JP3307407B2 - 放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輝尽性蛍光体層または
その母体層を形成した後、熱処理する工程を含む放射線
画像変換パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば医療の分野においては、病気の診
断にX線画像のような放射線画像が多く用いられてい
る。かかる放射線画像の形成方法としては、従来、被写
体を透過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射
し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の
写真を撮るときと同じように、銀塩を使用したフィルム
に照射して現像する、いわゆる放射線写真法が一般的で
あった。
【0003】しかるに、近年、銀塩を塗布したフィルム
を使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法と
して、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、し
かる後この蛍光体を例えば光または熱エネルギーで励起
することにより、この蛍光体に吸収されて蓄積されてい
た放射線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を
検出して画像化する方法が提案されている。
【0004】例えば米国特許第 3,859,527号明細書、特
開昭55− 12144号公報には、輝尽性蛍光体を用い、可視
光線または赤外線を輝尽励起光として用いた放射線画像
変換方法が示されている。この方法は、基板上に輝尽性
蛍光体層を形成した放射線画像変換パネルを使用するも
のであり、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層
に被写体を透過した放射線を当てて、被写体の各部の放
射線透過度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて潜
像を形成し、しかる後にこの輝尽性蛍光体層を輝尽励起
光で走査することによって各部に蓄積された放射線エネ
ルギーを輝尽発光として放射させ、この光の強弱による
光信号を例えば光電変換し、画像再生装置により画像化
するものである。この最終的な画像はハードコピーとし
て再生されるか、またはCRT上に再生される。
【0005】しかるに、輝尽性蛍光体は、一般に、励起
を停止した後もなお継続して蛍光を発するいわゆる「残
光」という現象を示す。従って、放射線画像変換パネル
において検出すべき蛍光に残光が混入してくるので、こ
の残光量が多い場合には、放射線画像のSN比が低下す
る問題がある。従来においては、輝尽性蛍光体の残光量
を減少させるために、酸素を含有するアルカリハライド
蛍光体を用いる技術が提案されている(特願昭60−2975
16号明細書) 。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術では、輝尽性蛍光体層の形成時に酸素化合物を添加す
るので、蒸着法により輝尽性蛍光体層を形成する場合に
は、蒸着装置の汚染が生じやすく、しかも蒸気圧の相違
により膜厚方向において濃度の不均一が生じやすく、さ
らにその後の熱処理により酸素化合物が離脱して残光量
を充分に少なくすることができない問題がある。
【0007】そこで、本発明の目的は、残光量が少な
く、しかも画像欠陥の少ない放射線画像変換パネルを製
造することができる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、
ルカリハライド蛍光体よりなる輝尽性蛍光体層またはそ
の母体層を気相堆積法によって形成した後、付活剤およ
び酸素化合物を含有する雰囲気粉よりの付活剤および酸
素化合物のガスが存在する雰囲気で熱処理する放射線画
像変換パネルの製造方法であって、前記酸素化合物がS
iO2 、MgO、Al2 3 、TiO2 およびZrO2
から選ばれたセラミックスよりなり、前記雰囲気粉に対
する当該酸素化合物の割合が0.001重量%以上で
1.0重量%以下であることを特徴とする。または、前
記酸素化合物が硝酸、炭酸もしくはこれらの化合物から
なり、前記雰囲気粉1モルに対する当該酸素化合物の割
合が10-6〜0.5モルであることを特徴とする。
【0009】
【作用】輝尽性蛍光体層またはその母体層を形成した
後、付活剤および酸素化合物を含有する雰囲気で熱処理
するので、酸素化合物を安定かつ均一に添加でき、残光
量の少ない放射線画像変換パネルが得られる。特に、酸
素化合物としてセラミックスを用いた場合には、付活剤
と共にセラミックスが存在するので、付活剤の流動性が
向上して凝集することがなく、従って付活剤の突沸が生
じにくくて画像欠陥の少ない放射線画像変換パネルが得
られる。しかも、セラミックスが輝尽性蛍光体層の柱状
結晶の亀裂にも侵入することとなるため、熱処理の際に
柱状結晶が互いに融着するのが防止され、画像の鮮鋭性
の高い放射線画像変換パネルが得られる。
【0010】
【実施例】本発明においては、輝尽性蛍光体層またはそ
の母体層を形成した後、付活剤および酸素化合物を含有
する雰囲気で熱処理する。
【0011】図1は、熱処理に用いることができる熱処
理装置を示し、1はプレートであり、基板1A上に輝尽
性蛍光体層1Bが形成されている。2は熱処理容器、3
はヒータ、4は熱処理炉、5はヒータ、6は蒸発容器、
7は雰囲気粉、8はガス量調整バルブである。ここで、
雰囲気粉とは、付活剤および酸素化合物を含有する粉末
をいう。
【0012】熱処理するに際しては、熱処理の対象であ
るプレート1を熱処理容器2へ設置し、雰囲気粉7を蒸
発容器6に設置する。その後、ヒータ3および5により
それぞれの蒸発容器6を所定の温度にまで加熱した後、
ガス量調整バルブ8を徐々に開いて付活剤および酸素化
合物のガスを熱処理容器2中へ拡散させる。付活剤およ
び酸素化合物のガス拡散量は蒸発容器6の加熱温度、熱
処理容器2と蒸発容器6との温度差、ガス量調整バルブ
8の開閉量等によって決定される。プレート1の熱処理
温度Tは、輝尽性蛍光体の種類によっても異なるが、輝
尽性蛍光体母体の融点Tmより低いことが好ましく、0.
25Tm<T<0.75Tmの範囲が好ましい。熱処理が終了
した後、プレート1を室温まで所定の速度で冷却する。
この図1の熱処理装置では、輝尽性蛍光体の結晶に対す
る熱増感と、付活剤および酸素化合物による改質と、輝
尽性蛍光体の形成時の結晶の乱れに対するアニールとが
同時に行われる。
【0013】図2は、熱処理に用いることができる熱処
理装置の他の例を示し、9は付活剤および酸素化合物の
雰囲気粉、10は熱処理容器である。この熱処理装置で
は、熱増感を施すプレート1と付活剤および酸素化合物
の雰囲気粉9とを熱処理容器10中に共存させている。こ
のような雰囲気粉9の使用によってプレート1中の付活
剤および酸素化合物の濃度を容易に調整することができ
る。
【0014】雰囲気粉9における付活剤および酸素化合
物の濃度は、アニール条件で異なるが、プレート1の輝
尽性蛍光体中の付活剤の濃度とほぼ等しいかこれより大
きいことが好ましい。また、プレート1の熱処理温度T
は、図1の装置を用いる場合と同様に輝尽性蛍光体母体
の融点Tmより低いことが好ましく、0.25Tm<T<0.
75Tmの範囲が好ましい。
【0015】図3は、熱処理に用いることができる熱処
理装置のさらに他の例を示し、この装置ではイオン注入
法により熱処理を行うものである。イオン源部11では、
付活剤および酸素化合物の固体あるいはそれらの塩化物
または水素化物等のガスより所要の付活剤および酸素化
合物のイオンを生成する。生成されたイオンは引出し電
極12によって引き出され、加速部で平均射影飛程や付活
剤および酸素化合物の分布の設定に応じてエネルギーを
選択し加速する。質量分析部13では、所要のエネルギー
と質量をもったイオンを取り出し、さらに偏向部14でx
−y方向にイオンビームを均一に掃引して、試料室15に
取りつけられたヒータ17で熱処理(アニール)されてい
るプレート16上に均一に照射する。このときチャネリン
グと呼ばれるイオンのトンネル侵入を避けるために、プ
レート16面をビーム方向に対して7〜8°程度傾けるこ
とが大切である。この熱処理装置の真空度は、通常、イ
オン源部11で約1×10-8Torr、試料室15では10-7Torr台
に設定される。
【0016】熱処理する際の付活剤としては、Eu化合
物群、Tb化合物群、Ce化合物群、Tm化合物群、D
y化合物群、Pr化合物群、Ho化合物群、Nd化合物
群、Yb化合物群、Er化合物群、Gd化合物群、Lu
化合物群、Sm化合物群、Y化合物群、Tl化合物群、
Na化合物群、Ag化合物群、Cu化合物群、In化合
物群、Mg化合物群の少なくとも1種が用いられる。
【0017】酸素化合物としては、SiO2 、MgO、
Al2 3 、TiO2 、ZrO2 等のセラミックス、硝
酸、炭酸もしくはこれらの化合物が好ましい。これらの
酸素化合物は適宜組合せて使用してもよい。硝酸化合物
としては、RbNO3 、TlNO3 、Pb(NO
32 、CsNO3 等が用いられる。炭酸化合物として
は、Na2 CO3 、BaCO3 、SrCO3 、Pb2
3 、Cs2 CO3 等が用いられる。
【0018】酸素化合物としてセラミックスを使用する
場合は、その粉末の使用量は雰囲気粉の重量に対して
0.001重量%以上とされ、特に0.2重量%以上が
好ましい。このセラミックスの粉末の粒径は、30μm
以下が好ましく、特に0.1μm以下が好ましい。基本
的には柱状結晶の亀裂の幅よりも小さければよい。
【0019】酸素化合物として硝酸等の化合物を使用す
る場合は、その使用量は雰囲気粉1モルに対して10 -6
〜0.5モルの範囲とされ、特に0.2モル以下が好ま
しい。特に硝酸またはその化合物は、残光を減少させる
効果が優れており、少量の添加で残光を充分に減少させ
ることができる。また、炭酸またはその化合物に比べて
吸湿性が小さいので取扱いも容易である。
【0020】熱処理の対象である輝尽性蛍光体層または
その母体層の形成方法としては、基板上に気相堆積法に
より輝尽性蛍光体層および付活剤層を別々に設け、その
後、熱処理を施して付活剤を輝尽性蛍光体層中に熱拡散
させる方法、基板上に気相堆積法により母体層を形成
し、次に当該母体層に別途用意した付活剤を拡散法やイ
オン注入法等により添加して輝尽性蛍光体層を得る方法
等が挙げられる。ここで「母体層」とは、付活剤を含有
していない状態の輝尽性蛍光体層をいう。気相堆積法と
しては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオン
プレーティング法等が挙げられる。
【0021】蒸着法により輝尽性蛍光体層を形成する場
合の一例においては、基板を蒸着装置内に設置した後、
蒸着装置内を排気して例えば10-6Torr程度の真空度とす
る。次いで、輝尽性蛍光体材料を備えた蒸発源を所定の
位置に配置して、抵抗加熱器または電子ビームを用いて
輝尽性蛍光体材料を加熱蒸発させて、その蒸気流を基板
の被蒸着面に当てて輝尽性蛍光体を所定の厚さに堆積さ
せる。蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形
成することも可能である。また、蒸着時、必要に応じて
基板を冷却または加熱してもよい。
【0022】スパッタリング法により輝尽性蛍光体層を
形成する場合の一例においては、蒸着法と同様に基板を
スパッタリング装置内に配置した後、装置内を一旦排気
して例えば10-6Torr程度の真空度とし、次いで、スパッ
タリング用のガスとしてAr,Ne等の不活性ガスを導
入して、例えば10-3Torr程度のガス圧とする。次に、複
数の輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリング
することにより、基板の表面に輝尽性蛍光体を所定の厚
さに堆積させる。このスパッタリング工程においても、
蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成す
ることも可能である。また、スパッタリング時に、必要
に応じて基板を冷却または加熱してもよい。
【0023】気相堆積法による輝尽性蛍光体層の形成工
程において、輝尽性蛍光体層の堆積速度は 0.1〜50μm
/分が好ましい。堆積速度があまり小さいと生産性が低
くなり、堆積速度があまり大きいと堆積速度のコントロ
ールが困難となる。また、気相堆積法による輝尽性蛍光
体層の形成工程において、結晶化の進行による画像の鮮
鋭性の低下を防止する観点から、基板の温度は 400℃以
下が好ましい。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放
射線画像変換パネルの放射線感度、輝尽性蛍光体の種類
等によって異なるが、放射線吸収率の低下による放射線
感度の低下を防止する観点から、30〜1000μmが好まし
く、特に50〜500 μmが好ましい。
【0024】図4は、本発明の製造方法により製造され
た放射線画像変換パネルの具体的構成例を示し、18は基
板、19は輝尽性蛍光体層、20は保護層、21はスペーサ、
22は低屈折率層である。
【0025】基板18の材料としては、ガラス、セラミッ
クス、金属等が用いられる。具体的には、石英ガラス、
化学強化ガラス等のガラス、結晶化ガラス、アルミナあ
るいはジルコニアの焼結板等のセラミックス、アルミニ
ウム、アルミニウム−マグネシウム合金、鉄、ステンレ
ス、銅、クロム、鉛等の金属シート等が挙げられる。基
板18の厚さは、その材質等によって異なるが、一般的に
は 100μm〜5mmが好ましく、取扱いの便利性から、特
に 200μm〜2mmが好ましい。
【0026】保護層20は、輝尽性蛍光体層19を物理的に
または化学的に保護するために設けられるものである。
この保護層20は、図4のように低屈折率層22を介して輝
尽性蛍光体層19に対向するように設けてもよいし、保護
層用の塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成し
てもよい。またあらかじめ別途形成した保護層を輝尽性
蛍光体層上に接着してもよい。
【0027】保護層20を低屈折率層22を介して設ける場
合、当該保護層20の構成材料としては、透光性がよく、
シート状に成形できるものが使用される。保護層20は輝
尽励起光および輝尽発光を効率よく透過するために、広
い波長範囲で高い光透過率を示すことが望ましく、光透
過率は80%以上が好ましい。そのような材料としては、
石英、ホウケイ酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラ
スや、PET、延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等
の有機高分子化合物が挙げられる。ホウケイ酸ガラスは
330nm〜2.6 μmの波長範囲で80%以上の光透過率を示
し、石英ガラスではさらに短波長においても高い光透過
率を示す。さらに、保護層20の表面に、MgF2 等の反
射防止層を設けると、輝尽励起光および輝尽発光を効率
よく透過すると共に、鮮鋭性の低下を小さくする効果も
あり好ましい。
【0028】保護層20を輝尽性蛍光体層19上に直接設け
る場合、当該保護層20の構成材料としては、酢酸セルロ
ース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、
ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカ
ーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロン等を用い
ることができる。また、この保護層20は、蒸着法、スパ
ッタリング法等により、SiC、SiO2 、Si
3 4 、Al2 3 等の無機物質を積層して形成しても
よい。この場合の保護層20の層厚は、保護層20を輝尽性
蛍光体層19に直接設ける場合は、 0.1〜100 μmが好ま
しく、低屈折率層22を介してを設ける場合は50μm〜5
mm、好ましくは100 μm〜3mmである。また、保護層20
の厚さは、通常50μm〜5mmであり、良好な防湿性を得
るためには、 100μm〜3mmが好ましい。
【0029】低屈折率層22は、放射線画像の鮮鋭性をさ
らに向上させる観点から必要に応じて設けられるもので
ある。具体的には、CaF2 (屈折率1.23〜1.26) 、N
3 AlF6 (屈折率1.35) 、MgF2 (屈折率1.38)
、SiO2 (屈折率1.46) 等からなる層;エタノール
(屈折率1.36) 、メタノール (屈折率1.33) 、ジエチル
エーテル (屈折率1.35) 等の液体からなる層;空気、窒
素、アルゴン等の気体からなる層;真空層等のように屈
折率が実質的に1である層;等から選択される。特に、
気体層または真空層が好ましい。この場合、低屈折率層
22の厚さは、通常0.05〜3mmである。
【0030】低屈折率層22は、輝尽性蛍光体層19と密着
していることが好ましく、従って、低屈折率層22が液体
層、気体層、真空層の場合には、そのままでよいが、低
屈折率層22をCaF2 、Na3 AlF6 、MgF2 、S
iO2 等を用いて保護層20の内面に設けた場合には、輝
尽性蛍光体層19と低屈折率層22は例えば接着剤等により
密着させればよい。
【0031】保護層20を輝尽性蛍光体層19に対して距離
をおいて配設する場合には、基板18と保護層20との間
に、輝尽性蛍光体層19を取囲むスペーサ21が設けられ
る。スペーサ21としては、輝尽性蛍光体層19を外部雰囲
気から遮断した状態で保持することができるものであれ
ば特に制限されず、ガラス、セラミックス、金属、プラ
スチック等が用いられる。
【0032】本発明において「輝尽性蛍光体」とは、最
初の光または高エネルギー放射線が照射された後に、光
的、熱的、機械的、化学的または電気的等の刺激(輝尽
励起)により、最初の光または高エネルギー放射線の照
射量に対応した輝尽発光を示す蛍光体をいうが、実用的
な面からは、波長が 500nm以上の輝尽励起光によって輝
尽発光を示す蛍光体が好ましい。
【0033】輝尽性蛍光体層を構成する輝尽性蛍光体と
しては、下記一般式(1)で示されるアルカリハライド
蛍光体が好ましい。一般式(1)MI X・aMIIX'2
bMIII X''3 ・cA:dB 式中、MI は、Li,Na,K,Rb,Csの少なくと
も1種のアルカリ金属を表す。MIIは、Be,Mg,C
a,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu,Niの少なくとも
1種の2価の金属を表す。MIII は、Sc,Y,La,
Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,In
の少なくとも1種の3価の金属を表す。X,X' , X''
は、F,Cl,Br,Iの少なくとも1種のハロゲンを
表す。Aは、酸素を含有する化合物組成であって、好ま
しくは前記MI 、MII、MIII 、さらに後記付活剤Bを
構成する化合物の少なくとも1種を表す。Bは、付活剤
組成であって、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,
Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,T
l,Na,Ag,Cu,In,Mgの少なくとも1種の
金属を表す。a,b,c,dは、0≦a<0.5 、0≦b
<0.5 、0<c≦0.5 、好ましくは10-6<c≦0.2 、0
<d≦0.2を満たす数を表す。ただし、AがBを構成す
る付活剤の酸素化合物である場合は、d =0 でもよい。
【0034】前記アルカリハライド輝尽性蛍光体を構成
する輝尽性蛍光体原料としては、下記のものが用いられ
る。(1)LiF、LiCl、LiBr、LiI、Na
F、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KB
r、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、Cs
F、CsCl、CsBr、CsIの少なくとも1種。
(2)BeF2 、BeCl2 、BeBr2、BeI2
MgF2 、MgCl2 、MgBr2 、MgI2 、CaF
2 、CaCl2、CaBr2 、CaI2 、SrF2 、S
rCl2 、SrBr2 、SrI2 、BaF2、BaCl
2 、BaBr2 、BaBr2 ・2H2 O、BaI2 、Z
nF2 、ZnCl2 、ZnBr2 、ZnI2 、Cd
2 、CdCl2 、CdBr2 、CdI2 、CuF2
CuCl2 、CuBr2 、CuI2 、NiF2 、NiC
2 、NiBr2 、NiI2 の少なくとも1種。(3)
ScF3 、ScCl3 、ScBr3 、ScI3 、Y
3 、YCl3 、YBr3 、YI3 、LaF3 、LaC
3 、LaBr3 、LaI3 、CeF3 、CeCl3
CeBr3 、CeI3 、PrI3 、PrF3 、PrCl
3 、PrBr3 、PrI3 、NdF3 、NdCl3 、N
dBr3 、NdI3 、PmF3 、PmCl3 、PmBr
3 、PmI3 、SmF3 、SmCl3 、SmBr3 、S
mI3 、EuF3 、EuCl3 、EuBr3 、Eu
3 、GdF3 、GdCl3 、GdBr3 、GdI3
TbF3 、TbCl3 、TbBr3 、TbI3 、DyF
3 、DyCl3 、DyBr3 、DyI3 、HoF3 、H
oCl3 、HoBr3 、HoI3 、ErF3 、ErCl
3 、ErBr3 、ErI3 、TmF3 、TmCl3 、T
mBr3 、TmI3 、YbF3 、YbCl3 、YbBr
3 、YbI3 、LuF3 、LuCl3 、LuBr3 、L
uI3 、AlF3 、AlCl3、AlBr3 、Al
3 、GaF3 、GaCl3 、GaBr3 、GaI3
InF3、InCl3 、InBr3 、InI3 の少なく
とも1種。(4)Eu化合物群、Tb化合物群、Ce化
合物群、Tm化合物群、Dy化合物群、Pr化合物群、
Ho化合物群、Nd化合物群、Yb化合物群、Er化合
物群、Gd化合物群、Lu化合物群、Sm化合物群、Y
化合物群、Tl化合物群、Na化合物群、Ag化合物
群、Cu化合物群、In化合物群、Mg化合物群の少な
くとも1種の付活剤原料。
【0035】本発明においては、アルカリハライド蛍光
体が蒸着法に好適であることから特に好ましく用いるこ
とができる。すなわち、蒸着法により容易に柱状化しや
すいため、その後の熱処理により柱状に沿って均一に酸
素化合物が添加できる。ただし、本発明においては、以
上の蛍光体に限定されず、放射線を照射した後、輝尽励
起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であれば、
その他の蛍光体をも用いることができる。
【0036】図5は本発明の方法により製造された放射
線画像変換パネルを用いて構成された放射線画像変換装
置の概略を示し、23は放射線発生装置、24は被写体、25
は放射線画像変換パネル、26は輝尽励起光源、27は放射
線画像変換パネル25より放射された輝尽発光を検出する
光電変換装置、28は光電変換装置27で検出された信号を
画像として再生する再生装置、29は再生装置28により再
生された画像を表示する表示装置、30は輝尽励起光と輝
尽発光とを分離し、輝尽発光のみを透過させるフィルタ
ーである。
【0037】この放射線画像変換装置においては、放射
線発生装置23からの放射線は被写体24を通して放射線画
像変換パネル25に入射する。この入射した放射線は放射
線画像変換パネル25の輝尽性蛍光体層に吸収され、その
エネルギーが蓄積され、放射線透過像の蓄積像が形成さ
れる。次に、この蓄積像を輝尽励起光源26からの輝尽励
起光で励起して輝尽発光として放射させる。放射される
輝尽発光の強弱は、蓄積された放射線エネルギー量に比
例するので、この光信号を例えば光電子増倍管等の光電
変換装置27で光電変換し、再生装置28によって画像とし
て再生し、表示装置29によって表示することにより、被
写体24の放射線透過像を観察することができる。
【0038】以下、さらに具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体の
母体(RbBr)を 300μmの厚さで蒸着した。このプ
レートと、RbBr:5×10-4TlBr(付活剤)の粉
末1モルと、RbNO3 (酸素化合物)の粉末10-2モル
とを、図2の熱処理容器に入れて、温度500 ℃で2時間
にわたり熱処理を行った。輝尽性蛍光体層の柱状結晶に
おける亀裂の幅は 0.1〜30μmであった。熱処理後のプ
レートを用いて放射線画像変換パネルを作製した。
【0039】実施例2 実施例1において、RbNO3 (酸素化合物)の粉末の
モル数を10-6モルに変更したほかは同様にして熱処理を
行い、放射線画像変換パネルを作製した。
【0040】実施例3 実施例1において、熱処理装置を図1の装置に変更した
ほかは同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0041】比較例1 実施例1と同様の基板に、電子ビーム蒸着法によりアル
カリハライド蛍光体(RbBr:5×10-4TlBr,10
-2RbNO3) を 300μmの厚さで蒸着した。このプレ
ートを付活剤および酸素化合物を用いずに温度 500℃で
2時間にわたり熱処理を行った。熱処理後のプレートを
用いて比較用の放射線画像変換パネルを作製した。
【0042】比較例2 実施例1において、RbNO3 (酸素化合物)の粉末10
-2モルを用いずに熱処理を行ったほかは同様にして比較
用の放射線画像変換パネルを作製した。
【0043】実施例4 実施例1において、酸素化合物をPb(NO3 2 の粉
末10-3モルに変更したほかは同様にして放射線画像変換
パネルを作製した。
【0044】実施例5 実施例1において、酸素化合物をRb2 CO3 の粉末2
×10-2モルに変更したほかは同様にして放射線画像変換
パネルを作製した。
【0045】実施例6 実施例1において、酸素化合物をCs2 CO3 の粉末2
×10-2モルに変更したほかは同様にして放射線画像変換
パネルを作製した。
【0046】実施例7 約 400mm× 500mm×1mmの結晶化ガラス板からなる基板
に、電子ビーム蒸着法によりアルカリハライド蛍光体の
母体(RbBr)を 300μmの厚さで蒸着した。このプ
レートと、RbBr:5×10-4TlBr(付活剤)の粉
末1モルと、SiO2 (酸素化合物, 粒径0.05μm)の
粉末 0.2重量%とを、図2の熱処理容器に入れて、温度
500℃で2時間にわたり熱処理を行った。熱処理後のプ
レートを用いて放射線画像変換パネルを作製した。
【0047】実施例8 実施例7において、酸素化合物をAl2 3 (粒径0.05
μm)の粉末 0.2重量%に変更したほかは同様にして放
射線画像変換パネルを作製した。
【0048】実施例9 実施例7において、酸素化合物をTiO2 (粒径0.05μ
m)の粉末 0.2重量%に変更したほかは同様にして放射
線画像変換パネルを作製した。
【0049】実施例10 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径 0.1μm)の粉末 0.2重量%に変更したほかは
同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0050】実施例11 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径 0.5μm)の粉末 0.2重量%に変更したほかは
同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0051】実施例12 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径30μm)の粉末0.2重量%に変更したほかは同
様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0052】実施例13 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径50μm)の粉末0.2重量%に変更したほかは同
様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0053】実施例14 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径0.05μm)の粉末 0.001重量%に変更したほか
は実施例6と同様にして放射線画像変換パネルを作製し
た。
【0054】実施例15 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径0.05μm)の粉末 0.005重量%に変更したほか
は実施例6と同様にして放射線画像変換パネルを作製し
た。
【0055】実施例16 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径0.05μm)の粉末0.01重量%に変更したほかは
同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0056】実施例17 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径0.05μm)の粉末 0.1重量%に変更したほかは
同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0057】実施例18 実施例7において、酸素化合物をSiO2 (酸素化合
物, 粒径0.05μm)の粉末 1.0重量%に変更したほかは
同様にして放射線画像変換パネルを作製した。
【0058】比較例3 実施例7において、SiO2 の粉末を用いずに熱処理し
た以外は同様にして比較用の放射線画像変換パネルを作
製した。
【0059】評価1 以上の実施例1〜6および比較例1,2で得られた放射
線画像変換パネルについて、下記のようにして放射線感
度および残光を評価した。なお,実施例1〜6および比
較例1,2の主な構成要件を後記表1にまとめて示し、
評価結果については後記表2に示した。
【0060】放射線感度 X線曝射後、半導体レーザ光で励起した際の発光量を測
定し、実施例1で得られた放射線画像変換パネルの場合
を 100とする相対値で示した。
【0061】残光励起停止直前の信号S1 と、励起停止
後 200μsec 経過した時の信号値S2 の比S1 /S2
測定し、実施例1で得られた放射線画像変換パネルの場
合を 100とする相対値で示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】評価2 以上の実施例7〜18および比較例3で得られた放射線画
像変換パネルについて、下記のようにして放射線感度、
鮮鋭性、画像欠陥、残光を調べた。なお,実施例7〜18
の主な構成要件を後記表3、表4、表5にまとめて示
し、評価結果については後記表6に示した。
【0065】放射線感度 評価1と同様にして発光量を測定し、比較例3で得られ
た放射線画像変換パネルの場合を 100とする相対値で示
した。
【0066】鮮鋭性 放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼付けた後、
管電圧80kVP-P のX線を10 mR(管球からパネルまで
の距離:1.5 m)照射した後、半導体レーザ光(発振波
長:780nm 、ビーム径: 100μm) で走査して輝尽励起
し、CTFチャート像を輝尽性蛍光体層から放射される
輝尽発光として読取り、光検出器 (光電子増倍管) で光
電変換して画像信号を得た。この信号値により、画像の
変調伝達関数 (MTF)を調べ、放射線画像の鮮鋭性
を、比較例3で得られた放射線画像変換パネルの場合を
100とする相対値で示した。なお、MTFは、空間周波
数が1サイクル/mmの時の値である。
【0067】画像欠陥 放射線画像の単位面積( 400mm×400mm )当りに存在す
る、大きさが 0.5mm以上の欠陥の個数によって評価し
た。
【0068】残光 評価1と同様にして比S1 /S2 を測定し、比較例3で
得られた放射線画像変換パネルの場合を 100とする相対
値で示した。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】表1および表2から明らかなように、本発
明の製造方法によれば、残光の少ない放射線画像変換パ
ネルが得られる。特に、酸素化合物としてセラミックス
を用いることにより、画像の鮮鋭性の高い放射線画像変
換パネルが得られる。
【0074】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、残光が少なく、しかも画像欠陥の少ない放射線画
像変換パネルが得られる。特に、セラミックスからなる
酸素化合物を用いることにより、画像の鮮鋭性の高い放
射線画像変換パネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理装置の一例を示す断面図である。
【図2】熱処理装置の他の例を示す断面図である。
【図3】熱処理装置のさらに他の例を示す断面図であ
る。
【図4】放射線画像変換パネルの一例を示す断面図であ
る。
【図5】放射線画像変換装置の概略を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 プレート 1A 基板 1B 輝尽性蛍光体層 2 熱処理容器 3 ヒータ 4 熱処理炉 5 ヒータ 6 蒸発容器 7 雰囲気粉(付活剤および酸素化合物を含有する粉
末) 8 ガス量調整バルブ 9 雰囲気粉 10 熱処理容器 11 イオン源部 12 引出し電極 13 質量分析部 14 偏向部 15 試料室 16 プレート 17 ヒータ 18 基板 19 輝尽性蛍光体層 20 保護層 21 スペーサ 22 低屈折率層 23 放射線発生装置 24 被写体 25 放射線画像変換パネル 26 輝尽励起光源 27 光電変換装置 28 再生装置 29 表示装置 30 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−18100(JP,A) 特開 昭57−108186(JP,A) 特開 昭62−156191(JP,A) 特開 平1−178583(JP,A) 特開 昭61−236892(JP,A) 特開 平2−97665(JP,A) 特開 平2−58000(JP,A) 特開 昭62−209400(JP,A) 特開 昭57−23675(JP,A) 特開 昭56−116777(JP,A) 特開 昭57−23673(JP,A) 特開 昭62−110200(JP,A) 特開 昭63−264694(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 4/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリハライド蛍光体よりなる輝尽性
    蛍光体層またはその母体層を気相堆積法によって形成し
    た後、付活剤および酸素化合物を含有する雰囲気粉より
    の付活剤および酸素化合物のガスが存在する雰囲気で熱
    処理する放射線画像変換パネルの製造方法であって、 前記酸素化合物がSiO2 、MgO、Al2 3 、Ti
    2 およびZrO2 から選ばれたセラミックスよりな
    り、前記雰囲気粉に対する当該酸素化合物の割合が0.
    001重量%以上で1.0重量%以下であることを特徴
    とする放射線画像変換パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリハライド蛍光体よりなる輝尽性
    蛍光体層またはその母体層を気相堆積法によって形成し
    た後、付活剤および酸素化合物を含有する雰囲気粉より
    の付活剤および酸素化合物のガスが存在する雰囲気で熱
    処理する放射線画像変換パネルの製造方法であって、 前記酸素化合物が硝酸、炭酸もしくはこれらの化合物か
    らなり、前記雰囲気粉1モルに対する当該酸素化合物の
    割合が10-6〜0.5モルであることを特徴とする放射
    線画像変換パネルの製造方法。
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