JP3310061B2 - 反応制御方法 - Google Patents

反応制御方法

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JP3310061B2
JP3310061B2 JP22808493A JP22808493A JP3310061B2 JP 3310061 B2 JP3310061 B2 JP 3310061B2 JP 22808493 A JP22808493 A JP 22808493A JP 22808493 A JP22808493 A JP 22808493A JP 3310061 B2 JP3310061 B2 JP 3310061B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発熱を伴う液相反応の
反応温度を制御する方法に関する。また、本発明は、ア
ルコール、一酸化炭素及び酸素を液相で反応させて炭酸
エステルを得る炭酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】反応
成分として気体を用いる液相反応においては、多くの場
合、発熱を伴うことが知られている。このような発熱を
伴う液相反応の反応温度を制御する方法として、反応器
の外側に設けられたジャケットや、反応器の内部に備え
らたコイルなどに冷却用の媒体を循環させ、その媒体の
温度又は流量により制御する方法が一般に用いられてい
る。しかし、この方法では、急激に温度変化が生じた際
に、反応温度の制御が困難になる場合があり、しかも、
除熱効率が低い。特に、反応器の容積が大きい場合に
は、効率的に反応温度を制御することが難しい。
【0003】前記反応成分として気体を用いる発熱を伴
う液相反応としては、例えば、ワッカー反応、オキソ反
応、アルコール及び/又はそのエステルと一酸化炭素と
からカルボン酸又は無水カルボン酸を得る反応、アルコ
ールと一酸化炭素と酸素とから炭酸エステルを得る反応
などが知られている。
【0004】例えば、上記アルコール、一酸化炭素及び
酸素を液相で反応させて炭酸エステルを製造する方法に
は、大別して、銅化合物を主触媒として用いる方法とパ
ラジウム化合物を主触媒として用いる方法の二つの方法
がある。
【0005】銅化合物を主触媒として用いる方法は、特
公昭45−11129号公報及び特公昭60−5873
9号公報に開示されている。この方法では、銅化合物の
触媒活性が比較的低いことから、実用的な反応速度を得
るため、触媒を数モル/L(重量%換算で数十%)とい
う高濃度で使用する必要がある。このため、触媒活性種
である酸化性の2価の銅イオン、塩素イオンが高濃度で
存在し、反応器、その他反応液に接する機器、配管、バ
ルブ等が著しく腐蝕されやすい。
【0006】パラジウム化合物を主触媒とする方法は、
特公昭61−8816号公報、特公昭61−43338
号公報及び特開平1−287062号公報に開示されて
いる。この方法では、助触媒として、銅の弱酸塩又はハ
ロゲン化物、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の
弱酸塩又はハロゲン化物が用いられる。パラジウム化合
物は、銅化合物に比べて触媒活性が高いため、触媒量
が、前記銅化合物を主触媒とする方法と比較して1/1
000程度の少量であっても十分な反応速度を得ること
が可能であり、パラジウムを再酸化するために併用され
ている二価の銅イオンなどの量も、前記方法に比べて1
/10〜1/100程度に低減できる。しかし、触媒活
性種である酸化性の二価のパラジウム及び二価の銅イオ
ンは、低濃度であっても高い酸化活性を示すため、反応
器等に対して強い腐蝕性を示すことに変りはない。
【0007】そして、このような触媒を用い液相で炭酸
エステルを製造するプロセスがいくつか提案されてい
る。
【0008】例えば、ヨーロッパ特許公開公報第134
668号明細書には、反応器の気相部のガスを凝縮し、
凝縮した炭酸エステルの一部を反応器にリサイクルする
ことにより、反応液中の水及びアルコールを低濃度に保
ち、触媒の失活を抑えると共に副反応を防止する炭酸エ
ステルの連続的製造法が開示されている。
【0009】また、特開平3−99041号公報には、
腐蝕を防止するため、過剰量の一酸化炭素及び酸素含有
ガスを反応器に供給して、生成した炭酸エステル、副生
した水及び未反応アルコールを共沸させることによりガ
ス状で反応器から抜き取り、気液分離した後、凝縮液か
ら炭酸エステルを分離回収する連続的製造法が開示され
ている。なお、この場合、気液分離した非凝縮性ガスは
反応器中に戻されてもよいことが記載されている。
【0010】さらに、ヨーロッパ特許公開公報第460
732号明細書には、炭酸ジエステルの生産性を向上さ
せるため、一酸化炭素含有ガスを反応液中に吹き込み、
反応混合液からのメタノール、水及び炭酸ジメチルの蒸
発を促進させ、得られたガス状混合物から水及び炭酸ジ
メチルを回収する方法において、反応液中のメタノール
及び水の濃度を一定範囲に維持することを特徴とする炭
酸ジメチルの連続的製法が開示されている。なお、この
場合、一酸化炭素濃度の高い非凝縮性ガスが反応器中に
リサイクルされている。
【0011】上記炭酸エステルの従来プロセスにおいて
は、反応温度の制御は、一般的な制御方法、すなわち、
前記のような反応器に設けられたジャケットやコイルな
どに冷却用の媒体を循環させる方法が一般に用いられて
いる。そのため、前記のように、除熱効率が低く、しか
も反応温度の制御が困難になる場合がある。また、この
プロセスでは腐蝕性の触媒を使用するため、冷媒を通す
コイルなどに高価な耐蝕材料を用いる必要がある。さら
に、反応器の内部が、耐食性を高めるため、ガラス、テ
フロン等の耐蝕材料でライニングやコーティングされて
いる場合には、ジャケットに冷媒を循環させて冷却する
と、被膜層が割れたり、剥離したりする場合が生じる。
【0012】また、前記プロセスにおける他の反応温度
の制御法として、反応液を熱交換器で冷却して反応器に
循環させ、その循環液の温度又は流量により制御する方
法が知られている。しかし、この方法では、付帯設備の
ための費用がかかると共に、反応液中に含まれる触媒に
よる腐蝕を防止するため、反応液の循環ラインに高価な
耐蝕材料を用いる必要がある。さらに、反応液を循環す
ると滞留時間が変動しやすく、目的生産物を安定に製造
することが困難となる。
【0013】なお、従来の炭酸エステル製造プロセスに
おいて、非凝縮性ガスを反応系に戻すことについての記
載はあるが、これによって反応温度を制御することにつ
いてはなんら考慮されていない。
【0014】前記ワッカー反応、オキソ反応、アルコー
ル及び/又はそのエステルと一酸化炭素とからカルボン
酸又は無水カルボン酸を得る反応などにおいても、反応
温度の制御は、上記炭酸エステルを得る反応と同様の方
法が用いられている。従って、上記のような炭酸エステ
ルを得る反応に付随する問題点は、前記の反応に共通す
る問題点である。
【0015】従って、本発明の目的は、気体反応成分を
用いた発熱を伴う液相反応において、反応温度を容易に
制御できると共に、未反応の気体反応成分を有効に利用
できる反応制御方法を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、容積の如何に拘ら
ず、効率よく反応温度を制御できる反応制御方法を提供
することにある。
【0017】本反応のさらに他の目的は、腐蝕性の強い
触媒の存在下であっても、簡易な設備及び操作により反
応温度を容易に制御できる反応制御方法を提供すること
にある。
【0018】本発明のさらにまた他の目的は、炭酸エス
テルを収率よくしかも安定して製造できる方法を提供す
ることにある。
【0019】
【発明の構成】本発明者らは、前記目的を達成するた
め、鋭意検討した結果、反応器の気相部のガスが簡易に
気液分離され、分離した非凝縮性ガスを反応器の液相に
循環供給することにより、容易に反応温度が制御できる
ことを見出だし、本発明を完成した。
【0020】すなわち、本発明は、液体反応成分と気体
反応成分とを液相で反応させる発熱反応において、反応
器の気相部のガスを気液分離し、分離した非凝縮性ガス
を反応器の液相に循環供給することにより、反応温度を
制御する反応制御方法を提供する。
【0021】本発明は、また、アルコール、一酸化炭素
及び酸素を液相で反応させて炭酸エステルを製造する方
法において、反応器の気相部のガスを気液分離し、分離
した非凝縮性ガスを反応器の液相に循環供給することに
より、反応温度を制御する炭酸エステルの製造方法を提
供する。
【0022】以下、必要に応じて添付図面を参照しつつ
本発明をより詳細に説明する。
【0023】本発明の反応制御方法において、反応は、
液体反応成分と気体反応成分とを液相で反応させる発熱
反応であれば特に限定されない。前記気体反応成分は、
気液分離において気体として分離できる反応成分であれ
ばよい。
【0024】前記反応には、酸素、一酸化炭素、水素等
の気体を反応成分として用いる反応、例えば、ワッカー
反応などのオレフィンの酸化によりカルボニル化合物を
得る反応;オレフィンと一酸化炭素と水素とからアルデ
ヒドを得るオキソ反応;アルコール及び/又はそのエス
テルと一酸化炭素とからカルボン酸又は無水カルボン酸
を得る反応(例えば、メタノールと一酸化炭素とから酢
酸を得る反応など);アルコール、ジアルキルエーテ
ル、アルキルエステルのうちの少なくとも2成分と一酸
化炭素とからカルボン酸及び無水カルボン酸を得る反応
(例えば、メタノール、酢酸メチル、及び一酸化炭素か
ら酢酸及び無水酢酸を得る反応など);アルコールと一
酸化炭素と酸素とから炭酸エステルを得る反応;エチレ
ンと酢酸と酸素とから液相で酢酸ビニルを得る方法など
が含まれる。これらの反応の中でも、大きな発熱を伴
う、一酸化炭素及び/又は酸素を気体反応成分として用
いる反応が好ましい。特に、一酸化炭素及び酸素を気体
反応成分として用いる反応、例えば、アルコールと一酸
化炭素と酸素による炭酸エステル生成反応などが好適に
用いられる。
【0025】前記オレフィンの酸化によりカルボニル化
合物を得る反応では、気体反応成分として酸素、空気な
どの酸素含有ガスが用いられる。反応は、通常、塩化パ
ラジウム及び必要に応じて塩化銅などを含む触媒成分を
含有する塩酸水溶液中に、オレフィンと酸素含有ガスと
を仕込むことによって行われる。反応温度は50〜15
0℃程度、反応圧力は1〜10気圧程度である。この反
応により、例えば、エチレンと酸素とからアセトアルデ
ヒドを製造することができる。
【0026】前記オキソ反応では、気体反応成分として
一酸化炭素及び水素が用いられる。反応は、1〜300
気圧程度の圧力、及び10〜200℃程度の温度で行わ
れる。反応は、トルエンなどの不活性溶媒中で行うこと
もできる。触媒として、コバルト触媒([HCo(C
O)4 ]など)、ニッケル触媒([Ni(CO)4 ]な
ど)、鉄触媒([H2 Fe(CO)4 ]など)、ロジウ
ム触媒([RhH(CO)(PPh3 3 ]など)等が
用いられる。この反応により、例えば、プロピレン、一
酸化炭素及び水素からブチルアルデヒド及び/又はブタ
ノールを製造することができる。
【0027】前記アルコール及び/又はそのエステルと
一酸化炭素とからカルボン酸又は無水カルボン酸を得る
反応では、気体反応成分として一酸化炭素が用いられ
る。この反応では、触媒として、ロジウム触媒、コバル
ト触媒、特にロジウム触媒などが使用される。ロジウム
触媒を用いてカルボン酸を得る方法では、通常、アルコ
ール(例えば、メタノール)と一酸化炭素とを、ロジウ
ム触媒、ヨウ化アルキル(例えば、ヨウ化メチル)、
水、及びアルカリ金属ハライド(例えば、ヨウ化リチウ
ムなど)を含む反応液中で反応させる。好ましい方法で
は、目的化合物であるカルボン酸(例えば、酢酸)及び
/又はカルボン酸エステル(例えば、酢酸メチル)、特
にカルボン酸エステルを含む液相中で反応させる。反応
圧力は、通常1〜300気圧、好ましくは5〜150気
圧程度、反応温度は、通常50〜300℃、好ましくは
150〜250℃程度である。この方法の好ましい態様
では、反応液中のヨウ化物イオンの濃度は0.3モル/
L以上、好ましくは0.5〜5モル/L程度、水の濃度
は10重量%以下、好ましくは1〜10重量%程度であ
る。なお、この方法においては、特開昭60−5433
4号公報に記載の反応条件が参照できる。上記反応によ
り、例えば、メタノールと一酸化炭素とから酢酸を効率
的に製造することができる。
【0028】前記アルコール、ジアルキルエーテル、ア
ルキルエステルのうちの少なくとも2成分と一酸化炭素
とからカルボン酸及び無水カルボン酸を得る反応では、
気体反応成分として一酸化炭素が用いられる。また、触
媒として、ロジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル
触媒、特にロジウム触媒などが使用される。反応圧力
は、通常1〜300気圧程度、反応温度は、通常50〜
300℃程度である。この反応により、例えば、メタノ
ール、酢酸メチル及び一酸化炭素から酢酸及び無水酢酸
を得ることができる。
【0029】また、前記アルコールと一酸化炭素と酸素
とから炭酸エステルを得る反応では、気体反応成分とし
て一酸化炭素及び酸素が用いられる。また、この反応で
は、ハロゲン化パラジウム、ハロゲン化銅などが触媒成
分として用いられる。
【0030】上記のように、前記液相反応で用いる触媒
は、強酸性又は酸化性であって、金属材料に対して強い
腐蝕性を示す場合が多い。
【0031】前記反応において、反応成分として用いる
気体は高純度ガスである必要はなく、反応に不活性なガ
ス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素な
どにより希釈して用いてもよい。酸素を原料として用い
る反応では、爆発混合気の形成を防止するため、原料ガ
スは、好ましくは不活性ガスで希釈される。その場合、
酸素に代えて空気を用い、空気中の窒素を不活性ガスと
して利用することもできる。また、反応により副生する
ガス、例えば二酸化炭素などを希釈用の不活性ガスとし
て利用してもよい。
【0032】反応方式は、連続反応方式、半回分反応方
式、回分反応方式のいずれであってもよい。また、反応
器の型式も、攪拌槽型、気泡槽型のどちらでも実施可能
である。
【0033】以下、前記液体反応成分と気体反応成分と
を液相で反応させる発熱反応の代表的な例として、アル
コールと一酸化炭素と酸素による炭酸エステル生成反応
について、詳細に説明する。
【0034】前記アルコールには、分子中に1個以上の
ヒドロキシル基を有する化合物、例えば、メタノール、
エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1
−ブタノール等の飽和脂肪族アルコール;アリルアルコ
ール等の不飽和脂肪族アルコール;シクロヘキサノール
等の脂環式アルコール;ベンジルアルコール、フェノー
ル等の芳香族アルコール;エチレングリコール、ポリエ
チレングリコール等の多価アルコール等が含まれる。な
お、芳香族アルコールとは、フェノール性ヒドロキシル
基を有するフェノール類も含む意味に用いる。好ましい
アルコールは、一価の飽和又は不飽和アルコール、例え
ば、炭素数1〜6程度のアルコールである。特に好まし
いアルコールには、メタノール、エタノールなどが含ま
れ、なかでもメタノールが繁用される。
【0035】反応は、反応に不活性な溶媒中で行っても
よく、前記溶媒として、例えば、アセトンなどのケト
ン;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒド
ロフランなどのエーテル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸な
どのカルボン酸;酢酸メチルなどのエステル;N,N−
ジメチルホルムアミドなどのアミド;アセトニトリルな
どのニトリル;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメ
タン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水
素等が挙げられる。また、反応原料であるアルコールや
目的化合物である炭酸エステルを反応溶媒として用いて
もよい。これらの溶媒は、一種又は二種以上混合して使
用できる。
【0036】反応で用いる触媒の種類は特に制限され
ず、例えば、銅化合物を主触媒とする銅系触媒、パラジ
ウム化合物などの白金族金属化合物を主触媒とする白金
族金属系触媒等を用いることができる。
【0037】銅系触媒を用いる場合、好ましい銅化合物
には、一価又は二価の銅の塩化物、臭化物等のハロゲン
化物;メトキシ塩化物等のアルコキシハロゲン化物;硫
酸塩、硝酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、ピバリン
酸塩等の有機酸塩;酸化物;水酸化物等が含まれる。こ
れらは、一種又は二種以上組合せて用いることができ
る。触媒として用いる銅化合物の使用量は、通常0.0
1〜20モル/L、好ましくは0.1〜10モル/L程
度である。
【0038】銅系触媒における助触媒としては、第三級
アミン、アミジン、アルカリ金属のアルコラート、アル
キルホスフィン、ピリジン、イミダゾール、リン酸アミ
ド、、環状尿素などが好適に用いられる。なお、環状尿
素は溶媒として用いることもできる。
【0039】白金族金属系触媒としては、特に、パラジ
ウム化合物を主触媒とし、銅の弱酸塩又はハロゲン化
物、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の弱酸塩又
はハロゲン化物を助触媒として併用するパラジウム系触
媒が好適に用いられる。
【0040】前記パラジウム化合物としては、パラジウ
ムのフッ化物、塩化物、臭化物などのハロゲン化物;酢
酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、クエン
酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トル
エンスルホン酸などの有機酸の塩;硫酸、硝酸などの無
機酸の塩などが挙げられる。好ましいパラジウム化合物
は、パラジウムのハロゲン化物、特に塩化物である。主
触媒として用いるパラジウム化合物の使用量は、例えば
0.0001〜0.1モル/L、好ましくは0.001
〜0.01モル/L程度である。
【0041】前記銅の弱酸塩としては、酢酸、プロピオ
ン酸、ピバリン酸、ギ酸、乳酸、クエン酸、安息香酸な
どの有機酸の塩;ホウ酸、炭酸などの無機酸の塩;フェ
ノール、クレゾールなどのフェノール類の塩などが挙げ
られる。銅のハロゲン化物には、例えば塩化第一銅、塩
化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅などが含まれる。こ
れらの銅化合物のうち、二価の銅の酢酸塩などの有機酸
塩、塩化物などが繁用される。これらの銅化合物は、一
種又は二種以上使用してもよい。
【0042】銅の弱酸塩又はハロゲン化物の使用量は、
広い範囲で選択でき、例えば0.0001〜10モル/
L、好ましくは0.001〜1モル/L程度である。
【0043】前記アルカリ金属には、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が含まれる。
また、アルカリ土類金属には、ベリリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等が含まれる。
【0044】アルカリ金属又はアルカリ土類金属の弱酸
塩としては、前記有機酸、無機酸、フェノール類の塩が
挙げられる。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
のハロゲン化物には、フッ化物、塩化物、臭化物等が含
まれる。これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属化
合物のうち、酢酸塩などの有機酸塩及び塩化物などが繁
用される。アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物
は、一種又は二種以上混合して使用できる。
【0045】前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属化
合物は、一酸化炭素の二酸化炭素への変換反応を抑制
し、炭酸エステルの選択率を高める効果がある。アルカ
リ金属又はアルカリ土類金属化合物の使用量は、例え
ば、前記銅化合物に対して0.1〜1000倍モル、好
ましくは10〜200倍モル程度である。
【0046】なお、前記パラジウム系触媒においては、
パラジウム化合物、銅化合物及びアルカリ金属又はアル
カリ土類金属化合物のうち、少なくとも一つの成分は、
ハロゲン原子を含むのが好ましい。
【0047】触媒成分中に銅原子及びハロゲン原子の双
方を含む場合には、銅に対するハロゲンの原子比(ハロ
ゲン/銅比)は、好ましくは0.5〜2、特に好ましく
は1.5〜1.8程度である。ハロゲン/銅比は、反応
速度に大きく影響し、0.5未満では銅の溶解度が低下
し、2を越えると、反応速度が著しく低下する。
【0048】反応圧力は、反応効率を損わず、副生物の
生成を抑制できる範囲で選択でき、例えば5〜50Kg
/cm2 、好ましくは15〜40Kg/cm2 程度であ
る。
【0049】一酸化炭素分圧は、反応速度を低下させな
い範囲で選択できる。例えば、銅系触媒を用いる場合は
0.5〜47Kg/cm2 程度、パラジウム系触媒を用
いる場合は0.5〜5Kg/cm2 程度が好ましい。
【0050】酸素分圧は、特に制限されないが、通常、
爆発混合気を形成しない範囲で選択され、例えば0.0
5〜10Kg/cm2 、好ましくは0.05〜5Kg/
cm2 程度である。
【0051】反応温度は、反応速度を低下させず、シュ
ウ酸エステルの副生を抑制する範囲で選択でき、例え
ば、50〜200℃、好ましくは100〜150℃程度
である。反応温度が低すぎると、反応速度が小さく、シ
ュウ酸エステル等の副生率が大きくなる。反応温度が高
すぎると、反応液の蒸気圧が大きくなり、全体の圧力が
上昇するため、耐圧性の高い反応器を使用する必要性が
生じ、設備コスト、経済性の点から好ましくない。
【0052】このようにして、アルコールと一酸化炭素
と酸素とから、対応する炭酸エステルが生成する。
【0053】本発明の主たる特徴は、反応器の気相部の
ガスを気液分離し、分離した非凝縮性ガスを反応器の液
相に循環供給することにより反応温度を制御する点にあ
る。
【0054】反応器の気相部のガスの気液分離は、例え
ばコンデンサなどの熱交換手段による冷却により行うこ
とができる。例えば前記炭酸エステル生成反応により炭
酸エステルを製造する場合には、通常、反応圧力下にお
いて、原料として用いるアルコール、生成する炭酸エス
テル及び副生する水が凝縮する温度、例えば−10℃〜
50℃程度に冷却することにより気液分離できる。
【0055】本発明の方法においては、気液接触効率を
高め、気泡の表面積を大きくして、蒸発潜熱等による除
熱効率を向上させるため、非凝縮性ガスをコンプレッサ
ーにより昇圧し、反応器の液相部にスパージングするの
が好ましい。非凝縮性ガスを反応器の液相部にスパージ
ングすることにより、反応器の容積の大きさ如何に拘ら
ず、効率よく反応温度を制御することができる。
【0056】気液分離された非凝縮性ガスが液相に供給
されると、反応液は、気液分離により予め冷却されたガ
ス自体によって冷却されると共に、液相中の液体成分
(例えば、前記炭酸エステル生成反応の場合には、原料
アルコールや生成した炭酸エステルなど)が循環供給さ
れたガス中に蒸発する際の蒸発潜熱によって冷却され
る。従って、非凝縮性ガスを反応器の液相に循環供給す
ることによって、反応温度を制御することができる。
【0057】反応によって発生する熱量をΔH1 、反応
装置からの放熱量や反応液の抜き取りに伴う持ち出し熱
量など非凝縮性ガスを循環しない場合でも除熱される熱
量をΔH2 、非凝縮性ガスを液相に循環供給することに
よって除熱される熱量をΔH3 とすると、反応温度が一
定の定常状態には次の式が成り立つ。
【0058】ΔH1 =ΔH2 +ΔH3 一方、ΔH3 は、非凝縮性ガスの温度及び供給量によっ
て変化する。従って、反応温度の制御は、液相に供給す
る非凝縮性ガスの循環ガス流量を調節するか、あるいは
非凝縮性ガスの温度を調節することによって行うことが
できる。
【0059】気液分離された非凝縮性ガスの循環量の調
節は、流量調整バルブを用いて行うことができる。前記
バルブの開閉度は手動により操作してもよいが、好まし
くは自動制御される。この自動制御によると、容易に且
つ正確に反応温度をコントロールできる。自動制御に際
しては、反応液の冷却の程度が非凝縮性ガスの供給量に
比例することを利用できる。反応器の液相への非凝縮性
ガスの供給量を調整するための自動制御は、フィードバ
ック制御装置により行なうことができる。この装置は、
反応器内の反応温度を検出する温度センサなどの温度検
出手段、この温度検出手段により検出された検出値と、
反応温度に対応して設定された基準値とに基づいて非凝
縮性ガスの前記基準値に対する制御量(偏差)を算出す
る算出手段、およびこの算出手段による制御量に関する
信号に応答して、非凝縮性ガスの供給量を調整するため
の電磁バルブ、ダイヤフラム式バルブなどのバルブの開
閉時間や開閉度を制御する制御手段を備えている。
【0060】こうして、反応温度の検出値がその基準値
を越えた場合には、反応器に循環させる非凝縮性ガス循
環量を増加させ、逆に、反応温度の検出値がその基準値
未満である場合には、前記循環量を減少させることによ
り反応温度を制御することができる。
【0061】なお、非凝縮性ガスの循環ラインにコンプ
レッサーを設ける場合には、コンプレッサーの前後にバ
イパス用の配管を設置するのが好ましい。前記配管を設
けることにより、コンプレッサーで圧縮されたガスのう
ち、余分な量のガスが前記配管に流れるため、極めて円
滑にガス流量が調節でき、従って、反応温度のコントロ
ールを容易にしかも正確に行うことができる。
【0062】非凝縮性ガスの循環ガス流量は、反応の種
類、反応原料の種類や仕込み量、反応温度、反応液の抜
き出し量、反応装置の大きさや形状、非凝縮性ガスの温
度、凝縮液の反応器へのリサイクルの有無等により変化
するので一概には言えないが、例えば、前記炭酸エステ
ル生成反応により炭酸エステルを製造する場合には、反
応液の容積1L当り、例えば0.5〜5Nm3 /H、好
ましくは0.8〜3Nm3 /H程度である。
【0063】前記非凝縮性ガスの温度の調節は、非凝縮
性ガスの循環ラインに熱交換器を設け、この熱交換器の
冷媒の温度及び/又は流量を調節することによって行う
ことができる。反応器の気相部のガスを気液分離する際
に用いる熱交換器の冷媒の温度等を調節してもよい。前
記熱交換器の冷媒の温度又は流量の調節は、前記非凝縮
性ガスの循環量の調節と同様、手動又は自動により行う
ことができる。
【0064】前記蒸発潜熱による冷却効果は著しく大き
いことから、非凝縮性ガスの循環ガス流量を調節するこ
とにより反応温度を効果的に制御できる。また、非凝縮
性ガスの循環ガス流量の調節と、非凝縮性ガスの温度の
調節とを組合せて行うこともできる。非凝縮性ガスの流
量及び温度の調節を組合せることにより、反応器内の温
度が急激に変化した場合などに速やかに対処できると共
に、微妙な温度調整が可能になることから、目的生産物
を極めて安定に製造することができる。
【0065】液相に循環するガスの組成は、反応の種
類、触媒の種類等の反応条件により異なり、特に制限さ
れないが、反応温度の制御の容易さ等の点から、反応に
関与しない不活性ガス濃度が、例えば25容量%以上、
なかでも40容量%以上、特に60容量%以上(例え
ば、70〜99容量%程度)であるのが好ましい。例え
ば、前記炭酸エステル生成反応により炭酸エステルを製
造する場合において、例えばパラジウム系触媒を用いる
場合は、反応成分である酸素及び一酸化炭素の濃度が合
せて40容量%未満で、反応に関与しない二酸化炭素や
窒素等の不活性ガス成分の濃度が60容量%以上である
のが好ましい。また、この場合、特に好ましい循環ガス
の組成は、酸素0.1〜10容量%、一酸化炭素0.1
〜20容量%、二酸化炭素などの不活性ガス70〜99
容量%程度である。
【0066】循環ガスの組成は、例えばガスクロマトグ
ラフなどにより分析することができる。また、この組成
を分析することによって、酸素、一酸化炭素などの反応
成分の反応器への供給量を調節することができる。
【0067】また、本発明の方法では、非凝縮性ガスの
循環ラインに、またコンプレッサーを設ける場合には特
にその上流側に、前記非凝縮性ガスのバッファータンク
を設けてもよい。バッファータンクを設けると、反応器
内の温度が急激に上昇して循環ガス流量を大幅に増加さ
せる必要がある場合、容積の大きなバッファータンク内
の非凝縮性ガスを利用して、反応系を乱すことなく、反
応温度を速やかに且つ正確にコントロールすることがで
きる。また、未反応の反応成分を極めて有効に利用でき
る。前記バッファータンクの非凝縮性ガスの入り口側に
は、バッファータンクから気液分離用熱交換器へ非凝縮
性ガスが逆流するのを規制するための逆止弁が備えられ
ていてもよい。また、前記バッファータンクはシリンダ
ー型式であってもよい。シリンダー型式のバッファータ
ンクを用いると、圧力変動に対応して容積が変化するた
め、反応系の圧力を安定に保持しつつ、反応温度をコン
トロールでき、安定に目的化合物を製造できる。
【0068】さらに、本発明の方法においては、反応器
に、流量調節バルブを備えた不活性ガスの供給ラインを
設けてもよい。不活性ガスの供給ラインを設けると、前
記非凝縮性ガスの流量又は温度のみによっては対処でき
ないような、反応温度の大幅な変動が生じた場合であっ
ても、前記流量調節バルブの開閉時間や開閉度を調節す
ることにより反応温度を迅速且つ正確に制御できる。前
記バルブの開閉時間や開閉度は手動により操作してもよ
いが、好ましくは自動制御される。自動制御は、前記の
ようなフィードバック制御装置により行うことができ
る。
【0069】本発明の方法によれば、反応器の気相部の
ガスを気液分離し、分離した非凝縮性ガスを反応器の液
相に循環供給するので、腐蝕性の触媒成分を含む反応液
を循環して冷却する場合と異なり、高価な耐蝕材料を用
いる必要がなく、簡易な装置及び操作により、反応温度
を制御できる。また、反応器のジャケットに冷媒を流す
場合と異なり、反応器内の耐食性被膜の割れや剥離を防
止できる。
【0070】また、冷却されたガスが液相に導入される
ため、除熱効率が高く、しかも温度コントロールが容易
である。
【0071】さらに、前記非凝縮性ガス中には、未反応
の気体の反応成分が含まれているため、反応成分が反応
に効率的に利用されるだけでなく、反応温度の制御のた
めに有効に利用される。また、反応中に不活性ガスが副
生する場合には、これを希釈用ガスとして利用できる。
例えば、前記炭酸エステル生成反応により炭酸エステル
を製造する際には、前記非凝縮性ガス中に、反応で副生
する二酸化炭素、未反応の一酸化炭素及び酸素が含まれ
ている。従って、非凝縮性ガスを液相部に導入すること
により、副生する二酸化炭素を希釈用ガスとして利用で
きると共に、炭酸エステルの収率及び一酸化炭素や酸素
の利用率を向上させることができるので、工業的に極め
て有利である。
【0072】本発明は、触媒を含む反応成分を連続的に
反応器に供給しながら反応させ、反応系から反応液及び
ガスとを連続的に取り出す連続方式に好適に適用され
る。
【0073】反応液は、蒸溜、溶媒抽出などの慣用の分
離工程に供され、目的化合物が得られる。例えば、前記
炭酸エステル生成反応においては、原料アルコールに対
応する炭酸エステルが製造される。
【0074】反応系から抜き取られた反応液中の未反応
の反応成分は、触媒と共に反応系にリサイクルできる。
また、反応器の気相部のガスを冷却し、気液分離して得
られる液体の反応成分(例えば、アルコールなど)、反
応生成物(例えば、炭酸エステルなど)等を含む凝縮液
もまた、反応系にリサイクルできる。こうすることによ
り目的化合物(例えば、炭酸エステルなど)の収率が向
上する。
【0075】図1は、連続式反応の一例を説明するため
の概略図であり、この例では、前記炭酸エステル生成反
応により炭酸エステルを製造する後述の実施例で使用し
た反応装置が示されている。
【0076】反応器1には、運転開始時に所定温度に加
熱するための熱媒ジャケット2が備えられていると共
に、定量ポンプなどによりアルコールを供給するための
第一の供給ライン5と、酸素を供給するための第二の供
給ライン4と、不活性ガスを供給するための第三の供給
ライン3と、一酸化炭素を供給するための第四の供給ラ
イン14とが接続されている。
【0077】なお、前記第一の供給ライン5からは、所
定濃度の触媒を含むアルコールを反応器1に連続的に供
給してもよい。また、前記第二及び第三の供給ライン
は、途中部で合流し、且つ、気液接触を効率的に行うた
め、反応器1内の液相中に伸びている。また、酸素、一
酸化炭素及び不活性ガスの流量は、それぞれ、バルブに
より制御されている。反応ガス成分及び不活性ガスは、
気液接触効率を高めるため、通常、所定の組成割合でス
パージャーにより液相中でスパージングされる。反応ガ
ス成分等をスパージングすることにより、反応器の容積
の大きさ如何に拘らず、効率よく反応温度を制御でき
る。
【0078】前記反応器1は、撹拌機21を備えてい
る。この例では、気液接触反応を効率よく行うため、複
数のディスクタービン翼が使用されている。
【0079】また、反応器1には、液相と通じる反応液
抜き出しライン17が接続され、このラインには、反応
液を連続的に抜き取ることにより、反応液の液量を調整
するための液面調節バルブ18が取付けられている。
【0080】さらに、反応器1には、気相と通じるガス
抜き取りライン20が接続され、このラインには、コン
デンサ6及び圧力調整バルブ9が取付けられている。前
記コンデンサ6により凝縮した成分は凝縮液戻りライン
7を通じて反応器1に循環される。なお、凝縮した成分
の一部又は全量を、流量調節バルブ22及び凝縮液抜き
取りライン23を通じて次工程である炭酸エステル分離
精製工程に送液することもできる。
【0081】前記コンデンサ6により凝縮しなかったガ
ス成分は、コンプレッサー11により圧縮された後、循
環ガス仕込みライン12及びこのライン12が合流して
いる前記第四の供給ライン14を通じて一酸化炭素と共
に反応器1に循環供給される。その循環ガス量は、反応
器に取付けられた温度計19により検知される反応温度
が一定の値を保つのに必要なガス流量(流量計16によ
り検知される)となるように、循環ガス流量調節バルブ
15の開閉度を調節することによって制御される。この
制御は、反応器内の反応温度を検出する温度計19、こ
の温度計により検出された検出値と、反応温度に対応し
て設定された基準値とに基づいて非凝縮性ガスの前記基
準値に対する制御量(偏差)を算出する算出回路、およ
びこの算出回路による制御量に関する信号に応答して、
非凝縮性ガスの供給量を調整するための流量調節バルブ
15の開閉度を制御する制御回路とを備えたフィードバ
ック制御装置によって行われる。
【0082】コンプレッサー11により圧縮されたガス
のうち、反応器に循環されない残りの部分は、ミニフロ
ー流量調節バルブ13及び循環ガスミニフローライン8
を通じて前記ガス抜き取りライン20に戻される。ま
た、前記コンデンサ6により凝縮しなかったガス成分の
一部は、一定の反応圧力を保つため、圧力調整バルブ9
を経て、オフガスライン10を通じて反応系外に排出さ
れる。
【0083】なお、本発明の方法においては、凝縮液が
反応器に循環されるライン、循環ガスミニフローライン
8などは必ずしも必要なラインではない。
【0084】
【発明の効果】本発明の制御方法によれば、反応器の気
相部の成分のうち、非凝縮性ガスを反応器の液相部に循
環供給し、その循環ガスの流量及び/又は温度を調節す
ることによって反応温度を制御するため、腐蝕性の強い
触媒の存在下であっても、簡易な設備及び操作により反
応温度を容易に制御できる。また、非凝縮性ガス中に含
まれる気体の反応成分が反応系内に循環されるため、反
応成分の利用率が向上する。さらに、ガスを液相部に供
給するため、反応器の容積の大きさ如何に拘らず、効率
よく反応温度を制御できる。
【0085】また、本発明の製造方法によれば、反応器
の気相部の成分のうち、一酸化炭素、酸素及び副生する
二酸化炭素等の非凝縮性ガスを反応器の液相部に循環供
給し、その循環ガス流量等を調節することによって反応
温度を制御するため、腐蝕性の強い触媒の存在下であっ
ても、簡易な設備及び操作により反応温度が容易に制御
でき、炭酸エステルを安定に製造することができる。ま
た、一酸化炭素及び酸素の利用率が向上し、炭酸エステ
ルの収率が高まると共に、副生する二酸化炭素を有効に
利用することができる。
【0086】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0087】実施例1 二段ディスクタービン翼を備えた内容積200Lのグラ
スライニング耐圧反応器に、塩化パラジウム0.51ミ
リモル/L、塩化第二銅50.25ミリモル/L、酢酸
第二銅6.75ミリモル/L、酢酸マグネシウム57ミ
リモル/L及び酢酸25.5ミリモル/Lを溶解させた
メタノール溶液を150L/Hの流量で供給すると共
に、一酸化炭素を12.9Nm3 /H、酸素を6.4N
3 /H及び窒素を2.0Nm3 /Hの流量で反応器の
下部のスパージャーから供給し、反応温度130℃で反
応させた。
【0088】反応器内の液面は、液容積を75Lに保つ
ように、反応器の底部に設けられた液面調節バルブから
反応液を連続的に抜き取ることによって調節した。
【0089】反応器から出たガスは、加圧下に二相ステ
ンレス製のコンデンサに供給し、メタノール、炭酸ジメ
チル及び水等からなる凝縮成分を除去した後、非凝縮性
ガスをコンプレッサーにより圧縮し、反応温度を130
℃に保持するため除熱するのに必要な流量74.0Nm
3 /Hを反応器に循環供給した。なお、コンプレッサー
を通過したガスの温度は36℃であった。
【0090】また、反応圧力が21Kg/cm2 Gに保
持されるように、非凝縮性ガスの一部を9.2Nm3
Hの流量で圧力調節バルブから排出した。
【0091】爆発混合気の形成を防ぐため、圧力調節バ
ルブから排出されたガスの酸素濃度及び一酸化炭素濃度
をそれぞれ酸素濃度分析計及びガスクロマトグラフによ
り常時分析し、酸素及び一酸化炭素の反応器への供給ガ
ス量を調節した。定常運転時は、上記の供給ガス量で一
定であり、排出ガス中の酸素濃度は4vol%、一酸化
炭素濃度は1.4vol%、残りは主として二酸化炭素
及び窒素であった。
【0092】コンデンサで凝縮されたメタノール、炭酸
ジメチル及び水等は、U字型の液シール管を通じて、自
然流下方式で反応器に戻した。
【0093】反応器に供給したメタノールの15.9%
が炭酸ジメチルに変化した。
【0094】この条件においては、反応による発熱量Δ
1 は40.9kkcal/H、反応装置からの放熱量
や反応液の抜き取りに伴う持ち出し熱量など非凝縮性ガ
スを循環しない場合でも除熱される熱量ΔH2 は20.
1kkcal/Hである。両者の差20.8kkcal
/Hの熱量は、上記のように、前記非凝縮性ガスを流量
74.0Nm3 /Hで反応器の液相部に循環供給するこ
とにより除熱され、反応温度が一定に保たれる。
【0095】実施例2 コンデンサで凝縮されたメタノール、炭酸ジメチル及び
水等を反応器に戻さずに81L/Hの流量で抜き取り、
次の炭酸ジメチル分離精製工程に供給した以外は、実施
例1と同様に反応させた。
【0096】非凝縮性ガスを85.4Nm3 /Hの流量
で反応器の液相部に循環供給することにより反応温度を
130℃に保持した。反応による発熱量ΔH1 は40.
9kkcal/H、反応装置からの放熱量や反応液の抜
き取りに伴う持ち出し熱量など非凝縮性ガスを循環しな
い場合でも除熱される熱量ΔH2 は16.9kkcal
/H、循環ガスによる除熱量ΔH3 は24.0kkca
l/Hであった。上記熱バランスにより反応温度が一定
に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で使用した反応装置を示す概略図
である。
【符号の説明】
1…反応器 3…第三の供給ライン 4…第二の供給ライン 5…第一の供給ライン 6…コンデンサ 7…凝縮液戻りライン 8…循環ガスミニフローライン 9…圧力調整バルブ 10…オフガスライン 11…コンプレッサー 12…循環ガス仕込みライン 13…ミニフロー流量調節バルブ 14…第四の供給ライン 15…循環ガス流量調節バルブ 16…流量計 17…反応液抜き出しライン 19…温度計 20…ガス抜き取りライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−56747(JP,A) 特開 平5−246954(JP,A) 特開 平4−270251(JP,A) 特開 平3−190846(JP,A) 特開 平3−99041(JP,A) 特開 平6−92910(JP,A) 特開 平5−43517(JP,A) 特開 平4−306254(JP,A) 特開 昭57−93919(JP,A) 特開 昭56−123945(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 68/00 C07C 69/96

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体反応成分と気体反応成分とを液相で
    反応させる発熱反応において、反応器の気相部のガスを
    気液分離し、分離した非凝縮性ガスを反応器の液相に循
    環供給することにより、反応温度を制御する反応制御方
    法。
  2. 【請求項2】 循環供給するガス流量を調節して反応温
    度を制御する請求項1記載の反応制御方法。
  3. 【請求項3】 気体反応成分として、一酸化炭素及び/
    又は酸素を用いる反応の反応温度を制御する請求項1記
    載の反応制御方法。
  4. 【請求項4】 アルコール、一酸化炭素及び酸素を液相
    で反応させて炭酸エステルを製造する方法において、反
    応器の気相部のガスを気液分離し、分離した非凝縮性ガ
    スを反応器の液相に循環供給することにより、反応温度
    を制御する炭酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 循環供給するガス流量を調節して反応温
    度を制御する請求項4記載の炭酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 アルコールとして炭素数1〜6のアルコ
    ールを用いる請求項4記載の炭酸エステルの製造方法。
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