されて
いる。最も基本となるのが、メインプロファイルのメイ
ンレベル(MP@ML)である。
【0005】図44を参照して、MPEG方式の MP@ML の
エンコーダ(画像信号符号化装置)の構成例について説
明する。入力画像信号はまずフレームメモリ群1に入力
され、所定の順番で記憶される。符号化されるべき画像
データは、マクロブロック単位で動きベクトル検出回路
(ME)2に入力される。動きベクトル検出回路2は、予め
設定されている所定のシーケンスに従って、各フレーム
の画像データを、Iピクチャ、Pピクチャ、またはBピ
クチャとして処理する。シーケンシャルに入力される各
フレームの画像を、I,P,Bのいずれのピクチャとし
て処理するかは、予め定められている(例えば、I,
B,P,B,P,・・・B,Pの順番で処理される)。
なお、基本的には、Iピクチャに対しては、フレーム内
符号化、Pピクチャ、Bピクチャに対しては、フレーム
間予測符号化が行われる。また、Pピクチャ、Bピクチ
ャは、以下に示す予測モードによりマクロブロック単位
で、適応的に符号化が変更される。
【0006】動きベクトル検出回路2は予め定められた
所定の参照フレームを参照し、動き補償(フレーム間予
測)を行い、その動きベクトルを検出する。動き補償
(フレーム間予測)には、前方予測、後方予測、両方向
予測の3種類の予測モードがある。Pピクチャの予測モ
ードは前方予測のみであり、Bピクチャの予測モードに
は前方予測、後方予測、両方向予測の3種類がある。動
きベクトル検出回路2は予測誤差を最小にする予測モー
ドを選択し、そのときの動きベクトルを発生する。
【0007】このとき、予測誤差は、例えば、符号化す
るマクロブロックの分散と比較され、マクロブロックの
分散の方が小さい場合、そのマクロブロックでは予測は
行わず、フレーム内符号化が行われる。この場合、予測
モードは画像内予測(イントラ)となる。動きベクトル
検出回路2で検出された動きベクトルおよび上記予測モ
ードは、可変長符号化回路6および動き補償回路(MC)1
2に入力される。
【0008】動き補償回路12では所定の動きベクトル
に基づいて予測画像を生成し、演算回路3と演算回路1
0に入力する。演算回路3では符号化するマクロブロッ
クの値と予測画像の値との差分値を演算し、差分画像信
号として DCT 回路4に出力する。イントラマクロブロ
ックの場合、演算回路3は符号化するマクロブロック
を、 DCT 回路4の入力信号としてそのまま DCT 回路4
に出力する。
【0009】DCT 回路4は、入力信号を DCT(離散コサ
イン変換)処理し、 DCT 係数に変換する。このDCT係数
は、量子化回路(Q)5に入力され、送信バッファ7のデ
ータ蓄積量(バッファ蓄積量)に対応した量子化ステッ
プで量子化された後、可変長符号化回路6に入力され
る。
【0010】可変長符号化回路6は、量子化回路5より
供給される量子化ステップ(スケール)に対応して、量
子化回路5より供給される量子化データを、例えばハフ
マン符号などの可変長符号に変換し、送信バッファ7に
出力する。
【0011】可変長符号化回路6にはまた、量子化回路
5より量子化ステップ(スケール)、動きベクトル検出
回路2より予測モード(画像内予測、前方予測、後方予
測、または両方向予測のいずれが設定されたかを示すモ
ード)および動きベクトルが入力されており、これらも
可変長符号化される。
【0012】送信バッファ7は、入力され、符号化され
た画像データを一時蓄積し、蓄積量に対応する量子化制
御信号を量子化回路5に出力する。
【0013】送信バッファ7は、そのデータ残量が許容
上限値まで増量すると、量子化制御信号によって量子化
回路5の量子化スケールを大きくすることにより、量子
化データのデータ量を低下させる。また、これとは逆
に、データ残量が許容下限値まで減少すると、送信バッ
ファ7は、量子化制御信号によって量子化回路5の量子
化スケールを小さくすることにより、量子化データのデ
ータ量を増大させる。このようにして、送信バッファ7
のオーバフローまたはアンダフローが防止される。
【0014】そして、送信バッファ7に蓄積されたデー
タは、所定のタイミングで読み出され、伝送路もしくは
記録媒体に出力される。
【0015】一方、量子化回路5より出力された量子化
データは、逆量子化回路(IQ)8に入力され、量子化回路
5より供給される量子化ステップに対応して逆量子化さ
れる。逆量子化回路8の出力データ(逆量子化後のDCT
係数)は、IDCT(逆DCT)回路9に入力され、逆DCT処理
された後、演算回路10によって予測モードに対応し
て、マクロブロック毎に予測画像の値が加算され、予測
画像のための画像信号としてフレームメモリ群(FM)11
に記憶される。イントラマクロブロックの場合、IDCT回
路9の出力であるマクロブロックは、演算回路10を介
して、そのままフレームメモリ群(FM)11に記憶され
る。
【0016】次に、図45を用いて、MPEG の MP@ML の
デコーダ(画像信号復号装置)の構成例を説明する。伝
送路を介して伝送されてきた、符号化されている画像デ
ータは、図示せぬ受信回路で受信されたり、再生装置で
再生され、受信バッファ21に一時記憶された後、可変
長復号(IVLC)回路22に供給される。可変長復号回路2
2は、受信バッファ21より供給された符号化された画
像データを可変長復号し、動きベクトルと予測モードを
動き補償回路27に、また、量子化ステップを逆量子化
回路23に、それぞれ出力するとともに、可変長復号さ
れたデータを逆量子化回路23に出力する。
【0017】逆量子化回路23は、可変長復号回路22
より供給された量子化データを、同じく可変長復号回路
22より供給された量子化ステップに従って逆量子化
し、IDCT回路24に供給する。逆量子化回路23より出
力されたデータ(DCT係数)は、IDCT回路24で、逆DCT
処理され、演算回路25に供給される。
【0018】IDCT回路24より供給された画像信号が、
Iピクチャのデータである場合、そのデータは演算回路
25より出力され、演算回路25に後に入力される画像
信号(PまたはBピクチャのデータ)の予測画像データ
生成のために、フレームメモリ群26に供給されて記憶
される。また、このデータは、そのまま、再生画像とし
て外部に出力される。
【0019】入力ビットストリームがPまたはBピクチ
ャの場合、動き補償回路27は可変長復号回路22より
供給される、動きベクトルおよび予測モードに従って、
フレームメモリ群26に記憶されている画像信号から予
測画像を生成し、演算回路25に出力する。演算回路2
5では IDCT 回路24より入力される画像信号と動き補
償回路27より供給される予測画像信号を加算し、出力
画像とする。Pピクチャの場合、演算回路25の出力信
号はまた、フレームメモリ群26に入力され記憶され、
次に復号する画像信号の参照画像とされる。なお、イン
トラマクロブロックの場合、演算回路25を介して、そ
のまま出力される。
【0020】MPEG では MP@ML の他に、様々なプロファ
イルおよびレベルが定義され、また各種ツールが用意さ
れている。スケーラビリティもMPEGのこのようなツール
の1つである。
【0021】MPEGでは、異なる画像サイズやフレームレ
ートに対応するスケーラビリティを実現するスケーラブ
ル符号化方式が導入されている。例えば空間スケーラビ
リティの場合、下位レイヤのビットストリームのみを復
号するとき、画像サイズの小さい画像信号を復号し、下
位レイヤおよび上位レイヤのビットストリームを復号す
るとき、画像サイズの大きい画像信号を復号する。
【0022】図46を用いて空間スケーラビリティのエ
ンコーダを説明する。空間スケーラビリティの場合、下
位レイヤは画像サイズの小さい画像信号に対応し、また
上位レイヤは画像サイズの大きい画像信号に対応する。
【0023】下位レイヤの画像信号はまずフレームメモ
リ群1に入力され、以下、MP@ML の場合と同様に符号化
される。ただし、演算回路10の出力信号はフレームメ
モリ群11に供給され、下位レイヤの予測参照画像とし
て用いられるだけでなく、画像拡大回路(Up Sampling)
31により上位レイヤの画像サイズと同一の画像サイズ
に拡大された後、上位レイヤの予測参照画像にも用いら
れる。
【0024】上位レイヤの画像信号はまず、フレームメ
モリ群51に入力される。動きベクトル検出回路52は
MP@ML の場合と同様に、動きベクトルおよび予測モー
ドを決定する。
【0025】動き補償回路62は動きベクトル検出回路
52によって決定された動きベクトルおよび予測モード
に従って、予測画像信号を生成し、重み付加回路(W)3
4に出力する。重み付加回路34では予測画像信号に対
して重みWを乗算し、演算回路33に出力する。
【0026】演算回路10の出力は上述したように画像
拡大回路31に入力されている。画像拡大回路31では
演算回路10によって生成された画像信号を拡大して、
上位レイヤの画像サイズと同一の大きさにして重み付加
回路(1-W)32に供給する。重み付加回路32では、画
像拡大回路31の出力画像信号に重み (1-W) を乗算
し、演算回路33に供給する。
【0027】演算回路33は重み付加回路32および3
4の出力画像信号を加算し、予測画像として演算回路5
3に出力する。演算回路33の出力画像信号はまた、演
算回路60に入力され、逆 DCT 回路59の出力画像信
号と加算された後、フレームメモリ群61に入力され、
その後、符号化される画像信号の予測参照フレームとし
て用いられる。
【0028】演算回路53は符号化する画像信号と演算
回路33の出力との差分を計算し、差分画像信号として
出力する。ただし、フレーム内符号化(イントラ)マク
ロブロックの場合、演算回路53は符号化する画像信号
を、そのまま DCT 回路54に出力する。
【0029】DCT 回路54は演算回路53の出力画像信
号を DCT(離散コサイン変換)処理してDCT係数を生成
し、量子化回路55に供給する。量子化回路55では M
P@MLの場合と同様に、送信バッファ57のデータ蓄積
量などから決定された量子化スケールにしたがって DCT
係数を量子化し、量子化データとして可変長符号化回
路56に供給する。可変長符号化回路56は量子化デー
タ(量子化された DCT係数)を可変長符号化した後、送
信バッファ57を介して上位レイヤのビットストリーム
として供給する。
【0030】量子化回路55からの量子化データはま
た、量子化回路55で用いた量子化スケールで逆量子化
回路58において逆量子化され、さらに、その出力デー
タが逆DCT 回路59で逆 DCT 処理された後、演算回路
60に入力される。演算回路60では演算回路33と逆
DCT 回路59の出力画像信号を加算し、フレームメモ
リ群61に入力する。
【0031】可変長符号化回路56にはまた、動きベク
トル検出回路52で検出された動きベクトルおよび予測
モード、量子化回路55で用いた量子化スケール、重み
付加回路32および34で用いた重み W が入力され、
それぞれが符号化され、出力される。そして、上位レイ
ヤビットストリーム及び下位レイヤビットストリーム
は、図示しない多重化回路で多重化された後、伝送路も
しくは記録媒体に出力される。
【0032】次に図47を用いて空間スケーラビリティ
のデコーダの一例を説明する。下位レイヤビットストリ
ームは受信バッファ21に入力された後、MP@ML と同
様に復号される。ただし、演算回路25の出力画像信号
は、下位レイヤの復号画像として、外部に出力されると
ともに、フレームメモリ群26に蓄えられて、それ以
後、復号する画像信号の予測参照画像として用いられる
だけでなく、画像信号拡大回路81により上位レイヤの
画像信号と同一の画像サイズに拡大された後、上位レイ
ヤの予測参照画像としても用いられる。
【0033】上位レイヤのビットストリームは受信バッ
ファ71を介し可変長復号回路72に供給され、可変長
符号が復号される。すなわち、DCT 係数とともに、量子
化スケール、動きベクトル、予測モードおよび重み係数
が復号される。可変長復号回路72により可変長復号さ
れたデータは、復号された量子化スケールを用いて逆量
子化回路73において逆量子化された後、さらに、逆 D
CT 回路74により逆DCT 処理され、出力画像信号とし
て演算回路75に供給される。
【0034】動き補償回路77は復号された動きベクト
ルおよび予測モードにしたがって、予測画像信号を生成
し、重み付加回路84に入力する。重み付加回路84で
は復号された重み W を動き補償回路77の出力に乗算
し、演算回路83に供給する。
【0035】演算回路25の出力画像信号は下位レイヤ
再生画像として出力され、フレームメモリ群26に出力
されると同時に、画像信号拡大回路81により上位レイ
ヤの画像サイズと同一の画像サイズに拡大された後、重
み付加回路82に供給される。重み付加回路82では画
像信号拡大回路81の出力画像信号に、復号された重み
W を用いて(1-W) を乗算し、演算回路83に供給す
る。
【0036】演算回路83は、重み付加回路82および
84の出力画像信号を加算し、演算回路75に供給す
る。演算回路75は、逆 DCT 回路74の出力画像信号
と演算回路83の出力画像信号を加算して、上位レイヤ
の再生画像として出力するとともに、フレームメモリ群
76に供給して、その後、復号する画像信号の予測参照
画像とさせる。
【0037】以上の説明は、輝度信号の処理に適用され
るが、色差信号の処理も同様に行われる。但し、この場
合、動きベクトルは、輝度信号用のものを、垂直方向お
よび水平方向に1/2にしたものが用いられる。
【0038】以上、MPEG 方式について説明したが、こ
の他にも様々な動画像の高能率符号化方式が標準化され
ている。例えば、ITU-T では、主に通信用の符号化方式
として、H.261 や H.263 という方式を規定している。
この H.261 や H.263 も、基本的には、 MPEG 方式と同
様に、動き補償予測符号化と DCT 変換符号化を組み合
わせたものであり、ヘッダ情報などの詳細は異なるが、
符号化装置や復号装置は同様の構成となる。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】ところで、複数の画像
を合成して1つの画像を構成する画像合成システムに
は、例えばクロマキーという方法が用いられる。これは
所定の物体を青などの特定の一様な色の背景の前で撮影
し、青以外の領域をそこから抽出し、別の画像に合成す
る方法である。このとき、抽出した領域を示す信号を k
ey(キー)信号と呼ぶ。
【0040】図48に合成画像を符号化する方法を示
す。画像F1は背景であり、また画像F2は前景である。
前景F2は特定の色の背景の前で撮影し、その色以外の
領域を抽出することによって生成した画像である。その
際、抽出した領域を示す信号がkey 信号 K1 である。
合成画像 F3 はこれら F1,F2,K1 を用いて合成し
たものである。この画像を符号化する場合、通常、合成
画像F3をそのまま、MPEGなどの符号化方式で符号化す
ることになる。このとき key 信号などの情報は失われ
るので、前景F2はそのままとし、背景F1のみを変更す
る、といった画像の再編集、再合成は困難となる。
【0041】これに対して、図49に示すように、画像
F1,F2および key 信号 K1をそれぞれ別々に符号化
し、それぞれのビットストリームを多重化することによ
り、合成画像F3のビットストリームを構成することも
可能である。
【0042】図49に示すようにして構成したビットス
トリームを復号して合成画像F3を得る方法を図50に
示す。ビットストリームは逆多重化により、F1,F2お
よびK1のビットストリームに分解され、それぞれ復号
され、復号画像F1’,F2’および復号 key 信号 K
1’を得る。このとき、F1’とF2’を key 信号 K
1’に従って合成すれば、復号合成画像 F3’を得るこ
とができる。この場合、ビットストリームのままで、前
景F2をそのままにして、背景F1のみを変更するといっ
た、再編集および再合成が可能となる。
【0043】画像F1,F2といった合成画像を構成する
各画像シーケンスを VO (VideoObject) と呼ぶ。また V
O のある時刻における画像フレームを VOP(VideoObjec
t Plane)と呼ぶ。VOPは輝度および色差信号と key 信
号から構成される。
【0044】画像フレームとはある時刻における一枚の
画像を意味し、画像シーケンスは異なる時刻の画像フレ
ームの集合である。即ち、各 VO は異なる時刻の VOP
の集合である。各 VO は時間によって大きさや位置が異
なる。即ち、同じ VO に属する VOP でも大きさおよび
位置が異なる。
【0045】この場合のエンコーダおよびデコーダの構
成を図51と図52に示す。図51はエンコーダの一例
である。入力画像信号はまず VO 構成回路101に入力
される。VO 構成回路101は入力画像を背景及び物体
ごとに分割して出力する。各VO は画像信号と key 信号
から構成される。VO 構成回路101から出力される画
像信号は、各 VO ごとに VOP 構成回路102−0乃至
102−nに出力される。例えば、VO 0の画像信号お
よび key 信号は VOP 構成回路102−0に入力され、
VO 1の画像信号および key 信号は VOP 構成回路10
2−1に入力され、以下同様に VO n の画像信号および
key 信号は VOP 構成回路102−nに入力される。但
し、背景に対する画像信号には key 信号は存在しな
い。
【0046】例えば図49のようにクロマキーで生成さ
れた画像信号の場合、VO構成回路101より出力される
VO 0 乃至VO n の画像信号とkey信号は、そのまま各 V
O の画像信号およびその key 信号となる。key 信号が
ないか、または、失われた画像に対しては、画像領域分
割により、所定の領域を抽出し、key 信号を生成し、VO
を構成する。
【0047】VOP 構成回路102−0乃至102−nは
各画像フレームから画像中の物体を含む最小の長方形の
部分を抽出する。ただし、このとき長方形の水平および
垂直方向の画素数は16の倍数とする。VOP 構成回路1
02−0乃至102−nは上記長方形に含まれる画像信
号(輝度および色差信号)および key 信号を抽出し、
出力する。また VOP の大きさを示すフラグおよびその
VOP の絶対座標における位置を示すフラグを出力する。
【0048】VOP 構成回路102−O乃至102−nの
出力は、それぞれ VOP 符号化回路103−0乃至10
3−nに入力され、符号化される。VOP 符号化回路10
3−0乃至103−nの出力は多重化回路104に入力
され、1つのビットストリームに構成される。
【0049】図52のデコーダにおいて、多重化された
ビットストリームは逆多重化回路111により逆多重化
され、各 VOのビットストリームに分解される。各VO の
ビットストリームは、それぞれ、 VOP復号回路112−
0乃至112−nに入力され、復号される。VOP 復号回
路112−0乃至112−nは、各 VOP の画像信号、k
ey 信号、VOP の大きさを示すフラグ、VOP の絶対座標
における位置を示すフラグを復号し、画像再構成回路1
13に入力する。画像再構成回路113は、各VOP の画
像信号、key 信号、大きさを示すフラグ、絶対座標にお
ける位置を示すフラグを用い、画像を合成し、再生画像
として出力する。
【0050】次に図53と図54を用いて VOP 符号化
回路103−0および復号回路112−0の構成例を説
明する。図53において、各 VOP を構成する画像信号
および key 信号は、画像信号符号化回路121および
key 信号符号化回路122にそれぞれ入力される。画像
信号符号化回路121は例えばMPEG方式やH.263 といっ
た方式で画像信号を符号化する。key 信号符号化回路1
22は入力されたkey信号を、例えば DPCMなどにより符
号化する。また画像信号符号化回路121によって検出
された動きベクトルを用いてkey信号の動き補償を行
い、その差分信号を符号化する方法もある。key 信号符
号化によって発生したビット量は画像信号符号化回路1
21に入力され、所定のビットレートになるように制御
される。
【0051】符号化された画像信号(動きベクトルおよ
びテクスチャ情報)のビットストリームおよび key 信
号のビットストリームは、多重化回路123に入力さ
れ、1つのビットストリームに構成され、送信バッファ
124を介して出力される。
【0052】図54のVOP復号回路においては、ビット
ストリームはまず、逆多重化回路131に入力され、画
像信号(動きベクトルおよびテクスチャ情報)のビット
ストリームと key 信号のビットストリームに分解さ
れ、画像信号復号回路132とkey 信号復号回路133
においてそれぞれ復号される。この時 key 信号を動き
補償して符号化した場合、画像信号復号回路132によ
って復号された動きベクトルは key 信号復号回路13
3に入力され、復号に用いられる。
【0053】以上、画像をVOPごとに符号化する方法を
述べたが、画像を VOP 毎に符号化する際に動き補償の
問題がある。VO は時間によって大きさや位置が異な
る。即ち、同じ VO に属する VOP でも大きさおよび位
置が異なる。従って、動き補償など異なる時刻の VOP
を参照する場合、その位置および大きさを示すフラグを
符号化し、伝送することが必要となる。これを図55を
用いて説明する。
【0054】画像F11は、所定の VideoObject VO0 の
時刻 t における VOP である。また画像F12は VideoO
bject VO1 の同時刻 t における VOP である。F11,F
12ともに大きさが異なる。F11,F12の絶対座標に
おける位置を示す座標をそれぞれOST0,OST1とする。
【0055】符号化するVOPおよび、参照するVOPを絶対
座標上に配置し、絶対座標における参照位置を動きベク
トルとして伝送することにより、動き補償を実現するこ
とが可能となる。
【0056】ここで、上述の場合における動き補償の方
法について説明する。ただし、以下は画像の形状が任意
形状(arbitrary shape)の場合のみの説明である。VOP
の形状が長方形の場合、その動き補償の方法は、H.263
などの既存の方式と同様となる。
【0057】図56は現在の符号化するVOPを示す。VOP
はその画像オブジェクトを含む長方形をしており、縦横
の大きさはそれぞれ16の倍数である。ただし、この
時、この VOP は、オブジェクトを含む最小の長方形と
する。このVOPを符号化する場合、16×16画素のマ
クロブロック単位で符号化および動き補償が行われる。
ただし、8×8画素でマクロブロックが構成され、動き
補償が行なわれる場合もある。
【0058】図57は参照するVOPを示す。このVOPはま
ず、絶対座標における位置を示すフラグおよび大きさを
示すフラグに従って、フレームメモリの所定の位置に記
録される。任意形状のVOPの場合、動きベクトル検出を
行う際に、画像が存在する領域と存在しない領域が存在
するという問題がある。
【0059】まず参照VOPにおける処理について説明す
る。参照VOPが任意形状のVOPであった場合は以下に示す
手順で、画像が存在しない領域の画素値が、画像が存在
する領域の画素値に基づいて計算される。
【0060】(1) 最初に、画像オブジェクトの外
側、即ち、画像が存在しない領域の画素値を0とする。 (2) VOPを水平方向にスキャンしていく。このとき、
各VOPの水平方向のラインは、値が全て0の部分と、値
が全て0以外の部分に分類される。画素値が全て0以外
の部分については何も操作を行わない。それ以外の部分
は、その両端が0以外の画素値である場合と、その一方
がVOPの終端であり、かつ、他方は0以外の画素値であ
る場合とに分類できる。その両端が0以外の画素値の部
分の場合、そのライン部分の画素値は全て、その両端の
画素値の平均値に置き換えられる。それ以外の場合、そ
のライン部分の画素値は全て、一端に存在する0以外の
画素値に置き換えられる。 (3) (2)と同様の操作を垂直方向のラインについ
ても行う。 (4) (2)と(3)の両方の操作において値を置き
換える画素についてはその平均値を用いる。 (5) (4)までの操作終了時に0である画素は、水
平方向および垂直方向にスキャンし、最も近くに存在す
る非ゼロの画素値と置き換える。最も近い画素値が2つ
存在する場合、その平均値に置き換えられる。
【0061】動きベクトルを検出する場合は、まず参照
VOPにおける画像の存在しない領域の画素値を上記の手
法により、非ゼロの値に設定する。次に、符号化するマ
クロブロックについて、参照画像との予測誤差を計算
し、予測誤差を最小とするベクトルを動きベクトルとす
る。この場合、符号化するVOPの形状が任意形状である
ときと、符号化するマクロブロックに画像が存在しない
領域があるときがある。マクロブロック中の画像が存在
しない画素については予測誤差の計算に含めない。即
ち、画像が存在する画素のみを用いて予測誤差を計算す
る。
【0062】VOP内の各画素について画像が存在するか
どうかは、そのkey信号を参照することにより認識可能
である。即ち、key信号の値が0である画素は画像が存
在しない画素であり、それ以外の場合は画像が存在する
画素である。
【0063】しかしながら、上記手法により動きベクト
ルを検出する場合、演算量が多いため、さらに簡易的に
演算を行う方法が望まれている。
【0064】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、本発明の目的は、符号化効率を改善し、演
算コストを削減することができるようにするものであ
る。
【0065】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の画像信
号符号化装置は、複数の画像信号の少なくとも1つが、
動きを有する画像物体を表す画像信号であり、複数の画
像信号の中の他の画像信号と合成するための信号を含ん
でおり、動きを有する画像物体を表す画像信号をスケー
ラブルに表現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像
信号を提供する提供手段と、上位レイヤ画像信号を符号
化して、上位レイヤ符号化信号を発生する上位レイヤ符
号化手段と、下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レ
イヤ符号化信号を発生する下位レイヤ符号化手段とを備
え、上位レイヤ符号化手段は、上位レイヤ画像信号の画
像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の所定の画
素値と置換して、符号化すべき上位レイヤ画像信号の動
きベクトルを算出するための参照画像信号を生成する生
成手段と、参照画像信号を用いて、符号化すべき上位レ
イヤ画像信号の動きベクトルを検出する検出手段と、検
出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことによ
り生成された符号化すべき上位レイヤ画像信号のための
予測画像信号を用いて符号化すべき上位レイヤ画像信号
を符号化する符号化手段とを備えることを特徴とする。
【0066】請求項に記載の画像信号符号化方法は、
複数の画像信号の少なくとも1つが、動きを有する画像
物体を表す画像信号であり、複数の画像信号の中の他の
画像信号と合成するための信号を含んでおり、動きを有
する画像物体を表す画像信号をスケーラブルに表現した
上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号を提供する提
供ステップと、上位レイヤ画像信号を符号化して、上位
レイヤ符号化信号を発生する上位レイヤ符号化ステップ
と、下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップとを備え、
上位レイヤ符号化ステップは、上位レイヤ画像信号の画
像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の所定の画
素値と置換して、符号化すべき上位レイヤ画像信号の動
きベクトルを算出するための参照画像信号を生成するス
テップと、参照画像信号を用いて、符号化すべき上位レ
イヤ画像信号の動きベクトルを検出するステップと、検
出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことによ
り生成された符号化すべき上位レイヤ画像信号のための
予測画像信号を用いて符号化すべき上位レイヤ画像信号
を符号化するステップとを備えることを特徴とする。
【0067】請求項に記載の画像信号伝送方法は、複
数の画像信号の少なくとも1つが、動きを有する画像物
体を表す画像信号であり、複数の画像信号の中の他の画
像信号と合成するための信号を含んでおり、動きを有す
る画像物体を表す画像信号をスケーラブルに表現した上
位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号を提供する提供
ステップと、上位レイヤ画像信号を符号化して、上位レ
イヤ符号化信号を発生する上位レイヤ符号化ステップ
と、下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップとを備え、
上位レイヤ符号化ステップは、上位レイヤ画像信号の画
像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の所定の画
素値と置換して、符号化すべき上位レイヤ画像信号の動
きベクトルを算出するための参照画像信号を生成するス
テップと、参照画像信号を用いて、符号化すべき上位レ
イヤ画像信号の動きベクトルを検出するステップと、検
出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことによ
り生成された符号化すべき上位レイヤ画像信号のための
予測画像信号を用いて符号化すべき上位レイヤ画像信号
を符号化するステップと、置換する画像を示すフラグを
生成するステップとを備えることを特徴とする。
【0068】請求項に記載の画像信号復号装置は、複
数の画像信号の少なくとも1つが、動きを有する画像物
体を表す画像信号であり、複数の画像信号の中の他の画
像信号と合成するための信号を含んでおり、符号化信号
は、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ符号化信号、動
きベクトル及び置換する画像を示すフラグからなり、符
号化信号から、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ画像
信号、動きベクトル及びフラグを分離する分離手段と、
下位レイヤ符号化信号を復号し、復号された下位レイヤ
画像信号を生成する下位レイヤ復号手段と、上位レイヤ
符号化信号を復号し、復号された上位レイヤ画像信号を
生成する上位レイヤ復号手段とを備え、上位レイヤ復号
手段は、フラグに従って、すでに復号された上位レイヤ
画像信号の画像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信
号の所定の画素値と置換して、置換画像信号を生成する
置換画像生成手段と、動きベクトルを用いて置換画像信
号を動き補償することにより生成された予測画像信号を
用いて復号された上位レイヤ画像信号を生成する生成手
段とを備えることを特徴とする。
【0069】請求項11に記載の画像信号復号方法は、
複数の画像信号の少なくとも1つが、動きを有する画像
物体を表す画像信号であり、複数の画像信号の中の他の
画像信号と合成するための信号を含んでおり、符号化信
号は、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ符号化信号、
動きベクトル及び置換する画像を示すフラグからなり、
符号化信号から上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ画像
信号、動きベクトル及びフラグを分離する分離ステップ
と、下位レイヤ符号化信号を復号し、復号された下位レ
イヤ画像信号を生成する下位レイヤ復号ステップと、上
位レイヤ符号化信号を復号し、復号された上位レイヤ画
像信号を生成する上位レイヤ復号ステップとを備え、上
位レイヤ復号ステップは、フラグに従って、すでに復号
された上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を
下位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、置換画
像信号を生成する置換画像生成ステップと、動きベクト
ルを用いて置換画像信号を動き補償することにより生成
された予測画像信号を用いて復号された上位レイヤ画像
信号を生成する生成ステップとを備えることを特徴とす
る。
【0070】請求項12に記載の画像信号記録媒体は、
記録信号が、複数の画像信号をそれぞれ符号化すること
により生成された符号化信号を有し、複数の画像信号の
少なくとも1つは、動きを有する画像物体を表す画像信
号であり、複数の画像信号の中の他の画像信号と合成す
るための信号を含んでおり、符号化信号は、上位レイヤ
符号化信号、下位レイヤ符号化信号、動きベクトル及び
置換する画像を示すフラグからなり、符号化信号は、動
きを有する画像物体を表す画像信号をスケーラブルに表
現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号を提供
する提供ステップと、上位レイヤ画像信号を符号化し
て、上位レイヤ符号化信号を発生する上位レイヤ符号化
ステップと、下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レ
イヤ符号化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップと
により生成され、上位レイヤ符号化ステップは、上位レ
イヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下位レイヤ画
像信号の所定の画素値と置換して、符号化すべき上位レ
イヤ画像信号の動きベクトルを算出するための参照画像
信号を生成するステップと、参照画像信号を用いて、符
号化すべき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを検出す
るステップと、検出された動きベクトルを用いて動き補
償を行うことにより生成された符号化すべき上位レイヤ
画像信号のための予測画像信号を用いて符号化すべき上
位レイヤ画像信号を符号化するステップと、置換する画
像を示すフラグを生成するステップとを備えることを特
徴とする。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】請求項1に記載の画像信号符号化装置、請
求項に記載の画像信号符号化方法、および請求項
記載の画像信号伝送方法においては、上位レイヤ画像信
号の画像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の所
定の画素値と置換して、符号化すべき上位レイヤ画像信
号の動きベクトルを算出するための参照画像信号が生成
される。この参照画像信号を用いて、符号化すべき上位
レイヤ画像信号の動きベクトルが検出され、検出された
動きベクトルを用いて動き補償を行うことにより生成さ
れた符号化すべき上位レイヤ画像信号のための予測画像
信号を用いて符号化すべき上位レイヤ画像信号が符号化
される。
【0078】請求項に記載の画像信号復号装置および
請求項11に記載の画像信号復号方法においては、フラ
グに従って、すでに復号された上位レイヤ画像信号の画
像物体の外側の画素値が下位レイヤ画像信号の所定の画
素値と置換され、置換画像信号が生成される。また、動
きベクトルを用いて置換画像信号を動き補償することに
より生成された予測画像信号を用いて復号された上位レ
イヤ画像信号が生成される。
【0079】請求項12に記載の画像信号記録媒体にお
いては、複数の画像信号を符号化することにより生成さ
れた符号化信号を有する記録信号が記録されている。上
位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下位レイ
ヤ画像信号の所定の画素値と置換して、参照画像信号が
生成される。この参照画像信号を用いて、動きベクトル
が検出され、その検出された動きベクトルを用いて動き
補償を行うことにより生成された予測画像信号を用いて
上位レイヤ画像信号が符号化される。また、置換する画
像を示すフラグが生成される。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【発明の実施の形態】本発明において、VO ごとに符号
化する符号化装置でスケーラブル符号化を実現する場
合、各 VO の画像信号ごとに、例えばMPEG方式などのよ
うなスケーラブル符号化を行う。VOごとに符号化するス
ケーラブル符号化においては上位レイヤの画像が下位レ
イヤの画像の一部であってもよい。例えば、下位レイヤ
の画像の中で特に重要な意味を持つ領域だけを画質改善
すれば低ビットレートにおいては十分であり、また冗長
なビットの削減にもつながる。この時は、上位レイヤお
よび下位レイヤのビットストリームの両方を復号するこ
とにより、下位レイヤの画像の一部が画質改善される
(空間解像度または時間解像度が改善される)ことにな
る。
【0085】上述したように、上位レイヤが下位レイヤ
の画像の一部の領域である場合、上位レイヤの画像の外
側の部分の情報を下位レイヤの画像が持っていることに
なる。動き補償においても、この情報を活用することに
より、符号化効率の向上を実現することが可能である。
【0086】すなわち、本発明においては、 (1) 動きベクトル検出および動き補償において上位
レイヤを参照する場合、画素値が0の画素については、
下位レイヤの対応する位置の画素に置き換える処理が行
われる。 (2) 上記、画素値0の置換処理において所定の下位
レイヤの画像信号と置き換えるかどうかを示すフラグが
符号化され、伝送される。 (3) 補間フィルタなどにより任意形状のVOPの画像の
大きさを拡大する場合、画素値の置換処理を行った後
に、拡大処理が行われる。
【0087】これにより、画像を VO ごとに符号化する
スケーラブル符号化方法において、時間によって大きさ
や形状が変化する場合においても効率のよい動き補償を
実現し、また演算コストを削減することが可能となる。
さらにこれにより効率のよいスケーラビリティを実現す
ることが可能となる。
【0088】第1の実施の形態における画像信号符号化
装置を説明する。本実施の形態では図51と図52にお
ける VOP 符号化回路103−0乃至103−nと、 VO
P 復号回路112−0乃至112−nを、スケーラブル
符号化回路とスケーラブル復号回路とすることで、ビッ
トストリームスケーラビリティを実現する。
【0089】図1に第1の実施の形態における VOP 符
号化回路103(図51の VOP 符号化回路103−0
乃至103−nに対応する)の一例を示す。各 VOPの画
像信号および key 信号、VOP の大きさを示すフラグFS
Z、VOP の絶対座標における位置を示すフラグFPOSは画
像信号階層化回路201に入力される。画像信号階層化
回路201は入力画像信号を複数の階層に分離する。例
えば、空間スケーラビリティの場合、画像信号階層化回
路201は、入力画像信号および key 信号を縮小し、
下位レイヤの画像信号および key 信号を生成する。図
1には2階層(1つの下位レイヤと1つの上位レイヤ)
の場合を示してあるが、同様に、3つ以上の階層に分離
することも可能である。簡単のため、ここでは2つの階
層に分離する場合について説明する。
【0090】画像信号階層化回路201は、例えばテン
ポラルスケーラビリティ(時間軸方向のスケーラビリテ
ィ)の場合、時刻に応じて画像信号の出力を下位レイヤ
および上位レイヤに切り替える。例えば、図2の場合、
VOP0、VOP2、VOP4、VOP6を下位レイヤに、また、VO
P1、VOP3、VOP5を上位レイヤに出力する。テンポラ
ルスケーラビリティの場合、画像信号の拡大縮小(解像
度の変換)は行わない。
【0091】画像信号階層化回路201は、例えば SNR
(Signal to Noise Ratio) スケーラビリティの場合、入
力された画像信号とkey 信号を、そのまま、各レイヤに
供給する。即ち、下位レイヤと上位レイヤに同一の画像
信号および key 信号を出力する。
【0092】画像信号階層化回路201は、例えば空間
スケーラビリティの場合、入力画像信号およびkey信号
を解像度変換し、下位レイヤに画像信号およびkey信号
を供給する。解像度変換処理とは、例えば、間引きフィ
ルタによる縮小フィルタの処理などである。あるいはま
た、画像信号階層化回路201に、入力画像信号および
key信号を解像度変換させ、上位レイヤに対して画像信
号およびkey信号を出力させるようにしてもよい。この
場合、解像度変換処理は拡大フィルタ処理となる。さら
にまた、画像信号階層化回路201には、独立に生成さ
れた2つの画像信号およびkey信号(それぞれの解像度
は異なっていても、または同一であってもよい)を、そ
れぞれ、上位レイヤおよび下位レイヤとして出力させる
ようにしてもよい。この場合、どの画像を上位レイヤお
よび下位レイヤに出力するかは、あらかじめ決められて
いる。
【0093】次に、VOごとに符号化するスケーラブル符
号化方法について説明する。VOは時刻ごとに、その大き
さや位置が変化してもよいし、同一でもよい。従って、
以下のようなスケーラビリティが考えられる。 (1) 上位レイヤは下位レイヤの全ての領域を含む。 (2) 上位レイヤは下位レイヤの一部の領域に対応す
る。
【0094】(1) の場合、上位レイヤ及び下位レイ
ヤを復号することにより、下位レイヤの全ての領域が画
質改善される。ただし、画質改善とは時間スケーラビリ
ティの場合、時間解像度が改善されることであり、空間
スケーラビリティの場合、空間解像度が改善されること
である。
【0095】(2) の場合、上位レイヤおよび下位レ
イヤを復号することにより、対応する下位レイヤの一部
のみが画質改善される。
【0096】(1)と(2)のいずれの場合も、VOPの
形状は長方形であっても、任意形状であってもよい。図
3は、(1)における空間スケーラビリティでVOPの形
状が長方形である場合の一例を示している。また図4
は、(2)における空間スケーラビリティで、VOPの形
状が長方形である場合の一例を示している。
【0097】図5と図6は、(1)における空間スケー
ラビリティで、VOPの形状が任意形状である場合の一例
を示している。図7は、(2)における空間スケーラビ
リティでVOPの形状が任意形状である場合の一例を示し
ている。
【0098】上記いずれのスケーラビリティを用いるか
は、予め決められている。画像信号階層化回路201は
予め決められた方法で上位レイヤと下位レイヤを設定す
る。
【0099】画像信号階層化回路201はまた、各レイ
ヤの大きさ、および絶対座標における位置を示すフラグ
を出力する。例えば図1の場合、下位レイヤのVOPの大
きさを示すフラグ FSZ_B 、および絶対座標における下
位レイヤのVOPの位置を示すフラグ FPOS_B が、下位レ
イヤ符号化回路204に出力される。また上位レイヤの
VOPの大きさを示すフラグ FSZ_E 、および絶対座標に
おける上位レイヤのVOPの位置を示すフラグ FPOS_E
が、遅延回路202を介して上位レイヤ符号化回路20
3に出力される。
【0100】さらに、画像信号階層化回路201は、下
位レイヤのVOPに対する上位レイヤのVOPの大きさの倍率
を示すフラグ FR を遅延回路202を介して解像度変換
回路205および上位レイヤ符号化回路203に出力す
る。
【0101】次に、下位レイヤ符号化回路204を図8
を用いて説明する。なお、図8において、図44と対応
する部分には、同一の符号を付してある。
【0102】入力画像信号はまずフレームメモリ群1に
入力され、所定の順番で記憶される。フレームメモリ群
1には、その VOP の画像信号、その VOP の大きさを示
すフラグ FSZ_B 、および絶対座標における位置を示す
フラグ FPOS_B が記録される。フレームメモリ群1に
は複数のVOPの画像信号、その VOP の大きさを示すフラ
グ FSZ_B 、および絶対座標における位置を示すフラグ
FPOS_B が記録可能である。符号化されるべき画像信
号は、マクロブロック単位で、動きベクトル検出回路2
22、および演算回路3に供給される。
【0103】動きベクトル検出回路222は、予め設定
されている所定のシーケンスに従って、各フレームの画
像データを、Iピクチャ、Pピクチャ、またはBピクチ
ャとして処理する。シーケンシャルに入力される各フレ
ームの画像を、I,P,Bのいずれのピクチャとして処
理するかは、予め定められている(例えば、I,B,
P,B,P,・・・B,Pとして処理することが予め定
められている)。なお、基本的には、Iピクチャに対し
ては、フレーム内符号化、Pピクチャ、Bピクチャに対
しては、フレーム間予測符号化が行われる。また、Pピ
クチャ、Bピクチャは、以下に示す予測モードによりマ
クロブロック単位で適応的に符号化が変更される。
【0104】動きベクトル検出回路222は予め定めら
れた所定の参照フレームを参照し、動き補償(フレーム
間予測)を行い、その動きベクトルを検出する。動き補
償(フレーム間予測)には前方予測、後方予測、両方向
予測の3種類の予測モードがある。Pピクチャの予測モ
ードは前方予測のみであり、Bピクチャの予測モードは
前方予測、後方予測、両方向予測の3種類である。動き
ベクトル検出回路222は予測誤差を最小にする予測モ
ードを選択し、そのときの動きベクトルを発生する。
【0105】予測誤差は、例えば、符号化するマクロブ
ロックの分散と比較され、マクロブロックの分散の方が
小さい場合、そのマクロブロックでは予測は行わず、フ
レーム内符号化が行われる。この場合、予測モードは画
像内予測(イントラ)となる。動きベクトルおよび上記
予測モードは、可変長符号化回路6、フレームメモリ群
11、および動き補償回路12に入力される。
【0106】ここで、動きベクトルについて説明する。
VOP はそれぞれ、大きさや位置が異なるため、動きベク
トルを検出する際、基準となる座標系を設定する必要が
ある。ここでは、ある1つの絶対座標を仮定し、絶対座
標における動きベクトルを計算するものとする。したが
って、この時、現 VOP と予測参照 VOP を、その大きさ
と位置を示すフラグに従って所定の位置に配置し、動き
ベクトルを算出する。動きベクトル検出方法のより詳細
な説明は後述する。
【0107】動き補償回路12では動きベクトルに基づ
いて予測画像を生成し、演算回路3に入力する。演算回
路3では符号化するマクロブロックの値と予測画像の値
との差分値を演算し、差分画像信号として DCT 回路4
に供給する。イントラマクロブロックの場合、演算回路
3は符号化するマクロブロック毎に画像信号をそのまま
DCT 回路4に出力する。
【0108】DCT 回路4は入力画像信号を DCT(離散コ
サイン変換)処理し、 DCT 係数に変換する。このDCT係
数は、量子化回路5に入力され、送信バッファ7のデー
タ蓄積量(バッファ蓄積量)に対応した量子化ステップ
で量子化された後、量子化データとして可変長符号化回
路6に供給される。
【0109】可変長符号化回路6は、量子化回路5より
供給される量子化ステップ(スケール)に対応して、量
子化回路5より供給される量子化データを、例えばハフ
マン符号などの可変長符号に変換し、送信バッファ7に
供給する。
【0110】可変長符号化回路6にはまた、量子化回路
5より量子化ステップ(スケール)、動きベクトル検出
回路222より予測モード(画像内予測、前方予測、後
方予測、または両方向予測のいずれが設定されたかを示
すモード)、および動きベクトル、が入力されており、
これらも可変長符号化される。
【0111】さらに、可変長符号化回路6には、下位レ
イヤの VOP の大きさを示すフラグFSZ_B および絶対座
標における位置を示すフラグ FPOS_B が入力されてお
り、これらも符号化される。また、可変長符号化回路6
は、key 信号符号化回路223から入力されている key
信号のビットストリームを、量子化回路5から入力さ
れるデータのビットストリームの所定の位置に挿入し、
送信バッファ7に供給する。
【0112】符号化する下位レイヤの VOP の key 信号
は key 信号符号化回路223に入力される。key 信号
は所定の方法、例えば DPCM に従って符号化され、key
信号ビットストリームとして可変長符号化回路6および
key 信号復号回路224に供給される。key 信号復号
回路224では key 信号ビットストリームを復号し、
動きベクトル検出回路222、動き補償回路12、DCT
回路4、逆DCT回路9、および画素置換回路221に供
給する。また、復号された key 信号は、図1の上位レ
イヤ符号化回路203に供給される。
【0113】送信バッファ7は、入力されたデータを一
時蓄積し、蓄積量に対応するデータを量子化回路5に出
力する。送信バッファ7は、そのデータ残量が許容上限
値まで増量すると、量子化制御信号によって量子化回路
5の量子化スケールを大きくすることにより、量子化デ
ータのデータ量を低下させる。また、これとは逆に、デ
ータ残量が許容下限値まで減少すると、送信バッファ7
は、量子化制御信号によって量子化回路5の量子化スケ
ールを小さくすることにより、量子化データのデータ量
を増大させる。このようにして、送信バッファ7のオー
バフローまたはアンダフローが防止される。そして、送
信バッファ7に蓄積されたデータは、所定のタイミング
で読み出され、図1の多重化回路206に出力される。
【0114】一方、量子化回路5より出力された量子化
データは、逆量子化回路8に入力され、量子化回路5よ
り供給される量子化ステップに対応して逆量子化され
る。逆量子化回路8の出力データ(逆量子化後のDCT係
数)は、IDCT(逆DCT)回路9に入力され、逆DCT処理さ
れた後、演算回路10によって予測モードに対応して、
マクロブロック毎に予測画像の値が加算され、予測画像
のための画像信号として画素置換回路221に供給され
る。そして、画素置換回路221において画素置換処理
が行われた画像は、フレームメモリ群11に記憶され
る。イントラマクロブロックの場合、IDCT回路9の出力
であるマクロブロックは、演算回路10及び画素置換回
路221を介して、そのままフレームメモリ群11に供
給され、記憶される。
【0115】図9に画素置換回路221における処理の
流れを示す。対象となる画素の位置が画像オブジェクト
の内側である場合、即ち対応する位置のkey信号が非ゼ
ロであるとステップS1で判定された場合、ステップS
2に進み、画素置換回路221は、その画素については
何も処理を行わず、そのまま出力する。対応するkey信
号の値が0である場合、ステップS3で、その画素値は
0とされる。
【0116】なお、VOPの形状が長方形である場合、key
信号は常に0以外(binary keyの場合は1、gray scale
keyの場合は255)であるため、VOP中の全ての画素
が何も処理されずそのまま出力される。
【0117】ステップS3の次には、ステップS4乃至
S8の処理と、ステップS9乃至S13の処理が、並行
して行われる。ステップS4では、対象となるVOPを水
平方向にスキャンする。この時、水平方向のラインは次
の3通りの線部分に分類できる。ステップS5で、いず
れの線部分であるのかを判定する。 (1) 両端がVOPの終端と一致する線部分 (2) 片端画素値が非ゼロの線部分 (3) 両端画素値が非ゼロの線部分
【0118】両端がVOPの終端と一致する線部分(例え
ば、図10(A)の空白部)である場合は、ステップS
6で、値Cに0を設定する。両端が非ゼロである線部分
(例えば、図10(A)の黒色の部分が左右に2個存在
するような場合であって、その間の部分)の場合は、ス
テップS7で、値Cにその両端の画素値の平均値を設定
する。また片端のみが非ゼロの画素の線部分(例えば、
図10(A)の水平な直線で表されている部分)である
場合は、ステップS8で、値Cにその非ゼロの値を設定
する。
【0119】以上のようにして、例えば図10(A)に
示すような画像の処理が行われる。
【0120】また、ステップS9で、対象となるVOPを
垂直方向にスキャンする。この時、垂直方向のラインは
次の3通りの線部分に分類できる。ステップS10でい
ずれの線部分であるのかの判定が行われる。 (1) 両端がVOPの終端と一致する線部分 (2) 片端画素値が非ゼロの線部分 (3) 両端画素値が非ゼロの線部分
【0121】両端がVOPの終端と一致する線部分である
場合は、ステップS11で、値Bに0を設定する。両端
が非ゼロである線部分の場合は、ステップS12で、値
Bにその両端の画素値の平均値を設定する。また片端の
みが非ゼロの画素の線部分の場合は、ステップS13
で、値Bにその非ゼロの値を設定する。
【0122】以上のようにして、例えば図10(B)に
示すような画像の処理が行われる。
【0123】次に、ステップS14では、値Bおよび値
Cがともに0である場合、画素値は0のままとする。値
Bのみが非ゼロの値の場合、画素値は値Bの値に置換さ
れる。値Cのみが非ゼロの値の場合、画素値は値Cの値
に置換される。値Bおよび値Cが共に非ゼロの値を持つ
とき、画素値はその平均値に置換される。
【0124】以上のようにして、例えば図10(C)に
示すような画像の処理が行われる。
【0125】以上の処理を終了した時点で、画素の値が
ゼロであるか否かがステップS15で判定され、値が非
ゼロの画素はそのまま出力される。値がゼロの画素は、
ステップS16で、水平方向および垂直方向で最も近い
位置にある非ゼロの画素の値に置換される。ただし、こ
の時、最も近い非ゼロの画素が2つある場合、その平均
値と置換する。
【0126】以上のようにして、例えば図10(D)に
示すような画像の処理が行われる。
【0127】画素置換回路221は上記の通りの置換処
理を行った画像信号を、フレームメモリ群11および図
1における解像度変換回路205に出力する。
【0128】フレームメモリ群11では画素置換回路2
21の出力画像信号、その VOP の大きさを示すフラグ
FSZ_B 、および絶対座標における位置を示すフラグ FP
OS_B を記録する。フレームメモリ群11はまた、図1
における上位レイヤ符号化回路203に、所定の VOP
の局所復号画像を解像度変換回路205を介して出力す
る。
【0129】次に動きベクトル検出回路222について
説明する。動きベクトル検出回路222は符号化するマ
クロブロックと参照する画像に対して予測誤差を最小と
する動きベクトルを検出する。このとき参照画像信号は
予測モード(I,P,Bピクチャ)に応じて、フレーム
メモリ群11から供給される。
【0130】動きベクトル検出回路222にはまた、ke
y信号復号回路224によって復号された、当該マクロ
ブロックの局所復号key信号が供給されている。動きベ
クトル検出回路222は予測誤差を計算する際に、対応
するkey信号を参照する。
【0131】符号化するVOPの形状が任意形状である場
合、符号化するマクロブロックに画像が存在しない領域
が含まれることがある。この場合、符号化するマクロブ
ロックにおいて画像が存在しない画素については予測誤
差の計算には含めない。即ち、画像が存在する画素の予
測誤差のみを用いて当該マクロブロックの予測誤差を計
算し、それを最小とする動きベクトルを検出する。
【0132】符号化するマクロブロック内の各画素に画
像が存在するかどうかは、符号化するマクロブロック
の、局所復号されたkey信号を参照することによって認
識することが可能である。即ち、key信号が0である画
素は画像が存在しない、画像オブジェクトの外側の領域
に属する画素であることがわかる。key信号が0以外で
ある場合、画像が存在する領域、即ち画像オブジェクト
の内側の画素であることになる。
【0133】動きベクトル検出回路222はkey信号復
号回路224より供給されるkey信号を参照し、key信号
が0である場合、その画素の参照画像との差分は予測誤
差に加算しない。なお、VOPの形状が長方形である場
合、key信号は常に0以外(binary keyの場合は1、gra
y scale keyの場合は255)であるため、マクロブロ
ックのすべての画素を用いて予測誤差を計算する。
【0134】図1に戻って、解像度変換回路205は下
位レイヤのVOPに対する上位レイヤのVOPの大きさの倍率
を示すフラグ FR に従い、下位レイヤの画像信号の解像
度を、上位レイヤ画像信号に対応する解像度に、フィル
タにより変換し、上位レイヤ符号化回路203に供給す
る。倍率が1の場合、即ち上位レイヤと下位レイヤの大
きさが等しい場合、解像度変換回路205は入力された
データを、何もせずにそのまま出力する。
【0135】画像信号階層化回路201によって生成さ
れた上位レイヤ画像信号、 key 信号、上位レイヤのVOP
の大きさを示すフラグ FSZ_E 、および絶対座標におけ
る上位レイヤのVOPの位置を示すフラグ FPOS_E は、遅
延回路202を介して上位レイヤ符号化回路203に供
給される。遅延回路202は、所定の下位レイヤのVOP
を符号化するのに要する時間だけ入力を遅延して出力す
る。
【0136】次に上位レイヤ符号化回路203を図11
を用いて説明する。なお、この図においても、図44と
対応する部分には同一の符号を付してある。
【0137】入力画像信号はまずフレームメモリ群1に
入力され、所定の順番で記憶される。フレームメモリ群
1では、その VOP の画像信号、その VOP の大きさを示
すフラグ FSZ_E 、および絶対座標における位置を示す
フラグ FPOS_E が記録される。
【0138】符号化されるべき画像信号は、マクロブロ
ック単位で動きベクトル検出回路232に入力される。
動きベクトル検出回路232は、予め設定されている所
定のシーケンスに従って、各フレームの画像データを、
Iピクチャ、Pピクチャ、またはBピクチャとして処理
する。シーケンシャルに入力される各フレームの画像
を、I,P,Bのいずれのピクチャとして処理するか
は、予め定められている(例えば、I,B,P,B,
P,・・・B,Pとして処理される)。なお、基本的に
は、Iピクチャに対しては、フレーム内符号化、Pピク
チャ、Bピクチャに対しては、フレーム間予測符号化が
行われる。但し、Pピクチャ、Bピクチャは、後述する
予測モードによりマクロブロック単位で適応的に符号化
方法が変更される。
【0139】空間スケーラビリティの場合、例えば図1
2に示すように符号化される。上位レイヤの最初の VOP
はPピクチャとして符号化される。この時の参照画像
は下位レイヤの同時刻の VOP となる。第2番目以後の
上位レイヤの VOP はBピクチャとして符号化される。
この場合、直前の上位レイヤの VOP と 同時刻の下位レ
イヤの画像を参照画像として用い、符号化する。上位レ
イヤのBピクチャは下位レイヤのPピクチャと同様に、
他の VOP を符号化する場合の予測参照画像となる。
【0140】SNR スケーラビリティは空間スケーラビリ
ティの特殊な場合で、上位レイヤと下位レイヤの大きさ
が等しい場合である。
【0141】テンポラルスケーラビリティの場合は、例
えば図2のようにして符号化される。VOP1はBピクチ
ャとして符号化され、下位レイヤの VOP0および VOP2
を予測参照画像とする。また VOP3は、Bピクチャとし
て符号化され、直前の下位レイヤの画像 VOP2と直後の
下位レイヤの画像 VOP4を参照画像とする。また VOP5
は、Bピクチャとして符号化され、直前の下位レイヤの
画像 VOP4と直後の下位レイヤの画像 VOP6を予測参照
画像とする。
【0142】ここで、上位レイヤのPおよびBピクチャ
の予測について説明する。上位レイヤの予測は同じレイ
ヤの画像だけでなく、他の階層(スケーラブルレイヤ)
の画像も参照画像として用いることができる。例えば2
階層のスケーラビリティの場合、上位レイヤは下位レイ
ヤの画像も予測参照画像として用いることができる。各
スケーラブルレイヤについて、同じレイヤ以外のどのレ
イヤを参照画像として用いるかを示すフラグ ref_laye
r_id を設定し、符号化し、伝送する。また各VOP につ
いて、 ref_layer_id に基づいて、forward および b
ackward 予測をどのレイヤから予測するかを示すフラグ
ref_select_code を設定し、符号化し、伝送する。
Pピクチャにおける ref_select_code を表1に示
す。またBピクチャにおける ref_select_code を表
2に示す。シンタクスの詳細は後述する。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】上位レイヤと下位レイヤの予測は、図2お
よび図12に示す例以外にも、表1および表2の許す範
囲内で、自由に設定して良い。また、表1および表2の
シンタクスにおいては、空間スケーラビリティやテンポ
ラルスケーラビリティについて明示的な区別は無い。
【0146】表1に示すように、Pピクチャの場合、re
f_select_code が '11' のとき、ref_layer_id が
示すレイヤ(参照レイヤ)の同時刻の VOP が予測参照
画像として用いられる。このモードは空間スケーラビリ
ティや SNR スケーラビリティにも用いられる。その他
の'00','01',または'10'のモードはテンポラルスケーラ
ビリティに用いられる。
【0147】表2に示すように、Bピクチャの場合、re
f_select_code が '00' のとき、ref_layer_id が
示すレイヤの同時刻の VOP と、同じレイヤの直前に復
号したVOP とが予測参照画像として用いられる。このモ
ードは空間スケーラビリティや SNR スケーラビリティ
に用いられる。その他の'01','10',または'11'のモード
はテンポラルスケーラビリティに用いられる。
【0148】各レイヤの各 VOP をI,P,Bピクチャ
のどのタイプで符号化するかは予め決めておく。動きベ
クトル検出回路232は予め設定されたピクチャタイプ
に基づき、ref_layer_id 、ref_select_code を設
定し、動き補償回路12および可変長符号化回路6に供
給する。
【0149】下位レイヤの VOP の復号画像信号と key
信号は解像度変換回路205を介して上位レイヤ符号化
回路203に供給され、フレームメモリ群235に供給
される。この時、解像度変換回路205に供給される復
号画像信号は、図8における画素置換回路221により
置換処理された後のものである。
【0150】また下位レイヤの VOP の大きさを示すフ
ラグ FSZ_B 、および絶対座標における位置を示すフラ
グ FPOS_B は、フレームメモリ群235に記憶される
とともに、動きベクトル検出回路232および動き補償
回路12に供給される。
【0151】動きベクトル検出回路232はまた、予め
定められた所定の参照フレームを、フレームメモリ群1
またはフレームメモリ群235より参照し、動き補償
(フレーム間予測)を行い、その動きベクトルを検出す
る。動き補償(フレーム間予測)には前方予測、後方予
測、両方向予測の3種類の予測モードがある。Pピクチ
ャの予測モードは前方予測のみであり、Bピクチャの予
測モードは前方予測、後方予測、両方向予測の3種類で
ある。動きベクトル検出回路232は予測誤差を最小に
する予測モードを選択し、そのときの予測モードと動き
ベクトルを発生する。
【0152】このとき、予測誤差は例えば、符号化する
マクロブロックの分散と比較され、マクロブロックの分
散の方が小さい場合、そのマクロブロックでは予測は行
わず、フレーム内符号化が行われる。この場合、予測モ
ードは画像内予測(イントラ)となる。動きベクトルお
よび上記予測モードは可変長符号化回路6および動き補
償回路12に入力される。
【0153】上位レイヤ符号化回路203における動き
ベクトル検出回路232においても、下位レイヤにおけ
る動きベクトル検出回路222と同様に、key信号復号
回路234によって復号された、符号化するマクロブロ
ックの局所復号key信号が供給される。この時、key信号
復号回路234の出力は上位レイヤkey信号の復号信号
である。動きベクトル検出回路232は下位レイヤにお
ける動きベクトル検出と同様に、対応するkey信号が0
である画素の予測画像との差分値は予測誤差の計算には
含めない。従って、key信号が0以外の画素、即ち画像
オブジェクトの内側の画素のみを用いて予測誤差を計算
し、これを最小とする動きベクトルを検出する。
【0154】動きベクトル検出回路232にはまた、下
位レイヤに対して上位レイヤの大きさ(解像度)が何倍
であるかを示すフラグ FR が供給される。表2より、B
ピクチャ(VOP)の場合、ref_select_code = '00' の
時、空間スケーラビリティであり、この時、backward予
測は下位レイヤ(参照レイヤ)の同時刻のVOPからの予
測、forward予測は同じレイヤの直前に復号したVOPから
の予測となる。倍率を示すフラグが1であり(下位レイ
ヤと上位レイヤの解像度が等しく)、かつ ref_select
_code = '00' である場合は、空間スケーラビリティの
特殊な場合であり、SNR スケーラビリティであることに
なる。この場合、上位レイヤの backward 予測には下位
レイヤの同時刻のVOPが用いた動きベクトルと予測モー
ドをそのまま用いる。したがって、この場合、動きベク
トル検出回路232は下位レイヤから供給される動きベ
クトルおよび予測モードを動き補償回路12に供給す
る。この場合、可変長符号化回路6は動きベクトルを符
号化しない。
【0155】動き補償回路12では動きベクトルに基づ
いてフレームメモリ群11またはフレームメモリ群23
5の画像信号より予測画像信号を生成し、演算回路3に
供給する。演算回路3では符号化するマクロブロックの
値と予測画像の値との差分値を生成し、差分画像信号と
して、DCT回路4に供給する。イントラマクロブロック
の場合、演算回路3は符号化するマクロブロック毎に画
像信号をそのまま DCT回路4に出力する。
【0156】DCT回路4は入力画像信号をDCT(離散コサ
イン変換)処理し、DCT係数に変換する。このDCT係数
は、量子化回路5に入力され、送信バッファ7のデータ
蓄積量(バッファ蓄積量)に対応した量子化ステップで
量子化された後、量子化データとして可変長符号化回路
6に供給される。
【0157】可変長符号化回路6は、量子化回路5より
供給される量子化ステップ(スケール)に対応して、量
子化回路5より供給される量子化データを、例えばハフ
マン符号などの可変長符号に変換し、送信バッファ7に
出力する。
【0158】可変長符号化回路6にはまた、量子化回路
5より量子化ステップ(スケール)、動きベクトル検出
回路232より予測モード(画像内予測、前方予測、後
方予測、または両方向予測のいずれが設定されたかを示
すモード)および動きベクトル、が入力されており、こ
れらも可変長符号化される。
【0159】可変長符号化回路6はまた、上位レイヤ V
OP の大きさを示すフラグFSZ_E、絶対座標における位
置を示すフラグFPOS_E、下位レイヤの解像度に対して
上位レイヤの解像度が何倍であるかを示すフラグ FR も
符号化する。さらに、可変長符号化回路6は key 信号
ビットストリームを、符号化された画像信号のビットス
トリームの所定の位置に挿入し、送信バッファ7に供給
する。
【0160】符号化する上位レイヤのVOP の key 信号
は key 信号符号化回路233に入力される。key 信号
は所定の方法、例えば DPCM に従って符号化され、key
信号ビットストリームとして可変長符号化回路6および
key 信号復号回路234に出力される。key 信号復号
回路234では key 信号ビットストリームが復号さ
れ、動きベクトル検出回路232および動き補償回路1
2に供給される。
【0161】送信バッファ7は、入力されたデータを一
時蓄積し、蓄積量に対応するデータを量子化回路5に出
力する。送信バッファ7は、そのデータ残量が許容上限
値まで増量すると、量子化制御信号によって量子化回路
5の量子化スケールを大きくすることにより、量子化デ
ータのデータ量を低下させる。また、これとは逆に、デ
ータ残量が許容下限値まで減少すると、送信バッファ7
は、量子化制御信号によって量子化回路5の量子化スケ
ールを小さくすることにより、量子化データのデータ量
を増大させる。このようにして、送信バッファ7のオー
バフローまたはアンダフローが防止される。
【0162】そして、送信バッファ7に蓄積されたデー
タは、所定のタイミングで読み出され、図1の多重化回
路206により下位レイヤビットストリームと多重化さ
れた後、さらに図51の多重化回路104に供給され
る。
【0163】一方、量子化回路5より出力された量子化
データは、逆量子化回路8に入力され、量子化回路5よ
り供給される量子化ステップに対応して逆量子化され
る。逆量子化回路8の出力データ(逆量子化後のDCT係
数)は、IDCT(逆DCT)回路9に入力され、逆DCT処理さ
れた後、演算回路10によって予測モードに対応して、
マクロブロック毎に予測画像の値が加算され、予測画像
のための画像信号として、画素置換回路231に供給さ
れる。そして、画素置換回路231において、画素置換
処理が行われた画像は、フレームメモリ群11に記憶さ
れる。イントラマクロブロックの場合、IDCT回路9の出
力であるマクロブロックは、演算回路10を介してその
まま画素置換回路231に供給される。
【0164】ここで、上位レイヤ符号化回路203にお
ける画素置換回路231について説明する。図8の下位
レイヤにおける画素置換回路221は図9を参照して説
明した通り、画像の存在する領域の周辺部の画素の値を
用いて、画像の存在しない領域、即ち画像オブジェクト
の外側の画素の値を置換する。
【0165】これに対して、上位レイヤにおける画素置
換回路231は、下位レイヤにおける画素置換回路22
1と同様の置換方法と併せて、下位レイヤの参照画像の
復号画像、即ち、フレームメモリ群235の出力を用い
て画素の置換処理を行う。
【0166】次に、VOごとに符号化するスケーラブル符
号化方法について説明する。VOは、時刻ごとにその大き
さや位置が変化してもよいし、同一でもよい。従って、
以下のようなスケーラビリティが考えられる。
【0167】前述の通り、VOごとに符号化するスケーラ
ブル符号化方法には以下の2通りがある。 (1) 上位レイヤが下位レイヤの全ての領域を含む場
合。 (2) 上位レイヤが下位レイヤの一部の領域に対応す
る場合。
【0168】(2) の場合、上位レイヤには存在しな
い領域の情報を下位レイヤが持っていることになる。特
に空間スケーラビリティの場合、上位レイヤと下位レイ
ヤは同時刻であるため、解像度変換後の下位レイヤの参
照画像を用いることが可能である。
【0169】図13に上位レイヤにおける画素置換回路
231による画素置換の一例を示す。画像が存在する領
域、即ち、対応するkey信号が0以外である領域(図1
3において、画像オブジェクトとして示す領域)では、
上位レイヤの画像をそのまま用い、それ以外の領域(図
13において、水平方向の線が描かれている領域)で
は、解像度変換後の(アップサンプリング(拡大処理)
した後の)下位レイヤの参照画像(図13のUVOP0)の
対応する位置の画素値を用い、参照画像とする。
【0170】図14に画素置換回路231おける処理の
流れを示す。対象画素が画像オブジェクトの内側の画素
である場合、即ち対応する位置のkey信号が非ゼロであ
るとステップS21で判定された場合、ステップS22
に進み、画素置換回路231はその画素については何も
処理を行わず、そのまま出力する。対応するkey信号の
値が0である場合、ステップS23に進み、その画素値
は0とされる。なお、VOPの形状が長方形である場合、k
ey信号は常に0以外(binary keyの場合は1、gray sca
le keyの場合は255)であるため、VOP中の全ての画
素が何も処理されず、そのまま出力される。
【0171】次に、置換する方法を示す置換モードをス
テップS24で判定し、その置換モードに応じて置換処
理を行う。ここで置換モードについて説明する。上位レ
イヤにおける画素置換方法には2通りの方法が存在す
る。1つは下位レイヤにおける画素置換方法と同様の置
換方法である。もう1つは下位レイヤの参照画像の対応
する位置の画素値と置換する方法である。後者の方法
は、上位レイヤが下位レイヤの一部に対応し、かつ空間
スケーラビリティの場合である。どのスケーラビリティ
を用いるかはあらかじめ決められている。同様に、どの
置換モードを用いるかはあらかじめ決められている。置
換の方法を示すフラグfill_modeは1ビットのフラグで
あり、この置換の方法を示すフラグfill_modeは、画像
置換回路231から可変長符号化回路6に供給され、符
号化され、伝送される。
【0172】置換モードを示すフラグfill_modeが、例
えば、0であると判定された場合、ステップS25に進
み、画素置換回路231は下位レイヤにおける画素置換
回路221(図8)と同様の置換方法(図9)で置換処
理を行い、処理後の画像をフレームメモリ群11に出力
する。
【0173】置換モードを示すフラグfill_modeが、例
えば、1であると判定された場合、ステップS26に進
み、画素置換回路231は下位レイヤの所定の参照画像
信号の対応する位置の画素値と置換する。この置換方法
について図15と図16を用いて説明する。
【0174】図15は、図13に示す場合と同様に、上
位レイヤの画像VOP1を符号化する際に、直前の上位レ
イヤの画像VOP0と、解像度変換後の(アップサンプリ
ング(拡大処理)した後の)下位レイヤの同時刻の画像
UVOP1を参照画像とする場合の例である。この時、画素
置換回路231は、画像VOP0の画像オブジェクト以外
の画素を、画像VOP0と同時刻の下位レイヤの画像を解
像度変換した後の(アップサンプリング(拡大処理)し
た後の)画像UVOP0の対応する位置の画素値と置換す
る。
【0175】また上記置換方法の変形として、図16に
示すように、画像VOP0の画像オブジェクト以外の画素
を、画像VOP1と同時刻の解像度変換後の画像UVOP1の
対応する位置の画素値と置換する方法もある。
【0176】上記置換処理を行った後、画素置換回路2
31はフレームメモリ群11に置換処理が行われた画像
を出力する。
【0177】図14では、置換モードを示すフラグfill
_modeに従って置換方法を切り替えるようにしたが、こ
の変形例として、ref_select_codeを用いて置換方法
を切り替えることもできる。この場合の置換方法につい
て図17を参照して説明する。
【0178】表1に示したように、上位レイヤの符号化
するVOPの予測モードがPピクチャである場合、ref_se
lect_codeの'11'は、空間スケーラビリティであること
を表す。また、表2に示したように、予測モードがBピ
クチャである場合、ref_select_codeの'00'は、空間
スケーラビリティであることを表す(ステップS4
1)。上位レイヤのVOPの形状が任意形状であり、か
つ、下位レイヤの形状が長方形である場合、上位レイヤ
は下位レイヤの一部のみに対応していることがわかる
(ステップS42)。また上位レイヤのVOPの大きさ
と、対応する下位レイヤのVOPの大きさをFR倍した大き
さとを比較した場合、上位レイヤのVOPの大きさの方が
小さいとき、上位レイヤは下位レイヤの一部のみに対応
していることがわかる(ステップS43)。
【0179】空間スケーラビリティであり、かつ、上位
レイヤが下位レイヤの一部のみに対応しているとステッ
プS41乃至S43で判定された場合、ステップS44
で、下位レイヤの解像度変換後の画素を用いて参照画像
の画素の置換を行い、それ以外の場合、ステップS45
で、下位レイヤにおける画素置換回路221と同様の置
換方法で画素の置換を行う。
【0180】フレームメモリ群11では画素置換回路2
31の出力画像、その VOP の大きさを示すフラグ FSZ
_E 、絶対座標における位置を示すフラグ FPOS_E が
記録される。
【0181】上述したように、上位レイヤ符号化回路2
03および下位レイヤ符号化回路204でそれぞれ生成
された出力ビットストリームは、図1に示されるよう
に、多重化回路206に入力される。図1の多重化回路
206は下位レイヤおよび上位レイヤビットストリーム
を多重化し、その VO のビットストリームとして、図5
1の多重化回路104に出力する。図51の多重化回路
104は、各 VOP 符号化回路から供給されるビットス
トリームを多重化し、出力ビットストリームとして、伝
送路もしくは記録媒体に出力する。
【0182】図18に、図1に示される第1の実施の形
態における VOP 符号化回路103に対応する VOP 復号
回路112(図52の VOP 復号回路112−0乃至1
12−nに対応する)の一例を示す。伝送路もしくは記
録媒体から供給されたビットストリームは、まず逆多重
化回路251に入力される。逆多重化回路251では、
ビットストリームを逆多重化し、上位レイヤビットスト
リームと下位レイヤビットストリームに分離して出力す
る。
【0183】下位レイヤビットストリームはそのまま下
位レイヤ復号回路254に供給される。また上位レイヤ
ビットストリームは遅延回路252を介して上位レイヤ
復号回路253に供給される。
【0184】遅延回路252では、上位レイヤビットス
トリームを、下位レイヤ復号回路254で1個の VOP
を復号するのに要する時間だけ遅延した後、上位レイヤ
復号回路253に供給する。
【0185】下位レイヤ復号回路254の構成例を図1
9を用いて説明する。なお、同図において、図45と対
応する部分には、同一の符号を付してある。
【0186】下位レイヤビットストリームは、受信バッ
ファ21に一時記憶された後、可変長復号回路22に供
給される。可変長復号回路22は、受信バッファ21よ
り供給された下位レイヤビットストリームを可変長復号
し、動きベクトル、予測モードを動き補償回路27に、
また、量子化ステップを逆量子化回路23に、それぞれ
出力するとともに、可変長復号されたデータを逆量子化
回路23に供給する。
【0187】可変長復号回路22はまた、 VOP の大き
さを示すフラグ FSZ_B および絶対座標における位置を
示すフラグ FPOS_B を復号し、動き補償回路27、フ
レームメモリ群26および key 信号復号回路262に
出力する。フラグFSZ_B および FPOS_B はまた、上位
レイヤ復号回路253にも供給される。可変長復号回路
22はまた key 信号ビットストリームを抽出し、key
信号復号回路262に供給する。
【0188】key 信号復号回路262は可変長復号回路
22より供給される key 信号ビットストリームを符号
化に対応する復号方法に基づいて復号する。復号された
key信号は、IDCT回路24、動き補償回路27、画素置
換回路261に供給される。さらに、復号されたkey信
号は、図18に示される解像度変換回路255を介して
上位レイヤ復号回路253にも供給される。
【0189】逆量子化回路23は、可変長復号回路22
より供給された量子化データを、ブロック単位で同じく
可変長復号回路22より供給された量子化ステップに従
って逆量子化し、IDCT回路24に供給する。逆量子化回
路23より出力されたデータ(DCT係数)は、IDCT回路
24で、逆DCT処理され、演算回路25に供給される。
【0190】IDCT回路24より供給された画像信号が、
Iピクチャのデータである場合、その画像信号は演算回
路25よりそのまま出力され、演算回路25に後に入力
される画像信号(PまたはBピクチャのデータ)の予測
画像信号の生成のために、画素置換回路261を介して
フレームメモリ群26に供給され、記憶される。また、
演算回路25より出力された画像信号は、そのまま、再
生(復元)画像として、図52における画像再構成回路
113に出力される。
【0191】IDCT回路24より供給された画像信号がP
またはBピクチャの場合、動き補償回路27は可変長復
号回路22より供給される動きベクトルおよび予測モー
ドに従って、予測画像信号を生成し、演算回路25に出
力する。演算回路25では IDCT 回路4より供給される
画像信号(差分信号)と動き補償回路27より供給され
る予測画像信号を加算し、再生(復元)画像とする。P
ピクチャの場合、演算回路25の出力画像信号はまた、
画素置換回路261を介してフレームメモリ群26に入
力され、記憶される。そして、次に復号する画像信号の
参照画像として用いられる。但し、イントラマクロブロ
ックの場合には、IDCT回路24より供給された画像信号
が、演算回路25よりそのまま出力される。
【0192】画素置換回路261は符号化回路における
画素置換回路221(図8)と同様に(すなわち、図9
のフローチャートに示すように)画素の置換処理を行
う。
【0193】図18において、下位レイヤ復号回路25
4において、復号された下位レイヤ画像信号および key
信号は、図52における画像再構成回路113に供給
される。復号された下位レイヤ画像信号および key 信
号はまた、解像度変換回路255に供給される。
【0194】また、下位レイヤ復号回路254において
復号された、下位レイヤの画像 VOPの大きさを示すフラ
グ FSZ_B および絶対座標における位置を示すフラグ F
POS_B は、図52における画像再構成回路113と、
上位レイヤ復号回路253に供給される。
【0195】逆多重化回路251において逆多重化され
た上位レイヤビットストリームは遅延回路252を介し
て上位レイヤ復号回路253に供給される。
【0196】図20を用いて上位レイヤ復号回路253
について説明する。なお、この図においても、図45と
対応する部分には、同一の符号を付してある。
【0197】上位レイヤビットストリームは、受信バッ
ファ21に一時記憶された後、可変長復号回路22に供
給される。可変長復号回路22は、受信バッファ21よ
り供給された上位レイヤビットストリームを可変長復号
し、動きベクトル、予測モードを動き補償回路27に、
また、量子化ステップを逆量子化回路23に、それぞれ
出力するとともに、可変長復号されたデータを逆量子化
回路23に供給する。
【0198】可変長復号回路22はまた、 VOP の大き
さを示すフラグ FSZ_E と絶対座標における位置を示す
フラグ FPOS_E を復号し、動き補償回路27、フレー
ムメモリ群26および key 信号復号回路274に供給
する。
【0199】可変長復号回路22はまた、下位レイヤの
画像 VOP に対する上位レイヤの画像 VOP の大きさ(解
像度)の倍率を示すフラグ FR を復号し、動き補償回路
27、および図18における解像度変換回路255に供
給する。
【0200】解像度変換回路255は倍率を示すフラグ
FR に従って、復号された下位レイヤの画像信号及び k
ey 信号を、フィルタを用いて、解像度変換し、上位レ
イヤ復号回路253中のフレームメモリ群273に供給
する。
【0201】可変長復号回路22はまた、予測の参照に
用いるレイヤを示すフラグ、ref_layer_id 及び ref
_select_code を復号し、動き補償回路27に出力す
る。さらに、可変長復号回路22は、画素置換モードを
示すフラグfill_modeを復号し、画素置換回路271に
供給する。さらに、可変長復号回路22は、key 信号ビ
ットストリームを抽出し、key 信号復号回路274に供
給する。
【0202】key 信号復号回路274は可変長復号回路
22より供給される key 信号ビットストリームを符号
化に対応する復号方法に基づいて復号する。復号された
key信号はIDCT回路24、動き補償回路27、画素置換
回路271に供給される。
【0203】逆量子化回路23は、可変長復号回路22
より供給されたデータ(量子化されたDCT係数)を、ブ
ロック単位で同じく可変長復号回路22より供給された
量子化ステップに従って逆量子化し、IDCT回路24に供
給する。逆量子化回路23より出力されたデータ(DCT
係数)は、IDCT回路24で、逆DCT処理され、演算回路
25に供給される。
【0204】IDCT回路24より供給された画像信号が、
Iピクチャのデータである場合、その画像信号は演算回
路25よりそのまま出力され、演算回路25に後に入力
される画像信号(PまたはBピクチャのデータ)の予測
画像信号の生成のために、画素置換回路271を介して
フレームメモリ群26に供給され、記憶される。また、
演算回路25より出力された画像信号は、そのまま、再
生(復元)画像として、図52における画像再構成回路
113に出力される。
【0205】IDCT回路24より供給された画像信号がP
またはBピクチャの場合、動き補償回路27は可変長復
号回路22より供給される、動きベクトル、予測モー
ド、および参照するレイヤを示すフラグ ref_layer_i
d、ref_select_code に従って、予測画像信号をフレ
ームメモリ群26またはフレームメモリ群273の画像
より生成し、演算回路25に出力する。演算回路25で
は IDCT 回路24より供給される画像信号(差分画像信
号)と動き補償回路27より供給される予測画像信号を
加算し、再生(復元)画像とする。Pピクチャの場合、
演算回路25の出力画像信号はまた、画素置換回路27
1を介してフレームメモリ群26に入力され記憶され
る。そして、次に復号する画像信号の参照画像として用
いられる。但し、イントラマクロブロックの場合には、
IDCT回路24より供給された画像信号が演算回路25よ
りそのまま出力される。
【0206】画素置換回路271は符号化回路における
画素置換回路231(図11)と同様に(すなわち、図
14のフローチャートに示すように)、復号された、置
換モードを示すフラグfill_modeに従って、画素の置換
処理を行う。
【0207】動き補償回路27は倍率を示すフラグFRが
1であり、かつ、ref_select_code = '00' である場
合、下位レイヤの同時刻のVOPから供給される動きベク
トルおよび予測モードを用いて予測画像信号を生成し、
演算回路25に出力する。
【0208】図18に示すように、上位レイヤ復号回路
253で復号された上位レイヤ画像信号、 key 信号、
上位レイヤ VOP の大きさを示すフラグ FSZ_E 、およ
び絶対座標における位置を示すフラグ FPOS_E 及び倍
率を示すフラグFRは、図52における画像再構成回路1
13に供給される。
【0209】図52において、画像再構成回路113
は、 VOP 復号回路112から供給される、VOP 画像信
号、key 信号、VOP の大きさ(解像度)を示すフラグ、
絶対座標における位置を示すフラグ及び倍率を示すフラ
グFRに従って、画像信号を再構成し、外部に出力する。
【0210】次に、スケーラブル符号化のシンタクスの
一例を説明する。
【0211】図21にビットストリームの構成を示す。
VS (Video Session) は1つ又は複数の VO (Video Obje
ct) から構成されるビットストリームの集合である。VS
のシンタクスを図22に示す。
【0212】図23に VO (Video Object) のシンタク
スを示す。VO は画像全体または画像中の一部の物体の
ビットストリームである。
【0213】図21の VOL (Video Object Layer) は複
数の VOP から構成され、スケーラビリティのためのク
ラスである。VOL のシンタクスを図24に示す。 VOL
は video_object_layer_id に示される番号によって
識別される。例えば、video_object_layer_id = 0で
ある VOL0 は下位レイヤであり、例えば video_object
_layer_id = 1 である VOL1 は上位レイヤである。ス
ケーラブルのレイヤの数は任意で良い。各 VOL が画像
全体であるのか、画像の一部の物体であるのかは、vide
o_object_layer_shape で識別される。video_objec
t_layer_shape は VOL の形状を示すフラグで、以下
の表3のような意味を持つ。
【0214】
【表3】
【0215】VOL中のscalability は1ビットのフラグ
で、その VOL が下位レイヤであるのか、上位レイヤで
あるのかを示す。 scalability = 1である場合、その V
OL は下位レイヤであり、それ以外の場合、上位レイヤ
である。
【0216】ref_layer_id は、自分自身の VOL 以外
に参照画像として用いる VOL の番号を示すフラグであ
る。これは上位レイヤにのみ伝送される。
【0217】hor_sampling_factor_n, hor_samplin
g_factor_m は、下位レイヤの水平方向の長さに対し
て上位レイヤの水平方向の長さが何倍であるかを示す
(水平方向の解像度の倍率を示す)。下位レイヤに対す
る上位レイヤの水平方向の大きさは以下の式で与えられ
る。 hor_sampling_factor_n / hor_sampling_factor_
m
【0218】ver_sampling_factor_n, ver_samplin
g_factor_m は、下位レイヤの垂直方向の長さに対し
て上位レイヤの垂直方向の長さが何倍であるかを示す
(垂直方向の解像度の倍率を示す)。下位レイヤに対す
る上位レイヤの垂直方向の大きさは以下の式で与えられ
る。 ver_sampling_factor_n / ver_sampling_factor_
m
【0219】fill_modeは1ビットのフラグで画素置換
方法を示す。これが1である場合、解像度変換後の下位
レイヤの画像を用いて画素の置換を行う。このフラグは
上位レイヤにおいてのみ伝送される。
【0220】図25乃至図27は、 VOP (Video Object
Plane)のシンタクスを示す。VOP_width および VOP_
height は、その VOP の大きさを示すフラグである。ま
た、VOP_horizontal_spatial_mc_ref , VOP_verti
cal_spatial_mc_ref は絶対座標に対するその VOP
の位置を示すフラグである。
【0221】ref_select_code は forward および ba
ckward 予測において、 ref_layer_id に基づき、ど
のレイヤの画像を参照画像として用いるかを示すフラグ
である。表1および表2にその詳細が示されている。
【0222】なお、図1のVOP符号化回路103を適用
した、図51の画像信号符号化装置の多重化回路104
より出力されたビットストリームは、伝送路に伝送され
る他、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなど
の記録媒体に記録し、図18のVOP復号回路112を適
用した、図52の画像信号復号装置により、その記録媒
体から再生したビットストリームを復号させるようにす
ることができる。
【0223】次に、第2の実施の形態として、3階層以
上のスケーラブル符号化に適用した場合の例を示す。本
実施の形態では3階層の場合を示すが、同様の方法で任
意の階層に拡張することが可能である。ここでは、VOご
とに符号化するスケーラブル符号化を3階層に拡張した
場合の例について説明する。3階層のスケーラブル符号
化においても下位レイヤと第1の上位レイヤの関係は第
1の実施の形態と同様である。
【0224】3階層のスケーラブル符号化の場合、2つ
の上位レイヤが存在する。即ち、下位レイヤおよび第1
の上位レイヤ、第2の上位レイヤである。第1の上位レ
イヤまで復号した画像と比較して、第2の上位レイヤま
で復号した画像は、より画質が向上している。ここで画
質の向上とは、空間スケーラブル符号化の場合、空間解
像度であり、時間スケーラブル符号化の場合、時間解像
度(フレームレート)であり、またSNRスケーラブル符
号化の場合、画像のSNRである。
【0225】第1の上位レイヤと第2の上位レイヤの関
係には以下の場合が存在する。 (1) 第2の上位レイヤは第1の上位レイヤの全ての
領域を含む。 (2) 第2の上位レイヤは第1の上位レイヤの一部の
領域に対応する。 (3) 第2の上位レイヤは第1の上位レイヤよりも広
い領域に対応する。
【0226】(1)、(2)の関係は第1の実施の形態
における上位レイヤと下位レイヤの関係と同様である。
【0227】(3)の関係は3階層以上のスケーラブル
符号化を行う場合に存在する。これは、第1の上位レイ
ヤは下位レイヤの一部領域に対応し、かつ第2の上位レ
イヤは下位レイヤの全ての領域を含む場合、または第1
の上位レイヤは下位レイヤの一部領域に対応し、第2の
上位レイヤは第1の上位レイヤよりも広い領域に対応
し、かつ下位レイヤの一部の領域に対応する場合であ
る。
【0228】(3)の場合、第1の上位レイヤまで復号
したとき、下位レイヤの画像の一部のみが画質改善さ
れ、第2の上位レイヤまで復号したとき、さらに広い領
域または下位レイヤの画像の全ての領域が画質改善され
る。
【0229】(3)の場合は、VOPの形状は長方形であ
っても、任意形状であってもよい。
【0230】図28乃至図33に3階層の空間スケーラ
ブル符号化の例を示す。図28は、(1)の場合におけ
る空間スケーラビリティで、VOPの形状が長方形である
ときの例を示している。また図29は、(2)の場合に
おける空間スケーラビリティで、VOPの形状が長方形で
ある場合の例を示している。
【0231】図30は、(3)の場合における空間スケ
ーラビリティで、全てのレイヤのVOPの形状が長方形で
ある場合の例を示している。また図31は、(3)の場
合における空間スケーラビリティで、第1の上位レイヤ
のVOPの形状が任意形状であり、第2の上位レイヤのVOP
の形状が長方形状である場合の例を示している。
【0232】図32と図33は、(1)の場合における
空間スケーラビリティで、VOPの形状が任意形状である
場合の例を示している。
【0233】上記いずれのスケーラビリティを用いるか
は、予め決められている。
【0234】図34に、第2の実施の形態における VOP
符号化回路103の構成例を示す。ここにおける下位
レイヤと上位レイヤ1の符号化部分の構成は第1の実施
の形態(図1)と同様である。この第2の実施の形態で
は、図1の構成に、さらに上位レイヤ2の符号化部分、
即ち、遅延回路207、上位レイヤ2符号化回路20
8、解像度変換回路209が追加されている。上位レイ
ヤ1符号化回路203(図1の上位レイヤ符号化回路2
03に対応する)と上位レイヤ2符号化回路208は、
実質的に同様の構成を持つ。
【0235】本実施の形態では、3階層のスケーラブル
符号化について説明するが、2階層を3階層に拡張した
方法と同様の方法を、第Nの上位レイヤと第N+1の上
位レイヤに適用することにより、任意の数の階層に拡張
可能である。
【0236】各 VOPの画像信号および key 信号、VOP
の大きさを示すフラグFSZ、VOP の絶対座標における位
置を示すフラグFPOSは、画像信号階層化回路201に入
力される。画像信号階層化回路201は入力画像信号を
複数の階層に分離する。例えば、空間スケーラビリティ
の場合、画像信号階層化回路201は、入力画像信号お
よび key 信号を所定の倍率で縮小し、下位レイヤの画
像信号および key 信号を生成する。また同様にして画
像信号階層化回路201は、入力画像信号および key
信号を所定の倍率で縮小し、上位レイヤ1の画像信号お
よび key 信号を生成する。さらに、画像信号階層化回
路201は、入力画像信号および key 信号をそのまま
上位レイヤ2の画像信号および key 信号として出力す
る。この変形として画像信号階層化回路201はまた、
入力画像信号および key 信号を所定の倍率で解像度変
換し、上位レイヤ2の画像信号および key 信号として
も良い。いずれにしても、画像信号階層化回路201
は、予め決められた方法で上位レイヤ1,2と下位レイ
ヤを設定する。
【0237】画像信号階層化回路201は、例えばテン
ポラルスケーラビリティ(時間軸方向のスケーラビリテ
ィ)の場合、時刻に応じて画像信号の出力を下位レイヤ
および上位レイヤに切り替える。
【0238】画像信号階層化回路201は、例えば SNR
(Signal to Noise Ratio) スケーラビリティの場合、入
力画像信号とkey 信号を、そのまま、各レイヤに供給す
る。即ち、下位レイヤと上位レイヤに同一の画像信号お
よび key 信号を供給する。
【0239】画像信号階層化回路201は、例えば空間
スケーラビリティの場合、入力画像信号およびkey信号
を所定の倍率で解像度変換し、下位レイヤおよび上位レ
イヤ1に画像信号およびkey信号を供給する。解像度変
換処理とは、例えば、間引きフィルタによる縮小フィル
タの処理などである。あるいはまた、画像信号階層化回
路201に、入力画像信号およびkey信号を解像度変換
させ、上位レイヤ1および2に画像信号およびkey信号
を出力させるようにしてもよい。この場合、解像度変換
処理は拡大フィルタ処理となる。さらにまた、画像信号
階層化回路201には、独立に生成された3つの画像信
号およびkey信号(それぞれの解像度は異なっていて
も、または同一であってもよい)を、それぞれ、上位レ
イヤ1,2および下位レイヤとして出力させるようにし
てもよい。この場合、どの画像を上位レイヤ1,2、お
よび下位レイヤに出力するかは、あらかじめ決められて
いる。
【0240】画像信号階層化回路201はまた、各レイ
ヤの大きさ、および絶対座標における位置を示すフラグ
を出力する。例えば図34の例の場合、下位レイヤのVO
Pの大きさを示すフラグ FSZ_B 、および絶対座標にお
ける下位レイヤのVOPの位置を示すフラグ FPOS_B が、
下位レイヤ符号化回路204に出力される。また上位レ
イヤ1のVOPの大きさを示すフラグ FSZ_E1 、および絶
対座標における上位レイヤ1のVOPの位置を示すフラグ
FPOS_E1 が、遅延回路202を介して上位レイヤ1符
号化回路203に出力される。さらに上位レイヤ2のVO
Pの大きさを示すフラグ FSZ_E2 、および絶対座標にお
ける上位レイヤ2のVOPの位置を示すフラグ FPOS_E2
が、遅延回路207を介して上位レイヤ2符号化回路2
08に出力される。
【0241】画像信号階層化回路201はまた、下位レ
イヤのVOPに対する上位レイヤ1のVOPの大きさの倍率を
示すフラグ FR1 を、遅延回路202を介して解像度変
換回路205および上位レイヤ1符号化回路203に供
給する。
【0242】また同様に、画像信号階層化回路201
は、上位レイヤ1のVOPに対する上位レイヤ2のVOPの大
きさの倍率を示すフラグ FR2 を、遅延回路207を介
して解像度変換回路209および上位レイヤ2符号化回
路208に供給する。
【0243】第2の実施の形態においては、上位レイヤ
画像信号が参照画像のレイヤの画像信号の一部の領域に
対応するか、全ての領域に対応するかを示す1ビットの
フラグ enhancement_type を符号化し、伝送する。この
enhancement_type が "0" である場合、そのレイヤの画
像信号は、予測参照するレイヤの画像信号の全て又は広
い領域に対応していることを示す。また enhancement_t
ype が "1" である場合、そのレイヤの画像信号は、予
測参照するレイヤの画像信号の一部の領域に対応してい
ることを示す。また各レイヤが予測参照に用いるレイ
ヤ、および各レイヤの画像信号が、参照するレイヤの画
像の一部または全ての領域に対応するのかは予め決めら
れている。
【0244】画像信号階層化回路201は、各レイヤの
入力画像信号として、各解像度の、所定の領域を抽出し
て遅延回路202または遅延回路207を経由して、上
位レイヤ1符号化回路203または上位レイヤ2符号化
回路208に供給する。またこの時、各レイヤが予測参
照するレイヤを示すフラグ ref_layer_id 、および、各
レイヤの画像が参照レイヤに対して一部なのか、全ての
領域に対応するのかを示すフラグ enhancement_type を
上位レイヤ1符号化回路203または上位レイヤ2符号
化回路208に供給する。
【0245】図34において遅延回路202と解像度変
換回路205は、第1の実施の形態と同様に動作する。
【0246】上位レイヤ1符号化回路203を、図35
を用いて説明する。なお、上位レイヤ2符号化回路20
8は、上位レイヤ1符号化回路203と同様の構成を持
つ。従って、以下の上位レイヤ1符号化回路203につ
いての説明は、上位レイヤ2符号化回路208について
も適用することができる。
【0247】第2の実施の形態における上位レイヤ1符
号化回路203は、図35における画素置換回路231
を除き、第1の実施の形態における上位レイヤ符号化回
路203(図11)と同様である。
【0248】そこで、図36を用いて、図35の画素置
換回路231の動作を説明する。まず、ステップS61
において、enhancement_type から、自分自身のレイヤ
が参照レイヤの一部であるかどうかが検査される。enha
ncement_type が "0" である場合、ステップS66に進
み、下位レイヤと同様の処理、即ちフレーム内外挿を行
う。この場合の処理の流れは図9に示されている。
【0249】enhancement_type が "1" である場合、ス
テップS62に進み、対応するkey信号が0であるか否
かが判定される。画像オブジェクトの内側である場合、
対応する位置のkey信号が非ゼロであるとステップS6
2で判定される。この場合、ステップS63に進み、画
素置換回路231はその画素については何も処理を行わ
ず、そのまま出力する。対応するkey信号の値が0であ
る場合、ステップS64に進み、その画素値は0とされ
る。なお、VOPの形状が長方形である場合、key信号は常
に0以外(binarykeyの場合は1、gray scale keyの場
合は255)であるため、VOP中の全ての画素が何も処
理されず、そのまま出力される。なお、画像が存在しな
い領域は key 信号が0であるため、画素値は0とされ
る。
【0250】次に、置換する方法を示す置換モード(fi
ll_mode)をステップS65で判定し、その置換モード
に応じて置換処理を行う。上位レイヤにおける画素置換
方法には2通りの方法が存在する。1つは下位レイヤに
おける画素置換方法と同様の置換方法である。もう1つ
は下位レイヤの参照画像の対応する位置の画素値と置換
する方法である。後者の方法は、上位レイヤが下位レイ
ヤの一部に対応し、かつ空間スケーラビリティの場合で
ある。どのスケーラビリティを用いるかはあらかじめ決
められている。同様に、どの置換モードを用いるかはあ
らかじめ決められている。置換の方法を示すフラグfill
_modeは1ビットのフラグであり、その置換方法を示す
フラグfill_modeは、画像置換回路231から、可変長
符号化回路6に供給され、符号化され、伝送される。
【0251】置換モードを示すフラグfill_modeが、例
えば、0であると判定された場合、ステップS66に進
み、画素置換回路231は下位レイヤにおける画素置換
回路221(図8)と同様の置換方法(図9)で置換処
理を行い、処理後の画像をフレームメモリ群11に出力
する。
【0252】置換モードを示すフラグfill_modeが、例
えば、1であると判定された場合、ステップS67に進
み、画素置換回路231は下位レイヤの所定の参照画像
信号の対応する位置の画素値と置換する。この置換方法
を図13を用いて説明する。
【0253】画像が存在する領域、即ち、対応するkey
信号が0以外である領域(図13において、画像オブジ
ェクトとして示す領域)では、上位レイヤの画像信号を
そのまま用い、それ以外の領域(図13において、水平
方向の線が描かれている領域)では、解像度変換後の
(アップサンプリング(拡大処理)した後の)予測参照
レイヤの参照画像信号(図13のUVOP0)の対応する位
置の画素値を用い、参照画像信号とする。
【0254】また、3階層の場合の画素置換の例を図3
7および図38に示す。図37においては、下位レイヤ
(VOL0)が画像の形状が長方形のVOPである(video_ob
ject_layer_shape=00)。上位レイヤ1(VOL1)が下位
レイヤ(VOL0)の一部であり、かつ、任意形状のVOPで
ある(video_object_layer_shape !=00)。上位レイヤ
2(VOL2)はVOL0と同一の領域に対応する画像で、予
測参照レイヤ(VOL1)よりも広い領域に対応し、画像
の形状は長方形である。VOL1では画素置換モードを示
すフラグ fill_mode が "0" と設定されており、図9に
基づく画素置換(フレーム内補間)が行われる。
【0255】また、図38においては、下位レイヤ(VO
L0)が画像の形状が長方形のVOPである。上位レイヤ1
(VOL1)が下位レイヤ(VOL0)の一部でありかつ、任
意形状のVOPである。上位レイヤ2(VOL2)はVOL0と
同一の領域に対応する画像で、予測参照レイヤ(VOL
1)よりも広い領域に対応し、画像の形状は長方形であ
る。VOL2では画素置換モードを示すフラグ fill_mode
が "0" と設定されており、VOL1では fill_mode が "
1" と設定されている。この場合、VOL1ではVOL0の画
像の対応する画素と置換される。
【0256】ここで、図37と図38の相違について述
べる。図37および図38の場合、VOL2を符号化する
際、VOL1を予測参照する。この時、VOL1はVOL2の一
部の領域にしか対応していない。図37の場合、画像が
存在しない領域、即ち key 信号が0である領域は、図
9に基く処理によりフレーム内外挿される。したがって
この場合、VOL1で key 信号が0である領域は、VOL2
の対応する領域とは無相関な信号が予測参照信号となっ
てしまう。
【0257】これに対して、図38の場合、VOL1で画
像が存在しない領域、即ち key 信号が0である領域
は、下位レイヤVOL0の対応する位置の画像と置換され
る。従ってVOL1で key 信号が0である領域には、VOL
2の対応する位置の画像の、解像度が低い画像信号が予
測参照信号として用いられる。
【0258】従って、符号化効率を優先して符号化した
い場合、fill_mode = "1" として符号化すればよい。
【0259】図35の上位レイヤ1符号化回路203に
ついて再び説明する。画像信号階層化回路201(図3
4)から供給される、フラグ ref_layer_id および enh
ancement_type は可変長符号化回路6に供給され、ビッ
トストリームの所定の位置に挿入され、送信バッファ7
を経由して出力される。
【0260】フラグ enhancement_type はまた、画素置
換回路231に供給され、このフラグに基づき、上記し
た所定の手続きにより画素置換が行われる。
【0261】また、ref_layer_id は動きベクトル検出
回路232、動き補償回路12に供給される。動きベク
トル検出回路232は予め設定されたピクチャタイプに
基づき、ref_select_code を設定し、動き補償回路1
2および可変長符号化回路6に出力する。
【0262】当該レイヤが最上位のレイヤで無い場合、
例えば、3階層の上位レイヤ1である場合、画素置換回
路231の出力画像信号およびフレームメモリ群11の
出力画像信号が、図34における解像度変換回路209
を経由して上位レイヤ2符号化回路208に供給され
る。
【0263】当該レイヤが最上位のレイヤである場合、
即ち3階層の上位レイヤ2の場合、そのレイヤを予測参
照するレイヤが存在しないため、フレームメモリ群11
および画素置換回路231から他のレイヤの符号化回路
に出力は供給されない。
【0264】上記の記述を除き、第2の実施の形態にお
ける上位レイヤ1符号化回路203は、第1の実施の形
態における上位レイヤ符号化回路203と同様に動作す
る。
【0265】図39に、図34のVOP符号化回路103
に対応する VOP 復号回路112の構成例を示す。その
下位レイヤと上位レイヤ1の復号部分は第1の実施の形
態(図18)と同様の構成である。第2の実施の形態で
は、図18の構成に、上位レイヤ2の復号部分、即ち、
遅延回路256、上位レイヤ2符号化回路257、解像
度変換回路258、およびVOP再構成回路259が追加
されている。上位レイヤ1復号回路253(図18の上
位レイヤ復号回路253に対応する)および上位レイヤ
2復号回路257は同様な構成を持つ。
【0266】ビットストリームは、まず逆多重化回路2
51に入力される。逆多重化回路251では、ビットス
トリームを逆多重化し、各レイヤのビットストリームに
分離して出力する。図39の例の場合、3階層のスケー
ラブル復号装置とされているが、この場合、上位レイヤ
2、上位レイヤ1、および下位レイヤのビットストリー
ムに分離される。
【0267】下位レイヤビットストリームは、そのまま
下位レイヤ復号回路254に供給される。上位レイヤ1
ビットストリームは、遅延回路252を介して上位レイ
ヤ1復号回路253に供給される。また上位レイヤ2ビ
ットストリームは、遅延回路256を介して上位レイヤ
2復号回路257に供給される。
【0268】遅延回路252または遅延回路256で
は、上位レイヤ1ビットストリームまたは上位レイヤ2
ビットストリームを、下位レイヤ復号回路254で1個
の VOPを復号するのに要する時間だけ遅延した後、上位
レイヤ1復号回路253または上位レイヤ2復号回路2
57に供給する。
【0269】下位レイヤ復号回路254は第1の実施の
形態と同一の構成(図19)を持つ。下位レイヤ復号回
路254の出力である復号画像信号とkey 信号はVOP再
構成回路259に出力される。また、下位レイヤ復号回
路254により復号されたVOPの位置および大きさを示
すフラグ FPOS_B , FSZ_B が、VOP再構成回路259に
出力される。
【0270】復号された下位レイヤ画像信号および key
信号はまた、解像度変換回路255により解像度変換
された後、上位レイヤ1復号回路253に供給される。
【0271】復号された、下位レイヤの画像 VOP の大
きさを示すフラグ FSZ_B および絶対座標における位置
を示すフラグ FPOS_B もまた、上位レイヤ1復号回路
253に供給される。
【0272】逆多重化回路251において逆多重化され
た上位レイヤ1ビットストリームは遅延回路252を介
して上位レイヤ1復号回路253に供給される。
【0273】また逆多重化回路251において逆多重化
された上位レイヤ2ビットストリームは遅延回路256
を介して上位レイヤ2復号回路257に供給される。
【0274】遅延回路252および遅延回路256は同
一の構成を持つ。また上位レイヤ1復号回路253およ
び上位レイヤ2復号回路257は同一の構成を持つ。
【0275】上位レイヤ1復号回路253の出力である
復号画像信号とkey 信号は、VOP再構成回路259およ
び解像度変換回路258に出力される。また、上位レイ
ヤ1復号回路253により復号されたVOPの位置および
大きさを示すフラグ FPOS_E1, FSZ_E1 は、VOP再構成回
路259に出力される。
【0276】復号された上位レイヤ1の画像信号および
key 信号はまた、解像度変換回路258により解像度
変換された後、上位レイヤ2復号回路257に供給され
る。
【0277】復号された、上位レイヤ1の画像 VOP の
大きさを示すフラグ FSZ_E1 および絶対座標における
位置を示すフラグ FPOS_E1 は、上位レイヤ2復号回路
257に供給される。
【0278】上位レイヤ1復号回路253により復号さ
れた、解像度変換の倍率を示すフラグFR1は解像度変換
回路255に供給される。解像度変換回路255では復
号された倍率を示すフラグFR1に基づき、解像度変換を
行う。
【0279】上位レイヤ2復号回路257の出力である
復号画像信号とkey 信号は、VOP再構成回路259に供
給される。また、上位レイヤ2復号回路257により復
号された、VOPの位置および大きさを示すフラグ FPOS_E
2 , FSZ_E2は、VOP再構成回路259に供給される。
【0280】上位レイヤ2復号回路257により復号さ
れた、解像度変換の倍率を示すフラグFR2は、解像度変
換回路258に供給される。解像度変換回路258で
は、復号された倍率を示すフラグFR2に基づき、解像度
変換を行う。
【0281】VOP再構成回路259の詳細は後述する。
【0282】次に、図40を用いて上位レイヤ1復号回
路253について説明する。この図においても、図45
及び図20と対応する部分には、同一の符号を付してあ
る。なお、上位レイヤ2復号回路257も基本的に、上
位レイヤ1復号回路253と同様の構成を有し、以下の
説明は、上位レイヤ2復号回路257にも同様に適用さ
れる。
【0283】第2の実施の形態における上位レイヤ1復
号回路253は、画素置換回路271を除き、第1の実
施の形態(図20)における上位レイヤ復号回路253
と同様に構成されている。
【0284】上位レイヤビットストリームは、受信バッ
ファ21に一時記憶された後、可変長復号回路22に供
給される。可変長復号回路22は、受信バッファ21よ
り供給された上位レイヤビットストリームを可変長復号
し、動きベクトル、予測モードを動き補償回路27に、
また、量子化ステップを逆量子化回路23に、それぞれ
供給するとともに、可変長復号された画像信号を逆量子
化回路23に供給する。
【0285】可変長復号回路22はまた、 VOP の大き
さを示すフラグ FSZ_E1 と絶対座標における位置を示
すフラグ FPOS_E1 を復号し、動き補償回路27、フレ
ームメモリ群26、 key 信号復号回路274、および
図39におけるVOP再構成回路259に供給する。
【0286】可変長復号回路22はまた、下位レイヤの
画像 VOP に対する上位レイヤの画像 VOP の大きさ(解
像度)の倍率を示すフラグ FR1 を復号し、動き補償回
路27、図39における解像度変換回路255に供給す
る。
【0287】解像度変換回路255は倍率を示すフラグ
FR1 に従って、復号された下位レイヤの画像信号及び
key 信号を、フィルタを用いて、解像度変換し、上位レ
イヤ復号回路253中のフレームメモリ群273に供給
する。
【0288】可変長復号回路22はまた、予測の参照に
用いるレイヤを示すフラグref_layer_id 及び ref_s
elect_code を復号し、動き補償回路27に供給する。
さらに、可変長復号回路22は、画素置換モードを示す
フラグfill_modeを復号し、画素置換回路271に供給
する。さらに可変長復号回路22は、key 信号ビットス
トリームを抽出し、key 信号復号回路274に供給す
る。
【0289】可変長復号回路22はまた、当該レイヤが
予測参照レイヤの一部に対応するのか、全ての領域に対
応するのかを示すフラグ enhancement_type を復号し、
画素置換回路271および図39におけるVOP再構成回
路259に供給する。
【0290】key 信号復号回路274は可変長復号回路
22より供給される key 信号ビットストリームを符号
化に対応する復号方法に基づいて復号する。復号された
key信号はIDCT回路24、動き補償回路27、画素置換
回路271に供給される。
【0291】逆量子化回路23は、可変長復号回路22
より供給されたデータ(量子化されたDCT係数)を、ブ
ロック単位で、同じく可変長復号回路22より供給され
た量子化ステップに従って逆量子化し、IDCT回路24に
供給する。逆量子化回路23より出力されたデータ(DC
T係数)は、IDCT回路24で、逆DCT処理され、画像信号
として演算回路25に供給される。
【0292】IDCT回路24より供給された画像信号が、
Iピクチャのデータである場合、その画像信号は演算回
路25よりそのまま出力され、演算回路25に後に入力
される画像信号(PまたはBピクチャのデータ)の予測
画像信号生成のために、画素置換回路271を介してフ
レームメモリ群26に供給され、記憶される。また、演
算回路25より出力された画像信号は、そのまま、再生
(復元)画像として、図39におけるVOP再構成回路2
59に出力される。
【0293】IDCT回路24より供給された画像信号がP
またはBピクチャの場合、動き補償回路27は可変長復
号回路22より供給される、動きベクトル、予測モー
ド、および参照するレイヤを示すフラグ ref_layer_i
d,ref_select_code に従って、予測画像信号をフレ
ームメモリ群26またはフレームメモリ群273の画像
より生成し、演算回路25に出力する。演算回路25で
は IDCT 回路24より供給される画像信号(差分画像信
号)と動き補償回路27より供給される予測画像信号を
加算し、再生(復元)画像とする。Pピクチャの場合、
演算回路25の出力画像信号はまた、画素置換回路27
1を介してフレームメモリ群26に入力され、記憶され
る。そして、次に復号する画像信号の参照画像として用
いられる。但し、イントラマクロブロックの場合には、
IDCT回路24より供給された画像信号が演算回路25よ
りそのまま出力される。
【0294】画素置換回路271は符号化装置における
画素置換回路231(図35)と同様に(すなわち、図
36のフローチャートに示すように)、復号された、置
換モードを示すフラグfill_modeに従って、画素の置換
処理を行う。
【0295】動き補償回路27は倍率を示すフラグFRが
1であり、かつ、ref_select_code = '00' である場
合、下位レイヤの同時刻のVOPから供給される動きベク
トルおよび予測モードを用いて予測画像信号を生成し、
演算回路25に出力する。
【0296】図39において、復号された上位レイヤ画
像信号、 key 信号、上位レイヤ VOP の大きさを示すフ
ラグ FSZ_E1 、および絶対座標における位置を示すフ
ラグFPOS_E1 は、VOP再構成回路259に供給される。
【0297】次に、図39におけるVOP再構成回路25
9について説明する。図41にVOP再構成回路259の
構成例を示す。なお、このVOP再構成回路259は、こ
の例では、VOP復号回路112の構成の一部として、図
39に示されているが、図52の画像信号復号装置に対
応させて説明した場合、このVOP再構成回路259は、
画像再構成回路113の構成の一部となる。各レイヤの
復号回路から出力される、画像信号、 key 信号、予測
参照レイヤに対する倍率を示すフラグFR、VOPの大きさ
及び位置を示すフラグ FSZ,FPOS は、まず、解像度変
換回路311乃至313に入力され、所定の倍率で解像
度変換される。
【0298】最終的に、どのレイヤを復号して表示する
かは、外部でユーザーによって設定され、どのレイヤを
表示するかを示すフラグ D_Mがレイヤ選択回路317
に供給される。
【0299】解像度変換回路311乃至313は表示す
るレイヤおよび予測参照レイヤに対する倍率を示すフラ
グFRにより変換倍率を決定する。倍率はより上位のレイ
ヤから決定される。まず、外部より供給される表示する
レイヤを示すフラグに基づき、表示する最上位のレイヤ
の解像度変換倍率を1倍とする。次に、このレイヤが予
測参照するレイヤの倍率は、最上位のレイヤにおいて伝
送される予測参照レイヤに対する倍率FRに基づく。即ち
FR倍となる。さらにこのレイヤが予測参照するレイヤの
倍率は、(このレイヤの倍率)×(このレイヤのFR)と
なる。以下同様にして解像度変換の倍率は決定される。
【0300】解像度変換された画像信号、key 信号、VO
Pの大きさおよび位置を示す信号 FSZ,FPOS はフレーム
メモリ群314乃至316に供給され、記憶された後、
所定の順番で読み出される。
【0301】どのレイヤを表示するかを示すフラグ D_
M は、レイヤ選択回路317に入力される。レイヤ選択
回路317はD_Mに基づき、表示するレイヤについては
スイッチをオンし、演算回路314に供給する。また表
示しないレイヤについてはスイッチをオフし、そのレイ
ヤの復号画像を読み出さない。
【0302】レイヤ選択回路317から供給される画像
信号は、それぞれの key 信号に基づき、演算回路31
4により加算される。そして、図52における画像再構
成回路113で、各VOP再構成回路から供給される画像
信号及び key 信号に基づいて画像信号を再構成し、外
部に出力する。
【0303】図42にVOP再構成回路259の変形構成
例を示す。図42は、符号化時に、各レイヤの画素置換
回路231が fill_mode = "0" として置換処理を行っ
ている場合の構成例である。この場合、fill_mode = "
0" と設定されたレイヤの復号回路からは、画像信号の
みがVOP再構成回路259に供給される。
【0304】VOP再構成回路259に入力された画像信
号は、レイヤ選択回路317に入力される。
【0305】最終的に、どのレイヤを復号して表示する
かは、同様に外部でユーザーによって設定され、どのレ
イヤを表示するかを示すフラグ D_Mがレイヤ選択回路
317に供給される。
【0306】レイヤ選択回路317はD_Mに基づき、表
示するレイヤについてはスイッチをオンし、また表示し
ないレイヤについてはスイッチをオフし、そのレイヤの
復号画像を読み出さない。図42における構成では、ス
イッチは、常に1つのみしかオンされず、その他はオフ
される。
【0307】fill_mode = "0" で符号化すると、図42
のような簡易なVOP再構成回路を実現できる。これによ
ると図41のフレームメモリ群314乃至316が削減
可能であり、コストを下げることが可能である。
【0308】fill_mode = "0" となるのは、例えば図3
8のような場合である。この場合、上位レイヤ(VOL
1,VOL2)のいずれのレイヤについても、復号回路に
おけるフレームメモリ群26には全て同じ領域に対応す
る画像が記録されており、また画素置換が同一位置の解
像度の低い画像信号を用いて行われるため、いずれか1
つのレイヤの画像信号を各フレームメモリ群26から直
接読み出すだけで良い。即ち、復号回路(図40)にお
けるフレームメモリ群26とVOP再構成回路259(図
41)におけるフレームメモリ群314乃至316を共
用することが可能である。
【0309】これに対して、fill_mode = "1" である場
合、例えば図37に示すような例の場合、各レイヤの対
応する領域が必ずしも一致せず、また、画素置換にフレ
ーム内外挿を用いるため、復号回路における予測用フレ
ームメモリ群26とVOP再構成回路259におけるフレ
ームメモリ群314乃至316を共用することが出来な
い。このため図41に示すような構成となる。
【0310】ただし、fill_mode = "0" とすると、予測
用メモリと再構成用メモリを共用してしまっているた
め、画像のオブジェクト単位の編集には不向きである。
例えば、画像の背景のみ別のビットストリームに置き換
えたりするには、VOP再構成回路259を図41に示す
ような構成としたほうが良い。
【0311】従って、符号化効率優先するか、または回
路規模を小さくする場合、fill_mode = "0" として画素
置換を行い、符号化/復号する。また、画像の再編集を
優先する場合、fill_mode = "1" として符号化する。
【0312】次に、第2の実施の形態におけるスケーラ
ブル符号化のシンタクスを、 MPEG4VM(Verification Mo
del) を例にして説明する。第2の実施の形態において
はVOLを除き第1の実施の形態のシンタクスと同様で
ある。
【0313】図43に、VOL のシンタクスを示す。
fill_modeは第1の実施の形態と同様に1ビットのフ
ラグで画素置換方法を示す。これが1である場合、解像
度変換後の下位レイヤの画像を用いて画素の置換を行
う。このフラグは上位レイヤにおいてのみ伝送される。
【0314】enhancement_type は1ビットのフラグ
で、そのレイヤが予測参照するレイヤの一部分であるか
どうかを示すフラグである。これが "1" である場合、
そのレイヤは参照レイヤの画像の一部分であることを示
す。それ以外の場合は "0" となる。
【0315】なお、上記したような処理を行うコンピュ
ータプログラムをユーザに伝送する伝送媒体としては、
磁気ディスク、CD-ROM、固体メモリなどの記録媒体の
他、ネットワーク、衛星などの通信媒体を利用すること
ができる。
【0316】なお、本発明の主旨を逸脱しない範囲にお
いて、様々な変形や応用例が考えられる。従って、本発
明の要旨は、実施の形態に限定されるものではない。
【0317】
【発明の効果】以上のごとく、請求項1に記載の画像信
号符号化装置、請求項に記載の画像信号符号化方法、
および請求項に記載の画像信号伝送方法によれば、上
位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下位レイ
ヤ画像信号の所定の画素値と置換して、参照画像信号を
生成するようにした。
【0318】請求項に記載の画像信号復号装置および
請求項11に記載の画像信号復号方法によれば、フラグ
に従って、すでに復号された上位レイヤ画像信号の画像
物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の所定の画素
値と置換して、置換画像信号を生成するようにした。
【0319】請求項12に記載の画像信号記録媒体によ
れば、上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を
下位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、参照画
像信号を生成するようにした。
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】従って、いずれの場合にも、動きベクトル
検出の効率および符号化効率を向上することが可能とな
る。また、演算コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像信号符号化装置に適用するVOP符
号化回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】上位レイヤと下位レイヤのピクチャの処理を説
明する図である。
【図3】上位レイヤと下位レイヤの画像の関係を説明す
る図である。
【図4】上位レイヤと下位レイヤの画像の関係を説明す
る図である。
【図5】上位レイヤと下位レイヤの画像の関係を説明す
る図である。
【図6】上位レイヤと下位レイヤの画像の関係を説明す
る図である。
【図7】上位レイヤと下位レイヤの画像の関係を説明す
る図である。
【図8】図1の下位レイヤ符号化回路204の構成例を
示すブロック図である。
【図9】図8の画素置換回路221の動作を説明するフ
ローチャートである。
【図10】図9のフローチャートの処理を説明する図で
ある。
【図11】図1の上位レイヤ符号化回路203の構成例
を示すブロック図である。
【図12】上位レイヤと下位レイヤのピクチャの処理を
説明する図である。
【図13】画素置換の処理を説明する図である。
【図14】図11の画素置換回路231の処理を説明す
るフローチャートである。
【図15】画素置換の処理を説明する図である。
【図16】画素置換の処理を説明する図である。
【図17】画素置換の処理を説明するフローチャートで
ある。
【図18】本発明の画像信号復号装置に適用されるVOP
復号回路の構成例を示すブロック図である。
【図19】図18の下位レイヤ復号回路254の構成例
を示すブロック図である。
【図20】図18の上位レイヤ復号回路253の構成例
を示すブロック図である。
【図21】ビットストリームの構成を説明する図であ
る。
【図22】Video Sessionのシンタックスを説明する図
である。
【図23】Video Objectのシンタックスを説明する図で
ある。
【図24】Video Object Layerのシンタックスを説明す
る図である。
【図25】Video Object Planeのシンタックスを説明す
る図である。
【図26】Video Object Planeのシンタックスを説明す
る図である。
【図27】Video Object Planeのシンタックスを説明す
る図である。
【図28】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図29】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図30】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図31】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図32】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図33】空間スケーラブル符号化の例を示す図であ
る。
【図34】本発明の画像信号符号化装置に適用するVOP
符号化回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図35】図34の上位レイヤ1符号化回路203の構
成例を示すブロック図である。
【図36】図35の画素置換回路231の処理を説明す
るフローチャートである。
【図37】下位レイヤ、上位レイヤ1、および上位レイ
ヤ2の画像の関係を説明する図である。
【図38】下位レイヤ、上位レイヤ1、および上位レイ
ヤ2の画像の関係を説明する図である。
【図39】本発明の画像信号復号装置に適用されるVOP
復号回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図40】図39の上位レイヤ1復号回路253の構成
例を示すブロック図である。
【図41】図39のVOP再構成回路259の構成例を示
すブロック図である。
【図42】図39のVOP再構成回路259の他の構成例
を示すブロック図である。
【図43】Video Object Layerのシンタックスを説明す
る図である。
【図44】従来の画像信号符号化装置の構成例を示すブ
ロック図である。
【図45】従来の画像信号復号装置の構成例を示すブロ
ック図である。
【図46】従来の画像信号符号化装置の他の構成例を示
すブロック図である。
【図47】従来の画像信号復号装置の他の構成例を示す
ブロック図である。
【図48】画像の合成を説明する図である。
【図49】画像の合成を説明する図である。
【図50】画像の合成を説明する図である。
【図51】従来の画像信号符号化装置のさらに他の構成
例を示すブロック図である。
【図52】従来の画像信号復号装置のさらに他の構成例
を示すブロック図である。
【図53】図51のVOP符号化回路103−0の構成例
を示すブロック図である。
【図54】図52のVOP復号回路112−0の構成例を
示すブロック図である。
【図55】絶対座標を説明する図である。
【図56】画像オブジェクトを説明する図である。
【図57】画像オブジェクトを説明する他の図である。
【符号の説明】
201 画像信号階層化回路, 202 遅延回路,
203 上位レイヤ符号化回路, 204 下位レイヤ
符号化回路, 205 解像度変換回路, 206 多
重化回路, 251 逆多重化回路, 252 遅延回
路, 253上位レイヤ復号回路, 254 下位レイ
ヤ復号回路, 255 解像度変換回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−70728(JP,A) 特開 平10−84544(JP,A) 特開 平8−294119(JP,A) 画像圧縮方式MPEG4の国際標準化 最前線,日経エレクトロニクス,日本, 1996年 9月 2日,669,p.127− 136 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 7/24 - 7/68 H04N 5/91 - 5/95

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の画像信号をそれぞれ符号化する画
    像信号符号化装置において、 上記複数の画像信号の少なくとも1つは、動きを有する
    画像物体を表す画像信号であり、上記複数の画像信号の
    中の他の画像信号と合成するための信号を含んでおり、 動きを有する画像物体を表す上記画像信号をスケーラブ
    ルに表現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号
    を提供する提供手段と、 上記上位レイヤ画像信号を符号化して、上位レイヤ符号
    化信号を発生する上位レイヤ符号化手段と、 上記下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
    化信号を発生する下位レイヤ符号化手段とを備え、 上記上位レイヤ符号化手段は、 上記上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下
    位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、符号化す
    べき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出するため
    の参照画像信号を生成する生成手段と、 上記参照画像信号を用いて、上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号の動きベクトルを検出する検出手段と、 検出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことに
    より生成された上記符号化すべき上位レイヤ画像信号の
    ための予測画像信号を用いて上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号を符号化する符号化手段とを備えることを特
    徴とする画像信号符号化装置。
  2. 【請求項2】 上記生成手段は、上記上位レイヤ画像信
    号の画像物体の外側の画素値を上記参照画像信号と同時
    刻の下位レイヤ画像信号の対応する位置の画素値と置換
    して、符号化すべき上位レイヤ画像信号の動きベクトル
    を算出するための参照画像信号を生成することを特徴と
    する請求項1に記載の画像信号符号化装置。
  3. 【請求項3】 上記生成手段は、上記上位レイヤ画像信
    号の画像物体の外側の画素値を上記符号化すべき画像信
    号と同時刻の下位レイヤ画像信号の対応する位置の画素
    値と置換して、符号化すべき上位レイヤ画像信号の動き
    ベクトルを算出するための参照画像信号を生成すること
    を特徴とする請求項1に記載の画像信号符号化装置。
  4. 【請求項4】 上記上位レイヤ符号化手段は、置換する
    画像を示すフラグを生成することを特徴とする請求項1
    に記載の画像信号符号化装置。
  5. 【請求項5】 上記生成手段は、第1の置換モードと第
    2の置換モードとを有し、上記第1の置換モードにおい
    ては、上記上位レイヤ画像信号の画像物体の画素値を下
    位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、符号化す
    べき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出するため
    の参照画像信号を生成し、上記第2の置換モードにおい
    ては、上記上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素
    値を上記画像物体内の画素値を用いて外挿処理して、符
    号化すべき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出す
    るための参照画像信号を生成し、そのモードを示すフラ
    グを発生することを特徴とする請求項1に記載の画像信
    号符号化装置。
  6. 【請求項6】 複数の画像信号をそれぞれ符号化する画
    像信号符号化方法において、 上記複数の画像信号の少なくとも1つは、動きを有する
    画像物体を表す画像信号であり、上記複数の画像信号の
    中の他の画像信号と合成するための信号を含んでおり、 動きを有する画像物体を表す上記画像信号をスケーラブ
    ルに表現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号
    を提供する提供ステップと、 上記上位レイヤ画像信号を符号化して、上位レイヤ符号
    化信号を発生する上位レイヤ符号化ステップと、 上記下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
    化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップとを備え、 上記上位レイヤ符号化ステップは、 上記上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下
    位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、符号化す
    べき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出するため
    の参照画像信号を生成するステップと、 上記参照画像信号を用いて、上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号の動きベクトルを検出するステップと、 検出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことに
    より生成された上記符号化すべき上位レイヤ画像信号の
    ための予測画像信号を用いて上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号を符号化するステップとを備えることを特徴
    とする画像信号符号化方法。
  7. 【請求項7】 複数の画像信号をそれぞれ符号化して、
    符号化信号を伝送する画像信号伝送方法において、 上記複数の画像信号の少なくとも1つは、動きを有する
    画像物体を表す画像信号であり、上記複数の画像信号の
    中の他の画像信号と合成するための信号を含んでおり、 動きを有する画像物体を表す上記画像信号をスケーラブ
    ルに表現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号
    を提供する提供ステップと、 上記上位レイヤ画像信号を符号化して、上位レイヤ符号
    化信号を発生する上位レイヤ符号化ステップと、 上記下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
    化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップとを備え、 上記上位レイヤ符号化ステップは、 上記上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下
    位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、符号化す
    べき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出するため
    の参照画像信号を生成するステップと、 上記参照画像信号を用いて、上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号の動きベクトルを検出するステップと、 検出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことに
    より生成された上記符号化すべき上位レイヤ画像信号の
    ための予測画像信号を用いて上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号を符号化するステップと、 置換する画像を示すフラグを生成するステップとを備え
    ることを特徴とする画像信号伝送方法。
  8. 【請求項8】 複数の画像信号をそれぞれ符号化するこ
    とにより生成された符号化信号を受信し、その符号化信
    号を復号する画像信号復号装置において、 上記複数の画像信号の少なくとも1つは、動きを有する
    画像物体を表す画像信号であり、上記複数の画像信号の
    中の他の画像信号と合成するための信号を含んでおり、 上記符号化信号は、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ
    符号化信号、動きベクトル及び置換する画像を示すフラ
    グからなり、 上記符号化信号から、上記上位レイヤ符号化信号、上記
    下位レイヤ画像信号、上記動きベクトル及び上記フラグ
    を分離する分離手段と、 上記下位レイヤ符号化信号を復号し、復号された下位レ
    イヤ画像信号を生成する下位レイヤ復号手段と、 上記上位レイヤ符号化信号を復号し、復号された上位レ
    イヤ画像信号を生成する上位レイヤ復号手段とを備え、 上記上位レイヤ復号手段は、 上記フラグに従って、すでに復号された上位レイヤ画像
    信号の画像物体の外側の画素値を下位レイヤ画像信号の
    所定の画素値と置換して、置換画像信号を生成する置換
    画像生成手段と、 上記動きベクトルを用いて上記置換画像信号を動き補償
    することにより生成された予測画像信号を用いて上記復
    号された上位レイヤ画像信号を生成する生成手段とを備
    えることを特徴とする画像信号復号装置。
  9. 【請求項9】 上記置換画像生成手段は、上記上位レイ
    ヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を上記参照画像信
    号と同時刻の下位レイヤ画像信号の対応する位置の画素
    値と置換して、上記置換画像信号を生成することを特徴
    とする請求項に記載の画像信号復号装置。
  10. 【請求項10】 上記置換画像生成手段は、上記上位レ
    イヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を上記符号化す
    べき画像信号と同時刻の下位レイヤ画像信号の対応する
    位置の画素値と置換して、上記置換画像信号を生成する
    ことを特徴とする請求項に記載の画像信号復号装置。
  11. 【請求項11】 複数の画像信号をそれぞれ符号化する
    ことにより生成された符号化信号を受信し、その符号化
    信号を復号する画像信号復号方法において、上記複数の
    画像信号の少なくとも1つは、動きを有する画像物体を
    表す画像信号であり、上記複数の画像信号の中の他の画
    像信号と合成するための信号を含んでおり、上記符号化
    信号は、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ符号化信
    号、動きベクトル及び置換する画像を示すフラグからな
    り、上記符号化信号から上記上位レイヤ符号化信号、上
    記下位レイヤ画像信号、上記動きベクトル及び上記フラ
    グを分離する分離ステップと、上記下位レイヤ符号化信
    号を復号し、復号された下位レイヤ画像信号を生成する
    下位レイヤ復号ステップと、上記上位レイヤ符号化信号
    を復号し、復号された上位レイヤ画像信号を生成する上
    位レイヤ復号ステップとを備え、上記上位レイヤ復号ス
    テップは、上記フラグに従って、すでに復号された上位
    レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下位レイヤ
    画像信号の所定の画素値と置換して、置換画像信号を生
    成する置換画像生成ステップと、上記動きベクトルを用
    いて上記置換画像信号を動き補償することにより生成さ
    れた予測画像信号を用いて上記復号された上位レイヤ画
    像信号を生成する生成ステップとを備えることを特徴と
    する画像信号復号方法。
  12. 【請求項12】 復号装置によって復号可能な記録信号
    が記録されている画像信号記録媒体において、上記記録
    信号は、複数の画像信号をそれぞれ符号化することによ
    り生成された符号化信号を有し、 上記複数の画像信号の少なくとも1つは、動きを有する
    画像物体を表す画像信号であり、上記複数の画像信号の
    中の他の画像信号と合成するための信号を含んでおり、 上記符号化信号は、上位レイヤ符号化信号、下位レイヤ
    符号化信号、動きベクトル及び置換する画像を示すフラ
    グからなり、 上記符号化信号は、 動きを有する画像物体を表す上記画像信号をスケーラブ
    ルに表現した上位レイヤ画像信号と下位レイヤ画像信号
    を提供する提供ステップと、 上記上位レイヤ画像信号を符号化して、上位レイヤ符号
    化信号を発生する上位レイヤ符号化ステップと、 上記下位レイヤ画像信号を符号化して、下位レイヤ符号
    化信号を発生する下位レイヤ符号化ステップとにより生
    成され、 上記上位レイヤ符号化ステップは、 上記上位レイヤ画像信号の画像物体の外側の画素値を下
    位レイヤ画像信号の所定の画素値と置換して、符号化す
    べき上位レイヤ画像信号の動きベクトルを算出するため
    の参照画像信号を生成するステップと、 上記参照画像信号を用いて、上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号の動きベクトルを検出するステップと、 検出された動きベクトルを用いて動き補償を行うことに
    より生成された上記符号化すべき上位レイヤ画像信号の
    ための予測画像信号を用いて上記符号化すべき上位レイ
    ヤ画像信号を符号化するステップと、 置換する画像を示すフラグを生成するステップとを備え
    ることを特徴とする画像信号記録媒体。
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