JP3317344B2 - 遅延最適化装置並びに記録媒体 - Google Patents

遅延最適化装置並びに記録媒体

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JP3317344B2
JP3317344B2 JP11004099A JP11004099A JP3317344B2 JP 3317344 B2 JP3317344 B2 JP 3317344B2 JP 11004099 A JP11004099 A JP 11004099A JP 11004099 A JP11004099 A JP 11004099A JP 3317344 B2 JP3317344 B2 JP 3317344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、論理回路の遅延最
適化に関し、特に、順序回路の遅延最適化方法を実現す
るための装置、並びにプロセッサ等に当該処理を実行さ
せることのできるプログラムを記録した記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】論理回路の遅延最適化には、大別して、
2つの手法、即ち、フリップフロップやラッチを含む順
序回路を対象として遅延の最適化を行う手法と、フリッ
プフロップやラッチの間に存在する組み合わせ回路部分
のみを対象として遅延の最適化を行う手法がある。
【0003】このうち、前者の遅延最適化手法の例とし
ては、特開平6−290232号公報に開示されている
もの(以下、従来例1)が挙げられる。従来例1に記載
された遅延最適化手法は、リタイミングという方法を採
用してなるものである。ここで、リタイミングとは、フ
リップフロップの位置を変更することにより、最悪遅延
を改善しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来例1
の遅延最適化手法によれば、フリップフロップの位置変
更により、問題が生じることとなっていた。
【0005】即ち、フリップフロップを含む順序回路に
おいて正しく論理を動作させるためには、フリップフロ
ップの動作を把握することが非常に重要である。詳しく
は、設計者側において、フリップフロップにおけるレー
シングの発生等をおさえるために、フリップフロップへ
のデータ入力のタイミング等について、把握している必
要がある。しかしながら、従来例1の遅延最適化手法に
おいては、その論理解析の中心たるフリップフロップの
位置を変更することとしている。そのため、設計当初の
論理回路と最適化後の論理回路とでは、当然の如く、フ
リップフロップの動作が変わることとなり、その結果、
当初の論理回路を設計した人が最適化後の論理回路の論
理解析を行おうとするときに対応がとり難く、また、一
から論理解析を行わなければならないなどの問題が生じ
ていた。
【0006】そこで、本発明は、従来の手法とは異な
る、遅延最適化の手法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために、入力側の組合せ回路に遅延制約上の
余裕があり、且つ、出力側の組合せ回路に遅延制約違反
があるようなフリップフロップを、レベルセンシティブ
ラッチに置き換えることにより、フリップフロップにデ
ータ(入力信号)が入力されてからフリップフロップが
当該データを保持するまでの時間を出力側組合せ回路へ
割当てて、出力側組合せ回路における遅延制約違反を解
消することとした。
【0008】詳しくは、本発明は、クロックにおける第
1レベルから第2レベルへの変化時のエッジに応じて入
力されるデータを保持するフリップフロップと、組合せ
回路とを備える順序回路における遅延を最適化するため
に、次のような遅延最適化装置を提供する。
【0009】即ち、本発明による遅延最適化装置におい
ては、まず、条件判定手段が、特定の一のフリップフロ
ップに着目し、当該特定のフリップフロップが第1及び
第2の双方の条件を満たしているか否かを判定する。こ
こで、第1の条件とは、当該特定のフリップフロップの
入力側組合せ回路における遅延が設計上要求される制約
を所定の余裕をもって満たしていることであり、第2の
条件とは、当該フリップフロップの出力側組合せ回路に
おける遅延が前記制約に違反していることである。かか
る条件を満たす特定のフリップフロップがあった場合、
ラッチ変換手段は、当該特定フリップフロップを、クロ
ックが第1のレベルを示している際の入力データを出力
側にスルーする第1のレベルセンシティブラッチに置き
換える。より具体的には、例えば、フリップフロップが
クロックの立ち上がりエッジに応じて入力データを保持
するものである場合、第1のレベルセンシティブラッチ
は、クロックがローレベルの際の入力データを出力側に
スルーする、いわゆるローアクティブのラッチとなる。
逆に、フリップフロップがクロックの立ち下がりエッジ
に応じて入力データを保持するものである場合、第1の
レベルセンシティブラッチは、いわゆるハイアクティブ
のラッチとなる。
【0010】また、本発明によれば、上述した遅延最適
装置であって、前記出力側組合せ回路の後段に前記特
定のフリップフロップとは異なる他のフリップフロップ
が存在するか否かを判定し、当該他のフリップフロップ
が存在する場合には、第2のレベルセンシティブラッチ
を挿入するラッチ挿入手段を更に備える遅延最適化装置
が得られる。ここで、第2のレベルセンシティブラッチ
とは、クロックが第2のレベルを示している際の入力デ
ータを出力側にスルーするラッチであり、第1のレベル
センシティブラッチがローアクティブのラッチであるな
らば、ハイアクティブのラッチとなる。また、第2のレ
ベルセンシティブラッチの挿入される位置は、前記第1
のレベルセンシティブラッチと前記他のフリップフロッ
プとの間の所定位置である。詳しくは、上記ラッチ挿入
手段は、前記第1のレベルセンシティブラッチが入力デ
ータをスルーした際の前記第1のレベルを特定の第1レ
ベルとし、クロックサイクルにおいて当該特定の第1レ
ベルの直後に続く前記第2のレベルを特定の第2レベル
とし、クロックが当該特定の第2レベルを示している時
間を特定時間とした場合に、前記出力側組合せ回路中に
おいて、前記特定時間に最悪遅延が来るような位置を検
索し、当該検索した位置を前記所定位置として、その所
定位置に第2のレベルセンシティブラッチを挿入する。
【0011】上述した遅延最適化装置は、一のフリップ
フロップに着目すると共に、その前後に接続された第1
及び第2の条件を満たす入力側組合せ回路及び出力側組
合せ回路に着目して、記載されている。
【0012】これに対して、次に掲げる遅延最適化装置
は、フリップフロップの出力側に遅延制約を満たしてい
る他の組合せ回路がある場合についても考慮したもので
ある。換言すれば、かかる遅延最適化装置は、上述した
遅延最適化装置であって、前記置き換えられた第1のレ
ベルセンシティブラッチの後段に、前記出力側組合せ回
路とは異なる他の出力側組合せ回路が存在し、且つ、当
該他の出力側組合せ回路に違反がなかった場合を前提と
するものであると言える。この「他の組合せ回路」と
「出力側組合せ回路」とは、適宜、一の組合せ回路を分
割して得られるものであっても良い。
【0013】当該遅延最適化装置においては、上記ラッ
チ挿入手段は、当該他の出力側組合せ回路の後段に更
に、前記特定のフリップフロップとは異なる他のフリッ
プフロップが存在するか否かを判定し、当該他のフリッ
プフロップが存在する場合には、前記第1のレベルセン
シティブラッチと前記他の出力側組合せ回路との間に、
クロックが第2のレベルを示している際の入力データを
出力側にスルーする第2のレベルセンシティブラッチを
挿入する
【0014】これら本発明の概念は、装置としても具現
化することができる。また、コンピュータ等の情報処理
装置とソフトウェアとの組合せにより、当該装置と同等
の機能を有するようにすることも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
遅延最適化方法を採用してなる遅延最適化装置について
図面を参照して詳細に説明する。
【0016】本実施の形態による遅延最適化装置は、順
序回路における遅延最適化を図るためのものであり、よ
り具体的には、最適化前においてフリップフロップを含
んで構成される順序回路を対象として、必要に応じて、
フリップフロップをラッチに変換するものである。尚、
以下においては、フリップフロップとして、クロックの
立ち上がりエッジに応じて入力データ(入力信号)を保
持するものについて説明する。
【0017】かかる遅延最適化装置は、図1に示される
ように、概略、入力装置1、データ処理装置2、記憶装
置3、出力装置4を備えている。ここで、入力装置1
は、例えば、キーボードやマウスなどであり、出力装置
4は、ディスプレイ装置等である。データ処理装置2
は、制御部21、回路情報入力部22、遅延解析部2
3、条件判定部24、ラッチ変換部25、ラッチ挿入部
26及び回路情報出力部27とを備え、記憶装置3は、
入力論理回路情報格納部31、内部データベース(D
B)32、出力論理回路情報格納部33、ライブラリ格
納部34及び遅延制約情報格納部35を備えるものであ
る。記憶装置3の備える各構成要素は、個々に独立した
記憶手段であっても良いし、一の記憶装置の所定の領域
を割当てることにより構成しても良い。特に、内部DB
は、後述するように、その格納する内容が変わるもので
あるから、別個の記憶手段として設けることとしても良
い。
【0018】詳しくは、入力論理回路情報格納部31
は、入力論理回路情報を格納するものである。入力論理
回路情報とは、遅延最適化の対象となる順序回路の当初
の回路構成(以下、入力論理回路という。)等に関する
情報である。内部DB32は、処理対象たるデータを一
時的に格納するものであり、具体的には、入力論理回路
情報をデータ処理装置2が扱い易いように加工してなる
ものを初期のデータとして、後述するように、遅延解析
部23等の処理により、内容を更新されるものである。
内部DB32の有するデータ構造としては、例えば、入
力論理回路中に含まれる各論理素子の情報及びそれらの
接続状況、並びに後述する遅延解析部による遅延解析結
果等を格納するためのフィールドを有するものが挙げら
れる。
【0019】出力論理回路情報格納部33は、本実施の
形態による遅延最適化装置により最適化された論理回路
の情報(出力論理回路情報)を格納するためのものであ
る。
【0020】ライブラリ格納部34は、入力論理回路中
に含まれる各論理回路素子、フリップフロップ(F
F)、ローアクティブ及びハイアクティブのラッチ(L
L及びHL)に関する遅延情報(データを出力するのに
要する出力遅延や、FFにおけるセットアップ時間な
ど)をライブラリとして格納する。一方、遅延制約情報
格納部35は、設計上の遅延の制約に関する遅延制約情
報を格納する。具体的には、クロックサイクル等のクロ
ックに関する情報や、最適化の対象たる入力論理回路に
おける外部とのインタフェースに相当する部分の遅延情
報を格納する。これら、ライブラリ及び遅延制約情報の
内容、並びに遅延解析部23の動作等については、以下
に示す本実施の形態中の説明のみならず、後述する実施
例においても詳細な説明がなされる。
【0021】一方、データ処理装置2における各構成要
素は、それぞれ、次のようなものである。
【0022】すなわち、回路情報入力部22は、入力論
理回路情報格納部31からの入力論理回路情報を受け
て、前述したように、遅延解析部23等が処理し易いよ
うに加工してなるデータを、内部DB32に設定する。
【0023】遅延解析部23は、内部DBに格納してあ
るデータで表される論理回路に関し、ライブラリ格納部
34及び遅延制約情報格納部35に格納されたライブラ
リ及び遅延制約情報に基づいて、遅延計算等を行う。よ
り具体的には、論理回路中の各論理回路素子における到
着時間及び必要時間(required time)等
を計算し、その値を内部DB32に格納されるデータに
加えるようにして、データ更新を行う。一般には、到着
時間とは、各論理回路素子などにデータが到着する時間
をいい、必要時間とは、データパス上の遅延等を考慮し
た上で、いつまでに到着しなければならないかを示す時
間をいう。この遅延解析部23による遅延解析結果に従
い、一のフリップフロップの前段及び後段に接続される
組合せ回路を、遅延制約を満足する組合せ回路と遅延制
約違反のある組合せ回路とに分類することができる。
【0024】条件判定部24は、内部DB32に格納し
てあるデータで示される論理回路に含まれる全てのフリ
ップフロップについて、各フリップフロップ毎に、次の
ような処理を行う。即ち、条件判定部24は、特定の一
のフリップフロップに着目し、当該特定のフリップフロ
ップが第1及び第2の条件の双方を満たしているか否か
を判定する。ここで、第1の条件とは、当該特定のフリ
ップフロップの入力側に位置する組合せ回路における遅
延が、設計上要求される制約を所定の余裕をもって満た
していることである。一方、第2の条件とは、当該フリ
ップフロップの出力側に位置する組合せ回路における遅
延が、制約に違反していることである。
【0025】ラッチ変換部25は、条件判定部24にお
ける判定結果に従い、第1及び第2の条件を満たす特定
のフリップフロップ(FF)を、ローアクティブのラッ
チ(LL)に変換する。このローアクティブのラッチ
は、クロックがローレベルを示している際に入力される
データを、出力側にスルーするものであり、クロックが
ハイレベルに変化した際にはデータロックし、その後ハ
イレベル中に入力データの変動があっても出力データの
変動しないものである。
【0026】ラッチ挿入部26は、MIN遅延保証(最
良遅延保証)を行うために、必要に応じて、ハイアクテ
ィブのラッチ(HL)を挿入するものである。特定のフ
リップフロップをローアクティブのラッチに変換してし
まうと、特定のフリップフロップにおけるデータ保持ま
での時間を、その後段に接続された出力側組合せ回路に
貸し出すことができる一方、MIN遅延保証を満足でき
なくなる場合がある。即ち、当該出力側組合せ回路の更
に後段に接続されたフリップフロップ(以下、他のフリ
ップフロップという。)があった場合、他のフリップフ
ロップにおけるデータ保持のタイミングは、特定のフリ
ップフロップからのデータ出力のタイミング等により定
められているのであるが、特定のフリップフロップがラ
ッチ変換されてしまうことにより、その起点となるタイ
ミングがずれ、結果として、他のフリップフロップにお
いて本来保持すべきデータとは異なるデータを保持する
こととなってしまうおそれがある。これを防ぐべく、ラ
ッチ挿入部26は、かような他のフリップフロップがあ
る場合には、ハイアクティブのラッチを、ローアクティ
ブのラッチと他のフリップフロップとの間の所定位置に
挿入する。
【0027】詳しくは、ラッチ挿入部26は、まず、変
換されたローアクティブのラッチがデータをスルーした
際のローレベルの直後に続くハイレベルが供給される時
間について考慮し、その時間中に最悪遅延時間が属する
ような位置を、ラッチ変換前に遅延制約違反を有してい
た出力側組合せ回路中にて検索する。このようにして、
検索された位置が、ハイアクティブのラッチの挿入され
る所定位置となる。この処理は、その内容から理解され
るように、ラッチ変換前に遅延制約を有していた出力側
組合せ回路に対するものである。
【0028】これに対して、ローアクティブのラッチの
後段に、もともと遅延制約を満足していた組合せ回路
(以下、他の組合せ回路という。)も接続されているこ
ともあり、更に、当該他の組合せ回路の後段にもフリッ
プフロップが配置されている場合がある。かかる場合に
は、ラッチ挿入部26は、ローアクティブのラッチの直
後にハイアクティブのラッチを挿入する。即ち、この際
にラッチの挿入される所定位置は、ローアクティブのラ
ッチと他の組合せ回路との間である。
【0029】回路情報出力部27は、ラッチ変換部25
及びラッチ挿入部26により処理された後のデータを内
部DB32から受けて、出力論理回路情報として出力論
理回路情報格納部33に格納する。
【0030】制御部21は、回路情報入力部22、遅延
解析部23、条件判定部24、ラッチ変換部25、ラッ
チ挿入部26、回路情報出力部27の動作の順番等を制
御する。この制御部21の制御により、上述した回路情
報入力部等は、次のような一連の動作を行う。
【0031】以下、図2を主として、図3乃至図7を参
照しながら、上述した遅延最適化装置の動作について説
明する。
【0032】まず、回路情報入力部22により、入力論
理回路情報格納部31に格納されている入力論理回路情
報の読出が行われ、所定の形式にデータ変換されて、内
部DB32にその変換されたデータが設定される(ステ
ップS101)。ここで、入力論理回路情報は、図3に
示されるようなフリップフロップ51〜56と組合せ回
路61及び62とからなる論理回路に関するものであ
り、図4に示されるようにクロックサイクルがt3−t1
であるようなクロックに従って動作するものであるとす
る。図3及びそれ以降の図において、フリップフロップ
はFFとして示されている。また、実際には、論理回路
の外部とのインターフェイスも存在するが、本実施の形
態においては参照を要しないので、図3及びそれ以降の
図においては、それらを省略してある。尚、組合せ回路
61及び61は、例えば、AND,OR,インバータ、
バッファと、それらを複合した論理回路素子の集合とし
て構成されている。
【0033】次いで、遅延解析部23により、各フリッ
プフロップに対して、遅延制約の設定が行われる(ステ
ップS102)。詳しくは、遅延解析部23は、遅延制
約情報格納部35に格納された遅延制約情報とライブラ
リ格納部34に格納されたライブラリとを参照し、各フ
リップフロップにおける入力側の必要時間と出力側の到
着時間とを設定する。
【0034】続いて、遅延解析部23は、全ての論理回
路素子の到着時間及び必要時間の計算を行う(ステップ
S103)。詳しくは、ステップS102で設定したフ
リップフロップの到着時間を起点として、後段に向かっ
て遅延時間を加算していくことにより、各論理回路素子
における到着時間を算出する。また、ステップS102
において設定したフリップフロップの必要時間を起点と
して、前段に向かって遅延時間を減算していくことによ
り、各論理回路素子における必要時間を算出する。この
ようにして、全ての論理回路素子について遅延解析を行
うことにより、図3に示される回路を、図5に示される
ような回路であると考えることができる。即ち、遅延解
析部23は、図3に示される組合せ回路61を組合せ回
路611と遅延制約に余裕のある組合せ回路612とに
分類することができ、また、組合せ回路62を遅延制約
を満足する組合せ回路621と遅延制約に違反する組合
せ回路622とに分類することができる。
【0035】次いで、条件判定部24が遅延解析結果に
基づいて、前述の第1及び第2の条件の双方を満たすフ
リップフロップの判定を行う(ステップS104)。こ
の判定の結果、フリップフロップ52は、入力側組合せ
回路612が遅延制約に余裕のあるものであり、且つ、
出力側組合せ回路622が遅延制約に違反しているもの
であることから、第1及び第2の条件の双方を満たすも
のであると判定される。同様に、フリップフロップ53
も第1及び第2の条件の双方を満たすものであると判定
される。
【0036】ステップS104における判定の結果、ラ
ッチに変換する候補が見つかった場合、ラッチ変換部2
5は、変換候補たるフリップフロップをローアクティブ
ラッチに変換する(ステップS105)。この結果、図
6に示されるような論理回路が得られる。尚、図6及び
それ以降の図において、ローアクティブラッチは、LL
として示されている。
【0037】その後、再び遅延解析部23において遅延
解析が行われ(ステップS106)、遅延制約違反が解
消されているか否かについて判断が下される(ステップ
S107)。
【0038】遅延解析部23により遅延制約違反が改善
されていた場合、図7に示されるように、ラッチ挿入部
26によるハイアクティブラッチの挿入が行われる(ス
テップS108)。尚、図7及びそれ以降の図におい
て、ハイアクティブラッチはHLで示されている。
【0039】詳しくは、ローアクティブラッチ71及び
72に接続された組合せ回路622の後段には、他のフ
リップフロップ56が更に接続されている。また、組合
せ回路622の後段には、組合せ回路621を介して、
他のフリップフロップ54及び55も接続されている。
しかも、組合せ回路622は、ラッチ変換前において遅
延制約違反のあった回路である。したがって、ラッチ挿
入部26は、前述したように、組合せ回路622におけ
る最悪遅延の変化から、図7に示されるような所定の位
置を求める。詳しくは、ラッチ挿入部26は、ローアク
ティブのラッチ71及び72が図4に示されるクロック
サイクルにおいてt2−t3間にデータスルーしたのであ
れば、t3−t4間に最悪遅延が来るような位置を所定位
置として求める。図7に示された例において、所定の位
置は、組合せ回路622を組合せ回路6221及び62
22に分割する位置である。このようにして所定位置を
求めた後、ラッチ挿入部26は、その所定位置に、ハイ
アクティブラッチ83(84)を挿入する。
【0040】更に、図6に示されるように、ローアクテ
ィブラッチ71及び72の後段には、遅延制約をもとも
と満足していた組合せ回路621が接続されており、更
に後段には、他のフリップフロップ54及び55が接続
されている。そこで、ラッチ挿入部26は、図7に示さ
れるように、ローアクティブラッチ71及び72と組合
せ回路621との間に、ハイアクティブラッチ81及び
82を挿入する。ラッチ挿入処理(ステップS108)
が終わったら、再びステップS103に戻り、遅延解析
を行い(ステップS103)、変換候補がなくなるまで
(ステップS104)、上記一連の処理を繰り返す。
【0041】一方、ステップS107において、ラッチ
変換した結果について遅延解析を行い、遅延が改善して
いるか否か判断した結果、遅延が改善されていなかった
場合、ローアクティブラッチをもとのフリップフロップ
に戻し(ステップS109)、他の変換候補があるか否
か判定する(ステップS110)。判定の結果、変化候
補が見つかった場合には、再度、ステップS105に戻
り、上述した処理を繰り返す。
【0042】ステップS104において変換候補が見つ
からなくなった場合、若しくは、ステップS110にお
いて変換候補が見つからなかった場合には、その時点で
内部DB32に格納されているデータに従って、回路情
報出力部27が出力論理回路情報を生成し、出力論理回
路情報格納部33に出力し(ステップS111)、遅延
最適化処理を終了する。
【0043】以上、図1に示される遅延最適化装置にお
ける動作処理について説明してきたが、これを、プログ
ラムに従う処理を実行するコンピュータ等の情報処理装
置と、順路回路における遅延を最適化するための遅延最
適化プログラムとで構成することとしても良い。
【0044】詳しくは、たとえば、立ち上がりエッジに
応じて入力されるデータを保持するフリップフロップと
組合せ回路とを備える順序回路における遅延を最適化す
るために、遅延最適化プログラムは、次の2つの処理:
1)特定の一のフリップフロップが前述の第1及び第2
の条件との双方を満たしているか否かを判定する条件判
定処理と、2)特定のフリップフロップが第1及び第2
の条件の双方の条件を満たしている場合に、当該特定フ
リップフロップを、ローアクティブラッチに置き換える
ラッチ変換処理とをコンピュータに実行させることので
きる命令を備える。この遅延最適化プログラムは、コン
ピュータの読取可能な記録媒体に記録され、コンピュー
タは、この記録媒体に記録された遅延最適化プログラム
を読込むことにより、先の遅延最適化処理を実行する。
【0045】この遅延最適化プログラムが、ラッチ挿入
処理をコンピュータに実行させる命令をも含んでいても
良いことは、上述した実施の形態から容易に理解される
であろう。
【0046】
【実施例】次いで、上述した実施の形態における遅延最
適化の動作処理について、更なる理解を深めるべく、図
8乃至図13を参照して、本発明の実施例について説明
する。
【0047】図8を参照すると、本実施例における処理
対象の論理回路が示されている。図8に示される論理回
路は、フリップフロップ5a〜5jと、論理回路素子
(ゲート)9a〜9oを備えている。ゲート9a〜9h
及び9i〜9oは、組合せ回路を構成している。また、
ゲート9a,9c,9e,9f,9g,9h,9i,9
及び9nは、ANDゲートであり、他のゲートはOR
ゲートである。
【0048】かかる論理回路を入力論理回路として遅延
最適化をするにあたっては、上述の通り、まず、回路情
報入力部22により入力論理回路情報の読出が行われ、
内部DBへの設定が行われ、遅延解析部23による遅延
解析が行われる。
【0049】遅延解析部23による遅延解析は、条件判
定部24における条件判定の前提として行われるもので
あり、条件判定部24における条件判定は、下記数1式
に示される余裕度が正であるか負であるかを判定するこ
とにより行われる。
【0050】
【数1】 (1)式を参照すれば理解されるように、条件判定にあ
たっては、各ゲート等における到着時間と必要時間とを
算出する必要があり、そのために、遅延解析部23は、
まず、その計算の起点となるフリップフロップの出力側
到着時間と入力側必要時間との設定を行う必要がある。
【0051】以下、この設定及び各ゲートにおえる到着
時間及び必要時間の算出について式を用いて説明する
が、式を簡略化するために、各式においては、次のよう
な変数を用いる。まず、tarrivalは到着時間であり、
requiredは必要時間である。tcycleは、クロックサ
イクルであり、本実施例においては、8.0nsである
として計算する。tskewは、クロックスキューであり、
本実施例においては、1.0nsであるとして計算す
る。tsetupは、フリップフロップのセットアップ時間
であり、本実施例においては、1.0nsであるとして
計算する。tflip-flopは、フリップフロップにおける
遅延時間であり、本実施例においては、1.0nsであ
るとして計算する。tgateは、ゲートにおける入力ピン
から出力ピンに至るまでのデータ遅延時間であり、本実
施例においては、2.0nsであるとして計算する。t
latchは、ラッチにおける遅延時間であり、本実施例に
おいては、0.5nsであるとして計算する。尚、本実
施例においては、ローアクティブラッチ及びハイアクテ
ィブラッチの遅延時間が等しく、いずれもtlatchであ
るとしているが、これらが異なる場合には、下記数式は
それに応じて変形されることは言うまでもない。また、
これら具体的な値を用いて計算した結果は、図9、図1
0及び図12に随時示される。ここで、これら図におい
て、各ゲート等における到着時間と必要時間の関係は、
「到着時間/必要時間」として示してあり、特に、フリ
ップフロップやラッチにおいては、上段を出力側の「到
着時間/必要時間」とし、下段を入力側「到着時間/必
要時間」として示してある。
【0052】これらを踏まえた上で、まず、遅延解析部
23は、ライブラリを参照して、下記数2式に従い、フ
リップフロップの出力側到着時間を算出する。これによ
り、本実施例におけるフリップフロップの出力側到着時
間は、1nsとなり、この値が各フリップフロップの出
力側到着時間として設定される。
【0053】
【数2】 また、遅延解析部23は、遅延制約情報及びライブラリ
を参照して、下記数3式に従い、フリップフロップの入
力側必要時間を算出する。これにより、本実施例のおけ
るフリップフロップの入力側必要時間は、6nsとな
り、この値が各フリップフロップの入力側必要時間とし
て設定される。
【0054】
【数3】 これらフリップフロップの出力側到着時間及び入力側必
要時間が設定されると、次いで、遅延解析部23は、論
理回路の入力側から出力側に向かって、下記数4式乃至
数6式に従い、各ゲート等における到着時間を順に算出
していく。
【0055】
【数4】
【0056】
【数5】
【0057】
【数6】 フリップフロップ5aからフリップフロップ5dに至る
パスを例にとり説明すると、まず、フリップフロップ5
a及び5bにおける出力側到着時間は、いずれも、1n
sであることから、ゲート9aにおける到着時間は、1
+2=3nsとなる。
【0058】次いで、ゲート9eに着目すると、その入
力は、ゲート9a及びフリップフロップ5cから来てお
り、(5)式及び(4)式に従うと、それぞれ、5ns
及び3nsとなる。このように、経路によって到着時間
が異なる場合には、算出される到着時間のうち、最大の
ものを選択する。したがって、ゲート9eには、5ns
が設定される。
【0059】ゲート9eの出力は、フリップフロップ5
dに入力される。ゲート9eにおける到着時間は、5n
sであるので、(6)式に従い、フリップフロップ5d
の入力側到着時間は、5nsとなる。
【0060】同様の計算は、他の各ゲート及びフリップ
フロップについても行われ、到着時間が設定される。
【0061】これら各ゲート及びフリップフロップにお
ける到着時間が算出されると、次いで、遅延解析部23
は、論理回路の出力側から入力側に向かって、下記数7
式乃至数9式に従い、各ゲート等における必要時間を順
に算出していく。
【0062】
【数7】
【0063】
【数8】
【0064】
【数9】 再び、フリップフロップ5a及びフリップフロップ5d
間のパスを例にとり説明する。到着時間の算出は、フリ
ップフロップ5aを起点として開始したが、必要時間の
算出にあたっては、フリップフロップ5dを起点とす
る。本実施例においては、フリップフロップ5dにおけ
る入力側必要時間は、6nsである。したがって、
(7)式に従って、ゲート9eの必要時間は、6nsと
算出される。
【0065】また、ゲート9eの必要時間が6nsであ
ることから、(8)式に従い、ゲート9aの必要時間
は、4nsと算出され、同様にして、(9)式に従い、
フリップフロップ5aの出力側必要時間は、2nsと算
出される。
【0066】このようにして、他の全てのゲート及びフ
リップフロップの必要時間についても計算が行われる。
【0067】図8に示される全ての素子について到着時
間及び必要時間を算出した結果は、図9に示される。図
9においてフリップフロップ5a,5b及び5cの入力
側は、省略されているので、これらフリップフロップの
下段には、“−”が記述されている。同様にして、フリ
ップフロップ5jの出力側は、不明であるので、そのフ
リップフロップの上段には、“−”を記述してある。
【0068】このような到着時間及び必要時間の算出が
行われると、次いで、条件判定部24により、上述した
ように、(1)式に従った条件判定が行われる。これに
より、フリップフロップ5d〜5gの前段並びにゲート
9i及び9lが遅延制約を満たしており、ゲート9j,
9k,9m,9n及び9oが遅延制約に違反しているこ
とが分かり、また、上述した第1及び第2の条件を満た
しているフリップフロップが参照符号5d〜5gで示さ
れるものであることが理解される。
【0069】このような判定がなされると、次いで、ラ
ッチ変換部25は、第1及び第2の条件を満たすフリッ
プフロップ5d〜5gをローアクティブのラッチに変換
する。変換後の回路は、図10に示される。
【0070】このようにラッチ変換された後、再び、遅
延解析部23による遅延解析が行われ、最悪遅延が改善
されたか否かの検討がなされる。この際、フリップフロ
ップから変換されたローアクティブのラッチにおいて、
出力側到着時間は、当然の如く、フリップフロップにお
けるそれとは異なることとなる。
【0071】ローアクティブラッチは、クロックがロー
レベルにあるときの入力データを出力側にスルーする。
ラッチの遅延時間を考慮すると、クロックがローレベル
にあるときに入力データが入力されたなら、その時刻か
らラッチの遅延時間分だけ遅れた時間には、出力データ
が出力されることになり、また、クロックがハイレベル
にあるときに入力データが入力されたなら、クロックが
ローレベルに変化し、さらに、その後ラッチの遅延時間
分だけ遅れた時間に、出力データが出力されることにな
る。ここで、入力データが入力されるときとは、到達時
間であり、従って、ラッチの前に設けられたゲートの到
達時間となる。また、クロックがローレベルを示してい
る時間は、デューティ比が50%であれば、クロックサ
イクルの1/2となる。これらを考慮すると、ローアク
ティブラッチの出力側到達時間は、下記数10式で示さ
れる。クロックのデューティ比が異なれば、1/2t
cycleで示される項が変わることになるのは言うまでも
ない。
【0072】
【数10】 (10)式並びに図10及び図11を参照すると、例え
ば、ローアクティブラッチ7aに入力データが到達する
のは、t1を0nsとした場合に5nsの位置、即ちク
ロックがローレベルにあるときである。この場合、フリ
ップフロップ5dは、次のクロックの立ち上がりエッジ
(t3)が来るまで、入力データの保持を行わないが、
ローアクティブラッチ7aに置き換えたことにより、ラ
ッチの遅延時間0.5nsを考慮すると、フリップフロ
ップ5dがデータ保持を行う時間よりも、2.5ns前
の時間にはデータの出力がされることとなる。従って、
ローアクティブラッチの出力側到達時間は、−2.5と
なり、その分(正確には、後述するように、後に挿入す
るハイアクティブラッチの遅延時間をも考慮した分)、
後段に位置する組合せ回路は遅延制約を緩和される。
【0073】一方、ローアクティブラッチの入力側必要
時間は、下記数11式に示されるように、ラッチの入力
側到達時間に等しくて良い。また、ローアクティブラッ
チの出力側必要時間と入力側到達時間は、変換される前
のフリップフロップのそれらと同じである。したがっ
て、ローアクティブラッチの入力側必要時間は、入力側
ゲートの到着時間に同じになる。
【0074】
【数11】 このようにして各ゲート等毎に算出された到着時間/必
要時間は、図10に記述されている。図10を参照する
と、ラッチ変換前に比較して、ラッチ変換後の状態にお
いては、最悪遅延が改善されていることが明らかに理解
される。
【0075】しかしながら、ローアクティブラッチの後
段には、各ゲート等を介して、フリップフロップ5h,
5i,5jが設けられている。したがって、フリップフ
ロップ5d〜5gをローアクティブラッチ7a〜7dに
置き換えただけでは、これらフリップフロップ5h,5
i,5jにおけるデータ保持のタイミングが1クロック
ずれる可能性がある。従って、フリップフロップ5h,
5i,5jにおいて正しいタイミングでデータ保持が行
われるように、MIN遅延保証を行わなければならな
い。
【0076】ここで、図9及び図10に示される回路を
比較すると、ゲート9iのみで構成される組合せ回路と
ゲート9lのみで構成される組合せ回路は、もともと遅
延制約を満たしていたものであり、他のゲートで構成さ
れる組合せ回路は、ラッチ変換により遅延制約を満たす
こととなったものであることが理解される。
【0077】ラッチ挿入部26は、このような各組合せ
回路における遅延制約を考慮し、もともと遅延制約を満
たしてた組合せ回路と、そうでない組合せ回路とでは取
扱いを変えて、それぞれに適する所定位置にハイアクテ
ィブラッチを挿入する。
【0078】図10において、もともとは遅延制約に違
反していた組合せ回路に着目し最悪遅延の変化を追って
いくと、ゲート9mの出力側において、クロックがハイ
レベルを示す位置に最悪遅延が来ることが理解される。
したがって、ラッチ挿入部26は、図12に示されるよ
うに、ゲート9mとゲート9nの間に、ハイアクティブ
ラッチ8eを挿入する。このとき、ハイアクティブラッ
チ8eについては、データスルーできる状態にデータが
入力されることになるため、出力側のみを考慮すれば良
く、従って、通常のゲートと同様にして到着時間/必要
時間を算出することができる。即ち、(5)式及び
(8)式を用いることで、かかるハイアクティブラッチ
8eの到着時間及び必要時間を算出することができる。
【0079】一方、図10において、ゲート9i及びゲ
ート9lの夫々からなる組合せ回路は、もともと遅延制
約を満たしていた。従って、この場合、ハイアクティブ
ラッチ8eの挿入とは異なり、図12に示されるよう
に、ゲート9i,9lとラッチ7a〜7dとの間に、夫
々、ハイアクティブラッチ8a〜8dを挿入する。尚、
このようにして挿入されたハイアクティブラッチ8a〜
8dと直前のローアクティブラッチ7a〜7dは、あた
かもフリップフロップと同じように動作する。また、こ
のようにして挿入されたハイアクティブラッチの出力側
到達時間は、ラッチにおける遅延時間であり、入力側要
求時間は、特にどのような値であっても良いことから、
本実施例においては、ハイアクティブラッチの入力側到
達時間と同じ値とする。即ち、ハイアクティブラッチの
出力側到達時間及び入力側必要時間は、下記数12及び
数13式を用いることができる。尚、ハイアクティブラ
ッチの入力側到達時間は、入力側のローアクティブラッ
チの到着時間に同じであり、出力側必要時間は、(9)
式を用いることができる。
【0080】
【数12】
【0081】
【数13】 このようにして求められた到着時間/必要時間は、図1
2に示されている。図12を参照すれば理解されるよう
に、遅延制約違反は、解消されている。
【0082】ここで、本実施例の付随的な効果について
図13を用いて説明する。図13は、図9及び図12に
おいて、フリップフロップ5aからフリップフロップ5
d(変換後は、ラッチ7a)に至るパス、及びフリップ
フロップ5d(同前)からフリップフロップ5jに至る
パスに着目し、最適化前における遅延とラッチ挿入後に
おける遅延とを比較した図である。図13を参照すれば
理解されるように、フリップフロップ5dが挿入されて
いた際に考慮しなければならなかった遅延は、クロック
スキューと、フリップフロップ5dにおけるセットアッ
プ時間及び遅延時間であった。しかしながら、ラッチ変
換後においては、各ラッチの遅延時間のみを考慮すれば
良いこととなっており、クロックスキューを考慮しなく
ても良いこととなっている。これは、クロックスキュー
の影響によりレーシング等が生じ得る時間には、既にロ
ーアクティブラッチ7aをデータが通過しており、且
つ、まだハイアクティブラッチ8eにデータが到達して
いないためである。したがって、例えば、ラッチの遅延
時間がフリップフロップのセットアップ時間及び遅延時
間等と同じであっても、ラッチのデータスルーのタイミ
ングが図13に示されるような条件を満たす場合にあっ
ては、クロックスキューの分だけ、最悪遅延を解消する
ことができる。
【0083】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、立
ち上がりエッジに応じてデータ保持するフリップフロッ
プに関して、第1及び第2の条件を満たす所定のフリッ
プフロップをローアクティブラッチに変換することによ
り、フリップフロップの前段に接続されている組合せ回
路のおける余裕分を後段の遅延制約違反のある組合せ回
路に貸し出すことができ、それにより、最悪遅延を改善
することができる。
【0084】また、変換されたラッチ及び挿入されたラ
ッチへのデータ入力タイミング等によっては、フリップ
フロップがあった場合に考慮に入れなくてはならなかっ
たクロックスキューを考慮する必要が無くなることか
ら、更なる最悪遅延改善を図ることができる。即ち、ク
ロックスキューが大きい回路に対して、本発明による遅
延最適化手法を適用すると、従来例と比してもかなり有
利な効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による遅延最適化装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】図1に示される遅延最適化装置の動作を示すフ
ローチャートである。
【図3】動作説明に用いられる図であって、最適化前の
状態の論理回路を示す図である。
【図4】対象たる論理回路のクロック情報を示す図であ
る。
【図5】図3に示される論理回路に対して、遅延解析を
行った後の状態を説明するための図である。
【図6】図5に示される論理回路に対して、ラッチ変換
を行った後の状態を説明するための図である。
【図7】図6に示される論理回路に対して、ラッチ挿入
を行った後の状態を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例における最適化対象たる論理回
路を示す図である。
【図9】図8に示される論理回路に対して遅延解析を行
った結果を記述した図である。
【図10】図9に示される論理回路に対して、ラッチ変
換をし、遅延解析を行った結果を記述した図である。
【図11】ラッチ変換による出力側到達時間の変化を説
明するための図である。
【図12】図10に示される論理回路に対して、ラッチ
挿入した結果を示す図である。
【図13】本発明の付随的効果を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 入力装置 2 データ処理装置 21 制御部 22 回路情報入力部 23 遅延解析部 24 条件判定部 25 ラッチ変換部 26 ラッチ挿入部 27 回路情報出力部 3 記憶装置 31 入力論理回路情報格納部 32 内部データベース(内部DB) 33 出力論理回路情報格納部 34 ライブラリ格納部 35 遅延制約情報格納部 4 出力装置 51〜56 フリップフロップ(FF) 5a〜5j フリップフロップ(FF) 61,62 組合せ回路 611,612 組合せ回路 621,622 組合せ回路 6221,6222 組合せ回路 71,72 ローアクティブラッチ(LL) 7a〜7d ローアクティブラッチ(LL) 81,82 ハイアクティブラッチ(HL) 8a〜8e ハイアクティブラッチ(HL) 9a〜9o 論理回路素子(ゲート)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロックにおける第1レベルから第2レ
    ベルへの変化時のエッジに応じて入力されるデータを保
    持するフリップフロップと、組合せ回路とを有する順序
    回路における遅延を最適化するための遅延最適化装置で
    あって、 前記順序回路に関する情報を入力論理回路情報として受
    けて、前記順序回路における遅延を解析する遅延解析手
    段と、 前記順序回路に含まれるフリップフロップのうちの特定
    の一のフリップフロップに着目し、当該特定のフリップ
    フロップが第1及び第2の条件の双方を満たしているか
    否かを判定するための条件判定手段であって、前記第1
    の条件は、当該特定のフリップフロップの入力側組合せ
    回路における遅延が設計上要求される制約を所定の余裕
    をもって満たしていることであり、前記第2の条件は、
    当該フリップフロップの出力側組合せ回路における遅延
    が前記制約に違反していることである、条件判定手段
    と、 当該条件判定手段の判定結果に従い、前記特定のフリッ
    プフロップが前記双方の条件を満たしている場合に、当
    該特定フリップフロップを、クロックが第1のレベルを
    示している際の入力データを出力側にスルーする第1の
    レベルセンシティブラッチに置き換えるためのラッチ変
    換手段とを備えることを特徴とする遅延最適化装置。
  2. 【請求項2】 請求項に記載の遅延最適化装置であっ
    て、 前記順序回路を入力論理回路情報として格納するための
    入力論理回路情報格納手段と、 処理対象たるデータを一時的に格納する内部データベー
    スと、 前記内部データベースに、当該入力論理回路情報格納手
    段からの入力論理回路情報を設定する回路情報入力手段
    とを更に備え、 前記遅延解析手段、前記条件判定手段及び前記ラッチ変
    換手段は、前記内部データベースに格納された入力論理
    回路情報に基づいて、各手段の処理を実行すると共に、
    前記内部データベースに格納される入力論理回路情報を
    更新するものであることを特徴とする遅延最適化装置。
  3. 【請求項3】 請求項に記載の遅延最適化装置であっ
    て、 前記入力論理回路情報に基づいて、前記出力側組合せ回
    路の後段に前記特定のフリップフロップとは異なる他の
    フリップフロップが存在する場合に、クロックが第2の
    レベルを示している際の入力データを出力側にスルーす
    る第2のレベルセンシティブラッチを、前記第1のレベ
    ルセンシティブラッチと前記他のフリップフロップとの
    間の所定位置に挿入するためのラッチ挿入手段を更に備
    えることを特徴とする遅延最適化装置。
  4. 【請求項4】 請求項に記載の遅延最適化装置におい
    て、 前記ラッチ挿入手段は、前記第1のレベルセンシティブ
    ラッチが入力データをスルーした際の前記第1のレベル
    を特定の第1レベルとし、クロックサイクルにおいて当
    該特定の第1レベルの直後に続く前記第2のレベルを特
    定の第2レベルとし、クロックが当該特定の第2レベル
    を示している時間を特定時間とした場合に、前記出力側
    組合せ回路中において、前記特定時間に最悪遅延が来る
    ような位置を検索し、当該検索した位置を前記所定位置
    とするものであることを特徴とする遅延最適化装置。
  5. 【請求項5】 請求項に記載の遅延最適化装置であっ
    て、 前記ラッチ挿入手段は、前記置き換えられた第1のレベ
    ルセンシティブラッチの後段に、前記出力側組合せ回路
    とは異なる他の出力側組合せ回路が存在し、且つ、当該
    他の出力側組合せ回路に違反がなかった場合において、
    当該他の出力側組合せ回路の後段に更に、前記特定のフ
    リップフロップとは異なる他のフリップフロップが存在
    する場合には、前記第1のレベルセンシティブラッチと
    前記他の出力側組合せ回路との間に、クロックが第2の
    レベルを示している際の入力データを出力側にスルーす
    る第2のレベルセンシティブラッチを挿入するものであ
    ることを特徴とする遅延最適化装置。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の遅延最適化装置であっ
    て、 前記順序回路を構成する論理回路素子、前記フリップフ
    ロップ、前記第1のレベルセンシティブラッチに関する
    遅延情報を格納するライブラリと、 前記クロック及び前記順序回路における設計上の遅延の
    制約に関する遅延制約情報を格納する遅延制約情報格納
    手段とを更に備え、 前記遅延解析手段は、該ライブラリ及び遅延制約情報格
    納手段に接続され、前記遅延情報及び遅延制約情報に従
    って、前記遅延の解析を行うものであることを特徴とす
    る遅延最適化装置。
  7. 【請求項7】 請求項に記載の遅延最適化装置におい
    て、 前記第1及び第2のレベルは、それぞれ、ローレベル及
    びハイレベルであり、 前記フリップフロップは、クロックの立ち上がりエッジ
    時における入力データを保持するものであり、 前記第1のレベルセンシティブラッチは、ローアクティ
    ブのラッチであることを特徴とする遅延最適化装置。
  8. 【請求項8】 クロックにおける第1レベルから第2レ
    ベルへの変化時のエッジに応じて入力されるデータを保
    持するフリップフロップと組合せ回路とを備える順序回
    路における遅延を最適化する処理を、当該順序回路に関
    するデータを格納可能なメモリを備え且つプログラムに
    したがう処理を実行するコンピュータに対して、実行さ
    せるために、 特定の一のフリップフロップに着目して、当該特定のフ
    リップフロップの入力側組合せ回路における遅延が設計
    上要求される制約を所定の余裕をもって満たしていると
    いう第1の条件と、当該フリップフロップの出力側組合
    せ回路における遅延が前記制約に違反しているという第
    2の条件との双方を、当該特定のフリップフロップが満
    たしているか否かを判定する条件判定処理と、 前記特定のフリップフロップが前記双方の条件を満たし
    ている場合に、当該特定フリップフロップを、クロック
    が第1のレベルを示している際の入力データを出力側に
    スルーする第1のレベルセンシティブラッチに置き換え
    るラッチ変換処置と を前記コンピュータに実行させる命令を含む遅延最適化
    プログラムを記録した、前記コンピュータの読取可能な
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項に記載の記録媒体であって、 遅延最適化プログラムは、 前記出力側組合せ回路の後段に前記特定のフリップフロ
    ップとは異なる他のフリップフロップが存在する場合
    に、クロックが第2のレベルを示している際の入力デー
    タを出力側にスルーする第2のレベルセンシティブラッ
    チを、前記第1のレベルセンシティブラッチと前記他の
    フリップフロップとの間の所定位置に挿入するラッチ挿
    入処理を前記コンピュータに実行させる命令を更に含む
    ことを特徴とする記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項に記載の記録媒体において、 前記ラッチ挿入処理は、 前記第1のレベルセンシティブラッチが入力データをス
    ルーした際の前記第1のレベルを特定の第1レベルと
    し、クロックサイクルにおいて当該特定の第1レベルの
    直後に続く前記第2のレベルを特定の第2レベルとし、
    クロックが当該特定の第2レベルを示している時間を特
    定時間とした場合に、前記出力側組合せ回路中におい
    て、前記特定時間に最悪遅延が来るような位置を検索
    し、 当該検索した位置を前記所定位置とするものであること
    を特徴とする記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項に記載の記録媒体であって、 前記遅延最適化プログラムは、 前記置き換えられた第1のレベルセンシティブラッチの
    後段に、前記出力側組合せ回路とは異なる他の出力側組
    合せ回路が存在し、且つ、当該他の出力側組合せ回路に
    違反がなかった場合であって、当該他の出力側組合せ回
    路の後段に更に、前記特定のフリップフロップとは異な
    る他のフリップフロップが存在する場合に、 前記第1のレベルセンシティブラッチと前記他の出力側
    組合せ回路との間に、クロックが第2のレベルを示して
    いる際の入力データを出力側にスルーする第2のレベル
    センシティブラッチを挿入するラッチ挿入処理を前記コ
    ンピュータに実行させる命令を更に含むことを特徴とす
    る記録媒体。
  12. 【請求項12】 請求項に記載の記録媒体において、 前記遅延最適化プログラムは、前記第1及び第2のレベ
    ルが、それぞれ、ローレベル及びハイレベルであり、前
    記フリップフロップが、クロックの立ち上がりエッジ時
    における入力データを保持するものであり、且つ、前記
    第1のレベルセンシティブラッチが、ローアクティブの
    ラッチである前記順序回路用であることを特徴とする記
    録媒体。
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