JP3304805B2 - 耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金 - Google Patents

耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金

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JP3304805B2
JP3304805B2 JP04877297A JP4877297A JP3304805B2 JP 3304805 B2 JP3304805 B2 JP 3304805B2 JP 04877297 A JP04877297 A JP 04877297A JP 4877297 A JP4877297 A JP 4877297A JP 3304805 B2 JP3304805 B2 JP 3304805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた
鉄基焼結合金に関する。本発明は、例えば、内燃機関に
使用されるバルブシ−ト用焼結合金に適用できる。
【0002】
【従来の技術】耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金の従来技
術について、バルブシ−ト用焼結合金を例にとって説明
する。従来のバルブシ−ト用焼結合金としては、Fe−
C−Co−Ni基材料、Fe−C基材料に、耐摩耗性の
向上を狙ってフェロモリブデン(FeMo)、フェロク
ロム(FeCr)等の金属間化合物を添加したり、また
は、Fe−Cr−Mo−V−C合金、Co−Mo−Cr
−Si合金等を添加したりした材料が知られている(特
開昭56−154110号公報)。
【0003】また、Fe−Co−C系基地中に、(Mo
+ε)、(α+ε)相からなる硬質粒子を分散させ、更
にPb合金を含浸させて耐摩耗性を改善した焼結合金
(特公告昭53−41086号公報)が知られている。
さらにパ−ライトを主体とするFe基地中に、Cr、M
o、V等からなるFe基の硬質粒子を分散させることに
より、耐摩耗性と相手攻撃性を改善した焼結合金(特開
昭60−224762号公報)が、本出願人により開発
されている。
【0004】更に近年、本出願人は、Co:2〜15
%、Mo:2〜10%、残部がFeの鉄基合金粉末と、
Mo:5〜20%、Cr:20〜40%、W:10〜2
0%、Fe:10〜30%、残部が実質的にNiのNi
基合金粉末と、黒鉛粉末とを混合した混合粉末を用い、
混合粉末を圧縮成形して圧粉体を形成し、圧粉体を焼結
した焼結体からなる焼結合金、更には、この焼結体にP
bを溶浸した焼結合金を開発した(特開平7−1387
14号公報)。
【0005】このものでは、硬質なFeMo粒子に代え
てNi基硬質粒子が使用されており、相手材の過剰の摩
耗を低減するのに有利である。なお本明細書中では、特
に断らないかぎり、%は重量%の意味である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したバルブシ−ト
用焼結合金では、自分自身の摩耗量と相手材の摩耗量と
の双方のトータル摩耗量を低減することが好ましい。上
記した特開昭60−224762号公報に係る合金で
は、Niを含有しないFe基の硬質粒子が採用されてい
る。
【0007】上記した特開平7−138714号公報に
係る焼結合金には、基地にはCoが含まれている。Co
は耐熱性の向上に有利であるものの、高価であり、価格
の低廉化を考慮すると、できるだけ低減、回避したい。
また近年、環境問題に対する世間の関心が高まってい
る。そのため、車両においても長寿命化、高出力化、高
回転化、燃費向上ばかりでなく、排出ガス浄化等、環境
にも優しい技術開発が特に望まれている。そこで、上記
したバルブシ−ト用焼結合金に対しても、耐摩耗性を向
上させるばかりでなく、環境に影響を及ぼすことが予想
される物質であるPbの低減、廃止が近年要求されてい
る。
【0008】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、Pbを溶浸した合金に匹敵する耐摩耗性を確保
しつつ、Pbを廃止するのに有利な耐摩耗性に優れた鉄
基焼結合金を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】 そこで本発明者は、耐摩耗性、特には高温における耐
摩耗性、更には耐食性、耐酸化性を維持しつつ、Pbを
廃止するために、基地の化学成分と合金化形態、硬質粒
子の種類と添加量、基地と焼結条件等々について、鋭意
開発を重ねた。FeMoは硬質度が高く、相手材の過剰
の摩耗を誘発する性質をもち易いこと。また、Coは耐
熱性の向上に有利であるものの、高価であり、価格の低
減を図るためできるだけ低減、回避することが好ましい
ことなどを、この開発において考慮した。
【0010】開発の結果、本発明者は特定成分範囲のF
e基の基地中に、特定組成範囲のNi基の硬質粒子を所
定量分散させることにより、Pbの溶浸を実施すること
なく、pb溶浸合金に匹敵する程度の耐摩耗性を得ると
いう当初の目的を達成できる焼結合金及びその製造方法
を見出して、本発明を完成した。 請求項1に係る耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金は、重
量比で、Cr:1.5〜3.5%、Mo:0.2〜0.
5%、V:0.15〜0.45%、Mn:0.30%以
下、不可避の不純物を含み、残部が実質的に鉄からなる
基地と、C:0.2〜2.0%と、Mo:5〜20%、
Cr:20〜40%、W:10〜20%、Fe:5〜3
0%、不可避の不純物を含み、残部が実質的にNiから
なり基地に分散されたNi基硬質粒子2〜30%と、を
有することを特徴とするものである。 請求項2に係る耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金は、重
量比で、Cr:1.5〜3.5%、Mo:0.2〜0.
5%、V:0.15〜0.45%、Mn:0.30%以
下、不可避の不純物を含み、残部が実質的に鉄からなる
基地と、C:0.2〜2.0%と、Mo:5〜20%、
Cr:20〜40%、W:10〜20%、Fe:5〜3
0%、C:0.5〜4%、Siが2%以下、不可避の不
純物を含み、残部が実質的にNiからなり基地に分散さ
れたNi基硬質粒子2〜30%と、を有することを特徴
とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、焼結合金の実施の態様につ
いて、製造工程も含めて説明する。 請求項1に係る焼結合金は、基地とCとNi基硬質粒
子とを主構成要素として規定されている。基地は、重量
比で、Cr:1.5〜3.5%、Mo:0.2〜0.5
%、V:0.15〜0.45%、Mn:0.30%以
下、不可避の不純物を含み、残部が実質的に鉄からなる
組成をもつ。
【0012】焼結合金を100%としたとき、C量は1
00%のうちの0.2〜2.0%である。Cは一般的に
は基地、Ni基硬質粒子の双方に含まれている。焼結合
金を100%としたとき、Ni基硬質粒子は2〜30%
とされている。Ni基硬質粒子の組成は、Mo:5〜2
0%、Cr:20〜40%、W:10〜20%、Fe:
5〜30%、不可避の不純物を含み、残部が実質的にN
iからなる組成をもつ。
【0013】請求項2に係る焼結合金は、請求項1に係
る焼結合金と基本的に同様な組成をもつ。また請求項2
に係るNi基硬質粒子は、基本的には、請求項1に係る
Ni基硬質粒子と同様の組成をもつものの、C、Siが
積極的に含まれている。従って請求項2に係るNi基硬
質粒子は、Mo:5〜20%、Cr:20〜40%、
W:10〜20%、Fe:5〜30%、C:0.5〜4
%、Siが2%以下、不可避の不純物を含み、残部が実
質的にNiからなる。
【0014】請求項1に係る合金は次のように製造でき
る。即ち、合金鋼粉末とNi基合金粉末と黒鉛粉末と成
形用潤滑剤との混合粉末を成形した後、焼結する。混合
粉末を100%としたとき、Ni基合金粉末は100%
のうちの2〜30%に、黒鉛粉末は100%のうちの
0.2〜2.0%にできる。成形用潤滑剤は焼結に伴い
蒸散して消失するため、重量の換算には含めない。
【0015】合金鋼粉末は、重量比で、Cr:1.5〜
3.5%、Mo:0.2〜0.5%、V:0.15〜
0.45%、Mn:0.30%以下、不可避の不純物、
残部が実質的にFeからなる組成にできる。Ni基合金
粉末は、Mo:5〜20%、Cr:20〜40%、W:
10〜20%、Fe:5〜30%、不可避の不純物、残
部が実質的にNiからなる組成にできる。
【0016】請求項2に係る焼結合金を製造する場合に
は、Ni基合金粉末は、上記した請求項1に係る焼結合
金を製造するNi基合金粉末と基本的に同様な組成をも
つもつものの、C、Siが積極的に含まれている組成に
できる。従って請求項2に係る焼結合金に製造するNi
基合金粉末は、Mo:5〜20%、Cr:20〜40
%、W:10〜20%、Fe:5〜30%、C:0.5
〜4%、Siが2%以下、不可避の不純物を含み、残部
が実質的にNiからなる組成にできる。 以下、上記した合金組成、原料粉末の限定理由等につ
いて説明する。 (1)基地、合金鋼粉末 焼結合金における基地は、基本的には、製造工程で添加
される合金鋼粉末により構成される。この合金鋼粉末は
Cr−Mo−V系合金鋼粉末であり、高温強度に優れた
耐熱耐摩耗性部品に適する。
【0017】基地の組成は、重量比でCr:1.5〜
3.5%、Mo:0.2〜0.5%、V:0.15〜
0.45%、Mn:0.30%以下、不可避の不純物を
含み、残部が実質的に鉄である。基地となる合金鋼粉末
の組成も同様に規定できる。Cr、Mo、Vは基地に固
溶して基地を強化するとともに、黒鉛粉末として別途添
加される炭素分とで、均一分散性が高い微細な炭化物を
構成する。よってCr、Mo、Vの含有に伴い、基地の
耐摩耗性が向上する。
【0018】本組成範囲の合金鋼粉末は、低コストであ
る。合金鋼粉末が本組成範囲を外れると、一般的には別
途生産の必要があり、コスト的に不利になる。更に本組
成範囲の合金鋼材料には、高価なCoは積極的元素とし
て含有されていない。コスト上の制約から、基地、合金
鋼粉末の組成範囲を上記のように限定した。 (2)Ni基硬質粒子、Ni基合金粉末 焼結合金においてNi基硬質粒子は、Ni基合金粉末で
構成される。Ni基硬質粒子は耐摩耗性の向上に寄与す
る。このNi基の硬質粒子、Ni基合金粉末は本発明者
等が開発したものである。
【0019】上記したように、上記したNi基合金粉末
は、Ni基合金粉末を100%としたとき、Mo:5〜
20%、Cr:20%〜40%、W:10%〜20%、
Fe:5〜30%、不可避の不純物、残部が実質的にN
iの組成にできる。Ni基硬質粒子、Ni基合金粉末の
粒径は一般的には177〜149μm以下程度にでき
る。
【0020】請求項2に係るNi基硬質粒子には、Cが
0.5〜4%、Si:2%以下含まれており、Ni基硬
質粒子における炭化物生成に貢献できる。このようなC
量を含むNi基硬質粒子の硬度は、一般的にビッカース
硬さで500〜1000程度にできる。Ni基硬質粒
子、Ni基合金粉末におけるMo、Cr、W、Si、F
eは、Cと結合し炭化物を形成し易く、これにより耐摩
耗性向上に寄与する。Ni基の硬質粒子、Ni基合金粉
末におけるNi及びFeの一部は、焼結により焼結合金
の基地に拡散し、焼結合金の基地における耐酸化性の向
上に寄与する。更に、Ni基硬質粒子を基地に保持する
保持力の向上に寄与する。
【0021】このようにNi基硬質粒子やNi基合金粉
末におけるNiを基地に拡散させ得るため、基地を構成
する原料粉末である合金鋼粉末としては、Niを積極的
に含まないものを利用できるため、合金鋼粉末の過剰硬
化を抑えるのに有利であり、ひいては成形の際に合金鋼
粉末の圧縮成形性を確保するのに有利である。前記した
ように焼結合金を100%としたとき、Ni基硬質粒子
は焼結合金の100%のうちの2〜30%含まれてい
る。このNi基硬質粒子の添加量が2%未満では、焼結
合金における耐摩耗性向上が不十分であり、30%を越
えて添加しても、効果の向上が小さい。また30%を越
えて添加すると、圧粉体を形成する際における圧縮成形
性の低下を招く為、2%〜30%が適当範囲である。N
i基硬質粒子となるNi基合金粉末についても同様であ
る。 (3)C、黒鉛粉末:0.2%〜2.0% 焼結合金においてCは0.2%〜2.0%である。
【0022】製造工程において添加する黒鉛粉末は、焼
結合金における炭素(C)の供給源となる。炭素は、基
地に固溶し基地を強化するとともに、炭素の一部は、N
i基合金粉末で形成されたNi基硬質粒子に拡散し、N
i基硬質粒子の硬度を高め、耐摩耗性の向上に効果を示
す。前記したように合金鋼粉末とNi基合金粉末と黒鉛
粉末とからなる混合粉末全体を100%としたとき、黒
鉛粉末は、100%のうちの0.2%〜2.0%にでき
る。0.2%未満の添加では、前記の効果が期待でき
ず、また2.0%を越えて添加すると焼結合金を脆化さ
せる為好ましくなく、従って0.2%〜2.0%の添加
が適当である。
【0023】
【実施例】以下、実施例を比較例と共に説明する。本実
施例は、Pbを溶浸しない焼結合金形態である本実施例
では、基地を構成する合金粉末として、表1に示す規格
範囲の合金鋼粉末A、合金鋼粉末B、市販の純Fe粉末
を準備した。これらは、いずれも粒径177μm以下と
した。
【0024】硬質粒子として、表2に示す合金成分をも
つNi基合金粉末である硬質粒子C、Ni基合金粉末で
ある硬質粒子Dを準備し、更に、市販のFeMo粉末を
準備した。これらは、いずれも粒径149μm以下とし
た。更に、黒鉛粉末、比較例で用いる市販のCo粉末、
比較例で用いるPb粉末を準備した。
【0025】実施例及び比較例の双方において、これら
を表3に示す配合組成になるよう秤量した。さらに、潤
滑剤として機能するステアリン酸亜鉛を、秤量した粉に
対して0.8重量%添加した。そして混合機で30分間
混合を行ない、混合粉末を形成した。この混合粉末を用
い、成形圧力620MPaにて圧粉体を成形した。得ら
れた圧粉体を窒素ガス雰囲気において、1393Kの温
度で30分間焼結し、これにより各実施例に係る試験
片、比較例に係る試験片を製作した。
【0026】各実施例に係る試験片において、上記した
合金鋼粉末で構成される基地は、一般的には、パーライ
ト、オーステナイト、フェライト、マルテンサイトの混
合組織で構成されていた。比較例1については、さらに
焼結時と同じ条件でPbの溶浸処理を行った。比較例1
は特公告昭53−41086号公報に相当するPb合金
を溶浸した材料である。
【0027】
【表1】 (表1における*:残部がFeと不可避の不純物の意
味)
【0028】
【表2】 (表2における**:残部がNiと不可避の不純物の意
味)
【0029】
【表3】 耐摩耗性を評価するために、近年の内燃機関のバルブ、
バルブシートの使用環境に対応する条件にて、大越式迅
速摩耗試験を実施した。試験条件を下記に示す。
【0030】 相手材(バルブ材): JIS SUH35 ブロック材(シート材):実施例に係る試験片及び比較
例に係る試験片 すべり速度: 0.30m/sec 摩擦距離: 100m 最終荷重: 24.5N 温度(試験開始前): 相手材:773K、ブロック
材:673K 試験結果を表4及び図1に示す。摩耗効果を明確に判定
できるように、試験片であるシート材の摩耗量について
は、比較例1の摩耗量を100とした相対表示とした。
同様に、相手材であるバルブ材の摩耗量についても、比
較例1の摩耗量を100とした相対表示とした。トータ
ル摩耗量の表示は、試験片であるシート材の摩耗量の相
対表示と、相手材であるバルブ材の摩耗量の相対表示と
の和である。
【0031】試験片であるバルブシート材(ブロック
材)、相手材であるバルブ材ともに、摩耗量の相対表示
の数値が少ない程、優れた材料である。
【0032】
【表4】 〔評価〕 表3から理解できるように、比較例1に係る試験片
は、Pbを溶浸した合金である。また表3から理解でき
るように、比較例2に係る試験片は、原料粉末の配合組
成は比較例1の試験片と同様であるものの、Pbを溶浸
していない合金である。表4及び図1において、比較例
1の試験結果と比較例2の試験結果との比較から理解で
きるように、Pbの溶浸をなくすと、トータル摩耗量が
大幅に増加する。即ち、トータル摩耗量が比較例1(P
b溶浸)では相対表示で200であったものが、比較例
2(非溶浸)では相対表示で476と大幅に増大する。
これによりこの種の合金では、摩耗量の低減には、Pb
の溶浸が大きな効果をもつことがわかる。 図1から理解できるように、実施例1〜実施例6で
は、試験片であるシ−ト材と相手材であるバルブ材との
双方の和であるトータル摩耗量が減少している。 表4及び図1において、実施例1〜6の試験結果と比
較例1、2の試験結果との比較から明らかなように、本
発明材に相当する実施例1〜6では、Pbの含浸なしで
も、トータル摩耗量を少なくできた。換言すれば、実施
例1〜6ではPb含浸を行っていないにもかかわらず、
トータル摩耗量を、Pb含浸を行った比較例1における
トータル摩耗量と同等、もしくは、より少なくすること
ができた。 表4から理解できるように、実施例1(硬質粒子Cの
配合割合:4%と少なめ)では、相手材であるバルブ材
の摩耗量が相対表示で34であるものの、試験片である
シ−ト材の摩耗量が相対表示で139であり増加してい
る。また、実施例3(硬質粒子Cの配合割合:26%と
多め)では試験片であるシート材の摩耗量が相対表示で
81と少ないものの、相手材であるバルブ材の摩耗量が
相対表示で119であり、やや増加している。このこと
が、本発明合金における硬質粒子の含有量の限定理由に
対応する。即ち、シート材、バルブ材に要請させる耐摩
耗性に応じて硬質粒子の配合割合を調整する。 表3から理解できるように、実施例4に係る試験片
は、実施例2における配合割合(黒鉛配合量:0.8
%)と基本的に同様であるものの、黒鉛配合量を1.5
%に増加している。
【0033】表4において、実施例4の試験結果と実施
例2の試験結果との比較から理解できるように、黒鉛量
を増やすと、試験片であるシ−ト材の摩耗量は減少す
る。 表3から理解できるように、実施例5の配合割合は、
実施例2の配合割合と基本的に同様であるものの、実施
例2に係る硬質粒子Cに代えて、硬質粒子Dを採用して
いる。
【0034】表4において、実施例2の試験結果と実施
例5の試験結果との比較から理解できるように、トータ
ル摩耗量は実施例5では相対表示で191であり、実施
例2が相対表示で174であり、実施例2の方が良好で
あった。 表3から理解できるように、実施例6に係る試験片
は、実施例2の配合割合が基本的に同様であるものの、
実施例2の基地を構成する合金鋼粉Aに代えて、Crが
多めの合金鋼粉Bを採用している。試験片であるシート
材の摩耗量については、実施例2では相対表示で102
であったものの、実施例6では相対表示で91と低下し
ていた。 表3から理解できるように、比較例3は、実施例1〜
5と同一の合金鋼粉Aを用いているものの、合金鋼粉A
で形成した基地に、硬度が高い硬質粒子であるFeMo
硬質粒子を、実施例2、実施例4〜6に係る硬質粒子と
同一割合(配合割合:10%)添加したものである。
【0035】表4の試験結果をみると、FeMo硬質粒
子を採用した比較例3では、試験片であるシ−ト材の摩
耗量は相対表示で83であり低めであるものの、相手材
であるバルブ材の摩耗量は相対表示で227とかなり増
加しており、トータル摩耗量についても相対表示で31
0であり、かなり増加している。これは、FeMo硬質
粒子は、本合金に用いる硬質粒子としてみると、硬度が
過剰であるためと考える。 以上述べた説明から理解できるように、本発明合金で
ある実施例1〜実施例6は、Pbの含浸を行うことな
く、試験片であるシ−ト材と相手材であるバルブ材との
双方のトータル摩耗量を減少させるのに有利である。即
ち本発明合金である実施例1〜実施例6によれば、Pb
溶浸焼結合金に匹敵する程度に耐摩耗性を確保できる。
【0036】
【発明の効果】請求項1、2に係る鉄基焼結合金によれ
ば、上記した特定組成の硬質粒子を特定組成の基地に特
定量分散させることによって、Pbを溶浸することな
く、耐摩耗性を向上できる。特に内燃機関のバルブシー
ト付近等の高温領域における耐摩耗性を向上できる。即
ち、Pb溶浸焼結合金に匹敵する程度に耐摩耗性を確保
できる。従ってPbを廃止するのに有利である。よって
耐摩耗性に優れた非Pb溶浸方式の鉄基焼結合金を提供
できる。更に、特開平7−138714号公報に係る焼
結合金とは異なり、Coを含まない基地を利用するた
め、低コスト化に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】トータル摩耗量の試験結果を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村瀬 博之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−138714(JP,A) 特開 昭60−224762(JP,A) 特開 昭63−297542(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 304 C22C 38/24 F01L 3/02 C22C 33/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で、Cr:1.5〜3.5%、M
    o:0.2〜0.5%、V:0.15〜0.45%、M
    n:0.30%以下、不可避の不純物を含み、残部が実
    質的に鉄からなる基地と、 C:0.2〜2.0%と、 Mo:5〜20%、Cr:20〜40%、W:10〜2
    0%、Fe:5〜30%、不可避の不純物を含み、残部
    が実質的にNiからなり前記基地に分散されたNi基硬
    質粒子2〜30%と、 を有することを特徴とする耐摩耗性に優れた鉄基焼結合
    金。
  2. 【請求項2】重量比で、Cr:1.5〜3.5%、M
    o:0.2〜0.5%、V:0.15〜0.45%、M
    n:0.30%以下、不可避の不純物を含み、残部が実
    質的に鉄からなる基地と、 C:0.2〜2.0%と、 Mo:5〜20%、Cr:20〜40%、W:10〜2
    0%、Fe:5〜30%、C:0.5〜4%、Siが2
    %以下、不可避の不純物を含み、残部が実質的にNiか
    らなり前記基地に分散されたNi基硬質粒子2〜30%
    と、 を有することを特徴とする耐摩耗性に優れた鉄基焼結合
    金。
JP04877297A 1997-03-04 1997-03-04 耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金 Expired - Fee Related JP3304805B2 (ja)

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