JP3311444B2 - 鋼帯製造設備における酸化スケールの回収循環法 - Google Patents
鋼帯製造設備における酸化スケールの回収循環法Info
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Description
気中を通板するときに鋼帯表面に発生する酸化スケール
を酸洗処理で除去する酸洗ラインと,その前工程に位置
する熱間圧延ラインとを備えた鋼帯製造設備において,
酸洗ラインで発生した廃酸中の塩酸分は酸洗ラインに,
また廃酸中の鉄分は再び熱間圧延ラインに循環使用する
ことによって,総合的な省資源を図ると共に熱間圧延に
おけるロールの焼付き防止を図った酸化スケールの回収
循環法に関する。
る種の焼鈍ラインを通過した鋼帯表面に発生する酸化ス
ケールを除去するために,酸洗ラインが通常設けられて
いる。この酸洗ラインで使用される酸としては塩酸また
は硫酸が一般に使用される。
理,酸化中和処理,塩化揮発処理などの処理によって廃
液から塩酸の回収を図ることが行われている。ただし塩
化揮発法の場合には塩化カルシウムが回収される。他
方,廃液中の鉄分(塩化鉄として溶解している場合が多
い)はこれらの処理や付帯処理によって酸化鉄が副産さ
れる。これは酸化第1鉄の場合もあるし,酸化第2鉄の
場合もある。
法,酸化中和法等の処理が施されるがそれぞれ得失があ
り,塩酸酸洗に比べると一般にその設置は数が少ない。
にとって不可欠なものであり,酸洗ラインから発生する
廃酸は環境保全の立場からも厳しい環境基準を満たした
処理が必要とされ,そのための各種の技術が提案され,
現状では各社ともほぼ確立した状態にある。
の廃酸処理設備から副生する酸化鉄については製鉄原料
の一部に利用するといったことが行われているが,これ
の有する性質を有効に利用した活用法については必ずし
も確立されておらず,各種の用途が模索されているのが
現状である。廃酸処理設備から回収される酸を酸洗ライ
ンに循環利用するのと同じように,廃酸処理設備から副
生する酸化鉄を,酸洗ラインの前工程に位置する熱間圧
延ラインで有効活用して再循環が図れれば,これにこし
たことはない。
鉄の有効活用を図ることを課題としたものである。
延ラインおよび酸洗ラインを有する鋼帯製造設備におい
て,酸洗ラインで発生する廃酸を焙焼処理して酸化鉄粉
を採取し,得られた酸化鉄粉が粒径1μm以下の場合はそ
のまま,1μmを超える場合は粒径1μm以下の微粉に調整
したあと,その平均粒径1μm以下の酸化鉄粉を水溶性高
分子増粘剤を加えた水溶液に分散させて粘度1×10 3 〜5
×10 4 センチポアズの水分散液とし,これを熱間圧延ラ
インで圧延中のロールと鋼材の間に再循環することを特
徴とする鋼帯製造設備における酸化スケールの回収循環
法を提供する。
酸化スケールを除去する酸洗ラインを具備する設備に有
利に適用され,この酸洗ラインで発生した廃酸中の塩化
鉄を焙焼処理して塩酸と酸化鉄粉に分解して分別回収
し,回収した塩酸は酸洗ラインに,そして回収した酸化
鉄粉は熱間圧延ラインに再循環する方法を提供する。
ール或いはメタル材料の一部が剥離して付着した焼付部
が発生すると,この焼付に起因して圧延材表面に疵を発
生させるが,塩酸酸洗ラインの廃酸を焙焼処理して得た
酸化鉄微粉を熱間圧延ラインで圧延中のロールと鋼材の
間に供給すると,圧延ロール表面の焼付を防止する作用
を供する。
は通常はその殆んどが1μm以下であり,その粒子形状
は球形に近いものである。このような粒径分布と粒子形
状を有することが圧延ロールの焼付防止に有利に作用す
ると考えられる。
間に均一に供給するには,圧延ロールの表面に該酸化鉄
粉が均一に付着するように連続供給するのがよい。この
ためには,水溶性増粘剤を水に添加して粘性を付与した
水に該酸化鉄粉を分散させ,これを噴霧ノズルからロー
ル表面に噴霧するのがよく,これによって,ロール表面
の焼付はほぼ完全に防止できる。
酸洗ラインに供給され,鋼帯表面の酸化スケールの除去
に再使用される。
一連の工程例を図1のフロー図に示した。以下,図1を
参照しながら本発明法の具体的な態様を説明する。
酸洗ライン2を有する鋼帯製造設備において,酸洗ライ
ン2では塩酸を用いて鋼帯表面に生じた酸化スケールが
除去される。ここで発生する廃酸は廃酸槽3に集液さ
れ,この廃酸は図示の処理を経て回収塩酸4と,酸化鉄
5および6に分別採取され,回収塩酸4は酸洗ライン2
に循環され,酸化鉄5および6は粒度調整処理(分級)
7および水中分散処理8を経て熱間圧延ライン1に循環
使用される。
を経たあと,廃酸中の塩化第1鉄を塩化第2鉄に酸化す
るために酸化液10が添加され,焙焼炉11の上部から
炉内に噴霧される。廃液中の塩化第1鉄を塩化第2鉄に
事前酸化しておくと,焙焼処理での分解反応が2倍以上
速くなり,また採取される酸化鉄中に残存する塩素量を
減少させることができる。
入され塩化第2鉄は次の(1)式の反応によって酸化鉄と
塩酸に分解する。 2FeCl3+3H2O→ Fe2O3+6HCl ・・・(1)
の反応によって酸化鉄と塩酸に分解する。 4FeCl2+4H2O+O2→2Fe2O3+8HCl ・・・(2)
とこれに同伴する酸化鉄微粉は炉発生ガスに伴って炉外
に排出され, この排ガスはサイクロン12によって塩酸
ガスと酸化鉄微粉に分離され,塩酸ガスは塩酸吸収塔9
を得て回収塩酸4となり,サイクロン12で分離された
酸化鉄微粉は酸化鉄5として採取される。他方,焙焼炉
11内では分解生成した酸化鉄粉の一部は自重によって
炉底部に落下し,これはロータリキルン13を経て塩素
分を揮発除去しながら酸化鉄6として採取される。
する塩素分だけ減少するが,この補充は塩酸吸収塔9に
濃塩酸を追加することによって行われる。これにより,
酸洗ラインで必要とする塩酸はクローズドサイクルで再
利用されることになる。
径が1μm以下のものとして採取されたものはそのま
ま,採取されなかったものは破砕処理或いは分級処理を
経て粒径が1μm以下の微粉に調整したあと,分散工程
8で増粘剤使用の水分散液とする。
溶性高分子のものであれば特に限定されない。例えば,
ポリアクリル酸ソーダに代表されるポリアクリル酸塩や
ポリアクリルアミド,或いはメチルセルロース,カルボ
キシメチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロースお
よびこれらに代表される水溶性高分子であるセルロース
エーテル類等が挙げられる。好ましい増粘剤は水溶性の
アクリル酸重合体系統に属するものである。
液14は,熱延ロール近傍に設置された噴霧ノズル(図
示しない)から回転しているロール表面に向けて連続的
に噴霧される。この噴霧処理が良好に行われ且つロール
表面に均一な酸化鉄粉の塗膜が形成されるには,噴霧液
の粘性を適正にすることが必要である。好ましい粘度は
1×103〜5×104センチポアズであることがわかっ
た。
面の酸化スケールが剥離し,露出した圧延材表面のメタ
ルとロール側メタルとの間にメタルタッチが生ずると
(これは特にCrを多く含むステンレス鋼の場合に発生
しやすい),圧延材側のメタルや酸化スケールがロール
側に焼付く現象が生ずるが,本発明法によって回収され
た酸化鉄粉の水分散液14をロール表面に噴霧すれば,
このような現象が良好に回避されることがわかった。
発生する廃酸を鋼帯製造ライン内で再利用する道が開
け,同時に熱間圧延時のロール損傷の防止と表面品質の
良好な鋼帯を製造できるようになった。
廃酸から,ほぼ図1に示したとおりの塩酸回収設備によ
って塩酸を回収して酸洗ラインに循環使用し,廃酸中の
塩化鉄を焙焼処理して得た酸化鉄粉を,粘性をもつ水中
に分散させたうえで,熱間圧延ラインに供給し,圧延中
の各圧延ロール表面に噴霧した。
橋型アクリル酸重合体を使用し,これを適当量水に添加
したうえアルカリ添加で中和し,該酸化鉄粉を混和した
あとの分散液の粘度がほぼ13000センチポアズとな
るように調整した。また分散させた酸化鉄粉は平均粒径
が0.5μmであり,酸化鉄粉の水への分散量は20重量
%であった。
焼付きが発生し易いことが判っているCr当量が19%以
上のフエライト系ステンレス鋼 (熱間圧延温度でフエラ
イト単相となるステンレス鋼)の熱間圧延時に,そのロ
ール表面に, 膜厚が計算上約200μmとなるような量
で噴霧した。その結果,ロール表面の焼付きは極めて軽
微であった。
生した酸化鉄粉の熱間圧延ラインへの供給量などの諸元
に関する量的関係は次の通りであった。 廃酸発生量 :1200m3/M 採取塩酸量(全量を酸洗ラインに循環): 800m3/M 系内に添加された塩酸量 : 400m3/M 副生した酸化鉄粉量 : 150T/M 副生した酸化鉄粉を熱間圧延ラインに供給した量:100T/M
従来はその用途が確立していなかった鋼帯酸洗ラインの
廃酸からの酸回収設備で副生する酸化鉄粉の用途とし
て,同じく鋼帯を製造する熱間圧延ラインでの有用な道
が開けたので,廃酸からの酸回収設備の副生物を自己消
化できるようになり,しかも熱間圧延操業におけるロー
ル損傷と熱延板の品質向上が達成されたことから,廃酸
からの酸回収設備の費用負担がこれによって相殺され,
鋼帯製造のための総合的な経費節減と品質改善に大きく
寄与することができるようになった。
ルの回収循環法を適用する例を示した機器配置系統図で
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 熱間圧延ラインおよび酸洗ラインを有す
る鋼帯製造設備において,酸洗ラインで発生する廃酸を
焙焼処理して酸化鉄粉を採取し,得られた酸化鉄粉が粒
径1μm以下の場合はそのまま,1μmを超える場合は粒径
1μm以下の微粉に調整したあと,その平均粒径1μm以下
の酸化鉄粉を水溶性高分子増粘剤を加えた水溶液に分散
させて粘度1×10 3 〜5×10 4 センチポアズの水分散液と
し,これを熱間圧延ラインで圧延中のロールと鋼材の間
に再循環することを特徴とする鋼帯製造設備における酸
化スケールの回収循環法。 - 【請求項2】 酸洗ラインは塩酸を用いて鋼帯表面に生
じた酸化スケールを除去するラインであり,この酸洗ラ
インで発生した廃酸中の塩化鉄を焙焼処理して塩酸と酸
化鉄粉に分解してそれぞれ分別回収し,回収された塩酸
は酸洗ラインに再循環され,回収された酸化鉄粉は熱間
圧延ラインに再循環される請求項1に記載の酸化スケー
ルの回収循環法。 - 【請求項3】 廃酸中の塩化第1鉄は塩化第2鉄に予備
酸化されてから焙焼処理される請求項2に記載の酸化ス
ケールの回収循環法。 - 【請求項4】 熱間圧延ラインに通板される鋼はステン
レス鋼である請求項1に記載の酸化スケールの回収循環
法。
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