JP3068128B2 - 耐摩耗性鉄基焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性鉄基焼結合金およびその製造方法

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JP3068128B2 JP5258709A JP25870993A JP3068128B2 JP 3068128 B2 JP3068128 B2 JP 3068128B2 JP 5258709 A JP5258709 A JP 5258709A JP 25870993 A JP25870993 A JP 25870993A JP 3068128 B2 JP3068128 B2 JP 3068128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関に使用される
バルブシート、ピストンリング或いは排気系のカラー等
の焼結部品に有用な耐摩耗性に優れた鉄基焼結用鉄基合
金とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のバルブシート材料としては、Fe
−C−Co−Ni基材料、Fe−C基材料に耐摩耗性の
向上を狙ってフェロモリブデン(Fe−Mo)、フェロ
クロム(Fe−Cr)等の金属間化合物またはFe−C
−Cr−Mo−V合金等を添加したものが使用されてい
る(特開昭56−154110号公報)。
【0003】さらに、CrおよびMoを含有するFe−
C基地組織中に、Cr、Mo、V等からなる鉄系硬質粒
子を分散させ耐摩耗性と相手攻撃性を改善した焼結合金
(特開昭60−224762号公報)、またFe−C−
Co−Ni系基地組織中にFeMoおよびFeWからな
る硬質粒子を分散させさらにPb合金等を含浸させて耐
摩耗性を改善した焼結合金(特開昭62−202058
号公報)が開示されている。
【0004】バルブシート材に要求される特性として
は、耐摩耗性の他に耐腐食性および耐熱性が挙げられ、
耐摩耗性は主として硬質粒子が受持ち、耐腐食性および
耐熱性は主として基地組織が受持ち、両者が相まって耐
久性を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近、自動車エンジン
において、長寿命化、高出力、高回転化、排出ガス浄化
対策、あるいは燃費向上対策に対する改善要求が一段と
高まっている。このため、自動車エンジンにおけるエン
ジンバルブ、バルブシートに対しては、従来にも増して
厳しい使用環境に耐えることが不可避となってきてお
り、耐熱性、耐摩耗性をより一層向上させると共に、高
温での耐腐食性を向上させる必要が生じてきた。
【0006】しかるに、従来の鉄系バルブシート材料の
基地の形成は、鉄粉に対して、合金元素であるNi、C
o、Mo等のそれぞれの元素の要素粉末を混合後、この
混合粉末を原料として成形、焼結し、Ni、Co、Mo
等を鉄中に拡散させている。そのため、これら合金元素
を鉄中に完全に拡散させることが難しく、添加量に見合
った特性の向上が得られにくい。
【0007】そこで、合金元素添加の効果を効率良く引
き出すために、合金元素を予め鉄と合金化することが考
えられるが、これら合金元素を鉄と予め合金化すると、
固溶硬化により合金鉄粉の圧縮性が低下するため、圧粉
体の高密度化が難しくなり、耐久性向上に対し不利に作
用する。
【0008】また、これらの焼結材料は、製造工程およ
びエンジン部品として仕立てられる過程にて、切削加工
を施す場合が多く、特性向上による被削性の低下を招く
ことが予想され、これに伴う加工費の上昇等のコスト・
生産面への悪影響が考えられるため、性能向上と合わせ
て被削性の悪化防止要求が強い。
【0009】本発明は従来の鉄系バルブシート材料およ
び鉄系バルブシート材料に用いられる鉄基合金粉末の前
記のごとき問題点を解決すべくなされたものであって、
近年のバルブシート材料の厳しい使用環境に対応し、耐
熱性、耐摩耗性をより一層向上させると共に被削性の低
下を防止した鉄系焼結合金およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
耐摩耗性、耐腐食性、耐酸化性を向上するため、バルブ
シート用鉄系焼結合金のマトリックスの化学成分と合金
化形態、硬質粒子の種類と添加量、マトリックス組織と
焼結条件等々について、鋭意研究を重ねた。その結果、
優れた耐酸化性と耐腐食性を発揮するマトリックスの特
定組成範囲および合金化形態を見出すと共に、このマト
リックス中に、特定組成範囲の硬質粒子を分散させるこ
とにより、極めて良好な耐摩耗性、耐腐食性および耐酸
化性を保持し得ることを知見し、かつ従来材に比べ経済
性に優れていることを見出し、さらに特定の快削材を特
定量分散させることにより、焼結体特性低下を最小限に
抑えると共に、切削性の向上を図り得ることを知見し、
本発明を完成した。
【0011】本発明の請求項1の耐摩耗性鉄基焼結合金
は、重量比で、全体組成が、Co;1.3〜15%、M
o;1.5〜16%、Cr;0.4〜12%、W;0.
2〜6%、C;0.2〜3.2%、Ni;0.6〜15
%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
かつ重量比で、Co;2〜15%、Mo;2〜10%、
C;0.2〜2%、Ni;10%以下を含有し残部がF
eおよび不可避不純物からなる基地中に、重量比で、M
o;5〜20%、Cr;20〜40%、W;10〜20
%、C;0.5〜4%を含有し、残部がNiおよび不可
避不純物からなる硬質粒子を2〜30%分散したことを
要旨とする。
【0012】本発明の請求項2の耐摩耗性鉄基焼結合金
は、請求項1の耐摩耗性鉄基焼結合金において、基地中
に含まれるMoが3%を越えて10%以下であることを
要旨とする。
【0013】また、本発明の請求項3の耐摩耗性に優れ
た鉄基焼結合金の製造方法は、重量比でCo;2〜15
%、Mo;2〜10%を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;
5〜20%、Cr;20〜40%、W;10〜20%を
含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基
合金粉末を2〜30%と、黒鉛粉末0.2〜2%と、成
形用潤滑剤を混合、成形し、1323KからNi基合金
粉末の融点以下の温度で焼結することを要旨とする。
【0014】本発明の請求項4の耐摩耗性鉄基焼結合金
は、請求項3の耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法におい
て、鉄基粉末合金のMo含有量が3%を越え10%以下
であること要旨とする。
【0015】本発明の請求項5の耐摩耗性鉄基焼結合金
の製造方法は、重量比でCo;2〜15%、Mo;2〜
10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
る鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜20%、C
r;20〜40%、W;10〜20%、C;1〜4%を
含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基
合金粉末を2〜30%と、黒鉛粉末0.2〜2%と、成
形用潤滑剤を混合、成形し、1323KからNi基合金
粉末の融点以下の温度で焼結することを要旨とする。
【0016】本発明の請求項6の耐摩耗性鉄基焼結合金
の製造方法は、請求項5の耐摩耗性鉄基焼結合金の製造
方法において、鉄基粉末合金に含まれるMo含有量が3
%を越え10%以下であること要旨とする。
【0017】本発明の請求項7の耐摩耗性鉄基焼結合金
は、重量比で、全体組成が、Co;1.3〜15%、M
o;1.5〜16%、Cr;0.4〜12%、W;0.
2〜6%、C;0.2〜3.2%、Ni;0.6〜15
%と、CaF2、MnFおよびMoS2のうち1種以上を
0.2〜2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物
からなり、かつ重量比で、Co;2〜15%、Mo;2
〜10%、C;0.2〜2%、Ni;10%以下を含有
し残部がFeおよび不可避不純物からなる基地中に、重
量比で、Mo;5〜20%、Cr;20〜40%、W;
10〜20%、C;0.5〜4%を含有し、残部がNi
および不可避不純物からなる硬質粒子を2〜30%分散
し、CaF2、MnSおよびMoS2のうち1種以上を
0.2〜2%を分散したことを要旨とする。
【0018】本発明の請求項8の耐摩耗性鉄基焼結合金
は、請求項7の耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法におい
て、鉄基粉末合金に含まれるMo含有量が3%を越え1
0%であること要旨とする。
【0019】本発明の請求項9の耐摩耗性鉄基焼結合金
の製造方法は、重量比でCo;2〜15%、Mo;2〜
10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
る鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜20%、C
r;20〜40%、W;10〜20%、C;4%以下を
含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基
合金粉末を2〜30%と、CaF2、MnSおよびMo
2のうち1種以上を合計で0.2〜2%と、黒鉛粉末
0.2〜2%と、成形用潤滑剤を混合、成形し、132
3KからNi基合金粉末の融点以下の温度で焼結するこ
とを要旨とする。
【0020】本発明の請求項10の耐摩耗性鉄基焼結合
金の製造方法は、請求項9の耐摩耗性鉄基焼結合金の製
造方法において、鉄基粉末合金に含まれるMo含有量が
3%を越え10%であること要旨とする。
【0021】
【作用】本発明の鉄基焼結合金は、重量比でCo;2〜
15%、Mo;2〜10%、好ましくは3%を越え10
%以下、C;0.2〜2%、Ni;10%以下を含有し
基地組織としたので、優れた耐腐食性、耐酸化性および
耐摩耗性を得ることができる。
【0022】この基地組織中に分散させるNi基合金粉
末は新規なものであり、Ni基合金粉末中のMo、C
r、WはCと結合し、炭化物を形成することにより耐摩
耗性を向上させる。また、Ni基合金粉末中のNiは、
焼結の際にマトリクッス中へ拡散し、耐酸化性を向上さ
せる。
【0023】本発明の鉄基焼結合金の製造方法は、重量
比でCo;2〜15%、Mo;2〜10%、好ましくは
3%を越え10%以下、を含有した合金粉末を用いて基
地組織を焼結したので、合金元素の素地への固溶均質度
が高く、要素粉末を混合する従来法に比べて、少ない合
金量で優れた耐腐食性、耐酸化性および耐摩耗性を得る
ことができる。また、合金元素の組成範囲を前記組成範
囲に規制したので、圧縮性の低下割合が少なく、要素粉
末を混合する従来法に比べて、圧縮性が若干低下するも
ののほぼ同等であり、密度と関連性の強い耐酸化性、耐
食性に対して影響を及ぼすおそれはない。
【0024】また、本発明においては特に請求項7〜請
求項10の発明において、快削材としてCaF2、Mn
SおよびMoS2のうち1種以上を0.2〜2%を分散
したので、焼結体特性低下を最小限に抑えると共に、被
削性を改善することができた。
【0025】本発明の焼結条件は、非酸化性雰囲気中に
て、1323Kから硬質粒子の融点以下の温度範囲、好
ましくは1323Kから1473Kにて、900から7
200s保持することが必要である。焼結温度が132
3K未満であると、焼結進行が不充分なため、マトリッ
クスの強度不足や硬質粒子とマトリックスとの結合力不
足を招くからであり、また、硬質粒子の融点を越える温
度の場合、硬質粒子の有する耐摩耗性が消失するからで
ある。この焼結温度において、900〜7200s保持
することにより、硬質粒子中のNi成分の一部がマトリ
ックス中に拡散し、マトリクッスの耐熱性が向上すると
共に、硬質粒子とマトリックスの結合が強化され、硬質
粒子の耐脱落性が向上する。
【0026】次に、本発明において、合金粉末等の成分
組成を限定した理由について説明する。 Fe−2〜15%Co−2〜10%Mo合金粉末;この
合金粉末は本発明材のマトリックスを形成するものであ
り、Coは素地に固溶してこれを強化するとともに、耐
熱性を向上させる効果があるが、2%未満ではその効果
が不足し、一方15%を越えて含有させると効果のさら
なる向上は見られるものの経済性に欠けるため、この点
を考慮してその含有量を2〜15%と定めた。
【0027】Moは素地に固溶してこれを強化するとと
もに、高温域における強度および耐腐食性の改善に効果
を示し、炭素を含む焼結体においては、一部が炭化物を
生成し耐摩耗性の改善に効果を示す。これらの効果は、
含有量が2%未満では不充分であり、3%以上で効果が
安定し、10%を越えると効果の向上は認められるもの
の、粉末の圧縮性低下を招くため、2〜10%、好まし
くは3%を越え10%以下が適当である。
【0028】Ni基合金粉末;Ni基合金粉末は、本発
明者等が開発した硬質粒子粉末であり、耐摩耗性の向上
に寄与する。Ni基硬質粒子は、Mo;5〜20%、C
r;20〜40%、W;10〜20%、C;0.5〜4
%を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなる。
Mo、Cr、WはCと結合し炭化物を形成することによ
り耐摩耗性向上に寄与する。Niの一部は焼結によりマ
トリックス中に拡散し、耐酸化性の向上に寄与する。F
e−Co−Mo合金粉末にNiを予め合金化させると圧
縮性が悪化するが、本発明ではNi基合金粉末中のNi
がマトリックスに拡散して耐酸化性を向上するので、F
e−Co−Mo合金粉末にNiを予め合金化させる必要
がない。
【0029】この硬質粒子の添加量が2%未満では、耐
摩耗性向上が不充分であり、30%を越えて添加して
も、添加の割に向上が小さく、また成形性の低下を招く
ため、その添加量を2〜30%とした。
【0030】黒鉛粉末;0.2〜2% 炭素はマトリックスに固溶してマトリックスを強化する
とともに、一部はNi基合金粉末に拡散し、Ni基合金
粉末の硬度を高め、耐摩耗性の向上に効果を示す。0.
2%未満の添加では前記効果が期待できず、また2%を
越えて添加すると焼結合金を脆化させるので好ましくな
く、0.2〜2%の添加が適当である。
【0031】CaF2、MnSおよびMoS2のうち1種
以上を0.2〜2% CaF2、MnSおよびMoS2は、いずれも被削性(切
削性)の向上を目的に添加するものであり、0.2%未
満の添加では、被削性向上効果が不足し2.0%を越え
ると機械的性質に対し悪影響を及ぼすため0.2〜2.
0%が適当である。
【0032】
【実施例】本発明の好適な実施例を比較例と対比して説
明し、本発明の特徴を明らかにする。 (実施例1)本発明の実施例1〜7として、重量比でM
o;4.2%、Co;6.0%残部が実質的にFeであ
る鉄基噴霧合金粉A、重量比でMo;2.3%、Co;
6.1%残部が実質的にFeである鉄基噴霧合金粉E、
重量比でMo;3.2%、Co;5.9%残部が実質的
にFeである鉄基噴霧合金粉F(いずれも粒径177μ
m以下)、重量比でCr;35.2%、W;14.4
%、Mo;10.3%残部が実質的にNiのNi基噴霧
合金粉B(粒径149μm以下)、重量比でCr;3
3.7%、W;16.5%、Mo;12.1%、C;
2.7%残部が実質的にNiのNi基噴霧合金粉C(粒
径149μm以下)、黒鉛粉および潤滑剤ステアリン酸
亜鉛を準備し、表1に示す配合組成になるように秤量
後、密度6.9g/cm3の圧粉体を成形した。
【0033】また、比較材1〜3として、噴霧鉄粉、C
o粉、Mo粉、Ni粉、黒鉛粉、FeMo粉、重量比で
Mo;1.5%、Co;5.8%残部が実質的にFeで
ある鉄基噴霧合金粉D、市販の1%Cr−0.7%Mn
−0.3%(KIP4100VS)合金粉末G(いずれ
も粒径177μm以下)および黒鉛粉および潤滑剤ステ
アリン酸亜鉛を準備し、表1に示す配合組成になるよう
に秤量後、密度6.9g/cm3の圧粉体を成形した。
得られた実施例および比較例の圧粉体を分解アンモニア
ガス雰囲気中で、1393Kの温度で1.8Ksの時間
焼結合金し、各実施例と比較材を製作した。
【0034】
【表1】
【0035】これら実施例1〜7および比較材1〜3の
試験片について、耐摩耗性の評価として大越摩耗試験を
行い、実施例2と比較材1については、実機評価を行い
バルブシートとしての適合性を調査した。なお、耐摩耗
性評価結果は、実施例および比較材の全体の化学成分と
ともに表2に示し、実機耐久試験におけるバルブとバル
ブシートの摩耗量を図1に示した。
【0036】なお、大越摩耗試験条件は次に示す通りで
あった。 相手材(ロータ) JIS SUH35 ブロック材 実施例および比較材 滑り速度 0.51m/s 摩擦距離 100m 最終荷重 31.5N 温度 ロータ;773K ブロック;693K 測定項目 ブロック摩耗体積
【0037】また、実機耐久試験条件は次の通りであっ
た。 エンジン 4気筒 2000cc 運転条件 6000rpm×648Ks 全負荷 水温 383K バルブシート 実施例2および比較材1 バルブ JIS SUH35 フェース;ステライトNo.6盛金 測定項目 バルブシート、バルブ摩耗量
【0038】
【表2】
【0039】表2に示したように、比較材1は合金要素
粉末を用いたため合金含有量が実施例より多かったにも
かかわらず固溶が不均質であって、摩耗体積が72×1
-3mm3であり、Mo含有量が3%未満であった比較
材2は、摩耗体積が69×10-3mm3であり、市販の
耐摩耗性焼結材料製造用原料粉末を用いた比較材3は、
摩耗体積が158×10-3mm3であった。これに対し
て、本発明の実施例1〜7は合金粉末を用いNi基硬質
合金粉末を分散させたので、摩耗体積が41〜52×1
-3mm3であって、本発明合金が耐摩耗性に優れてい
ることが判明し、本発明の効果が確認された。
【0040】また、図1に示したように、実基耐久試験
におけるバルブ、バルブシートの摩耗量は、実施例2が
比較材1のおよそ1/2と小さくなっており、本発明合
金はバルブシートとしての適合性が認められた。
【0041】(実施例2)本発明の実施例8〜13とし
て、重量比でMo;6.3%、Co;4.2%残部が実
質的にFeである基地用噴霧合金粉A(粒径177μm
以下)、重量比でW;14.4%、Cr;35.2%、
Mo;10.3%残部が実質的にNiのNi基噴霧合金
粉B(粒径149μm以下)、市販に黒鉛粉、Ca
2、MoS2、MnS粉および潤滑剤ステアリン酸亜鉛
を準備し、表3に示す配合組成になるように秤量後、密
>度6.9g/cm3の圧粉体を成形した。
【0042】同様に比較材4〜6についても表3に示す
配合組成になるように秤量後、密度6.9g/cm3
圧粉体を成形した。なお、比較材4は快削材を全く配合
しないものであり、比較材56快削材の配合が本発明の
組成範囲より少ないものであり、比較材6は快削材の配
合が本発明の組成範囲より多いものである。得られた実
施例および比較例の圧粉体をN2ガス雰囲気中で、13
93Kの温度で1.8Ksの時間焼結合金し、各実施例
と比較材を製作した。
【0043】
【表3】
【00044】これら実施例8〜13および比較材4〜
6の試験片について、実機に模したバルブ、バルブシー
ト試験機を用い、耐摩耗性の評価を行った。この試験装
置はプロパンガスの燃焼によってバルブとバルブシート
を加熱し、カムの駆動によってバルブを開閉する機構に
より、バルブとバルブシートの叩き摩耗状況を再現する
ものである。
【0045】試験はバルブ材質をJIS SUH37
(フェース部にステライトNo.6盛金)とし、バルブ
の温度を1073K、バルブシートの温度を670Kに
保つように制御し、カム回転数を2500rpmにし、
運転時間を36Ksの条件で行い、バルブシートの摩耗
をバルブシート当たり幅増加量として測定した。
【0046】また、試験片の切削性の評価として、下記
の切削性試験条件で超硬工具を用いた切削試験を行い、
切削抵抗を測定し、これの大小により切削性の良否を比
較した。 切削速度 50 m/min 送り 0.05mm/rev 切り込み 0.5mm 測定 切削動力計 耐摩耗性評価結果および切削抵抗測定結果は表4に示し
た。
【0047】
【表4】
【0048】表4に示したように、バルブシート当り幅
増加量は、快削成分を含まない比較材4の92μmに対
し、実施例8〜13は、86〜96μmの範囲にあり、
ほぼ同等の増加量であることから、耐摩耗性の低下は極
めて少ないと言える。一方、快削成分添加量が請求範囲
を越えている比較材6の当り幅増加量は、比較材4に対
して大幅に増えており、耐摩耗性の低下が認められた。
【0049】切削抵抗比については、実施例8〜13が
比較材4に比べ小さくなっており、被削性の向上が確認
できた。一方、比較材5は快削成分の添加量が少なく、
被削性向上は僅かであった。
【0050】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金
およびその製造方法は以上詳述したように、重量比でC
o;2〜15%、Mo;2〜10%、好ましくは3%を
越えて10%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不
純物からなる鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜
20%、Cr;20〜40%、W;10〜20%を含有
し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基合金
粉末を2〜30%と、黒鉛粉末0.2〜2%と、必要に
応じて快削材を0.2〜2%を混合成形し、1323K
からNi基合金粉末の融点以下の温度で焼結することを
特徴とするものであって、合金粉末を用いて基地組織を
焼結したので、合金元素の素地への固溶均質度が高く、
要素粉末を混合する従来法に比べて、少ない合金量で優
れた耐腐食性、耐酸化性および耐摩耗性を得ることがで
き、Ni基合金粉末中のMo、Cr、WはCと結合し、
炭化物を形成することにより耐摩耗性を向上させると共
に快削材の添加により被削性も改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金と比較材の実機耐久試験におけるバ
ルブおよびバルブシートの摩耗量を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡島 博司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−172942(JP,A) 特開 平6−60095(JP,A) 特開 平2−111848(JP,A) 特開 昭61−117255(JP,A) 特開 平6−57387(JP,A) 特開 平3−225008(JP,A) 特開 昭61−183448(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C22C 33/02 B22F 1/00 - 8/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、全体組成が、Co;1.3〜
    15%、Mo;1.5〜16%、Cr;0.4〜12
    %、W;0.2〜6%、C;0.2〜3.2%、Ni;
    0.6〜15%を含有し、残部がFeおよび不可避不純
    物からなり、かつ重量比で、Co;2〜15%、Mo;
    2〜10%、C;0.2〜2%、Ni;10%以下を含
    有し残部がFeおよび不可避不純物からなる基地中に、
    重量比で、Mo;5〜20%、Cr;20〜40%、
    W;10〜20%、C;0.5〜4%を含有し、残部が
    Niおよび不可避不純物からなる硬質粒子を2〜30%
    分散したことを特徴とする耐摩耗性に優れた鉄基焼結合
    金。
  2. 【請求項2】 基地中に含まれるMoが3%を越えて1
    0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐摩
    耗性に優れた鉄基焼結合金。
  3. 【請求項3】 重量比でCo;2〜15%、Mo;2〜
    10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜20%、C
    r;20〜40%、W;10〜20%を含有し、残部が
    Niおよび不可避不純物からなるNi基合金粉末を2〜
    30%と、黒鉛粉末0.2〜2%と、成形用潤滑剤を混
    合、成形し、1323KからNi基合金粉末の融点以下
    の温度で焼結することを特徴とする耐摩耗性に優れた鉄
    基焼結合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉄基粉末合金に含まれるMo含有量が3
    %を越え10%以下であることを特徴とする請求項3に
    記載の耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 重量比でCo;2〜15%、Mo;2〜
    10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜20%、C
    r;20〜40%、W;10〜20%、C;1〜4%を
    含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基
    合金粉末を2〜30%と、黒鉛粉末0.2〜2%と、成
    形用潤滑剤を混合、成形し、1323KからNi基合金
    粉末の融点以下の温度で焼結することを特徴とする耐摩
    耗性に優れた鉄基焼結合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄基粉末合金に含まれるMo含有量が3
    %を越え10%以下であることを特徴とする請求項5に
    記載の耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 重量比で、全体組成が、Co;1.3〜
    15%、Mo;1.5〜16%、Cr;0.4〜12
    %、W;0.2〜6%、C;0.2〜3.2%、Ni;
    0.6〜15%と、CaF2、MnSおよびMoS2のう
    ち1種以上を0.2〜2%を含有し、残部がFeおよび
    不可避不純物からなり、かつ重量比で、Co;2〜15
    %、Mo;2〜10%、C;0.2〜2%、Ni;10
    %以下を含有し残部がFeおよび不可避不純物からなる
    基地中に、重量比で、Mo;5〜20%、Cr;20〜
    40%、W;10〜20%、C;0.5〜4%を含有
    し、残部がNiおよび不可避不純物からなる硬質粒子を
    2〜30%分散し、CaF2、MnSおよびMoS2のう
    ち1種以上を0.2〜2%を分散したことを特徴とする
    耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金。
  8. 【請求項8】 基地中に含まれるMoが3%を越えて1
    0%以下であることを特徴とする請求項7に記載の耐摩
    耗性に優れた鉄基焼結合金。
  9. 【請求項9】 重量比でCo;2〜15%、Mo;2〜
    10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る鉄基合金粉末に対し、重量比でMo;5〜20%、C
    r;20〜40%、W;10〜20%、C;4%以下を
    含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなるNi基
    合金粉末を2〜30%と、CaF2、MnSおよびMo
    2のうち1種以上を合計で0.2〜2%と、黒鉛粉末
    0.2〜2%と、成形用潤滑剤を混合、成形し、132
    3KからNi基合金粉末の融点以下の温度で焼結するこ
    とを特徴とする耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 鉄基粉末合金に含まれるMoが3%を
    越えて10%以下であることを特徴とする請求項9に記
    載の耐摩耗性に優れた鉄基焼結合金。
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