JP3313534B2 - 電極エレメントおよびこれを用いた生体用電極 - Google Patents

電極エレメントおよびこれを用いた生体用電極

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JP3313534B2 JP04858295A JP4858295A JP3313534B2 JP 3313534 B2 JP3313534 B2 JP 3313534B2 JP 04858295 A JP04858295 A JP 04858295A JP 4858295 A JP4858295 A JP 4858295A JP 3313534 B2 JP3313534 B2 JP 3313534B2
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秀一 笹原
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  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用センサーや生体
用電極等に使用される電極エレメントおよびこれを用い
た生体用電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、医学分野においては、適
切な治療を行うため、心電図や筋電図、脳波等の生体電
位等の生体電気信号を測定したり、体内へ電気信号を送
り込むことによって電気的な治療を施すことが多くなっ
ている。そして、これらの測定や治療には、生体と外部
装置との間に介在する媒体としての電極が重要な役割を
担っている。
【0003】上記の電極(この例では生体用電極)は、
例えば生体電位を測定する場合、微弱な電気信号を効率
良く取り出して心電図計等に誘導するため、生体の一部
に直接的に接触させることが必要になっている。ところ
が、外部装置に接続される電極エレメントを生体の皮膚
に直接接触させただけでは、電極エレメントと生体とが
電気的に接合されず、電極エレメントと皮膚との不安定
な接触による複雑な電位やインピーダンスが生じるた
め、生体電気信号を精度良く測定することができない。
【0004】そこで、通常、上記の電極は、上記の電極
エレメントに、導電性を有するクリームや、水糊に電解
質塩を含ませたペースト、または、導電性高分子からな
るゲル(導電性ゲル)等のような、電極エレメントを測
定等の対象物に接着させるための部材を密着させて作製
されている。そして、これらクリーム等を介して上記対
象物に取り付けられるようになっている。なかでも、上
記の導電性ゲルは、保形性を有し、あらかじめ所定の厚
みおよび形状に形成しておくことができるので、皮膚等
の対象物との密着性が高い。また、電極エレメントと一
体化して使い捨てにできるため、クリームの場合のよう
な塗布作業の煩わしさや不快感を、解消することが可能
になっている。
【0005】逆に、上記のクリーム、ペーストや導電性
ゲル等に直接リード線を付けると、生体電位は微弱なの
で、効率よく検出することができない。したがって、電
極エレメントが必要である。
【0006】このように、生体用電極等の電極において
は、電極エレメントと導電性ゲルとで構成されることに
より、最も効率良く生体電位等の電気信号の測定等が行
えるようになっている。
【0007】例えば図7に示すように、上記同様な電極
エレメント31と導電性ゲル36とで構成された電極3
7は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)
樹脂にAg/AgCl等の金属粉末を溶射等で塗り付け
たボタン状の電極端子34を用意する。そして、支持部
材(表面材)35にこの電極端子34を取り付け、電極
端子34の一端と支持部材35とを覆うように上記導電
性ゲル36が密着されている。そして、電極端子34の
他端側がクリップ等で挟まれ、リード線に接続されてい
る。
【0008】あるいは、図8に示すように、電極47
は、樹脂や紙等のシート状の物からなる基板フィルム4
5の片側の面のほぼ全面に、Ag/AgCl等の金属微
細粒子と樹脂バインダーと溶剤とからなる金属ペースト
44を印刷することによってコーティングして乾燥し
て、電極エレメント41を得る。そして、その電極エレ
メント41の、基板フィルム45と接していない面のう
ち、一部を残して全面に上記導電性ゲル46が密着され
ている。そして、残った部分がクリップ等で挟まれ、リ
ード線に接続されている。このような構成にすることに
より、図7に示した場合と比べ、かさばらず、製造が容
易になっている。このときのバインダーとAg/AgC
lとの様子を図9に示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
8に示すような従来の電極エレメントにおいては、電極
エレメントの導電性の低下を防止するため、樹脂バイン
ダーの添加量は極力少なくされている。このため、引っ
掻き強度が低い。その結果、図10(a)ないし(c)
に示すように、クリップ48等で電極エレメント41を
挟んで引っ掻きが生じたときに、コーティング層44が
基板フィルム45から剥離、脱落する。その結果、導通
不良が起こり、通電安定性が低いという問題がある。
【0010】上記とは逆に、引っ掻き強度を増すため
に、上記した樹脂をコーティング層に多量に含有させて
コーティングすると、樹脂の導電性が低いため、インピ
ーダンスが高くなるという問題がある。
【0011】また、樹脂バインダーは一般に流動性が悪
いため、これに導電性材料を混ぜてコーティングする際
に、導電性材料をバインダー中で均質に混合させること
ができない。このため、コーティング層内の電気抵抗の
分布が不均一となり、電極エレメントや生体用電極の信
頼性が低下するという問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1記載の電極エレメントは、粉末状の導電性
材料と上記導電性材料を保持するバインダーとを含んだ
コーティング層が基板フィルムにコーティングされ、上
記コーティング層を介して通電する電極エレメントにお
いて、上記バインダーが、軟質ポリウレタン樹脂であ
り、高分子化に反応されることを特徴としている。
【0013】請求項2記載の生体用電極は、請求項1記
載の電極エレメントと導電性ゲルとを組み合わせること
を特徴としている。
【0014】請求項3記載の生体用電極は、請求項2記
載の生体用電極において、上記導電性ゲルが、ポリアク
リルアミド系導電性高分子ゲルであることを特徴として
いる。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の電極エレメ
ントは、図3に示すように、バインダーがコーティング
層内で反応し、互いに架橋または高分子化した構造を有
するので、コーティング層が基板フィルムに頑強に密着
する。したがって、引っ掻き強度が大きくなり、電極エ
レメントに電流供給する装置等と電極エレメントとを接
続するために電極エレメントをクリップ等で挟んで引っ
掻きが生じたときに、コーティング層が基板フィルムか
ら剥離せず、脱落しない。
【0016】これにより、バインダーの量を増やすこと
なく、コーティング層の剥離・脱落による導通不良の発
生を防ぐことができ、通電安定性を高めることができ
る。
【0017】一方、上記のように、バインダーの量を増
やす必要がないので、例えば導電性材料が金属粉等であ
り、その金属粉等がコーティング層内で互いに接触する
ことにより通電する場合、上記金属粉等の接触が十分に
行われる。これにより、コーティング層内の電気抵抗が
小さくなるので、電極エレメントのインピーダンスの増
大を防ぐことができる。
【0018】このように、本発明の請求項1記載の電極
エレメントは、インピーダンスの増大を防ぎながら、コ
ーティング層の剥離・脱落による導通不良の発生を防い
で通電安定性を高めることができる。
【0019】はじめから粘度の大きい高分子化または架
橋構造を有するものをバインダーとして用いてこれに導
電性材料を均質に混ぜることは通常困難であるが、本発
明では、導電性材料をバインダーに混ぜる時点ではバイ
ンダーとして粘度の小さい低分子のものを用いることが
できるので、導電性材料をこのバインダー中で均質に混
合させることが非常に容易である。このため、バインダ
ー中で導電性材料が互いに十分に接触するとともに、コ
ーティング層内の電気抵抗の分布を均一にすることがで
きるので、コーティング後に架橋または高分子化の反応
を行えば信頼性の高い電極エレメントを得ることができ
る。
【0020】そのため、この電極エレメントを用いて請
求項記載のように生体用電極を形成すれば、低インピ
ーダンスで通電安定性が高く、信頼性の高い生体用電極
が得られる。
【0021】また、本発明の請求項1記載の電極エレメ
ントは、上記コーティング層において、軟質(すなわ
ち、軟質発泡体)タイプに属するポリウレタン樹脂のバ
インダーが用いられているので、柔軟で、緩衝性を有す
る。このため、コーティング層を、例えばPVC(塩化
ビニル)などの柔軟な材料からなる基板フィルムに印刷
しても、コーティング層によって電極エレメントの柔軟
さが失われることがない。したがって、図4に示すよう
に、折り曲げてもクラック(切断)が生じにくい。これ
により、凹凸・起伏のあるような様々な貼付箇所に対し
て対応できる。なお、本発明の場合と異なり、柔軟でな
く、曲げによってクラックが生じた場合を図5に示す。
【0022】また、上記電極エレメントは、元々頑強で
あるうえ、上記したように柔軟性を有するため、図6に
示すように、クリップ等で挟んでもその部分がクリップ
等に押されて沈むだけで、クリップ等の挟む力や引っ掻
き等によって切り取られたり剥がれたりすることがな
い。それによって、導通不良の発生をさらに効果的に防
ぐことができ、さらに優れた通電安定性を実現できる。
【0023】本発明の電極エレメントに用いられるバイ
ンダーは、コーティング後に反応して、架橋構造をと
る、または高分子化する樹脂が好ましく用いられる。例
えば、上記のようにウレタンプレポリマーからの軟質ポ
リウレタン系のものが採用できる。軟質ポリウレタン等
のポリウレタン系バインダーは、例えば、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブタンジ
オール等の直鎖状あるいは分岐を有する、あるいは共重
合されたポリオールと、トルエンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート等の多官能イソシアン酸
エステルとより構成される。また、上記ポリウレタン系
バインダーは、上記以外にも、例えば、上記ポリオール
と多官能イソシアン酸エステルとの反応により得られる
ウレタンプレポリマーと、ポリオールおよび/または多
価アルコールとより構成することもできる。また、ポリ
ウレタン系以外のバインダーとしては、例えばポリビニ
ルブチラール、エポキシ樹脂等が採用できる。
【0024】なお、バインダーにおいて樹脂の分子鎖同
士や樹脂とそれに隣合った部材(すなわち基板フィルム
や導電性ゲル等)とを接着する接着力(結合力)につい
ては、例えば、イオン結合によって接着するバインダー
では、接着力は強いが、イオン結合によるため、耐水性
が低い。一方、溶剤型の樹脂のように、分子間力によっ
て接着するものでは、接着力が弱い。また、水素結合に
よって接着するバインダーの接着力は、分子間力による
ものよりは比較的強いものの、反応によって形成される
共有結合によって接着するものには及ばない。したがっ
て、本発明においては、バインダーが共有結合によって
架橋構造等を有することにより、樹脂同士や樹脂とそれ
に隣合った部材とを、より強固に結合することが可能と
なっている。
【0025】また、コーティング層内の導電性材料は特
に限定されず、導体で粉末化が可能であればよい。例え
ば、金属粉末を用いる場合は、Ag/AgClや、ある
いはこのほかにも、例えば白金、金、銀、銅、ニッケ
ル、パラジウム、その他種々のものやそれらの2種以上
の混合物が採用できる。また、金属粉末以外にも、例え
ば、カーボン粉末やポリアセチレンや、導電性高分子等
も採用できる。さらに、これらと上記金属粉末との混合
物も採用できる。また、上記のようにして得たコーティ
ング層にさらにカーボン粉末等の導電性粒子を適宜添加
することもできる。なお、上記金属粉末としては、Ag
/AgClを用いると、精密診断用に、より好ましい。
【0026】また、基板フィルムは特に限定されず、硬
質でも軟質でもよい。例えば、PET(ポリエチレンテ
レフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプ
ロピレン)、PVC(塩化ビニル)、合成紙、紙、ある
いはそれらのラミネート品等を用いることができる。
【0027】また、上記バインダーの溶剤は、バインダ
ーを十分溶解させる、酢酸エチル、エチルセロソルブア
セテート等の脂肪酸エステルである。これは、加熱等の
反応の後に乾燥除去される。
【0028】また、コーティング層内に、分散剤、安定
剤などの微量成分を含めることもできる。
【0029】
【実施例】本発明の一実施例について図1および図2に
基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施例の電
極エレメント1は、図1に示すように、コーティング層
4が、粉末状のAg/AgClからなる導電性材料2
と、上記導電性材料を保持する軟質ポリウレタン樹脂の
バインダー3とを含んでおり、このコーティング層4が
基板フィルム5にコーティングされた構造を有してい
る。なお、上記軟質ポリウレタン樹脂は、後述するよう
に、より低分子で粘度の低いウレタンプレポリマーの状
態で基板フィルム5にコーティングされるものである。
【0030】上記の電極エレメント1のコーティング層
4の表面に、その一部を残して、粘着性を有する導電性
ゲル6が接着されている。また、残された部分に、クリ
ップ8が挟まれる。このクリップは、電極エレメント1
に電流供給する装置等(図示せず)と電極エレメント1
とを接続するためのものである。そして、クリップ8、
電極エレメント1、および導電性ゲル6を介して通電さ
れるようになっている。ここでは、バインダー3用の樹
脂として、軟質ポリウレタン樹脂が用いられている。こ
の電極エレメント1および導電性ゲル6によって生体用
電極(電極)7が形成されている。そして、導電性ゲル
6を皮膚などの対象物に貼付して、例えば心電図測定等
を行うのに用いることができる。また、工業用センサー
に使用することもできる。
【0031】このとき、図1に示すように、この軟質ポ
リウレタン樹脂からなるバインダー3はポリウレタンプ
レポリマーの状態でコーティングされ、その後の加熱に
よって重合して、高分子軟質ポリウレタン樹脂の架橋構
造を有するようになり、これによって、バインダー3が
少量であっても、コーティング層4が基板フィルム5に
頑強に密着している。
【0032】一方、上記のように、バインダー3が少量
であってもコーティング層4が基板フィルム5に頑強に
密着するので、バインダー3の量を増やす必要がない。
このため、導電性材料2としての金属粉Agがコーティ
ング層4内で互いに十分接触する。これによって、イン
ピーダンスが低く、高性能な電極を実現できる。
【0033】また、本実施例の場合は、上記ポリウレタ
ン樹脂が非イオン性なので、導電性材料2内のAg+
Cl- が、樹脂と電気的に結合しない。したがって、上
記導電性材料2の自由電子がバインダー3のマトリクス
の間隙をぬってさらに良好に移動できる。このため、さ
らにインピーダンスが低く、高性能な電極を実現でき
る。また、Ag+ 、Cl- が樹脂に固定されないので、
クリップ8とバインダー3のマトリクスとの界面でクリ
ップ8とバインダー3とが電気的反発を起こさない。こ
のため、接触インピーダンスが低く、より高性能な電極
を実現できる。
【0034】一方、はじめから粘度の大きい高分子状ま
たは架橋構造を有する例えばポリウレタン樹脂に導電性
材料を混ぜ、これを基板フィルムにコーティングしてな
る電極エレメントと異なり、本実施例の電極エレメント
においては、コーティング層4を基板フィルム5にコー
ティングする前の、導電性材料2をバインダー3(の材
料)に混ぜる時点では、バインダー3の材料すなわちウ
レタンプレポリマーは十分粘度の小さい低分子の状態と
なっている。これにより、コーティング前に導電性材料
2をこのバインダー3(材料)中で均質に混合させるこ
とが非常に容易である。このため、バインダー3中で導
電性材料2が互いに十分に接触するとともに、コーティ
ング層4内の電気抵抗の分布を均一にすることができる
ので、コーティング後に架橋または高分子化の反応を行
えば、より信頼性の高い電極エレメントや生体用電極を
得ることができる。
【0035】次に、上記電極エレメントや生体用電極の
製造例および上記したような特性を測定した結果につい
て説明する。本実施例のサンプルとして、厚さ100μ
m のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上
に、バインダーであるウレタンプレポリマーを含むAg
/AgClのエチルセロソルブアセテート8%ペースト
をスクリーン印刷によってコーティングした。そして、
80℃で30分乾燥し、同時に、ウレタンプレポリマー
を反応させて樹脂化させることにより、シート状の電極
エレメント(サンプルNo.A1ないしA7とし、Aと
総称する)を得た。なお、乾燥後、コーティング層の厚
みを5μm とした。また、後述の表1に示すように、コ
ーティング層のバインダー組成重量百分率が(B)(単
位:重量%)(残余はAg/AgCl成分である)とな
り、Ag/AgClのうちのAgClの重量が(C)
(単位:重量%)となる配合のペーストを用いた。
【0036】電極エレメント(A)のコーティングの剥
離強度測定のため、鉛筆による引っかき試験にて測定し
た。結果は、剥離が生じた鉛筆の硬さ(D)で表した。
【0037】次に、得られた電極エレメント(A)に、
ポリアクリルアミド系導電性高分子ゲル(積水化成品工
業製テクノゲルMED−CR)を貼付し、生体用電極を
得た。
【0038】2個の生体用電極をゲル面同士で貼り合わ
せ、電極対を作成した。この電極対について、AAMI
(the Association for the Advancement of Medical I
nstrumentation)の規格に従って、インピーダンス
(E)(単位:Ω)、DCオフセット電圧(F)(単
位:mV)、除細動による過負荷時の分極性を測定し
た。なお、分極性は、5秒後の値を(G)(単位:m
V)、35秒後の値を(H)(単位:mV)とする。以
上の結果を表1に併せて示す。
【0039】なお、比較例として、厚さ100μm のP
ETフィルム上に、ポリエステル系バインダーを含むA
g/AgClのエチルセロソルブアセテート8%ペース
トをスクリーン印刷によってコーティングし、80℃で
30分乾燥させることにより、シート状の電極エレメン
ト(サンプルNo.A’1〜A’4とし、A’と総称す
る)を得た。なお、乾燥後、コーティング層の厚みを5
μm とした。また、同じく後述の表1に示すように、コ
ーティング層のバインダー組成重量百分率が(B)(単
位:重量%)(残余はAg/AgCl成分である)とな
り、Ag/AgClのうちのAgClの重量が(C)
(単位:重量%)となる配合のペーストを用いた。
【0040】電極エレメント(A’)のコーティングの
剥離強度測定のため、鉛筆による引っかき試験にて測定
した。結果は、剥離が生じた鉛筆の硬さ(D)で表し
た。
【0041】次に、得られた電極エレメント(A’)
に、ポリアクリルアミド系導電性高分子ゲル(積水化成
品工業製テクノゲルMED−CR)を貼付し、生体用電
極を得た。
【0042】2個の生体用電極をゲル面同士で貼り合わ
せ、電極対を作成した。この電極対について、AAMI
の規格に従って、インピーダンス(E)(単位:Ω)、
DCオフセット電圧(F)(単位:mV)、除細動によ
る過負荷時の分極性を測定した。なお、分極性は、5秒
後の値を(G)(単位:mV)、35秒後の値を(H)
(単位:mV)とする。以上の結果を表1に併せて示
す。
【0043】
【表1】
【0044】以上の結果から、コーティングの剥離強度
は、バインダーの違いによって大きく異なることが分か
る。また、バインダーが同じ場合は、バインダー量が多
いほうが剥離強度が大きくなるが、電極対インピーダン
スは悪化する傾向にあることが分かる。すなわち、コー
ティング層に含まれるバインダー量は、Ag/AgCl
粉末の形状や粒径等を考慮して適宜設定可能であるが、
特に、5〜30重量%とするのが好ましい。
【0045】このように、本実施例のAg/AgCl電
極エレメントとポリアクリルアミド系導電性高分子ゲル
との組み合わせにより、不分極性を有して高性能な生体
用電極が得られることが示された。
【0046】このように、本実施例の電極エレメントお
よび生体用電極は、粉末状の導電性材料と上記導電性材
料を保持するバインダーとを含んだコーティング層が基
板フィルムにコーティングされ、上記コーティング層を
介して通電する電極エレメントおよび生体用電極におい
て、高分子化反応を起こしうるコーティング層を用いて
いる。そして、上記バインダーが、コーティング前には
高分子構造および架橋構造を有さず低粘度であって、コ
ーティング後に重合反応して高分子化または架橋する材
料からなり、コーティング層内で高分子化し、さらに架
橋した構造を有している。そして、上記電極エレメント
および生体用電極においては、基板フィルム上に、粉末
状の導電性材料とこの導電性材料を保持する低分子で低
粘度のバインダー材料とを塗布し、上記塗布後に上記バ
インダー材料を重合反応させて高分子化し、さらに架橋
させて、高粘度のコーティング層を形成している。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1記載の
電極エレメントは、粉末状の導電性材料と上記導電性材
料を保持するバインダーとを含んだコーティング層が基
板フィルムにコーティングされ、上記コーティング層を
介して通電する電極エレメントにおいて、上記バインダ
ーが、高分子化に反応される構成である。
【0048】それゆえ、インピーダンスの増大を防ぎな
がら、コーティング層の剥離・脱落による導通不良の発
生を防いで通電安定性を高めることができるという効果
を奏する。
【0049】また、信頼性の高い電極エレメントを得る
ことができるという効果を奏する。
【0050】さらに、請求項記載の電極エレメント
は、上記バインダーが軟質ポリウレタン樹脂である構成
である。
【0051】それゆえ、凹凸・起伏のあるような様々な
貼付箇所に対して対応できるという効果を奏する。
【0052】また、コーティング層の剥離・脱落による
導通不良の発生をさらに効果的に防ぎ、通電安定性をさ
らに高めることができるという効果を奏する。
【0053】請求項記載の生体用電極は、請求項1記
載の電極エレメントと導電性ゲルとを組み合わせる構成
である。
【0054】それゆえ、インピーダンスの増大を防ぎな
がら、コーティング層の剥離・脱落による導通不良の発
生を防いで通電安定性を高めることができるという効果
を奏する。
【0055】また、信頼性の高い生体用電極を得ること
ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電極エレメントのコーティ
ング層内部の概略の構成およびクリップ等との関係を示
す説明図である。
【図2】図1に示す電極エレメントの全体の概略の構成
を示す断面図である。
【図3】本発明の電極エレメントのコーティング層の内
部の概略の構成および基板フィルムとの関係を示す説明
図である。
【図4】図3に示すコーティング層を曲げたときの状態
を示す説明図である。
【図5】比較用の電極エレメントのコーティング層を曲
げたときの状態を示す説明図である。
【図6】図3に示す電極エレメントをクリップ等で挟ん
だときのコーティング層の内部の状態を示す説明図であ
る。
【図7】従来の電極エレメントの概略の構成を示す断面
図である。
【図8】従来の電極エレメントの全体の概略の構成を示
す断面図である。
【図9】図8に示す従来の電極エレメントのコーティン
グ層の内部の概略の構成および基板フィルムとの関係を
示す説明図である。
【図10】図8に示す従来のコーティング層とクリップ
との関係を示すものであり、同図(a)はクリップで挟
む前における説明図、同図(b)はクリップで挟んで引
っ掻いたときにおける説明図、同図(c)は同図(b)
を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
1 電極エレメント 2 導電性材料 3 バインダー 4 コーティング層 5 基板フィルム 6 導電性ゲル 7 電極 8 クリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−31597(JP,A) 特開 昭55−50342(JP,A) 特開 平4−236940(JP,A) 特開 平6−189919(JP,A) 実開 平5−33704(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/0408

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉末状の導電性材料と上記導電性材料を保
    持するバインダーとを含んだコーティング層が基板フィ
    ルムにコーティングされ、上記コーティング層を介して
    通電する電極エレメントにおいて、 上記バインダーが、軟質ポリウレタン樹脂であり、高分
    子化に反応されることを特徴とする電極エレメント。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電極エレメントと導電性ゲ
    ルとを組み合わせることを特徴とする生体用電極。
  3. 【請求項3】上記導電性ゲルが、ポリアクリルアミド系
    導電性高分子ゲルであることを特徴とする請求項2記載
    の生体用電極。
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