JP3304331B2 - 高いアスペクト比を有する微細構造物の製造方法 - Google Patents
高いアスペクト比を有する微細構造物の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電鋳を用いた微細
構造物の製造方法に関する。より詳しくは、電解液を吸
収および脱離することにより膨張および収縮が可能なポ
リマー基板を用いて、電鋳により高アスペクト比を有す
る微細構造物を制作する方法に関する。
構造物の製造方法に関する。より詳しくは、電解液を吸
収および脱離することにより膨張および収縮が可能なポ
リマー基板を用いて、電鋳により高アスペクト比を有す
る微細構造物を制作する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高アスペクト比の微細構造物を制作する
方法としては、LIGA、LIGAに類似するもの、U
Vフォトリソグラフィーなど様々な製造方法があり、こ
れまで公開されてきた。しかしながら、これら従来方法
は複雑で高価であるため、商業的見地からは、非経済的
で実行不可能なものであった。
方法としては、LIGA、LIGAに類似するもの、U
Vフォトリソグラフィーなど様々な製造方法があり、こ
れまで公開されてきた。しかしながら、これら従来方法
は複雑で高価であるため、商業的見地からは、非経済的
で実行不可能なものであった。
【0003】米国特許第5770465号には、トレン
チ充填エッチマスキング(trench−fillin
g etch masking)技術を用いた高アスペ
クト比の微細構造物の製造方法が開示されており、その
内容は、基板に深いトレンチができるようにエッチング
し、当該トレンチをトレンチ充填物質で充填し、当該ト
レンチ充填物質をマスクとして利用しながら基板を深く
エッチングするものである。しかし、上記公報に開示さ
れるようは、微細構造物を作成し終えるまでに数多くの
工程を必要とし、時間がかかり、製造効率が低いもので
ある。
チ充填エッチマスキング(trench−fillin
g etch masking)技術を用いた高アスペ
クト比の微細構造物の製造方法が開示されており、その
内容は、基板に深いトレンチができるようにエッチング
し、当該トレンチをトレンチ充填物質で充填し、当該ト
レンチ充填物質をマスクとして利用しながら基板を深く
エッチングするものである。しかし、上記公報に開示さ
れるようは、微細構造物を作成し終えるまでに数多くの
工程を必要とし、時間がかかり、製造効率が低いもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来方
法の欠点に鑑み、微細構造物の経済的で簡便な製造方法
を提供することを目的とする。
法の欠点に鑑み、微細構造物の経済的で簡便な製造方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
って解決できる。
って解決できる。
【0006】即ち本発明は、電鋳システム内に電解液を
満たす段階と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうる
ポリマー基板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外
部表面を平坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外
部表面に電気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前
記ポリマー基板を微細加工して該ポリマー基板に複数の
キャビティーを有する3次元の微細構造パターンを形成
する段階と、前記ポリマー基板を陰極板と密着させる段
階と、前記ポリマー基板を前記電鋳システム中の前記電
解液に浸して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー基板が
前記電解液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基板中に
浸透させ該ポリマー基板の各前記キャビティーの直径お
よび幅を収縮させる段階と、電鋳システム内で前記陰極
板と陽極を電気的に接続させて前記電鋳システム中で前
記キャビティーに金属または合金を電鋳させる段階と、
前記ポリマー基板から前記電解液の溶媒を脱離して前記
ポリマー基板を収縮させ、前記キャビティー中の電鋳さ
れた微細構造物から分離して該微細構造物を取り出す段
階、からなる微細構造物の製造方法である。
満たす段階と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうる
ポリマー基板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外
部表面を平坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外
部表面に電気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前
記ポリマー基板を微細加工して該ポリマー基板に複数の
キャビティーを有する3次元の微細構造パターンを形成
する段階と、前記ポリマー基板を陰極板と密着させる段
階と、前記ポリマー基板を前記電鋳システム中の前記電
解液に浸して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー基板が
前記電解液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基板中に
浸透させ該ポリマー基板の各前記キャビティーの直径お
よび幅を収縮させる段階と、電鋳システム内で前記陰極
板と陽極を電気的に接続させて前記電鋳システム中で前
記キャビティーに金属または合金を電鋳させる段階と、
前記ポリマー基板から前記電解液の溶媒を脱離して前記
ポリマー基板を収縮させ、前記キャビティー中の電鋳さ
れた微細構造物から分離して該微細構造物を取り出す段
階、からなる微細構造物の製造方法である。
【0007】また本発明は、電鋳システム内に電解液を
満たす段階と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうる
ポリマー基板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外
部表面を平坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外
部表面に電気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前
記ポリマー基板を微細加工して該ポリマー基板に複数の
キャビティーを有する3次元の微細構造パターンを形成
する段階と、前記ポリマー基板を陰極板と密着させる段
階と、前記ポリマー基板を前記電鋳システム中の前記電
解液に浸して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー基板が
前記電解液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基板中に
浸透させ該ポリマー基板の各前記キャビティーの直径お
よび幅を収縮させる段階と、電鋳システム内で前記陰極
板と陽極を電気的に接続させて前記電鋳システム中で前
記キャビティーに金属または合金を電鋳させる段階と、
前記ポリマー基板から前記電解液の溶媒を脱離して前記
ポリマー基板を収縮させ、前記キャビティー中の電鋳さ
れた微細構造物から分離して該微細構造物を取り出す段
階、からなる微細構造物の製造方法である。
満たす段階と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうる
ポリマー基板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外
部表面を平坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外
部表面に電気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前
記ポリマー基板を微細加工して該ポリマー基板に複数の
キャビティーを有する3次元の微細構造パターンを形成
する段階と、前記ポリマー基板を陰極板と密着させる段
階と、前記ポリマー基板を前記電鋳システム中の前記電
解液に浸して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー基板が
前記電解液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基板中に
浸透させ該ポリマー基板の各前記キャビティーの直径お
よび幅を収縮させる段階と、電鋳システム内で前記陰極
板と陽極を電気的に接続させて前記電鋳システム中で前
記キャビティーに金属または合金を電鋳させる段階と、
前記ポリマー基板から前記電解液の溶媒を脱離して前記
ポリマー基板を収縮させ、前記キャビティー中の電鋳さ
れた微細構造物から分離して該微細構造物を取り出す段
階、からなる微細構造物の製造方法である。
【0008】また本発明は、前記浸透させる段階の電解
液温度と前記電鋳させる段階の電解液温度が等しいこと
を特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
液温度と前記電鋳させる段階の電解液温度が等しいこと
を特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
【0009】また本発明は、前記マスキング膜は、前記
ポリマー基板内部への前記電解液の浸透または移動を阻
害し、かつ電解液によって剥離および溶解しないことを
特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
ポリマー基板内部への前記電解液の浸透または移動を阻
害し、かつ電解液によって剥離および溶解しないことを
特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
【0010】また本発明は、前記ポリマー基板は親水性
ポリマーよりなることを特徴とする前記記載の微細構造
物の製造方法である。
ポリマーよりなることを特徴とする前記記載の微細構造
物の製造方法である。
【0011】また本発明は、前記親水性ポリマーは親水
性ポリウレタンまたは親水性アクリル樹脂であることを
特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
性ポリウレタンまたは親水性アクリル樹脂であることを
特徴とする前記記載の微細構造物の製造方法である。
【0012】また本発明は、前記金属または合金は、ニ
ッケル、銅、金、ニッケル−コバルト合金およびニッケ
ル−鉄合金からなる群より選択されることを特徴とする
前記記載の微細構造物の製造方法である。
ッケル、銅、金、ニッケル−コバルト合金およびニッケ
ル−鉄合金からなる群より選択されることを特徴とする
前記記載の微細構造物の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る微細構造物の製造方
法は、以下の工程よりなるものである。
法は、以下の工程よりなるものである。
【0014】(1)電解液の調整 図2に示すように、電鋳システム(electrofo
rming system)8が電解液4で満たされ
る。電解液の溶媒はポリマー基板中に吸収されて、ポリ
マー基板を膨張でき、電鋳工程を実施できるものを適宜
選択する。電鋳システム8は、以下で詳しく述べる電鋳
工程で用いるものである。
rming system)8が電解液4で満たされ
る。電解液の溶媒はポリマー基板中に吸収されて、ポリ
マー基板を膨張でき、電鋳工程を実施できるものを適宜
選択する。電鋳システム8は、以下で詳しく述べる電鋳
工程で用いるものである。
【0015】(2)ポリマー基板上にマスキング膜形成 水溶液を多量に含む電解液をよく吸収するポリマー基板
1が選択され、基板外表面の平坦化、研磨および洗浄な
どの表面処理が施される。そして、図1(a)に示すよ
うに、保護するための薄いマスキング膜2が基板1の上
に形成される、または基板の周囲に配置される。マスキ
ング膜2を形成するために、コーティングマシーンによ
る塗布、PVDやCVD等による蒸着、化学めっき等を
適用することができる。基板は、親水性ポリウレタン、
親水性アクリル樹脂、その他適切なポリマーから選択さ
れる。また、マスキング膜2は電気絶縁性でなければな
らない。
1が選択され、基板外表面の平坦化、研磨および洗浄な
どの表面処理が施される。そして、図1(a)に示すよ
うに、保護するための薄いマスキング膜2が基板1の上
に形成される、または基板の周囲に配置される。マスキ
ング膜2を形成するために、コーティングマシーンによ
る塗布、PVDやCVD等による蒸着、化学めっき等を
適用することができる。基板は、親水性ポリウレタン、
親水性アクリル樹脂、その他適切なポリマーから選択さ
れる。また、マスキング膜2は電気絶縁性でなければな
らない。
【0016】また、マスキング膜2は、基板1内部への
電解液の溶媒の浸透または物質の移動を妨げるものでな
ければならない。マスキング膜2は、後の電解液溶媒の
ポリマー基板への移動が飽和するまでの間や電鋳工程中
に電解液により剥離または溶解をしないものがよい。
電解液の溶媒の浸透または物質の移動を妨げるものでな
ければならない。マスキング膜2は、後の電解液溶媒の
ポリマー基板への移動が飽和するまでの間や電鋳工程中
に電解液により剥離または溶解をしないものがよい。
【0017】選択された基板1は、基板内部への電解液
溶媒の移動により大きく膨張するものでなければなら
ず、また電解液により損傷を受けるものであってはなら
ない。
溶媒の移動により大きく膨張するものでなければなら
ず、また電解液により損傷を受けるものであってはなら
ない。
【0018】本発明においては、スパッタリング、プラ
ズマ溶射、スピンコーティングなどの他の膜形成法を用
いてもよい。
ズマ溶射、スピンコーティングなどの他の膜形成法を用
いてもよい。
【0019】(3)キャビティーを含む微細パターンを
形成するための基板の微細加工 微細加工機器または微細加工方法を用いて、図1(b)
に示すように基板1に貫通してなるキャビティー3のパ
ターンを形成し、各キャビティー3に第1幅または第1
直径D1(図3にも表示)を形成した。このように形成
されたパターンは、パターン側壁が所望する最適な寸
法、形状精度、最小粗さを有するべきである。
形成するための基板の微細加工 微細加工機器または微細加工方法を用いて、図1(b)
に示すように基板1に貫通してなるキャビティー3のパ
ターンを形成し、各キャビティー3に第1幅または第1
直径D1(図3にも表示)を形成した。このように形成
されたパターンは、パターン側壁が所望する最適な寸
法、形状精度、最小粗さを有するべきである。
【0020】微細加工方法としては、ポリクリスタルダ
イアモンドマシーニング(poly−crystal
diamond machining)、レーザービー
ムマシーニング(LBM;laser−beam ma
chining)、電子ビームマシーニング(EBM;
electron−beam machining)な
どが挙げられる。
イアモンドマシーニング(poly−crystal
diamond machining)、レーザービー
ムマシーニング(LBM;laser−beam ma
chining)、電子ビームマシーニング(EBM;
electron−beam machining)な
どが挙げられる。
【0021】(4)基板の膨張によるパターンの各キャ
ビティーの直径または幅の収縮 微細加工を施された基板は、陰極板7に密着され、電鋳
システム8中の電解液4に浸され、電解液溶媒の移動
(mass transport)により電解液溶媒が
ポリマー基板1内部に浸透し、ポリマーが膨張する(図
1(c))。基板は後で電鋳が可能となるように孔が貫
通した面が陰極板と密着することが望ましい。パターン
の各キャビティー内の膨張部5によりキャビティーの幅
や直径が収縮し、その結果各キャビティーの直径や幅が
D1からD2に減少する。
ビティーの直径または幅の収縮 微細加工を施された基板は、陰極板7に密着され、電鋳
システム8中の電解液4に浸され、電解液溶媒の移動
(mass transport)により電解液溶媒が
ポリマー基板1内部に浸透し、ポリマーが膨張する(図
1(c))。基板は後で電鋳が可能となるように孔が貫
通した面が陰極板と密着することが望ましい。パターン
の各キャビティー内の膨張部5によりキャビティーの幅
や直径が収縮し、その結果各キャビティーの直径や幅が
D1からD2に減少する。
【0022】例えば、最終的に図1(f)および図4に
示すように形成物の高さとなるキャビティー3の深さを
H、微細加工後のキャビティー3の第1直径(幅)をD
1、ポリマーが膨張し直径が収縮した後のキャビティー
3の第2直径(幅)をD2とそれぞれ定義すると、以下
の数式が得られる。
示すように形成物の高さとなるキャビティー3の深さを
H、微細加工後のキャビティー3の第1直径(幅)をD
1、ポリマーが膨張し直径が収縮した後のキャビティー
3の第2直径(幅)をD2とそれぞれ定義すると、以下
の数式が得られる。
【0023】
【数1】
【0024】(式中、R1は収縮前の微細構造物のアス
ペクト比である。)
ペクト比である。)
【0025】
【数2】
【0026】(式中、R2は収縮後の微細構造物のアス
ペクト比である。)D2はD1より小さいため、R2は
R1より大きくなる。すなわち、本発明によりアスペク
ト比は増加する。
ペクト比である。)D2はD1より小さいため、R2は
R1より大きくなる。すなわち、本発明によりアスペク
ト比は増加する。
【0027】高さ(H)が9.9mmのキャビティーの
第1直径(D1)がPCD法により300μmに微細加
工されたとすれば、アスペクト比(R1)は33とな
る。そして、本発明に係る処理を施され、キャビティー
の直径が収縮した後の第2直径(D2)が75μmにな
ったとすれば、下記式によりアスペクト比(R2)は1
32となり、アスペクト比は大きく上昇し、微細加工に
ための有益な小型化を推進できる。
第1直径(D1)がPCD法により300μmに微細加
工されたとすれば、アスペクト比(R1)は33とな
る。そして、本発明に係る処理を施され、キャビティー
の直径が収縮した後の第2直径(D2)が75μmにな
ったとすれば、下記式によりアスペクト比(R2)は1
32となり、アスペクト比は大きく上昇し、微細加工に
ための有益な小型化を推進できる。
【0028】
【数3】
【0029】キャビティー3の幅を収縮させるためのポ
リマーの膨張は、基板1内部のポリマーの自由体積内へ
の電解液4の貧溶媒分子の移動により引き起こされる。
すなわち、分子鎖間の間隔がこれにより広がり、ポリマ
ーの膨張部5が形成される。
リマーの膨張は、基板1内部のポリマーの自由体積内へ
の電解液4の貧溶媒分子の移動により引き起こされる。
すなわち、分子鎖間の間隔がこれにより広がり、ポリマ
ーの膨張部5が形成される。
【0030】このような物質の移動現象は、フィックの
拡散(Fickian diffusion)、第2拡
散(CaseII diffusion)またはこれに類
似する拡散に従って起こりうる。キャビティーの寸法の
収縮は、物質の移動温度およびポリマーに吸収される電
解液溶媒の飽和吸収速度や容量によって変動する関数で
ある。
拡散(Fickian diffusion)、第2拡
散(CaseII diffusion)またはこれに類
似する拡散に従って起こりうる。キャビティーの寸法の
収縮は、物質の移動温度およびポリマーに吸収される電
解液溶媒の飽和吸収速度や容量によって変動する関数で
ある。
【0031】ポリマー中への電解液4の物質の移動が飽
和すると、ポリマーの膨張部5は一定の大きさに落ち着
き、キャビティー3を所定の大きさに収縮することがで
きる。
和すると、ポリマーの膨張部5は一定の大きさに落ち着
き、キャビティー3を所定の大きさに収縮することがで
きる。
【0032】本発明において使用されるポリマーは、電
解液の溶媒を内部にしみこませて膨張時に損傷をうける
ことなくポリマーの嵩を膨張させることができるもので
ある。
解液の溶媒を内部にしみこませて膨張時に損傷をうける
ことなくポリマーの嵩を膨張させることができるもので
ある。
【0033】ポリマー膨張に用いられる電解液は、膨張
後になされる本発明に係る電鋳工程で使用される電解液
と同一のものである。また、マスキング膜2で覆われた
基板領域は、電解液の物質の移動による影響を受けない
領域である。
後になされる本発明に係る電鋳工程で使用される電解液
と同一のものである。また、マスキング膜2で覆われた
基板領域は、電解液の物質の移動による影響を受けない
領域である。
【0034】(5)電鋳 次に、内部が電解液4で満たされた、キャビティー3を
有する膨張基板6にここで電鋳システム内で電鋳工程が
施される。
有する膨張基板6にここで電鋳システム内で電鋳工程が
施される。
【0035】図2に示す電鋳システム(装置)8は以下
のもの、電解液4で満たされた浴槽81と、陽極と膨張
基板6に予め密着されているニッケル等からなる陰極板
7に電気的に接続された陰極とを備えた電源14と、浴
槽81中の電解液4を均一に撹拌するための可変回転速
度機能をそなえたDCモーター9に固定されたスターラ
ー10と、温度制御器12とセンサー13により電解液
4を一定の適温に保つために浴槽中に設けられたヒーテ
ィングコイル11とを含む。
のもの、電解液4で満たされた浴槽81と、陽極と膨張
基板6に予め密着されているニッケル等からなる陰極板
7に電気的に接続された陰極とを備えた電源14と、浴
槽81中の電解液4を均一に撹拌するための可変回転速
度機能をそなえたDCモーター9に固定されたスターラ
ー10と、温度制御器12とセンサー13により電解液
4を一定の適温に保つために浴槽中に設けられたヒーテ
ィングコイル11とを含む。
【0036】膨張基板6中の各キャビティー3内部に金
属を電鋳する電鋳工程において、電源14により適切な
電流電圧が通電され、図1(d)に示すように膨張基板
6中のキャビティー3内部の予定した高さすなわち深さ
Hになるまで電鋳が施される。その後、電源14が断線
される。
属を電鋳する電鋳工程において、電源14により適切な
電流電圧が通電され、図1(d)に示すように膨張基板
6中のキャビティー3内部の予定した高さすなわち深さ
Hになるまで電鋳が施される。その後、電源14が断線
される。
【0037】電鋳工程において電鋳されうる金属または
合金としては、ニッケル、銅、金、ニッケル−コバルト
合金、ニッケル−鉄合金などが挙げられる。
合金としては、ニッケル、銅、金、ニッケル−コバルト
合金、ニッケル−鉄合金などが挙げられる。
【0038】なお、電鋳工程における電解液温度と、基
板を膨張させる工程における電解液温度は等しいことが
望ましい。
板を膨張させる工程における電解液温度は等しいことが
望ましい。
【0039】(6)ポリマー基板の分離と成形物の取り
出し その後、ポリマーを当初の大きさに戻し(キャビティー
を収縮させる)、電鋳された微細構造物をポリマーから
容易に分離できるものとするために電解液をポリマーか
ら脱離(除去)する。加熱や拡散によりもたらされる電
解液の脱離により、図1(e)に示すようにポリマー基
板1と微細構造物15とが分離する。
出し その後、ポリマーを当初の大きさに戻し(キャビティー
を収縮させる)、電鋳された微細構造物をポリマーから
容易に分離できるものとするために電解液をポリマーか
ら脱離(除去)する。加熱や拡散によりもたらされる電
解液の脱離により、図1(e)に示すようにポリマー基
板1と微細構造物15とが分離する。
【0040】続いて、図1(f)、図4に示すように微
細構造物15が基板1から分離され、取り出される。
細構造物15が基板1から分離され、取り出される。
【0041】本発明において、工程中膨張し、最終的に
は元の大きさに収縮するポリマー基板1は、電解液に溶
解または分解するものではない。
は元の大きさに収縮するポリマー基板1は、電解液に溶
解または分解するものではない。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。厚さ2cmの親水性ポリウレタン(PU)基板が選
択され、表面の平坦化および研磨処理が施された。水不
溶性のグラファイトインクまたは柿油(persimm
on oil)が基板の平行6面体の全表面にそってコ
ーティングするために用いられた。波長193nmのC
O2レーザーが多数の(縦100個×横100個程度)
孔を穿つために使用された。各孔d0は400μm程度
の内径を有するものであった。
る。厚さ2cmの親水性ポリウレタン(PU)基板が選
択され、表面の平坦化および研磨処理が施された。水不
溶性のグラファイトインクまたは柿油(persimm
on oil)が基板の平行6面体の全表面にそってコ
ーティングするために用いられた。波長193nmのC
O2レーザーが多数の(縦100個×横100個程度)
孔を穿つために使用された。各孔d0は400μm程度
の内径を有するものであった。
【0043】硫酸ニッケルアンモニウム16リットル、
ホウ酸0.8リットル、塩化ニッケル0.4リットルお
よび増白剤0.4リットルを成分として含む電解液を準
備し、これらの成分を35℃で完全に溶解させた。脱イ
オン水を加え比重を40に調整し、pH値を測定し4に
調整した。溶液が酸性に大きく傾いているときは、pH
値が4.0になるまでニッケルカーボネートを加えた。
ホウ酸0.8リットル、塩化ニッケル0.4リットルお
よび増白剤0.4リットルを成分として含む電解液を準
備し、これらの成分を35℃で完全に溶解させた。脱イ
オン水を加え比重を40に調整し、pH値を測定し4に
調整した。溶液が酸性に大きく傾いているときは、pH
値が4.0になるまでニッケルカーボネートを加えた。
【0044】次に基板を陰極板としてのニッケル板に密
着し、電解液溶媒をポリマー基板中に物質の移動させる
ため、40℃の電解液に浸した。PUポリマー中への電
解液溶媒の物質の移動の飽和に伴い、ポリマーは膨張
し、孔の内径dは100μmに収縮した。これより、サ
イズ減少率が下記式によって得られた。
着し、電解液溶媒をポリマー基板中に物質の移動させる
ため、40℃の電解液に浸した。PUポリマー中への電
解液溶媒の物質の移動の飽和に伴い、ポリマーは膨張
し、孔の内径dは100μmに収縮した。これより、サ
イズ減少率が下記式によって得られた。
【0045】
【数4】
【0046】次に、電鋳をおこなうため、40℃、2.
0V、2.0Aで54時間、この膨張基板に通電した。
0V、2.0Aで54時間、この膨張基板に通電した。
【0047】電鋳による生成物を、100℃のエアーオ
ーブン中に置きアスペクト比100を有する図4に図示
したような3次元の微細構造物15を分離し、取り出
す。
ーブン中に置きアスペクト比100を有する図4に図示
したような3次元の微細構造物15を分離し、取り出
す。
【0048】このように簡単な工程及び低い製造コスト
で微細構造物が得られるため、本発明の効果は非常に大
きい。
で微細構造物が得られるため、本発明の効果は非常に大
きい。
【0049】なお、微細構造物の形状は本発明に示した
例に限定されるものではなく、微細構造物中に形成され
るキャビティー(孔、ギャップ等)は1個であっても複
数個であってもよい。
例に限定されるものではなく、微細構造物中に形成され
るキャビティー(孔、ギャップ等)は1個であっても複
数個であってもよい。
【0050】本発明には、幾つかのキーポイントとなる
工程がある。即ち、ポリマー中のキャビティーを最小
化しアスペクト比の上昇に多大な効果をもたらす、電鋳
工程のすぐ前のポリマー膨張工程。微細構造物とポリ
マーを容易に分離するための、加熱による簡便なポリマ
ーからの電解液の脱離(除去)工程。この工程により現
行工法のような複雑なエッチング工程を省くことができ
る。また、エッチング工程を省くことによりエッチング
液由来の環境汚染問題を解決できるため、環境保護にも
役立つものとなる。ポリマーの膨張およびポリマーの回
復(収縮)は可逆反応のようなものであり、これがアス
ペクト比の増加に役立ち、微細加工の取り出しに有益な
ものとなり、先行技術に対する本発明の良化点となる。
工程がある。即ち、ポリマー中のキャビティーを最小
化しアスペクト比の上昇に多大な効果をもたらす、電鋳
工程のすぐ前のポリマー膨張工程。微細構造物とポリ
マーを容易に分離するための、加熱による簡便なポリマ
ーからの電解液の脱離(除去)工程。この工程により現
行工法のような複雑なエッチング工程を省くことができ
る。また、エッチング工程を省くことによりエッチング
液由来の環境汚染問題を解決できるため、環境保護にも
役立つものとなる。ポリマーの膨張およびポリマーの回
復(収縮)は可逆反応のようなものであり、これがアス
ペクト比の増加に役立ち、微細加工の取り出しに有益な
ものとなり、先行技術に対する本発明の良化点となる。
【0051】本発明によって製作された微細構造物は、
射出成形、または他の成形若しくは製造方法などにより
成型物を大量生産するための鋳型の鋳型孔等として用い
られうるものである。
射出成形、または他の成形若しくは製造方法などにより
成型物を大量生産するための鋳型の鋳型孔等として用い
られうるものである。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、100以上の高いアス
ペクト比を有する微細構造物を制作することが可能であ
り、工程は単純化され、製造コストも抑えられる。この
ように、本発明により、従来の微細加工工程のスループ
ット、コストパフォーマンスが悪い欠点を克服すること
ができる。
ペクト比を有する微細構造物を制作することが可能であ
り、工程は単純化され、製造コストも抑えられる。この
ように、本発明により、従来の微細加工工程のスループ
ット、コストパフォーマンスが悪い欠点を克服すること
ができる。
【図1】 本発明に係る主なプロセスを示す模式図であ
る。
る。
【図2】 本発明に係る電鋳システムの装置を示す概略
図である。
図である。
【図3】 本発明に係る微細構造物の製造方法により制
作された微細構造物の平面図である。
作された微細構造物の平面図である。
【図4】 本発明に係る微細構造物の製造方法により制
作された微細構造物の斜視図である。
作された微細構造物の斜視図である。
1 基板 2 マスキング膜 3 キャビティー 4 電解液 5 膨張部 6 膨張基板 7 陰極板 8 電鋳システム 9 DCモーター 10 スターラー 11 ヒーティングコイル 12 温度制御器 13 センサー 14 電源 15 微細構造物 81 浴槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 500250600 顧 軍 夫 台湾台北市復興四路99−4號 (72)発明者 林 清 彬 台湾台北市民生東路三段88巷12號2樓之 2 (56)参考文献 特開2000−202718(JP,A) 特開2001−29761(JP,A) 特開 平8−276594(JP,A) 特開 昭64−57433(JP,A) 特開 昭63−128190(JP,A) 特開 昭61−121836(JP,A) 特公 平5−17524(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B81C 5/00 C25D 1/00
Claims (7)
- 【請求項1】 電鋳システム内に電解液を満たす段階
と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうるポリマー基
板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外部表面を平
坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外部表面に電
気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前記ポリマー
基板にキャビティーを有する3次元の微細構造パターン
を形成する段階と、前記ポリマー基板を陰極板と密着さ
せる段階と、前記ポリマー基板を前記電鋳システム中の
前記電解液に浸して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー
基板が前記電解液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基
板中に浸透させる段階と、前記電鋳システム中で前記キ
ャビティーに金属または合金を電鋳させる段階と、前記
ポリマー基板から前記電解液の溶媒を脱離して、前記キ
ャビティー中の電鋳された微細構造物を分離する段階、
からなる微細構造物の製造方法。 - 【請求項2】 電鋳システム内に電解液を満たす段階
と、前記電解液の溶媒を吸収して膨張しうるポリマー基
板を選択する段階と、前記ポリマー基板の外部表面を平
坦化、研磨および洗浄をする段階と、前記外部表面に電
気絶縁性マスキング膜を形成する段階と、前記ポリマー
基板を微細加工して該ポリマー基板に複数のキャビティ
ーを有する3次元の微細構造パターンを形成する段階
と、前記ポリマー基板を陰極板と密着させる段階と、前
記ポリマー基板を前記電鋳システム中の前記電解液に浸
して、前記電解液の溶媒を前記ポリマー基板が前記電解
液の溶媒で飽和するまで前記ポリマー基板中に浸透させ
該ポリマー基板の各前記キャビティーの直径および幅を
収縮させる段階と、電鋳システム内で前記陰極板と陽極
を電気的に接続させて前記電鋳システム中で前記キャビ
ティーに金属または合金を電鋳させる段階と、前記ポリ
マー基板から前記電解液の溶媒を脱離して前記ポリマー
基板を収縮させ、前記キャビティー中の電鋳された微細
構造物から分離して該微細構造物を取り出す段階、から
なる微細構造物の製造方法。 - 【請求項3】 前記浸透させる段階の電解液温度と前記
電鋳させる段階の電解液温度が等しいことを特徴とする
請求項1記載の微細構造物の製造方法。 - 【請求項4】 前記マスキング膜は、前記ポリマー基板
内部への前記電解液の浸透または移動を阻害し、かつ電
解液によって剥離および溶解しないことを特徴とする請
求項1〜3のいずれか1項に記載の微細構造物の製造方
法。 - 【請求項5】 前記ポリマー基板は親水性ポリマーより
なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
載の微細構造物の製造方法。 - 【請求項6】 前記親水性ポリマーは親水性ポリウレタ
ンまたは親水性アクリル樹脂であることを特徴とする請
求項5に記載の微細構造物の製造方法。 - 【請求項7】 前記金属または合金は、ニッケル、銅、
金、ニッケル−コバルト合金およびニッケル−鉄合金か
らなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜6
のいずれか1項に記載の微細構造物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000160918A JP3304331B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 高いアスペクト比を有する微細構造物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000160918A JP3304331B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 高いアスペクト比を有する微細構造物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001334500A JP2001334500A (ja) | 2001-12-04 |
JP3304331B2 true JP3304331B2 (ja) | 2002-07-22 |
Family
ID=18665039
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000160918A Expired - Fee Related JP3304331B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 高いアスペクト比を有する微細構造物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3304331B2 (ja) |
-
2000
- 2000-05-30 JP JP2000160918A patent/JP3304331B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001334500A (ja) | 2001-12-04 |
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