JP3318364B2 - 有床義歯の作成方法およびそれに用いる組合せトレー - Google Patents
有床義歯の作成方法およびそれに用いる組合せトレーInfo
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Description
で、患者個々によって異なる顎堤形状を計測し、その計
測した顎堤形状に対応させて、コンピュータを利用して
床および人工歯からなる有床義歯を作成する有床義歯の
作成方法およびその作成方法の実施の際に、上下の顎の
印象を採得するのに用いる組合せトレーに関するもので
ある。
一般に次のような工程を経て作成されていた。即ち、患
者の口腔内を診査する第1工程と、患者の上顎および下
顎の概形印象(大まかな型取り)を採り、その概形印象
から患者に合った形のトレーを作成する第2工程と、そ
のトレーを用いて精密な印象を採得する第3工程(本型
取り)と、その採得された精密印象にもとづいて個々の
患者に合った上下別個の石膏模型を作製し、これらを連
結して上下の咬み合わせを再現するための咬合床を製作
する第4工程と、患者の口腔を見て顎運動の様子を観察
し、その顎運動を上記咬合床で再現して、例えば片当た
りの原因となる傾きなどが有るか否かといった咬合状態
を三次元的に採得し咬合位置を決定する第5工程と、患
者の口腔を見ながら、多種準備されている人工歯の中か
らいずれかを選択する第6工程と、上記石膏模型に基づ
いてワックス製の床を作製し、この床に人工歯を並べて
試適する第7工程と、上記ワックスを溶かしてレジン床
に置き換えることで全部床義歯を完成させる第8工程と
を順次経て、所定の全部床義歯を作成していた。
部床義歯の作成方法においては、最低2回の型取りが必
要である上に、咬合状態の採得およびそれに基づく咬合
の位置決めを行なう必要があるため、所定の全部床義歯
の完成までの間に患者は、第1工程〜第3工程、第5工
程、第6工程および第8工程で作製された義歯を患者に
装填するときの最低6回の来院を要し、また、歯科医は
患者の来院の度毎に患者の口腔内での作業を要するとい
う不便さがあった。また、石膏模型の作製が必要である
ために、診療に付随する技工的操作を要する。
で、患者の必要来院回数の低減および歯科医の口腔内で
の作業の容易化を図ることができるとともに、石膏模型
を不要にした有床義歯の作成方法およびその方法に有効
に使用することができる組合せトレーを提供することを
目的とする。
に、この発明の請求項1に係る有床義歯の作成方法は、
上顎の印象を採る印象材を保持した上トレーと、下顎の
印象を採る印象材を保持した下トレーとを患者の口腔内
に入れて、上顎と下顎の印象を採り、咬合を見ながら上
下トレーを口腔内で固定する工程と、口腔から取り出し
た上下トレーに保持された印象材の形状を、光照射を用
いた三次元計測装置によって非接触で求めて電子データ
化された顎堤形状を得る工程と、コンピュータ上で上記
顎堤形状に対応させて上下の人工歯の形状を示す人工歯
データを設定する工程と、人工歯形状と顎堤形状とを連
結して義歯床の形状を作製する工程と、患者の顎運動を
示す電子データ化された顎運動データを採取する工程
と、上記顎運動データに基づいて、顎の運動状態におい
て、人工歯、床および顎堤に作用する応力を解析する応
力解析工程と、上記解析に基づいて、顎運動に伴う義歯
の安定を保つための最適な咬合接触状態が得られるよう
に、人工歯の形態を修正する工程と、得られた義歯床お
よび人工歯の形状に基づいて有床義歯を製作する工程と
を備えてなるものである。
形成する顎骨および粘膜における応力分布を解析する応
力分布解析工程を備えたり(請求項2)、さらに、その
応力分布解析工程のつぎに、顎骨に適切な機能力を伝達
する人工歯の形態を算出する工程を備える(請求項3)
ことが好ましい。
の作成用組合せトレーは、上顎の印象を採る印象材を保
持する上トレーと、下顎の印象を採る印象材を保持する
下トレーと、これら上下トレーの重合状態で、それらの
間隔を調整可能に設定する間隔調整部材とを備え、上記
間隔調整部材が、下トレーの3ヵ所に形成された雌ねじ
孔にそれぞれ螺合され、先端部を上トレー側に突出させ
て接触させる3つのネジ部材からなるものである。
口腔内に入れることで、上下顎の印象採取と咬合位置の
決定とを同時に行なえるとともに、印象材の形状を光照
射による三次元計測装置によって非接触で行なえるの
で、型取りが1回で済むとともに、石膏模型の作製も不
要にすることができる。さらに、上記の三次元計測装置
によって求めて電子データ化された顎堤形状をコンピュ
ータにインプットすることにより、その顎堤形状に対応
する人工歯データの設定、その人工歯データと顎堤デー
タとの連結による義歯床形状の作製、採取した顎運動デ
ータに基づく人工歯、床および顎堤に作用する応力の解
析ならびに顎運動に伴う義歯の安定を保つための最適な
咬合状態を得るための人工歯の形態修正といった作業
を、全てコンピュータ・モニター上で実行することが可
能である。したがって、患者側に最低2回の来院を強い
るだけで、有床義歯を作成することができる。なお、上
記した患者の顎運動データの採取は、公知の光技術を用
いた手法により行うことができる。
工程に続いて、顎骨および粘膜における応力分布の解析
工程を付加したり、さらには、請求項3のように、その
応力分布の解析工程に続けて顎骨に適切な機能力を伝達
する人工歯の形態を算出する工程を付加することによっ
て、患者個々で相違する顎堤の性状に合った有床義歯を
作成することができる。
患者の口腔内への挿入によって、上下顎の印象採取と咬
合位置の決定とを同時に行なえて、上記の方法の実施に
際しての技工的な作業操作の簡略化、容易化を図れる。
説明する。図1は、この発明による全部床義歯の作成方
法の実施に用いる組合せトレーを示す側面図、図2は図
1の組合せトレーを分解して示す平面図、図3は図1の
底面図であり、同図において、1は樹脂製の上トレー
で、上顎の印象を採るゴムなどの印象材2を保持するも
のである。3は樹脂製の下トレーで、下顎の印象を採る
ゴムなどの印象材4を保持するものである。これら上ト
レー1および下トレー3間には、これらを重合させたと
き、それらの間隔を調整可能に設定するための間隔調整
部材5が設けられている。
うに、下トレー3の前部の1ヵ所および略中央部の左右
各1ヵ所にそれぞれ形成した雌ねじ孔3aに螺合させて
上トレー1側に先端部を突出させた段付きネジ部材5A
と、これらネジ部材5Aの上方への突出部分に螺合する
固定用ナット5Bとからなり、上記ネジ部材5Aの突出
量を調整することで、上下トレー1,3の間隔を調整・
固定可能としている。
を使用して、全部床義歯を作成する方法について、図5
のフローチャートを参照しながら、工程毎に説明する。 第1工程(ステップS11):図1〜図3に示すよう
に、印象材2,4を保持した上下トレー1,3を患者の
口腔内に挿入して、図6で示す上顎Aおよび下顎Bの印
象を採取するとともに、その咬合を見ながら上下トレー
1,3を口腔内で固定する。即ち、上下顎の印象採取後
に、図4に示した間隔調整部材5のネジ部材5Aに対し
てナット5Cの位置を調整することにより咬合高さを調
整した後、上下トレー1,3の対向周縁部間に図7に示
すように、接着性固定材6を注入し硬化させることで上
下トレー1,3を固定する。
取り出した上記上下トレー1,3に保持された印象材
2,4の形状を、例えばレーザ光などの光照射を用いた
三次元計測装置によって非接触で計測して、電子データ
化された顎堤形状を得る。ここで、顎堤とは、図6のC
で示すように、顎骨と粘膜とから形成されるものであ
る。なお、この第2工程において使用する三次元計測装
置としては、例えばマルチスリットレーザとCCDカメ
ラとによる多重露光高速計測装置やスリット光を複数回
投影するパターン投影方式(光切断方式)計測装置など
の従来から周知の装置が用いられるので、具体的な説明
を省略する。
5):上記第3工程で得た顎堤形状の電子データをコン
ピュータに入力して、そのモデル7を図6に示すよう
に、モニター上に三次元的に構築するとともに、そのモ
デル7に対応させて上下の人工歯の形状を示す人工歯デ
ータを設定する。つまり、いくつかの人工歯モデル8の
パターンをモニター上に造形してみて、上記モデル7に
最適な人工歯モデル8を選択し設定する。引き続いて、
人工歯形状のモデル8と顎堤形状のモデル7とを連結し
て義歯床の形状のモデル9を作製する。このとき、モニ
ター上に上記顎堤モデル7および人工歯モデル8の正
面、側面、平面および多数の断面を映出しながら、モデ
ル9の作製を進める。
7):患者の顎運動を示す電子データ化された顎運動デ
ータを採取する。例えば患者の顎の3ヵ所に発光ダイオ
ードを取り付けて、頭骸骨に対する顎の3点の座標を入
力することで、顎の動きを測定し、それを電子データ化
して顎運動データを得る。この顎運動データをコンピュ
ータに入力して、その入力データに基づいて、顎の運動
状態において、人工歯、床および顎堤に作用する応力を
解析する。具体的には、顎の運動状態で各部位に作用す
る応力の分布、集中具合や傾き度などを、二次元および
三次元有限要素法を利用して解析し、データとして保存
する。応力集中が過大である場合、これを緩和する方法
としては、患者の顎堤形態に応じて人工歯の位置または
上下の歯の咬み合う位置を変化させることが有効であ
る。
する顎骨および粘膜における応力分布を解析する。具体
的には、顎堤の形状、粘膜の厚みなどから顎骨に発生す
る応力を予測する。例えば顎骨に発生する応力が大きい
と、次第に骨が痩せてゆき、義歯に動揺(ガタツキ)や
回転(傾き)などを生じることになるので、それを予測
してデータ化するために解析を行なう。顎骨内の応力が
過大である場合、これを抑制する方法としては、義歯の
剛性を高めて、義歯の変形、回転、移動を極力抑制する
ことが有効であることが判明している。義歯の剛性を高
めるには、部分的に厚さを増したり、床の材質を剛性の
高いものに変えるなどの方法がある。
程での応力分布の解析結果により得られたデータに基づ
いて、顎骨に適切な機能力、つまり、噛むときの力を伝
達する人工歯の形態を算出する。
な各解析結果に基づいて、顎運動に伴う義歯の安定を保
つための最適な咬合接触状態が得られるように、人工歯
の形態を修正する。具体的には、顎が水平に大きく動く
患者の場合は、咬合接触面を広くとり、顎が上下にのみ
動く患者の場合は、咬合接触面を狭くとるなどといった
ように、患者個々の顎の運動状態に合わせて、いくつか
のパターンの人工歯モデルを入力し、それをモニター上
で修正する。
程で得た顎堤形状のデータ、義歯床のデータおよび人工
歯のデータを基に、周知の光造形の技術を使用して光硬
化性樹脂にレーザ光を当てて義歯床および人工歯からな
る全部床義歯を作製する。同様に、部分床義歯において
も、金属に置き換える部分を光重合レジンで形成し、こ
れを原型として、通常の方法により埋没鋳造するか、ま
たは、直接金属を削り出すことにより作成することがで
きる。
色したり、あるいは、樹脂の中にレーザの波長により発
光する物質を混入しておいて、波長の変化により、例え
ば歯の部分のみ白く発色させるなどの色彩を施すといっ
たように着色する。
人工歯の作製は、自動機械加工法による樹脂の削り出し
加工であってもよく、また、紫外線硬化性樹脂を用い、
これに紫外線を照射して義歯床および人工歯を作製して
もよい。さらに、第8工程で得られた全部床義歯を原型
(陽型)として、これから鋳造によって全部義歯床を作
成するか、または、第8工程において顎堤形状、義歯床
および人工歯の各データを基に鋳型(陰型)を作製し、
これから全部床義歯を鋳造するようにしてもよい。
製後に、歯の部分を削って、そこに光で重合するレジン
などの白い物質を詰めて着色してもよい。また、上記第
8工程において、義歯の表面層(歯側)と裏面層(顎堤
側)とを、光造形法や機械的削り出しによって、透明樹
脂で別個に製作しておき、これらを重さね合わせて、両
層間に形成される中空部に、患者の歯や歯肉に適合した
色のレジンを流し込むことにより、義歯を着色すること
もできる。その際、義歯床の部分は歯肉に適合した色の
レジンを、人工歯の部分は歯に適合した色のレジンを注
入する。このような中空構造にすると、中実の義歯を造
るよりも短時間で義歯を製作する第8工程を実行できる
利点もある。
床義歯の作成方法において、患者が歯科医院に来院する
必要があるのは、第1工程と第8工程で作製された義歯
を患者に装填するときの2回だけである。また、従来型
取りのために必要であった石膏模型の作製が不要になる
ために、診療に付随する技工的操作がなくなる。
ことによって、患者個々の顎堤性状に一層よくマッチし
た全部床義歯を作成することができる。
たが、この発明は、部分床義歯にもそのまま適用でき
る。部分床義歯の場合には、例えば上記第8工程におい
て部分床義歯を光造形する際に、金属に置き換える部分
を光重合レジンで形成し、これを原型として、通常の方
法により埋没鋳造するか、または、直接金属を削り出す
ことにより作成することができる。
スガード、咬合挙上板、バイトプレーンなどの作成にも
応用できる。その場合、人工歯の作成に関連する工程を
除いて、この発明の各工程を実行する。
ば、上下トレーを患者の口腔内に入れることで、上下顎
の印象採取と咬合位置の決定とを同時に行なえるととも
に、印象材の形状を光照射による三次元計測装置によっ
て非接触で行なえるので、型取りが1回で済む。また、
石膏模型の作製が不要になるので、診療に付随する技工
的操作が簡略化される。さらに、上記の三次元計測装置
によって求めて電子データ化された顎堤形状をコンピュ
ータにインプットすることにより、その顎堤形状に対応
する人工歯データの設定、その人工歯データと顎堤デー
タとの連結による義歯床形状の作製、採取した顎運動デ
ータに基づく人工歯、床および顎堤に発生する応力の解
析ならびに顎運動に伴う義歯の安定を保つための最適な
咬合状態を得るための人工歯の形態修正といった作業の
全てを、コンピュータ・モニター上で実行することがで
きるので、患者の来院回数を著しく低減できる。
工程に続いて、顎骨および粘膜における応力分布の解析
工程を付加したり、さらには、請求項3のように、その
応力分布の解析工程に続けて顎骨に適切な機能力を伝達
する人工歯の形態を算出する工程を付加する場合は、患
者個々で相違する顎堤性状に合った全部床義歯を確実に
作成し、義歯の使用感を一層快適にすることができる。
腔内への挿入によって、上下顎の印象採取と咬合位置の
決定とを同時に行なえて、上記の方法の実施に際しての
技工的な作業操作の簡略化、容易化を図ることができ
る。
する組合せトレーを示す側面図である。
る。
成を示す要部の拡大断面図である。
トである。
および人工歯のモデルを示す図である。
説明する要部の断面図である。
…間隔調整部材、5A…ネジ部材、5C…固定用ナッ
ト、7…顎堤形状のモデル、8…人工歯モデル、9…義
歯床のモデル。
Claims (4)
- 【請求項1】 上顎の印象を採る印象材を保持した上ト
レーと、下顎の印象を採る印象材を保持した下トレーと
を患者の口腔内に入れて、上顎と下顎の印象を採り、咬
合を見ながら上下トレーを口腔内で固定する工程と、 口腔から取り出した上下トレーに保持された印象材の形
状を、光照射を用いた三次元計測装置によって非接触で
求めて電子データ化された顎堤形状を得る工程と、 コンピュータ上で上記顎堤形状に対応させて上下の人工
歯の形状を示す人工歯データを設定する工程と、 人工歯形状と顎堤形状とを連結して義歯床の形状を作製
する工程と、 患者の顎運動を示す電子データ化された顎運動データを
採取する工程と、 上記顎運動データに基づいて、顎の運動状態において、
人工歯、床および顎堤に作用する応力を解析する応力解
析工程と、 上記解析に基づいて、顎運動に伴う義歯の安定を保つた
めの最適な咬合接触状態が得られるように、人工歯の形
態を修正する工程と、 得られた義歯床および人工歯の形状に基づいて有床義歯
を製作する工程とを備えてなる有床義歯の作成方法。 - 【請求項2】 請求項1において、上記応力解析工程の
つぎに、顎堤を形成する顎骨および粘膜における応力分
布を解析する応力分布解析工程を備えた有床義歯の作成
方法。 - 【請求項3】 請求項2において、上記応力分布解析工
程のつぎに、顎骨に適切な機能力を伝達する人工歯の形
態を算出する工程を備えた有床義歯の作成方法。 - 【請求項4】 上顎の印象を採る印象材を保持する上ト
レーと、下顎の印象を採る印象材を保持する下トレー
と、これら上下トレーの重合状態で、それらの間隔を調
整可能に設定する間隔調整部材とを備え、 上記間隔調整部材が、下トレーの3ヵ所に形成された雌
ねじ孔にそれぞれ螺合され、先端部を上トレー側に突出
させて接触させる3つのネジ部材からなる 組合せトレ
ー。
Priority Applications (1)
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JP25909792A JP3318364B2 (ja) | 1992-09-01 | 1992-09-01 | 有床義歯の作成方法およびそれに用いる組合せトレー |
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JP25909792A JP3318364B2 (ja) | 1992-09-01 | 1992-09-01 | 有床義歯の作成方法およびそれに用いる組合せトレー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=17329283
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JP25909792A Expired - Fee Related JP3318364B2 (ja) | 1992-09-01 | 1992-09-01 | 有床義歯の作成方法およびそれに用いる組合せトレー |
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- 1992-09-01 JP JP25909792A patent/JP3318364B2/ja not_active Expired - Fee Related
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