JP3306434B2 - 抗ヒトヘムオキシゲナーゼ−1モノクローナル抗体 - Google Patents

抗ヒトヘムオキシゲナーゼ−1モノクローナル抗体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトヘムオキシゲ
ナーゼ−1(ヒトHO−1)に反応するが、ヒトヘムオ
キシゲナーゼ−2(ヒトHO−2)とは反応せず、ヒト
HO−1活性を抑制することができるモノクローナル抗
体や、かかるモノクローナル抗体を用いる、ヒトHO−
1の測定方法や検出方法、細胞又は組織におけるストレ
スの検出方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は、ヘムオキシゲナーゼ(HO)に
よる酵素反応を介して、ヘモグロビンの色素部分である
ヘム分子を分解する主要な臓器であることが報告されて
いる(Maines MD, et al., J. Biol. Chem. 261, 411-4
19, 1986、Maines MD, et al.,FASEB J. 2, 2557-2568,
1988)。このHO酵素がヘム分子をα−メテン位で開
裂することにより、プロトヘムIX(protoheme IX)を分
解し、ビリベルジン−IXα、二価鉄及び一酸化炭素(C
O)が生成される。通常、肝臓は、少なくとも2つのH
Oアイソザイム、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)
やヘムオキシゲナーゼ−2(HO−2)を含んでいる。
このHO−1は分子量約33kDaの酵素で、例えばヒ
トHO−1は288アミノ酸残基からなり、ラットHO
−1は289アミノ酸残基からなることが知られてい
る。このHO−1は、肝臓や脾臓において高レベルで発
現しているが、他の組織(例えば、マクロファージ系な
ど)にも活性がみられ、重金属、環境毒性物質、熱ショ
ック、活性炭素、紫外線、サイトカイン、活性酵素など
多種の生体侵襲物質によるストレスに応答して細胞内に
発現誘導を起こすことが知られている(Mains MD, FASE
B J. 2, 2557-2568, 1988)。他方、上記HO−2は種
々の組織に存在する分子量約36kDaの非誘導型の酵
素で、ヒトHO−2は316アミノ酸残基からなり、ラ
ットHO−2においては315アミノ酸残基からなるこ
とが知られている。
【0003】最近まで、HOは老化赤血球の主成分であ
るヘモグロビンの分解に必要な異化酵素だと考えられ、
その生成物は有毒廃棄物であると考えられてきた。しか
し、近年の報告からHO反応により得られた生成物の生
物学的作用により、HOによる酵素反応の生理的重要性
が示された。例えば、HO−1欠損マウスにおいて、肝
臓のエンドトキシンに対する感染性が増大するという報
告がなされているが、この結果はおそらく、内在性のラ
ジカル・スカベンジャーであるビリベルジンやビリルビ
ンの生成減少により組織の抗酸化能力が欠乏したからで
あると考えられている(Poss, K.D., and S. Tonegawa.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 30, 10925, 1997)。そ
の他、HO反応は鉄調節タンパク質に結合する遊離二価
鉄を生成し、その結果、細胞内での鉄の貯蔵にとって主
なタンパク質である、転写後アップレギュレーションし
たフェリチンを刺激する。(DeRusso PA, et al., J. B
iol. Chem. 270, 15451-15454, 1995)。さらに、鉄の
再利用における酵素の役割として貧血性変化と共に肝臓
において鉄沈着を示すことが、HO−1欠損マウスの観
察結果と、ヒトによる最初のHO−1欠損症例の観察結
果により証明されている(Yachie, et al., J. Clin. I
nvest. 103, 129-135, 1999)。
【0004】その他の肝機能の調節において重要なHO
反応の役割としては、COの生物学的活性に属するもの
である(Suematsu M, et al., Biochem. Biophys. Res.
Commun. 205, 1333-1337, 1994、Suematsu M, et al.,
J. Clin. Invest. 96, 2431-2437, 1995)。本発明者
らにより、無刺激ラットの肝臓において、COが、シヌ
ソイド状態を減少させ、微小血管潅流の維持に必須であ
る内在性因子としての役割を果たすことが報告されてい
る。この血管の正常な活動状態をコントロールするCO
の役割は、ラットの肝臓において、乏血再潅流及びヘム
の過剰等のストレス条件下でHO−1が誘導されること
によって証明されている。最近、Fernandezらによっ
て、実験的門脈圧亢進症又は硬変の肝臓が著しいHO−
1誘導を示すことが報告されている(Fernandez M, et
al., Hepatology 29, 1672-1679, 1999)が、COの肝
門脈系循環の調節における生物学的特性はこれらの症例
において未だ調査されていない。さらに、HOアイソザ
イム及び病的状態におけるHOアイソザイムの変化に対
する肝臓内局所学は、ヒトにおいては未だ解明されてい
ない。
【0005】他方、HO−1等の酵素に対する抗血清や
抗体は多くの研究室で作製されている。本発明者らもラ
ットHO−1に特異的に作用し、ラットHO−2には交
叉反応性を示さない抗ラットHO−1モノクロナール抗
体について既に報告している(J. Clin. Invest. 101,
604-612, 1998)。しかし、ヒトHO−1を特異的に検
出し、且つヒトHO−2と交叉反応性を示さない特異性
の高い抗ヒトHO−1モノクローナル抗体は未だ作製さ
れていなかった。一方、細胞や組織におけるHOの酵素
活性の測定は、従来、基質であるprotoheme IXの添加に
よる生成物ビリベルジンあるいはビリルビンの測定によ
る分光分析で行われている。しかし、この方法ではHO
−1とHO−2との識別は不可能であり、ストレス応答
の指標としてのヒトHO−1活性のみを定量的に測定す
る方法は確立されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、スト
レス非誘導型酵素ヒトHO−2と交叉反応性を示さず、
ストレス誘導型酵素ヒトHO−1を特異的に検出するこ
とができる抗ヒトHO−1モノクローナル抗体、特にヒ
トHO−1活性を抑制することができるモノクローナル
抗体や、かかるモノクローナル抗体を用いたヒトHO−
1の測定方法や検出方法、細胞又は組織におけるストレ
スの検出方法等を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、本発明者
らによる前記の方法(J. Clin. Invest. 101, 604-612,
1998)により、ラットHO−1で免疫したマウスのB
リンパ球とマウス骨髄腫細胞とから調製したハイブリド
ーマ細胞が産生するモノクローナル抗体を用いて、ラッ
ト肝臓におけるHOアイソフォームの分布等の実験中、
抗ラットHO−1モノクローナル抗体の1つがヒトHO
−1に結合し、ヒトHO−2と交叉反応せず、かつ、ヒ
トHO−1の酵素活性を選択的に阻害することを偶々見
い出した。また、本発明者らは、かかるモノクローナル
抗体を用いて、ヒト肝臓におけるHO−1及びHO−2
等のHOアイソザイムの発現分布を確認し、さらに、肝
硬変症(LC)及び特発性門脈圧亢進症(IPH)等の
異なるタイプの門脈圧亢進症においてそれらの発現パタ
ーンが変化することを観察した。本発明は、以上の知見
に基づいて完成するに至ったものである。
【0008】すなわち本発明は、ヒトヘムオキシゲナー
ゼ−1と反応し、ヒトヘムオキシゲナーゼ−2とは反応
せず、ヒトヘムオキシゲナーゼ−1活性を抑制すること
ができることを特徴とするモノクローナル抗体又はその
可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメント
(請求項1)や、ハイブリドーマGTS−3(工業技術
院生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP−7
314)又はそれらから誘導された細胞株が産生するこ
とを特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体又は
その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
ント(請求項2)や、ハイブリドーマGTS−3(工業
技術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP
−7314)又はそれらから誘導された細胞株(請求項
)に関する。
【0009】また本発明は、請求項1又は2記載のモノ
クローナル抗体、該モノクローナル抗体の可変領域から
なる抗体結合部位を含む抗体フラグメントからなる群か
ら選ばれる少なくともいずれか1種を用いることを特徴
とするヒトヘムオキシゲナーゼ−1の測定方法(請求項
)や、請求項1又は2記載のモノクローナル抗体及び
/又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フ
ラグメントと、該モノクローナル抗体又はその可変領域
からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントとは異な
る部位でヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応する少なく
とも1種の第2のモノクローナル抗体及び/又はその可
変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと
を用いることを特徴とする請求項記載のヒトヘムオキ
シゲナーゼ−1の測定方法(請求項)や、請求項1又
は2記載のモノクローナル抗体及び/又はその可変領域
からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと、該モ
ノクローナル抗体又はその可変領域からなる抗体結合部
位を含む抗体フラグメントとは異なる部位でヒトヘムオ
キシゲナーゼ−1と反応する少なくとも1種の第2のモ
ノクローナル抗体及び/又はその可変領域からなる抗体
結合部位を含む抗体フラグメントのいずれか一方が固相
化されており、他方が標識されていることを特徴とする
請求項又は記載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1の測
定方法(請求項)や、請求項1又は2記載のモノクロ
ーナル抗体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる
抗体結合部位を含む抗体フラグメントからなる群から選
ばれる少なくともいずれか1種の存在下及び非存在下
に、ヒトヘムオキシゲナーゼの全活性を測定することを
特徴とする請求項記載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1
の測定方法(請求項)や、請求項1又は2記載のモノ
クローナル抗体、該モノクローナル抗体の可変領域から
なる抗体結合部位を含む抗体フラグメントからなる群か
ら選ばれる少なくともいずれか1種が含まれていること
を特徴とするヒトヘムオキシゲナーゼ−1測定用キット
(請求項)や、請求項1又は2記載のモノクローナル
抗体及び/又はその可変領域からなる抗体結合部位を含
む抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又はその
可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメント
とは異なる部位でヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応す
る少なくとも1種の第2のモノクローナル抗体及び/又
はその可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグ
メントとが含まれていることを特徴とするヒトヘムオキ
シゲナーゼ−1測定用キット(請求項)や、請求項1
又は2記載のモノクローナル抗体、該モノクローナル抗
体の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
トからなる群から選ばれる少なくともいずれか1種
と、ヒトヘムオキシゲナーゼの全活性を測定することが
できる試薬とが含まれていることを特徴とするヒトヘム
オキシゲナーゼ−1測定用キット(請求項10)に関す
る。
【0010】さらに本発明は、請求項1又は2記載のモ
ノクローナル抗体、該モノクローナル抗体の可変領域か
らなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントからなる群
から選ばれる少なくともいずれか1種を用いることを特
徴とするヒトヘムオキシゲナーゼ−1の検出方法(請求
11)や、請求項1又は2記載のモノクローナル抗
体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合
部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる少
なくともいずれか1種を用いて蛍光染色することを特徴
とする請求項11記載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1の
検出方法(請求項12)や、請求項のいずれか記
載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1の測定方法により、細
胞又は組織中のヒトヘムオキシゲナーゼ−1含量を測定
することを特徴とする細胞又は組織におけるストレスの
検出方法(請求項13)や、請求項11又は12記載の
ヒトヘムオキシゲナーゼ−1の検出方法により、細胞又
は組織におけるヒトヘムオキシゲナーゼ−1を検出する
ことを特徴とする細胞又は組織におけるストレスの検出
方法(請求項14)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体又は
その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
ントとしては、ヒトHO−1と反応し、ヒトHO−2と
は反応せず、ヒトHO−1活性を抑制することができる
抗ヒトHO−1モノクローナル抗体や該モノクローナル
抗体の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグ
メントであればどのようなものでもよいが、実際のHO
−1の機能解析の場合に必要とされるヒトHO−1の細
胞外領域をエピトープとして認識するモノクローナル抗
体や、これらモノクローナル抗体の可変領域からなる抗
体結合部位を含む抗体フラグメントが好ましい。また、
これら抗体フラグメントとしては、モノクローナル抗体
をペプシンで消化して得られるF(ab′)2、F(a
b′) 2を還元して得られるFab′、モノクローナル
抗体をパパインで消化して得られるFabなどを例示す
ることができる。
【0012】また、上記モノクローナル抗体の製造方法
としては、前記の方法(J. Clin. Invest. 101, 604-61
2, 1998)を具体的に挙げることができるが、かかる方
法に制限されるものではなく、慣用のプロトコールを用
いて、動物(好ましくはヒト以外)にラット由来のHO
−1、ヒト由来のHO−1若しくはそれらのエピトープ
を含む断片、又はそれらタンパク質を膜表面に発現した
細胞を投与することにより産生させる方法を挙げること
ができ、例えばモノクローナル抗体の製造には、連続細
胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブ
リドーマ法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオー
マ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today
4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCL
ONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan
R.Liss, Inc., 1985)など任意の方法を用いることが
できる。
【0013】上記本発明の、ヒトHO−1と反応し、ヒ
トHO−2とは反応せず、ヒトHO−1活性を抑制する
ことができるモノクローナル抗体として、モノクローナ
ル抗体GTS−3を具体的に挙げることができる。この
モノクローナル抗体GTS−3は、本発明のハイブリド
ーマGTS−3株(工業技術院生命工学工業技術研究所
受託番号FERM BP−7314)又はそれらから誘
導された細胞株を、インビボ又はインビトロで常法によ
り培養することにより生産することができる。例えば、
インビボ系においては、マウス又はラット等の齧歯動
物、好ましくはハイブリドーマと由来を同じくする齧歯
動物の腹腔内で培養することにより、またインビトロ系
においては、動物細胞培養用培地で培養することにより
得ることができる。インビトロ系でハイブリドーマを培
養するための培地としては、ストレプトマイシンやペニ
シリン等の抗生物質を含むRPMI1640又はMEM
等の細胞培養培地を例示することができる。
【0014】本発明関連のペプチドとしては、モノクロ
ーナル抗体GTS−3等のヒトHO−1と反応し、ヒト
HO−2とは反応せず、ヒトHO−1活性を抑制するこ
とができるモノクローナル抗体の可変領域からなる抗体
結合部位を含む抗体フラグメントを構成するアミノ酸配
列の一部の配列からなり、かつヒトHO−1活性を抑制
することができるペプチドを例示することができ、かか
るペプチドは、上記抗体フラグメントの部分分解ペプチ
ドを作製し、本発明のモノクローナル抗体と反応するペ
プチド断片を免疫沈降法等により特定することにより得
ることができる。
【0015】本発明のハイブリドーマGTS−3株は、
ラット由来のHO−1の細胞外領域をエピトープとして
認識する抗HO−1モノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマとして得られたものであり、具体的には、ラ
ットHO−1のcDNAをマウスの株化細胞であるWR
19L細胞(マウスT細胞株)にトランスフェクション
し、安定発現する形質転換細胞を選択・調製し、該形質
転換細胞から得られたミクロソーム画分でマウスを常法
により免疫し、免疫されたマウスのBリンパ球とマウス
骨髄腫PAI細胞とを、常法により細胞融合させ、10
%FCSを含むASF104又はHAT培地で選択し、
その中からヒトHO−1を発現する細胞に対して特異的
に免疫反応することができるものを免疫染色パターンに
よりスクリーニングすることにより作出することができ
る。
【0016】本発明のヒトHO−1の測定方法として
は、上記本発明のモノクローナル抗体、該モノクローナ
ル抗体の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラ
グメント、ヒトHO−1活性を抑制することができるペ
プチドからなる群から選ばれる少なくともいずれか1種
を用いる方法であれば特に制限されるものではなく、こ
れらモノクローナル抗体等を用いて、RIA法、ELI
SA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝
集反応法、オクタロニー法等の免疫学的測定方法を行う
ことによりヒトHO−1を特異的かつ正確に測定するこ
とができる。例えば、固相化された上記本発明のモノク
ローナル抗体及び/又はその可変領域からなる抗体結合
部位を含む抗体フラグメントと、これらモノクローナル
抗体又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体
フラグメントとは認識部位を異にする、標識化された第
2のモノクローナル抗体及び/又はその可変領域からな
る抗体結合部位を含む抗体フラグメントとを用いる方法
を挙げることができる。以下、かかるヒトHO−1分子
の互いに異なるエピトープを認識する2種類の本発明の
モノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法
について説明する。
【0017】抗ヒトHO−1モノクローナル抗体を担体
に固相化し(固相化一次抗体)、これにヒト血液(血
清)や尿等の検体を加え、抗原抗体反応により検体中の
ヒトHO−1を抗原抗体反応により固相化一次抗体に結
合させる。次に酵素標識した異なる種類の抗ヒトHO−
1モノクローナル抗体(酵素標識二次抗体) を反応さ
せ、抗原抗体反応により酵素標識二次抗体を上記固相化
一次抗体に結合している抗原に結合させる。その後、抗
原に結合しなかった酵素標識二次抗体を除去し、基質を
加えて酵素反応を行うことにより、既知量のヒトHO−
1と二次抗体に標識した酵素活性との関係を示す検量線
から、検体中のヒトHO−1量を求めることができる。
そして、ヒトHO−1の測定値は、臓器障害の指標とし
て用いることができる。
【0018】上記サンドイッチELISA法において、
モノクローナル抗体に代えて、前記F(ab′)2、Fa
bなどの該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体
結合部位を含むヒトHO−1に結合する抗体フラグメン
トや、ヒトHO−1活性を抑制することができるペプチ
ドを使用することもできる。また、これらモノクローナ
ル抗体、抗体フラグメント、ペプチドに標識する酵素と
しては、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ア
ルカリフォスファターゼ等を例示することができ、これ
ら酵素は「酵素標識法(生物化学実験法 27 ) 」 (第1
版、石川栄治著、学会出版センター、1991年) などに記
載されている方法で標識することができる。またこれら
酵素に代えて、例えば、125I、32P、35S、3H等のラ
ジオアイソトープや、FITC(フルオレセインイソシ
アネート)、テトラメチルローダミンイソシアネート等
の蛍光物質や、GFP(グリーン蛍光タンパク質)等の
蛍光発光タンパク質などを融合させた融合タンパク質を
用いることもできる。一方、固相としては、シリコン、
ナイロン、プラスチック、ガラスからなるビーズ、マイ
クロプレート、試験管、フィルター、メンブレン等を用
いることができる。
【0019】また、本発明のヒトHO−1の測定方法と
して、モノクローナル抗体GTS−3等のヒトHO−1
と反応し、ヒトHO−2とは反応せず、ヒトHO−1活
性を抑制することができるモノクローナル抗体、該モノ
クローナル抗体の可変領域からなる抗体結合部位を含む
抗体フラグメント、ヒトHO−1活性を抑制することが
できるペプチドからなる群から選ばれる少なくともいず
れか1種の存在下及び非存在下に、ヒトHOの全活性を
測定する方法を挙げることができる。この方法による
と、例えば、毒物に暴露されたヒト個体の臓器検体から
ホモジェネートを作製し、得られるミクロソーム画分を
緩衝液あるいは上記モノクローナル抗体、抗体フラグメ
ント又はペプチドでそれぞれ前処理し、生成ビリルビン
量を比較することにより、ヒトHO−1とヒトHO−2
によるHO全活性のうちのヒトHO−1活性の割合を求
めることができる。ウエスタンブロット法では、ヒトH
O−1の発現量の半定量的測定は可能であるものの酵素
活性自身のアセスメントはできなかったが、この方法に
よると、アイソザイム特異的HO酵素活性を測定するこ
とができる。
【0020】本発明のヒトHO−1測定用キットとして
は、本発明のモノクローナル抗体、抗体フラグメント、
ペプチドからなる群から選ばれる少なくともいずれか1
種が含まれている測定用キットであれば特に制限される
ものでなく、例えば、本発明のモノクローナル抗体及び
/又は抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又は
抗体フラグメントとは異なる部位でヒトHO−1と反応
する少なくとも1種の第2のモノクローナル抗体及び/
又は抗体フラグメントとが含まれている測定用キット
や、本発明のヒトHO−1活性を抑制しうるモノクロー
ナル抗体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗
体結合部位を含む抗体フラグメント、本発明のペプチド
からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種と、ヒ
トヘムオキシゲナーゼの全活性を測定することができる
試薬、例えばビリルビン測定試薬が含まれている測定用
キットなどを挙げることができる。
【0021】本発明のヒトHO−1の検出方法として
は、本発明のモノクローナル抗体、抗体フラグメント、
ペプチドからなる群から選ばれる少なくともいずれか1
種を用いる検出方法であれば特に制限されるものではな
いが、細胞又は組織をパラホルムアルデヒドで処理し、
次いでサポニンで処理すると同時又は処理した後に、本
発明のモノクローナル抗体、抗体フラグメント、ペプチ
ドからなる群から選ばれる少なくともいずれか1種を用
いて蛍光染色する検出方法を具体的に例示することがで
き、蛍光染色は蛍光標識化2次抗体を用いる方法や蛍光
標識化ペプチドを用いる方法により行うことができる。
かかる検出法により、毒物に暴露された個体のストレス
応答を簡便に検出することができる。
【0022】本発明の細胞又は組織におけるストレスの
検出方法としては、上記本発明のヒトHO−1の測定方
法により、細胞又は組織中のヒトHO−1含量を測定す
る方法や、あるいは、上記本発明のヒトHO−1の検出
方法により、細胞又は組織におけるヒトHO−1を検出
する方法を挙げることができる。また、ここでストレス
とは、生体内のひずみ、すなわち体外から加えられた物
理的(寒冷、放射線等)、化学的(薬物、酸素不足
等)、生物的(細菌汚染等)有害因子(ストレス作因)
と、それによって生じた防御反応をいう。また、本発明
のヒトHO−1活性を抑制しうるモノクローナル抗体、
該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合部位
を含む抗体フラグメント、本発明のペプチドからなる群
から選ばれる少なくともいずれか1種を有効成分とする
製剤は、本発明のストレスに起因する疾病の予防又は症
状改善剤としての使用が期待できる。
【0023】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 実施例1[形質転換細胞の調製] オスのウィスターラット(260〜300g;埼玉動物
研究所)から単離した肝細胞を、文献(Science 212, 1
041-4042, 1981)記載の方法に基づき培養した。次い
で、42℃で4時間熱処理して熱ショックをかけた培養
細胞から、ISOGEN(Nippon Gene製)を用いて全
細胞RNAを抽出し、逆転写酵素と、oligo(dT)20プラ
イマー及びランダムプライマー(ヘキサマー;pd[N]6
の混合物とを用いて一本鎖cDNAを合成した。次にAm
pliWax PCR Gem 100(Takara Biomedicals製)を用いた
PCR法により、この一本鎖cDNAから以下のプライ
マーを用いてラットHO−1を増幅した。ラットHO−
1のPCRプライマー(5′−d[GCC TGA AC
T AGC CCA ATT GCG CGA TGG AG
C GC]−3′:配列番号1、5′−d[CTC TG
G GGG CCA AGT CGA CAT TTA CA
T GGC AT]−3′:配列番号2)は、文献(Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 82, 7865-7869, 1985、J. Bi
ol. Chem. 265, 7501-7506, 1990)記載の塩基配列に基
づき合成した。
【0024】上記のPCR産物の3′末端側に位置する
SalI部位にアダプターを付加することによりNot
I認識部位を構築し、文献(Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 91, 158-162, 1994)記載の方法により、EF−1a
プロモーターを含むpEF−neoプラスミドベクター
のマルチプルクローニングサイトに存在するNotI部
位に挿入した。これらプラスミドベクターに挿入された
各PCR産物の塩基配列を確認し、ラットHO−1cD
NAを有するプラスミドベクターをpEFneo−ラッ
トHO−1と名付けた。この発現プラスミドベクター
を、文献(Cell.75, 1169-1178, 1993)記載の方法と同
様にエレクトロポレーション法によりWR19L細胞
(マウスT細胞株:ATCC TIB−52)にトラン
スフェクションした。トランスフェクションされた細胞
(WR19L−rHO−1)を5%のCO2下において
10%のFCSを含むRPMI1640で培養し、24
時間後、安定した形質転換細胞を得るために、最終濃度
が0.9mg/mlになるようにgeneticin(Gibco-BRL
製)を培地に加えて培養し、以下の実験に用いた。
【0025】 実施例2[ラット由来のHOアイソフォームに対するモ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製] 上記得られた形質転換細胞、WR19L−rHO−1か
ら得られたミクロソーム画分のタンパク質1mgを、生
後6週のBALB/c由来のメスマウス(Charles Rive
r Japan Inc)のフットパッド(foot pads)に毎週注射
する操作を5〜10回行い免疫化した。なお、1回目の
注射には上記タンパク質1mgとフロイント完全アジュ
バンドとを混合し乳状化したものを、2回目以降の注射
には上記タンパク質1mgとフロイント不完全アジュバ
ンドとを混合し乳状化したものを用いた。最終注射から
48時間後、免疫したマウスの両鼠蹊部及び腹部体壁部
のリンパ節を採取した。このリンパ節から得られたBリ
ンパ球と、マウス骨髄腫PAI細胞とを1:3〜5の割
合で50%のポリエチレングリコール4000(Boehri
nger Mannheim製)に加えて融合させた。この融合によ
り得られたハイブリドーマ細胞を、10%のFCSを含
むASF104(味の素製)及びHAT培地で2週間培
養した。
【0026】ハイブリドーマ細胞を含む培地の上清画分
と、前記細胞膜上にラットHO−1を発現している細
胞、WR19L−rHO−1とを用いて、以下の方法に
よりラットHO−1に対するモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマ細胞のスクリーニングを行った。ラ
ットHO−1を発現しているWR19L細胞を採取し、
2%のパラホルムアルデヒドを含むpH7.4のPBS
中において4℃で10分間固定した。この細胞をPBS
で2回洗浄し、10%のFCSを添加したRPMI16
40中において4℃で20分間ブロックした。このブロ
ックした細胞を、ハイブリドーマ細胞を含む培地の上清
と0.5%のサポニンといっしょに4℃で30分間イン
キュベーションし、その後PBSで2回洗浄し、フルオ
レセインが結合したヒツジ抗マウスIgG抗体のF(a
b′)2フラグメント(Organan-Teknika-Cappel)といっ
しょに4℃で30分間インキュベーションした。インキ
ュベーション後PBSですすいだ後、これら細胞をEP
ICSフローサイトメトリー(Coulter Electronics)
によりスクリーニングした。得られた細胞の中から、優
れた抗ラットHO−1モノクローナル抗体を産生する単
一クローンを得るために、ハイブリドーマ細胞のサブク
ローニングを限界希釈法により行った。その結果、GT
S−1株、GTS−3株、GTS−4株、GTS−5
株、GTS−6株、GTS−7株等の6個のクローンを
得ることができた。これらのクローンのうち1つGTS
−3株は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関
するブタペスト条約に基づいて、工業技術院生命工学工
業技術研究所(茨城県つくば市)において、平成12年
9月28日に受託番号「FERM BP−7314」と
して寄託されている。
【0027】実施例3[モノクローナル抗体の精製] 2,6,10,14−テトラメチルペンタデカンで前処
理した生後8週のCRJ(CD−1nu)由来のメスマ
ウス(Charles River Japan Inc)に、一匹当たり2×
106個の上記ハイブリドーマ細胞(FERM BP−
7314)を腹膜内注射することにより腹水症を誘発さ
せた。その後、このマウスから腹水を採取し、文献(J.
Immunol. Methods. 96, 271-278. 1987)記載の方法に
準じて、カプリル酸と45%の硫酸アンモニウムを用い
るシークエンシャル・プレシピテーション(sequential
precipitation)により抗ラットHO−1モノクローナ
ル抗体(GTS−3)を精製した。この精製したモノク
ローナル抗体の純度をSDS−PAGEで確認し、ま
た、マウス・モノクローナル・アイソタイプ・キット
(RPN29;Amersham International)を用いて精製
したモノクローナル抗体のサブクラスを確認した。
【0028】 実施例4[ウエスタンブロッティング分析] 上記得られた抗ラットHO−1モノクローナル抗体(G
TS−3)のヒトHO−1に対する反応性を調べるため
に、抗原として数種の細胞株を用いてウエスタンブロッ
ト分析を行った。ヒトHO−1(NCBIのアクセッシ
ョンナンバー:NM_002133)及びヒトHO−2
(NCBIのアクセッションナンバー:NM_0021
34)のcDNAを用いて、実施例1と同様の方法によ
りhHO−1及びhHO−2を発現するWR19L細胞
(WR19L−hHO−1、WR19L−hHO−2)
をそれぞれ作製した。これらの細胞株と実施例1により
得られたWR19L−rHO−1とを、pH7.0のP
BSで2回洗浄した。これらの洗浄した細胞の不溶画分
を除去するために、細胞の体積の4倍量の1%のノニデ
ットP−40溶液(1%のノニデットP−40、150
mMのNaCl、1mMのPMSF、50mMのTri
s−HCl;pH8.0)中において氷上で溶解した。
この1%のノニデットP−40溶液を10,000g×
15分間の遠心分離により上清を回収した。これら上清
に含まれるタンパク質を10%ゲルのSDS−PAGE
法により分離した後、Immobilon polyvinylidene diflu
oridetransfer membrane(Daiichi Pure Chemicals)に
移した。
【0029】上記の膜をBlock-Ace(Dainippon Pharm.
Co.)で少なくとも3時間ブロックし、1μg/mlの
GTS−3を含むPBS中、4℃で一晩インキュベーシ
ョンした。0.1%のTween20を含むPBSで洗
浄後、1%のBSAを含むPBSで希釈したビオチン化
した抗マウスIgG抗体のF(ab′)2フラグメント(R
PN 1061;Amersham International)溶液に上記インキ
ュベーションした膜を浸した。その後、製造業者のプロ
トコル(Vectastain Elite ABC kit;Vector Laborator
ies, Inc.)に基づき、ビオチンを結合した西洋ワサビ
ペルオキシダーゼにアビジンを反応させた複合体を反応
させ、抗原特異的HRP反応により生じた化学ルミネッ
センスをMolecular Imager(GS-525, Nippon Bio-Rad.
Co.)とECL detection kit(Amersham International)
により視覚化した。その結果を図1Aに示す。なお、図
1A中のmは分子マーカを、PCは親細胞WR19Lを
用いた場合の結果をそれぞれ表す。
【0030】また、HO−1誘導刺激を与えたヒトU9
37細胞(ATCC CRL−1593)についても、
免疫反応性を示すかどうかを調べてみた。図1Bに示さ
れている所定の濃度のヘミン又は塩化カドミウム(Cd
Cl2、シグマ製)で12時間処理することによりU9
37細胞にHO−1の発現を誘導させ、誘導した細胞を
回収した後、PBSで洗浄した。これら刺激した細胞を
溶解溶液(50mMのTris−HCl、150mMの
NaCl、1%のノニデットP−40;pH8.0)で
溶解し、この細胞溶解物を上記と同様に、10%ゲルの
SDS−PAGE法により分離し、Immobilon polyviny
lidene difluoride transfer membraneに移してGTS
−3により視覚化した。この結果を図1Bに示す。な
お、図中のvehicleはPBSを意味し、ポジティブコン
トロールとしてはラットから得られた脾臓の溶解物を用
いた。
【0031】これらの結果から、GTS−3はWR19
L−rHO−1又はWR19L−hHO−1から得られ
た細胞溶解物と特異的に交叉反応し、WR19L−hH
O−2から得られた細胞溶解物とは反応性を示さなかっ
た。また、強力なHO−1の誘導剤であるヘミンやCd
Cl2で前処理したヒトU937細胞は、ヘミンやCd
Cl2の濃度の増加に対して著しいHO−1タンパク質
の誘導を示した。これらのことから、GTS−3は、ヒ
トHO−2と交叉反応せず、HO−1に特異的に反応す
ることから、ヒトHO−1タンパク質の発現を検出する
のに有効であることがわかった。
【0032】 実施例5[GTS−3処理によるトランスフェクタント
のHO活性] 実施例4により得られたWR19L−rHO−1及びW
R19L−hHO−1の上清それぞれ50μlに、50
μlのPBS(vehicle)、図1C及びDに示す濃度に
なるようにGTS−3又はマウスIgG抗体を含むPB
S各50μlを加え、室温で10分間前処理し、その
後、これらの上清に反応溶液(1mMのグルコース6−
リン酸、0.167U/mlのグルコース6−リン酸デ
ヒドロゲナーゼ、0.8mMのNADP、15μMのヘ
ミン、2mMのMgCl2、0.01mg/mlのNA
DPH−シトクロムP450還元酵素(Gentest製)、
33mg-protein/mlのラット肝臓シトソル、27m
Mのリン酸カリウム溶液;pH7.4)200μlを加
えて37℃で30分間インキュベーションした。その
後、300μlのクロロホルムを加えて反応を停止さ
せ、生成したビリルビンをクロロホルム画分へ抽出し、
10,000gで15分間遠心分離した後、クロロホル
ムエキス中のビリルビン量を、吉田及び菊池らにより報
告されている文献(J. Biol. Chem. 253, 8479-8482, 1
978)記載の方法で測定した(図1C,D)。
【0033】上記の結果から、抗HO−1モノクローナ
ル抗体GTS−3には、HO−1酵素活性を抑制するは
たらきがあることがわかった。図1C及びDからもわか
るように、GTS−3の投与量に応じてWR19L−r
HO−1又はWR19L−hHO−1から採取した細胞
溶解物中のHO活性は減少していた。また、過剰濃度で
ある1.0mg/mlのGTS−3におけるHO活性は
概ね抑制されていたが、同濃度の非特異的なマウスIg
G抗体では抑制効果はみられなかった。これらのことか
ら、このモノクローナル抗体は、細胞におけるヒトHO
−1の免疫学的検出のためだけではなく、以下に示す表
1からもわかるように細胞や組織等のサンプルにおける
アイソザイム特異的なHO活性を定量的に測定するのに
用いることができることがわかった。
【0034】 実施例6[組織標本の免疫組織化学的分析] インフォームドコンセントを実施した患者から、肝臓生
検サンプルを採取した。コントロールグループとして、
肝内胆汁うっ滞患者及び転移性肝腫瘍患者の肝臓の無傷
箇所から5標本を採取した。硬変症患者においては、3
つの異なった肝臓組織を採取した。この内2標本は、胆
嚢切除又は遠位胃切除時にそれぞれ採取したものである
が、3つ目の標本は、肝細胞癌のために切除された組織
の非悪性部位から採取したものである。肝臓生検標本と
してのウェッジバイオプシー(wedge biopsy)をIPH
患者5人から脾臓摘出時に採取した。生物学的及び臨床
的調査結果に基づき肝硬変症(LC)の診断を行い、I
PHの診断は門脈血流異常における特定疾患の臨床調査
研究事業(日本の厚生省)により確立されたIPH診断
基準に基づいて行った。また、上記5人のIPH患者か
ら、免疫組織化学的分析のために摘出した組織から1つ
の脾臓サンプルを採取した。必要に応じて、本発明者ら
の報告した以前の方法により、肝臓組織のHO活性を測
定した(Wakabayashi Y, et al., Am. J. Physiol. 27
7, G1088-G1096, 1999)。また、進行した胃癌治療のた
めの治療手術時に採取した脾臓組織の一部を、免疫組織
化学のためや、酵素活性を測定するためのコントロール
サンプルとして以下の実験に用いた。なお、これらの3
グループ間においては、統計上著しい年齢差はなかっ
た。
【0035】上記得られた組織標本を、過ヨウ素酸塩−
リジン−パラホルムアルデヒド溶液(PLP)にて4℃
で4時間固定し、これら試料を10、15及び20%の
スクロースを含むPBSでそれぞれ4時間洗浄し、OC
Tコンパウンド(Miles Laboratories)で包埋した。こ
れら試料をそれぞれ7μmの厚さで切断し、非特異的な
染色を最小限にするためにアビジン、ビオチン及び正常
なウマ血清を用いて切片を処理した。これらの組織を、
1%のBSAを含むPBSにGTS−3(最終濃度10
μg/ml)又は抗ヒトCD68モノクローナル抗体K
P−1(1:1,000希釈、DAKO製)を溶解させ
た溶液中で2時間、室温でインキュベーションした。イ
ンキュベーション後、PBSで3回洗浄した後、これら
切片をビオチン化抗マウスIgG抗体(Vectastain Eli
te ABC kit;Vector Laboratories, Inc.)で30分
間、室温で染色した。内在性のペルオキシダーゼ反応を
防ぐために、上記染色した切片を、2%のニトロプルシ
ドナトリウム(SNP、シグマ社製)及び2%の酢酸
(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)を含む冷却
メタノールで15分間処理し、その後、ビオチンを結合
した西洋ワサビペルオキシダーゼにアビジンを反応させ
た複合体を用いて30分間インキュベーションした。イ
ンキュベーション後、最終濃度0.1mg/mlの3,
3′−ジアミノベンジジン(DAB)四塩酸塩溶液中で
5分間発色反応させ、これら切片を20%のホルムアル
デヒドで20分間固定した後メチルグリーンにより対比
染色し、この対比染色した切片を、スライドガラス上に
水溶性封入剤といっしょに載せ、カバーガラスをかけて
観察した。図2にコントロールとしての肝臓におけるH
O−1分布を示す(参考写真1参照)。図2Aから、不
規則に、かつ、樹状の形態をなし、細胞質の類洞の内腔
への突起を特徴とする非実質細胞においてのみHO−1
の免疫反応がみられたことから、クッパー細胞における
酵素の存在が明らかとなった。また、図2Bのモノクロ
ーナル抗体KP−1を用いた実験から、クッパー細胞の
分布がHO−1の分布に匹敵することがわかった。な
お、図中のPは傍門脈領域を、Cは中心細静脈領域をそ
れぞれ意味する。
【0036】上記のことから、非実質細胞間においてH
O−1を発現する細胞型を特定するために、一次抗体と
してGTS−3又はKP−1を、二次抗体として肝星細
胞のマーカーであるα-smooth muscle actin(α−SM
A、DAKO製)に対するモノクローナル抗体を用い
て、文献(Am. J. Pathol. 149, 1271-1286, 1996)記
載の方法で上記組織標本をDABと塩化ニッケルで二重
染色した。この結果を図3に示す(参考写真2参照)。
なお、薄茶色に染まった部分は一次抗体にのみ反応した
細胞を、明るい紫色に染まった部分は二次抗体にのみ反
応した細胞を、暗紫色に染まった部分は両方の抗体が反
応した細胞をそれぞれ示す。図3Aより、αSMA陽性
細胞分布は、GTS−3陽性細胞分布と全く異なってい
ることがわかった。さらに、図3Bより、KP−1陽性
細胞と肝星細胞は重なり合ってはいないが、近接してい
ることがわかった。これは、上記プロトコルに基づくα
SMA染色が、ヒト肝臓組織においてクッパー細胞に対
して交叉反応せずに特異的に肝星細胞を染色することを
示唆するものである。上記ダブル免疫染色法により、肝
星細胞よりもクッパー細胞の方が、HO−1の原因とな
る主要な細胞成分を構成することがわかった。
【0037】また、ヒトHO−2抗原(Stressgen Biot
echnologies Corporation製)に対して交叉反応を示す
ウサギ抗ラットHO−2ポリクローナル抗体を用いて、
上記の免疫組織化学分析と同様にHO−2のタンパク質
発現についても調べてみた。なお、HO−2結合免疫反
応を、デキストランポリマー(DAKO)標識化ペルオ
キシダーゼを結合させた抗ウサギ免疫グロブリンヤギ血
清により視覚化した。また、ウサギ免疫グロブリンによ
り陰性染色したコントロールとしての組織を視覚化し
た。その結果を図4に示す(参考写真3参照)。図4A
において、HO−2は実質細胞において顕著に発現し、
全小葉に渡って均一に分布していることが確認できた。
これに対し、図4Bにおいては、非特異的ウサギ免疫グ
ロブリンはいかなる免疫反応性も検出することができな
かった。これらのことから、HOアイソザイム分布は独
特な局所解剖学的パターンを有することを示唆してい
る。すなわち、クッパー細胞においてHO−1を選択的
に検出することができたが、HO−2はクッパー細胞で
はなく実質細胞に分布し、この結果は本発明者らの以前
の報告(J. Clin. Invest. 101, 604-612, 1998)と良
く一致していた。
【0038】 実施例7[ヒト肝臓及び脾臓におけるアイソザイム特異
的HO活性] 実施例6により得られたコントロールとしての肝臓組
織、肝硬変患者の肝臓組織及び脾臓組織から、文献(Wa
kabayashi Y, et al., Am. J. Physiol. 277, G1088-G1
096, 1999、Goda N, et al., J. Clin. Invest. 101, 6
04-612, 1998)記載の方法に変更を加えた方法によりそ
れぞれのミクロソーム画分を単離した。これらミクロソ
ーム画分50μlを用いて、実施例5と同様にPBS又
はGTS−3により前処理し、反応溶液を加えて37℃
で30分間反応させ、1mgのミクロソームタンパク質
当たりどれだけのビリルビン(nmol)が生成される
かを、文献(Wakabayashi Y, et al., Am. J. Physiol.
277, G1088-G1096, 1999、J. Biol. Chem. 253, 8479-
8482, 1978)と同様の方法で測定した。この結果を表1
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1の結果から、肝臓ミクロソームにおけ
る総HO活性は約0.3ユニット/mg・ミクロソーム
タンパク質であり、以前報告されたヒト又はラットの肝
臓サンプルにおける値に匹敵していた(Maines MD, et
al., J. Biol. Chem. 261, 411-419, 1986、Wakabayash
i Y, et al., Am. J. Physiol. 277, G1088-G1096, 199
9)。最終濃度1mg/mlになるようにGTS−3を
反応混合物に加えた場合、HO活性は上記活性の約30
%まで低下した。この結果は、上記ラットの肝臓サンプ
ルにおける結果と良く一致し、ヒトHO−1及びヒトH
O−2の活性比率は肝臓において約1:2であった。こ
れに対して、硬変症患者から採取した肝臓におけるヒト
HO−1活性は著しく上昇していた。最終濃度1mg/
mlになるようにGTS−3を反応混合物に加えた場
合、ヒトHO全活性は2.4倍に上昇しており、これら
のサンプルにおけるヒトHO全活性の上昇は、ヒトHO
−1の上昇に起因するものであり、またヒトHO全活性
に占めるヒトHO−1活性も約65%まで増加してい
た。すなわち、硬変におけるヒトHO−1特異的酵素活
性は、コントロールのサンプルよりも5倍程高くなって
いた。また、上記と同じ方法でコントロールの脾臓サン
プルにおけるHO活性を測定した結果、全酵素活性は
0.80ユニット/mg・ミクロソームタンパク質であ
り、過剰量のGTS−3を用いると活性が80%減少し
ていた。これは、HO−1が脾臓において発現している
主要なアイソザイムであることを示している。
【0041】 実施例8[硬変及びIPHにおける肝臓HO−1発現の
変化] 実施例6で得られた硬変症患者及びIPH患者の肝臓組
織標本を用いて、同様の方法により硬変症患者における
肝臓のHO−1タンパク質の発現の変化を観察した。こ
の結果を図5(参考写真4参照)及び図6(参考写真5
参照)に示す。図5の結果から、類洞の内腔への突起を
特徴とする非実質細胞において最も顕著な免疫反応がみ
られ(図5A)、同様の発現パターンがKP−1による
染色においても認められた(図5B)。これらの組織標
本の結果から、クッパー細胞と肝細胞との相違が、HO
−1発現の差異の原因となっていることがわかった。以
下の形態計測分析により、HO−1陽性非実質細胞の絶
対量は、コントロールサンプルにおいて観察されたもの
よりもわずかに多かった。同時に、著しいHO−1発現
を示さなかった肝細胞は、わずかではあるが顕著な免疫
反応を示した。これに対して、HO−2免疫反応は肝細
胞においてほぼコントロールサンプルと同様に起こって
いた。これらの結果は、硬変肝臓組織におけるHO全活
性の上昇が、誘導アイソザイムであるHO−1の誘導に
主として依拠していることを示している。
【0042】図6の結果から、IPH患者の肝臓組織に
おけるHO−1タンパク質発現細胞数は、コントロール
としての肝臓組織におけるものと比べ著しく少なかった
(図6A)。また、クッパー細胞において減少したHO
−1の免疫反応が、細胞のHO−1発現の減少に起因す
るもの、又はクッパー細胞の密度それ自体の減少に起因
するものであるどうかを確認するために、モノクローナ
ル抗体KP−1を用いてクッパー細胞の個体数を免疫組
織化学により確認した(図6B)。この結果から、IP
H患者の肝臓組織におけるKP−1陽性細胞(クッパー
細胞)の分布パターンは、コントロールとしての肝臓組
織又は硬変症患者の肝臓組織において観察したものと同
様であったが、IPH患者の肝臓組織におけるKP−1
陽性細胞の密度はコントロールのものと比べわずかに低
いことがわかった。これらのことから、HO−1の免疫
反応の低下は、細胞数ではなく、クッパー細胞における
HO−1の発現の減少に起因するものであることがわか
った。
【0043】上記3つのグループ間(コントロールグル
ープ、硬変症グループ、IPHグループ)でのクッパー
細胞におけるHO−1発現の差異を確認するために、H
O−1陽性細胞及びKP−1陽性細胞(クッパー細胞)
の密度の形態計測分析を行い、その結果を表2に示し
た。表2より、コントロールとしての肝臓組織切片にお
けるHO−1陽性細胞の密度は約160細胞/mm2
あるのに対して、同肝臓組織切片におけるクッパー細胞
の密度は215細胞/mm2であった。HO−1の顕著
な発現を示す全ての細胞がクッパー細胞であるとする
と、これらの値から、定常状態においてクッパー細胞の
約75%が誘導アイソザイムを発現したことになる。一
方、硬変症患者の肝臓組織切片においては、コントロー
ルとしての肝臓組織切片で観察されたものとはいくつか
の異なる特徴を示した。まず、硬変症患者の肝臓組織切
片におけるHO−1陽性細胞の密度は210細胞/mm
2であり、これはコントロールとしてのものよりわずか
に大きかったとはいえ統計上有意なものではなかった。
ところが、KP−1陽性細胞の密度においてはコントロ
ールとして測定されたものとほぼ同一の値であった。上
記のようにHO−1の顕著な発現を示す全ての細胞がク
ッパー細胞であるとすると、硬変症患者の肝臓における
主要なクッパー細胞がHO−1を発現することを示すこ
とになる。KP−1陽性細胞の密度の値を基準とし、H
O−1陽性細胞対KP−1陽性細胞(HO−1(+)/
KP−1(+))の密度比率を求めると、硬変症グルー
プ及びコントロールグループ間の差異は顕著であること
がわかった。
【0044】
【表2】
【0045】これに対して、IPH患者の肝臓における
HO−1陽性細胞の密度は55細胞/mm2と小さく、
コントロールにおける値のおよそ30%であったが、ク
ッパー陽性細胞の密度についてもコントロールのものと
比較すると、比較的わずかに減少していたが統計上有意
なものではなかった。また、HO−1陽性細胞対KP−
1陽性細胞の密度比率は、コントロール及び硬変症患者
の肝臓での値と比べるとかなり減少していることがわか
った。これらの結果から、硬変やIPHの病状が門脈圧
亢進症等と同様の症状を示すとはいえ、硬変症及びIP
Hグループ間では、クッパー細胞におけるHO−1の発
現は全く異なっていることを示唆している。
【0046】 実施例9[IPH患者の脾臓におけるHO−1発現] 上記のIPH患者の肝臓においてHO−1発現の減少を
示す結果から、この変化が本来のタンパク質発現の欠如
によるものか、又は肝臓シヌソイドにおいて本質的に生
ずる間接的あるいは局所的影響によるものかを調べるた
めに、悪性胃癌を治療するため脾臓摘出により得られた
コントロールとしての脾臓組織と、重症の汎血球減少症
を制御するための脾臓摘出により治療したIPH患者か
ら採取した脾臓組織とを用いて免疫組織化学分析を行っ
た。この結果を図7に示す(参考写真6参照)。この結
果から、コントロールとしての脾臓組織において、HO
−1結合免疫反応は複数の不調和な発現を示し、赤色髄
において顕著に分布していたが、白色髄においては少し
しか存在が確認できなかった。一方、IPH患者から採
取した脾臓においては、赤色髄領域のマクロファージに
おける免疫反応を著しく上昇し、コントロールとしての
肝臓と比べ赤色髄の横断領域が拡大していることがわか
った。これらの結果から、IPH患者の肝臓におけるH
O−1タンパク質の発現の減少は肝マクロファージにお
いて局部的に起こることが多いが、脾臓等の肝臓以外の
臓器においてHO−1タンパク質の発現の減少は起こら
ないことがわかった。
【0047】
【発明の効果】本発明のヒトHO−2と交叉反応性を示
さず、ヒトHO−1を特異的に検出することができる抗
ヒトHO−1モノクローナル抗体、特にヒトHO−1活
性を抑制することができるモノクローナル抗体を用いる
ことにより、ヒトHO−1の測定や検出が可能となり、
細胞又は組織におけるストレス応答を簡便に検出するこ
とができる。
【0048】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KEIO UNIVERSITY <120> Anti-Human Heme Oxygenase 1 mAb <130> keio2 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:rHO-1 Primer <400> 1 gcctgaacta gcccaattgc gcgatggagc gc 32 <210> 2 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:rHO-1 Primer <400> 2 ctctgggggc caagtcgaca tttacatggc at 32
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGTS−3のヒト抗原に対する交叉反
応性及び酵素活性を抑制する結果を示す図である。
【図2】正常なヒトの肝臓におけるHO−1発現の免疫
組織化学分析の結果を示す図である。
【図3】正常なヒトの肝臓におけるHO−1発現の免疫
組織化学分析の結果を示す図である。
【図4】正常なヒトの肝臓におけるHO−2発現の免疫
組織化学分析の結果を示す図である。
【図5】硬変症患者の肝臓におけるHO−1発現の免疫
組織化学分析の結果を示す図である。
【図6】IPH患者の肝臓におけるHO−1発現の免疫
組織化学分析の結果を示す図である。
【図7】コントロール及びIPH患者の脾臓におけるH
O−1発現の免疫組織化学分析の結果を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12Q 1/26 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/573 C 33/577 5/00 B (56)参考文献 SCHULLER,DJ et a l.,Crystallization of recombinant hu man heme oxygenase −1,Protein Sci,Vo l.7,No.8,p.1836−1838 GODA,N et al.,Dis tribution of heme oxygenase isoforms in rat liver.Topo graphic basis for carbon monoxide−me diate,J Clin Inves t,Vol.101,No.3,p.604− 612 YOSHIDA,T et al., Human heme oxygena se cDNA and induct ion of its mRNA by hemin,Eur J Bioch em,Vol.171,No.3,p.457 −461 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C07K 16/40 C12P 21/08 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応し、
    ヒトヘムオキシゲナーゼ−2とは反応せず、ヒトヘムオ
    キシゲナーゼ−1活性を抑制することができることを特
    徴とするモノクローナル抗体又はその可変領域からなる
    抗体結合部位を含む抗体フラグメント。
  2. 【請求項2】 ハイブリドーマGTS−3(工業技術院
    生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP−73
    14)又はそれらから誘導された細胞株が産生すること
    を特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体又はそ
    の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメン
    ト。
  3. 【請求項3】 ハイブリドーマGTS−3(工業技術院
    生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP−73
    14)又はそれらから誘導された細胞株。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合
    部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる少
    なくともいずれか1種を用いることを特徴とするヒトヘ
    ムオキシゲナーゼ−1の測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体及び/又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む
    抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又はその可
    変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと
    は異なる部位でヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応する
    少なくとも1種の第2のモノクローナル抗体及び/又は
    その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
    ントとを用いることを特徴とする請求項記載のヒトヘ
    ムオキシゲナーゼ−1の測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体及び/又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む
    抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又はその可
    変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと
    は異なる部位でヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応する
    少なくとも1種の第2のモノクローナル抗体及び/又は
    その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
    ントのいずれか一方が固相化されており、他方が標識さ
    れていることを特徴とする請求項又は記載のヒトヘ
    ムオキシゲナーゼ−1の測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合
    部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる少
    なくともいずれか1種の存在下及び非存在下に、ヒトヘ
    ムオキシゲナーゼの全活性を測定することを特徴とする
    請求項記載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1の測定方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合
    部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる少
    なくともいずれか1種が含まれていることを特徴とする
    ヒトヘムオキシゲナーゼ−1測定用キット。
  9. 【請求項9】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体及び/又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む
    抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又はその可
    変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと
    は異なる部位でヒトヘムオキシゲナーゼ−1と反応する
    少なくとも1種の第2のモノクローナル抗体及び/又は
    その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
    ントとが含まれていることを特徴とするヒトヘムオキシ
    ゲナーゼ−1測定用キット。
  10. 【請求項10】 請求項1又は2記載のモノクローナル
    抗体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結
    合部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる
    少なくともいずれか1種と、ヒトヘムオキシゲナーゼの
    全活性を測定することができる試薬とが含まれているこ
    とを特徴とするヒトヘムオキシゲナーゼ−1測定用キッ
    ト。
  11. 【請求項11】 請求項1又は2記載のモノクローナル
    抗体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結
    合部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる
    少なくともいずれか1種を用いることを特徴とするヒト
    ヘムオキシゲナーゼ−1の検出方法。
  12. 【請求項12】 請求項1又は2記載のモノクローナル
    抗体、該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結
    合部位を含む抗体フラグメントからなる群から選ばれる
    少なくともいずれか1種を用いて蛍光染色することを特
    徴とする請求項11記載のヒトヘムオキシゲナーゼ−1
    の検出方法。
  13. 【請求項13】 請求項のいずれか記載のヒトヘ
    ムオキシゲナーゼ−1の測定方法により、細胞又は組織
    中のヒトヘムオキシゲナーゼ−1含量を測定することを
    特徴とする細胞又は組織におけるストレスの検出方法。
  14. 【請求項14】 請求項11又は12記載のヒトヘムオ
    キシゲナーゼ−1の検出方法により、細胞又は組織にお
    けるヒトヘムオキシゲナーゼ−1を検出することを特徴
    とする細胞又は組織におけるストレスの検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GODA,N et al.,Distribution of heme oxygenase isoforms in rat liver.Topographic basis for carbon monoxide−mediate,J Clin Invest,Vol.101,No.3,p.604−612
SCHULLER,DJ et al.,Crystallization of recombinant human heme oxygenase−1,Protein Sci,Vol.7,No.8,p.1836−1838
YOSHIDA,T et al.,Human heme oxygenase cDNA and induction of its mRNA by hemin,Eur J Biochem,Vol.171,No.3,p.457−461

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