JP3305475B2 - 弾性波素子 - Google Patents

弾性波素子

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JP3305475B2
JP3305475B2 JP01682794A JP1682794A JP3305475B2 JP 3305475 B2 JP3305475 B2 JP 3305475B2 JP 01682794 A JP01682794 A JP 01682794A JP 1682794 A JP1682794 A JP 1682794A JP 3305475 B2 JP3305475 B2 JP 3305475B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、弾性波を利用したフ
ィルタ、遅延線、分散型遅延線に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性波素子は、圧電体材料の表面で弾性
波を発生することによって、アナログ信号のフィルタリ
ングや遅延等を行うものである。
【0003】図36には、実開昭60−66118号公
報で開示された従来の広帯域型弾性波素子が示されてい
る。同図において、圧電体材料の上面には、一対のすだ
れ状(ないし、くし型)電極が対向して配置され、すな
わち、入力電極としてのすだれ状電極1a及び出力電極
としてのすだれ状電極1bが形成されている。各すだれ
状電極は、互いに所定間隔をもって交差配置された複数
の電極指2と、それらの電極指2の基端に共通接続され
た一対の取出し電極3と、で構成されている。図示のよ
うに、一対の取り出し電極の内の一方は電気端子4に接
続され、他方は接地端子5に接続されている。
【0004】かかる弾性波素子において、例えば左側の
入力側すだれ状電極1aで弾性波が発生され、その弾性
波は右側の出力側すだれ状電極1bで受波される。具体
的に説明すると、電気端子4に印加された電気信号によ
り、電気端子4に接続された電極指2と接地端子5に接
続された電極指2とが交差する部分(以下、交差部と称
する)で電界が発生される。すだれ状電極1は、圧電体
材料の表面に形成されているため、上記電界により、上
記圧電体材料は歪みを生じ、これが弾性波となって励振
され、上記交差部に対し垂直な方向に伝搬する。そし
て、出力側すだれ状電極1bの側に伝搬してきた弾性波
は、励振と逆の過程を経て、再び電気信号に変換され、
電気端子4より電気信号として取り出される。
【0005】ここで、電極指の番号をiとし、電極指i
の幅をLi とし、電極指iと電極指i+1の中心間距離
をDi (以下、電極指配列間隔と称する)とし、電極指
iと電極指i+1との間隙の長さをSi とすると、これ
らの間には、図36から明らかなように以下の関係があ
る。
【0006】 Di =Si +(Li +Li+1 )/2 …(式1) 各交差部では、電極指配列間隔Di が2分の1波長とな
る周波数fi (以下、中心周波数と称する)になつた時
に最も弾性波が強く励振される。このため、すだれ状電
極1にて広い周波数範囲にわたって電気信号と弾性波と
の変換ができるように、図36のすだれ状電極1は、電
極指配列間隔Di を徐々に変化させている。つまり、こ
のようなすだれ状電極1を用いれば、広い周波数範囲に
わたる通過帯域を得られる。
【0007】図37には、上記出力側すだれ状電極1b
における交差部の位置Xi と、各交差部iにおける中心
周波数fi と、の関係が例示されている。ここで、交差
部iは、電極指iと電極指i+1とで構成される交差部
を意味し、その位置Xi は、電極指iの中心位置と電極
指i+1の中心位置との中間とする。図中、横軸は交差
部iの位置Xi であり、縦軸は交差部iの中心周波数f
i である。
【0008】図37に示すように、位置Xi に対して、
中心周波数fi が線形に変化している。換言すれば、図
36の出力側すだれ状電極1bの左端を基準として、中
心周波数fi の弾性波が交差部iに至るまでの遅延時間
をτi とすると、中心周波数fi に対して、遅延時間τ
i は直線的に変化する。
【0009】図36に示した弾性波素子は、入力側すだ
れ状電極1aと出力側すだれ状電極1bとは、互いに線
対称な形で配置されているので、周波数によって遅延時
間が変化する分散型遅延線として動作する。このときの
帯域幅ΔfIDT にわたる遅延時間τi の変化量が分散時
間であり、入出力すだれ状電極1のそれぞれの分散時間
の和が弾性波素子としての分散時間Δτとなる。
【0010】なお、図示していないが、入出力すだれ状
電極1の電極指配列間隔の変化が同じ方向になるように
同一向きで配置すると、入力側すだれ状電極1aでの分
散特性を出力側すだれ状電極1bで相殺するように動作
するので、弾性波素子は周波数によらず遅延時間一定の
広帯域フィルタ、あるいは、遅延線として動作する。さ
て、中心周波数fi が交差部の位置Xi に対して、以下
に示す式2の関係で変化するものとする。
【0011】 fi =H(Xi ) …(式2) 例えば、通過帯域の周波数fL を励振する交差部の位置
をXL とすると、図37に示したような中心周波数fi
が位置Xi に対して直線的に変化する場合の関係は、次
の式3で示される。
【0012】 fi =fL +α(Xi −XL ) …(式3) ここで、αは定数であり、すだれ状電極の分散特性を決
定する量である。電極指配列間隔Di は、音速をVS
して中心周波数fi と次の式4に示す関係にある。
【0013】 fi =VS /(2Di ) …(式4) 電極指配列間隔Di と交差部iの位置Xi との関係は、
例えば上記式3が成り立つ場合には、次の式5のように
なり、図38のような変化を示す。
【0014】 Di =(1/2)×VS /(FL +α(Xi −XL )) …(式5) 図37、38では、グラフを線として連続的に描いた
が、実際には、交差部の位置Xi と次の交差部の位置X
i+1 とは電極指配列間隔Di 離れており、各交差部の位
置Xi は離散的な量である。ここで、図36に示した弾
性波素子が良好な特性、すなわち、帯域内通過特性、お
よび、群遅延時間特性に不要なリップルがない特性を実
現するには、上記のような離散的な交差部の位置Xi
対する中心周波数fi や電極指配列間隔Di が、図3
7、38に示したような連続的なグラフとしてみなせる
状態であることが必要である。すなわち、各交差部iの
中心周波数fi や電極指配列間隔Di が徐々に変化する
ことが必要である。
【0015】その場合、弾性波素子として必要な分散時
間が小さいような、すだれ状電極1の電極指数が少ない
場合には、電極指配列間隔Di の変化量が大きくなり、
なめらかな分散特性を実現できない。
【0016】弾性波素子として必要な分散時間が大きい
場合には、すだれ状電極1の高い周波数を励振する領
域、すなわち、電極指配列間隔Di の小さい領域での隣
合う交差部iの間の電極指配列間隔Di の差が微小な構
造となる。しかし、実際に、弾性波素子を製造するとき
には、すだれ状電極の寸法は、一段に製造上の要請から
最小寸法単位Qの整数倍として設定され、その場合、上
記最小寸法単位Qを小さくすることは、より高精度な製
造工程を経ることであり、製造コスト上昇の原因となる
のでQには制限がある。
【0017】例えば、図39は、最小寸法値Dmin を設
定した場合の電極指配列間隔Di を示している。図中、
横軸は電極指番号iであり、縦軸は各電極指iの電極指
配列間隔Di である。細線は、図38に示したような連
続的に変化させた電極指配列間隔Di 6であり、この電
極指配列間隔Di 6に近いほど、良好な特性を示す。階
段状の太線は、最小寸法値がDmin の場合の電極指配列
間隔Di 7である。図36に示すすだれ状電極1の場合
では、電極指幅Li 、および、電極指間の間隙Si が、
それぞれ、中心周波数fi の弾性波の波長λi の4分の
1であり、電極指配列間隔Di は波長λi の2分の1だ
から、電極についての最小寸法値Dminは、基本的には
最小寸法単位Qの2倍となる。
【0018】例えば、図49に示すように、隣合う各電
極指2の幅と電極指2間の間隙を同じとした場合に、電
極指配列間隔Di を6Qから8Qに変化させた時の電極
指幅、間隙長、電極指配列間隔の値の変化を考える。図
中に示すように、変化開始点のとり方によって配列A、
Bのように2通りの変化が考えられる。過渡的に、電極
指配列間隔が6Qと8Qの中間の値となる部位が存在
し、この部位では隣合う各電極指2の幅と間隙長との比
が他の部位と異なっているが、これは、電極指配列間隔
を徐々に変化させた場合には必然的に生じるのであり、
この部位が連続して存在することはない。すなわち、図
4に示すように、寸法最小単位を考慮しない場合の各電
極指配列間隔を6とした場合に、最小寸法単位Qを考慮
した場合の各電極指配列間隔は7のように値が2Q間隔
の階段状の値となる。P1 、P2 、P3 はそれぞれ同じ
電極指配列間隔が連続する領域であり、P1 からP2
よび、P2 からP3 へ移行する部位に、過渡的に、
1 、P2 、P3 と異なる電極指配列間隔が存在してい
る。例えば、P2 における電極指配列間隔が8Qである
とすると、P2 からP3 へ移行する部位での各寸法が、
図4に示した値となる。
【0019】図39を見ると、電極指配列間隔Di が小
さい領域ほど、同じ電極指配列間隔となる電極指数が多
くなっているのがわかる。電極指配列間隔Di が最小電
極指配列間隔Dmin に近いほど、ある電極指配列間隔D
i に最小電極指配列間隔Dmi n を加えたり、引いたりし
た場合の中心周波数fi の変化する割合が大きくなるた
めである。
【0020】同じ電極指配列間隔Dが連続した電極指N
対、すなわち、電極指数2N+1本のすだれ状電極1
が、電気信号を弾性波に変換する効率G(f)は、文献
(以下、文献甲とする)“弾性表面波工学”、電子通信
学会発行、1985年6月、pp.62−66中にて述
べられているように、式6のようになる。
【0021】
【数1】 ここで、f0 は中心周波数であり、式4を用いて電極指
配列間隔Di から求められる、Δfは周波数fと中心周
波数f0 との差であり、G0 は周波数fが中心周波数f
0 に等しいときの変換効率である。式6からわかるよう
に、同じ電極指配列周期Dが連続する領域を有するすだ
れ状電極1では、周期的に、電気信号と弾性波との変換
が行われない周波数が存在し、式7に示すように、電極
指数Nが多いほど、電気信号と弾性波との変換が行われ
ない周波数間隔Δfzが小さくなり、帯域も狭くなる。
【0022】 Δfz=f0 /N …(式7) 電極指配列間隔Di を連続的に変化させた場合のすだれ
状電極1の電気信号と弾性波との変換効率は、図40に
示すようになる。図中、横軸は周波数であり、縦軸は変
換効率である。8は電極指配列間隔Di の異なる各交差
部毎の変換効率であり、9は各交差部毎の変換効率8を
加算したすだれ状電極1全体の変換効率である。
【0023】各交差部iの変換効率8は、式6から、そ
の交差部iの電極指配列間隔Di から求められる中心周
波数fi にて効率最大となる。また、各交差部i毎に電
極指配列間隔Di が異なるため、電極指対数Nを0.5
とした極めて広帯域な特性である。したがって、すだれ
状電極1全体の変換効率9は、中心周波数fi が僅かず
つ変化する各交差部iの変換効率8を全ての交差部につ
いて合計した特性であるので、適切な設計を行うことに
より、全体として所要帯域にわたり平坦な変換効率を実
現することができる。
【0024】一方、例えば、高い周波数にて同じ電極指
配列間隔が連続するような場合(同一構成の交差部が連
続する場合)は、図41に示す特性となる。図中、横
軸、縦軸は図40の場合と同じである。8は図40と同
様に、電極指配列間隔Di が異なる各交差部の変換効率
であり、10は同じ電極指配列間隔が連続する交差部の
変換効率である。
【0025】同じ電極指配列間隔が連続する交差部の変
換効率10は帯域が狭く、また、同じ電極指配列間隔が
連続する交差部の中心周波数は、隣合う電極指配列間隔
iが異なる交差部の中心周波数との差が大きくなる。
この結果、各交差部の変換効率8、10を合計したすだ
れ状電極1全体の変換効率9は、帯域内に大きなリップ
ルを生じる。変換効率の変動は、直接、図36に示した
ような弾性波素子を構成した場合の通過特性に反映され
るため、帯域内リップルの大きい弾性波素子となってし
まう。
【0026】実際は、図40、41に示した場合よりも
はるかに多くの電極指から構成されるため、例えば、図
36に示したような電極指配列間隔が徐々に変化するよ
うな弾性波素子の理想的な通過特性が図42であるとす
ると、電極指配列間隔にある最小値Dmin が存在し、図
43に示すような高周波数を励振する交差部11の電極
指配列間隔が同じであるような場合には、図44に示す
ような帯域内リップルが通過電力、群遅延時間の両方に
発生し、弾性波素子としての性能を劣化させる問題があ
った。
【0027】よって、最小寸法値という制約の下で、各
交差部の中心周波数の一致等を回避できる構成が要望さ
れていた。
【0028】従来のすだれ状電極としては、特開平3−
132208号公報に示された図45の構成や、特開昭
62−200811号公報に示された図46の構成があ
る。図45、および、図46は、すだれ状電極の一部の
中心周波数がf0 であり、中心周波数f0 のときの弾性
波の波長がλ0 である電極指2を示している。図45の
弾性波素子のすだれ状電極は、幅がλ0 /8の電極指2
と、幅がλ0 /4の電極指2とから構成され、λ0 間隔
を1周期として、幅がλ0 /8の電極指2と幅がλ0
4の電極指2のそれぞれ1本ずつが、同電位で互いに隣
合った位置となるように配列されている。図46のすだ
れ状電極は、幅がλ0 /8の電極指2から構成され、同
電位で互いに隣合った位置に配列されている3本の電極
指2のうちの2本が、接続電極12で接続されている。
【0029】図45、および、図46の弾性波素子は、
幅λ0 /8の電極指2を用いており、中心周波数f0
弾性波の波長λ0 を決めるのは、各電極指2の配列間隔
ではなく、弾性波の波長λ0 間隔内の4本の電極指2毎
の電極指配列周期である。この構造において、各電極指
2の寸法単位がQであるとき、電極指2配列周期の最小
値は6Qとなり、図36に示した従来のこの種の弾性波
素子の場合よりも、電極指2の最小寸法単位Qの影響を
より大きく受けるため、弾性波素子としての性能を劣化
させる。
【0030】また、従来のすだれ状電極として、特開平
3−228418号公報や特開平1−166609号公
報に示された図47の構成がある。図中、13は同電位
の2本を1対とした電極指であり、各電極指対が交差す
る構造となっている。各電極指13の配列間隔の2倍が
1対の電極指13の中心間距離Di であり、この中心間
距離Di の2倍が中心周波数fi における弾性波の波長
λi となる。また、各電極指13対の交差部における弾
性波の励振強度を可変させるために、上記中心間距離D
i に対する電極指幅を可変させているが、電極指13の
中心間距離Diと上記中心間距離Di に対する電極指幅
の比とは無関係である。
【0031】図47の弾性波素子では、電極指13の中
心間距離Di が弾性波の中心周波数fi を決定する。電
極指13の中心間距離Di の最小値は、電極指13の最
小寸法単位Qの4倍であり、これは、図36に示した弾
性波素子の場合よりも、電極指2の最小寸法単位Qの影
響をより大きく受けるため、弾性波素子としての性能を
劣化させる。
【0032】図48は、特開昭56−149817号公
報に示された従来の弾性波素子を示す図である。図48
では、すだれ状電極1の取り出し電極のうち、各入出力
すだれ状電極1から見て、外側の取り出し電極3aを電
気端子4に接続し、内側の取り出し電極3bを接地端子
に接続するものとする。電極指2が弾性波の伝搬経路1
4に垂直な方向にずらして配置された、いわゆるスラン
ト電極を用いているため、電極指2と内側の取り出し電
極3bとの境界15は、弾性波の伝搬経路14に対して
角度θIDT の傾斜を有する。このような傾斜構造とする
ことにより、任意の伝搬経路14を伝搬する弾性波が横
切る電極指2の数が低減され、電極指2における弾性波
の反射や、不要波の励振等の悪影響を低減することがで
きる。このとき、弾性波の任意の伝搬経路14と、出力
側すだれ状電極1bに最も近い入力側すだれ状電極1a
の電極指2から弾性波の伝搬経路14に下した垂線との
交点をAとし、電極指2と内側の取り出し電極3bとの
境界15との交点をBとし、内側の取り出し電極3bの
端面16との交点をCとすると、図48に示した従来の
この種の弾性波素子は、式8を満足するように、内側の
取り出し電極3bの端面16の形状を決めている。
【0033】 XBC/XAB=Vm /(Vf −Vm )×(Vf /VIDT −1) …(式8) ここで、XABは点AB間の距離、XBCは点BC間の距
離、Vf は弾性波の自由表面での伝搬速度、Vm は弾性
波の取り出し電極上での伝搬速度、VIDT は弾性波の電
極指2が配列されている領域での伝搬速度である。図4
8に示したように、電極指2と内側の取り出し電極3b
との境界15が直線的である場合には、内側の取り出し
電極3bの端面16は直線的な構造となる。式8を満足
するように、内側取り出し電極3bの端面16の形状を
決定することにより、弾性波の伝搬速度Vf 、Vm 、V
IDT が異なることによる弾性波の波面の乱れを防ぐこと
ができる。
【0034】従来のこの種の弾性波素子では、式8によ
り、弾性波の伝搬速度Vf 、Vm 、VIDT が異なること
による弾性波の波面の乱れを防いでいた。式8は、弾性
波の伝搬速度Vf 、Vm 、VIDT と、電極指2と内側の
取り出し電極3bとの境界15の形状を決定すれば、一
意的に、内側の取り出し電極3bの端面16の形状が決
定されていた。このため、弾性波の伝搬速度Vf
m 、VIDT 等が材料によって異なると、式8の右辺の
値に誤差が生じ、式8の条件が満足されなくなる。その
結果、弾性波の波面が乱れ、弾性波素子の特性が劣化し
ていた。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解決するためになされたもので、すだれ状電極の構
成に、製造コスト低減のため最小寸法単位を設定して
も、各交差部の特性の一致を回避して、素子全体の特性
を改善できる弾性波素子を提供することにある。
【0036】また、この発明は、上記の問題を解決する
ためになされたもので、所要の分散特性を実現するため
の電極指数が多い場合でも、所要の特性を実現できる弾
性波素子を提供することにある。
【0037】また、この発明は、上記の問題を解決する
ためになされたもので、所要の分散特性を実現するため
の電極指数が少ない場合でも、所要の特性を実現できる
弾性波素子を提供することにある。
【0038】また、この発明は、上記の問題を解決する
ためになされたもので、設計時に使用する弾性波の伝搬
速度に誤差があっても、所要の特性を実現できる弾性波
素子を提供することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明に係る弾性波素子
では、基本的に、すだれ状電極の電位の異なる電極指が
交差する部位にて、互いに近接する電極指間でその電極
指幅、又は電極指間の間隙長を変化させて、前記電極指
幅と隣り合う電極指との比率を変え、電極指幅と間隙長
との双方が異なる領域を少なくとも一つ設けた。
【0040】第の発明に係る弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、すだれ状電極の電極指配
列間隔が徐々に小さくなる電極指順序の方向に、隣り合
う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率を徐々に
小さくし、電極指幅と間隙長との双方が異なる領域を少
なくとも一つ設けた。
【0041】第の発明に係る弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の間隙長
に対する上記電極指幅の比率を乱数的に変化させて、電
極指幅と、互いに隣り合う電極指間の間隙長との双方が
異なるようにした領域を少なくとも一つ設けた。
【0042】第の発明に係る弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の間隙長
に対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電極指を
有する領域を少なくとも一つ設け、電極指幅と、互いに
隣り合う電極指間の間隙長との双方が異なるようにした
領域を少なくとも一つ設けた。
【0043】第5の発明に係る弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣合う電極指の間隙長に
対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電極指を少
なくとも一つ有し、すだれ状電極の電極指配列間隔が徐
々に小さくなる電極指順序の方向に、上記各電極指にお
ける隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率
の大きい領域の交差幅方向の長さの合計に対して、上記
隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指の比率の小さ
い領域の交差幅方向の長さの合計の比率を、徐々に大き
くした領域を少なくとも一つ設けた。
【0044】第6の発明に係る弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣合う電極指の間隙長に
対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電極指を少
なくとも一つ有し、上記各電極指における隣合う電指極
の間隙長に対する上記電極指幅の比率の大きい領域の交
差幅方向の長さの合計と上記隣合う電極指の間隔長に対
する上記電極指幅の比率の小さい領域の交差幅方向の長
さの合計との比率を、乱数的に変化させた領域を少なく
とも一つ設けた。
【0045】第7の発明に係る弾性波素子では、弾性波
素子の通過帯域の下限周波数をf1、上限周波数をf2
とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW0
し、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をVIDT
し、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が出力側
すだれ状電極の電極指と上記弾性波の波面とのなす角度
をθとしたときに、f2 < VIDT /(W0 ・sin
θ)(式9)あるいは、nを整数として、f2 /n <
IDT /(W0 ・sinθ) < f1 /(n−1)
(式10)を満足するように、取出し電極の対向する電
極側の形状を定めた。
【0046】第8の発明に係る弾性波素子では、弾性波
素子の通過帯域の下限周波数をf1、上限周波数をf2
とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW0
し、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をVIDT
と、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が出力側
すだれ状で電極に達したときの出力側すだれ状電極の電
極指と上記弾性波の波面とのなす角度をθとしたとき
に、式9で示される条件か、あるいは、nを整数とし
て、式10で示される条件を満足するように、上記シー
ルド電極の形状を定めた。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【作用】本発明の弾性波素子では、電極指配列間隔が同
じ交差部グループにおいて、互いに近接する電極指間で
その電極指幅、又は電極指間の間隙長を変化させて、前
記電極指幅と隣り合う電極指との比率を変え、電極指幅
と間隙長との双方が異なる領域を少なくとも一つ設ける
ようにした。電極指の部分と、電極指間の間隙の部分と
では、弾性波の伝搬速度が異なるため、電極指配列間隔
が同じでも、上記電極指幅と隣り合う電極指の間隙長と
の比率を変えることにより、弾性波の中心周波数を変化
させることができる。また、上記電極指幅と隣り合う電
極指の間隙長との比率を変えることにより、電極指の最
小寸法単位と同じ値の電極指配列間隔最小値にて電極指
配列間隔を変えることができる。このため、同じ中心周
波数の電極指配列間隔が連続するのを防ぎ、所要の特性
を有する弾性波素子を得ることができる。
【0054】この第の発明の弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、前記すだれ状電極の電極
指配列間隔が徐々に小さくなる電極指順序の方向に、隣
り合う電極指間の間隙長に対する上記電極指幅の比率を
徐々に小さくし、電極指幅と間隙長との双方が異なる領
域を設けた。電極指の部分は、電極指間の間隙の部分よ
りも、弾性波の伝搬速度が遅いため、電極指配列間隔が
同じでも、上記電極指幅と隣り合う電極指の間隙長との
比率を小さくした領域を少なくとも一つ設けることによ
り、等価的に、中心周波数を高くすることができる。電
極指配列間隔が徐々に小さくなる電極指順序の方向は、
中心周波数が徐々に高くなる方向であるから、これと同
じ方向で、電極指配列間隔が同じ部分の中心周波数を徐
々に高くすることができ、同じ中心周波数の電極指配列
間隔が連続するのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波素
子を得ることができる。
【0055】この第の発明に係る弾性波素子では、す
だれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のう
ち、電極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の
間隙長に対する上記電極指幅の比率を乱数的に変化させ
て、電極指幅と、互いに隣り合う電極指間の間隙長との
双方が異なるようにした領域を少なくとも一つ設けた。
電極指の部分と、電極指間の間隙の部分とでは、弾性波
の伝搬速度が異なるため、電極指配列間隔が同じでも、
上記電極指幅と隣り合う電極指の間隙長との比率を変え
ることにより、弾性波の中心周波数を変化させることが
できる。このため、隣り合う電極指の間隙長に対する上
記電極指幅の比率を乱数的に変化させることにより、同
じ中心周波数の電極指配列間隔が連続するのを防ぎ、所
要の特性を有する弾性波素子を得ることができる。
【0056】この第の発明に係る弾性波素子では、す
だれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のう
ち、電極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の
間隙長に対する上記電極指幅の比率が変化する電極指を
有する領域を少なくとも一つ設け、電極指幅と、互いに
隣り合う電極指間の間隙長との双方が異なるようにした
領域を少なくとも一つ設けた。電極指の部分と電極指間
の間隙の部分とでは、弾性波の伝搬速度が異なるため、
電極指配列間隔が同じでも、上記電極指幅と隣り合う電
極指の間隙長との比率が変化する。すなわち、電極指幅
が変化する段付き電極指を用いると、等価的に、中心周
波数の異なる交差部を並列接続したように動作する。こ
のため、隣り合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅
の比率が変化する段付き電極指を用いることにより、同
じ中心周波数の電極指配列間隔が連続するのを防ぎ、所
要の特性を有する弾性波素子を得ることができる。
【0057】この第5の発明の弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣合う電極指の間隙長に
対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電極指を少
なくとも一つ有し、すだれ状電極の電極指配列間隔が徐
々に小さくなる電極指順序の方向に、上記各電極指にお
ける隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率
の大きい領域の交差幅方向の長さの合計に対して、上記
隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率の小
さい領域の交差幅方向の長さの合計の比率を、徐々に大
きくした領域を少なくとも一つ設けた。電極指の部分
は、電極指間の間隙の部分よりも、弾性波の伝搬速度が
遅い。このため、電極指配列間隔が同じでも、上記電極
指幅と隣合う電極指の間隙長との比率が小さい。すなわ
ち、電極指幅が狭い電極指を用いると、等価的に、中心
周波数を高くしたように動作する。このため、上記各電
極指における隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指
幅の比率の大きい領域の交差幅方向の長さの合計と上記
隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率の小
さい領域の交差幅方向の長さの合計との比率を、徐々に
小さくすることにより、等価的に、中心周波数が徐々に
高くなる。この結果、同じ中心周波数の電極指配列間隔
が連続するのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波素子を
得ることができる。
【0058】この第6の発明の弾性波素子では、すだれ
状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のうち、電
極指配列間隔が一定の領域に、隣合う電極指の間隙長に
対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電極指を少
なくとも一つ有し、上記各電極指における隣合う電極指
の間隙長に対する上記電極指幅の比率の大きい領域の交
差幅方向の長さの合計と上記隣合う電極指の間隙長に対
する上記電極指幅の比率の小さい領域の交差幅方向の長
さの合計の比率を、乱数的に変化させた領域を少なくと
も一つ設けた。電極指の部分と電極指間の間隙の部分と
では、弾性波の伝搬速度が異なるため、電極指配列間隔
が同じでも、上記電極指幅と隣合う電極指の間隙長との
比率が変化する。すなわち、電極指幅が変化する電極指
を用いると、等価的に、中心周波数の異なる交差部を並
列接続したように動作する。このため、隣合う電極指の
間隙長に対する上記電極指幅の比率が乱数的に変化する
電極指を用いることにより、同じ中心周波数の電極指配
列間隔が連続するのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波
素子を得ることができる。
【0059】この第7の発明に係る弾性波素子では、弾
性波素子の通過帯域の下限周波数をf1 、上限周波数を
2 とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW
0とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をVIDT
とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が出
力側すだれ状電極に達したときの出力側すだれ状電極の
電極指と上記弾性波の波面とのなす角度をθとしたとき
に、式9で示される条件か、あるいは、nを整数とし
て、式10で示される条件を満足するように、取出し電
極端面の形状を定めた。出力側すだれ状電極の電極指と
上記弾性波の波面とのなす角θは、入力側すだれ状電極
の取り出し電極の構造と、出力側すだれ状電極の取り出
し電極の形状により一意的に決まるから、出力側すだれ
状電極の電極指と上記弾性波の波面とのなす角θの条件
が範囲を有するということは、上記入出力すだれ状電極
の各取り出し電極の形状に範囲を持つことが可能となる
ことである。このため、弾性波の伝搬速度が材料によっ
てばらつきを持っていても、そのばらつきの範囲に対応
した上記取り出し電極の形状を適切に決定することによ
り、所要の特性を有する弾性波素子を得ることができ
る。
【0060】この第8の発明の弾性波素子では、弾性波
素子の通過帯域の下限周波数をf1、上限周波数をf
2 、とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW
0 とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をV
IDT とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が
出力側すだれ状で電極に達したときの出力側すだれ状電
極の電極指と上記弾性波の波面とのなす角をθとしたと
きに、式9で示される条件か、あるいは、nを整数とし
て、式10で示される条件を満足するように、上記シー
ルド電極の形状を定めた。出力側すだれ状電極の電極指
と上記弾性波の波面とのなす角θは、入出力すだれ状電
極の各取り出し電極の構造と、入出力すだれ状電極間に
配置されたシールド電極の形状により一意的に決まるか
ら、出力側すだれ状電極の電極指と上記弾性波の波面と
のなす角θの条件が範囲を有するということは、上記シ
ールド電極の形状に範囲を持つことが可能となることで
ある。このため、弾性波の伝搬速度が材料によってばら
つきを持っていても、そのばらつきの範囲に対応した上
記シールド電極の形状を適切に決定することにより、所
要の特性を有する弾性波素子を得ることができる。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】圧電材料の上面には、入力側すだれ状電極
1a及び出力側すだれ状電極1bが形成され、各すだれ
状電極は、複数の電極指2と、それらの電極指2の基端
に共通接続された一対の取り出し電極3と、で構成され
ている。一方の取り出し電極には電気端子4が接続さ
れ、他方の取り出し電極には接地端子5が接続されてい
る。電気端子4に接続された複数の電極指2と接地端子
に接続された複数の電極指2とが互いに交差し、弾性波
は各交差部に垂直な方向に伝搬する。入力側すだれ状電
極1aの電極指配列間隔は、出力側すだれ状電極1bに
遠い方から近い方に向って、徐々に小さくなっており、
出力側すだれ状電極1bの電極指配列間隔は、入力側す
だれ状電極1aと対称になっている。ここで、隣合う各
電極指2の幅と電極指2間の間隙は、ほぼ同じとなるよ
うに構成しているのは、従来のこの種の弾性波素子と同
じである。
【0069】ただし、従来の弾性波素子のように、電極
指配列間隔が小さいところで、隣合う各電極指2の幅と
電極指2間の間隙をほぼ同じとすると、電極指幅の最小
寸法値があるために、同じ電極指配列間隔が多くなるの
で、この発明の実施例1に係る弾性波素子では、領域1
1のように、隣合う各電極指2の幅と電極指2間の間隙
の比率に変化をもたせている。
【0070】すなわち、この実施例の弾性波素子では、
電極指幅及び電極指間隔がともに最小寸法単位の整数倍
に設定されることを前提として、同じ配列間隔のところ
において、各交差部における電極指幅及び電極指間隔の
大きさの組み合わせを相互に異ならせている。これによ
って、交差部全体の中で幾何学的に同一の構成を有する
交差部が生じるのを防止でき、隣接する電極指で構成さ
れる各交差部の中心周波数を相互に異ならせることが可
能となる。
【0071】図2は、図1に示したこの発明の実施例1
に示した弾性波素子の入力側すだれ状電極1aの電極指
配列間隔が小さくなり、隣合う各電極指2の幅と電極指
2間の間隙の比率を変化させた領域11を拡大して示し
ている。図中、電極指番号をiとし、電極指番号iの電
極指2の幅をLi とし、電極指番号iと電極指番号i+
1間の電極指中心間距離をDi とし、電極指番号iと電
極指番号i+1間の間隙長をSi とする。電極指幅の最
小寸法単位をQとし、それが破線で示されている。各電
極指2は、上記破線上が端縁となる。
【0072】ここで、電極指配列間隔Di と、中心周波
数fi との関係を詳細に説明する。電極指2間の弾性波
の伝搬速度は、電極指2の部分と電極指間の間隙の部分
とで異なる。電極指2の部分での弾性波の伝搬速度をV
1 、電極指間の間隙の部分での弾性波の伝搬速度をV2
とすると、電極指配列間隔Di を伝搬するのに要する遅
延時間τi は、次の式11にて与えられる。
【0073】 τi =1/2×((Li +Li+1 )/V1 )+Si /V2 …(式11) そして、電極指配列間隔Di を伝搬するのに要する遅延
時間がτi のときの中心周波数fi は、式12となる。
【0074】 fi =1/(2τi ) …(式12) 式11、式12からわかるように、電極指2の部分での
弾性波の伝搬速度V1と電極指間の間隙の部分での弾性
波の伝搬速度V2 とが異なるために、電極指幅Li と間
隙長Si の比率を変えることにより、電極指2間の遅延
時間τi が変化し、中心周波数fi を変えることができ
る。電極指2の部分での弾性波の伝搬速度V1 が、導体
で基板表面を被った場合の伝搬速度Vm に等しく、電極
指間の間隙の部分での弾性波の伝搬速度V2 が、自由表
面での伝搬速度Vf に等しいとすると、伝搬速度V1
2 と、基板の電気機械結合係数k2 との間には、式1
3の関係があることが、上記文献甲にて示されている。
【0075】 k2 =2(V2 −V1 )/V2 …(式13) 式13を書き換えると、式14が得られる。
【0076】 V1 =(1−k2 /2)V2 …(式14) 式14を式11に代入して整理すると、式15を得る。
【0077】
【数2】 式15は、(Li +Li+1 )/2とSi との比率が変化
すれば、その和である電極指配列間隔Di が一定でも、
電極指間の遅延時間τi が変化することを示している。
したがって、電極指幅Li 、Li+1 と電極指L、L
i+1 間の間隙長Si との比率を変えることにより、その
交差部iの中心周波数fi を変化させることができるの
である。図1に示したように、例えば、入力側すだれ状
電極1aの電極指配列間隔が、出力側すだれ状電極1b
に近付くほど小さくなる場合に、最小寸法単位Qのため
に同じ電極指配列間隔が連続する領域11にて電極指幅
iと電極指間の間隙長Si との比率を、出力側すだれ
状電極1bに近い方ほど小さくすれば、実効的に、各交
差部での遅延時間τi を少しずつ小さくすることになる
ため、同じ遅延時間の交差部が連続することによる特性
の劣化を防ぐことができる。
【0078】実施例2.(第1実施例の具体例) 図3は、この発明の実施例2の弾性波素子における電極
指配列間隔を示した例である。図3は、例として、電極
指配列間隔Di が8Qから6Qまでの選択可能な電極指
幅Li と電極指間の間隙長Si を示している。図中の数
値は、全て、最小寸法単位Qで割った値を示している。
図中、電極指幅は交差部をはさんだ2つの電極指幅の和
(Li +Li+1 )を示しており、例えば、電極指幅の和
(Li +Li+1 )が4のときのLi とLi+1 の組み合わ
せを(Li 、Li+1 )として表すと、電極指の和L
i+1 が4のときは、(1、3)、(2、2)、(3、
1)の3通りが考えられる。したがって、各電極指
i 、Li+1 と電極指Li 、Li+1 間の間隙長Si の組
み合わせは、図3に示した場合よりも多い。
【0079】図3に示したこの発明の実施例2の弾性波
素子で実現可能な電極指配列間隔の一例では、最小寸法
単位Qに対して、電極指配列間隔Di は、0.5Q間隔
の任意の間隔で設定可能である。これに対して、図49
に示した従来のこの種弾性波素子で実現可能な電極指配
列間隔では、過渡的に0.5Q間隔とすることはできる
が、この過渡的な電極指配列間隔を連続させることがで
きず、実際に実現可能な電極指配列間隔Di は2Qおき
の値となる。すなわち、この発明の実施例2の弾性波素
子では、幅の大きさと間隙長との比率変化を活用したの
で、従来のこの種の弾性波素子に比べ、4倍細かい間隔
で電極指配列間隔Di を設定することができる。
【0080】図4は、例えば、この発明の実施例2の弾
性波素子を用いた場合の電極指配列間隔Di を示した図
である。図中、横軸は電極指番号iであり、縦軸は電極
指配列間隔Di である。6は最小寸法単位Qを設定しな
い場合の従来のこの種の弾性波素子の電極指配列間隔D
i であり、17はこの発明の第2の実施例の弾性波素子
に係る電極指配列間隔Di である。
【0081】従来のこの種の弾性波素子の電極指配列間
隔Di 7に比べ、この発明の第2の実施例の弾性波素子
に係る電極指配列間隔Di 17は、電極指配列間隔Di
の変化量が小さく、より最小寸法単位Qを設定しない場
合の連続的な電極指配列間隔Di 6に近い変化を示す。
この結果、この発明の第2の実施例に係る弾性波素子
は、帯域内リップルの少ない良好な特性を得ることがで
きる。
【0082】図5は、基板材料に、YカットZ伝搬ニオ
ブ酸リチウムを用いた場合に、図3に示した電極指配列
間隔における電極指間の遅延時間τi を示している。図
中、横軸は、図3に示した各電極指配列間隔Di であ
り、各電極指配列間隔Di の中での電極指幅の和(Li
+Li+1 )と電極指間の間隙長Si との各組み合わせの
場合について示している。縦軸は電極指間の遅延時間τ
i を示している。電気機械結合計数k2 は4.9%とし
た。黒い四角は従来この種の弾性波素子で実現可能な値
であり、白い四角はこの発明の実施例2の弾性波素子に
て実現可能な値である。
【0083】図3、図4でも示したように、この発明の
第2の実施例に係る弾性波素子では、電極指配列間隔D
i を最小寸法単位をQとしたときに、0.5Q間隔で設
定することが可能である。さらに、この発明の第1の実
施例に係る弾性波素子でも示したように、電極指におけ
る弾性波の伝搬速度と、電極指間の間隙における弾性波
の伝搬速度が異なるために、電極指幅の和(Li +L
i+1 )と電極指間の間隙長Si との比率を変えることに
より遅延時間τi を僅かずつ変化させることができる。
この僅かな変化を利用することにより、すだれ状電極1
内での電極指配列間隔Di の変化を従来のこの種の弾性
波素子よりもより連続的に変化させることが可能であ
る。例えば、電極指配列間隔Di が7Qのときは、電極
指幅の和(Li +Li+1 )を6、電極指間の間隙長Si
を1とすることにより、電極指配列間隔Di が7Qのと
きに最も遅延時間τi が長くなるようにし、電極指配列
間隔Di が7.5Qのときは、電極指幅の和(Li +L
i+1 )を1.5、電極指間の間隙長Si を6.5とする
ことにより、電極指配列間隔Di が7.5Qのときに最
も遅延時間τi が短くなるように設定することにより、
図5に示すように、遅延時間差を0.39Q/V2 とす
ることができる。従来のこの種の弾性波素子では、遅延
時間τi の差は2.03Q/V2 であるから、この発明
の実施例2の弾性波素子では、はるかに小さい遅延時間
差を実現できるように、電極指2を配列することが可能
である。
【0084】実施例3.図6は、この発明の第3の実施
例に係る弾性波素子のすだれ状電極1の一部を示す図で
ある。図中、2は電極指であり、破線は最小単位Qの整
数倍となる寸法位置である。各電極指2は、配列間隔D
i で配列されている。
【0085】図6に示したこの発明の第3の実施例に係
る弾性波素子は、最小寸法単位Qがあるために電極指配
列間隔Di が同じ値を連続してしまうような領域11に
おいて、電極指幅Li を乱数的に変化させている。電極
指幅Li と電極指間の間隙長Si との比率を変化させる
と、図5にて一例を示したように、電極指間の遅延時間
τi を変化させることができる。電極指間の遅延時間τ
i を乱数的に変化させることにより、各交差部での中心
周波数fi も乱数的に変化する。各交差部の変換効率の
和は、中心周波数fi が乱数的に変化した特性の和であ
り、変換効率が最大となる周波数が全て重なることがな
くなる。その結果、電極指間の遅延時間τi が同じ交差
部が連続する場合よりも、各交差部の変換効率の和の帯
域幅が広くなり、隣合う交差部との変換効率の重なりが
なめらかになり、すだれ状電極1の特性に生じるリップ
ルを小さくすることができ、良好な特性の弾性波素子を
得ることができる。
【0086】実施例4.図7は、この発明の第4の実施
例に係る弾性波素子の動作を説明する図である。図中、
18は電極指幅を部分的に変化させた段付き電極指であ
り、19は電極指幅の太い部分でありその電極指幅をM
i とし、20は電極指幅の細い部分でありその電極指幅
をLi とする。W0 は電極指18の交差する部分の長さ
である。図7にて、破線は最小寸法単位Qの整数倍の位
置を示すものとする。
【0087】電極指18間での特性は、電極指配列間隔
i を弾性波が伝搬する遅延時間τi で決まる。電極指
18の部分での伝搬速度と、電極指間の間隙での伝搬速
度は僅かに異なるから、電極指幅の細い部分20での遅
延時間と、電極指幅の太い部分19での遅延時間は異な
る値を有する。同じ電極指18に、電極指幅の細い部分
20と電極指幅の太い部分19とがある場合には、各電
極指18はそれぞれ同じ電位であるから、等価的に、電
極指幅の細い部分20と同じ電極指幅Li の電極指から
なる交差部と、電極指幅の太い部分19と同じ電極指幅
i の電極指からなる交差部が電気的に並列接続されて
いるとみなすことができる。すなわち、上記交差部の特
性は、電極指幅の細い部分20と同じ電極指幅Li の電
極指からなる交差部の特性と、電極指幅の太い部分19
と同じ電極指幅Mi の電極指からなる交差部の特性との
和とみなすことができる。したがって、各交差部につい
て、電極指幅の細い部分20が交差している部分の交差
幅の和と、電極指幅の太い部分19が交差している部分
の交差幅の和との比率によって、交差部の特性を変化さ
せることができ、電極指配列間隔Di が同じでも、等価
的に、異なる遅延時間の交差部を得ることができ、しか
も、交差幅W0 は、各電極指幅に比べて通常かなり大き
いから、電極指幅の細い部分20と太い部分19の比率
はほぼ連続的に設定することができるため、ある電極指
配列間隔Di のときに、電極指幅を限界まで細くした場
合の遅延時間から、電極指幅を限界まで太くした場合の
遅延時間までの間を、ほぼ連続的に設定することができ
る。その結果、リップルの少ない良好な特性の弾性波素
子を得ることができる。
【0088】実施例5.図8は、この発明の実施例5に
係る弾性波素子を示す図である。図中、電極指番号をi
とし、電極指番号が大きいほど、電極指幅の太い部分1
9に対する電極指幅の細い部分20の比率が大きくなっ
ている。破線は、最小寸法単位Qの整数倍の位置を示す
ものとし、電極指iからi+2までは、幅4Qの電極指
18の一部が太くなっており、電極指i+4は、幅4Q
の電極指の一部が細くなっている。
【0089】電極指幅の細い電極指からなる交差部は、
電極指幅の太い電極指18からなる交差部よりも、電極
指配列間隔Di を伝搬するときの遅延時間τi が小さ
い。すなわち、中心周波数fi が高くなる。したがっ
て、電極指幅の太い部分19に対する電極指幅の細い部
分20の比率が大きい方が、中心周波数が高くなる。図
8に示したこの発明の実施例5に係る弾性波素子の一例
では、電極指番号iが大きいほど、電極指幅の太い部分
19に対する電極指幅の細い部分20の比率が大きくな
っているので、電極指番号iが大きくなるのにしたがっ
て、各交差部での中心周波数fi が高くなっている。し
たがって、電極指番号iが大きくなるのにしたがって、
電極指配列間隔が小さくなっているようなすだれ状電極
1の一部、あるいは、全部に、図8に示したような電極
指番号iが大きいほど、電極指幅の太い部分19に対す
る電極指幅の細い部分20の比率が大きくなっている電
極指18を用いることにより、同じ値の電極指配列間隔
が連続する部位11でも、中心周波数を変化させること
ができ、リップルの少ない良好な弾性波素子を得ること
ができる。
【0090】実施例6.図9は、この発明の実施例6に
係る弾性波素子を示す図である。図中、電極指番号をi
とし、電極指18によって、電極指幅の太い部分19に
対する電極指幅の細い部分20の比率を乱数的に変化さ
せている。破線は、最小寸法単位Qの整数倍の位置を示
す。
【0091】電極指幅の太い部分19に対する電極指幅
の細い部分20の比率を変化させると、電極指間の遅延
時間τi を変化させることができる。電極指間の遅延時
間τi を乱数的に変化させることにより、各交差部での
中心周波数fi が乱数的に変化する。各交差部の変換効
率の和は、中心周波数fi が乱数的に変化した特性の和
であり、変換効率が最大となる周波数が全て重なること
がなくなる。その結果、電極指間の遅延時間τi が同じ
交差部が連続する場合よりも、各交差部の変換効率の和
の帯域幅が広くなり、隣合う交差部との変換効率の重な
りがなめらかになり、すだれ状電極1の特性に生じるリ
ップルを小さくすることができ、良好な特性の弾性波素
子を得ることができる。
【0092】実施例7.図10、および、図11は、こ
の発明の実施例7に係る弾性波阻止を示す図である。図
10はこの発明の実施例7に係る弾性波素子の上面図、
図11は、図10に示したA−B間の断面図である。図
中、21は圧電体基板であり、22は分散性を有する非
圧電性の薄膜である。入力側すだれ状電極1aは、出力
側すだれ状電極1bに近くなるのにしたがって、電極指
配列間隔が大きくなり、出力側すだれ状電極1bは入力
側すだれ状電極1aと対称な形をしている。このため、
図10、および、図11に示した弾性波素子は、周波数
が高くなるのにしたがって遅延時間が大きくなる特性を
示す。図12は、図11に示した非圧電性薄膜22と圧
電基板21とからなる薄膜構成における弾性波の分散特
性を示す図である。図中、横軸は周波数であり、縦軸は
弾性波の伝搬速度である。薄膜22を有する場合には、
文献(以下、文献乙とする)“弾性表面波工学”、電子
通信学会発行、1985年6月、pp.82−90に示
されているように、周波数が高くなると、伝搬速度が小
さくなる特性となる。周波数に対する伝搬速度の値は、
使用する基板21材料や薄膜22材料、および、薄膜の
厚み等により決まる。
【0093】図12に示すように、周波数fが高くなる
のにしたがって伝搬速度Vが小さくなるから、入出力す
だれ状電極1間の伝搬路でも周波数が高くなるのにした
がって遅延時間が大きくなる特性をもつので、すだれ状
電極1内で実現すべき遅延時間差は、上記伝搬路での遅
延時間差を差し引いたものになる。すなわち、すだれ状
電極1内にて、周波数がΔf変化したときの遅延時間の
変化量をΔτIDT とし、目標値をΔτとし、上記入出力
すだれ状電極1間の伝搬路での遅延時間の変化量をΔτ
dly とすると、式16の関係になる。
【0094】 ΔτIDT =Δτ−Δτdly …(式16) 従来のこの種の弾性波素子では、入出力すだれ状電極1
間の伝搬路では周波数による遅延時間差はないから、こ
の発明の実施例7に係る弾性波素子のすだれ状電極1
は、上記伝搬路での遅延時間変化量Δτdly を引いた分
だけ、遅延時間変化量ΔτIDT を小さくすることができ
る。すだれ状電極1での遅延時間変化量ΔτIDT を小さ
くするということは、すだれ状電極1の電極指数を少な
くすることができることであり、隣合う各交差部間での
電極指配列間隔差が大きくなり、最小寸法単位Qがあっ
ても同じ電極指配列間隔が連続するのを防ぐことができ
る。その結果、従来のこの種の弾性波素子では、すだれ
状電極1の電極指数が多くなりすぎて、高周波数を励振
する領域で同じ電極指配列間隔が連続してしまうような
場合でも、同じ電極指配列間隔が連続してしまう領域の
範囲を小さくできるため、リップルの発生を低く抑える
ことができる。さらに、同じ電極指配列間隔が連続する
領域でも、遅延時間は周波数によって変化するから、従
来のこの種の弾性波素子よりも良好な遅延時間特性を実
現できる。
【0095】実施例8.図13、図14は、この発明の
実施例8に係る弾性波素子を示す図である。図13はこ
の発明の実施例8に係る弾性波素子の上面図、図14
は、図13に示したA−B間の断面図である。図中、2
1は圧電基板であり、22は分散性を有する“非圧電
性”の薄膜である。入力側すだれ状電極1aは、出力側
すだれ状電極1bに近くなるのにしたがって、電極指配
列間隔が小さくなり、出力側すだれ状電極1bは入力側
すだれ状電極1aと対称な形をしている。このため、図
13、および、図14に示した弾性波素子は、周波数が
高くなるのにしたがって遅延時間が小さくなる特性を示
す。圧電基板21と非圧電性薄膜22からなる伝搬路の
特性は、図12に示したような、周波数が高くなると伝
搬速度が小さくなる特性である。
【0096】図13、および、図14に示した弾性波素
子は、周波数が高くなると遅延時間が小さくなる特性だ
から、周波数を変化させた場合のすだれ状電極1の遅延
時間差ΔτIDT は、弾性波素子に要求される遅延時間差
Δτに、入出力すだれ状電極1間の伝搬路での遅延時間
差Δτdly を加えたものになる。この発明の実施例8に
係る弾性波素子のすだれ状電極1は、上記伝搬路での遅
延時間変化量Δτdlyを加えた分だけ、遅延時間変化量
ΔτIDT を大きくすることができる。すだれ状電極1で
の遅延時間変化量ΔτIDT を大きくするということは、
すだれ状電極1の数を多くすることができることであ
り、隣合う電極指配列間隔差を小さくして、各交差部の
特性がなめらかに変化するようにできる。その結果、従
来のこの種の弾性波素子では、すだれ状電極1の電極指
数が少なくなりすぎて、隣合う電極隣合う電極指配列間
隔差を小さくして、各交差部の特性がなめらかに変化す
るようにできるため、リップルの発生を低く抑えること
ができる。
【0097】実施例9.図15、および、図16は、こ
の発明の実施例9に係る弾性波素子を示す図である。図
15はこの発明の実施例7に係る弾性波素子の上面図、
図16は、図15に示したA−B間の断面図である。図
中、23は非圧電性の基板であり、24は分散性を有す
る“圧電性”の薄膜である。入力側すだれ状電極1a
は、出力側すだれ状電極1bに近くなるのにしたがっ
て、電極指配列間隔が大きくなり、出力側すだれ状電極
1bは入力側すだれ状電極1aと対称な形をしている。
このため、図15、および、図16に示した弾性波素子
は、周波数が高くなるのにしたがって遅延時間が大きく
なる特性を示す。図16に示した圧電性薄膜24と非圧
電性の基板23とからなる薄膜構成における弾性波の分
散特性は、文献(以下、文献丙とする)“弾性表面波工
学”、電子通信学会発行、1985年6月、pp.69
−74に示されているように、周波数が高くなると、伝
搬速度が小さくなる特性となり、図12に示したような
特性である。周波数に対する伝搬速度の値は、使用する
基板23材料や薄膜24材料、および、薄膜の厚み等に
より決まる。
【0098】この発明の実施例9に係る弾性波素子のす
だれ状電極1は、従来のこの種の弾性波素子に比べ、入
出力すだれ状電極1間の伝搬路での遅延時間変化量Δτ
dlyを引いた分だけ、すだれ状電極1の遅延時間変化量
ΔτIDT を小さくすることができる。すだれ状電極1で
の遅延時間変化量ΔτIDT を小さくするということは、
すだれ状電極1の電極指数を少なくることができること
であり、隣合う各交差部間での電極指配列間隔差が大き
くなり、最小寸法単位Qがあっても同じ電極指配列間隔
が連続するのを防ぐことができる。その結果、従来のこ
の種の弾性波素子では、すだれ状電極1の電極指数が多
くなりすぎて、高周波数を励振する領域で同じ電極指配
列間隔が連続してしまうような場合でも、同じ電極指配
列間隔が連続してしまう領域の範囲を小さくできるた
め、リップルの発生を低く抑えることができる。さら
に、同じ電極指配列間隔が連続する領域でも、遅延時間
は周波数によって変化するから、従来のこの種の弾性波
素子よりも良好な遅延時間特性を実現できる。
【0099】実施例10.図17、および、図18は、
この発明の実施例10に係る弾性波素子を示す図であ
る。図17はこの発明の実施例10に係る弾性波素子の
上面図、図18は、図17に示したA−B間の断面図で
ある。図中、23は非圧電性の基板であり、24は分散
性を有する“圧電性”の薄膜である。入力側すだれ状電
極1aは、出力側すだれ状電極1bに近くなるのにした
がって、電極指配列間隔が小さくなり、出力側すだれ状
電極1bは入力側すだれ状電極1aと対称な形をしてい
る。このため、図17、および、図18に示した弾性波
素子は、周波数が高くなるのにしたがって遅延時間が小
さくなる特性を示す。非圧電性の基板23と圧電性薄膜
24からなる伝搬路の特性は、図12に示したような、
周波数が高くなると伝搬速度が小さくなる特性である。
【0100】図17、および、図18に示した弾性波素
子は、周波数が高くなると遅延時間が小さくなる特性だ
から、周波数を変化させた場合のすだれ状電極1の遅延
時間差ΔτIDT は、弾性波素子に要求される遅延時間差
Δτに、入出力すだれ状電極1間の伝送路での遅延時間
差Δτdly を加えたものになる。この発明の実施例10
に係る弾性波素子のすだれ状電極1は、上記伝送路での
遅延時間変化量Δτdl y を加えた分だけ、遅延時間変化
寮ΔτIDT を大きくすることができる。すだれ状電極1
の電極指数を多くすることができることであり、隣合う
電極指配列間隔差を小さくして、各交差の特性がなめら
かに変化するようにできる。その結果、従来のこの種の
弾性波素子では、すだれ状電極1の電極指数が少なくな
りすぎて、隣合う電極隣合う電極指配列間隔差を小さく
して、各交差部の特性がなめらかに変化するようにでき
るため、リップルの発生を低く抑えることができる。
【0101】実施例11.図19は、この発明の実施例
11に係る弾性波素子を示す図である。図中、25は屈
折補正を行う取り出し電極3bの端面、26は弾性波の
波面に垂直な方向、27は屈折補正を行う取り出し電極
端面25の接線である。電極指2と内側の取り出し電極
3bとの境界面15は、弾性波の伝搬方向に対して、角
度θIDT の傾斜を有している。図20は、斜め入射した
弾性波が、電極指2交差部にて受信されるときの動作を
説明するための図である。図中、28は弾性波の波面で
あり、波長λの2分の1間隔にて示している。波面28
の垂線26は、伝搬方向であるX軸と角度θの傾斜を有
している。29はすだれ状電極状電極1の交差部を線波
源として示しており、この線波源29に沿って弾性波の
ポテンシャルを積分したものが上記線波源29にて受信
する電力に比例する。なお、波面28の垂線26と伝搬
方向であるX軸とのなす角度θは、波面28と線波源2
8とのなす角度と同じである。
【0102】入力側すだれ状電極1aの各電極指2の交
差部にて励振された弾性波は、交差部に垂直な方向に伝
搬し、出力側すだれ状電極1bに達した弾性波は再び出
力側すだれ状電極1bの各電極指2の交差部にて電気信
号に変換される。このとき、電極指2と内側の取り出し
電極3bとの境界面15や、内側の取り出し電極3bの
端面25では、弾性波が斜め入射するために、電極指2
のある領域での伝搬速度VIDT 、取り出し電極3bでの
伝搬速度Vm 、自由表面での伝搬速度Vf の値に応じた
屈折が起きる。通常、屈折により弾性波は伝搬方向を変
えるが、YカットZ伝搬ニオブ酸リチウムのような圧電
材料の中には、伝搬方向は変えずに、弾性波の波面28
のみが向きを変えるものがある。図19にて示す角度θ
1 、θ2、θ3 、θ4 、θ5 、θ6 、θ7 、θ8 は、弾
性波の波面28の垂線と、点B、C、D、Eがある各境
界面の垂線とのなす角度である。これらの角度は、各点
B、C、D、Eにてスネルの法則を満足し、以下の4式
を満足する。
【0103】 sin(θ2 )/sin(θ1 )=Vm /VIDT …(式17) sin(θ4 )/sin(θ3 )=Vf /Vm …(式18) sin(θ6 )/sin(θ5 )=Vm /Vf …(式19) sin(θ8 )/sin(θ7 )=VIDT /Vm …(式20) また、すだれ状電極1と内側の取り出し電極3bとの境
界15の傾斜角θIDT、および、内側取り出し電極端面
25の弾性波の任意の伝搬経路における接線27の傾斜
角θpと、θ1 、θ2 、θ3 、θ4 、θ5 、θ6
θ7 、θ8 との間には、幾何学的に次式の関係がある。
【0104】 θ1 +θIDT =90° …(式21) θ2 −θ3 =θp −θIDT …(式22) θ4 +θ5 +2θp =180° …(式23) θ7 −θ6 =θp −θIDT …(式24) さらに、波面28の垂線と弾性波伝搬方向とのなす角度
θは、角度θ8 との間に式25の関係がある。
【0105】 θ=θ8 +θIDT −90° …(式25) 式17から式25を用いることにより、電極指2と内側
の取り出し電極3bとの境界面15の傾斜角θIDT 、お
よび、内側の取り出し電極端面25の接線の傾斜角θp
を決めれば、一意的に、出力側すだれ状電極1bに達し
た弾性波の波面28と線波源29とのなす角度θが決ま
る。これは、すなわち、電極指2と内側の取り出し電極
3bとの境界面15の傾斜角θIDT 、および、出力側す
だれ状電極1bに達した弾性波の波面28と線波源29
とのなす角度θを決めれば、一意的に、内側の取り出し
電極端面25の接線の傾斜角θp が決まることでもあ
る。従来のこの種の弾性波素子では、出力側すだれ状電
極1bに達した弾性波の波面28と線波源29とのなす
角度θが零となる条件のみを用いていた。
【0106】次に、波面28と線波源29とが角度θを
もつときの影響について説明する。線波源29に平行な
方向をY軸とすると、弾性波のポテンシャルφ(X、
Y)は次式にて与えられる。
【0107】 φ(X,Y)=φ0 j(ωt-k(Xcosθ-Ysin θ)) …(式26) こで、φ0 は伝搬する弾性波の振幅を示し、kは波数を
示すものとする。線波源29での受信電力Pi はφ
(X,Y)を交差幅Wに渡って積分したものだから、式
27の結果を得る。
【0108】
【数3】 ここで、θは式28で与えられる。
【0109】 Θ=(kW/2)sinθ …(式28) すだれ状電極1の受信電力Pは交差部iにおける受信電
力Pi を全交差部について合計した式29となる。
【0110】
【数4】 式29は、式30の条件を満足するときに零となる。こ
れは、弾性波素子の損失が極めて大きくなる零点に相当
する。
【0111】 Θ=(kW/2)sinθ=nπ (nは整数) …(式30) 波数kは、弾性波の伝搬速度VIDT 周波数fとを用い
て、式31の関係があるから、弾性波素子の通過特性に
零点が生じる周波数fは、式32にて与えられる。
【0112】 k=2πf/VIDT …(式31) f=VIDT /(W・sinθ)×n (nは整数) …(式32) 式32より、弾性波の波面28が出力側すだれ状電極1
bに交差幅と角度θの傾斜を有して入射したとき、この
弾性波素子の通過特性は、式32を満足する周波数に零
点を生じる。ここで、弾性波素子の通過帯域の低い方の
周波数をf1 とし、高い方の周波数をf2 とすると、周
波数f2 よりも低い周波数に、上記零点を生じないよう
に、内側の取り出し電極3bの形状を決定することによ
り、弾性波の波面28が交差部に対して傾斜していて
も、その影響を少なくすることができる。
【0113】
【数5】 あるいは、整数nに対して、式34を満足するように内
側の取り出し電極3bの形状を決定することにより、弾
性波素子の通過帯域内に零点が生じないようにできる。
【0114】
【数6】 例えば、通過帯域が500MHzから1GHzの弾性波
素子で、自由表面での伝搬速度Vf を3500(m/s
ec)とし、取り出し電極3bでの伝搬速度Vm を34
14(m/sec)とし、電極指2のある領域での伝搬
速度VIDT を3500と3414の中間の値3457
(m/sec)一定とし、電極指2の交差幅Wを100
μmとし、傾斜角θIDT を30°として、式33の条件
を満足するための取り出し電極端面25の形状を求め
る。式33から、弾性波の波面28の傾斜角θは、式3
5を満足する必要がある。
【0115】
【数7】 一方、θp を変数として式17から式25を用いて、θ
を計算すると図21に示す結果を得る。図中、横軸は取
り出し電極3bの傾斜角θp であり、縦軸は出力側すだ
れ状電極1bに達した弾性波の波面28の傾斜角θであ
る。式35の条件を満足する取り出し電極3bの傾斜角
θp を求めると、 25°<θp <96° …(式36) となる。電極指2と内側の取り出し電極3bとの境界面
15が直線的であり、かつ、電極指2のある領域での伝
搬速度VIDT が一定の場合には、内側の取り出し電極3
bの端面25の形状は直線的となる。内側の取り出し電
極3bの形状を、式36を満足する範囲の傾斜角度θp
を有するようにすることにより、所要の特性の弾性波素
子を得ることができる。
【0116】図22は、電極指2のある領域の弾性波の
伝搬速度VIDT を変えて、θp を変数として式17から
式25を用いて計算した弾性波の波面28の傾斜角度θ
である。計算に用いた数値は、電極指のある領域の弾性
波の伝搬速度VIDT 以外は、図21の場合と同じであ
る。図22から、式35を満足する内側の取り出し電極
の傾斜角度θp の範囲を求めると、 29°<θp <86° …(式37) となる。仮に、電極指2のある領域の弾性波の伝搬速度
IDT のばらつきが3460±10(m/sec)あっ
ても、内側の取り出し電極端面25の形状を、式37を
満足するように設定することにより、弾性波素子は所要
の特性を実現できる。
【0117】実施例12.図23は、この発明の実施例
12に係る弾性波素子を示す図である。図中、30は入
出力すだれ状電極1間に配置したシールド電極であり、
31は弾性波が入射する端面である。各端面31は、弾
性波伝搬方向に対して角度θs の傾斜を有する。角度θ
a 、θb 、θc 、θd は、それぞれ、弾性波の波面28
の垂線26と端面31の垂線とがなす角度である。点
E、Fは、点B、C、D、Eを経て伝搬する弾性波が通
過するシールド電極30の端面31上の点である。
【0118】図23に示すこの発明の実施例12に係る
弾性波素子は、入出力すだれ状電極1間に配置したシー
ルド電極30の端面31での弾性波の屈折を用いて、所
要の特性の弾性波素子を得る。点B、C、D、Eにおけ
る弾性波の屈折の関係式は、式17から式20と同じで
ある。また、式21、22、24、25も同様に成り立
つ。点E、Fでの屈折の関係式、および、角度θa 、θ
b 、θc 、θd と、角度θ4 、θ5 、θs との関係式
は、式38から式42にて求められる。
【0119】 sinθb /sinθa =Vm /Vf …(式38) sinθd /sinθc =Vf /Vm …(式39) θa =θ4 +θp −θs …(式40) θb +θc +2θs =180° …(式41) θ5 =θd +θs −θp …(式42) 式17から式20と式21、22、24、25、およ
び、式38から式42を用いると、図21や図22と同
様に、シールド電極端面31の傾斜角度θs と出力側す
だれ状電極1bに達した弾性波の波面28の傾斜角度θ
との関係を求めることができる。一方、弾性波素子の所
要の特性を得るための条件式は、式33、あるいは、式
34であるから、出力側すだれ状電極1bに達した弾性
波の波面28の傾斜角度θの範囲から、シールド電極端
面31の傾斜角度θs の範囲を決定することができる。
すなわち、式33、あるいは、式34を満足するように
シールド電極端面31の形状を決定することにより、弾
性波の伝搬速度にばらつきが生じても、所要の特性の弾
性波素子を得ることができる。
【0120】次に、変形例について説明する。
【0121】この発明の実施例1から6にて示した弾性
波素子は、全て、電極指2の交差幅が同じであったが、
この発明はこれに限らず、電極指2の交差幅を変化させ
ても効果は同じである。また、この発明の実施例1から
6にて示した弾性波素子は、全て、電極指2を弾性波の
伝搬方向に沿って配列させているが、この発明はこれに
限らず、例えば、図24に示すような電極指2を弾性波
の伝搬方向に垂直な方向にずらしたスラント電極に適用
しても効果は同じである。さらに、この発明の実施例1
から6にて示した弾性波素子は、周波数が高くなるのに
したがって遅延時間が小さくなる場合に適用しても、周
波数が高くなるのにしたがって遅延時間が大きくなる場
合に適用しても、効果は同じである。また、図25に示
すように、入出力すだれ状電極1を同じ方向になるよう
に配列して、周波数によらず遅延時間が一定となるよう
な弾性波素子に適用しても効果は同じである。さらに、
電極指配列間隔Di に対する電極指幅Li の比率を変化
させる領域や、電極指毎に電極指幅を変える領域は、す
だれ状電極1の中で電極指幅の細い領域11に限定され
ることはなく、すだれ状電極1の中の任意の領域に適用
してもよい。
【0122】この発明の実施例7、実施例8に示した弾
性波素子は、圧電基板21上に1層の非圧電性薄膜22
を構成し、上記非圧電性薄膜22の上にすだれ状電極1
を構成しているが、この発明はこれに限らず、図26に
示すように、圧電体基板21と非圧電性薄膜22の境界
にすだれ状電極1を構成しても効果は同じである。さら
に、図27に示すように、圧電体基板21の上に非圧電
性薄膜22を構成し、その上にさらに薄膜32を構成し
てもよい。上記薄膜32は圧電性でも、非圧電性でも効
果は同じである。さらに、図28に示すように、薄膜3
2を例えば、すだれ状電極1の上のみに構成する等の領
域を限定した場合にも適用できる。さらに、上記薄膜3
2は、圧電体基板21と非圧電性薄膜22との間に構成
してもよい。すだれ状電極1の位置は、圧電体基板2
1、非圧電性薄膜22、薄膜32のどの境界、または、
表面に構成してもよい。
【0123】同様に、この発明の実施例9、実施例10
に示した弾性波素子は、非圧電性基板23上に1層の圧
電性薄膜24を構成し、上記圧電性薄膜24の上にすだ
れ状電極1を構成しているが、この発明はこれに限ら
ず、図29に示すように、非圧電性基板23と圧電性薄
膜24の境界にすだれ状電極1を構成しても効果は同じ
である。さらに、図30に示すように、非圧電性基板2
3の上に圧電性薄膜を構成し、その上にさらに薄膜32
を構成してもよい。上記薄膜32は、圧電性でも、非圧
電性でも効果は同じである。さらに、図31に示すよう
に、薄膜32を例えば、すだれ状電極1の上のみに構成
する等の領域を限定した場合にも適用できる。さらに、
上記薄膜32は、非圧電性基板23と圧電性薄膜24と
の間に構成してもよい。すだれ状電極1の位置は、非圧
電性基板23、圧電性薄膜24、薄膜32のどの境界、
または、表面に構成してもよい。
【0124】この発明の実施例11に示した弾性波素子
は、電極指2と内側の取り出し電極3bとの境界15が
直線的であったが、この発明はこれに限らず、例えば、
図32に示すように、電極指2と内側の取り出し電極3
bとの境界15が曲線となる場合にも適用できる。この
場合は、各弾性波の伝搬経路について、電極指2と内側
の取り出し電極3bとの境界15の接線が弾性波伝搬方
向となす角度をθIDTとし、内側の取り出し電極端面2
5の接線27が弾性波伝搬方向となす角度θpを決定す
ればよい。このとき、内側の取り出し電極端面25も曲
線としてもよく、また、式33、あるいは、式34を満
足できれば、図32に示すように、内側の取り出し電極
端面25を直線的に構成してもよい。さらに、図33に
示すように、内側の取り出し電極端面25を複数の領域
に分割し、各領域内を直線的に構成してもよい。さら
に、実施例11では、式33を満足する場合について説
明したが、この発明はこれに限らず、式34を満足する
ように、内側の取り出し電極端面25を決定してもよ
い。さらに、電極指2と内側の取り出し電極3bとの境
界15や内側の取り出し電極端面25の形状を、入力側
すだれ状電極1aと出力側すだれ状電極1bとで変えて
も良い。
【0125】この発明の実施例12に示した弾性波素子
は、電極指2と内側の取り出し電極3bとの境界15、
内側の取り出し電極端面25、シールド電極端面31の
形状が直線的であったが、この発明はこれに限らず、例
えば、図34に示すように、電極指2と内側の取り出し
電極3bとの境界15、内側の取り出し電極端面25、
シールド電極端面31のうち任意の部位の形状が曲線的
でもよい。この場合は、曲線的な形状となっている部位
の接線とのなす角度を用いて、上記曲線的となっている
部位の形状を決定すればよい。さらに、図35に示すよ
うに、シールド電極端面31を複数領域に分割し、分割
した各部位を直線的な構成としてもよい。
【0126】さらに、実施例11、実施例12に示した
弾性波素子は、周波数が高くなるにしたがって遅延時間
が小さくなる構成について示したが、この発明はこれに
限らず、周波数が高くなるにしたがって遅延時間が大き
くなる場合にも適用できる。また、内側の取り出し電極
端面25が弾性波伝搬方向となす角度や、シールド電極
端面31が弾性波伝搬方向となす角度は、鋭角である場
合について示したが、鈍角である場合でもよい。これら
の角度条件は、式33、および、式34の結果による。
さらに、内側の取り出し電極端面25とシールド電極端
面31の両方の形状によって、出力側すだれ状電極1b
に達した弾性波の波面を制御してもよい。
【0127】実施例2、および、実施例11、実施例1
2に示した弾性波素子は、ニオブ酸リチウム基板の場合
について示したが、この発明はこれに限らず、電極指配
列間隔Di に対する電極指幅Li の比率を変えたり、電
極指毎に電極指幅を変える領域を有する構成のすだれ状
電極1は、任意の基板材料、および、薄膜構成の材料に
適用でき、内側の取り出し電極端面25やシールド電極
端面のみが傾斜し、弾性波伝搬方向がほとんど変化しな
い基板材料や薄膜構成の材料であれば、同様に適用でき
る。
【0128】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、す
だれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部
あるいは全体に、上記電極指幅と隣合う電極指の間隙長
との比率を変えた領域を有するようにした。このため、
同じ中心周波数の交差部が連続するのを防ぎ、所要の特
性を有する弾性波素子を得ることができる。
【0129】以上のように、第2の発明によれば、すだ
れ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部あ
るいは全体に、すだれ状電極の電極指配列間隔が徐々に
小さくなる電極指順序の方向に、隣合う電極指の間隙長
に対する上記電極指幅の比率を徐々に小さくした、この
ため、電極指配列間隔が同じ部分の中心周波数を徐々に
高くすることができ、同じ中心周波数の交差部が連続す
るのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波素子を得ること
ができる。
【0130】以上のように、第3の発明によれば、すだ
れ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部あ
るいは全体に、隣合う電極指の間隙長に対する上記電極
指幅の比率を乱数的に変化させた。このため、隣合う電
極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率を乱数的に変
化させることにより、同じ中心周波数の交差部が連続す
るのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波素子を得ること
ができる。
【0131】以上のように、第4の発明によれば、すだ
れ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部あ
るいは全体に、隣合う電極指の間隙長に対する上記電極
指幅の比率が変化する段付き電極指を有するようにし
た。このため、隣合う電極指の間隙長に対する上記電極
指幅の比率が変化する段付き電極指を用いることによ
り、同じ中心周波数の交差部が連続するのを防ぎ、所要
の特性を有する弾性波素子を得ることができる。
【0132】以上のように、第5の発明によれば、すだ
れ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部あ
るいは全体に、隣合う電極指の間隙長に対する上記電極
指幅の比率が変化する段付き電極指を有し、すだれ状電
極の電極指配列間隔が徐々に小さくなる電極指順序の方
向に、上記各電極指における隣合う電極指の間隙長に対
する上記電極指幅の比率の大きい領域の交差幅方向の長
さの合計に対して、上記隣合う電極指の間隙長に対する
上記電極指幅の比率の小さい領域の交差幅方向の長さの
合計の比率を、徐々に大きくした。このため、上記各電
極指における隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指
幅の比率の大きい領域の交差幅方向の長さの合計と上記
隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率の小
さい領域の交差幅方向の長さの合計との比率を、徐々に
小さくすることにより、等価的に、中心周波数が徐々に
高くなる。この結果、同じ中心周波数の交差部が連続す
るのを防ぎ、所要の特性を有する弾性波素子を得ること
ができる。
【0133】以上のように、第6の発明によれば、すだ
れ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位の一部あ
るいは全体に、隣合う電極指の間隙長に対する上記電極
指幅の比率が変化する段付き電極指を有し、上記各電極
指における隣合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅
の比率の大きい領域の交差幅方向の長さの合計と上記隣
合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比率の小さ
い領域の交差幅方向の長さの合計との比率を、乱数的に
変化させた。このため、隣合う電極指の間隙長に対する
上記電極指幅の比率が乱数的に変化する電極指を用いる
ことにより、同じ中心周波数の交差部が連続するのを防
ぎ、所要の特性を有する弾性波素子を得ることができ
る。
【0134】以上のように、第7の発明によれば、圧電
体基板表面に弾性波が分散特性を有する非圧電性の薄膜
を少なくとも1層以上構成し、上記薄膜のうちの任意の
薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記圧電体基板との境界
面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだれ状
電極を設けた。このため、所要の特性を実現するのに必
要なすだれ状電極の電極指数が、少なすぎたり、多すぎ
たりして良好な特性を実現できない場合でも、薄膜の分
散特性を利用することにより、弾性波素子の分散特性を
すだれ状電極と薄膜の分散特性の両方で分担することに
より、所要の特性を有する弾性波素子を得ることができ
る。さらに、電極指の最小寸法単位によって同じ交差部
が連続する場合でも、薄膜の分散特性によって、群遅延
特性は周波数によって変化させることが可能なため、群
遅延時間のリップルを低減した弾性波素子を得ることが
できる。
【0135】以上のように、第8の発明によれば、圧電
体基板表面に弾性波が分散特性を有する非圧電性の薄膜
を少なくとも1層以上構成し、上記薄膜のうちの任意の
薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記圧電体基板との境界
面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだれ状
電極を設け、分散性のない圧電体基板上に構成した場合
よりも、上記すだれ状電極の電極指数が少なくなるよう
にした。このため、周波数が高い交差部において、隣合
う交差部間での所要の交差部の特性の差の値を大きくす
ることができ、電極指寸法に最小寸法単位があっても、
同じ交差部が連続するのを防ぎ、所要の特性を有する弾
性波素子を得ることができる。
【0136】以上のように、第9の発明によれば、圧電
体基板表面に弾性波が分散特性を有する非圧電性の薄膜
を少なくとも1層以上構成し、上記薄膜のうちの任意の
薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記圧電体基板との境界
面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだれ状
電極を設け、分散性のない圧電体基板上に構成した場合
よりも、上記すだれ状電極の電極指数が多くなるように
した。このため、電極指数が少ないことにより、隣合う
電極指配列間隔の変化量が大きくなり、なめらかな分散
特性を実現できなくなるのを防ぎ、所要の特性を有する
弾性波素子を得ることができる。
【0137】以上のように、第10の発明によれば、非
圧電体基板表面に弾性波が分散特性を有する圧電性の薄
膜を少なくとも一層以上構成し、上記薄膜のうちの任意
の薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記非圧電体基板との
境界面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだ
れ状電極を設けた、このため、所要の特性を実現するの
に必要なすだれ状電極の電極指数が、少なすぎたり、多
すぎたりして良好な特性を実現できない場合でも、薄膜
の分散特性を利用することにより、弾性波素子の分散特
性をすだれ状電極と薄膜の分散特性の両方で分担するこ
とにより、所要の特性を有する弾性波素子を得ることが
できる。さらに、電極指の最小寸法単位によって同じ交
差部が連続する場合でも、薄膜の分散特性によって、群
遅延特性は周波数によって変化させることが可能なた
め、群遅延時間のリップルを低減した弾性波素子を得る
ことができる。
【0138】以上のように、第11の発明によれば、非
圧電体基板表面に弾性波が分散特性を有する圧電性の薄
膜を少なくとも1層以上構成し、上記薄膜のうちの任意
の薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記非圧電体基板との
境界面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだ
れ状電極を設け、分散性のない圧電体基板上に構成した
場合よりも、上記すだれ状電極の電極指数が少なくなる
ようにした。このため、周波数が高い交差部において、
隣合う交差部間での所要の電極指配列間隔差の値を大き
くすることができ、電極指寸法に最小寸法単位があって
も、同じ交差部が連続するのを防ぎ、所要の特性を有す
る弾性波素子を得ることができる。
【0139】以上のように、第12の発明によれば、非
圧電体基板表面に弾性波が分散特性を有する圧電性の薄
膜を少なくとも1層以上構成し、上記薄膜のうちの任意
の薄膜の表面あるいは上記薄膜と上記非圧電体基板との
境界面に、電極指配列間隔を徐々に変化させた上記すだ
れ状電極を設け、分散性のない圧電体基板上に構成した
場合よりも、上記すだれ状電極の電極指数が多くなるよ
うにした。このため、電極指数が少ないことにより、隣
合う交差特性の変化量が大きくなり、なめらかな分散特
性を実現できなくなるのを防ぎ、所要の特性を有する弾
性波素子を得ることができる。
【0140】以上のように、第13の発明によれば、弾
性波素子の通過帯域の下限周波数をf1 、上限周波数を
2 とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW
0 とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をV
IDT とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が
出力側すだれ状電極に達したときの出力側すだれ状電極
の電極指と上記弾性波の波面とのなす角度をθとしたと
きに、式9で示される条件か、あるいは、nを整数とし
て、式10で示される条件を満足するように、取り出し
電極端面の形状を定めた。このため、弾性波の伝搬速度
が材料によってばらつきを持っていても、そのばらつき
の範囲に対応した上記取り出し電極の形状を適切に決定
することにより、所要の特性を有する弾性波素子を得る
ことができる。
【0141】以上のように、第14の発明によれば、弾
性波素子の通過帯域の下限周波数をf1 、上限周波数を
2 とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅をW
0 とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をV
IDT とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が
出力側すだれ状電極に達したときの出力側すだれ状電極
の電極指と上記弾性波の波面とのなす角度をθとしたき
とに、式9で示される条件か、あるいは、nを整数とし
て、式10で示される条件を満足するように、上記シー
ルド電極の形状を定めた。このため、弾性波の伝搬速度
が材料によってばらつきを持っていても、そのばらつき
の範囲に対応した上記シールド電極の形状を適切に決定
することにより、所要の特性を有する弾性波素子を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】図1に示した弾性波素子の電極指の一部を示す
図である。
【図3】この発明の第2の実施例の弾性波素子の電極指
幅、電極指間の間隙、電極指配列間隔を示す図である。
【図4】この発明の第2の実施例の弾性波素子の電極指
配列間隔を示す図である。
【図5】この発明の第2の実施例の弾性波素子の遅延時
間の一例を示す図である。
【図6】この発明の第3の実施例のすだれ状電極の一部
を示す図である。
【図7】この発明の第4の実施例の弾性波素子の動作を
説明する図である。
【図8】この発明の第5の実施例のすだれ状電極の一部
を示す図である。
【図9】この発明の第6の実施例のすだれ状電極の一部
を示す図である。
【図10】この発明の第7の実施例を示す上面図であ
る。
【図11】図10に示した弾性波素子の断面を示す図で
ある。
【図12】薄膜構成における弾性波の分散特性を示す図
である。
【図13】この発明の第8の実施例を示す上面図であ
る。
【図14】図13に示した弾性波素子の断面を示す図で
ある。
【図15】この発明の第9の実施例を示す上面図であ
る。
【図16】図15に示した弾性波素子の断面を示す図で
ある。
【図17】この発明の第10の実施例を示す上面図であ
る。
【図18】図17に示した弾性波素子の断面を示す図で
ある。
【図19】この発明の第11の実施例を示す図である。
【図20】波面が傾斜した弾性波が交差部で受信される
ときの動作を説明する図である。
【図21】内側の取り出し電極端面の傾斜角度と出力側
すだれ状電極に達した弾性波の波面の傾斜角度との関係
の計算結果を示す図である。
【図22】電極指のある領域の弾性波の伝搬速度を変え
た場合の内側の取り出し電極端面の傾斜角度と出力側す
だれ状電極に達した弾性波の波面の傾斜角度との関係の
計算結果を示す図である。
【図23】この発明の第12の実施例を示す図である。
【図24】この発明の他の実施例を示す図である。
【図25】この発明の他の実施例を示す図である。
【図26】この発明の他の実施例を示す図である。
【図27】この発明の他の実施例を示す図である。
【図28】この発明の他の実施例を示す図である。
【図29】この発明の他の実施例を示す図である。
【図30】この発明の他の実施例を示す図である。
【図31】この発明の他の実施例を示す図である。
【図32】この発明の他の実施例を示す図である。
【図33】この発明の他の実施例を示す図である。
【図34】この発明の他の実施例を示す図である。
【図35】この発明の他の実施例を示す図である。
【図36】従来のこの種の弾性波素子を示す図である。
【図37】図36に示した出力側すだれ状電極の交差部
の位置と各交差部における中心周波数を示す図である。
【図38】図37に示した出力側すだれ状電極の交差部
の位置と各電極指の電極指配列間隔を示す図である。
【図39】図37に示した各電極指の電極指配列間隔
に、最小寸法単位を設定した場合の電極指配列間隔を示
す図である。
【図40】電極指配列間隔を徐々に変化させた場合のす
だれ状電極の変換効率を示す図である。
【図41】同じ電極指配列間隔が連続する交差部がある
場合のすだれ状電極の変換効率を示す図である。
【図42】電極指配列間隔が徐々に変化する弾性波素子
の通過特性の一例を示す図である。
【図43】同じ電極指配列間隔が連続する交差部がある
弾性波素子を示す図である。
【図44】同じ電極指配列間隔が連続する交差部がある
弾性波素子通過特性の一例を示す図である。
【図45】従来のこの種の弾性波素子の電極指を示す図
である。
【図46】従来のこの種の弾性波素子の電極指を示す図
である。
【図47】従来のこの種の弾性波素子の電極指を示す図
である。
【図48】従来のこの種の弾性波素子の電極指を示す図
である。
【図49】電極指配列間隔を変化させた時の電極指幅、
電極指間の間隙長、電極指配列間隔の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 すだれ状電極 2 電極指 3 取り出し電極 3a 外側の取り出し電極 3b 内側の取り出し電極 4 電気端子 5 接地端子 21 圧電基板 22 非圧電性の薄膜 23 非圧電性の基板 24 圧電性の薄膜 30 シールド電極 31 シールド電極端面 32 薄膜 33 電極指のある領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和高 修三 神奈川県鎌倉市大船五丁目1番1号 三 菱電機株式会社 電子システム研究所内 (56)参考文献 特開 平5−48373(JP,A) 特開 平3−132208(JP,A) 特開 昭56−4916(JP,A) 実公 昭61−34755(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/145 H03H 9/44

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気信号と弾性波との交換を行うすだれ
    状電極の少なくとも一つ以上に、電極指配列間隔を徐々
    に変化させた構成を有する弾性波素子において、 すだれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位に
    前記すだれ状電極の電極指配列間隔が徐々に小さくなる
    領域と、電極指配列間隔が一定の領域と、を有し、 当該電極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指間
    の間隙長に対する上記電極指幅の比率を徐々に小さく
    し、電極指幅と間隙長との双方が異なる領域を設け、 前記隣り合う電極指間の間隙長に対する上記電極指幅の
    比率が小さくなる方向は、前記すだれ状電極の電極指配
    列間隔が徐々に小さくなる電極指順序の方向である こと
    を特徴とする弾性波素子。
  2. 【請求項2】 電気信号と弾性波との交換を行うすだれ
    状電極の少なくとも一つ以上に、電極指配列間隔を徐々
    に変化させた構成を有する弾性波素子において、 すだれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のう
    ち、電極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の
    間隙長に対する上記電極指幅の比率を乱数的に変化させ
    て、電極指幅と、互いに隣り合う電極指間の間隙長との
    双方が異なるようにした領域を少なくとも一つ設けたこ
    とを特徴とする弾性波素子。
  3. 【請求項3】 電気信号と弾性波との変換を行うすだれ
    状電極の少なくとも一つ以上に、電極指配列間隔を徐々
    に変化させた構成を有する弾性波素子において、 すだれ状電極の電位の異なる電極指が交差する部位のう
    ち、電極指配列間隔が一定の領域に、隣り合う電極指の
    間隙長に対する上記電極指幅の比率が変化する段付き電
    極指を有する領域を少なくとも一つ設け、電極指幅と、
    互いに隣り合う電極指間の間隙長との双方が異なるよう
    にした領域を少なくとも一つ設けたことを特徴とする弾
    性波素子。
  4. 【請求項4】 前記すだれ状電極の電極指配列間隔が徐
    々に小さくなる電極指順序の方向に、上記各電極指にお
    ける隣り合う電極指の間隙長に対する上記電極指幅の比
    率の大きい領域の交差幅の方向の長さの合計に対して、
    上記電極指間の間隙長に対する上記電極指幅の比率の小
    さい領域の交差幅方向の長さの合計の比率を、徐々に大
    きくした領域を少なくとも一つ設けたことを特徴とする
    請求項4記載の弾性波素子。
  5. 【請求項5】 上記各電極指における電極間の間隙長に
    対する上記電極幅の比率の小さい領域の交差幅方向の長
    さの合計の比率を、乱数的に変化させた領域を少なくと
    も一つ設けたことを特徴とする請求項4記載の弾性波素
    子。
  6. 【請求項6】 任意の弾性波伝搬径路上の弾性波が横切
    る電極指数を低減するために前記電極指を弾性波伝搬方
    向と垂直な方向にずらすスラント電極を入出力電極のう
    ちの少なくとも一つ以上用い、 弾性波素子の通過帯域の下限周波数をf1 、上限周波数
    をf2 とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅を
    0 とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をV
    IDT とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が
    出力側すだれ状電極の電極指と上記弾性波の波面とのな
    す角度をθとしたときに、 f2 < VIDT /(W0 ・sinθ) あるいは、nを整数として、 f2 /n < VIDT /(W0 ・sinθ) < f1 /(n−1) を満足するように、上記取出し電極の対向する電極側の
    形状を定めたことを特徴とする請求項1から5のいずれ
    かに記載の弾性波素子。
  7. 【請求項7】 任意の弾性波伝搬径路上の弾性波が横切
    る電極指数を低減するために前記電極指を弾性波伝搬方
    向と垂直な方向にずらすスラント電極を入出力電極のう
    ちの少なくとも一つ以上用い、 弾性波素子の通過帯域の下限周波数をf1 、上限周波数
    をf2 とし、上記弾性波素子のすだれ状電極の交差幅を
    0 とし、すだれ状電極における弾性波の伝搬速度をV
    IDT とし、入力側すだれ状電極にて励振された弾性波が
    出力側すだれ状で電極に達したときの出力側すだれ状電
    極の電極指と上記弾性波の波面とのなす角をθとしたと
    きに、 f2 < VIDT /(W0 ・sinθ) あるいは、nを整数として、 f2 /n < VIDT /(W0 ・sinθ) < f1 /(n−1) を満足するように、上記シールド電極の形状を定めたこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の弾性
    波素子。
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