JP3305741B2 - 非線形光学素子 - Google Patents

非線形光学素子

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JP3305741B2 JP2842292A JP2842292A JP3305741B2 JP 3305741 B2 JP3305741 B2 JP 3305741B2 JP 2842292 A JP2842292 A JP 2842292A JP 2842292 A JP2842292 A JP 2842292A JP 3305741 B2 JP3305741 B2 JP 3305741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形光学現象の関与
する光(電磁波)の分野、すなわち光学または光エレク
トロニクスの分野において、デバイスとして使用される
非線形光学素子およびその使用方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光情報処理または光通信の高速化および
高密度化には、非線形光学素子を使用することが必須の
条件であると考えられており、そのため非線形光学感受
率の大きい材料の探索、開発等が活発に行われている。
【0003】デバイス化を前提とするこれらの材料の形
態制御の手段としては、従来、大きな単結晶,薄膜単結
晶等を形成する結晶成長法、ラングミュア−ブロジェッ
ト(LB)膜,真空蒸着,スピンキャスト等による薄膜
形成法等が挙げられる。
【0004】前記の手段は、現在、最も一般的に用いら
れている手段であるが、これらは単に材料を使用目的に
適した形状にするための手段にすぎず、デバイスの性能
は本質的には物質固有の非線形光学特性に支配される。
従って、非線形光学感受率の大きい材料の開発が頭打ち
となっている現状では、十分な高速化および高密度化に
対応した非線形光学素子を得ることは極めて困難であ
る。
【0005】上記の問題点を解決する方法として、球状
マイクロキャビティーへの光閉じ込め効果を利用すれ
ば、従来からの非線形光学材料を用いて、非線形光学現
象をより低いしきい値で引き起すことが可能であると考
えられる。
【0006】特定の波長の光を用いた、直径数10ミク
ロンサイズの微小球中での光閉じ込め、レーザー発振等
の研究は、主として液滴微小球を用いて行われている。
Opt.Lett.,499(1984); Op
t.Lett.11,614(1986); Opt.
Lett.15,980(1990)には色素を含む液
滴微小球における光閉じ込め、レーザー発振の微小球サ
イズ依存性、しきい値等が記載されている。液滴は任意
のサイズに調整でき、色素濃度の変化も容易であること
から基礎的測定用の試料としては有用であるが、恒久的
な安定性に欠けるため、デバイス化に利用するには適し
ていない。
【0007】固体微小球に関しては以下に述べるような
若干の研究が行われている。
【0008】(1)Phys.Rev.Lett.4
4,475(1980)には蛍光色素含有ポリスチレン
微小球の光閉じ込めに関する研究が報告されているが、
レーザー発振を含む非線形光学現象については、一切、
言及されていない。また測定は液体中の懸濁状態で浮動
する微小球の集団を対象としており、液滴の場合と同様
にこの系はデバイス化の応用には適していない。
【0009】(2)Phys.Lett.A137,3
93(1989)は石英微小球への光閉じ込め効率と光
双安定性のしきい値に関する計算および若干の実験結果
を示している。本研究では、石英微小球は特殊な微小石
英軸に取付けられているが、これは熱の影響を除去する
という測定の便宜上のものであって素子化を意図して固
定化されたものではない。
【0010】また、石英単独で構成されるこの微小球の
系では、オールオプティカルな双安定現象は発現されて
おらず、有効な非線形光学素子を成立させるには至って
いない。
【0011】以上説明したように、これまでの微小球を
用いた光閉じ込め効果に関する研究は、浮動する微小球
の集団を測定対象とすることを主としている。本発明者
等の知る限り、例外的に微小球を固定化している場合に
も微小球の光学特性の基礎的測定を目的としたものであ
り、素子化を意図して固定化が行われたことはない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に基づいてなされたものであって、その目的は優れた非
線形光学特性を有し、かつ実用性の極めて高く、光学ま
たは光エレクトロニクスの分野で利用される非線形光学
素子とその使用方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、少なくとも
1個の透明微小球と、少なくとも1個の非線形光学活性
領域と、少なくとも1個の光反射領域とから構成した非
線形光学ユニットを基体に固定化することにより、照射
光強度の変化に応じて非線形光学現象を発現できること
を見出し、しかも低パワーで作動する非線形光学素子が
得られることを確認し、本発明を完成するに至ったもの
である。
【0014】請求項1に記載の発明は、透明微小球を用
いた光閉じ込め機能を有する非線形光学素子であって、
励起光により発光する非線形光学活性物質からなる固体
媒体と、1〜200μmの球径を有し、前記固体媒体か
らの発光を球内で伝播するように、表面の少なくとも一
部が前記固体媒体と接触している透明微小球と、該透明
微小球を、前記固体媒体を介して固定するとともに、該
励起光及び前記透明微小球からの出射光を光路として導
く透明基体とを備えたことを特徴とする。
【0015】請求項2に記載の発明は、前記固体媒体
が、前記透明微小球の周囲を覆って設けられてなること
を特徴とする。
【0016】請求項3に記載の発明は、前記透明微小球
の一部又は全体が非線形光学活性物質からなることを特
徴とする。
【0017】請求項4に記載の発明は、透明微小球を用
いた光閉じ込め機能を有する非線形光学素子であって、
1〜200μmの球径を有し、かつ内部が前記励起光に
より発光する非線形光学活性物質からなる透明微小球
と、該透明微小球を固定するとともに、前記励起光及び
該透明微小球からの出射光を光路として導く透明基体と
を備えたことを特徴とする。
【0018】請求項5に記載の発明は、励起光源と、該
励起光源に光学的に結合された非線形光学素子を備えた
非線形光学システムであって、請求項1乃至4いずれか
の非線形光学素子を用いたことを特徴とする。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の非線形光学システムにおける光増幅方法であって、前
記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活性物質か
らなる固体媒体に照射して発光させるステップと、該発
光を、前記該透明微小球内で伝播するように、又は、前
記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面との間で伝
播するように反復反射させるステップとを備えたことを
特徴とする。
【0020】請求項7に記載の発明は、請求項5に記載
の非線形光学システムにおけるモード引き込み方法であ
って、前記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活
性物質からなる固体媒体に照射して発光させるステップ
と、該発光を、前記該透明微小球内で伝播するように、
又は、前記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面と
の間で伝播するように反復反射させるステップと、前記
発光の波長領域内の特定波長を有する少なくとも1種の
単色の第2励起光を、前記非線形光学活性物質からなる
固体媒体に照射して、前記第2励起光の波長に位置する
発光モードと共通のオーダーナンバーを有する他の発光
モードにおいてモード引き込みを惹き起こすステップと
を備えたことを特徴とする。
【0021】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の非線形光学システムにおけるモード引き込み方法であ
って、前記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活
性物質からなる固体媒体に照射して発光させるステップ
と、該発光を、前記該透明微小球内で伝播するように、
又は、前記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面と
の間で伝播するように反復反射させるステップと、前記
発光の波長領域内の特定波長を有する少なくとも1種の
単色の第2励起光を、前記非線形光学活性物質からなる
固体媒体に照射して、前記第2励起光の波長に位置する
発光モードと共通のオーダーナンバーを有する他の発光
モードにおいてモード引き込みを惹き起こすステップ
と、前記第2励起光を断続するステップとを備えたこと
を特徴とする。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【作用】本発明の非線形光学素子は、透明微小球を用い
た光閉じ込め機能を有する非線形光学素子であって、
起光により発光する非線形光学活性物質からなる固体媒
体と、1〜200μmの球径を有し、前記固体媒体から
の発光を球内で伝播するように、表面の少なくとも一部
が前記固体媒体と接触している透明微小球と、該透明微
小球を、前記固体媒体を介して固定するとともに、該励
起光及び前記透明微小球からの出射光を光路として導く
透明基体とを備えている。非線形光学活性領域は、透明
微小球の内部または外部のいずれに存在していてもよ
く、また双方に存在していてもよい。
【0040】非線形光学活性領域が透明微小球の内部に
存在するときは、透明微小球の一部または全体が非線形
光学活性物質系で構成されていてもよい。あるいは、透
明微小球の一部または全体が非線形光学活性物質でドー
プされていてもよい。
【0041】一方、非線形光学活性領域が透明微小球の
外部に存在するときは、非線形光学活性領域は、例え
ば、非線形光学活性物質系を含有し、かつ、透明微小球
を基体に固定する接着剤としての固体媒体の形で設けら
れていてもよい。
【0042】光反射領域の界面は透明微小球の表面の一
部または全部と共通していてもよい。例えば、光反射領
域が透明微小球の内部に存在するときは、透明微小球の
表面が光反射領域の界面として機能し、透明微小球内に
閉じ込められた光は透明微小球内を伝播し、該界面で反
射を繰り返す。あるいは、光反射領域が透明微小球の外
部、詳しくは、透明微小球の周囲に存在するときは、光
は透明微小球の表面を含む光反射領域の界面によって規
定される空間内を伝播し、該光反射領域を構成する光学
媒体の界面および透明微小球の表面で反射を繰り返す。
【0043】典型的には、本発明の非線形光学素子に用
いる非線形光学ユニットは、非線形光学物質系からなる
透明微小球であってもよく、または透明微小球とその表
面の少なくとも一部に接触する非線形光学物質系からな
る固体媒体との組み合わせであってよい。後者の場合、
透明微小球は非線形光学物質系であってもなくてもよ
い。
【0044】本発明に用いる透明微小球の屈折率は、透
明微小球が非線形光学物質系からなると否とにかかわら
ず、光学材料として優れた特性が発揮される観点から
1.4以上が好ましく、特に1.45以上が好ましい。
【0045】透明微小球の透明度は、透明微小球が非線
形光学物質系からなると否とにかかわらず、十分な光閉
じ込め効果が発揮されるように高いことが必要である。
実用的には、5×10cm-1以下であることが好まし
い。なお、この透明度は、励起光の入射光強度I0 がL
cm厚の媒体を透過したときの透過光強度I0 exp
(−αL)におけるαで定義されるものである。
【0046】透明微少球あるいは透明微少球と接する媒
質の3次の非線形光学定数χ(3) は、非線形光学素子と
しての機能が十分に発揮できる観点から10-20 esu
以上、特に10-13 esu以上であることが好ましい。
すなわち、この場合の3次の非線形定数χ(3) は、例え
ば透明微少球が非線形光学特性を有するポリマーのみか
らなるような場合には、当該ポリマーが上記条件を満足
すればよく、透明微小球が母体材料と非線形光学活性物
質とがブレンドされてなるような場合には、透明微小球
の全体が10-20 esu以上となるように非線形光学活
性物質をブレンドすればよい。透明微小球と接する固体
媒体の3次の非線形光学定数χ(3) が10-20 esu以
上であることが必要である場合には、固体媒体全体のχ
(3) が10-20 esu以上となるように非線形光学活性
物質を固体媒体に混合して調整すればよい。
【0047】透明微小球の球径は、通常1〜200μm
であり、好ましくは10〜100μmである。球径が1
μm未満であると微小球中への光の閉じ込めが困難なた
めウィスパリングギャラリーモードが立ち難くなり、閉
じ込めの効率を表わすQ値(quality fact
or)は低下する。これに対して、100μmを越える
球径の微小球については閉じ込めモードの数が多く、情
報が複雑となる。
【0048】透明微小球が非線形光学活性物質系からな
る固体媒体と接して固定化されてなる系においては透明
微小球の非線形光学定数χ(3) の値は任意である。
【0049】また、透明微小球において十分な光閉じ込
め効果が発揮されるようにする観点から、透明微小球の
形状は真球状であることが好ましく、かつ透明微小球の
表面は、照射光の波長の1/10以上、好ましくは1/
20以上の大きさの凹凸、きず等がない程度に平滑であ
ることが好ましい。
【0050】粒径の揃った複数の透明微小球によって非
線形光学素子を構成する場合には、透明微小球の粒径の
変動係数は5%以下であることが好ましい。変動係数が
このような範囲にあれば、個々の透明微小球における光
閉じ込めモードが揃ったものとなり、複数の透明微小球
を等価条件で使用することが可能となる。
【0051】ここで「変動係数」は、{(標準偏差)/
(粒径平均値)}×100(%)で表されるものであ
り、この際の各粒子(透明微小球)の粒径は、顕微鏡に
より測定される。
【0052】透明微小球は、その表面を同心球殻状に固
体媒体で覆って設けることもできる。
【0053】非線形光学活性部または領域を構成する透
明微小球または固体媒体は、例えば有機ポリマー、
無機物、無機物と有機ポリマーとから構成された複合
物質のいずれであってもよい。
【0054】有機ポリマーまたは複合物質を構成する有
機ポリマーとしては、スチレン,メタクリル酸エステル
(例えばメタクリル酸メチル),アクリル酸エステル
(例えばアクリル酸メチル),酢酸ビニル,ジビニルベ
ンゼン,脂環式基(例えばシクロヘキシル基)を有する
ビニルモノマー等のビニル系モノマーのホモポリマーま
たはコポリマー、ならびにポリジアセチレン,ポリチオ
フェン,ポリパラフェニレンビニレン等の共役系ポリマ
ー等が挙げられる。有機ポリマーのみにより非線形光学
部(領域)を構成する場合には、共役系ポリマーが好適
に用いられる。
【0055】有機ポリマーにより構成された透明微小球
は、例えば有機ポリマーからなる核粒子の表面が他の有
機ポリマーにより被覆されてなる2層構造のものであっ
てもよい。この場合は、非線形光学活性物質は、例えば
核粒子または表層のいずれか一方または両方に含有され
る。
【0056】有機ポリマーからなる透明微小球は、通常
のエマルジョン重合、または該エマルジョン重合により
得られた透明微小球を溶媒、膨潤助剤等により膨潤させ
ながら、さらにモノマーを重合させるシード重合で製造
することができる。
【0057】無機物としては、各種ガラス,アルミナ等
の金属酸化物からなる無機系光学材料が用いられる。
【0058】なお、無機物からなる非線形光学部をレー
ザー発振の光源として使用する場合には、特に、非線形
光学活性物質としてNd3+(ネオジウムイオン),Eu
3+(ユーロピウムイオン),Er3+(エルビウムイオ
ン)等の希土類元素イオンを含むガラス、または希土類
元素イオンに必要に応じてCr3+(クロムイオン)等の
金属イオンが混合されたイオンを含むガラスが好ましく
用いられる。
【0059】このような希土類元素イオンを含むガラス
からなる無機物は、例えばケイ酸ガラス(SiO2 )、
リン酸ガラス(P25 )、フツリン酸ガラス(Li
F,Al(PO32 )等のガラスに例えば10重量%
以下、通常約3重量%の前記希土類元素酸化物を含むも
のである。これらのガラスは原料組成物を1500℃程
度で、一般的には溶融促進剤を加えることにより700
〜1000℃で溶融してガラスカレットとした後、粉
砕,分級をへてガラス破片を火焔フレーム中で再溶融す
る吹上法で球形化し、ガラスからなる透明微小球とする
ことができる。
【0060】複合物質は、無機物と有機ポリマーとから
構成されるが、複合物質からなる透明微小球としては、
例えば無機物あるいは有機ポリマーからなる真球状の核
粒子の表面を、他の有機ポリマーあるいは無機物で被覆
してなるものが挙げられる。具体的には、ビニル基を有
するシランカップリング剤でガラスビーズ表面を処理
し、当該表面上でベンゾイルパーオキシド等のラジカル
重合開始剤を用いて前記ビニル系モノマーを重合して得
られる透明微小球が挙げられる。なお、ゾルーゲル法等
により得られる有機系の置換基を有するポリシロキサ
ン,ポリシラン等からなる透明微小球および微小球の表
面をゾルーゲル法等で処理した透明微小球も当該複合微
小球に含まれる。
【0061】非線形光学活性物質系は、照射光として使
用するレーザー光で励起されるものが選択されるが、非
線形光学活性部または領域が非線形光学活性物質と母体
材料とからなる場合には、好ましくはその母体材料と相
溶性のあるものが選択される。
【0062】このような非線形光学活性物質系として
は、非線形光学素子がレーザー発振用として使用される
場合には、強い蛍光を発するもの、例えばローダミン6
G,ナイルレッド,クマリン等の有機蛍光色素、上記の
希土類元素イオン,GaAs等のIII−V族の半導体
等からなるレーザー材料が選択され、レーザー発振用以
外に使用される場合は、前記レーザー材料のほかに、ス
チルベン,メチルニトロアニリン等の有機共役系低分子
化合物、前記共役系ポリマー,CdS,CdSXSe1-X
,CuCl,ZnSe等のII−VI族化合物半導体
等の3次の非線形光学材料、その他有機金属錯体、錯
塩、有機色素等が選択される。
【0063】特に、非線形光学素子の機能として3次の
非線形光学現象に着目する場合には、使用するレーザー
光の波長領域で非線形光学活性物質系が十分に大きな透
明性と非線形光学感受率を有することが重要である。例
えば400〜900nmの波長領域では、有機色素,前
記有機共役系低分子化合物,前記II−VI族化合物半
導体等をブレンドした有機ポリマーまたは前記共役系ポ
リマーから選択することが好ましい。また、900nm
以上の波長領域に対しては、希土類元素イオンを含有す
るガラス等の無機化合物が好ましい。
【0064】さらに、本発明の非線形光学素子をレーザ
ー発振用として使用する場合には、所望の発振波長領域
を設定した上で、励起光源との組合せを考慮して非線形
光学活性物質系が選択される。例えば400〜900n
mの発振領域ではレーザー色素,アントラセン等の蛍光
の発光強度の大きい物質が好ましく用いられる。特に、
1062nm帯のレーザー発振にはNd3+を含むケイ酸
塩ガラスからなる透明微小球が好ましく、1054nm
帯のレーザー発振にはNd3+を含むリン酸塩ガラスから
なる透明微小球が好ましい。
【0065】以上の透明微小球は、1個単独でも非線形
光学素子としての機能を発揮し、3次の非線形光学現象
を発現することができるので、本発明の非線形光学素子
は、透明微小球の1個が基体に固定化されてなる構成で
あってもよい。
【0066】また、2個以上の透明微小球を基体上に1
次元,2次元または3次元的に配列して固定化すること
により、種々の用途に対応した非線形光学素子を構成す
ることができる。
【0067】本発明の非線形光学素子は、非線形光学ユ
ニットを基体に固定化されてなるものであるが、その固
定化手段としては、固体媒体が使用される。このときの
固体媒体の屈折率は、透明微小球の屈折率よりも小さ
く、しかも両者の屈折率の差は0.05以上、好ましく
は0.1以上である。すなわち、固体媒体と透明微小球
の屈折率の差が0.05未満である場合には、透明微小
球中への光閉じ込め効率が低下し、実用上十分な非線形
光学素子としての特性が得られない。
【0068】透明微小球の表面を非線形光学活性物質系
からなる固体媒体が平滑に覆ってなる系においては、媒
質の屈折率が透明微小球のそれよりも0.05以上、好
ましくは0.1以上大きい場合があってもよい。この場
合、固体媒体は透明微小球の表面を層状にコーティング
して最外層を形成しており、複合物質からなる透明微小
球を構成する役割を果している。
【0069】この固体媒体としては、屈折率が透明微小
球の屈折率よりも0.05以上小さく、かつ透明微小球
を固定化し得るものであれば特に限定されないが、具体
的には、接着剤,有機ポリマー,無機化合物等から選択
され、例えばフッ素含有光硬化材,ウレタンアクリレー
ト,グルタルアルデヒドによるゼラチンの硬化反応を利
用するもの、ポリメチルメタクリレート,水ガラス,ゾ
ルーゲル法ガラス類似物等を用いることができる。この
ような固体媒体は、流動性を有しないものであれば含水
ゲルのようなゲル状のものであってもよい。さらに、本
発明においては、このような固体媒体自体が基体を構成
していてもよい。
【0070】なお、この固体媒体は、透明微小球の全体
を覆うことによって透明微小球を固定化してもよく、ま
た透明微小球の一部と接することによって透明微小球を
固定化してもよい。しかし、いずれの場合も、励起光が
透明微小球表面に達する光路が確保されることが必要で
あり、さらに、発現された非線形光学現象をモニター
し、または透明微小球の外部に伝達しうる光路も必要で
ある。
【0071】また、透明微小球の固定化手段としては、
例えば2つの基体で挟むことにより機械的に固定化する
方法であってもよい。
【0072】透明微小球を固定化するに際しては、ダイ
ヤモンド針,マニピュレーター等を用いて個別に透明微
小球を捕捉して基体上に配置することもでき、またレー
ザー光の圧力を利用して1個ずつあるいは集団的に透明
微小球を移動させて基体上に配列することもできる。ま
た、気−液界面,液−液界面に形成された透明微小球の
薄膜を基体上に移し取る方法等の使用することができ
る。
【0073】また、固定化のための基体としてレジスト
材料等であらかじめパターニングされた基体を用いても
よい。この場合には透明微小球を所定の位置に容易にか
つ確実に固定することができる。基体には透明微小球を
受けてこれを確実に保持するための溝または微小凹部が
設けられていてもよい。
【0074】また、複数個の透明微小球を非連結的(非
接触的)に、あるいは必要とされる個数,部分を直接、
連結(接触)させた状態で、あるいは光ファイバ等の光
学的媒体等を介して間接的に連結(接触)させた状態で
1次元,2次元あるいは3次元的に配列し、固定化する
ことにより、種々の目的に対応した機能を有する非線形
光学素子が得られる。
【0075】本発明の非線形光学素子の非線形光学特性
を制御、すなわち非線形光学効果を選択的に発揮させる
ために使用する励起光としては、一般的には、ガスレー
ザー,固体レーザー,色素レーザー,半導体レーザー等
のCWレーザーまたはパルスレーザーが用いられる。こ
れらのレーザーの波長は、通常、0.2〜2μmであ
り、好ましくは0.4〜1.2μmである。また、非線
形光学特性を制御するための励起光の波長等は、1種ま
たは2種以上を組合せて用いることができる。このよう
な励起光は、本発明の非線形光学素子を構成する透明微
小球の種類、目的とする非線形光学効果等に応じて適宜
選択して使用する。
【0076】なお、従来の非線形光学素子をレーザー発
振用として使用する場合には、励起光の出力は、レーザ
ー発振を起こすことができる程度の大きさであることが
必要であるが、本発明の非線形光学素子では、例えば1
00ピコジュール以下の微弱な励起光でも十分に非線形
光学現象を起こさせることが可能である。
【0077】図1〜図7はそれぞれ本発明の非線形光学
素子における透明微小球の固定化の具体的な態様を示す
図である。すなわち、図1は、本発明の一つの実施態様
に従う非線形光学素子の概略断面図である。図2は、本
発明の別の実施態様に従う非線形光学素子の概略断面図
である。図3は、本発明のさらに別の実施態様に従う非
線形光学素子の概略断面図である。図4は、本発明のま
た別の実施態様に従う非線形光学素子の概略断面図であ
る。図5は、本発明の別の実施態様に従う非線形光学素
子の概略断面図である。図6は、本発明の一つの実施態
様に従う非線形光学素子の概略斜視図である。図7は、
本発明のまた別の実施態様に従う非線形光学素子の概略
斜視図である。
【0078】図1に図示するように、本発明の非線形光
学素子30は、三角プリズムからなる基体32上に接着
剤からなる固体媒体(図示しない)により複数の透明微
小球34を固定したものである。図1に示す構成では透
明微小球34は非接触的に、すなわち、相互に離隔して
設けられている。図2において、非線形光学素子30
は、固体媒体36中に複数の透明微小球を3次元的に分
散含有した固体層38を三角プリズムの形をした基体3
2上に固定したものである。図3において、非線形光学
素子30は透明微小球34を固体媒体36中に3次元的
に分散含有する固体層のみから構成されている。この構
成では固体層38は基体32としても機能している。図
4に図示する構成においては、非線形光学素子30はガ
ラス製の基体32上に、固体媒体36中に透明微小球3
4が1次元的に分散含有されてなる固体層38を固定し
たものである。図5においては、非線形光学素子30は
ガラス製基体32上に、固体媒体36中に透明微小球3
4が1次元的に分散含有されてなる固体層38を固定
し、矢印で示すように励起光が反射しながら進行するよ
うに構成したものである。透明微小球34の配置は、基
体32と固体層38との界面から透明微小球34までの
距離が励起光の波長の1/2〜2倍程度となるように設
定されている。図6に図示する構成において、非線形光
学素子30はガラス製の基体32に断面V字状の溝40
を設けてあり、この溝40内に透明微小球34を嵌め込
んで図示しない固体層(接着剤)で固定化したものであ
る。図6ではV溝は1条のみ設けてあるが、必要に応じ
て平行ないし交差する複数条の溝を設けてもよい。透明
微小球34の相互間の距離は励起光の波長の1/2〜2
倍程度であり、例えば0.3〜0.5μmである。図7
に図示する非線形光学素子30は、ガラス製の基体32
の表面に微小凹部42(例えば透明微小球34の球面と
好ましくは同じ曲率半径をもつ球状表面)を設けて、こ
の微小凹部42に透明微小球34を載せて図示しない固
体媒体(接着剤)で固定化したものである。なお、基体
32の形状は三角プリズム、プレート等に限定されるも
のではなく、光ファイバ等の光学媒体等に直接に固定化
されるものであってもよい。
【0079】複数の透明微小球34を固定化する場合に
は、使用目的に応じて、透明微小球を接触配置する構
成、励起光の波長の1/2〜2倍程度離間させて配置す
る構成、励起光の波長の2倍以上離間させて配置する構
成のいずれかが適宜選択される。
【0080】本発明の非線形光学素子は、3次の非線形
光学効果を有し、種々の応用が可能である。具体的に
は、第3高調波発振(ω+ω+ω→3ω)を利用する
ものとしてフリークエンシー・トリプラー(Frequ
ency Tripler)等、カー(Kerr)効
果(ω+0+0→ω)を利用するものとして超高速光シ
ャッター等、光双安定性(ω+ω−ω→ω)を利用す
るものとして光メモリ,光演算素子等、光混合(ω1
+ω2+ω3→ω4)を利用するものとしてラマン分光
等の応用が可能である。
【0081】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明をさら
に具体的な実施例について説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0082】実施例1 非線形光学活性物質として「ナイルレッド」(ジエチル
アミノ−9−ナフトフェノキサゾン,アルドリッチ社
製,赤色色素)を含有する粒径40μmの真球状で平滑
な表面のポリスチレン透明微小球(屈折率=1.6,透
明度=20cm-1以上,3次の非線形光学定数χ(3)
10-20 esu以上)の1個を石英ガラス製基体の表面
に接着剤(固体媒体:グルタルアルデヒドで硬化させた
ゼラチン,屈折率=1.5)により固定化して本発明に
係る非線形光学素子を製作した。
【0083】ただし、ポリスチレン透明微小球は次のよ
うにして製造されたものである。
【0084】ナイルレッドと界面活性剤を用いたエマル
ジョン染色法により当該ポリスチレン粒子を染色して、
ナイルレッドを含有するポリスチレン透明微小球を得
た。
【0085】図8は非線形光学特性測定装置を示すブロ
ック図であり、図9は非線形光学素子とこれに光学的に
接続された光ファイバを示す部分断面図である。図8に
おいて、30は非線形光学素子、32は基体、34は透
明微小球、50は非線形光学特性測定装置、52は実体
顕微鏡、54はカメラ、56はエキシマレーザ、58は
色素レーザ、60はミラー、62はレンズ、64は光フ
ァイバ、64aは光ファイバ先端、66はレンズ、68
分光器、70はボックスカー積分器、72はコンピュー
タ、74、76はビームスプリッター、78、80はピ
ンフォトダイオードである。
【0086】前記のようにして得られた非線形光学素子
の非線形光学特性を図8に示す装置で測定した。図8に
示すように、非線形光学素子30の非線形光学特性を測
定する装置50は実体顕微鏡52を備え、この実体顕微
鏡52にはカメラが取り付けてある。非線形光学素子3
0はこの実体顕微鏡52の視野に納まるように載置され
る。測定装置50は光源としてエキシマレーザ56とこ
れに光学的に接続された色素レーザ58を有し、励起光
を生じる。励起光はミラー60で反射され、レンズ62
を通過し、基体32に固定化された透明微小球34に導
入される。非線形光学素子30からの出射光は光ファイ
バ64の先端64aによって受光され、レンズ66を通
過し、分光器68に導かれる。分光器68はボックスカ
ー積分器70に接続され、ボックスカー積分器70はさ
らにコンピュータ72に接続されている。励起光はビー
ムスプリッター74、76を通って分割され、それぞ
れ、ボックスカー積分器70に接続されたピンフォトダ
イオード78、80に導かれる。
【0087】図9に示すように、透明微小球34は図示
しない接着剤(固体層)で基体32に固定化され、光フ
ァイバ64の先端64aは基体32の下面の下に先端6
4aが透明微小球に対向するように配置されている。
【0088】次に、図8に示す非線形光学特性測定装置
を用いて、この非線形光学素子を構成する透明微小球
に、波長530nmのパルスレーザー光(エネルギー=
100W)を照射して、当該透明微小球からの光を光フ
ァイバで導いて分光し、その発光スペクトルを測定し
た。
【0089】図10は、本実施例の非線形光学素子の発
光スペクトルの測定結果を示し、600〜620nmの
領域の鋭い発光ピークは、本実施例の非線形光学素子を
構成する「ナイルレッド」を含む透明微小球に特徴的な
モードであり、「ナイルレッド」の均一溶液では、観測
されないものである。このモード(以下「ウィスパリン
グキャラリーモード(whispering gall
ery mode)」という。)は、本実施例の非線形
光学素子における特定波長の光閉じ込め効果を証明する
典型的パターンである。
【0090】次に、上記同様の粒径がそれぞれ10μ
m,20μm,30μm,60μm,90μmの透明微
小球を製造し、これらの透明微小球をそれぞれ上記と同
様にして基体上に固定化して本発明の非線形光学素子を
製作した。
【0091】これらの非線形光学素子にそれぞれ波長5
30nmのパルスレーザー光(エネルギー=100W)
を照射して、そのときのモード間隔と非線形光学素子を
構成する透明微小球の粒径の逆数との関係を測定したと
ころ、図11に示す結果が得られた。この図11は、本
発明の非線形光学素子が光閉じ込めのための良好なキャ
ビティーであること、成立するモード間隔の規則性は非
線形光学素子を構成する透明微小球の粒径に依存するこ
とを示している。
【0092】実施例2 実施例1と同様の「ナイルレッド」を含有する直径40
μmのポリスチレン透明微小球の1個を実施例1と同様
にして石英ガラス性基体上に固定化して本発明の非線形
光学素子を製作した。
【0093】この非線形光学素子の励起光強度と発光ス
ペクトルの関係を測定したところ、図12,図13およ
び図14に示す結果が得られた。
【0094】図12は、非線形光学素子の発光強度の励
起光強度依存性の測定結果を示す線図である。図13
は、非線形光学素子のレーザ発振領域と自然放出光領域
の発光強度比の励起光強度依存性の測定結果を示す線図
である。図14は非線形光学素子の発光の時間応答性を
示す線図である。
【0095】図12から明らかなように、励起光強度の
増大とともに600〜630nmの波長領域に鋭い発光
ピークが現れる。図13に示す励起光強度依存性と図1
4に示す時間応答特性から、この鋭い発光ピークは、ウ
ィスパリングギャラリーモードによるレーザー発振であ
ると考えられる。なお、図13において、IL はレーザ
ー発振領域における発光強度を表し、IF は自然放出光
領域における発光強度を表す。
【0096】図14のc,bは、しきい値以下、および
しきい値以上の励起光強度における発光の時間応答特性
を示している。cは典型的な自然放出光のプロフィール
を示すが、発光bのそれはポンピング光aに追従する急
速な立ち上りと短い緩和時間に特徴づけられるので、b
はレーザー発振光であると結論づけられる。
【0097】本実施例から明らかなように、本発明の非
線形光学素子は、透明微小球1個と基体とからなるもの
であってもレーザー発振源として機能するものである。
従って、透明微小球を2次元的あるいは3次元的にに配
列して固定化することにより、面発光レーザーや光コン
ピュータを構成する非線形光学素子の2次元あるいは3
次元アレーとして利用することが可能となる。
【0098】実施例3 透明微小球が非線形光学活性物質系からなる固体媒体と
接して基体上に固定されてなる非線形光学素子の例とし
て図15,図16および図17に示す素子を製作した。
【0099】図15において、非線形光学素子30は基
体32と基体32上に固定され、非線形光学活性物質系
からなる固体層38とから構成されている。固体層38
は透明微小球34を中に埋め込んでいる。
【0100】図15の非線形光学素子30は、ナイルレ
ッドを含有し非線形光学活性部または領域として機能す
るポリメチルメタクリレート36を接着剤として用いて
粒径40μmのポリスチレン透明微小球34を石英ガラ
ス製基体32上に固定化して構成されている。励起光の
照射によりポリメチルメタクリレート中に存在するナイ
ルレッドが発する蛍光発光はメチルメタクリレートより
も屈折率の大きいポリスチレン微小球中に取り込まれ、
微小球内の表面部分でウィスパリングギャラリーモード
(WGM)を成立させることが、600〜630nm波
長領域における鋭い発光ピークの観測で確認された。同
様の発光ピークは図16の非線形光学素子についても確
認された。
【0101】一方、図16に示す構成において、粒径4
0μmの石英ガラス(屈折率:1.9)製透明微小球3
4を「ナイルレッド」を含有するポリメチルメタクリレ
ートでコーティングして、石英ガラス製基体32上に固
定化された本発明の非線形光学素子30を得た。また、
図17に示す本発明の非線形光学素子30は、粒径40
μmの石英ガラス(屈折率:1.5)製透明微小球34
を「ナイルレッド」を含有するポリスチレン33でコー
ティングして、石英ガラス製基体32上に固定化するこ
とによって得られた。
【0102】励起光を照射するとポリメチルメタクリレ
ートまたはポリスチレンに含有された「ナイルレッド」
から蛍光発光が起こり、図16の構成においてはこの発
光は透明微小球に導かれそこに閉じ込められるか、ある
いは図17の構成においてはこの発光は表面層(固体媒
体すなわち非線形光学活性領域)33内を伝播する。
【0103】図16および図17の非線形光学素子中で
のウィスパリングギャラリーンモードの成立領域の違い
は、透明微小球と透明微小球に接する固体媒体の屈折率
の異なり方に依存する。
【0104】実施例4 実施例1と同様の「ナイルレッド」を含有する粒径40
μmのポリスチレン透明微小球を実施例1と同様にして
石英ガラス製基体の表面に固定化して本発明の非線形光
学素子を製作した。
【0105】この非線形光学素子を構成する透明微小球
に530nmの励起光を照射して600〜630nmに
発光モードを成立させた後に、発光領域内の特定の波数
(波長)の制御光(第2の励起光)を補足的に照射し
た。その結果、当該特定の発光ピークにおける発光強度
が増大するとともに、他のピークの発光強度が減少する
という現象が生じた。
【0106】図18は、本発明の非線形光学素子の非線
形光学特性の測定装置を示すブロック図である。図18
に示す装置は、図8に示す装置とほぼ同様の構成をして
いる。相違点は、図18の装置では制御光を照射するた
めの色素(ローダミン610)レーザ59が設けてあ
り、ピンフォトダイオード80がここでは除かれている
ことである。色素レーザ58、59は相互に並列に接続
されており、エキシマレーザ56からの励起光はビーム
スプリッター76によって分割され、それぞれの色素レ
ーザ58、59に導かれる。色素レーザ59からの出射
光はミラー60とハーフミラー76とを介して色素レー
ザ58からの出射光と結合することができる。図8と同
様の部分または部材は同じ符号で示し、ここでは詳細な
説明を省略する。
【0107】制御光の照射とともに、または制御光の照
射をせずに、波長530nmの励起光を非線形光学素子
に照射し、発光モードとウィスパリングギャラリーモー
ド(固有方程式から算出)を得た。結果を図19および
図20に示す。
【0108】図19は、本実施例の非線形光学素子に5
30nmの励起光のみを照射した場合の発光モードとウ
ィスパリングギャラリーモードとの対応関係を示す線図
である。図18において、シャープなピークが波数16
150cm-1〜16550cm-1(波長:619nm〜
604nm)の間で観察される。図20は制御光(ロー
ダミン610色素レーザーからの第2の励起光)の波数
(波長)を16150〜16550cm-1(619〜6
04nm)の範囲で連続的に変化させた場合の1639
0cm-1(610nm)における発光強度の変化とウィ
スパリングギャラリーモードとの対応関係を示してい
る。
【0109】この実験結果で重要な点は、引き込みモー
ド(発光強度が減少しているモード、図20の矢印)が
モニター波数に位置する発光モード(16390c
-1)と同じオーダーナンバーs(微小球の半径方向で
の電磁場の分布状態を表わす定数、本実施例ではs=
2、3が同じ)を有し、引き込みの間隔が規則的(周期
的)であることである。制御光の断続(オン・オフ)に
よるモードの引き込みおよび回復はピコ秒の応答速度で
起ることから、本発明の微小球非線形光学素子は室温で
作動する高速光スイッチとして使用することができる。
また、強い発光モード(s=5)が存在する16320
cm-1での制御光照射によって、モニター波長1639
0cm-1に位置する発光モードの引き込みが起らないこ
とから、複数の異なる制御光を照射し、異なるオーダー
ナンバーを有する発光ピーク強度の増減を追跡すること
により、光で制御する多重書き込みメモリ,多重光スイ
ッチ等を構成することができる。
【0110】実施例5 実施例4と同じ透明微小球および測定装置を用いて、以
下の実験を行い、本発明に係る非線形光学素子が光増幅
素子として機能することを確認した。すなわち、ナイル
レッドを含有する粒径40μmのポリスチレン微小球に
530nmの励起光を照射し、600〜630nmの領
域に発光(レーザー発振)モードを成立させた後、61
0nmの制御光を照射して、モードの引き込みを発現さ
せた。散乱の影響を考慮しながら制御光照射の前後にお
ける発振光強度の積分値を比較すると、制御光照射後の
値が照射前の値よりも2倍以上、大きいことが判明し
た。制御光照射にもとづくレーザー発振光強度の増大
は、自然放出光の一部がレーザー発振光へ変換されたた
めと考えられる。以上の結果からも明らかなように本発
明の非線形光学素子は光増幅素子として機能することが
示された。
【0111】図21、図22および図23は、それぞ
れ、本発明の非線形光学素子を光ファイバで接続した、
モード引き込みあるいは光増幅のための結合方式を示す
概略部分平面図である。図21、図22および図23に
おいて、非線形光学素子30は2本または3本の光ファ
イバ82と結合されている。矢印a、b、cはそれぞれ
励起光、制御光、制御後の信号光(発光)を表してい
る。
【0112】これらの微小球素子と光ファイバのネット
ワークを2次元,3次元的に配列すれば光による情報の
並列処理が可能となる。
【0113】実施例6 非線形光学活性物質としてNd23 を3重量%の割合
で含有する粒径50μmの真球状で表面が平滑なケイ酸
塩ガラス透明微小球(屈折率=1.55,透明度=2×
10cm-1,3次の非線形光学定数χ(3) =10-20
su以上)を、実施例1と同様にして接着剤(固体媒
体)により石英ガラス製基体上に固定化して、本発明の
非線形光学素子を製作した。
【0114】次に、図8に示す非線形光学特性測定装置
を用いて、上記非線形光学素子に、励起光として赤色半
導体レーザー光(エネルギー=10mW〜100mW)
を照射したところ、1062nm帯のレーザー発振の起
こることが確認された。
【0115】また、励起光として赤色色素レーザーから
の800nm帯の光を使用した場合にも同様のレーザー
発振が生じた。
【0116】さらに、ケイ酸塩ガラスの代わりにリン酸
塩ガラスを用いたほかは上記と同様にして得られたリン
酸塩ガラス透明微小球を用いて製作した非線形光学素子
についても同様の測定を行ったところ、1054nm帯
のレーザー発振の起こることが確認された。
【0117】また、実施例3と同様の試験を行ったとこ
ろ、レーザー光の引き込みと、それに基づくスイッチン
グ現象が起こることが確認された。
【0118】また、ケイ酸塩ガラス透明微小球およびリ
ン酸塩ガラス透明微小球の粒径をそれぞれ10〜100
μmの範囲で変更したものを用いて、上記と同様の測定
を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0119】実施例7 実施例1と同様の「ナイルレッド」を含有する粒径40
μmの真球状のポリスチレン透明微小球(変動係数=
2.8%)を実施例1と同様にして接着剤(固体媒体)
を用いて石英ガラス製基体の表面に相互に接触しない状
態に2次元的に配列し、固定化して本発明に係る非線形
光学素子を製作した。
【0120】この非線形光学素子に波長530nmの励
起光を照射してウィスパリングギャラリーモードを成立
させた状態で、さらに赤色の制御光を照射したところ、
位相共役した強い反射波が観測された。すなわち、この
非線形光学素子は、位相共役鏡としての機能をも発揮す
るものである。
【0121】実施例8 図24を参照しながら透明微小球から透明微小球へのウ
ィスパリングギャラリーモードの移行および発光強度の
増強を説明する。図24は、本発明の非線形光学素子を
示す概略断面図である。
【0122】実施例1と同様の「ナイルレッド」を含有
する粒径40μm(変動係数=2.8%)の真球状のポ
リスチレン透明微小球の3個を作製し、得られた透明微
小球34a,34b,34cを実施例1と同様な手法で
石英製基体32の表面に直線状に接触する状態に配列
し、固定して非線形光学活性領域がそれぞれの透明微小
球34a,34b,34c内に存在する本発明に係る非
線形光学素子30を製作した。この非線形光学素子30
を構成する末端にある透明微小球34aの非線形光学活
性領域に530nmの励起光を照射すると、この透明微
小球34aと直接、間接に接触する他の透明微小球34
b,34c中にもそれぞれ600〜630nmの領域で
ウィスパリングギャラリーモードが成立することが確認
された。また、励起光を照射した透明微小球34aと間
接的に接触する3番目の透明微小球34cに実施例5と
同様の手法を用いて光ファイバ64で発光波長領域の制
御光を照射することにより3番目の透明微小球34cか
らの発光強度を増幅できることが確認された。
【0123】実施例9 実施例1と同様「ナイルレッド」を含有する粒径30μ
mおよび40μmの真球状の2種類のポリスチレン透明
微小球を、実施例1と同様にして接着剤を用いて石英ガ
ラス製基体の表面に相互に接触する状態に配列し、固定
して本発明に係る非線形光学素子を製作した。
【0124】この非線形光学素子を用いて、実施例1と
同様にして粒径40μmの透明微小球に530nmの励
起光を選択的に照射したところ、粒径40μmの透明微
小球中に成立するウィスパリングギャラリーモードの一
部が粒径30μmの透明微小球へ移行し、モードがより
単純化されることが観測された。この実験結果は粒径の
異なる透明微小球を連結してなる非線形光学素子を用い
てウィスパリングギャラリーモードを単純化できること
を示すものである。
【0125】さらに粒径の異なる各々の透明微小球中に
ウィスパリングギャラリーモードが成立している状態
で、特定の微小球に実施例3と同様な手法で制御光を照
射すると他の微小球の発光モードを制御できることが確
認された。
【0126】さらに、一方の透明微小球に固有なモード
に対応する波長(610nm)の制御光を照射すると、
他方の透明微小球に固有なモードに対応する波長(51
0.5nm)の発振強度が10%以下に減少することが
確認された。この結果は、透明微小球の連結により、光
閉じ込めモードをカップリングすることが可能であるこ
とを示している。
【0127】従って、透明微小球を1次元,2次元,3
次元的に配列し、固定化して得られる非線形光学素子
は、複数の透明微小球のモード,同期レーザー発振に基
づく、高指向性光源,短パルス光源等や、透明微小球集
合体による信号伝達用の光集積回路等に利用できること
が明らかである。
【0128】実施例10 実施例9と同様にして、非線形光学素子を製作した。こ
の非線形光学素子を用いて、実施例1と同様にして粒径
30μm,40μmの透明微小球の双方を同時に励起し
たところ、各々の透明微小球に固有なモードがカップリ
ングしたより複雑な多モードが成立することが観測され
た。以上の結果は、透明微小球を接触させることによっ
てモードの多様化が可能であることを示している。
【0129】実施例11 非線形光学活性物質としてNd23 を3重量%の割合
で含有する粒径50μmの真球状で表面が平滑なケイ酸
塩ガラス透明微小球(屈折率=1.55、透明度2×1
0cm-1、3次の非線形光学定数χ(3) =10-20 es
u以上)を、石英ガラスプリズム(屈折率=1.45)
上に、フッ素含有光硬化材(屈折率=1.45)を用い
て、図1に示すように固定化して、本発明の非線形光学
素子を製作した。
【0130】次に、励起光源として赤色半導体レーザー
を用いて、ネオジウムガラスの透明度が20cm-1以上
で、かつNd3+イオンの吸収強度がλmax での吸収強度
の0.5〜50%となるような励起波長を選択し、上記
非線形光学素子に光照射するとともに、吸収スペクトル
強度を図8に示す非線形光学特性測定装置を用いて測定
した。
【0131】励起光強度に依存する光双安定性が観測さ
れたことにより、本発明の非線形光学素子はイントリン
シック型(真性型)光双安定素子として機能することが
示された。
【0132】
【発明の効果】本発明の非線形光学素子およびその使用
方法によれば、非線形光学素子を構成する透明微小球
が、1個単独で微小なキャビティとして機能するので、
光閉じ込め効果による光の高いQ値を利用することによ
り、極めて微弱な光により非線形光学効果を発揮するこ
とができる。
【0133】また、本発明の非線形光学素子を構成する
透明微小球を連結して配列し、固定化することにより、
個々の透明微小球に閉じ込められた光をカップリングさ
せることが可能となり、飛躍的に大きな非線形光学効果
の発現が可能となる。
【0134】さらに、非線形光学素子の構成単位が透明
微小球であって微小サイズであるため、光ファイバ等の
微小光学系に直接適用することができ、高密度で集積型
のコンパクトな構造の非線形光学素子が得られる。
【0135】また、本発明の非線形光学素子を構成する
透明微小球を2次元的に配列し固定化してなる非線形光
学素子は、面発光レーザーや記号伝送における位相歪み
の補償や画像処理に利用される位相共役鏡を構成するこ
とができるのみならず、光論理素子,光記憶素子,光整
流素子,光トランジスタ,光スイッチ等、特にオールオ
プティカルな光学素子として利用することができる。
【0136】さらに、各種の発光色素を含有する透明微
小球を基体上に均等に配列した本発明の非線形光学素子
は、カラー画像信号光を配列した透明微小球に結像さ
せ、その各透明微小球に含有される色素の吸収ピークに
適合する波長の光を当該透明微小球に選択的に照射する
ことによって位相共役画像の色分析,画像合成等を行う
ことができる。
【0137】そして、本発明の非線形光学素子は、それ
を構成する透明微小球が基体に固定化されているので、
機械的に安定であり、取扱いが便利であり、実用性の極
めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明微小球の固定化の具体的態様の一例を示す
概略断面図である。
【図2】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略断面図である。
【図3】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略断面図である。
【図4】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略断面図である。
【図5】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略断面図である。
【図6】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略斜視図である。
【図7】透明微小球の固定化の具体的態様の他の例を示
す概略斜視図である。
【図8】非線形光学特性測定装置のブロック図である。
【図9】図8の非線形光学特性測定装置において、非線
形光学素子にレーザー光が照射される状態を示す部分断
面図である。
【図10】実施例1の非線形光学素子の発光スペクトル
の測定結果を示す線図である。
【図11】実施例1の非線形光学素子を構成する透明微
小球の粒系の逆数とレーザー発振におけるモード間隔と
の関係の測定結果を示す線図である。
【図12】実施例2の非線形光学素子の発光強度の励起
光強度依存性の測定結果を示す線図である。
【図13】実施例2の非線形光学素子のレーザー発振領
域と自然発光領域の発光強度比の励起光強度依存性の測
定結果を示す線図である。
【図14】実施例2の非線形光学素子の発光の時間応答
特性を示す線図である。
【図15】実施例3の非線形光学素子構造と機能の概念
を示す概略断面図である。
【図16】実施例3の非線形光学素子構造と機能概念を
示す概略断面図である。
【図17】実施例3の非線形光学素子構造と機能概念を
示す概略断面図である。
【図18】実施例4の非線形光学素子のモード引き込
み、および実施例5の非線形光学素子の光増幅の測定に
用いる装置のブロック図である。
【図19】実施例4の非線形光学素子の発光モード(ス
ペクトル)とウィスパリングギャラリーモードとの対応
関係を示す線図である。
【図20】実施例4の非線形光学素子の発光強度変化と
ウィスパリングギャラリーモードとの対応関係を示す線
図である。
【図21】実施例5における非線形光学素子と光ファイ
バの結合方式を示す概略部分平面図である。
【図22】実施例5における非線形光学素子と光ファイ
バの結合方式を示す概略部分平面図である。
【図23】実施例5における非線形光学素子と光ファイ
バの結合方式を示す概略部分平面図である。
【図24】実施例8の非線形光学素子の概略断面図であ
る。
【符号の説明】
30 非線形光学素子 32 基体 33 非線形光学活性領域 34 透明微小球 36 固体媒体 38 固体層 40 溝 42 微小凹部 50 非線形光学特性測定装置 52 実体顕微鏡 54 カメラ 56 エキシマレーザ 58,59 色素レーザ 60 ミラー 62 レンズ 64 光ファイバ 64a 光ファイバ先端 66 レンズ 68 分光器 70 ボックスカー積分器 72 コンピュータ 74,76 ビームスプリッター 78,80 ピンフォトダイオード
フロントページの続き (56)参考文献 T.BAER,Continuous −wave laser oscill ation in a Nd:YAG sphere,OPTICS LETT ERS,1987年 6月12日,Vol. 12,No.6,pp.392−394 V.B.BRAGINSKY,et al.,QUALITY−FACTOR AND NONLINEAR PRP ERTIES OF OPTICAL WHISPERING−GALLERY MODES,PHYSICS LET TER A,1989年 5月29日,Vo l.137,No.7,8,pp.393− 397 S.SCHILLER,et a l.,High−resolution spectroscopy of w hispering gallery modes in large die lectric spheres,OP TICS LETTERS,1991年 8 月 1日,Vol.16,No.15,p p.1138−1140 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/35 - 1/39 JICSTファイル(JOIS)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明微小球を用いた光閉じ込め機能を有
    する非線形光学素子であって、励起光により発光する 非線形光学活性物質からなる固体
    媒体と、 1〜200μmの球径を有し、前記固体媒体からの発光
    を球内で伝播するように、表面の少なくとも一部が前記
    固体媒体と接触している透明微小球と、該透明微小球を、前記固体媒体を介して固定するととも
    に、該励起光及び前記透明微小球からの出射光を光路と
    して導く透明基体と を備えたことを特徴とする非線形光
    学素子。
  2. 【請求項2】 前記固体媒体が、前記透明微小球の周囲
    を覆って設けられてなることを特徴とする請求項1に記
    載の非線形光学素子。
  3. 【請求項3】 前記透明微小球の一部又は全体が非線形
    光学活性物質からなることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の非線形光学素子。
  4. 【請求項4】 透明微小球を用いた光閉じ込め機能を有
    する非線形光学素子であって、 1〜200μmの球径を有し、かつ内部が前記励起光に
    より発光する非線形光学活性物質からなる透明微小球
    と、該透明微小球を固定するとともに、前記励起光及び該透
    明微小球からの出射光を光路として導く透明基体と を備
    えたことを特徴とする非線形光学素子。
  5. 【請求項5】 励起光源と、該励起光源に光学的に結合
    された非線形光学素子を備えた非線形光学システムであ
    って、請求項1乃至4いずれかの非線形光学素子を用い
    ことを特徴とする非線形光学システム。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の非線形光学システムに
    おける光増幅方法であって、 前記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活性物質
    からなる固体媒体に照射して発光させるステップと、 該発光を、前記該透明微小球内で伝播するように、又
    は、前記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面との
    間で伝播するように反復反射させるステップとを備えた
    ことを特徴とする非線形光学システムにおける光増幅方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の非線形光学システムに
    おけるモード引き込み方法であって、 前記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活性物質
    からなる固体媒体に照射して発光させるステップと、 該発光を、前記該透明微小球内で伝播するように、又
    は、前記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面との
    間で伝播するように反復反射させるステップと、 前記発光の波長領域内の特定波長を有する少なくとも1
    種の単色の第2励起光を、前記非線形光学活性物質から
    なる固体媒体に照射して、前記第2励起光の波長に位置
    する発光モードと共通のオーダーナンバーを有する他の
    発光モードにおいてモード引き込みを惹き起こすステッ
    プとを備えたことを特徴とする非線形光学システムにお
    けるモード引き込み方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の非線形光学システムに
    おけるモード引き込み方法であって、 前記励起光源からの励起光を、前記非線形光学活性物質
    からなる固体媒体に照射して発光させるステップと、 該発光を、前記該透明微小球内で伝播するように、又
    は、前記透明微小球の表面と前記固体媒体との界面との
    間で伝播するように反復反射させるステップと、 前記発光の波長領域内の特定波長を有する少なくとも1
    種の単色の第2励起光を、前記非線形光学活性物質から
    なる固体媒体に照射して、前記第2励起光の波長に位置
    する発光モードと共通のオーダーナンバーを有する他の
    発光モードにおいてモード引き込みを惹き起こすステッ
    プと、 前記第2励起光を断続するステップとを備えたことを特
    徴とする非線形光学システムにおける光スイッチ方法。
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V.B.BRAGINSKY,et al.,QUALITY−FACTOR AND NONLINEAR PRPERTIES OF OPTICAL WHISPERING−GALLERY MODES,PHYSICS LETTER A,1989年 5月29日,Vol.137,No.7,8,pp.393−397

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